ネクスペリア・フィリピンが組合指導者4人を解雇
2024-12-19
ネクスペリア・フィリピンは組合活動に干渉し、メアリー・アン・カスティーリョ会長を含む組合役員4人を不当に解雇した。
ネクスペリア・フィリピン労組は、フィリピン金属労働者同盟(MWAP)を通してインダストリオール・グローバルユニオンに加盟している。同労組は、10月にレイオフされた労働者の職場復帰の取り決めに成功したあと、使用者との団体交渉を再開した。
ところが昨日、ネクスペリア・フィリピンは4人の組合指導者を解雇し、彼らが11月15日に出入口を封鎖したと非難した。しかし、組合役員は団体交渉の状況について組合員に最新情報を伝えていただけだった。
同労組によると、この措置は使用者が団体交渉で誠実に対応せず、組合の弱体化を狙っていることを示している。組合は1年を通じて組合つぶしと不当労働行為にさらされており、進行中の紛争のために何度かスト通告を出した。
ジュリアス・カランダンMWAP書記は言う。
「1年近くの労働協約交渉で労働者は大きな圧力を受けており、交渉が行き詰まってスト通告の提出を余儀なくされた。この行動は、労働条件改善と適切な給付を求める組合の合理的な要求に取り組まない経営側への明確な対応だ」
「特に電子部門で全労働者間の団結を呼びかけるMWAPの要求は、いかなる搾取に対しても総合力を発揮するうえで極めて重要だ。ネクスペリア労働者の闘いは、人道的な扱い、公正な賃金および雇用保障を求めて努力しているフィリピンの労働者全員の闘いでもある」
アレクサンダー・イワーノウ・インダストリオールICT電機・電子産業担当部長は言う。
「インダストリオールは、会長を含む4人の組合指導者の不当解雇を強く非難する。これは労働者の権利に対する露骨な攻撃であり、組合とその団体交渉努力の弱体化を狙っている。この報復行為は、2024年を通して同社が不誠実に対応し、絶えず組合つぶしをしてきたことを裏付けている。私たちは組合と連帯しており、ネクスペリアに対し、解雇された指導者たちを直ちに復職させ、公正な扱いと交渉に対する労働者の権利を尊重するよう求める」
写真提供:MWAP
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/nexperia-philippines-dismisses-four-union-leaders
インダストリオール青年フォーラム、人工知能と仕事の未来を探求
2024-12-19
12月13日、世界中の約120人の若手組合リーダーと活動家が、人工知能(AI)に関するインダストリオール青年フォーラムに出席した。このフォーラムは、職場におけるAIがもたらす複雑な課題と機会に対処するための知識とツールを若手労働者に与えるという点で、重要な一歩となった。
インダストリオールの松﨑寛書記次長は、青年の参加の重要性を強調し、次のように述べた。
「青年の積極的な参加は、インダストリオールのAI政策を策定し、AIの課題と機会に対応する機敏かつ先見性のある集団戦略を構築する上で不可欠である」と述べた。
フォーラムは、AIが仕事の世界に与える影響について考察することから始まった。参加者は、AIがどのように職場の形を変えつつあるのかを探り、労働者にとっての潜在的なリスクとメリットの両方を検討した。ディスカッションでは、データ分析を通じて、AIシステムが労働組合の力を増幅し、職場の安全性を高め、交渉能力を向上させる可能性があることが強調された。しかし、登壇者は2つの重要な点を強調した: それは、AIシステムにはコストがかかること、そしてその導入は目的主導型でなければならないことである。
「AIを導入する前に、」ある講演者はこう指摘した。
「AIを導入する前に、目的は何かを自問する必要がある。明確な目的がなければ、時間と資源が無駄になる危険性が高い。」
AIが雇用に与える影響を予測するのは難しく、国の経済、労働人口統計、導入戦略などの要因によって異なる。AIは非定型的な認知作業を得意とし、特に熟練ホワイトカラーの仕事を脆弱化させる一方で、女性労働者はさらなるリスクに直面している。国際労働機関(ILO)の予測によると、女性は自動化の影響を受けやすい事務職や管理職に偏って集中している。さらに、女性がSTEM分野に少なすぎるために、AI主導の経済における男女間の不平等が深刻化する。
フォーラムでは、AIの機会への公平なアクセスを確保するために、デジタル・デバイドを解消する緊急の必要性が強調された。参加者は、グローバル・サウスにおけるデジタル・インフラを拡大し、農村部や社会から疎外されたコミュニティにまで拡大することを提唱した。端末へのアクセスを確保し、デジタル・リテラシー・ プログラムを実施することは、若い労働者がデジタル環境 で活躍できるようにするための極めて重要なステップである と指摘された。
労働組合活動家には、プログラミング技術の習得に重点を置くのではなく、使用者が導入するAIシステムの目的を理解することに重点を置くよう助言があった。この戦略的分析によって、労働組合は公正で倫理的なAIの利用を効果的に交渉・擁護することができる。
参加者は、欧州連合とカナダのオンタリオ州の事例をもとに、既存のAI規制について検討した。新しいAI規則を既存の枠組みに統合し、重複したシステムを新たに作るのではなく、確立された保護を強化するという点で意見が一致した。この方法により、実施が合理化されると同時に、労働者の権利が保護できる。
講演者はまた、AI倫理に関するより広範な社会的議論に参加するよう若手組合員を奨励し、他の社会運動と協力することで、AI関連の課題や倫理に対するより包括的な対応が可能になると指摘した。
AIのエコロジカル・フットプリントも重要な焦点だった。データセンターやAIのインフラはエネルギーを大量に消費するため、環境面で大きな懸念がある。参加者は、より広範な気候変動アジェンダの中で、組合がこれらの問題への 取り組みをより重視するよう求めた。AIのバリューチェーンの中核をなす産業の中心に位置するインダストリオール独自の観点から、AIの持続可能な実践に影響を与える機会が得られる。
インダストリオールのインダストリー4.0専門家グループのメンバーであるドルカス・ノルピリは、包摂的なデジタル経済を構築するための周到な行動を促した。
「地理的な場所に関係なく、すべての青年がインフラ、ツール、リソースに平等にアクセスできるよう、慎重な措置を取る必要がある。」
フォーラムは、AIの方向性を形作るために必要なスキルと知識を若いリーダーたちに身につけさせるという強い決意で締めくくられた。インダストリオールがAI政策を継続的に発展させていく中で、革新を受け入れながら労働者の権利を保護する集団戦略を練り上げるには、青年の積極的な参加が引き続き極めて重要である。
画像1:この記事には、フォーラムのテーマを反映してデザインされたAI生成画像が添付されている。
グローバルユニオン、国連の企業の説明責任に関する条約の推進を要求
2024-12-18
今週、企業の説明責任に関する拘束力のある国連条約に関する第10回交渉ラウンドが再開される中、インダストリオール・グローバルユニオンはITUCや他のグローバルユニオンとともに、グローバルサプライチェーン全体で働く労働者に正義と説明責任をもたらすための断固とした行動を求めている。
多国籍企業およびその他の企業における人権尊重に関する多国間作業部会は2014年に設立された。その任務は、国際人権法において多国籍企業およびその他の企業の活動を規制する国際的な法的拘束力のある手段を開発することである。
10年近く議論が続けられているこの条約案は、国際人権法における顕著なギャップを埋め、企業の免責を終わらせることを目的としている。その重要性にもかかわらず、動きは停滞している。予定より遅れていた第10回交渉ラウンドは、今こそ前進する重要な機会である。
「労働者はこれ以上待てない。企業に責任を取らせる条約は、正義を確保し、権利を保護し、グローバル経済のバランスを回復するために不可欠である」と
インダストリオール書記次長のケマル・ウズカンは述べた。
グローバルユニオンと市民社会組織は共同で、労働者の声を優先する透明性のある包括的なプロセスが必要であることを繰り返し主張している。
条約に関する労働組合の優先事項には以下が含まれる。
- 幅広い適用範囲:労働者の基本的権利を含む、国際的に認められたすべての 人権の包含。
- 包括的な適用:規模や部門に関係なく、すべての企業への適用。
- 域外適用規制:多国籍企業の 人権侵害の被害者に対する司法へのアクセス。
- 人権デュー・ディリジェンス:企業に対する義務的な方針および手続き。
- 企業の説明責任:人権法に基づく企業に対する明確な義務。
- 国際的な執行:強固なグローバルな監視および履行メカニズム。
「国連拘束力のある条約の第10回交渉は、重要な段階にある。私たちは、労働者や人々に対する正義、そして企業に対する説明責任と責任に関する国際的な拘束力のある規則を必要としている。今こそ、強固な条約のために共に活動すべき時である」
