中間政策会議、公正な未来の戦略目標を設定
2023-06-29
2023年6月29日:6月20-22日のインダストリオール中間政策会議に64カ国・179組合から600人の代表が集まり、拡大する不平等格差を埋めるための基礎的要素を示すカラフルな背景が、現在および将来の課題と戦略的優先事項に関する議論の舞台を彩った。
「人権・労働組合権を擁護し、グローバル資本に対抗し、公正な生態学的・社会的転換による人道的な経済を確保したければ、労働組合の権力資源を――特に組織化によって――拡大しなければならない。私たちが取り組むすべての話題、実施するすべての活動が、組織力の強化につながらなければならない。逃げ道はない」とイェルク・ホフマン・インダストリオール会長は開会の辞で述べた。
元スウェーデン首相で元IFメタル会長・インダストリオール執行委員のステファン・ロベーン氏が挨拶で次のように語った。
「民主主義に空きスペースはない。他者への思いやり、尊重、共有、信頼、コミュニティーが必要だ。私たちがいるから私がいる。重要なのは、皆さんが他者の生活に変化をもたらしていることだ」
参加者は4つの分科会セッションに分かれ、世界の不平等拡大への取り組み、組織化による組合の力の構築、企業とブランドに対する戦略、そして最後に公正な移行を通した未来の形成について話を聞き、戦略を立てる機会を得た。
分科会セッション1は、世界の不平等拡大への取り組みを中心に行われた。このセッションでは、戦略の合理化、多国籍企業とサプライチェーンのマッピング、デジタル技術の活用、グローバルな生活賃金を求める闘いについて議論した。参加者は、不平等に取り組むには組織化と団体交渉の権利が不可欠であることに合意し、富の公平な分配を確保するためにグローバルノースがグローバルな連帯を示すべきだと述べた。
分科会セッション2では、組織化による組合の力の構築が主要目的だった。下請けや不安定雇用、絶えず拡大するサプライチェーンは、組織化にとって共通の脅威である。若年労働者と女性労働者の組織化は、このセッションで議題の最初の項目だった。加盟組織は、組合間の建設的協力、特に北から南への支援が増えるだろうと述べた。代議員は、厳しい法律と国際的手段、インダストリオールの役割が組織化の強固な基盤だと判断した。
多国籍企業に説明責任を負わせることが、分科会セッション3のテーマだった。多国籍企業は説明責任を逃れるために数多くの戦術に訴えることが多く、組合つぶしや社名変更、移転、脱税をしている。これらの策略はすべて、日々、労働者に損害を与えている。すべてのブランドと国について、結社の自由と人権デュー・ディリジェンス法、安全衛生協定を擁護するために、明確な戦略的キャンペーンを策定しなければならない、とこのグループは述べた。
分科会セッション4では、公正な移行を通した未来の形成をめぐって、加盟組織が刺激的な発想を発表した。社会的対話と団体交渉は公正な移行の中核を成す、と代議員は判断した。加盟組織は、組合は公正な移行に関する対話を主導し、政府に圧力をかけて支援を求めなければならないと主張した。このセッションは、組合ネットワーク強化のために南北間の協力を要求した。セッションのもう1つの重要な成果は、すべての人、特に女性労働者のためのディーセント・ワーク機会だった。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は述べた。
「この中間政策会議のおかげで加盟組織の状況がよく分かった。多くの示唆に富む討議が行われた。これによって私たちは政治的にも組織的にも前進するだろう。決定されたプランを実施し、労働者の生活を改善するために、一丸となって取り組む必要がある」
船舶解撤産業、香港条約による転換の準備
2023-06-28
2023年6月28日:船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(香港条約)は、2023年6月26日にバングラデシュとリベリアが締約国になったため、2025年6月に発効する。
インダストリオールと加盟組織は何年も、世界で最も危険な仕事である船舶解撤の浄化キャンペーンを展開してきた。キャンペーンの中核は、国際海事機構の香港条約の批准を強く要求することである。
「船舶解撤産業関連の死亡事故の報告は、私たちにとってよくありがちなことになっている。ついに、船舶解撤労働者・組合が国際条約を獲得した。この条約は最低基準を定めており、安全で持続可能な未来のための平等な競争条件づくりへの第一歩となる。これは国際連帯の結果、労働者が獲得した具体的な勝利だ」と松﨑寛インダストリオール書記次長は述べた。
「さまざまな国々において、特に南アジアの船舶解撤浄化キャンペーンによるインダストリオールの継続的な努力は、大きな成功をもたらしている。船舶解撤労組は、現場で条約を実施するために政府・使用者との社会的対話を進展させる準備を整えている」とビジャーダール・ラネーASSRGWA書記長が述べた。同書記長はインダストリオール造船・船舶解撤部門の副議長を兼任し、インドのインダストリオール加盟組織SMEFIに所属している。
全体として香港条約は、持続可能で責任ある船舶リサイクル慣行を促進するのに重要な役割を果たす。この条約は、労働安全衛生問題と環境問題への取り組みによって、労働者の幸福を守り、海洋環境を保護し、船舶リサイクル産業の国際基準を確立することを目指している。
香港条約の発効には、世界の商船船腹量の40%、最大年間解体船腹量の合計が商船船腹量の3%以上を占める、少なくとも15カ国による批准が必要とされる。最大規模の旗国であるリベリアと最大規模の船舶リサイクル国であるバングラデシュの批准によって、その目標の達成が可能となった。
この条件が満たされた今、香港条約は24カ月以内に批准国に対して効力を生じ、各国は条約の条項に拘束される。
「すべての海洋国家には安全・健康・清潔で持続可能な雇用を提供する責任があり、労働者にはそのような雇用を期待する権利がある。これは非常に大きな勝利だが、私たちの活動はまだ終わっておらず、より多くの国々による批准を求めてキャンペーンを続けなければならない。そして労働組合は、香港条約の条項の促進と実施において重要な役割を果たす」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は述べた。
インダストリオール・グローバルユニオンとUNIグローバルユニオン、バングラデシュの労組指導者殺害で正義を要求
2023-06-28
2023年6月28日:インダストリオール・グローバルユニオンとUNIグローバルユニオンは、6月25日にバングラデシュのガジプールで労働組合指導者シャヒドゥル・イスラム・シャヒードが殺害されたことを最も強い言葉で非難した。
シャヒドゥル・イスラム・シャヒードは、インダストリオールに加盟するバングラデシュ衣料・製造労働者連盟(BGIWF)のガジプール支部長であった。
シャヒドゥル・イスラム・シャヒードは、日曜日の夜にガジプール地域で殺害された。同僚によると、犯人の地元民たちは、シャヒードがプリンス・ジャカード・セーター・リミテッド社の労働者への賃金支払いに賛成の発言をしたことを理由に彼を襲撃した。この襲撃で、さらに3人の労働組合幹部が負傷。その3人はMd・モスタファ・カマル、アーメド・シャリフ、アッカス・アリである。
地元の関係筋によると、プリンス・ジャカード・セーター・リミテッドの労働者は2カ月分の未払給料とイードボーナスを受給できていないため、ここ数日、不満を募らせている。シャヒドゥル・イスラム・シャヒードは労働者を代表して、この問題をめぐり同社のオーナーと協議した。労働者は日曜日に未払いの給与とボーナスを支給されることになっていた。しかし労働者は日曜日に一日中待たされたが、何も支払われなかった。
シャヒドゥル・イスラム・シャヒードと他の3人は午後7時ごろに工場を出て、メインゲートの前に立っていた。突然、10〜12人の犯人が彼らに襲いかかった。地元の人たちが彼らを救助し、ガジプールの病院に運んだが、当番医師はシャヒドゥル・イスラム・シャヒードの死を宣告した。負傷した3人の組合指導者も同じ病院で治療を受けた。
私たちは、ガジプール県庁舎前で人間の鎖と抗議行動を組織しているインダストリオール・バングラデシュ協議会と力を合わせ、この殺害と労働組合指導者に対する攻撃について正義を要求した。この凶悪な襲撃の責任者に法律の及ぶ限り責任を負わせ、起訴すべきである。
バングラデシュでは結社の自由への侵害が続いている。政府は、労働組合と組合代表が脅迫や暴力を受けずに、選ばれた労働者代表としての役割を果たせるようにしなければならない。
残念ながら、この殺害でバングラデシュの組織労働者の状況を改めて痛感させられる。人々が憲法で保障されている団結権を行使したために殺害されているとき、政府・使用者は最も無力で最も危険な状態にある。この犯罪を捜査し、犯人を裁判にかけて罰を受けさせることは、バングラデシュ政府の責任である。
グローバル青年会議、包括的な組合機構を要求
2023-06-21
2023年6月21日:インダストリオールのグローバル青年会議の代議員は、将来若い労働組合員の発言権を確保する包括的な組合機構を要求した。
アフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパおよび中東の若い労働組合員40人が、6月19日にケープタウンで会合を開き、全レベルで青年機構が必要だと強調した。青年を意思決定機関に参加させる必要があり、すべてのインダストリオール委員会に統合すべきである。
青年は、組織化によってより強力な組合を構築し、雇用形態、性的指向、ジェンダーアイデンティティーに関係なく、すべての人を包摂するために尽力している。いかなる人も、ジェンダーや人種、社会的地位を理由に差別されてはならない。
気候変動の被害の地域的な不公平等を正すための行動や公正な移行のための提言に、若年労働者を関与させなければならない。若年労働者世代は、基本的な生活ニーズをめぐる社会的対立を招きかねない干ばつや洪水、ハリケーンといった異常気象の増加に直面することになるため、深刻な影響を受けるだろう。若手指導者は組合に、持続可能な産業政策を支持し、青年のために良質な雇用を創出してほしいと考えている。
若年労働者が直面する課題に照らして、代議員は組合の変革のための勧告を採択し、ケープタウンで同時開催されているインダストリオール執行委員会に伝えた。
インダストリオールが採択する青年方針案について討議した。この案は4つの優先分野を含んでいる。
- 世界・地域青年機構の創出による若者参画の拡大
- インダストリオール活動への若者参加の促進と青年割当人数の設定
- 技能向上プログラムの提供による青年の権利拡大
- 組合の日常的な議題に青年問題を統合するための戦略策定
青年会議は、地域・世界青年機構案を策定し、青年方針案にさらに取り組むために、作業部会を設置した。この作業部会は、各地域から選ばれた2人の青年代表(男女各1名)で構成される。
「私たちはインダストリオールの機構に完全に取り入れられ、意思決定プロセスに参加する必要がある。各地域で活動を実施して若年労働者問題を解決するために、適切な予算が必要だ」とジェフリー・アケディ・インダストリオール・サハラ以南アフリカ青年委員会議長が述べた。
「構造的変化には長い時間がかかる。今度は地域執行委員会の支援を求め、グローバル執行委員会でこの問題を提起する権利を与えることが重要だ」とクリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長は述べた。
インダストリオール執行委員会、平和と社会的公正を要求
2023-06-20
2023年6月20日:6月19日にケープタウンでインダストリオール執行委員会が開催され、戦争や不平等、貧困、大量飢餓、気候災害、流行病、労働者・労働組合の権利侵害の拡大という世界的危機へのインダストリオール加盟組織の対応が、議題項目として取り上げられた。この会合は6月20-22日に同じくケープタウンで開催される中間政策会議の直前に開かれ、60カ国から200人の代議員が参加した。
執行委員会は、ロシア軍の撤退とウクライナの領土保全の回復、ウクライナの組合のために連帯と社会的公正、平和を求めるキャンペーンを要求した。2022年2月の侵攻開始以降、ウクライナのエネルギー供給の47%以上がロシア軍によって寸断された。ウクライナの組合Atomprofsilkaのレイサ・セメニアカが、ウクライナの労働者と国民の計り知れない苦しみについて執行委員に語った。労働者の権利は、新たに導入された法律によっても削減されており、この法律は欧州労働法とILO第87号条約(結社の自由と団結権の保護)および第98号条約(団結権・団体交渉権)に違反している。
執行委員会は、世界中で労働者・労働組合の権利侵害が頻発していることを強調した。例えば、女性を殺害するタリバン政権、女性労働者の権利と人権を侵害しているアフガニスタン、労働組合員が投獄されているベラルーシである。会合では、キム・ジュンヨン書記長の釈放を求める決議も採択した。この決議は、韓国の政府・警察による労働者の暴力的弾圧と反組合的で企業寄りの行動、ならびにポスコによる組合権侵害を強く非難している。
そしてミャンマーに関して、アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長が次のように述べた。
「私たちは国際レベルで全労働者の強力な代弁機関になる必要があり、現在、すべてのブランドに圧力をかけて責任ある撤退計画を要求している。プリマーク、ユニクロ、インディテックスのような大手ブランドから前向きなシグナルが届いている。H&Mのように、まだミャンマーで十分なデュー・ディリジェンスを実施できると考えており、残留を主張している企業もある。その逆を示す証拠のほうが多く、弁解の余地はない」
また、モロッコの組合FNTE/UMTのアブデルマジド・マトウアルは執行委員会にて、同国では現在、政府と組合の関係が不安定だと話した。社会的対話が存在せず、政府は組合との協定をまだ実施していない。
