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第170号インダストリオール・ウェブサイトニュース

バングラデシュの船舶解撤労組は労働者支援の要

2024-03-07

2024年3月7日:船舶解撤は世界で最も危険な仕事の1つとみなされている。船舶解撤場で雇われている労働者は、貧困賃金を得るために不安定な労働条件で働くことを強いられている。安全装置もなく、仕事のための適切な訓練も受けないまま船を切断する作業は、労働者の命に極めて大きな危険をもたらす。


バングラデシュの船舶解撤場の状況も、まさに同じである。昨年、船舶解撤場で30件を超える事故があり、少なくとも5人の労働者が死亡、その他数人が負傷した。インダストリオールと加盟組織は、バングラデシュの船舶解撤場を労働者にとってより安全にするために絶えず取り組んでいる。仕事が季節要因に左右され、常用労働者の概念が存在しないため、この部門の労働者の組織化は骨の折れる作業である。

さらに、使用者は組織労働者が自分たちの権利を守ることを望んでいないため、解撤場での組織化努力を妨害し、しばしば組合つぶし活動を行う。これらの課題にもかかわらず、インダストリオール加盟組織は、労働者を組織化して安全な職場で働く権利を主張し続けている。

過去3年間に、加盟組織は何件かの事故を記録・報告し、職場で死傷事故が発生した場合に使用者に労働者とその家族への補償金を支払わせることができた。バングラデシュ金属労働者連盟(BMF)は、負傷した労働者1人のために5万バングラデシュ・タカ(450米ドル)の補償を獲得することに成功し、別の労働者1人の治療費2万バングラデシュ・タカ(180米ドル)を確保した。

バングラデシュ金属・化学・衣料・縫製労連(BMCGTWF)は、SNコーポレーションのポンプ操縦員が10万バングラデシュ・タカ(900米ドル)の補償を受けられるよう支援した。同労連はモタラブ・スチールで死亡した現場主任の遺族も援助し、63万2,000バングラデシュ・タカ(5,700米ドル)の補償金を支払わせた。

組合は、労働裁判所でも労働者の権利侵害を積極的に訴えている。BMCGTWFは、クリスタル・シッパーズ社の労働者解雇に関して、2件の新たな訴訟を起こした。BMFも、ジャナタ・スチールで冤罪が着せられたとき、労働組合員を支持する命令の獲得に成功した。

BMFとBMCGTWFは2023年、労働者78人の復職確保に成功し、失業した何人かの労働者の退職給付と祝祭手当を獲得した。組合は、97人の労働者が使用者から解雇手当を受け取るのも支援した。

昨年、バングラデシュ政府の香港条約批准を求めるインダストリオールのキャンペーン努力が実を結び、バングラデシュが条約を批准した。香港条約は来年発効することになっている。この条約は解撤場で労働者の安全を確保する重要な手段である。

ウォルトン・パントランド・インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は言う。

「船舶解撤は、組合が組織化を行ううえで困難かつ危険な環境にある。バングラデシュの加盟組織は、不公正との闘い、復職の獲得、報酬の要求によって労働者のニーズに応えている。次の措置は、共同で組織化し、解撤場所有者、使用者団体および政府から承認を勝ち取ることだ」

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