とケマル・ウズカンは述べた。
トルコで金属労働者のストが再び禁止
2024-12-17
国家安全保障を理由にストを禁止するトルコ大統領令を受けて、GEグリッド・ソリューションズ、日立電気、シュナイダーエレクトリック、アリタシュなどの大手企業で、金属労働者によるストライキ行動が停止している。インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、4社の10工場に影響を及ぼす禁止令を非難、使用者に対し、民主主義と労働者の基本的権利に対するこの攻撃を履行しないよう強く促している。
この争議行為はビルレシク・メタル・イス(合同金属労組)が組織したもので、12月4日にカルタル、トゥズラ、ディロバスおよびドゥドゥルの日立工場で始まった。12月13日、ストはGEグリッド・ソリューションズ、日立電気、シュナイダーエレクトリック、アリタシュの工場に拡大した。約2000人の労働者(すべてビルレシク・メタル・イス組合員)が参加し、トルコの急激なインフレに見合った賃上げを要求した。
使用者連盟MESSとの交渉は、経営側が40%の賃上げを提示したあと決裂した。40%では労働者の所得が貧困ラインを下回るため、この案は不十分とみなされた。対照的に組合側は、実質賃金の喪失を相殺して組合員の生活賃金を確保するために、125%の増額を要求した。
トルコ政府は12月13日、国家安全保障上の懸念を理由に、ストを60日延期する命令を出した。トルコの法律では、一度ストが延期されたら、紛争を強制仲裁にかけなければならないため、労働者は実質的に行動を再開できなくなる。
組合側は、政府の理由の正当性に強く異議を唱えている。影響を受ける職場はもっぱら輸出向けに変圧器を生産しており、国内の安全に目に見えるリスクを及ぼさない。「変圧器製造工場が国家安全保障を侵害することはあり得ない」と、ある組合代表は述べた。
組合によると、現地経営陣はスト中の労働者にメッセージを送り、仕事に戻らなければならないと伝えた。労働者を怖がらせて争議行為をやめさせるために警察が職場周辺に呼び入れられたという報告や、スト中の労働者が仕事に戻らなければ解雇すると報復の脅しを受けているという報告もある。
それぞれインダストリオール・グローバルユニオン、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合の書記長を務めるアトレ・ホイエとジュディス・カートン=ダーリングは使用者に対し、労働者の権利を尊重して禁止令の実施を控えるよう求めている。
「トルコでスト権を弱体化させるために法律が悪用されていることは明らかです」と書簡は述べ、スト権を基本的労働権と認めるトルコ憲法裁判所と国際労働機関(ILO)による以前の裁定を強調している。
「これは到底容認できません。労働者は公正かつ適正な賃金を受けるに値し、団体交渉権を支持しなければなりません。この闘いにおいてトルコの労働者と組合を支持します」
写真:Birleşik Metal İşçileri Sendikası
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/turkiye-metalworkers-strike-banned-again
インドで400人以上の労働者が職場の安全対策の怠慢により死亡
2024-12-12
インドの職場安全にとって、2024年もまた恐ろしい年となった。インダストリオールがまとめたデータによると、12月10日までに製造業、鉱業、エネルギー部門で少なくとも240件の労働災害が発生し、400人以上が死亡、850人以上が重傷を負った。労働災害は過少報告されているため、実際の数字はかなり多いとみられる。
「今月、私たちは、何万人もの命を奪ったユニオン・カーバイド社のボパール工場ガス災害から40年を迎える。インドは今もなお、世界で最も危険な職場であり、労働災害による死亡者数は世界のどの国よりも多い。権威主義的な政府は、労働者の命よりも利益を優先し続けているため、労働衛生安全法を弱体化させている。失われた保護を取り戻し、安全で安定した雇用を勝ち取るためには、私たちは断固とした反撃を展開しなければならない」と
と、インダストリオール執行委員のガウタム・モディは言う。
化学・製薬部門では、今年、最も深刻な事故がいくつか発生した。この部門では110件以上の労働災害が発生し、少なくとも220人の労働者が死亡、550人以上が重傷を負った。8月21日には、アンドラ・プラデーシュ州の経済特区にある製薬工場で爆発が起こり、18人の労働者が死亡、30人が負傷した。この工場はエスシア・アドバンスト・サイエンシズ社が所有している。
5月には、ムンバイにあるアムダン・ケミカルズ所有の化学工場で大規模な爆発が起こり、少なくとも13人の労働者が死亡、60人以上が負傷した。報道によると、化学物質の混合や保管における不十分な予防措置など、安全対策の不備が爆発の原因となった。2月には、デリーのペンキ工場で火災が発生し、11人が死亡、さらに多数が重傷を負った。デリー市当局は後に、その工場が違法に操業していたことを確認した。
安全違反は化学・製薬業界に限ったことではない。鉱業では少なくとも22件の事故が発生し、60人の労働者が死亡、50人以上が重傷を負った。エネルギー部門では、今年に入って20人以上の労働者が労働災害で死亡している。2月には、ハリヤナ州の部品製造施設でボイラーが爆発し、少なくとも14人の労働者が死亡、25人以上が重傷を負った。この工場はインドの広大な自動車サプライチェーンの一部である。
こうした事件は単発的なものではなく、職場における規制の体系的な低下の兆候である。事故は安全規則の重大な怠慢、監督システムの脆弱さ、不十分な工場検査、そして多数の未熟練で不安定雇用労働者を原因として発生していることは明らかであり、死亡・負傷した労働者の大半は不安定雇用労働者である。
近年、インド政府は事業成長を促進するために、職場査察および認可に関する規制を緩和している。新しい労働安全衛生法は、労働者の権利や安全よりもビジネスのしやすさを優先し、査察制度を大幅に弱体化させた。査察官は、自己認証や民間監査により、抜き打ち査察を実施したり、違反者に対して即座に法的措置を取ったり、効果的にコンプライアンスを検証したりすることができなくなった。
「この国の労働安全衛生は憂慮すべき状況にある。労働災害が毎日驚くほどの割合で発生しているのは、職場の安全対策が不十分であることを反映している。私たちは使用者に、労働組合やDGFASLI(工場助言サービス及び労働研究所局)と積極的に協力して、安全な職場を確保するための行動計画を実施するよう強く求める」
と、サンジャイ・ヴァダフカル・インダストリオール執行委員は述べた。
この危機への対応の緊急性を強調して、インダストリオール書記次長のケマル・ウズカンは次のように述べた。
「安全な職場への権利は、労働における基本原則および権利のひとつである。インドの職場安全の悲惨な現状を見れば、この基本的な権利が侵害されていることは明らかだ。インド政府に職場安全規則を見直し、安全対策の不備によるさらなる死亡事故を防ぐために労働組合と社会対話を行うよう強く求める」
写真:ATLAS自転車の製造および組み立てライン。インド・ハリヤナ州のATLAS工場。著作権:Marcel Crozet / ILO
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/over-400-workers-killed-in-india-in-due-to-workplace-safety-lapses
労働者には組合が必要で、組合には労働者が必要
2024-12-10
2024年11月26-27日にインダストリオール初のLGBTI+労働者に関するオンライン討議が行われ、職場と労働組合でLGBTI+の人々が直面している重要な課題への注意を喚起した。これらの課題には、差別的な法律、職場での暴力、排除、組合内部に広がる同性愛嫌悪やトランスジェンダー嫌いが含まれる。この2日間に参加者たちは、積極的行動に関する感動的な話を共有した。組合員は、包括性と公平性を支持するために休むことなく活動し、これらの課題を変化のための機会に変えている。
クリスティーナ・オリビエ・インダストリオール書記次長が、性的指向や性自認に関係なく、すべての労働者の権利を保護するグローバルな組合運動の責任を強調した。
「グローバル・ユニオンとして、すべての労働者の権利を代表・保護することは私たちの責任だ」
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長が付け加えた。「そろそろこの会合を開く時期だ。この会議の参加者全員が、LGBTI+労働者が至る所にいることに気づいている。すべての労働者が労働組合を必要とし、私たちは労働者を必要としている」