バングラデシュ協定が同国の繊維・衣料部門でより安全な労働環境の達成に成功したことについて、バングラデシュの組合BGIWFのカルポナ・アクテルが、労働者の利益を確保するために法的拘束力のある協定が必要だと強調した。バングラデシュ協定は現在、パキスタンに拡大されている。
ボスニアHIN BIHのイルバナ・スマイロビッチが、6月18日に開催された女性委員会から報告し、フェミニズムはどのように組合を変えることができるか問いかけ、ジェンダーに基づく暴力とハラスメント、女性蔑視および性差別に関する強力な方針の必要性を強調した。
「アフリカは極めて重要であり、社会的不平等とグローバル資本主義の影響によって破壊されるがままにしてはならない。この大陸は、持続可能な産業・貿易政策とディーセントな雇用による、尊厳のある形の開発を必要としている」とイェルク・ホフマン・インダストリオール会長が開会の辞で述べた。会長は南アフリカの加盟組織NUM、NUMSA、SACTWUおよびUASAの支援に感謝した。
そのほか、インダストリオールがILO総会に参加し、国際基準・勧告の適用に関する専門家委員会に声明を提出するとともに、公正な移行をめぐって議論したことが取り上げられた。会合は、2025年の次期インダストリオール大会まで、今後の執行委員会に青年をオブザーバーとして参加させることに合意した。さらに、最近設立されたグローバル多国籍企業政策委員会が、サプライチェーンのデュー・ディリジェンスの問題に対処する予定であり、これは現在のグローバル枠組み協定を補う。執行委員会は、インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合の協力強化も決議した。
インダストリオール女性委員会、中間政策会議に向けてジェンダー視点を育成
2023-06-19
2023年6月19日:インダストリオールのグローバル女性委員会で、不平等の拡大へのジェンダーに対応したアプローチ、多国籍企業における戦略、強力な組合の構築、公正な移行、そしてフェミニズムはどのように労働組合を変革できるかという主題が取り上げられた。
6月18日に南アフリカ共和国ケープタウンで開かれた女性委員会に、世界中から100人を超える女性が参加した。この会合は、インダストリオールの中間政策会議に至る丸1週間の一連の会合の口火を切った。
「私たちには、ここで果たすべき重要な任務がある。私たちはジェンダー平等を求めて闘っており、支持してくれる強力な同志がいることを誇りに思う。前進したければ知識を増やす必要があり、ここでそれに取り組んでいる」とハシュメヤ・アルサーダウィ・インダストリオール副会長が述べた。
クリスティン・オリビエ書記次長が次のように述べた。
「フェミニズムは違う観点から見られており、男性を屈服させたがっている女性とみなされているが、この説を変えなければならない。私たちがここにいるのは、男性を屈服させるためではなく、どうやって女性を強力な組合の構築に参加させるか、どうやってすべての部門と企業で女性のニーズに注意が払われるようにするかを判断するためであり、女性が公正な移行プロセスに含まれるようにするためだ」
フェミニズムはどのように労働組合を変えることができるかに関するセッションでは、ローズ・オマモ・インダストリオール副会長が司会を務めた。
「フェミニズムと言えば、私たち女性が男性の後を引き継ぎたがっていると思われているが、そうではない。フェミニズムは、支配や不平等と闘うことを意味する言葉だ」とローズ・オマモは述べた。
この会合で女性たちはフェミニズムに関する経験を共有した。共通点は労働組合と指導的地位における女性の存在感の薄さであり、ジェンダー平等は継続的な闘いだということだった。多くの女性が、指導力がないとみなされることが多いという経験を共有した。フェミニスト組織を達成するために、全員が一丸となって取り組まなければならない。
ガーナのジェンダー・労働専門家アクカ・O・ブリトウム教授が、フェミニズムはどのように労働組合を変えることができるかについてプレゼンテーションを行った。
「フェミニズムは労働組合で民主主義の構築に役立つ可能性がある。つまり、組合の正当性・妥当性を確保する。家父長制と有害な男らしさを解体するために、男性が中心となって議論に参加する必要がある」
スペインELAのイラティ・バニュエロスが、所属組合がフェミニスト組合になるために取り組んでいる経験を共有した。
「私の組合で活動している女性たちは、フェミニスト組織で活動することを望んでいた。私たちは2017年に参加方式の診断活動を主導し、当組合が社会に存在する女性差別を再生産していることに気づいた。もちろん、男性からの抵抗があり、これは長く困難ではあるが、興味深いプロセスだ。活動方法を変える必要のあることが分かった。女性の勧誘と団体交渉を改善する必要がある」とイラティ・バニュエロスは述べた。
アルメル・セビー・ジェンダー/ホワイトカラー労働者担当部長が次のように述べた。
「中間会議にジェンダー視点を加えるようにする必要がある。労働組合は、仕事の世界における不平等の拡大と継続的な転換が男女に及ぼす異なる影響を把握するためにデータを収集し、ジェンダーに配慮した戦略を策定する必要がある。インフォーマル経済の女性に社会的保護を広げる必要がある。人権デュー・ディリジェンスへのジェンダー・トランスフォーマティブ・アプローチを促進して差別的な社会規範を変革し、企業に説明責任を負わせるようにする必要がある。公正な移行計画が機会均等を可能にし、男女が将来の雇用にアクセスできるようにする必要がある」
ミャンマーの衣料工場で国軍がスト制圧
2023-06-16
【JCM記事要約】
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2023年6月16日:スペイン系ファッション大手のザラ向けに生産している工場で、国軍がスト中の労働者を弾圧・逮捕したことは、またしても、ミャンマーでは結社の自由が不可能であることを白日のもとにさらしている。
6月上旬に、ヤンゴンの和昇ミャンマー衣料工場の労働者7人が、1.68米ドルから1.96米ドルへの賃上げを要求したために解雇された。世界有数のブランドであるザラ向けに生産している同工場で600人の労働者がストを決行したが、使用者が労働者を脅そうと軍隊を引き入れたため、突然中止に追い込まれた。
昨日6月14日、賃上げ要求を主導した7人の労働者、Ma Aye Thandar HTay、MA Thandar Htay、Ma May Thu Min、Ko Aung Aung、Ko Ye Naing、Ko Ye Thwe Hlaingが解雇され、女性指導者のMa Thu Thu Sanが逮捕された。Ma Thu Thu Sanとは逮捕以降連絡が取れておらず、その安否が心配されている。
軍事クーデター以降の2年間で300人を超える組合員と活動家が逮捕された。ミャンマーの軍事政権は、ほとんどすべての組合を禁止し、結社の自由の基本的権利を実質的に一掃した。
しかし軍事政権は、そのイメージを打ち消すために、いくつかの労働者団体を組合として登録しており、このプロセスはEUのMADE in Myanmarプロジェクトによって支援されている。
EUと欧州系衣料ブランドの出資によるこのプロジェクトは、衣料産業で工場レベルの社会的対話を確立すると主張しているが、 ミャンマーの独立労働組合と労働者団体に粉飾と非難されている。
「軍がストに関与し、労働者が逮捕されている状況はまたしても、ミャンマーでは結社の自由が不可能であることを示している。EUは躊躇なくMADE in Myanmarプロジェクトに終止符を打たなければならない。このプロジェクトはミャンマーの正当性がない政府の合法化を助長するだけだ」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
「解雇された労働者を直ちに復職させなければならず、使用者や警察、軍隊による脅威や攻撃にさらしてはならない。Ma Thu Thu Sanを直ちに無事に帰宅させなければならない」
グローバル・ユニオン、ミャンマー国民統一政府の代表と会談
2023-06-16
【JCM記事要約】
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2023年6月16日:インダストリオール・グローバルユニオン、ITUCおよびBWIは6月14日、ミャンマー国民統一政府(NUG)人権省のミョー・ミン大臣と会談し、同国における民主主義の回復を目指す闘争を支援し続けると誓った。NUGは民主的に選ばれた政府だが、2021年2月の軍事クーデターで転覆された。
アウン・ミョー・ミン大臣は、グローバル・ユニオンがNUGの承認ならびに軍事政権に対する経済制裁の強化を要求するために、世界の労働組合運動を結集しようと努力していることを称賛した。
軍は次第に支配力を失っており、領土の52%はもはや軍の支配下になく、強靭な市民的不服従運動が軍事政権に抵抗している、と大臣は述べた。
軍はロヒンギャの大量虐殺という罪を犯している。政権は現在、民衆を殺戮しており、国民を敵とみなしている。国軍は領土を失っているが、制空権を持っており、これを利用して一般市民に対する空襲を実施している。
軍に利益を与える財源を完全に断ち、不可欠な必需品とサービス(特に航空燃料とSWIFT決済ネットワーク)へのアクセスを与えないようにすることが最も重要である。軍は受け取った外貨を使って武器や弾薬を購入している。
「インダストリオールは他のグローバル・ユニオンとともに、民主主義運動への支持を改めて表明した」とケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。
「軍事政権が権力を掌握してから2年になる。私たちは、正当性がない政府を孤立させるために包括的経済制裁が緊急に必要とされていることを力説し続けている」
ベラルーシの労働組合員、獄中の組合指導者に対するすべての告訴の取り下げを要求
2023-06-16
【JCM記事要約】
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2023年6月16日:今日、ジュネーブの第111回国際労働総会(ILO総会)に出席しているグローバル・ユニオン、労働組合活動家および代議員が「壊れた椅子」に集まり、投獄されたベラルーシの労働組合員の即時釈放と労働者の権利の弾圧中止を求めた。
デモに加わった代議員は、獄中の指導者に対するすべての告訴を取り下げ、国際組織がベラルーシを訪問できるようにすることを要求した。
ベラルーシ民主労働組合会議(BKDP)のマクシム・パズニアコウ会長代理がこう述べた。
「ここに集まってベラルーシの同僚を支援してくれたことに感謝する。皆さんの支援は獄中の労働者たちにとって極めて重要だ。外部からの支援があること、自分が1人ではないことが分かる。第33条の採択が当局に圧力をかけて労働者の権利を尊重させ、同僚の釈放と国内の独立労働組合運動の回復に役立つことを願っている」
ILO総会は今週、ILO憲章第33条に基づいて決議を採択し、ベラルーシによる労働者の権利の継続的な無視と無数の労働組合員の逮捕に異議を申し立てた。第33条は、ILO調査委員会報告の不遵守に取り組んでいる。この委員会は、ILO第87号条約および第98号条約の違反に関して2003年に設置された。この決議採択は、ベラルーシにその調査の勧告を実施させるために、加盟国が可能な限りの措置を講じることを意味する。これは制裁を伴う可能性があるが、政権に迫害されている人たちと国際的な労働者の権利を求める彼らの闘いも支援するだろう。
100年を超えるILOの歴史で、政府、使用者および労働組合を代表するILO総会の代議員が、結社の自由の侵害を阻止するためにそのような処置を取ったのは、今回が初めてである。これまで、この手続きが利用されたのは1回――2000年に強制労働の利用をめぐってミャンマーに対して発動されたときだけだった。
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は次のように述べた。
「私たちは独裁者と闘っており、ベラルーシの労働者と団結している。政治的な人質が解放されるまであきらめない。これは民主主義のための闘いであり、労働者の基本的権利のための闘いだ。第33条に関するILO総会決定によって、一歩大きく前進する。ベラルーシのために公正を勝ち取るまで取り組み続ける。闘いは続いており、私たちは勝利を収める」
韓国金属労組、反組合的な政府に抵抗
2023-06-12
【JCM記事要約】
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2023年6月12日:5月31日、韓国金属労組(KMWU)の組合員5万人以上がストに入り、政府に組合弾圧の中止とユン・ソンニョル大統領の退任を求めた。
1月以降、韓国政府は労働組合にする本格的な攻撃を開始しており、労働争議への警察の暴力的介入が増えている。警察は集会を強制的に解散させて参加者を逮捕し、デモを行う民主的権利を押さえつけようとしている。
KMWUとそのナショナルセンター韓国民主労総(KCTU)は、ムン・ジェイン前韓国大統領によるILO第87号条約および第98号条約批准後の労働法改革の妨害に抗議している。両組合は、ストライキ行動の犯罪化に関する条項と不安定雇用を可能にしている条項の修正を要求している。
労働省安養事務所が5月26日にいくつかの工場を訪れ、もしストを決行すれば刑事責任を問われると労働組合員を脅したにもかかわらず、5月31日、KMWUは12の都市と行政区でデモを実施した。
ソウルでは、KMWU組合員が警察庁前でデモをしたあと光化門まで行進し、龍山区とソウル労働事務所から建設労働者が行進する中、部門横断的なKCTU全国闘争に加わった。ソウルでは約1万3500人の労働組合員が、「労働法の逆行的改訂と組合弾圧を打破! 打倒ユン・ソンニョル政権!」というスローガンを叫んだ。
警告ストと連帯して、世界中のインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織が連帯行動を起こした。5月30日、インダストリオール、マレーシアのBWI加盟組織およびNGOから成るマレーシア労働法改革連合(LLRC)が、クアラルンプールの韓国大使館に抗議文を提出し、韓国政府に組合攻撃の即時中止を要求した。
