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第84号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年10月31日)

労働組合の視点からインダストリー4.0の課題を理解

2018-10-30

 インドネシアのインダストリオール加盟組織の労働組合員70人とFNVモンディアールのパートナーが10月19日にジャカルタに集まり、労働組合の視点からインダストリー4.0の課題と影響について議論した。

 インダストリオール・インドネシア協議会のイワン・クスマワン議長が開会の辞で次のように述べた。
 「インダストリー4.0は政府・使用者によって導入された。組合と労働者は、この難題を受け入れるだけでなく、雇用喪失に関連する問題に取り組むことも強要されている」

 議論のために、工業省、インドネシアの使用者団体、組合およびメディアの代表から成るパネル討論が行われた。

 工業省代表によると、インドネシア政府はインダストリー4.0にはプラスの効果があると楽観視しており、今年4月に5部門を対象とするインダストリー4.0ロードマップが開始された。

 第4次産業革命のために開発すべき5部門は、食品・飲料、繊維、電子、化学である。インドネシア政府は、インダストリー4.0は世界市場でインドネシア製品の競争力を高め、2030年までに1,000万人の新規雇用を創出できると考えている。

 インドセメント・ハイデルベルグ代表は、この問題に対処するために労使間の社会的対話を行うことが重要だと強調した。

 参加者はアクション・プランについて合意した。労働者と組合はインダストリー4.0を脅威ではなく機会とみなし、教育と訓練によって認識を深めるべきである。課題を克服するために、国際労働基準を利用して戦略を策定すべきである。組合は労働協約を強化し、インダストリー4.0の影響への対処を盛り込む必要がある。

 

マレーシアの労働審判所、解雇された自動車労働者への補償を裁定

2018-10-29

 マレーシアの労働審判所は10月、労働者に有利な判決を下した。2013年8月の解雇にさかのぼって、110万マレーシア・リンギット(26万5,000米ドル)の賃金が支払われる。労働者全員がマレーシアのインダストリオール加盟組織、全国輸送機器・関連産業労組(NUTEAIW)の組合員である。

 裁判官は裁定にあたって不正行為で労働者を有罪としたが、解雇は自動車部品メーカー2社(ハイコム・オートモーティブ・マニュファクチャラーズといすゞハイコム)の元従業員18人に対する過度の処罰とみなした。両社はDRBハイコム・グループの子会社であり、同グループはマレーシアでタタ・モーターズ、ホンダ、フォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツ、いすゞ向けの自動車組立を専門としている。

 NUTEAIWは2013年の解雇後、組合員を支持して人的資源省労使関係局に提訴し、法廷で労働者を代表するために弁護士を雇った。

 労働者が解雇されたのは、経営陣がユーチューブにアップされた2013年5月付の動画を発見したあとのことである。この動画の中で労働者たちは、全マレーシア・イスラム党の候補者に労働者のマニフェストを手渡し、組合権と給付を要求していた。この候補者は2013年の総選挙でパハン州議会議員に立候補していた。

 経営側は、労働者が賃金・労働条件を改善するために外部の力を利用したことを非難した。労働者の何人かがマニフェストを手渡した際に会社のロゴが入った制服を着ていたため、経営側は会社の評判に傷がついたと主張し、数カ月の内部調査を経て、この行動に参加した労働者18人(行動を組織した労働者を含む)を解雇した。

 労働審判所は、この不正行為は刑事犯罪ではないと判断し、解雇された労働者たち(そのほとんどが20年にわたって同じ会社に勤務)が過去に重大な不正行為を犯したことがない点にも留意した。審判所は、この解雇は「不正行為とは不釣り合い」であると宣言し、両社に対し、解雇以降の未払賃金全額と復職に代わる補償金の支払いを義務づけた。各労働者は2万4,000マレーシア・リンギット(5,800米ドル)から9万4,000マレーシア・リンギット(2万2,635米ドル)を受け取る。

 