このセミナーは、性的指向や性自認、ジェンダー表現、性的特徴といった主要な用語の包括的な概観を提供し、これらの言葉を地域ごとの文脈で理解することの重要性を強調した。これは組織を関与させて包括的な文言や方針を促進するために欠かせない。
ILGAワールド(国際レズビアン・ゲイ協会)が作成したLaws on Us 2024報告は、LGBTI+の権利に影響を及ぼす世界の法的状況における進展と後退の両方を浮き彫りにした。同性間の性行動を違法としている国の数の減少など、いくつか進展があった。しかし、ウガンダの死刑制度や、イラクやインドネシアのような国々における犯罪化の増加のような後退は、進行中の課題を強調している。さらに、LGBTI+の人々のための職場保護や医療保護は今なお制限されており、雇用保護を提供している国はわずか77カ国で、医療保険がある国も53カ国にすぎない。
インダストリオール加盟組織の組合員による個人的な話は、LGBTI+労働者が直面する課題に光を投じた。カンボジア労働組合同盟(CATU)の代表が、LGBTI+の人々を保護する政策の欠如と雇用における差別について話した。スリランカからの参加者が、同性愛者がしばしば解雇され、LGBTI+の人々が社会的に無視された部門に追いやられている実態を伝えた。
フィリピンの合同労組(ALU)代表が、安全空間法のような法律による進展を説明すると同時に、差別からの包括的な保護を提供するSOGIE平等法案の行き詰まりも取り上げた。
CNQブラジルからの参加者が、組合の議題にLGBTI+問題を統合し、文化的偏見を克服するために認識を高める必要があると力説した。
エルサルバドルFEASIASの代表が、LGBTI+労働者のために安全な場を作っていること、フェミニスト運動と協力して組合内部でLGBTI+を優先させていることについて語った。
全米鉄鋼労組(USW)代表が、組合はLGBTI+労働者が安心感を得て、支えられていると感じる場所を設けなければならないと強調した。
ILGA労働組合予備会談の結果報告も、インダストリオール組合員が確認した勧告を強調していた。例えば、LGBTI+問題を労働協約に盛り込むこと、青年の関与を優先すること、そして、さらに重要なことには、LGBTI+問題は幅広いジェンダー問題であるため、女性委員会の範囲内にとどめてはならないことである。
インダストリオールは今後、LGBTI+労働者の組織化と彼らの権利をめぐる交渉にあたって、加盟組織を支援することを約束している。LGBT調整委員会(GUFおよびITUC)で引き続き協力し、ウェブサイトを利用してLGBTI+労働者、労働協約の文言、多様性の促進、安全な職場に関する資源を共有することにしている。さらにインダストリオールは、意識向上プログラムによってスタッフと加盟組織の認識向上に重点を置く。包括性チェックリストも作成し、組合が改善すべきところを確認して、より包括的な職場を確保できるよう手助けする。
インダストリオールは、地域・世界ネットワークの構築、フォーカスグループ討論の企画、認知度の向上によって、LGBTI+労働者の権利に対する自らの影響を強化し、労働運動内部で包括性を高めていくことを目指している。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/all-workers-need-a-union-and-unions-need-workers
MENAの組合、デュー・ディリジェンスの課題に対処
2024-12-10
中東・北部アフリカ(MENA)地域の労働組合は、サプライチェーンで人権および労働者の権利に関するデュー・ディリジェンスを実施するために、より強力な措置を要求している。インダストリオールが11月13-14日にチュニスで開催した地域ワークショップで、組合指導者は説明責任、実施の不足、連帯の必要性に関する差し迫った問題を強調した。
このワークショップには、モロッコ、チュニジア、エジプト、ヨルダン、バーレーン、イラク、レバノン、パレスチナ、それにドイツ、フランス、ノルウェー、オランダなど欧州諸国からの参加者が出席した。
ヌールディン・タボウビUGTT書記長が、協力の重要性を強調した。
「国境を越えて組合間のネットワークを強化し、労働者の権利を擁護するための手段を開発することは、連帯と社会的公正を強化する。経済的・社会的権利は基本的自由と切り離すことができない。この地域、特にチュニジアにおけるインダストリオールの努力は非常に貴重だ」
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長が、より公正なサプライチェーンの創出におけるデュー・ディリジェンス法の役割を強調した。
「デュー・ディリジェンスの手段と最近成立した法律によって、労働組合は企業に、労働者に関連する倫理的・法的な基準や慣行に対して責任を負わせることができる。これらの拘束力のあるルールの狙いは、労働・環境条件の尊重を確保すると同時に、搾取を防止すること。これらの基準の実施は労働組合にとって、基本的権利、特に結社の自由と団体交渉権を確保するうえで重要だ」
参加者は、MENAで活動している多国籍企業の説明責任が限られていることに懸念を示した。この地域の法律は、しばしば適正な労働条件を保証しておらず、労働組合権を支持していない。報告から、劣悪な安全衛生条件と労働者代表の法的承認の欠如が浮き彫りになった。
アーメド・カメル・インダストリオールMENA地域事務所所長が、この地域への欧州による投資が増える中で、この不備に取り組むことの緊急性を強調した。
「各国の状況が異なるにもかかわらず、ネットワーク構築と共同労働組合行動は、基準向上と対話促進に具体的な進展を達成している。世界生産ネットワークで労働者を擁護するために、強力な手段と法律が必要だ」
ヨーロッパの労働組合代表は、デュー・ディリジェンス法への各国の取り組みを共有した。インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のフィリップ・デュシャンが、透明性と説明責任を促進する法的枠組みにおけるEUの進展を概説し、組合が提言努力でこれらのメカニズムを活用することを奨励した。
他の発言者たちが各国のモデルを発表した。
フランス:ブノア・オスタータークFGMM-CFDT執行委員が、労働者保護を強化するための基礎として組合員数の増加を強調した。
ドイツ:IGメタルのクラウディア・ラーマンが、児童労働・強制労働を含む違反に取り組むために、ドイツのデュー・ディリジェンス法に基づいて利用可能な訴訟の選択肢を強調した。
オランダ:FNV政策アドバイザー(国際問題担当)のビビアン・バエッセンが、7本のデュー・ディリジェンス関連法案提出をめぐるオランダの経験を説明し、労働者の条件改善、団体交渉の実施、人権の保護におけるその役割を強調した。
ノルウェー:カトリーネ・ファウスケLOノルウェー国際局次長が、法令遵守、苦情処理制度、世界的な労働者の連帯に重点を置くノルウェーの方針を強調すると同時に、訓練プログラムとサプライチェーンにおける言葉の障壁の解消の必要性を取り上げた。
サロウアン・スミリ・チュニジア石油・化学一般労組(UGTT)書記長が、実施強化の必要性を力説した。
「欧州の法律は人権・労働組合権の尊重を義務づけているが、MENA諸国では、これらの基準が無視されていることが往々にしてある。この欠陥を補うために真摯な行動が必要だ」
ハビブ・ハザミ・インダストリオール副会長兼チュニジアFGTHCC-UGTT書記長が次のように述べた。
「欧州のデュー・ディリジェンス法は、グローバルサウスにおける労働者擁護の突破口を開く。チュニジアで活動している欧州企業との紛争に取り組むために、すでにこれらのメカニズムを活用している」
タハール・ベルベリUGTT民間部門担当書記次長が述べた。
「インダストリオールと協力できて光栄だ。この協力は、特にグローバル化が労働状況に重大な影響を及ぼしている中で、地域の労働組合活動を後押ししている。気候変動、第4次デジタル革命、人口動向および人口高齢化は、労働者・労働組合が直面している最大の課題だ。労働組合員は訓練やネットワーク構築、世界的な労働者の連帯のレベル向上を通して、周到に準備する必要がある。そのようなわけで、このワークショップは実に重要だ」
ワークショップの最後に、MENA地域で労働者の権利を推進するための統一ロードマップが発表された。これには、多国籍企業の事業をめぐる調整の強化、人権デュー・ディリジェンスに関する意識向上キャンペーン、主要部門(自動車、航空宇宙、石油・ガス、化学、ICTなど)における的を絞った行動が含まれている。
加盟組織は地域・国家レベルでデュー・ディリジェンスに関する活動を拡大し続け、域外の姉妹組合や市民社会、援助してくれる支持団体と協力しながら、さらに能力を強化していく。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/unions-in-mena-tackle-due-diligence-challenges