カンボジア労働者運動協同組合(CUMW)のパブ・シナ会長は、連帯書簡で次のように述べている。
「CUMWは、政府による組合への不当な介入、組合に対する国家の強制力の乱用(警察・検察の利用、国家安全保障の発動による組合攻撃)、組合ならびに国家からの組合の独立を損なうための逆行的な法改正の推進を、最も強い言葉で非難します」
UAWの連帯書簡は、デンソー所有のKWB工場が暴力的な強制捜査を受け、ユン・チャンヒョクKMWU委員長、ソン・ドクホンKMWU自動車担当副会長、KMWU蔚山支部長を含む大勢の労働組合員が、尋問のために警察に呼び出されたことに触れていた。
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長はこう述べた。
「組合活動は権利であって犯罪ではない。韓国政府に対し、労働組合幹部・組合員の犯罪者扱いをやめ、安定した環境を確保して労働者が基本的権利を享受できるようにすることを要請する。私たちは権利を求める正当な闘いにおいて韓国の同僚と連帯する」
韓国の労働組合員に対する激しい攻撃を中止せよ
2023-06-08
【JCM記事要約】
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2023年6月8日:韓国金属労組連盟(FKMTU)の労働組合員2人が、警察による激しい攻撃を受けて負傷した。
5月31日、キム・マンジェFKMTU委員長が、光陽のポスコ製鋼所で働いているFKMTU組合員の座り込み抗議を訪問中に手荒な扱いを受けた。6人の私服警官がキムを地面に押さえ付け、首に膝を乗せて手錠をかけたのである。
翌日、キム・ジュンヨンFKMTU書記長が、地上7メートルの仮設の足場に乗って座り込み抗議に加わった。夜明けに、4人の警官がクレーン車でキム・ジュンヨンに接近し、長い棒で叩いて足場から落とした。キムは額と頭に重傷を負い、膝を骨折し、全身あざだらけになった。彼は警察に拘留された。
韓国労組連盟(FKTU)は、2人のFKMTU指導者に対する過剰な武力行使で警察を非難し、警察庁長官の即時辞任を要求した。
「この流血の事態は韓国の国際的なイメージを傷つけるものだ。韓国政府が労働者の表現の自由を尊重し、韓国の労働組合に対する激しい攻撃をやめるよう要求する。インダストリオールはFKMTUと連帯している」と岩井伸哉インダストリオール・グローバルユニオン東南アジア地域事務所所長は述べた。
共闘によってアジア太平洋でより強力な組合を構築
2023-06-07
2023年6月7日:インダストリオール・グローバルユニオン・アジア太平洋執行委員会は、地域の加盟組織に対し、集団的努力によってより強力な組合を構築するよう勧めた。
5月23日のオンラインミーティングで、髙倉明インダストリオール・アジア太平洋執行委員会共同議長は、組合つぶし、団体交渉権の侵害、退行的な労働法改革、労働組合員の起訴に対して、組合は毅然たる態度を取らなければならないと強調した。
「労働組合は奮闘している他の組合との連帯を示さなければならない。私たちは、ミャンマーとウクライナにおける民主主義のための闘い、インドネシアのオムニバス法とスリランカの経済危機との闘いを引き続き支援していく」
ミャンマー労働組合総連合(CTUM)のマウン・マウン会長が執行委員会に出席し、組合に対する弾圧が続いていると述べた。マウン・マウンは軍事政権によって非市民と宣言され、パスポートを無効にされ、逮捕状が出ている。軍による爆撃にもかかわらず、まだ全国でストとデモが続いている。
マウン・マウン会長は、国際連帯が効果を上げており、国連やILOのような国際フォーラムで軍に圧力をかけていると語った。アジア太平洋の労働組合員は自国政府に、軍事政権の支持母体は脆弱であり、各国政府が政権への支援を拒否すれば、ミャンマーの国民と労働者は勝利を収めることを伝えるべきである。CTUMは、独裁との闘いにおいてウクライナと協調すると誓っている。
執行委員はスリランカの経済危機について議論した。インフレ率が97%に達し、使用者は労働者に週4日、1日12時間の労働を求め、女性に夜間労働を求めている。インダストリオール加盟組織は全国労働諮問評議会から締め出されている。
インドにおける2つの明るい進展が労働組合員に意欲を起こさせている。何度かの全国的ストの結果、労働大臣が退行的な労働法改革について労働組合の意見を聞くようになった。インド全国鉱山労連の報告では、採掘現場での共闘によって大幅な賃上げを達成した。先ごろ、組合と使用者が和解による解決に至った。
「世界は緊迫した状況にあり、労働者の権利が攻撃を受けている。労働組合は、手を結んで民主的統治を取り戻し、退行的な労働法改革と労働条件の悪化(工場の労働時間延長や採掘現場の危険な慣行など)を食い止めなければならない」とケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は述べた。
欧州のデュー・ディリジェンス法は正しい方向への一歩だが、EUは方法の改善が必要
2023-06-02
2023年6月2日:欧州議会は6月1日、人権・環境デュー・ディリジェンスに関する将来のEU指令についての見解を採択した。乗り気でない欧州委員会案と心配になるほど説得力のない欧州理事会の委任事項を受けて、欧州議会議員が真の企業の説明責任に向けて歴史的な偉業を成し遂げるという期待が高まっていた。最終的に先進的な取り組みが勝利を収めたが、重大な抜け穴がまだ塞がれていない。
企業の持続可能性デュー・ディリジェンス指令案に関する議会報告の採決は、利益よりも人と地球を優先し、すべての企業に説明責任を負わせるうえで重要な一歩である。
企業が環境を搾取し、自社とサプライヤーの労働者の基本的権利を犠牲にして世界中で利益を得ることができた時代は、間もなく終わる。
しかし、このプロセスはまだ終わっておらず、反対勢力は依然として活動的である。EU指令に反対するロビー活動は極めて活発で、最終的な欧州議会の採決で以下のようないくつかの勝利を達成した。国民と地球の利益のためにも行動する企業取締役の義務に言及がなくなったこと、加盟国がEUの最低限のルール以上のことをする自由裁量の余地を残さないこと、被害者の立証責任を免除しないこと、金融部門の完全包含はしないこと、である。
欧州議会が立場を選んだ今、2023年末までに予想されるEU指令の最終採択に向けて、理事会および欧州委員会との3者交渉を始めることができる。
インダストリオール・ヨーロッパ労働組合、インダストリオール・グローバルユニオンおよび100カ国以上の加盟組合はEUの交渉者に対し、残りの抜け穴を塞ぎ、自分たちが代表する5,000万人の産業労働者が要求している、初めての拘束力を有する多国籍デュー・ディリジェンス規則を採択するよう強く促している。
EU内外でのビジネスの実施は責任を持ってビジネスを行うことを意味しなければならず、企業は自社の行動に責任を取らなければならない。
インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のジュディス・カートン=ダーリング書記次長は言う。
「今回の投票は正しい方向への第一歩だが、欧州連合は労働者のために職務を遂行し、すべての企業に責任を負わせなければならない。労働者は適切な労働条件を享受し、自らの権利を尊重されてしかるべきだ! 欧州企業はサプライチェーンを見て見ぬふりをすることはできない。利益よりも人が優先!」
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。
「これはグローバル・サプライチェーンで人権を保護する企業責任と説明責任に向けた大きな一歩だ。EUは労働者の尊重、保護および権利拡大で先導的な役割を担わなければならず、この過程で闘いが続いている。次の措置は拘束力のある国連条約についても同じ立場を取ることだ」
グローバル枠組み協定
2023-06-01
2023年6月1日:グローバル枠組み協定(GFA)は、多国籍企業の事業全体で労働者の利益を保護するのに役立つ。
GFAは労働組合と多国籍企業がグローバル・レベルで取り決める。基準が定められていない国も含めて、企業のグローバル事業全体で最高水準の労働組合権、安全衛生・環境活動、労働原則の質を導入する。
多国籍企業はGFAへの署名によって、労働者の基本的権利、特に団結権・団体交渉権を保護し尊重するとともに、生産設備とサプライチェーンで自社の事業が人権に与える影響に関するデュー・ディリジェンスを行使する責任を負う。GFAは主に、特にサプライチェーンで問題を解決するために用いられる。例えば組織化をめぐって紛争が発生した場合、GFAは救済策の提供に役立つ。
GFA締結企業とそのサプライチェーンにおける労働組合権の侵害は、問題のGFAとその実施メカニズムを引き合いに出して当該企業に直接提起するか、企業の本国の組合かインダストリオールを通じて提起することができる。
現行協定
インダストリオールは以下の多国籍企業とGFAを締結している。各社をクリックすれば、詳しい情報と協定原文を見ることができる。
インダストリオールは多国籍企業と、各社の事業全体に及ぶ特定の主要テーマに関するグローバル協定も結んでいる。例えば、アルセロール・ミッタルとのグローバル安全衛生協定、ユニリーバとのセクシャルハラスメントに関するグローバル協定である。
グローバル枠組み協定のチェックリスト
IndustriALL Global Union’s Checklist for the Secretariat for Implementation and Monitoring of GFAs
グローバル枠組み協定ガイドライン
IndustriALL GFA Guidelines – English
IndustriALL GFA Guidelines – French
IndustriALL GFA Guidelines – Spanish
IndustriALL GFA Guidelines – German
IndustriALL GFA Guidelines – Russian
IndustriALL GFA Guidelines – Japanese
国際機構によって救済を求める方法の詳細
More on how to seek remedy through international mechanisms
スリランカで労働組合権に対する攻撃
2023-05-31
【JCM記事要約】
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2023年5月31日:スリランカ政府は、またもや労働組合の力を弱めようと画策し、再設立された全国労働諮問評議会(NLAC)から、インダストリオール加盟組織を含む4つの労働組合を独断的に排除した。
商業・産業労組-統一労連(CIWU-UFL)、セイロン商業・産業・一般労組(CMU)、自由貿易地域・一般サービス従業員組合(FTZ&GSEU)(いずれもインダストリオール加盟組織)は、NLACから除外された4組合に入っている。
ちょうど今、スリランカ政府は現行労働法の改革を提案している。組合側の主張によれば、これは特に民間部門で独立組合を脇に追いやろうとする試みである。自由貿易地域と輸出品製造業の労働者代表をNLACから締め出せば、使用者は自分たちの利益になるように労働法改革を交渉しやすくなる。
NLACは労働関連問題について議論する政労使メカニズムである。スリランカで経済的・政治的混乱が始まってから、組合は、政府がNLAC会合を招集して労働者の状況について議論するよう要求しているが、政権側は組合の関与に興味を示していない。それどころか、政府は投資家寄りの労働法改革を提案しており、これは労働者に悪影響を与えると組合側は主張している。
マスコミの報道は、スリランカ政府が「NLAC再設立は労働組合側メンバーの参加に基づいている」と述べたことを強調している。
アントン・マークスFTZ&GSEU共同書記は言う。
「これはILO基本条約違反だ。当組合は人権委員会に申し立てを行い、NLAC再設立プロセスにおける政府の独断的かつでたらめな代表選定に介入するよう要請した。労働組合は、この関連でILOにも共同書簡を提出する」
CMUは1994年から、UFLは1995年から、FTZ&GSEUは2009年からNLACに加わっている。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
「インダストリオールは、NLACで代表される民間部門労働者の基本的権利を侵害するスリランカ政府の行動を非難する。スリランカ政府に対し、加盟組織を含む除外された組合をNLACに参加させるよう求める」
国際機構によって救済を求める方法
2023-05-31
2023年5月31日:労働者の権利侵害に対して公正と救済を求めるための国際的手段がいくつか存在する。利用できる手段の簡潔なガイドを示す。労働紛争のさまざまな段階で、企業や政府に対する圧力を強めるために利用可能な手段を以下に紹介する。
ILO出版物『労働組合行動への国際文書の戦略的利用の促進』は、社会的対話、団体交渉および責任ある企業行動を強化するための各種国際文書について貴重な情報を提供している。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
「このような手段がある。国際的手段の利用は時間のかかるプロセスになる場合があるが、苦情申し立ての事実は国内レベルで一種の圧力として利用できる。さらに吟味し、それらの手段が貴組合の役に立つかどうか見極めるよう勧める」
グローバル・サプライチェーンを統治し、弱い立場に置かれた労働者を保護する法律が増えている。最近の一例はドイツのサプライチェーン法で、2023年1月1日から、労働者とその支持者は環境破壊や人権侵害(労働者の権利侵害を含む)に対してドイツ企業をドイツの裁判所で訴えることができるようになる。