テナリス・チューボカリベの労働者が権利侵害に抗議

2018-10-25

労働者は今後も毎週金曜日に行動を起こし、チューボカリベが組合の要求をめぐる交渉を拒否していることに抗議する。

 コロンビアのテナリス・チューボカリベ労働者が一連の平和デモを実施し、会社側による労働者の基本的権利の侵害と組合指導者の解雇・制裁に抗議している。

 多国籍鉄鋼会社テナリス所有のチューボカリベが組合側の要求をめぐる交渉を拒否しているため、労働組合Sintratucar、SinaltrametalおよびSinaltratenarisは10月19日にデモを実施、今後も毎週金曜日に行動を起こす予定である。

 労働者は2017年と2018年の賃上げ見送り、結社の自由の権利の侵害、組合幹部に対する脅迫にも抗議している。さらに、解雇された組合員を復職させること、会社側が組合保護の取り消し要求を撤回することも要求している。

 そのうえ、同社の人事部長と労使関係管理者は工場の生産現場で非組合労働者と会談した際、労働者に誤った情報を与えて事実を歪めた。2人は労働者に、会社が賃金を引き上げなかったのは労働組合が賃上げを求めていないからだと話し、その結果、組合員は匿名による殺害の脅迫を受けた。

 労働者は抗議行動を実施するだけでなく、他の紛争解決方法も模索している。労働側は、国際労働機関(ILO)に付託された紛争の処理のための特別委員会とコロンビアの労働省に陳情し、さらにILOと経済協力開発機構(OECD)に提訴した。

 テナリスが労働者に対してそのように横柄で投げやりな態度を取っている国はコロンビアだけではなく、他国の組合も同様の問題に直面している。例えばグアテマラでは、インダストリオール・グローバルユニオンは多国籍鉄鋼メーカーのテルニウムをOECDに提訴した。同社もテナリス同様にテチント・グループ傘下であり、グアテマラで労働組合を承認して交渉することを拒否した。

 インダストリオールは先ごろテナリスのクライアント企業数社に、コロンビアにおける同社の組合弾圧について知らせた。その中にはENIとエクイノールが含まれており、両社ともインダストリオールとグローバル枠組み協定を締結している。

 インダストリオールはテナリス・テルニウム労働者世界協議会と協力しながら、いくつかの国々で同社が労働者の権利を侵害していることに抗議する世界規模の継続的キャンペーンを構築するとともに、両社とその持株会社テチントに世界協議会を承認させ、インダストリオールとの対話を確立させようとしている。11月26~27日にメキシコで国際会議を開催する。

 「インダストリオールと世界協議会は、現在のキャンペーンを成功させ、テナリスおよびテルニウムとの強力で成熟した対話を確立するために、戦略を考案することにしている。その目的は争議を防止・解決し、世界中のテナリスおよびテルニウム労働者のために尊厳ある労働条件を整えることだ」とヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は述べた。

 

アフリカの組合がナミビアで会合を開き、インダストリー4.0と持続可能性に関する計画を立案

2018-10-25

組合は労働者のために雇用創出、雇用保障、生涯学習を求めて闘い続けなければならない、とナミビア会合の参加者は述べた。

 自動車製造工場や鉱業部門、エネルギー部門では生産現場にロボットが導入され、先端技術が職場を変えている。これは将来の雇用が今とは違ったものになることを意味するが、労働組合にとって何を意味するのだろうか。

 第4次産業革命またはインダストリー4.0を先導しているのは、スマート・センサーや機械学習、データ管理、人工知能、クラウド・ソリューションに起因する急速な自動化である。ロボットは当初、自動車、航空宇宙、海運、機械エンジニアリング、工業生産といった少数の部門に限定されていたが、間もなく繊維・衣料を含むすべての部門に普及するだろう。

 サハラ以南アフリカ12カ国のインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織が、フリードリヒ・エーベルト財団の支援によって10月18~19日にナミビアのビントフックに集まり、研究ネットワーク設立の可能性も含めて、組合がインダストリー4.0に関与する戦略を構築するにはどうすればよいか討議した。さらに、組合は経済的・環境的・社会的側面に目を向けることによって、持続可能な工業化に関する公共政策の決定に積極的に加わるべきである、という点で意見が一致した。

 会合参加者たちは、特に若年者の失業率が高い地域にあって、組合は労働者のために雇用創出と雇用保障、生涯学習を求めて引き続き闘い、移動可能な新しい技能、生活賃金および労働条件改善(女性の条件を含む)を獲得しなければならないことに合意した。この議論では、特にパリ協定および貧困撲滅、ディーセント・ワークとグリーン・ジョブの創出に関する国連社会開発目標との関連で、国内状況と世界状況の重要性が取り上げられた。国際連帯とグローバル枠組み協定が、労働者の権利を保護するうえで重要な要因として挙げられた。