韓国の金属労働者、民主主義を守るために全国スト実施
2024-12-06
インダストリオール加盟組織の韓国金属労組(KMWU)による2時間のゼネスト要求に数万人の労働者が応じ、韓国の金属部門では今日、工場が稼働を停止した。このストは、KMWU中央執行委員会の緊急会議で、12月5日および6日に各シフト2時間以上のストを行い、尹錫悦大統領に退陣を求めるよう要請されたことを受けたものである。
KMWUの決定は12月3日の尹大統領の戒厳令布告を受けて下されたもので、次の不法な戒厳令がいつ敷かれるかという不確実な状況が続く中、労働者が平和的なストライキ行動を起こし、尹大統領の辞任によって今回の危機に終止符を打てるという希望がある。
韓国の民主主義基盤は労働者と市民の犠牲の上に築かれ、労働者はこの原則を擁護するために再び結集している。このストには現代自動車、韓国GM、現代モービスのような大手企業の従業員が加わり、12月5日正午までに全国で少なくとも7万人の労働者が参加した。
現在国会で弾劾動議が審議中だが、与党は反対を表明しており、労働者の激しい怒りをあおっている。KMWUのストの目的は、平和的に民主主義を支持するために労働者の総合力を示すことである。
政府は断固たる対応を取っている。経済的・社会的利益を守るためにストを行う労働者の権利を守る国際労働機関(ILO)条約を韓国が批准しているにもかかわらず、金文洙雇用労働部長官は尹大統領の戒厳令布告を擁護し、ゼネストに「不法」というレッテルを貼った。金長官は、この行動に参加している組合に対する「厳しい措置」もちらつかせた。
集会は毎日続いており、キャンドル集会や大統領府までの行進も行われている。抗議者たちは昨晩、警察によって阻止されたが、さらに圧力をかけようと決意を固めている。
KMWUは、尹大統領が退任を拒否した場合は無期限のゼネストを計画している。火曜日の夜の出来事は、民主主義が一瞬の油断で消し去られる可能性があること、再び戒厳令が敷かれれば労働者が失うものが大きいため、尹大統領を退陣させて危機を終わらせる必要があることを浮き彫りにしている、と同労組は強調する。
インダストリオールは、尹大統領の退陣要求とストライキ行動を全面的に支持している。大統領の行為は受け入れ難いものであり、大統領は民主的指導者としての信頼を完全に失った。
韓国の労働組合と連帯し、インダストリオールは民主主義への攻撃を非難する
2024-12-04
インダストリオール・グローバルユニオンは、韓国における戒厳令導入の試みを強く非難し、国家の民主的基盤の重要な要である同国の国民と労働組合運動と固く連帯する。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の戒厳令導入という大胆な動きは、民主主義の境界を踏み越える危険な行為であり、統治の原則を損なうものである。労働運動は、民主主義を守り、労働者の権利を保護し、すべての人に正義を保障する上で極めて重要な役割を果たしている。これらの権利を抑制しようとする試みは、組合だけでなく、韓国の民主主義の基盤そのものを脅かすものである。
インダストリオールは、韓国労働組合総連合の今日と明日のゼネスト呼びかけを含む組合の動員を支持する。民主的権利の違法な停止と軍政の発動は、たとえ一晩であっても、民主主義に対するあからさまな攻撃である。民主主義の空間がますます脅威にさらされている世界において、このような行動を無視したり、放置したりすることはできない。私たちは、民主主義の原則に対するいかなる攻撃も強力な抵抗に直面するという明確なメッセージを送らなければならない。
インダストリオールは韓国政府に対し、民主主義の原則を守り、法の支配を尊重し、 労働組合運動を含むすべての利害関係者と意義ある対話を行うよう求める。
民主主義は譲歩できないものであり、それからの逸脱はあり得ないし、容認もされない。
ポスコのダブルスタンダード――ESG主張の陰で組合つぶし
2024-12-03
世界的鉄鋼大手のポスコは、最近の環境・社会・ガバナンス(ESG)報告で洗練されたイメージを打ち出し、労働者の権利を支持して組合にオープンに関与していると主張している。しかし、トルコの現実はまったく異なる状況を示しており、労働権侵害、組合つぶし戦術、法的義務や倫理的責任の完全な無視が見られる。
2017年にトルコのポスコ施設で、インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合の加盟組織ビルレシク・メタル・イスが組織化の取り組みを進める中、約80人の労働者が解雇された。トルコの裁判所はその後、この解雇は労働者の組合活動を理由とするものであり、トルコの労働法と国際労働条約の両方に違反していると明白に裁定した。裁判所は解雇された労働者への組合賠償を認め、不公正を強調した。
これにもかかわらず、ポスコはESGに関する話で実態を誤って伝えている。同社は解雇された労働者が復職を断ったと主張しているが、証拠は正反対の事実を示している。労働者たちは裁判に勝ったあと復職を申請したが、結局ただ会社側に拒否される結果となった。
2022年、最高裁判所はビルレシク・メタル・イスをポスコ労働者の公認組合として確認、労働省もこの決定を強固なものとし、同社に団体交渉の実施を強制する認可証明書を交付した。2022年11月4日、同労組はポスコに交渉開始を正式に求めたが、同社は素知らぬ顔だった。
労働省が介入し、2022年11月24日に会合を設定したが、このときもポスコは出席しなかった。トルコの法律では、そのような不服従は義務的な調停をもたらす。だが、同社はこのプロセスにも協力しなかった。調停人に選任されたYusuf Bayraktutanは、ポスコがあらゆる会合への参加を拒否し、団体交渉プロセスが宙ぶらりんになっていることを確認した。
公判手続き終了後、ビルレシク・メタル・イスは団体交渉プロセスを開始したが、会社側がまったく回答しなかった結果、同労組は2023年にこの職場で証明書を抹消された。
ポスコのESG報告は労働組合への関与に責任を持って取り組んでいると主張しているが、同社の行動は主張とは異なる。同社の報告は、「従業員代表」が組合に取って代わっており、これは真の組合代表は代替できないことを確認しているトルコの労働法と国際労働機関(ILO)条約に直接違反する行動だと述べている。
さらにポスコは、正式な機関が存在しないので組合に関与することができなかったと虚偽の主張をしている。この主張は、ビルレシク・メタル・イスが判決後に合法的な組合として承認されたことと矛盾する。同労組とトルコ政府当局、法的命令による要求にもかかわらず、同社は組合の承認も対話の開始も一貫して拒否している。
インダストリオールとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は昨年、取締役会に対し、人権管理ガイドラインを効果的に実施し、判決に従ってビルレシク・メタル・イスを団体交渉代表権者として承認するとともに、誠実に交渉するよう求めた。
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。
「ポスコは全世界で組合つぶしに手を染めてきた過去があり、これは同社自身のデュー・ディリジェンス原則に反する。トルコの事例への同社の対応に見られる不誠実な態度は、投資家に警戒心を抱かせるだろう。この会社は労働組合を弱体化させるために法律を破ったうえに、そのことについて嘘をつこうとしている。ポスコは交渉のテーブルに着き、誠意を持って関与すべきだ」
ジュディス・カートン=ダーリング・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記長は次のように述べた。
「ポスコ経営陣によるひどい事実の歪曲と組合つぶしは恥知らずだ。ビルレシク・メタル・イスとポスコ労働者は、人権の基本中の基本である団結権・団体交渉権を確保するために、あらゆる複雑な手順を踏むことを強いられている。ポスコはトルコで責任を持って行動すべきときだ。インダストリオール・ヨーロッパ労働組合は今後とも、自由に使えるすべての方策を用いて、組合員に対する攻撃を精細に調べて異議を申し立てていく」
労働者の関与と倫理的労働慣行についてのポスコの主張は、トルコにおける同社の行動を考えれば空々しく聞こえる。この事例は現地の問題にとどまるものではなく、ESG原則への同社の世界的なコミットメントの試金石である。ポスコにとって進むべき道は明確で、真の対話、労働権の尊重、透明性へのコミットメントである。どれが欠けていても、同社が支持していると主張する価値観に対する裏切りである。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/poscos-double-standard-union-busting-behind-esg-claims