「法的な救済へのアクセスを含む義務的デュー・ディリジェンス法が必要だ。グローバル・サプライチェーンを変革するために闘う能力と手段を与えてくれるのは、国際労働運動の顕著な特徴であり、力である集団行動だ。私たちは労働者の権利の向上、組合の力の構築、グローバル資本への対抗、持続可能な産業政策の確保によって、この部門の組合員の生活改善を確保するために、引き続き任務を果たしていく」とアトレ・ホイエは言う。
労働組合のための国際文書
グローバル枠組み協定 |
OECD Guidelines for Multinational Enterprises OECD多国籍企業行動方針 |
ILO |
国際協定 |
国連 |
Labour standards at multilateral development banks 国際開発金融機関における労働基準 |
ILOの役割
2023-05-31
2023年5月31日:国際労働機関(ILO)の使命は、社会的公正は普遍的・永続的平和に必要不可欠であるという創立原則に基づいて、社会的公正と国際的に認知された人権・労働権を促進することである。
第1次世界大戦を終結させたベルサイユ条約の一部として1919年に設立されたILOは、唯一の三者構成国連機関であり、187の加盟国の政府、使用者および労働者代表をまとめている組織である。
国際労働事務局(ILO事務局)は、スイス・ジュネーブの本部と世界約40カ国で、150カ国から約2700人を雇用している。その活動を運営しているのは事務局長と、加盟国、労働者グループおよび使用者グループの代表が加わるILO理事会である。
ディーセント・ワーク・アジェンダ
ILOは使命の一環として、社会的対話と社会的保護、雇用創出、それに国際労働基準の尊重の促進によって、万人のためのディーセント・ワークを達成することも目指している。ILOは、開発パートナーの支援を受けて100カ国以上に技術サポートを提供し、これらの目的を達成できるようにしている。
国際労働基準
ILOは、加盟国が批准する条約と拘束力のない勧告によって国際労働基準を定めている。
条約は、ILOの政府と労働者および使用者グループから情報を得て作成され、毎年ジュネーブで開かれるILO総会で採択される。
加盟国はILO条約の批准にあたって、その条約を法的拘束力のある文書として受け入れる。多くの国々が、国内法を国際基準と調和させるための手段として条約を利用している。
労働における基本的原則および権利に関するILO宣言
1998年採択・2022年修正の同宣言は加盟国に、関連条約を批准しているか否かを問わず、以下の5つのカテゴリーで8つの基本的原則および権利の尊重・促進を義務づけている。
- 結社の自由と団体交渉権(第87号および第98号条約)
- 強制労働の撤廃(第29号および第105号条約)
- 児童労働の撤廃(第138号および第182号条約)
- 雇用および職業に関する差別の撤廃(第100号および第111号条約)
- 安全で健康的な労働環境(第155号および第187号条約)
ILOにおける労働組合
労働者グループ代表は全国労働組合総連合から選ばれるので、労働組合はILOでの政策立案に重要な役割を果たす。事務局の労働者活動局(ACTRAV)は、独立した民主的な労働組合の強化に専念し、組合が労働者の権利・利益をよりよく擁護できるようにしている。
ACTRAVが作成した労働者ガイドは、ILO監督機関が確立した結社の自由に関する原則の概観を提供し、ILOの手続きを利用して結社の自由を確保・促進する最善の方法を理解するのに役立つ。
監督者としてのILOの役割
ILOは加盟国が批准したILO条約の実施を監視する。これは国際労働基準の遵守状況を監視するILO条約勧告適用専門家委員会を通じて行われる。自国が批准済みのILO条約に従わない加盟国に対して、苦情を申し立てることができる。申し立ては政府に対してのみ行うことができ、毎年夏のILO総会で審理される。
監視は条約・勧告の適用に関するILO総会三者委員会を通じても行われる。
加盟国は、自国が批准した条約の実施の進展に関する報告書の提出も義務づけられる。
苦情処理
自国が批准済みのILO条約に従わない加盟国に対して、苦情を申し立てることができる。申し立てを行うことができるのは、同じ条約に署名している別の加盟国、ILO総会の代議員またはILO理事会である。
労働組合は苦情処理手続きとILO総会を利用して、加盟国における労働組合・労働者の権利侵害への注意を喚起している。
ILO多国籍企業および社会政策に関する原則の三者宣言(多国籍企業宣言)の枠内で、ILOは、多国籍企業宣言の原則の適用をめぐる多国籍企業と労働者代表による対話「企業・労組間対話」を支援する手続きを定めている。
詳細はwww.ilo.orgを参照
グローバル・ユニオン、政府・使用者にベラルーシにおける人権・労働組合権侵害の停止への協力を要請
2023-05-30
2023年5月30日:労働組合主義は犯罪ではない! 労働組合主義は過激主義ではない!
ベラルーシでは2022年、過去数十年に及ぶ自由労働組合の弾圧がピークに達し、ベラルーシ民主労働組合会議(BKDP)と加盟組織が解散に追い込まれ、BKDPのヤラシュク会長とアンツセビッチ副会長を含む40人以上の労働組合指導者・活動家が逮捕・拘留されるに至った。
自由労働組合主義に対する弾圧が拡大し、ベラルーシ政権が2004年ILO調査委員会の調査結果の実施を頑ななまでに拒否していることを考慮して、今度の国際労働総会(ILO総会)では、ILO憲章第33条に基づいて行動を起こし、同国政府に圧力をかけて労働組合指導者・活動家の釈放、組合の回復、調査委員会勧告の実施に本気で取り組む意思の表明を求めなければならない。
理事会が勧告した措置は決議案(事務局文書付録VI)で概説されている。私たちは世界中の労働組合に対し、自国の政府・使用者団体に圧力をかけ、ILO機関、加盟国および国際組織(国連を含む)を巻き込んだ包括的措置を支持して、ILO総会で労働者代表側への投票を求めるよう促す。
ILO機関は20年以上にわたって、労働組合の活動と選挙に対する政府の干渉、組合の強制的解散、労働組合指導者の拘留、解雇およびブラックリスト掲載を非難してきた。2004年ILO調査委員会は、ベラルーシの労働組合運動は政府当局から著しい干渉を受けていると結論づけ、ベラルーシ政府に勧告を出した。
だが、ベラルーシ政府は独立労働組合運動の組織的抑圧を続けた。ベラルーシ当局は独立組合を「過激派」、「テロリスト」と呼び、名誉毀損キャンペーンを展開、「BKDPおよび加盟組織とどんな形であれ関係している者は迫害されるおそれがある」という明白かつ明示的なメッセージを送った。多くの指導者と活動家が出国を余儀なくされた。
グローバル・ユニオンは、労働者代表、使用者および政府に対し、ベラルーシ政府に少なくとも調査委員会勧告を遵守させ、同国における甚だしい人権・労働組合権侵害に終止符を打つために、総会による決議の採択を支持するよう要請する。
労働組合主義は過激主義ではない! 労働組合主義は犯罪ではない! ベラルーシの労働組合員に自由を!
これは下記団体が署名したグローバル・ユニオン共同声明である。
- 国際労働組合総連合
- 国際運輸労連
- UNIグローバルユニオン
- 国際公務労連
- インダストリオール・グローバルユニオン
- 国際食品関連産業労働組合連合会
- 国際ジャーナリスト連盟
- 教育インターナショナル
- 国際建設林業労働組合連盟
- OECD労働組合諮問委員会
組織化はICT産業の最優先課題
2023-05-23
2023年5月23日:5月9-10日にベトナムでICT電機・電子運営委員会が開催され、組織化、部門の発展、安全衛生、人権デュー・ディリジェンスをめぐり討議した。
この部門では、特にアマゾン、アップル、サムスン、マイクロソフトなど、組合の存在が目立たない企業で組織化が難しいことが判明しているが、ここ数年、一定の改善が見られる。この会合では、加盟組織の組織化努力に敬意を表し、組織化をこの部門の優先課題にすることを確認した。
韓国金属労組からの参加者が、2022年6月にサムスンSDIで組織化に成功したことを報告した。この成功に先立つ業績として、2019年に別のインダストリオール加盟組織である韓国金属労組連盟が、サムスンSDIを含むサムスンの3つの下位部門で労働者の組織化に成功した事例について報告している。両労働組合はサムスンの労働条件に対する懸念を表面し、労働者同士を競い合わせる不公正で不透明な賃金制度と長時間労働に言及した。
参加者は、市況下落や半導体産業の目まぐるしい変化、複雑な分業などが原因で、この産業の変動性が高まっていることについて議論した。運営委員会は、グローバル半導体ネットワークをさらに発展させ、インダストリオール加盟組織の間で情報や優良事例の交換を促進することを強調した。
労働組合の目的は、グローバル枠組み協定や労働組合ネットワークの現在の影響力と併せて、ドイツやフランス、その他の欧州諸国の人権デュー・ディリジェンス(HRDD)法と日本のガイドラインを利用しながら、半導体をはじめとするエレクトロニクス製造業とそのサプライチェーンへ、社会的責任のある投資を要求していくことである。
アレクサンダー・イワーノウ・インダストリオールICT電機・電子担当部長が次のように述べた。
「HRDD関連の法律やガイドラインによって訴訟を起こし、この産業でILO基準と人権が尊重されるようにする必要がある。ILO加盟国には、最近追加された労働安全衛生に関する第155号条約および第187号条約を含めて、すべてのILO基本条約に従う義務がある」
マレーシアの電子産業従業員組合(EIEU)によると、STマイクロエレクトロニクスでは危険な労働環境が起因して、このパンデミック下で20人の労働者が死亡した。
運営委員会は、人工知能(AI)が雇用に及ぼす可能性のある影響について深い懸念を表明した。労働組合は、AIの影響を受けるすべての労働者のために公正な移行を要求し、「ルールを採用する必要があり、労働者を開発の一部にすべきだ」と述べている。
インドネシア金属労連(FSPMI)のプリハナニ・ボエナディICT電機電子部門共同部会長が次のように述べた。
「私たちには、デジタル時代に労働者の権利を保護するうえで果たすべき重要な役割がある。組合は今すぐデジタル化を再構築し、職場へのデジタル技術流入との関連で労働者の権利強化を求めて交渉すべく尽力しなければならない。組合は、これらの技術が労働者に及ぼす可能性のある、もしくは既に及ぼしている影響を軽減する必要がある」
「より良い未来を確保するために議論を深める必要がある。ロシアのウクライナ侵攻に起因する国際エネルギー市場の混乱と需給逼迫への対応に加えて、脱炭素電源の利用を促進しつつ、電力の安定供給を確保するためのシステムを開発する必要がある。エネルギー価格と原料価格が急騰しており、物価が急上昇し続けているため、このような事態の展開は私たちの仕事と日常生活に大きな影響を与えている」と全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会(電機連合)中央執行委員長の神保政史ICT電機・電子部門共同部会長は述べた。
韓国の組合との連帯が必要
2023-05-18
【JCM記事要約】
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2023年5月18日:韓国の組合は当局による激しい弾圧にさらされており、労働法の限定的定義によって日常的な労働組合活動が違法とされている。KMWUは5月31日に警告ストを呼びかけている。
ユン・ソンニョル大統領の組合バッシング発言や検察・警察の不法な利用による組合攻撃が生み出す雰囲気は全国の職場に広がっており、労働組合員への暴力的な攻撃が激化している。
5月4日、現代自動車とBMWのサプライヤーであるILJIN Hysolusの管理者が、自分の車で現地の労組幹部たちに突っ込んで3人にぶつけ、組合の副議長に重傷を負わせた。
メーデーには、韓国建設労組(KCWU)支部長のヤン・ヘドンが、労働組合員に対する政府当局の嫌がらせに抗議して悲惨な焼身自殺を図った。その嫌がらせの被害者の1人だったヤンは、残念ながら重度の火傷の合併症で亡くなった。
5月17日には、約4万人の労働組合員がソウルに結集し、ユン政権に抗議した。
グローバル・ユニオン評議会は、韓国における労働組合の合法的活動と労働者の権利に対する最近の攻撃や司法による嫌がらせ、干渉を非難している。
組合に対する組織的キャンペーンに対応して、インダストリオール加盟組織KMWUは5月31日に4時間の警告ストを指令。組合員に対し、4時間ストに入ってソウルはじめ各地で街頭に繰り出し、政府に現在の労働権・組合攻撃の中止を要求するよう呼びかけている。
KMWUは政府に、組合に対する嫌がらせを即時中止し、労働者の権利が保護される建設的で安定した労使関係を確立するよう強く促している。
「韓国政府は組合のマイナスイメージを広めており、これは労働者に有害な結果をもたらしている。組織化は権利であって犯罪ではない」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
インダストリオールは、韓国の組合が現在さらされている恐怖と脅迫の蔓延に終止符を打ち、世界中の加盟組織に連帯キャンペーンへの参加を求める闘いにおいて、KMWUを支援している。
アルセロール・ミッタル・リベリアで労働者が賃上げ求めてスト
2023-05-17
2023年5月17日:アルセロール・ミッタル・リベリア(AML)とインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織のリベリア統一労組(UWUL)との賃金交渉が行き詰まった結果、イェケパ鉱山とグランドバッサ郡ブキャナンで1,300人を超える労働者が5月10日、賃上げと給料格差をめぐってストを決行した。
交渉の行き詰まりを受けて、組合は国家労働裁判所に訴え、賃上げ5%の裁定を受けた。経営側は判決に従うことを拒否し、労働者は要求を迫るためにストを決行した。裁判所は両当事者に、労働協約について交渉するよう勧めた。