 インダストリー4.0は気候変動と関連しているので、公正な移行計画によって労働者の権利と福祉を保護する必要があることについて討議した。これらの計画には創造的な労働調整プログラム、社会的保護、持続可能な産業政策を盛り込み、雇用保障を提供すべきである。影響を受ける地域社会にとっての社会的公正も盛り込むべきである。さらに、技術進歩はアフリカ大陸では不均等であるうえ、高いデータ・コスト、限られたインターネット接続、高い電気代によって妨げられていることが指摘された。

 ILOのジェンス・ダイリングによると、仕事の未来イニシアティブは、仕事の世界が変化しており、組合はそれに備えなければならないことを認識している。

 しかし、雇用喪失の不安はあるものの、ロボットが忍耐を要する仕事を肩代わりし、労働者が高度熟練雇用からより多くの収入を得るようになれば、労働者の安全衛生にとってメリットがある。

 インダストリオールのブライアン・コーラー安全衛生・持続可能性担当部長は述べた。
 「技術が仕事を改善し、退屈な重労働をなくしてくれれば、労働者は利益を得ることができる。公正な移行は新しい持続可能な仕事の世界への架け橋なので、組合はそれを求めて闘うべきだ。その橋を架けるには、持続可能な産業政策の策定にあたって労働者が役割を果たさなければならない」

 

男性優位の部門におけるジェンダー平等の達成

2018-10-19

 10月16~17日、世界中のインダストリオール加盟組織が南アフリカのケープタウンで会合を開き、鉱業、素材金属、素材およびエネルギー部門でジェンダー平等を達成するための戦略を策定した。

 これらの部門は名誉ある高給の熟練労働を提供していることが多く、男性が優位を占めている。これらの部門で働いている女性は最も単調で不安定な仕事に従事している傾向があり、賃金と地位が最も低く、組合で権限のあるポストに就いていないことが多い。

 ジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長は開会の辞で次のように述べた。
 「ジェンダー平等は女性の問題ではなく、中核的な労働組合問題だ。私たち全員が不安定雇用に反対していながら、不安定労働者が団結することを期待していないのと同様に、この議論に男性を関与させ、これを女性が解決すべき問題とみなすのをやめさせる必要がある」

 この会合では、女性参画率の低さを説明するために人々(一部の組合幹部を含む)が用いるいくつかの固定観念を取り上げた。1つの通説によれば、女性は肉体的に過酷な仕事や技術的な仕事に興味がないか、そのような仕事を行う能力がない。もう1つの社会通念は、女性は効果的な労働組合指導者になるための精神的安定を欠いているとか、女性は家庭で子どもの世話をすべきだというものである。

 これらの部門に女性が参入するうえで、妨げとなる重要な障害がいくつかある。例えば、セクシャル・ハラスメントやジェンダーに基づく暴力であり、これらは深刻に受け止められておらず、職場文化の一部とみなされている場合が多い。

 企業は安全な更衣室やバスルームなどを提供しておらず、個人用保護具も不適切である。女性は仕事だけでなく育児や家事も求められている。これらの部門には若い女性の積極的な役割モデルがほとんどおらず、教育制度は女性を介護労働やサービス労働に振り向けている。

 女性がこれらの部門で働くと、男性の同僚は女性を弱い存在とみなして過度に保護し、難しい仕事を任せたり技能を磨いたりする機会を与えようとしない。

 会合では、高度な技術を有する機械工として働く女性、セメント工場で高所保守作業に従事する女性、大型鉱山トラック・列車を運転している女性、公益事業会社で機械を操作している女性が発言した。多くの女性が、男性の同僚には求められない方法で能力を証明しなければならない。

 会合に参加した何人かの男性代議員が、女性の同僚が職場や組合で男性と同等以上の仕事をしているという有力な証拠を挙げた。ジェンダー平等は、優位に立つ少数の男性ばかりを優遇する権力機構を打ち崩すので、女性のみならず男性のためにもなる。