トルコで自動車サプライチェーンの課題に対処
2024-12-02
11月25-26日にトルコでワークショップが開催され、自動車サプライチェーンの労働権が中心的な話題となった。この行事にはトルコとドイツから主要利害関係者が集まり、労働組合、従業員代表委員会、自動車メーカー、サプライヤー、政府代表、使用者団体、市民社会組織から参加があった。
EUとドイツで新しい人権デュー・ディリジェンス法が成立し、世界的な自動車サプライチェーンでトルコが重要な役割を果たしている中で、このワークショップは、主要利害関係者の間で労働権分野の組織的な課題に取り組み、持続可能な共同の解決策を考え出す機会を提供した。
ケマル・ウズカン・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長が、サプライチェーンで透明性と説明責任が緊急に必要とされていると力説した。書記次長は、搾取や長時間労働、安全衛生違反など、労働者が直面している課題を強調した。
「自動車産業の作業現場で真の改善を確保するには、苦情処理制度の範囲を超えて義務的な枠組みを実施する必要がある」と書記次長は述べ、繊維部門のACTイニシアティブのような成功したマルチステークホルダー・アプローチを再現し、結社の自由と団体交渉を促進することの重要性も強調した。
ヤセル・ハッサンILOトルコ事務所長が、電気自動車への移行など、自動車部門の移行を切り抜けるうえでの社会的対話の重要性を強調した。
「社会的対話は、ディーセント・ワークと持続可能な成長の基盤だ。社会的対話を行うには、確固たる枠組み、権利を与えられた当事者、協力への真摯な取り組みが必要となる」とハッサンは述べた。
ドイツ連邦労働社会省で企業の社会的責任を担当しているウルリケ・ゲイスが、トルコとドイツとの強力な経済関係を強調し、EUとドイツの新しいデュー・ディリジェンス法がサプライチェーンで社会的対話と人権保護を強化する機会を提供することに留意した。
インダストリオールのクリスティーナ・ハジャゴス=クローゼン繊維・衣料部門担当部長が、系統的な解決策のモデルとしてACTイニシアティブを紹介した。このイニシアティブは購買慣行を労働者の権利に調和させることを重視しており、自動車サプライチェーンに貴重な教訓を提供する。
「ACTは、責任ある購買慣行と労働協約が安定した生産モデルルを創出できることを示した」と彼女は述べ、苦情処理制度は組合と使用者が共同で開発する必要があることを強調した。
ワークショップでは、冒頭でサプライチェーンにおける説明責任の重要性に的を絞って論じたあと、分科会で実際的な解決策と協力的な議論を模索した。
このグループは、参加者が事例研究に直接関与し、トルコの労働者が日ごろから抱えている問題を調べる基盤となった。課題と良き慣行の両方を共有し、参加者がより実践的なレベルでさまざまなステークホルダーの視点から問題を理解できるようにした。議論では、共通の理解と持続可能な解決策を達成するための主要素として、結社の自由、社会的対話、責任ある購買方針、労働安全衛生が決定的に重要であることが強調された。
トルコの労働組合が提起した懸念は、企業内部で組合の力や代表が不足していれば、労働者に深刻な影響が及ぶことである。この状況はトルコの司法制度の抜け穴によって悪化していることが多い。
参加者は、デュー・ディリジェンス要件と調整しながら自動車サプライチェーンで労働条件を改善するために、すぐに実施可能な解決策についてブレインストーミングを続けた。議論では3つの重要分野に重点を置いた――訓練/コミュニケーション/意識向上、社会的対話と調停、苦情処理制度である。
ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長が、人権デュー・ディリジェンス環境の進化を検討し、苦情処理プロセスが大幅に改善していることに留意した。
「現在、過去数カ月と比較して、OEM(相手先商標製造会社)から迅速なフィードバックと関与がある。これは重要な一歩前進だ」と同部長は述べた
ロイテルトはステークホルダー全員に、このワークショップで生み出された勢いに乗るよう求め、グローバル・サプライチェーンで体系的変化を達成するために長期のコミットメントと継続的な協力が重要であることを強調した。
ワークショップの終わりには、世界的な自動車サプライチェーンの課題に共同で取り組むことへの強い責任感が生まれていた。ケマル・ウズカンが議論を振り返り、社会的対話とマルチステークホルダー・アプローチによる協力の改革の力を再確認した。特に固有のリスクと労働課題が根強く見られるトルコのような国にあっては、サプライチェーン問題に対処するために集団行動が必要だ、と彼は指摘した。この生産的な議論では、ワークショップに集まった多様な利害関係者グループの間で信頼と尊重を促進することの重要性が強調された。
ウズカンは、苦情処理制度の強化、購買慣行と労働者の権利の調和、社会的対話のため能力構築化など、このフォーラムで確認された具体的な手順を称賛。このプロセスにゆっくり進む性質があることを認めたが、これまでの進展と、この極めて重要な作業を続けようという集団的な意思について、楽観論を表明した。
「このワークショップは、より透明で公平なサプライチェーンに至る道程における重要な節目を示す。これは始まりにすぎないが、部門レベルで協力しようという意欲と、ここで策定された戦略は、将来のために強固な基盤を提供する」とウズカンは締めくくった。
このワークショップは、IGメタル、ドイツ国際協力公社(GIZ)およびドイツ自動車部門対話の支援・協力を得て、インダストリオールが企画した。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/tackling-automotive-supply-chain-challenges-in-turkiye
COP29、労働者にとって大幅な後退
2024-11-28
アゼルバイジャン・バクーでの第29回国連気候変動会議(COP29)は、特に労働者にとっては期待外れの結果に終わった。今回の結果は、気候資金と公正な移行における緊急のニーズに取り組まず、気候危機とその社会的影響への取り組み方に大きな不備があった。
気候資金に関して、各国は発展途上国への資金供給を以前の目標である年間1000億米ドルから、2035年までに年間3000億米ドルへと3倍にすることで合意した。これは従前の交渉よりは改善しているが、この規模の危機に取り組むために必要であると専門家が言う1兆3000億ドルには遠く及ばない。富裕国は十分な公的資金の約束をまたしても回避し、貧困国に債務を悪化させる融資への依存を強制した。これによって脆弱な国々は、気候への影響に対する回復力をつけるために必要な真の支援を受けるのではなく、借り入れの連鎖に陥る。
労働者にとって、COP29は裏切りに他ならなかった。公正な移行作業プログラム(JTWP)は、よりグリーンなモデルへの経済移行として労働者のための経路を生み出すとされていたが、まったく進展がなかった。資金供給の約束もなければ、政策実施に関する合意もなく、脆弱な部門とグローバルサウスの労働者は無防備な状態に置かれ、危険にさらされている。重要な議論から組合を締め出した結果、この不公正を悪化させ、労働者から自分たちの生活に直接影響を及ぼす決定における発言権を奪っただけに終わった。
エネルギー移行を加速させる取り組みも行き詰まった。COP28からのUAEエネルギー戦略――再生可能エネルギー容量の3倍増、化石燃料の段階的廃止、化石燃料補助金の削減など――を足場とするという提案は阻止された。エネルギー貯蔵やグリッドインフラを改良するための明確なロードマップも、これらの目標に向けた進展を追跡するためのメカニズムも示されなかった。このように緊急性と意欲を持って行動しなければ、1.5℃目標の達成が危うくなり、持続可能なエネルギーシステムへの世界的な移行が遅れ、地球を守るための闘いがさらに遅れてしまう。
バクー適応ロードマップや回復力の追跡に関する指針の発表など、適応の面ではいくつか前進があったが、国家気候計画(各国が自主的に決定する約束、NDC)に関する進展は2025年まで先送りされた。これらの新しい気候計画は、1.5℃という温暖化の限度を手の届く範囲に置いておくために、すべての温室効果ガスとすべての部門を対象としなければならない。
今回もまた、交渉で人権とジェンダー問題が脇に追いやられた。ジェンダーに関するリマ作業プログラムはさらに10年延長されたが、気候行動における平等と人権の差し迫った必要に取り組む、より強力な新しい措置は導入されなかった。この革新の不足は気候政策の包括性と効果を弱め、社会的に最も無視された地域社会の福祉を損なう組織的な不平等を悪化させる。