UWULは、残念なことに、同じ経験と技能を有する2人の労働者が同じ日に雇われたにもかかわらず、賃金が異なることが分かったと述べた。同労組は、これは組合が会社側に実施を求めている同一価値労働同一賃金の原則に反すると述べている。経営側は労働協約に違反して、友人や親類の雇用によって縁故採用を実践している、とUWULは言う。
「私たちは裁判所に行く前に、労働省に相談して膠着状態に関する調停を求めた。労働裁判所は私たちに有利な判決を下したが、経営側は態度を変えようとしない。だから、私たちはまだスト中であり、経営側が交渉のテーブルに着くまで集団的な順法闘争を続ける」とストを調整しているデイブ・セネーUWUL書記長は言う。
「アルセロール・ミッタルに対し、介入してアルセロール・ミッタル・リベリア経営陣に、ここ1週間途絶えているUWULとの接触を再開し、誠意を持って組合との対話を再構築し、労働者の公正な要求を受け入れ、労働協約を完全に実施する意思を示すよう呼びかけることを求める」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
UWULは、アルセロール・ミッタル南アフリカが南アフリカ全国金属労組(NUMSA)と3カ年労働協約を結んだときのように、このストが労働者に受け入れられる提示によって解決されることを望んでいる。この協約で、労働者は3年間で6.5%の定期昇給、手当の増額、その他の給付を獲得。一方で、5月8日に締結されたこの南アフリカの賃金協約は、交渉が行き詰まり、NUMSAがアルセロール・ミッタルで「とてつもないスト」に備えていると発表したあとに妥結に至った。
AMLはイェケパとボングの鉄鉱石鉱山で3,000人の労働者を雇用しており、処理工場の建設によって採掘作業を拡大している。同社は鉄道や港湾ターミナルも運営し、リベリア最大の外国人投資家であり、過去15年間に17億米ドル以上を事業に投じている。
労働者の権利を求めて闘う労働組合
2023-05-16
2023年5月16日:世界的不平等が広がっており、行動を起こす必要がある。インダストリオールは、公正な未来と不平等格差の解消に必要な12の基礎的要素を立案した。ILO第87号条約および第98号条約の完全実施と、労働者が我が身を守れるようにする国内レベルの労働法によって、労働者の基本的権利を確保する必要がある。
世界中で労働者の権利が攻撃されており、労働組合は、労働者の擁護および生活改善のための闘いにおいて極めて大きな役割を果たしている。
韓国では、2021年にILO第89号および第98号条約を批准したにもかかわらず、政府当局が合法的な労働組合活動と労働者の権利に干渉している。メーデーには、韓国建設労組(KCWU)支部長のヤン・ヘドン氏が、労働組合員に対する政府当局の嫌がらせに抗議して悲惨な焼身自殺を図った。
タイの組合は政府に対し、結社の自由および団結権の保護に関するILO第87号条約と、団結権および団体交渉権に関するILO第98号条約の実施を要求している。しかしタイ政府は、国内労働法を修正して国家安全保障上の懸念に対処するまで、両条約を批准することはできないと主張している。
労働における基本的原則・権利に関するILO宣言は、基本的な人間の価値を支持する政府と、使用者団体および労働者団体によるコミットメントである。1998年採択・2022年修正の同宣言は加盟国に、関連条約を批准しているか否かを問わず、5つのカテゴリーで8つの基本的原則および権利の尊重・促進を義務づけている。
安全衛生は、2022年にILOによって採択された労働における基本的原則および権利である。船舶解撤は世界で最も危険な仕事の1つとみなされている。バングラデシュ政府は船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(HKC)の批准を約束しているので、今年は安全性を向上させるうえでも重要な年である。この条約が発効すれば安全衛生上の基準となり、亜大陸でもどこでも船舶解撤労働者の労働条件を改善し、生活を一変させるだろう。
ILO第176号条約(1995年の鉱山における安全および健康条約)の批准と実施を求めるインダストリオールの世界的なキャンペーンは、鉱業の労働安全衛生へのインダストリオールの戦略的アプローチ「労働組合は命を救う」の根幹となる柱である。近年、パキスタンはグローバル・キャンペーンの重点国となっており、ILOパキスタン国別事務所とILO本部の助けを借りて、パキスタンのソーシャル・パートナーとともに大きく前進している。
協力して労働者の権利のために闘い、#justfutureを達成する必要がある。
労働組合 vs LGBT嫌悪
2023-05-11
2023年5月11日:5月17日は国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日(IDAHOBIT)で、労働組合がLGBTI労働者と連帯し、多くの人々がさらされ続けている差別と暴力に対する認識を高める機会である。
インダストリオールは、労働者5000万人を代表するグローバル・ユニオン・フェデレーションとして、性的指向やジェンダーアイデンティティー、ジェンダー表現に関係なく、すべての労働者にとって安全で包括的な職場を確保する責任を負う。これは基本的人権であるのみならず、生産的で調和した作業環境を生み出す重要な要因でもある。
グローバル・ユニオン評議会(CGU)は全加盟組織に対し、国内外でLGBTIコミュニティーへの支援を表明するよう呼びかけている。例えば、LGBTI労働者が直面している問題に対する認識を高めるための行事や活動の企画、啓発資料の配布、連帯表明や関係構築のための現地LGBTI組織との提携などが挙げられるだろう。
5月17日16:00(中央ヨーロッパ夏時間)にウェビナーが開催される。
ウェビナーに参加・登録:労働組合 vs LGBT嫌悪
講演者には、アメリカのLGBTI権利擁護運動の指導者で組合オルグのクリーブ・ジョーンズや、インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織タイ産業労働組合総連合(CILT)のビパワン・ボクサンテアなど他の労働組合活動家が含まれる。
「重要なのは、職場でより包括的な方針や慣行を生み出すために取り組み続けることだ。例えば、LGBTI労働者の平等な給付と保護を確保したり、差別やハラスメントにさらされている可能性のある人々に資源や支援を提供したりしなければならない」
「この日をチャンスとして利用し、活動のすべての面における平等、多様性および包摂の促進へのコミットメントを再確認しよう。力を合わせれば変化をもたらし、すべての労働者のためにより良い未来を生み出すことができる」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
LGBTI労働者ウェブサイトは、国家・地域・国際レベルで労働におけるLGBTIの権利を促進しているグローバル・ユニオンの活動を共有している。このウェブサイトは、LGBTIの権利を促進するために組合が実施している活動を共有する場でもあり、世界中の労働組合員がLGBTI問題や、自分と所属組合がより寛容で差別のない世界を構築するために実施している活動について討議するための専用スペースを提供している。
Fact Sheets:
ファクトシート:
- LGBTIの平等(よくある質問)
- 暴力
- 非合法化
グローバル・ユニオン評議会、韓国でヤン・ヘドンの悲劇的な死を招いた目に余る労働者の権利侵害を非難
2023-05-11
【JCM記事要約】
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2023年5月11日:ユン大統領就任1周年にあたり、グローバル・ユニオン評議会は世界中で200万人の労働者を代表して、韓国における合法的な労働組合活動と労働者の権利に対する最近の攻撃、司法による嫌がらせ、干渉に関して深い懸念を表明した。
韓国が経済協力開発機構(OECD)に加盟しており、2年前に国際労働機関(ILO)の結社の自由に関する第87号条約と団体交渉に関する第98号条約を批准したにもかかわらず、このような弾圧が続いていることは受け入れがたい。
メーデーに、韓国建設労組(KCWU)支部長のヤン・ヘドンが、労働組合員に対する政府当局の嫌がらせに抗議して悲惨な焼身自殺を図った。その嫌がらせの被害者の1人だったヤンは、残念ながら重度の火傷の合併症で亡くなった。
ヤンは焼身自殺の前にメッセージを残し、合法的に組合の任務を遂行したが、業務妨害と強制、強要の嫌疑をかけられたと述べた。ヤンの焼身自殺は、韓国労働史の最悪の時期を思い出させる。
労働組合員に対する強制・強要という濡れ衣の刑事告発は、ユン・ソンニョル政権の反組合的政策に起因する。政府は労使関係において社会的対話でなく警察力を利用している。建設部門では、警察が組合を標的に特別調査を開始し、通常の労働組合活動が違法とされる結果となった。建設労組を建設現場の組織犯罪集団に例える大統領の反組合的な発言を受けて、警察は意図的にこの論理を利用して組合を中傷し、組合指導者の尊厳を損なった。ヤンは特別捜査の際に警察に呼び出された組合役員950人のうちの1人で、現在、16人がそのような刑事告発で拘束されている。
政府の組合弾圧は建設部門にとどまらず、労働法の限定的定義により、日常的な労働組合活動が違法とされている。例えば、2022年11月に貨物トラック運転手のストが違法と宣言された。大宇造船海洋(DSME)は、スト実施中の生産目標未達成を理由に、5人の組合指導者を相手取って470億韓国ウォン(およそ3560万米ドル、3230万ユーロ)の訴訟を起こした。明らかに、下請労働者による基本的組合権の行使を抑えるための報復である。
ILO、国連条約機関およびEU-韓国自由貿易協定の一部として設置された専門家パネルの明快な勧告にもかかわらず、韓国政府は、国際基準と一致させるための労働組合・労使関係調整法の修正を妨害し続けている。
さらにユン政権は、腐敗と経営上の不正という根拠のない申し立てに基づき、労働組合に対する組織的中傷を開始している。CGUは、当局が労働組合の管理や活動に干渉し、労働組合予算のコピーの提出と労働組合規約の修正を要求していることに、大きな懸念を持って留意した。これはILO第87号条約に基づく結社の自由の権利の重大な侵害である。
ユン・ソンニョル大統領の組合バッシング発言や検察・警察の不法な利用による組合攻撃が生み出す雰囲気は全国の職場に広がっており、労働組合員への暴力的な攻撃が激化している。2023年5月4日、現代自動車とBMWのサプライヤーであるILJIN Hysolusの管理者が、自分の車で現地の労組幹部たちに突っ込んで3人にぶつけ、組合の副議長に重傷を負わせた。
CGUは労働組合活動の犯罪化と、ユン政権主導の労働組合事務所の強制捜査を非難している。韓国政府に対し、国際的義務を果たすとともに、結社の自由に対する権利および団体交渉権を完全に尊重し、韓国の労働組合運動の弾圧に終止符を打つよう求める。
CGUは、基本的労働組合権の行使を理由に拘束されている労働者の釈放と、彼らに対するすべての告訴の取り下げを要求する。さらに政府に対し、労働組合員に対する中傷や犯罪化の行為をいっさいやめるよう要請する。このような行為は、安定した労使関係の確立に役立つどころか、国内法と国際法で保護されている権利を行使する労働者にとって恐怖と脅迫の風潮を引き起こす。
組織化は権利であって、犯罪ではない。
CGUは、自由と公正を求める進行中の闘いにおいて韓国の労働組合運動を支持し、ヤン・ヘドンのご遺族ならびに所属労働組合に哀悼の意を表する。
欧州議会はミャンマーの軍事政権終了に向けて全力を
2023-05-10
【JCM記事要約】
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2023年5月10日:ミャンマーに関する決議をめぐる5月10、11日の討議と投票に先立って、インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は欧州議会に、2021年2月の軍事クーデター以来4回目の書簡を送った。ミャンマーの軍事政権は民主勢力に対する弾圧を拡大している。欧州議会は、軍事政権の支配を終わらせてミャンマーで民主主義を復活させるために、全力を挙げなければならない。
クーデター後、ミャンマーでは労働運動がほぼ完全に禁止され、多くの労働組合員が逮捕されたり、潜伏あるいは亡命したりしている。それにもかかわらず、労働者組織は地下で活動を続けている。欧州・国際レベルの労働組合は、ミャンマーの労働組合との緊密かつ頻繁な接触を保っている。この機会を利用して欧州議会議員に、今度の決議に関するミャンマーの労働組合運動からの直接要求を伝える。
この決議は、ミャンマーの軍事政権が、一般市民に対する軍事攻撃の強化によって民主勢力の弾圧を拡大しており、4月11日のパジジーへの空爆で少なくとも165人を殺害したことに留意するべきである。政権側は、近づきつつある違法かつ不正な選挙の前に40の政党を禁止し、この選挙を利用して権力支配を強化・正当化しようとしている。
これらの行動は、ミャンマーで民主主義を回復するには軍事政権を倒すしかないこと、貿易を通じて民主改革を促そうとする現在のEU政策が間違っており、逆効果であることを証明している。
軍事政権は、武器や弾薬、エネルギー、部品を購入するために、何としても外貨を必要としている。外貨不足は、おそらく政権にとって唯一最大の脅威だろう。
インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は欧州議会に対し、外貨による資金源を断つなどして、軍事政権の阻止に全力を尽くすよう求めている。欧州企業による経済活動はすべて、ミャンマーに外貨をもたらす。
2022年4月、軍事政権は法律を変更し、24時間を超える外貨の保有を違法とした。外貨は優遇レートで現地通貨のチャットに両替しなければならない。軍事政権はミャンマー中央銀行とミャンマー外国貿易銀行を管理している。つまり、ミャンマーに入ってくる外貨は直接政権に渡るということである。