 代議員は一連の勧告を立案した。これらの勧告は11月にメキシコのインダストリオール執行委員会で発表される。勧告の焦点は、ジェンダー平等を女性委員会だけの問題にせず、部門会議やネットワーク会議でも常に議題に含めることである。組織構造を発展させ、女性参画拡大計画に関する報告を義務づけるべきであり、組合はグローバル枠組み協定を利用して企業の行動に影響を及ぼすべきである。

 

パキスタンの船舶解撤場で火災、労働者7人が負傷

2018-10-17

 火災が発生したのは10月14日、パキスタンのバルチスタン州にあるガダニ船舶解撤場の第10区画で、労働者が石油タンカー「クリーティ」を解体していたときのことである。このタンカーはアラム・カーンという個人が所有している。第一報によると、7人の労働者が火災でやけどを負い、うち3人は重度のやけどで危篤状態にある。

 消防隊は現場までたどり着いて火を消すのに苦労した。エディ財団のボランティアが何人かの組合労働者とともに犠牲者の救出に助力し、負傷者はその後カラチの民間病院に運ばれた。

 火災の犠牲者(Abdul Qayoom、Khaliq、Muhammad Din、Muhammad Azam、Muhammad Akram、Muhammad Jabbar、Ehsan Ullah)全員が不安定雇用労働者だった。

 皮肉にも、事故のちょうど前日、バルチスタン州の労働大臣が現場を訪れ、ガダニ船舶解撤労働者の労働・生活条件を視察したばかりだった。船舶解撤場の火災は珍しいことではなく、先週も第6および第7解撤場で火災事故があったが、幸い負傷者はいなかった。今回の事故を受けてバルチスタン州政府は、この地域で労働者によるあらゆる種類の船舶解撤活動と組立作業を禁止した。

 アトレ・ホイエ・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長は述べた。
 「ガダニ船舶解撤場で安全性が軽視され、その結果火災が続発している現状は容認できない。2016年11月の大事故で労働者26人が死亡し、さらに多くの負傷者が出たあともなお、政府・使用者は教訓を学んでいないようだ。私たちはパキスタンのインダストリオール加盟組織とともに、バルチスタン州政府に船舶解撤規則の実施を、パキスタン政府に船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約の即時批准および実施を繰り返し要求している」

 松崎寛ICT電機・電子・造船・船舶解撤担当部長はこう述べた。
 「事故の犠牲者全員に適切な医療支援と補償を提供すべきだ。私たちは犠牲者と連帯しており、速やかな回復を願っている。この現場で安全基準を改善するために、政府・使用者は不安定雇用をなくし、労働者の結社の自由と団体交渉権を承認し、香港条約に沿って労働法と船舶解撤規則を実施しなければならない」

 

14週間の出産休暇を祝福

2018-10-16

 インドネシアのインダストリオール加盟組織の組合員450人が10月10日にジャカルタで、14週間の出産休暇を求めるキャンペーンの成功を祝った。その目的は、国の法令にとどまらず、より多くの組合と使用者が労働協約に母性保護の改善を盛り込むよう奨励することである。

 インダストリオール女性委員会がインドネシアでキャンペーンを実施した結果、約18社が出産休暇を14週間以上に延長する労働協約を締結した。

 母性保護を改善(特に出産休暇を12週間から14週間以上に延長)した組合と使用者に賞が贈られた。

 グラクソウェルカム・インドネシア、武田、ホンダ・プレシジョン・パーツ・マニュファクチュアリング、オムロン・インドネシア、チバビジョン、アサヒマス、レキットベンキーザー、ジョンソン・エンド・ジョンソン、アブソルート・サービス&ターゲット・セクリンド、ユニリーバすべての組合が使用者とともに受賞した。

 武田インドネシアの使用者代表は、3.5カ月の出産休暇の導入に対する賞を受賞した際、使用者と組合は労働協約で母性保護改善への関心を共有していると述べた。

 「母性保護改善キャンペーンを継続するつもりであり、今回の受賞を励みに、もっと多くの組合にあとに続いてほしい」とインダストリオール・インドネシア協議会のイワン・クスマワン議長は述べた。