「組合にとって、COP29はいくつかの組織的失敗を露見させた。労働者を交渉から除外したことは、気候行動における労働者の極めて重要な役割を無視している。富裕国が財政的責任の尊重を拒否したことは、信頼を損ない、世界的不平等を深める。公正な移行の政策をめぐる進展の不足により、何百万もの労働者が、急速に変化する経済と気候の影響を受けやすくなる」とダイアナ・ジュンケラ・キュリエル・インダストリオール公正な移行/エネルギー担当部長は述べた。
「ブラジルのCOP30を見据えて、公正で効果的な気候行動のための闘いがまだまだ続くことは明らかだ。労働者を置き去りにすることはできないし、置き去りにしてはならない。組合は、労働者の権利とニーズを中心に据えた真の包括的な解決策を、これまで以上に強く要求しなければならない。これは、より多くの債務を負わせずに発展途上国を支援する実質的な公的気候資金を要求し、労働者を保護して気候行動の中心に置く公正な移行政策を政府に実施させることを意味する」とダイアナ・ジュンケラ・キュリエルは力説した。
COP29の結果から明らかなのは、世界は気候面の課題に対応するために十分に速く、十分に包括的に前進していないということである。組合は引き続き政府に説明責任を負わせ、少数の富裕層だけでなく万人の役に立つ気候の公平性を要求していかなければならない。今こそ、人間中心の真の解決策を見つけるときだ。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/cop29-a-major-setback-for-workers
イスタンブールのインダストリオール執行委員会で世界的な連帯に焦点
2024-11-26
インダストリオール執行委員会は、トルコからインドネシア、ウクライナ、パレスチナまで、全世界で労働者が直面している発展中の課題に取り組む共通の決意を示した。危機が激化し、反組合的な運動が強まっている中で、集団行動と世界的な連帯の重要性がこれまで以上に明らかになっている。
11月21-22日にイスタンブールで開かれたインダストリオール執行委員会では、連帯が中心的な話題となった。インダストリオール加盟組織の指導者たちは、全世界で労働者が直面している課題について議論し、国境を越えて労働者の権利を支援するという共同の決意を示した。
トルコの組合ペトロール・イスおよびトルコ・メタルの会長が、代議員をイスタンブールとペトロール・イス本部ビルに歓迎し、労働運動の強化における組織化と連帯の重要性と利益を強調した。
両会長の発言は後続の議論の基調を打ち出し、討議では労働者に影響を及ぼしている地域・世界両レベルの危機に取り組んだ。インダストリオールとスウェーデンの組合IFメタルの会長を務めるマリー・ニルソンが、アンカラのチャイルハン地区の鉱山労働者900人への緊急支援を呼びかけた。労働者たちは、鉱山と関連火力発電所の民営化に反対して地下で抗議している。鉱山労働者たちは失業する恐れがあり、政府が決定を覆すまで抗議を続けると誓っている。
アトレ・ホイエ書記長が、特に政治・企業分野で反組合感情が勢いを増している中で、労働組合が全世界で課題の高まりに直面していることを強調した。書記長は、先ごろの米大統領選と、イーロン・マスクのような物議を醸す重要人物を引き合いに出して、団結の必要性を強調した
「私たちの答えは団結でなければならない。私たちは、紛争や世界機関への対処の仕方は異なるかもしれないが、団体交渉や組織化、基本的労働組合権の擁護に関しては団結している。団結しなければ、全世界で反組合的な計略に力を与えてしまう危険がある」
そして、団結すれば勝てる。アトレ・ホイエは報告の中で、インドネシアで組合が大きな意味のある勝利を収め、闘争の結果、論争の的となっているオムニバス法の主要な条項が廃止されたことに言及した。
「これは大勝利であり、インドネシアの加盟組織の業績を祝福する。この業績は、逆行的な政府との闘いにおいて私たち全員にインスピレーションを与えてくれる」
ウクライナのレシア・セメニアカが、戦争で荒廃した同国の厳しい状況を説明、農業とエネルギーインフラに対する壊滅的な被害を詳述した。145カ所の炭鉱のうち、まだ稼働しているのは24カ所にすぎない。山積する課題の中で、ウクライナの労働者・組合の回復力が、永続的な連帯の精神の証拠として強調された。
パレスチナのサハル・アブドがグローバルな労働運動に対し、ガザとヨルダン川西岸で進行中の危機について意見を主張し続けるよう促した。彼女はアトレ・ホイエによる最近の連帯訪問に感謝を表明し、この訪問を悲惨な時期における国際支援の重要性を協調する重大な瞬間と表現した。
フォルクスワーゲン従業員が大量失業の見通しに対応しているため、執行委員会は、ドイツの労働者が直面している課題についても報告を受けた。クリスティアンネ・ベンナーIGメタル会長が、重大局面を迎えたこれらの労働者を支持するために国際連帯を訴えた。
イワナ・スマイロビッチが、今月初めにオンラインで開催された女性委員会からの最新情報を提供した。タンザニア、マラウイ、ガーナ、ペルー、コロンビアで最近、LOノルウェーの支援による若い女性向けの指導プログラムが開始された。このイニシアティブの目的は、次世代の女性の労働組合指導者に権利を与えることである。
さらにインダストリオールは、ジェンダーに基づく暴力に対する16日間の活動キャンペーンに備えて、#NoExcuseイニシアティブを拡大し、ジェンダーに基づく暴力に対する集団行動を呼びかける。
AIに関する戦略的な議論では、執行委員会にインダストリオールのAI方針の第1草案が発表された。この草案は、職場でAIが目立つようになっている中での課題と機会に取り組んでいる。方針と要求には、とりわけ、すべての職場で透明性と説明責任が確保され、労働者が技術変化に適応して雇用保障を高められるようにすること、団体交渉の法的保護を強化して、アルゴリズム管理とデータプライバシー、技能と再研修、労働安全衛生、富の再分配と生産性、組織化を強化することが含まれている。
この議論で指摘されたように、AIシステムは利用前に、差別に関する基準を考慮に入れて慎重に評価・検証しなければならない。社会的セーフティーネットを導入し、AIによるオートメーション化が進む経済で労働者に財政的安定性を提供することも、さらなる検討の対象として強調された。
AI方針の第2草案は来年3月末までに作成される予定で、それまでに情報収集を続けるとともに、AIに関する青年ワークショップとインダストリー4.0専門家グループの会合を開く。
来年11月の第4回インダストリオール大会の準備が進行中である。「組織化で公正な未来を」の旗の下に、世界中の加盟組織がオーストラリアのシドニーに集まる。
アトレ・ホイエは、2日間の会合を締めくくって次のように述べた。
「世界の1つの地域での勝利は、私たち全員を奮起させる。力を合わせて、すべての場所で労働者の権利を求める共同戦線を構築し続けなければならない」
職場における女性に対する暴力の根絶に向けて変革を推進
2024-11-25
女性に対する暴力撤廃の国際デーの今日、インダストリオール・グローバルユニオンは1年間の進展を振り返り、職場でジェンダーに基づく暴力とハラスメント(GBVH)を根絶することを改めて確約する。
インダストリオールは2023年11月に採択されたGBVH、女性蔑視および性差別に対する#NoExcuse方針の1年目を継続中であるため、今年は特に重要である。この方針は、2024年3月8日の国際女性デーに開始された幅広い#NoExcuseキャンペーンの主要な要素であり、職場と組合におけるあらゆる形態の暴力のゼロ容認に向けた文化的変革の推進を目指している。
#NoExcuse方針(方針データは原文ページからダウンロード可能です)
この方針には、職場の安全向上、報告メカニズムの改善、被害者支援のための手順を概説する一連の包括的な勧告が盛り込まれている。入手・配布しやすくするために、これらの勧告を要約したポスターを作成し、組合や職場で利用できる簡潔な視覚的資料を提供している。
(ポスターデータは原文ページからダウンロード可能です)
これらの取り組みの緊急性は、国際連合発表の憂慮すべき統計値によって浮き彫りになっている――全世界で、10分間に1人の女性がパートナーや家族によって故意に殺害されているのである。さらに、デジタルプラットフォームの台頭が新たな課題をもたらしており、世界の女性の16〜58%が、テクノロジーによって助長されるジェンダーに基づく暴力を経験している。若い女性、特にZ世代とミレニアル世代の女性が偏って影響を受けている。
これらの課題に対応して、インダストリオールは加盟組織に、GBVHと効果的に闘うために必要な手段を与えている。2017年以降、いくつかのキャンペーンが開始されており、次のような資源を利用することができる。
- GBVH防止と事例の取り扱いに関するすぐに使える訓練モジュール
- 仕事の世界における暴力とハラスメントの撤廃に関するILO第190号条約の実施を支援するグローバル・ユニオン合同トレーナー訓練ツールキット
- ドメスティック・バイオレンスと組合の役割に関する説明!