このため、EUは一連のミャンマー企業に対する重要な制限措置をすでにいくつか採択しており、EU系石油会社に同国からの撤退を求めている。EUの消費者は、ミャンマー製品の購入によって意図せずに軍事政権に資金を供給しているため、EUの衣料ブランドにも同じことを要求すべきである。これをやめなければならない。
ミャンマーの労働組合は、現在のEU政策と、金融・保険部門を除外する制限措置の部分的採択が、軍事政権を財政面・制度面両方で支援し、ミャンマーの民主主義回復努力を損なうことを懸念している。
特に労働組合は、この決議で欧州委員会と欧州理事会に以下を依頼するよう求めている。
→ MADE in MyanmarプログラムへのEU支援の撤回。MADE(ミャンマーのアパレル産業における適正な雇用のためのマルチステークホルダー同盟)は、EUならびに欧州系衣料ブランドの出資によるプロジェクトであり、衣料産業で工場レベルの社会的対話を確立すると主張している。ミャンマーの独立労働組合と労働者団体は、2023年4月の欧州委員会への書簡で、このプロジェクトを非難している。というのもMADEは、偽りの労働者組織の設立、軍に支配された労使関係および社会的対話メカニズムを合法化しているからである。労働者が自分たちの代表を自由に選べない状況では、MADEは軍事政権に金銭的利益を与える粉飾ということになる。ミャンマーにおける結社の自由の侵害に関して進行中のILO調査委員会で、軍事政権はMADEを臆面もなく利用し、ミャンマーには社会的対話と結社の自由が存在すると主張している。軍事政権は現在、国連、ILO、その他の機関に承認されておらず、MADEが政権の国交正常化促進を助長しかねない懸念がある。
→ 武器以外すべて(EBA)貿易特恵の撤回。EBA特恵は、カンボジアの事例で見られたように、15本の中核的な国連・ILO条約の重大かつ組織的な違反の場合に撤回することができる。ミャンマーは中核的条約ならびにEU原則に明らかに違反しており、EUへの特恵貿易アクセスを享受すべきではない。
→ 的を絞った制裁の追加実施。国際銀行ならびにミャンマー中央銀行、ミャンマー外国貿易銀行、ミャンマー投資・商業銀行で、国家行政評議会(SAC)の燃料購買プロセスに関連するすべての国際金融取引を確認し、制裁を科す。これはSACによる残虐行為の継続を阻止するうえで不可欠であり、SACによる武器や弾薬、それに兵士や弾薬を輸送する軍民両用燃料の購入の阻止につながる。
→ 違法な選挙の非難と政治犯全員の釈放の要求。軍による暴力を終わらせ、合法的な労働組合を含む真の民主主義を復活させるために、緊急行動が必要である。
国民統一政府(NUG)は2021年11月の声明で、国際企業は、例えば公益事業や港湾など軍が所有する企業への税金や料金の支払いによって、自社の事業が軍事政権に物質的な恩恵を提供する場合、ミャンマーで活動するべきではないということを明確にした。
その後、法律変更によって外貨を24時間以内に現地通貨と両替することが義務づけられたため、ミャンマーとの取引はすべて軍事政権に利益を与え、軍事政権が権力支配を維持できるようにしてミャンマー国民の苦難を長引かせている。ミャンマーに関する決議は、軍事政権への支援をすべて断つことを目指すべきである。
ミャンマーからの責任ある事業撤退は可能であり、いくつかの世界的衣料ブランドと取り決めたインダストリオール・グローバルユニオンの責任ある撤退枠組みに注目してほしい。この枠組みは、企業がミャンマーで責任を持って活動を終えるために利用できるツールである。
ミャンマーおよび世界中の労働者・労働組合は、欧州議会が民主主義的価値観の擁護者として、軍事政権の支配を終わらせてミャンマー国民に民主主義を取り戻すために全力を尽くすことを期待している。 |
作業部会でグローバル資本に対抗するための戦略的アクション・プランを策定
2023-05-03
2023年5月3日:インダストリオール・グローバル多国籍企業委員会(GMC)は、4月27-28日にパリで初会合を開いた。このハイブリッド型会議には70人前後の各国からの代表者が参加し、多国籍企業関連の問題に関する戦略的アクション・プランを検討・立案した。
フレデリック・サンチェスFTM-CGT書記長が参加者を歓迎し、次のように述べた。
「多国籍企業は世界経済で大きな責任を担っており、政府より大きな力を持っている。人々に権利を与えたければ、国際連帯は必須の手段であり、そのためにはインダストリオールが必要だ」
参加者は、グローバル資本に対抗して労働組合の力を構築するために、インダストリオール関連部門の多国籍企業をターゲットとする、戦略的キャンペーンに力を入れることに合意した。この活動には、グローバル労働組合ネットワーク、労働組合権、国境を越えた連帯、集団行動の促進などが含まれる。
当該委員会では、加盟組織が労働条件や雇用保障に影響を及ぼす変化に取り組むための戦略策定、さらには現行の政策や法律の強化、グローバル枠組み協定の交渉・実施を目指すことについても合意した。
エネルギー転換はすべてのインダストリオール関連産業と私たちの生活に影響を与えるため、参加者は、再生可能エネルギー、特に太陽・風力エネルギーへの移行を支えるサプライチェーンを最優先課題として確認した。鉱業(特にクリティカルミネラル)と素材金属が重点部門として確認された。この会合は、6月のケープタウン中間政策会議でさまざまな提案をさらに策定したいという希望を表明した。
当該委員会はまた、その構成と資源を定期的に分析するために運営委員会を設置した。運営委員会は、インダストリオール副会長が選んだ地域代表で構成される。参加者は、英国ワーカーズ・ユナイティングのジョナサン・ヘイワードと、アルゼンチンUOMのマリア・ソウルダッド・カルを共同部会長に選出した。
クリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長が次のように述べた。
「グローバル資本は世界中で、特に生産国で弱い立場にある労働者を搾取し続けているため、インダストリオールには、グローバルな連帯・団結の強化によってこれらの猛攻撃に対応し、この委員会の作業を通して能力を構築する責任がある」
ミャンマーでは人権デュー・ディリジェンスが不可能
2023-05-01
【JCM記事要約】
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2023年5月1日:ミャンマーでは、軍事クーデターから2年以上経っても、国民と労働者を取り巻く状況がさらに悪化している。メーデーは、労働者の権利を求め、侵害に反対して声を上げる日である――ミャンマーの軍事独裁政権下では人権デュー・ディリジェンスを実施できず、企業は同国からの責任ある撤退を計画しなければならない。
2021年2月にミャンマーで軍事クーデターが起こったあと、インダストリオールは、同国で活動しているすべての多国籍企業に投資の引き揚げを求めるミャンマーの組合による要求を支持した。この国で事業を維持している企業は、人道危機の拡大に不本意ながらも共謀しており、軍が自国民に対して仕掛けた戦争に事実上資金を供給し、最近、空爆によって100人以上を殺害している。
状況は悪化の一途をたどっている。組合は非合法化され、労働者支援メカニズムも結社の自由もなく、労働者は非常に弱い立場にある。労働者に対する侵害が広がっており、賃金搾取や強制労働、女性に対するハラスメントも増加している。国軍は暴力的な攻撃や逮捕によって組合と組合員を弾圧している。60人を超える労働組合員が捏造された容疑で投獄されており、この組合員たちを直ちに釈放しなければならない。
EU資金によるMADE in Myanmarプロジェクトは、組合の代わりに使用者が選んだ「労働者代表」を導入して衣料製造部門を支援すると主張しており、憂慮すべき取り組みである。使用者は、政治情勢につけ込んで労働者から権利を奪い、ミャンマーで重大な人権・労働権侵害が続くに任せると同時に、軍の正当性獲得を支援している。
結社の自由は基本的人権であり、EUの基本原則である。軍事政権下のミャンマーにおける組合と団体交渉権に対する制約は、このEUイニシアティブの正当性に疑問を投げかける深刻な懸念である。
投資は労働権に長期的影響を与える。すべての企業がミャンマーから撤退し、国軍への資金源を断つべきである。責任ある撤退の計画が、世界的な人権基準を支持する唯一の立場である。軍事独裁政権下の内戦状態でデュー・ディリジェンスを実施することはできない。
南アジアで強力かつ包括的な組合を構築
2023-04-29
2023年4月29日:4月27-29日、ネパール、バングラデシュ、パキスタン、スリランカ、インドから参加者が集まり、ごく実際的な観点から、組合を強化して女性・若年労働者をより広く包摂する方法を計画した。
南アジア地域は労働組合として、女性と若者の低調な組合加入・参画から、契約労働の急増、契約労働者を組織化するためのアクセスの不足まで、よく似た課題に直面している。
この地域のインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織は、自分たちの課題が厳しいものであり、組合員基盤を強化して潜在的組合員にアクセスするために、それらに取り組む必要があることをはっきり理解していた。
「不安定労働者を組織化しなければならない。困難ではあるが、組織化しなければならない。どんなプロジェクトを考案するにせよ、契約労働者の保護に集中しなければならない。不安定雇用は地域全体で起こっており、一般的な傾向だ。資本家は労働者が低コストの契約労働者になることを望んでおり、労働者が不満を述べると簡単に解雇する」
「私たちはバングラデシュで、労働法を改革してインフォーマル労働者を労働法の対象とするために闘っている」
「ネパールでは、私たちが前進を遂げるには、レイオフと削減に関する労働法2074第145条を廃止する必要がある。ほとんどの企業は財務上の損失を主張するだけで労働者を解雇することができる」
「パキスタンでは、黄色労働組合のせいで私たちの仕事は困難だ。部門別組合の設立・強化に力を入れるよう努力している」
最も影響を受けているのは女性と若者なので、この議論では契約労働者の問題に焦点を絞った。
ジェンダーに基づく暴力も、参加者が詳細に議論した重要な主題である。能力強化、強い意識の構築、貴重な資料(仕事の世界における暴力とハラスメントに関するILO第190号条約ツールキットなど)の利用に焦点を当てることが強調された。
若い参加者が集まり、対象範囲を広げて組合の持続可能性を高めるための戦略について議論した。焦点は、ソーシャルメディアツールを用いて幅広い層に接触し、成長と認識を達成することに当てられた。
アプールヴァ・カイワール・インダストリオール地域事務所所長が次のように述べた。
「女性と青年の参画拡大に取り組むようにすることは、私たちの共同作業だ。私たちが求めているのは変革を起こす組合だ!」
この地域、特にインド、パキスタン、ネパールで過去4〜5年にプロジェクトが次のような成果を上げたという重要な事実を指摘し、この計画立案作業がこれまでの業績を基礎としつつ、それをさらに一歩進めるようにした。
- 3万5000人以上の労働者を組織化
- 85本の労働協約を締結
- 2230人の不安定労働者を常用雇用化
- 女性参加率が27%から32%に上昇
- 青年指導者がより積極的に組合活動に関与
「私たちは組合指導者を代表して、多忙であっても、女性のエンパワーメントに貢献するためにこれらのプログラムに出席することができる。これはこのような若い才能を目にする好機だった。このプロジェクトが実施されれば、今後5年間に非常に多くの機会がある。組合が力をつければ、インダストリオールも強くなる」とサンジャイ・バダブカール・インダストリオール・アジア太平洋執行委員が述べた。
すべての人の安全――ジェンダーに対応した労働安全衛生の必要性
2023-04-28
2023年4月28日:ジェンダーに基づく分業、性的な生物学的差異、雇用形態、社会的役割および社会構造は、男女が職場で異なるリスクにさらされているだけでなく、さらされる方法も異なることを意味する。これらの違いを確認して認識する必要がある。労働安全衛生方針はジェンダーに対応し、すべての労働者にとって安全な職場を確保すべきである。
労働安全衛生におけるジェンダーに関する労働組合活動家向けTUCガイドは、労働安全衛生において男女が同じであるかのように扱う場合が多いことを示している。女性の安全衛生ニーズにはあまり注意が向けられていない。
安全衛生と関連研究の重点はこれまで、不十分なリスク管理が死亡事故を招きかねない建設や鉱業のような部門では、男性が実施する明らかに危険な仕事のリスク防止に中心が置かれてきた。その結果、仕事関連のストレスや筋骨格障害のような女性特有の労働災害・疾病はほぼ無視され、もしくは過小に診断・報告され、十分に補償されていない。
世界中で、業務用機器や工具、個人用保護具(PPE)は、従来男性の体格や体形に合わせて設計されている。さらに、ILOが説明しているように、大部分のPPEのデザインはヨーロッパ、カナダ、アメリカの特定の国々の男性の体格や特徴に基づいている。その結果、女性だけでなく多くの男性も、この標準的な男性労働者モデルと一致していない人々は、適切で快適なPPEを見つけるのに苦労している。
職場内外のジェンダー不平等は女性の労働安全衛生に影響を及ぼす可能性があり、より広い差別問題と健康との間には重要な関連がある。ILOによると、一般に女性は男性以上に、仕事関連のストレスや極度の疲労、暴力、差別、ハラスメントをもたらし得る社会心理的リスクにさらされている。
女性は賃金労働者兼家族の無給介護者として余分な責任を負わされているため、女性のストレスレベルは仕事のあとも高いままに残る。性差を認めなければ、一見したところ中立的な政策が男女に異なる影響を与え、既存の不平等を悪化させることになりかねない。労働安全衛生はジェンダー平等促進の中核部分である。
「性別・ジェンダー別データの分析に基づくジェンダーに対応したアプローチにより、男女労働者の違いを認めて目に見えるようにし、男女の異なるリスクを確認し、すべての人に効果的な解決策が提供されるように規制措置を提案する必要がある」とグレン・ムプファン・インダストリオール労働安全衛生担当部長は言う。