 インドネシアの女性委員会はモンディアールFNVの出資によるプロジェクトを通して、母性保護に関するILO第183号条約の批准をめぐり政府・議会と協力しながら全国レベルで、また労働協約を通して連邦レベルで、出産休暇の延長を求めてキャンペーンを展開している。

 女性委員会は母性保護の改善に関するモデルCBAを作成し、14週間の休暇、生理休暇、授乳時間、妊娠している労働者の保護、搾乳室のような条項を盛り込んでいる。

 グラクソウェルカム・インドネシアの組合は、「母性保護の改善は子どもたちの未来の改善を意味する」ので、出産休暇を4カ月から6カ月に延長するために引き続き闘うと述べた。

 

インダストリオール、ドイツ系多国籍企業ラインメタルとのグローバル協定を更新

2018-10-12

2018年10月12日にGFAに署名するラインハルト・ミュラーEWC会長、ピーター・セバスチャン・クラウス・ラインメタル労使関係・人事担当上級役員、ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長

インダストリオール・グローバルユニオンは、ドイツの自動車用品・軍需会社、ラインメタルとのグローバル枠組み協定(GFA)を更新・強化した。

新協定は2018年10月12日、デュッセルドルフのラインメタル本社において同社とインダストリオールの間で締結された。この協定は同社のグローバル・サプライチェーン全体で労働者と労働組合の保護を推進している。

インダストリオールは現在この協定の対等なパートナーであり、協定には次のような改善が盛り込まれている。

  • 差別と嫌がらせの禁止に関する強い文言
  • 協定の実施・尊重に関する経営者の責任に関する強い文言
  • 持続可能な雇用に関する新しい章
  • (組合組織化キャンペーンの場合における)中立性に関する新しい条項

ラインメタル欧州従業員代表委員会とドイツのインダストリオール加盟組織IGメタルは2年以上前にGFAの再交渉を開始し、過去1年間にインダストリオールとの集中交渉も何度か行われた。

インダストリオールとラインメタルは新協定で、今後の協力強化を約束している。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は次のように述べた。
「ラインメタルとのグローバル枠組み協定の更新は、当事者双方が、両者間の関係を深め、世界中の全工場とサプライチェーン全体でラインメタルの高い社会基準を守らせるための努力を強化する意欲を持っていることを強調している」

ラインメタルは125年を超える歴史があり、2万4,000人を雇用している。2017年の売上高は60億ユーロに迫り、ドイツ39カ所、さらにヨーロッパ(ドイツを除く)39カ所、米大陸13カ所、アジア17カ所、アフリカ6カ所、オーストラリア3カ所で事業を展開している。

ラインメタルとの最初のグローバル枠組み協定は2003年に締結された。

 

インドの鉄鋼工場爆発事故、死者が12人に増加

2018-10-10

インドのビライ鉄鋼工場で爆発事故が発生、これまでに12人が死亡
この工場では今年、これ以外にも悲惨な爆発事故が発生している

 2018年10月9日にインド・チャッティースガル州のスチール・オーソリティー・オブ・インディア(SAIL)ビライ鉄鋼工場でガス・パイプラインが爆発し、労働者12人が死亡、11人が重度のやけどを負った。

 ビライ鉄鋼工場でまた死亡事故が発生し、インド公共部門の鉄鋼工場で安全性が危機にさらされていることが明るみに出た。公式報告によると、爆発が起こったのは10月9日午前10時30分ごろ、第11コークス炉バッテリー施設のガス・パイプラインで保守作業が行われていたときのことである。

 事故発生時、このエリアでは約23人の従業員が働いていた。即死した9人の遺体は焼け焦げて身元が判断できなかった。従業員の遺族は、遺体を識別するためにDNA鑑定を要求している。3人の従業員が病院で亡くなった。

 多くの労働者がまだ生死の境をさまよっているため、さらに死者数が増える恐れがある。1人の労働者は換気装置の上で全身大やけどを負い、そのほかにも70%、50%、40%のやけどで治療中の労働者がいる。現場には消防士が出動していたが、何もできなかった。事故の犠牲者には管理職や技術者、消防士も含まれている。

 ビライ鉄鋼工場の安全記録は悲惨であり、2018年5月8日、9日、10日に立て続けに事故が発生し、毎日1人の労働者が死亡した。経営側は今日まで、2014年の別の重大事故のあとに出された安全委員会の勧告を実施していない。