- 誓約:
(データは原文ページからダウンロード可能です)
インダストリオールは、加盟組織に16日間の活動への関与を呼びかけている。組合員に対し、ハッシュタグ#NoExcuseを用いて組合の行動の情報や写真を共有したり、インダストリオールのウェブサイトやソーシャルメディアチャンネルにアクセスし、文化的変革の推進に関する継続的な最新情報や勧告を入手したりするよう奨励している。
「過去1年間の集団的努力は、より安全でより公平な職場の確固たる基礎を築いた。この勢いを推し進め、私たちの職場がすべての女性の尊重、尊厳および安全を促進するだけでなく、要求するようにしよう。私たちは力を合わせて、次世代の共感を呼ぶ変革の遺産を構築している」とクリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長は言う。
インダストリオールは、制度的な女性蔑視や性差別のない環境作り、信頼と安全が何よりも重要な環境作りに専念しており、包括的な訓練、認識向上、それにセクシャルハラスメントの撤廃を明確に目指す労働協約の取り決めを支持し続けている。
家庭であれ、公共の場であれ、職場であれ、女性が暴力とハラスメントに耐える必要がない世界へ向けた、この極めて重要な運動に加わってほしい。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/driving-change-to-end-workplace-violence-against-women
セルビアのユラ労働者、公正な賃金と適正な労働条件を要求
2024-11-19
現代・起亜ネットワークとセルビア自治労働組合総連合は今日、セルビア独立金属労組、インダストリオール・グローバルユニオンおよびインダストリオール・ヨーロッパ労働組合とともに会合を開き、組合承認、より公正な賃金、適正な労働条件を求めて闘っているセルビアのユラ労働者との連帯を表明した。
レスコバツ、ニシュおよびラチャの工場で事業を展開している韓国企業ユラでは、組合つぶし、最低水準の賃金、病気休暇の否認、劣悪な衛生状態、さらには女性労働者に対する身体的暴行が原因で、労働権が著しく損なわれている。
この闘いは現地レベルにとどまらず重要であり、全世界のユラ工場の労働者、起亜/現代サプライチェーンの全従業員および自動車産業全体にとって連帯の実例となっている。
セルビア自治労働組合総連合とセルビア独立金属労組は、インダストリオール・グローバルユニオンが調整した今年の起亜/現代従業員グローバル組合ネットワークの会合を主催している。同ネットワークがこの韓国企業の工場がない国で会合を開いたのは、今回が初めてである。起亜と現代はセルビアでユラの主要顧客であるため、これはサプライチェーン全体の重要性とグローバル労働者組織の必要性を強調している。
この会合では、セルビア、韓国、チェコ共和国、スロバキア共和国、トルコ、インドネシア、インド、アメリカ、ブラジルからの参加組合が、実質的な支援を提供し合うためにネットワークを強化・拡大した。サプライヤーとクライアントのネットワークを通した生産編成は、多くの従業員にとって労働条件の悪化をもたらすことが多い。だが、これは組合協力において、同じ多国籍企業内部の組合間の横のつながりから、その企業のサプライヤーの組合との縦のつながりへ移行する重要な一歩である。
使用者たちは、相互に提供されるサービスの価格交渉を通して、経営戦略と生産プロジェクトの実施にあたって直接的に、絶え間ないコミュニケーションにおいて間接的に関連づけられる。したがって、バリューチェーン全体の組合がつながり、これらのバリューチェーン内部で何が富の公平な分配とされるのかを共同で定義することが欠かせない。
さらに、人権デュー・ディリジェンス・プロセスとの関連で、グローバル供給ネットワークのステークホルダー全員が緊密に協力し、すべての場所で労働条件を改善すべきである。そのためには、共同で従業員を代表できる労働組合と、公正な団体交渉が必要である。
インダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、インダストリオール・グローバルユニオンならびに全加盟組織と団結し、サプライチェーン全体で承認と団体交渉権、公正な賃金を求めて闘っているユラの労働者・組合と連帯している。
「インダストリオール・ヨーロッパ労働組合とインダストリオール・グローバルユニオンは、この問題を密接にフォローしており、この闘いで労働者と労働組合員に連帯・支援を表明している。社内で経営陣に圧力をかけ、サプライヤーの労働者のために尊厳のある労働条件を確保する方法で営業活動を組織させる準備ができている」とアトレ・ホイエ・インダストリオール・グローバルユニオン書記長とイザベル・バルト・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記次長は言う。
スイスの支援を受けたタイのeバスメーカーで組合つぶしとレイオフ
2024-11-19
スイスはパリ気候協定に基づき、タイのカーボンニュートラルへの投資を支援しており、それと引き換えに炭素クレジットを受け取っている。アブソルート・アセンブリーは、気候協定に基づいてスイスが支援するプログラム向けにeバスを製造しており、公正な移行の達成に沿って約束を果たさなければならないことは明らかである。これは公正な労働条件によるディーセントな雇用を意味するが、アブソルート・アセンブリーではそれが達成されていない。
インダストリオールはスイス政府とタイの使用者の両方に、組合つぶしの問題を繰り返し提起してきた。アブソルート・アセンブリーは組合業務に干渉し、CILT/TEAMを通してインダストリオール・グローバルユニオンに加盟している組合EMUTとの団体交渉を拒否している。
インダストリオールはスイス政府に対し、パリ協定を実施するという公約を踏まえて、また「労働における基本的原則および権利の促進、尊重および実現……民間部門にスイス国内外での人権尊重を要求」を非常に重視するスイスの方針に従って、行動を起こすよう強く促している。
しかし残念ながら、状況は悪化の一途をたどっている。アブソルート・アセンブリーは現在、EMUTと対話することなく、バンコクの公共交通機関向けのeバス製造工場で何百人もの労働者をレイオフする計画を立てている。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
「私たちは、何百人もの労働者をレイオフするというアブソルート・アセンブリーの計画を深く憂慮するとともに憤慨しており、労働者の基本的権利の侵害の即時終結を改めて要求する。組合によって代表される労働者はあらゆるリストラに関する議論に積極的に関与しなければならず、同社は職位の保障を確保しなければならない」
インダストリオールは、アブソルート・アセンブリーに組合への関与を求めるだけでなく、スイス、タイ両国政府に接触して介入を要請している。
写真:バンコクの往来、フリッカー
南アフリカの金属労働者、アルセロール・ミッタルで失業めぐりスト
2024-11-14
南アフリカ全国金属労組(NUMSA)は、アルセロール・ミッタル南アフリカ(AMSA)がコークス製造バッテリー6および7の労働者107人を削減すると発表したことを受けて、11月14日発効のスト決行通知を出した。
このストは、ヨハネスブルグから南へ70kmのバンダービールパークにあるAMSA工場でのピケから始まった。
この人員削減はクリスマス休暇の直前に行われるため、AMSAは「労働者を非人道的に扱っている」とインダストリオール加盟組織NUMSAは言う。同労組によると、その証拠に同社は、失業に代わる措置(労働者に希望退職や早期退職の選択肢を与えるなど)を見つけるために取り組むことを拒否している。
「クリスマスの直前に労働者を失業の海に投げ込むというのは、残酷で思いやりのない経営陣にしかできないことだ。だから、経営側を強く非難しなければならない! AMSAは大急ぎで人員を削減して対象従業員のクリスマスを実質的に取り消し、従業員の家族の窮状も深めた」とカベロ・ラモクハタリNUMSAセディベング地域担当書記は述べた。
NUMSAによると、同労組は第189A条協議でAMSAの主張に異議を唱えた。8月に始まったやりとりで、組合は雇用削減が唯一の選択肢であることに納得しなかった。さらに同労組は、AMSAは雇用の保護と影響を受ける労働者の代わりの仕事の確保に役立つ情報を十分に開示していないと述べた。労使関係法第189A条は使用者に対し、「使用者の経済、技術、構造または類似のニーズ」に基づく業務上の要件に基づいて、解雇の理由を示すことを義務づけている。
NUMSAは懸念しており、特に失業率(職探しを諦めた失業者を含む)が41.9%にまで高まっている現在の厳しい経済状況下で、削減された労働者の今後の雇用の見通しが心配だと述べた。
さらにアフリカ開発銀行によると、経済は予想成長率1.1%で停滞しており、貧困、不平等、製造業の低迷を特徴としている。
NUMSAは、進行中の平鋼工場再編で、低賃金と中核職務の一部の外部委託により、他の部門に配置転換される200人の労働者が利益を失うことも懸念している。AMSAはNUMSAと協議せず、プロセスが透明ではなかった、と同労組は言う。
インダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所のポール・フランス・ヌデソミン所長が述べた。
「AMSAは削減を最後の手段と考え、NUMSAとさらに対話して雇用維持を模索し、労働者の利益をさらに保護しなければならない」
労働組合、鉄鋼部門の回復支援のために公共投資と財政政策を要求
2024-11-13
TUAC、インダストリオール・グローバルユニオンおよびインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、全世界の鉄鋼部門と関連産業で累積失業者が数万人に達しており、現在さらに多くの雇用が危機に瀕していることに深い憂慮を表明した。2024年11月11-12日にパリのOECD鉄鋼委員会に出席した労働組合代表は、OECDはじめ各国における産業空洞化のリスクについて警告した。