仕事の世界における暴力とハラスメントに関するILO第190号条約は、使用者に対し、ジェンダーの固定概念、さまざまな交差的形態の差別、ジェンダーに基づく不平等な力関係を考慮に入れて、ジェンダーに配慮したリスク評価を行うよう求めている。
女性労働者および安全衛生委員会の女性安全衛生代表との協議は、ジェンダーに配慮した労働安全衛生の発展の鍵である。
KMWU、反労働者的政策に反対する全国ストを発表
2023-04-21
【JCM記事要約】
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2023年4月21日:韓国金属労組(KMWU)は2023年4月19日に集団抗議行動を起こし、5月31日と7月の2回の全国ストを発表した。韓国の金属労組は、この政策は労働者の権利を弱め、組織化や使用者との交渉を困難にすると主張している。
「これは組合に対する宣戦布告だ。政府機関は組合を腐敗した暴力的な悪党と表現し、労働組合員は赤札を付けられている」とユン・チャンヒョクは集団抗議集会で労働者を前に述べた。
ソウル中心部に1万人を超えるKMWU組合員が集結、ユン・チャンヒョクKMWU委員長が生産現場の活動家に呼びかけ、ユン・ソギョル政権が可決した反労働者的政策に抗議して、5月31日に警告ストを組織し、続いて7月に全国ストを行うよう促した。
「政府が後押ししている法律は、週69時間労働と賃金構造(最低賃金を含む)の悪化を許す一方で、チェボル(同族支配のコングロマリット)に減税と規制緩和を与える。大統領は、憲法で保障されている労働組合権を守るために必要な労働法改革を妨げている」とチャンヒョクは続けた。
KMWUは政府に対し、韓国が2021年4月にILO第87号条約および第98号条約を批准したあとの必要な措置として、労働組合・労使関係調整法(TULRAA)第2条および第3条の改正も求めている。
KMWUは、この修正は労働者の定義を拡大し、主たる使用者と交渉する下請労働者の権利を保護するために決定的に重要だと主張する。スト中の労働者を十分に保護していない既存の条項も修正しなければならない。
議会は、骨抜きのTULRAA改訂第2条・第3条による法案を作成した。この法案は、今度は与党議員が支配する国会委員会に回される。ユン・ソギョル韓国大統領は、たとえ同委員会が法案を可決しても、実際に制定されるなら法案に拒否権を行使することを明らかにしている。
KMWUによると、この法案は使用者の定義を拡大しているが、スト権の妨害のような重要な側面に対処していない。法案は労働者の基本的権利にまだ十分に取り組んでいないが、正しい方向への一歩であり、TULRAA改正を求める闘いは続く、と同労組は言う。
「インダストリオール・グローバルユニオンは、反労働者的政策との闘いにおいて韓国の組合と連帯し、ゼネストを全面的に支持する。韓国政府に対し、2本のILO条約の批准に続いて、スト権と団体交渉に関する国際的義務を果たすよう強く促す」とケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は述べた。
拘束力のある国連条約で労働者の立場の強化を要求
2023-04-20
2023年4月20日:拘束力のある国連のビジネスと人権に関する条約をめぐる交渉はすでに9年続いており、さらに多くの折衝が行われることになっている。昨年10月の前回の交渉後、グローバル・ユニオンは文書を提出し、労働権の注目度の向上と強力な責任メカニズムを強調している。
グローバル・ユニオンは、国際人権法において多国籍企業その他の企業の活動を規制するために、法的拘束力のある文書を強く要求している。
グローバル・ユニオンは提出した文書で、条約における労働権の役割をより明確にし、特に怠慢に適用されている責任の種類を明らかにするよう主張している。グローバル・ユニオンは、企業による人権侵害の説明責任を達成するために必要とされる詳細な規定が、十分に確保できないリスクがあると考えている。
「今年の交渉は重要だ。昨年は効力が弱められた原文を取り決めようとする強い動きがあり、条約の内容事態を弱めようとする枠組み条約の案が持ち出された。私たちはこれに反対する立場を取っている」とケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。
対象範囲に関する討議を再開し、国有企業を除外しようとする一部の国々からの議論に対応して、グローバル・ユニオンは、多国籍企業の範囲を狭める逸脱は大幅な後退となることを明確にしている。
グローバル・ユニオンは言う。
「基本的に、私たちの考えでは、国境を越えた企業活動に関する法的拘束力のある文書の運用可能な条項に焦点を当てつつ、多国籍企業その他の企業を含む幅広い範囲を維持するという草案の改訂第3版で採用されたアプローチは、2014年の人権理事会決議26/9で与えられた任務に対応している」
「この文脈において、人権デュー・ディリジェンスに関する来るべきEU指令は、交渉にあたってEUに明確な任務と方向を示すものであるため、重要な役割を果たす」とケマル・ウズカンは言及。
「次の措置は、加盟組織に働きかけて各国政府に接触させることだ。インダストリオール・ヨーロッパ労働組合と共同行動を取り、EU当局の立場について当局に話をする」
日本の金属労働者、記録的な賃上げを達成
2023-04-19
2023年4月19日:金属部門の賃金交渉が終わり、日本の金属労組は2020年以降で最高額となる月平均8,407円(63米ドル)の追加賃上げを達成した。
日本では毎年、春に労使間で賃金交渉が行われる。全日本金属産業労働組合協議会(JCM)は、3,000を超える加盟組合の金属労働者200万人を代表して、年次産業別団体交渉の統一賃上げ要求の基準を設定した。
今年、金属部門の大企業は非常に迅速に賃金交渉に関する決定を発表し、インフレ率の上昇と金属産業の労働者不足を考慮して、多くの企業が組合の要求への満額回答に同意した。
金子晃浩JCM議長は次のように述べた。
「春闘で大きな相乗効果を達成することができた。組合は要求を満たす回答を速やかに引き出した。これは組合員の日常生活における安定と保障に貢献するだけでなく、金属産業の職場と競争力をも高める」
日本の賃金は長年、デフレが原因で停滞していた。しかし、10年ぶりに追加賃上げが達成された2014年以降、2015年に2,801円(21米ドル)に達し、今年の増額は2020年以降で最も大きい。
JCMは今年の春闘で、賃上げ以外に次の成果を強調している。
- 年間平均5.4カ月分のボーナス
- 2014年以降最大となる月平均7,359円(55米ドル)の賃上げによる企業内最低賃金協定
ミャンマーの組合、EU衣料部門イニシアティブを非難
2023-04-18
【JCM記事要約】
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2023年4月18日:ミャンマーの労働組合は、EUの出資によるMADE in Myanmarプロジェクトを非難している。このプロジェクトは、組合の代わりに使用者に選ばれた「労働者代表」を導入することによって衣料製造部門を支援する、と主張している。
ミャンマーのアパレル産業における適正な雇用のためのマルチステークホルダー同盟(MADE in Myanmar)は、社会的対話・団体交渉メカニズムを促進すると主張している。
このイニシアティブは、コミュニケーションと協力を改善するために、労使委員会ならびに労働者と工場経営陣の訓練・能力強化の開発を支援するとしている。しかし、2021年2月のクーデター以降、軍事政権が組合を攻撃的に弾圧している国では、これは不可能である。
ミャンマー労働同盟をはじめとする組織は欧州連合への書簡で、ミャンマーにおける独立労働組合の禁止は結社の自由を愚弄するものであり、MADE in Myanmarは軍事政権が正当性を得やすくする、と主張している。
インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合も欧州連合に書簡を送り、このEUイニシアティブに対する懸念を表明した。
「使用者は、政治情勢に便乗して労働者から権利を奪っている。ミャンマーでは重大な人権・労働権侵害が続いている」
結社の自由は基本的人権であり、EUの基本原則である。軍事政権下のミャンマーにおける組合と団体交渉権に対する制約は、このEUイニシアティブの正当性に疑問を投げかける深刻な懸念である。
EUへの書簡は次の点も強調している。
「MADE in Myanmarの支援を受けて、代表的ではない組織が国家行政評議会(SAC)の組合登録メカニズムの下で登録されている。MADE in Myanmarは、使用者が厳しく吟味した労働者代表から成る職場調整委員会の設置によって、使用者とSACの両方に、社会的対話が存在するという印象を与えるためのプロパガンダを提供している。これは、ミャンマーは結社の自由を認めている、組合が承認・登録され、自由に活動できる、労働権が保護されているという間違った印象を与える」
2022年9月に倫理的貿易イニシアティブ(ETI)が委託した報告によると、ブランドがミャンマーでデュー・ディリジェンスを実施し、世界的に認められた責任あるビジネス基準に従うことは不可能である。
メッセージは非常に明確である――国際労働組合運動はEUに対し、SMART Myanmar/MADE in Myanmarプログラムへの支持をやめるよう求める。
「インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、MADE in Myanmarが労働者の権利を保護しているかのように見せかけ、その活動がSACを支援し合法化していることに強い反対を表明する」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
ウクライナの組合、平和と再建に尽力
2023-04-13
【JCM記事要約】
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2023年4月13日:インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は4月11日、ポーランドの国境近くの町ワンツトでウクライナの加盟組織13団体との共同戦略会議を開催し、ウクライナのために団結、連帯、取り組みを強化する今後の行動・活動を計画した。
この会合はインダストリオール・ヨーロッパ労働組合の東部小地域会合の直前に開かれ、ポーランド、チェコ共和国、スロバキア、ハンガリー、スロベニアの加盟組合がウクライナの同志を歓迎した。
参加者は、ロシア連邦に占拠されているウクライナの地域の人権・労働権侵害について議論した。この会合にはウクライナ人権監視団の代表が出席し、労働組合権侵害を報告する最善の方法に関する活動を共有した。
ILO部門別政策局(SECTOR)のキャスパー・エドモンズとILO労働者活動局(ACTRAV)のゴチャ・アレクサンドリアが会合に出席し、労働者の結社の自由に対する権利の侵害、強制労働、安全で健康的な労働環境に対する権利をめぐって意見を交換した。
「ウクライナにおけるロシアによる戦争、占領および攻撃は、我が国の経済に莫大な悪影響を及ぼしている。この会合で諸問題について議論し、その解決方法を見つける機会を得てうれしく思う」と原子力労組Atomprofspilkaのワレリー・マトフ会長が述べた。
農業機械部門では、多くの企業が破壊され、物流と販売が遮断された。エネルギー部門では、砲撃や爆撃、ドローン攻撃によって意図的にインフラが破壊されたが、エネルギー労働者は極めて厳しい状況下で命の危険にさらされながら、何とか変電所と送電線を修理した。
石油・ガス部門では、戦争開始時に真っ先に企業が破壊され、多くの石油貯蔵施設と石油製品が焼き尽くされた。同様に、石油化学会社21社が破壊された結果、環境災害リスクが高まった。
5つの発電所を擁する原子力エネルギー部門は主な標的にされており、チェルノブイリ発電所と欧州最大のザポリージャ原子力発電所が占拠された。報告によると、ロシア軍はザポリージャ発電所を乗っ取って労働者を虐待した。この発電所では、戦前の従業員1万1000人のうち今も残っているのはわずか1200人である。
石炭部門は数々の困難に直面しており、ドネツク地域とルハーンシク地域で10の鉱山が破壊された。2022年11月21日、砲撃による停電の中で約2000人の鉱山労働者が地下に取り残された。ウクライナの鉄鋼業の40%が消失し、マリウポリのアゾフスタリ製鉄所とイリイチ製鉄所が破壊された。ヨーロッパ最大のコーラ工場があるドネツク州のアウディーイウカ・コークは、ロシア軍に包囲された。
参加者は、現場の組合員を守るために、すべての事実を国際機関に報告し続けることを約束した。インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合はILOと協力して、合意された計画を実行に移すために、今後数カ月間にキーウで共同行事を開く予定である。
この会合では、かつてウクライナ経済の根幹であった強力な製造業部門に基づく持続可能な経済によって、平和で繁栄する未来に向けたウクライナの回復と再建についても議論した。支援活動で重要な役割を果たす公正な移行プログラムに照らして産業政策ビジョンを開発するために、一丸となって取り組むことに合意した。
参加者たちは、投資が労働者の権利を犠牲にしてはならないことを明確にした。この文脈において、制定または計画された各種労働法の修正をめぐって議論し、懸念が表明された。ウクライナ加盟プロセスとの関連で国際機関ならびに欧州連合当局とやりとりし、社会条件を要求していく。
「ウクライナはEU加盟候補国の地位を与えられているので、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合ファミリーから強力な具体的支援を受けて、私たちは引き続きウクライナの加盟組織にコミットする。統合プロセスにおいてウクライナの加盟組織に準備させるために、あらゆる努力を払う。もちろん、社会・労働権は今後も優先課題だ」とリュック・トライアングル・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記長は述べた。