 2014年から現在までの間に、ビライ鉄鋼工場だけで約31人の労働者が事故死した。鉄鋼大臣が議会で提供した情報によると、2014年から2017年にかけて全国のさまざまなSAIL工場で事故が発生し、労働者74人が死亡している。同じ期間に同社では報告義務のある事故が205件発生した。

 インド全国労働組合会議(INTUC)チャッティースガル州支部長のサンジャイ・シンは次のように語った。
 「安全対策の不備、過去の死亡事故からの学習の失敗、不安定労働者の増加が安全危機の第一の理由だ。私たちはこれまでにない強い口調で今回の事故を非難する。事故を精査し、責任者を処罰しなければならない。この厳しい時期に遺族と連帯している」

 アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は言う。
 「インド有数の製鉄工場で、経営側の怠慢によって労働者の死亡事故が続いているのは恐ろしいことだ。これは公共部門の事業であり、政府は労働者の安全を確保するために強硬な対策を講じなければならない」

 政府当局は、事故を調査するために内部委員会の設置を発表した。今回の悲惨な事故に先立って、ビライ鉄鋼工場は6月、インド首相が国のために導入した近代化・拡張プログラムを完了している。

 

インドの電子労組、不安定雇用との闘いとネットワーク開発を決議

2018-10-09

 10月7~8日、インドのプネーに電子・電機部門労組の指導者が集まり、この産業のグローバルな傾向と課題を検討するとともに、組織化と組合の力を強化して不安定雇用と闘うための戦略およびインドで電子労組のネットワークを開発するための戦略を練り上げた。

 GE、シーメンス、エバー・エレクトロニクス、レオニ・ワイヤリング、エランタス・ベック、NCRの6社から14人の労働組合員が参加した。参加者たちは、この部門の使用者が常用労働者と組織化が困難な派遣・契約・外注労働者との入れ替えを急速に進めていることを報告し、組織化を強化して不安定雇用と闘うことを決議した。

 さらに、インダストリー4.0が労働者と組合運動に突きつけている課題について議論した。参加組合は、これらの課題に対応するために組合の力を強化し、労働組合ネットワークを開発し、政府と使用者団体に関与することが重要だと強調した。

 不安定雇用と闘い、組織化と団体交渉を強化するための作業計画を立案し、地域・全国組織機構の提案によって強力な組合ネットワークを構築することを約束した。

 アプールヴァ・カイワール南アジア地域事務所所長が次のように語った。
 「これはインドの電子・電機労組の初会合だ。電子・電機は私たちにとって重要な部門であり、この部門でインダストリオールの影響力を強化する必要がある」

 松崎寛インダストリオールICT電機・電子担当部長が述べた。
 「インドでは、この急速に成長している部門の労働者が二重の難題に直面している。すなわち、不安定雇用の増加と、インダストリー4.0がもたらす生産プロセスの変化だ」「これらの問題には別々に取り組むことができない。強力なネットワークを構築する必要があり、この会合は幸先の良い第一歩だ」

 

SKFインダストリオール世界組合協議会、インダストリー4.0、柔軟性および安全衛生めぐる議論を促進

2018-10-09

 10月2~4日、20カ国から40人を超える代議員とオブザーバーがトリノの文化商業地区リンゴットで会合を開き、世界中のSKF施設で見られる共通の問題について討議した。

 ベアリング事業で世界をリードするSKFは、世界従業員代表委員会だけでなく世界組合協議会(WUC)もある数少ない多国籍企業の1つである。このWUCには世界中のSKF労組代表が参加している。代議員とオブザーバーは、特にグループ内部の伝統的な社会的対話構造にとっての課題との関連で、この交流はSKFの全従業員にとって非常に重要だと感じている。

 WUCスウェーデン会長のケネット・カールソンが、経営陣との議論に関して次のように述べた。
 「これは私たちが経営側に対して抱えている問題を提起するまたとない機会であり、この機会をSKFの組合員と全従業員のために利用しなければならない」

 WUCは丸一日かけて、グループ社長兼最高経営責任者のアルリック・ダニエルソンを含むSKF経営陣と、同社の発展、戦略および活動について対話した。SKFはデジタル化の面で非常に進んでいるので、技能管理・訓練プログラムも含めて、デジタル化が討議の最優先事項の1つとなった。

