第17回「海外での建設的な労使関係構築」国内労使セミナーを開催
~中核的労働基準遵守、アジアの労使関係、GFAの取り組み事例中心に~
2015年11月25日、東京・電機連合会館で金属労協が開催
第17回「海外での建設的労使関係構築」国内労使セミナー(2015年11月25日、電機連合)
JCM(金属労協)は、2015年11月25日午後、東京・電機連合会館会議室で、第17回「海外での建設的な労使関係構築」国内労使セミナーを、加盟産別・企業の労使代表117名(内会社側30名)の参加を得て開催した。今回は、中核的労働基準遵守に果たしてきたILOの役割、アジア諸国の労働情勢と労使関係、日系多国籍企業労使におけるGFA締結の取り組み事例を中心に研さんした。
JCMとして、2007年10月以来、「中核的労働基準順守の取り組み推進と、海外における建設的な労使関係構築に資すること」を目的に年2回程度ずつ、「海外での建設的な労使関係構築」国内労使セミナーを、各国の労使関係に焦点を当てながら、加盟産別・企業の労使代表を対象に開催してきた。
第17回セミナーでは、冒頭、金属労協を代表して相原康伸議長が挨拶に立ち、 ①ILO国際労働基準の考え方、②「建設的な労使関係の構築」の意味の再確認、今回セミナーの特徴点、などについて述べた。続いて、人権教育啓発推進センター・理事長の横田洋三氏から「経済のグローバル化と中核的労働基準-ILOの役割」について講演を受けた。横田氏は、ILOが第一次大戦後に国際連盟とともに生まれたその創設時から、グローバル化、平和、経済、人権などを扱ってきた歴史に触れ、現代に続くその役割の重要性について強調した。また中核的労働基準8条約について、その人権的な側面の意義について述べ、日本に2つの未批准条約があることについて早期の批准の必要性を指摘した。
次に、金属労協・顧問の小島正剛氏から「アジア諸国における労働情勢と労働組合の動向」をテーマに講演を受けた。小島氏は、「多様性と連結性」という言葉でアジアの特徴を指摘した。独立後多くの国で開発独裁の経済政策を経るなかで、労働法制定も経済開発に役立つ目的があったと述べ、労働組合の活動が抑制されてきたことを指摘した。また、ILO・アジア開発銀行の共同報告書では、賃金決定システム強化の必要性や、最低賃金制度を確立し不平等に対処する必要性などを指摘していると紹介した。
最後に、イオン労使から「日系多国籍企業労使による社会的責任への取り組み~GFAを中心に~」と題し、同社におけるGFA締結についてご報告いただいた。会社側からは、「GFAは企業の社会に対するコミットメントを企業自らが宣言するだけでなく、労働組合と調印することで、ともに推進することを謳う共同公約であり、これにより当事者間でチェックしあう仕組みを作り、実効性を確保したい」と述べた。労働組合側からも、「海外で働く従業員との連携や組合活動への支援などを検討した結果、①民主的労働運動の発展をもって、各国の発展及び働く者の経済的・社会的地位の向上に貢献する。②イオンに働く仲間と連帯して、イオンの持続可能な成長発展を支え、労組として雇用の確保と労働条件の維持改善にともに努める」との基本的考え方で取り組んでいることが報告された。最後に、浅沼事務局長がセミナーのまとめを行い、閉会した。→詳細記事