スト権――労働者の権利拡大の中核
2024-08-15
2024年8月15日:スト権と団結権は労働者の権利拡大の根幹となる柱であり、国際労働機関(ILO)第87号および第98号条約に正式に記されている。これらの権利は、労働者と組合が自分たちの利益を守り、使用者の絶大な経済的・政治的影響力に対して自らの力を誇示するために不可欠である。ストライキをする能力がなければ、労働者は賃金交渉や労働条件、職場における尊厳に関して無防備な状態になってしまう。
これらの保護の中核にあるのが団結権である。この権利は、従業員が団結し、共通の問題に関して集団で意見を主張できるようにする。
しかし世界の一部の地域では、組合差別が広く見られる。団体交渉を行っている企業でさえ、可能な場合は組織化努力に抵抗し、労働者の基本的権利をむしばんでいる。
その顕著な例は、インダストリオール加盟組織の全米自動車労組(UAW)が先ごろ行動を起こし、ドナルド・トランプ前米大統領とテスラCEOのイーロン・マスクを連邦労働当局に告発したことである。この告発は、スト実施によって自らの権利のために闘う労働者を不法に威嚇・脅迫したとして両者を非難している。この事例は、大きな国際的影響力を持つ企業においてさえ、労働権を求めるグローバルな闘いが続いていることを浮き彫りにしている。
反組合な態度で悪名高い企業であるテスラは、全世界で12万人以上の労働者を雇用しているが、団体交渉を行うことを拒否している。テスラでの組織化の試みは激しい抵抗に遭っており、イーロン・マスク自らが、組織化を試みる労働者に報復すると脅している。これは特にスウェーデンで、労働組合との深刻な緊張を招いている。
スウェーデンの組合IFメタルは、テスラの反組合的慣行に対して初めて行動を起こし、2023年10月27日にテスラ所有の自動車修理工場12カ所で争議行為を開始、さらに20工場に範囲を広げた。
昨年11月の短い交渉にもかかわらず、テスラは頑なな態度を崩さず、労働協約への署名を拒否した。同社経営陣は労働権を無視し、労働権は「当社のコンセプト」に含まれていないと主張している。イーロン・マスクは組合を公然と批判し、組合は企業の中で分裂や否定的な傾向を生み出すと主張した。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
「イーロン・マスクのビジネスモデルは、人権の尊重を回避するように設計されている。私たちは労働者を守り、彼らが手に入れようと長いこと闘ってきた権利を擁護しなければならない。UAWの闘いを支持する」
この紛争はテスラと同社労働者だけの問題ではなく、より幅広い労働権闘争と、団結権・スト権の決定的な重要性を示すシンボルでもある。これらの権利がなければ、世界中の労働者が搾取や不公正に対して無防備なままである。スト権は単なる手段ではなく、労働者が自分自身のために、お互いのために決起できるようにする極めて重要な防御策でもある。
写真:フリッカー
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/the-right-to-strike-the-heart-of-worker-empowerment
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