「この重要な会合で、私たちはウクライナの同志への揺るぎない支援を繰り返し表明した。両組織は、すべての努力と資源を結集することによってウクライナの加盟組織のニーズに応え続ける。ウクライナの組合は存続可能な社会・経済生活に基づく国の再建において重要な役割を果たしており、私たちは彼らと連帯している」とケマル・ウズカン・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長が述べた。
南アフリカで賃金協定の告示が遅れ自動車労働者30万人に影響
2023-04-13
【JCM記事要約】
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2023年4月13日:インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の南アフリカ全国金属労組(NUMSA)は、自動車部門協定の官報掲載の不必要な遅れを懸念している。この手続きによって、賃金協定が当事者以外の労働者にも拡張適用されるようになる。この遅延は、燃料補給所、自動車ディーラー、車体メーカー、部品メーカーの労働者30万人以上に影響を与えている。
賃金協定は、雇用労働大臣が官報に掲載して初めて、非当事者に対して拘束力を持つようになる。これは告示と呼ばれ、この時点から全労働者が協定の利益を得られるようになる。このプロセスが遅れると、労働者が協定の利益を得るのが遅くなる。
労働大臣は、2022年11月に結ばれた協定を4カ月以上経ってから告示した。この協定によって、給油労働者は5%、自動車販売労働者は6.5%、部品メーカー労働者は7.5%賃金が上がった。NUMSAは交渉中のある時点で、賃上げを強く要求するためにスト決行を検討した。
「使用者は直ちに賃上げを実施し、労働者の賃金を不当に減らさないようにしなければならない。燃料小売部門および残りの自動車産業部門の使用者が、昨年11月に自動車産業交渉協議会(MIBCO)で協定が締結された日から増額を先送りする根拠はない。使用者側は労働者を犠牲にして利益を最大化するために賃上げを遅らせている。NUMSAは賃上げ実施を先送りする使用者の行動を非難する。当組合は今後も、将来、労働省による即座の妥結協定告示を確保するために必要な措置を講じていく」とイルヴィン・ジムNUMSA書記長は述べた。
南アフリカの労働法は、大部分の組合と使用者が支持することを条件として、交渉協議会で結ばれた協定の拡張適用を認めている。交渉協議会は使用者団体と労働組合が設置し、拡張は労働大臣の告示によって実施される。協定が非当事者に拡張されれば部門全体で賃金が改善する。
「協定告示の不必要な遅延によって、使用者がしかるべき賃金の支払いを拒否している間、労働者は上昇する生活費を賄うために苦労し続けることになった。この不利益の解消を要求しているNUMSAを支持する」とインダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所所長のポール・フランス・ヌデソミンは述べた。
タイの組合、政府にILO第87号・第98号条約の批准を要求
2023-04-13
【JCM記事要約】
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2023年4月13日:タイの組合は政府に対し、国際的に認知された労働基準の実施を求めている。しかしタイ政府は、国内労働法を修正して国家安全保障上の懸念に対処するまで、両条約を批准することはできないと主張している。
インダストリオール加盟組織のタイ産業労働組合総連合(CILT)とPTTパブリックカンパニーリミテッド国営企業従業員組合(PTTLU)は長い間、結社の自由と団結権の保護に関するILO第87号条約と、団結権・団体交渉権に関するILO第98号条約の批准を求めて運動してきた。
「タイ政府は、自ら選んだ組合を結成し、それに加入する労働者の権利を保護する国際義務を負っている。CILTは政府に、ILO第87号条約および第98号条約を批准し、タイの労働者の結社の自由と団体交渉権を保護するよう強く促す」とアプソーン・クリサナスミットPTTLU議長は述べた。
タイでは法的・制度的障壁により、労働者の権利を行使する能力が制限されている。ILO第87号条約および第98号条約に基づいて権利を行使しようとする労働者に対する差別やハラスメント、報復からの保護もほとんどない。
この国では政情不安が続いており、何度かの軍事クーデターで、国家安全保障の維持を目的に労働法が弱められた。
民間部門従業員を対象とする1975年労使関係法(LRA)と公共部門職員を対象とする国営企業労使関係法(SELRA)には依然、結社の自由と団体交渉の原則を侵害する多くの反組合的な方針が盛り込まれている。
タイの労働者の組織率は2%に満たず、現行法では使用者が組合活動を妨害しても処罰されない。
「政府は組合の勧告に基づいて法案を修正し、可能な限り早くLRAとSELRAの修正案を可決すべきだ」とプラシット・プラソップスック・タイ産業労働組合総連合(CILT)会長は述べた。
インダストリオール・グローバルユニオンは2015年、ILO結社の自由委員会(CFA)に提訴し、タイの使用者が労働者の団結権、団体交渉権および争議行為実施権を繰り返し侵害している実態を示す証拠を提出した。
政府は2020年10月、LRAとSELRAの修正手続きを進めているところであり、この修正はILO第98号条約批准への道を開くだろうと述べた。政府は第87号条約の批准も検討していた。
アメリカ労働総同盟・産業別労働組合会議(AFL−CIO)も米通商代表に提訴し、米国政府が一般特恵制度(GSP)を撤回するよう要求した。この提訴により、2019年にタイ製品573品目のGSPが停止されるに至った。
2022年、タイ政府はLRA修正案法案を発表し、結社の自由の拡大を約束した。それを受けて、CILT、PTTLUならびにタイ労働者連帯委員会(TLSC)は、修正の一部を支持したが、継続的な違反に取り組むには不十分であると主張して、いくつかの修正には同意しなかった。
「タイは非武装化・民主化プロセスを進め、選出された文民政府指導者が常に政治権力を握るようにしなければならない。労働組合の基本的自由が保護されれば、民主的空間の拡大によって組合の影響力が強まる。戒厳令や経済危機の場合にスト権を制限する非民主的な条項を廃止しなければならない」と岩井伸哉インダストリオール地域事務所所長は述べた。
トルコの労働者が賃上げ要求後に解雇
2023-03-30
【JCM記事要約】
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2023年3月30日:自動車サプライヤーのマタ・オートモーティブで、ビルレシク・メタル・イスの組合員が正当な賃上げ要求への対応として使用者から解雇された。
組合員たちは2月27日からストライキ中で、25%の追加賃上げ、労働条件の改善、職場の安全衛生改善を要求している。
争議行為が始まって以来、マタ・オートモーティブ経営陣は労働者の要求に抵抗し、敵対的な態度を示した。経営側はトイレに施錠して労働者が使えないようにし、ビルレシク・メタル・イスと誠実に交渉するどころか、650人の組合員を解雇した。
労働者は組合とともに、地域社会と市民社会組織の支援を受けて、当初の労働条件改善要求と併せて復職を要求している。
高インフレと購買力低下を受けて、多くのトルコの労働者・組合が、マタ・オートモーティブが活動している大規模な金属部門をはじめ、さまざまな部門で特別の賃上げを獲得するために総力を結集している。
ビルレシク・メタル・イスと組合員はキャンペーンの一環として、要求を伝えるためにイスタンブールからアンカラまで行進することを決定した。しかし3月27日、労働者は機動隊によって阻止された。
このような混乱にもかかわらず、労働者はアンカラにたどり着き、自分たちの要求について政党や当局とやりとりした。
ビルレシク・メタル・イスのアドナン・セルダログル会長は次のように述べた。
「トルコは、大臣と議員の大多数が資本のスポークスパーソンである政府に長年支配されてきた『有力者のパラダイス』になっている。このため、彼らは私たちの進路を妨害することによって、アンカラの当局に正当な要求を伝えさせまいとした」
インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のリュック・トライアングル書記長は言う。
「トルコはEUの加盟候補国だが、3月のマタ・オートモーティブの妨害に見られるように、実際には欧州の価値観と原則、規則に完全に反している。私たちはこの反民主主義的な行動を拒絶し、抗議する。平和デモは人権だ。私たちは抵抗しているマタ労働者と連携する」
ケマル・ウズカン・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長は次のように述べた。
「私たちはマタ・オートモーティブならびにビルレシク・メタル・イスの同僚と連帯する。解雇された労働組合員を直ちに復職させ、彼らの要求に応じなければならない。労働者が安全衛生と賃上げ、基本的権利を求めて闘っているときに解雇されるのを許すことはできない。公正が得られるまで、この闘いを支援する」
マタ・オートモーティブは、テスラ、ベントレー、ジャガー、アウディといった高級自動車ブランド向けに部品を製造している。
ベラルーシで組織的弾圧
2023-03-24
【JCM記事要約】
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2023年3月24日:今月、ILO理事会ならびに国連人権高等弁務官(OHCHR)が、ベラルーシの人権状況に関する強力な声明を発表し、同国政府に独立労働組合関係者の迫害中止を求めた。
ILO理事会はジュネーブ会合でベラルーシ政府に対し、結社の自由の尊重と独立労働組合および使用者団体の合法化を再度求めた。
理事会は、平和的集会への参加や労働組合活動の実施を理由に投獄されている組合幹部・組合員を全員釈放し、関連する告発をすべて取り下げるよう要請した。
さらに、理事会は6月の次期ILO総会の議題にベラルーシを盛り込んでいる。
UNCHRは3月17日、ベラルーシにおける広範かつ組織的な国際人権法違反を立証する報告書を発表した。
この報告書でUNCHRはベラルーシ政府に対し、「批判者とみなされた人々の組織的弾圧をやめ、政治的理由で拘留されている人たち全員を直ちに釈放する」よう強く促し、「全国で重大な人権侵害が加えられている」と結んでいる。
報告書の言う反対派に対する暴力・弾圧キャンペーンの中で、人権活動家やジャーナリスト、労働組合活動家が明らかに標的にされている。
「OHCHR報告は、ベラルーシ当局はただページをめくるだけではだめだと示唆している。この報告書は、拷問、暴力の行使(生命の不当な剥奪や、頻発する恣意的な拘禁、虐待ならびに性的暴力およびジェンダーに基づく暴力など)、表現・平和的集会・結社の自由の権利の侵害、適正手続きおよび法律による平等の保護を受ける権利の否定の責任者全員が処罰されるようになるという希望を与える」とインダストリオール加盟組織BNPのマキシム・ポズニアコフ会長は言う。
当局は国内の独立組合を容赦なく取り締まっている。3月に入って、さらに多くの活動家が捏造された容疑で逮捕された。
「国際社会はベラルーシで加えられている侵害にスポットライトを当てている。同志たちが基本的権利の行使を理由に残酷に処罰されている中で、何もせずに傍観しているわけにはいかない」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
ビシャカパトナム・スチールプラントで労働者9人が負傷
2023-02-15
【JCM記事要約】
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2023年2月15日:2月11日、インドのビシャカパトナム・スチールプラントの鉄鋼溶解工場の1つで溶鋼が落下し、契約労働者5人を含む少なくとも9人の労働者が負傷した。
労働者たちが排滓鍋を移動させるために道をあけようとしていたときに事故が発生した。3人が重度の火傷を負い、うち1人は重体である。この事故はビシャカパトナム・スチールプラント傘下のラシュトリヤ・イスパット・ニガム(RINL)で起こった。
インダストリオール加盟組織のインド全国鉄鋼・金属・鉱山・機械従業員連盟(INMMS&EEF)とインド鉄鋼・金属・機械労連(SMEFI)によると、事故の原因は、工場経営陣が十分な安全機構の確保を怠ったことである。両組織は経営側に文書も提出し、契約労働者を含む労働者向けの適切な訓練に投資するよう要求した。すべての部門から安全委員会のメンバーも任命しなければならない。
さらに、この製鉄所の総合病院には、そのような重傷への対処に必要な資源がない。
ラージシェーカル・マントリINMMS&EEF現会長は言う。
「ビシャカ・スチール総合病院の機能を高め、事故関連損傷の重傷度を軽減するために必要な設備を備えなければならない。労働者をスーパースペシャリティ病院に差し向けるのではなく、火傷病棟に十分な施設を設け、このような緊急事態に際して応急処置以上の治療を提供できるようにしておくべきだった」
インド政府は、近い将来この製鉄所を民営化することになっている。インダストリオール加盟組織は、これに関して懸念を表明しており、昨年は抗議行動まで実施し、経営側にこの黒字国有工場の民営化に反対する覚書を手渡した。
アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は言う。
「労働安全衛生は労働者の基本的権利だが、インドでは職場の安全が低下し続けている。RINL経営陣は適切な安全機構を導入し、労働者が命を落とすことのないようにしなければならない」