 加えて、安全衛生プログラムや福祉その他の企業別プログラムなどの重要な問題についても意見を交換した。

 10月4日には、SKFビアスカ工場の共同視察が最も重要な議題項目だった。WUCはビアスカ工場で生産ラインと物流センターを見学しただけでなく、今後の生産・物流の変更をめぐり工場経営陣と議論する機会も得た。SKFの現地人事チームとともに会合を主催したイタリアの労働組合は、興味深く実り多い会合を設定するために最善を尽くした。

 マティアス・ハートウィッチ・インダストリオール機械エンジニアリング担当部長が、WUCとその運営委員会を援助して議論を推進した。ハートウィッチはプレゼンテーションの中で全代議員に対し、特に多くの国々の政治家が壁を築こうとしている時期にあって、国境を越えた対話を増やし、グローバルな調整を改善し、国境を踏み越えるよう奨励した。経営陣とWUCとの対話に関して、彼は次のように話をまとめた。
 「SKFの未来を共同で形作っていくために、経営陣と労働組合代表の間で非常に成熟した率直な対話が行われている。これは21世紀の社会的対話の見本になるかもしれない」

 

フィリピンで勝利、拡大出産休暇法が可決

2018-10-02

 10月1日に上下両院委員会の会議で関連法案が承認され、フィリピンは現在、14週間の有給出産休暇を実現しようとしている。この法律は2018年の105日拡大出産休暇法と呼ばれ、有給出産休暇を現在の60日または78日から105日に延長するもの。大統領の署名を待つばかりのこの法案は、インダストリオール加盟組合とパートナーが中心となって先導した集中的キャンペーンの成果である。

 インダストリオールは2014年、アジア全域で母性保護キャンペーンを開始した。インダストリオール加盟組織はフィリピンで、ILO第183号条約をベンチマークとして120日間の出産休暇を目指した。初期段階では、リサ・ホンティベロス現上院議員がインダストリオール・フィリピンの支援を受けて出産休暇120日の実現に取り組んだ。2016年の上院議員就任後、ホンティベロスの優先的法案の1つは120日の拡大出産休暇で、この法案は2017年3月に上院を通過した。

 インダストリオール・フィリピン女性委員会はキャンペーンの先頭に立ち、上下両院でロビー活動を行い、母性保護に関するインダストリオールの出版物を議員に提供し、フィリピン大統領に書簡を送り、メディアに説明し、他の労働・女性団体と協力してきた。

 このキャンペーンでは調査が重要な役割を果たし、フィリピンの母性保健・出産死亡率・関連統計、現行の出産休暇法と国際基準、持続可能な開発目標に基づくフィリピンの国際公約に関する情報を収集した。いくつかの東南アジア諸国(カンボジア、インドネシア、ミャンマー、フィリピン)の出産手当の比較分析を提供するインダストリオールの調査も、上下両院の議員に配布された資料に盛り込まれ、重要な役割を果たした。

 この法案は105日間の有給出産休暇に加えて、下記も定めている。

  • 既婚か未婚かにかかわらず、すべての女性労働者への上記給付の支給
  • 出産手当を理由とする女性に対する雇用差別の禁止
  • 違反企業に対する罰金と営業許可の非更新
  • 片親の有給出産休暇の15日増加
  • 105日のうち最大7日を女性労働者が指定した代わりの介護者に移転する選択肢
  • 民間部門の従業員は105日間にわたって賃金全額を受給しなければならないという主張の繰り返し――使用者に対し、従業員の賃金全額とフィリピンの社会保障制度が現在提供している金額との差額の支払いを義務づける条項

 この法案は、流産したり医学的に認められる妊娠中絶手術を受けたりした女性労働者にも、60日間の有給休暇を与えている。

 「有給出産休暇の延長によって、フィリピンでは女性労働者の権利が擁護される。フィリピン女性委員会と議員、その補助スタッフ、女性の擁護者、労働・女性団体、その他のすべての人たちが、この実現に関与したことを私は賞賛する。団結の勝利だ」とエバ・アルコス・インダストリオール執行委員は言う。