鉄鋼労働者と製造労働者が直面している状況は、お粗末な国家政策が数十年にわたって実施され、国内需要と労働者の賃金、労働条件を犠牲にして鉄鋼業の過剰生産能力を助長し、輸出主導の競争を促進した結果である。労働組合は、これらの有害な慣行に終止符を打ち、すべての労働者に公正な賃金、適正な労働条件、雇用保障を提供する良質な製造業雇用を創出するよう要求している。
世界の鉄鋼需要が急減している一方で、過剰生産能力は過去最高記録を更新した。インフラ計画に弾みをつけて雇用を守るために公的介入が必要である。財政責任の名を借りた緊縮政策は公共支出の大幅削減をもたらし、工業生産と雇用に影響を与える。そのような措置は、すでに弱い立場にある人々――鉄鋼を製造し、経済の原動力となるインフラを建設・維持する労働者――に偏って影響を及ぼす。
労働組合は即時の財政拡大を要求し、政府に対し、鉄鋼需要を刺激するために現在低水準にある公共投資の増額を強く促している。公共投資は、鉄鋼部門におけるインフラ開発や技術革新、研究開発のような主要分野に欠かせない。政府は、適正な労働条件で働く労働者が作った質の高いグリーンスチールへの需要を確保するために、公的調達制度によるものも含めて、必要な措置を導入しなければならない。
ベロニカ・ニルソンTUAC書記長が次のように述べた。
「OECDに対し、公共投資を段階的に縮小して労働市場制度を解体する経済改革からの脱却を求める。鉄鋼業の未来を望むのであれば、インフラへの投資を加速させ、良質な雇用を守り、私たちが製造する製品を実際に消費する勤労者世帯の購買力を高める必要がある」
クリスティーナ・オリビエ・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長が付け加えた。
「この産業の原動力となっている鉄鋼労働者に、緊縮政策の代償を払わせてはならない。長期成長と革新、鉄鋼生産の持続可能な未来への投資を促進する政策を要求する。多国籍企業は株主に配当を払うことばかり重視してはならない――多国籍企業には、この努力に貢献する責任がある。公的支援によって強力な社会条件を整え、グリーン移行への投資が少数者に利益を与えるだけでなく、良好な労働条件と賃金によって労働者のためにもなるようにしなければならない」
ジュディス・カートン=ダーリング・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記長がこう締めくくった。
「ヨーロッパの鉄鋼部門は、過去最低の需要と過去最高の輸入に伴う減産、工場の操業停止、施設の閉鎖で危機的状況にある。欧州の鉄鋼労働者は、公正かつ公平な競争環境と、労働者同士を競い合わせるだけの最低コスト生産をめぐる底辺への競争の終結を要求している。私たちは、欧州域内外で労働者が良好な労働条件下でグリーンスチールを作ることを望んでおり、各国政府に対し、厳しい環境・社会条件に基づいてグリーンスチールに投資するよう求める」
インダストリオールの女性がAIの偏見とGBVHに対処
2024-11-13
インダストリオール女性委員会は11月6-7日にバーチャル会議を開き、部門の垣根を越えたジェンダー平等の促進について議論した。際立ったテーマは、人工知能(AI)、デュー・ディリジェンス、ジェンダーに基づく暴力とハラスメント(GBVH)、刺激を与えるパイロット指導プログラムだった。
AIの影響が広がる中、女性委員会は、職場へのAI統合にジェンダー・トランスフォーマティブ・アプローチで取り組む必要があることを強調した。フランス平等研究所のミュリエル・ガルニエが、AIのジェンダー差別と、アルゴリズム主導のシステム内で固定観念が再生産されるリスクを強調した。ガルニエは次のように述べた。
「AI開発者の88%が男性で、男性がアルゴリズムを設計すると固定観念やジェンダー差別を永続させることが多い」
彼女は、技術分野への女性参画不足に取り組むことの重要性を強調した。フランスでは、女性の15%しかデジタル技術部門で働いていない。
ユニオネン(スウェーデン)のオーレ・ブリンヤも同じ懸念を表明し、AIには職場の差別を補強あるいは解体する可能性があると指摘した。
「AIの決定が偏見を持ったデータに基づいていれば、この技術は差別を打破するのではなく補強する危険がある」とブリンヤは述べた。
ガルニエもブリンヤも説明責任の重要性を強調し、AIシステムの評価・監査を厳格化して不平等を永続させないようにすることを要求した。このアプローチは、AIの設計・展開の基本原則としてジェンダー平等を支持するAI方針の策定というインダストリオールのコミットメントに沿ったものである。
ジェーン・ピリンジャーが、特にバッテリーサプライチェーンでGBVHを防止するためのインダストリオールのツールキットについて話した。ピリンジャーは、人権デュー・ディリジェンスにGBVH防止を統合するための変革的な枠組みとして、第190号条約を紹介した。これは安全で公平な職場を促進するために不可欠な手順である。
「ジェンダーに基づく暴力とハラスメントは、単なる職場の問題ではなく、グローバル・サプライチェーン全体で取り組まなければならない人権侵害だ」とピリンジャーは述べた。
彼女は、方針の策定から結果の軽減・追跡まで、企業が責任あるビジネス慣習を採用しやすくするための6段階プロセスを概説した。この体系的なアプローチは労働組合に、企業に責任を負わせ、GBVH防止がサプライチェーンのすべての層に埋め込まれるようにする権限を与える。
ピリンジャーは、ジェンダーに対応したリスク評価の支持・交渉における労働組合の役割も強調し、「労働組合はリスクの確認を援助し、企業が労働者保護義務を十分に果たしていない場合に証拠を提供することができる」と示唆した。
これはGBVH、女性蔑視および性差別に対するインダストリオールの継続的キャンペーンの参考になった。このキャンペーンには、来る16日間の活動や#NoExcuseキャンペーンのような啓蒙活動が含まれる。
2日目には、LOノルウェーの支援による新しいインダストリオール指導イニシアティブを強調した。目的は、サハラ以南アフリカのタンザニア、マラウイ、ガーナおよびラテンアメリカのペルー、コロンビアで、27人の若い女性の権利を拡大することである。両地域のメンティーとメンターの証言により、このプロジェクトの進展が強調され、女性のリーダーシップ開発に変革的な影響を与えていることが示された。
ガーナPUWUのメンティー、ミルドレッド・アッドが、メンターシップのおかげで自信が深まったことを説明した。
「メンターシップは私のような若い女性に、リーダーシップを取る権利を与え、国内・国際両レベルで影響を及ぼす自信を持たせてくれた。6カ月前なら、そんな勇気はなかっただろう」と彼女は語った。
彼女の経験は、指導プログラムに成長のサイクルを生み出す可能性があり、メンティーはそこで身につけた技能をその後他の人に伝えることができることを明確にしている。
若手指導者を指導している同じ組合のジョイス・マク・アッピアが、メンターシップは独立心と自信を持たせるうえで重要だと述べた。
「メンターシップは指導だけの問題ではない。若手指導者が自立し、革新的に行動し、自信をもって先導するよう後押しすることだ」と彼女は述べた。
ハシュメヤ・ムフセン・アルサーダウィ、イルバナ・スマイロビッチ両共同議長が、集団行動によって変化を推進することの必要性を力説した。女性委員会は、GBVHと性差別に対するインダストリオールの進行中のキャンペーンを見直し、ジェンダー平等イニシアティブに男性を関与させるUGTT衣料女性センターと韓国KTCUのIMAGINE教育プログラムに関する最新情報も提供した。
規約とアクション・プランへのジェンダー統合に焦点を絞って、インダストリオール大会を見据えた議論も行った。このセッションでは、より強力なジェンダー視点を取り入れるための修正案を検討した。最後に女性委員会は、ジェンダーを労働安全衛生の主流に組み入れる努力や、公平な賃金交渉を確保するための努力など、2025年の優先課題を明確にした。
「真に公平で包括的な職場の構築に尽力している」とクリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長は述べた。
「ここでの議論で、偏見を積極的に防止するAI方針の確立から、ジェンダーに基づく暴力への取り組みにおける人権デュー・ディリジェンスの導入まで、ジェンダー平等に関する真の進歩に向けた強力なロードマップを計画した。この刺激を与える指導プログラムは、どうすれば若い女性を引き上げ、先頭に立って変化を推進する準備をさせることができるかを示している。方針の支持、メンターシップ、確固たるデュー・ディリジェンスをまとめることによって、私たちは、女性が全部門にわたって繁栄できる未来への道を切り開いている」
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/industriall-women-tackle-ai-bias-and-gbvh
アジア太平洋の組合、持続可能な労働者中心の産業政策を要求
2024-11-11
アジア太平洋では近年、産業が大きく成長している。しかし、製造業への投資が増加している一方で、労働者は不平等の拡大、急激なインフレ、賃金の停滞、不安定雇用、労働者の権利に対する攻撃の激化に苦しんでいる。このような懸念を受けて地域の組合は、高賃金の確かな雇用を保護・創出する措置と持続可能な雇用の保証を盛り込んだ、持続可能な産業政策の課題を追求している。
11月4日に開かれた今年のアジア太平洋地域テーマ別会合と11月3日の執行委員会では、持続可能な産業政策に焦点を当てた。世界中でエネルギー移行が進むに伴って労働者と労働組合の課題が増えると予想されるため、組合指導者は、この地域で緊急に持続可能な産業政策を提唱する必要があると述べた。
アジア太平洋執行委員会の議論では、仕事の世界における課題と併せて、域内の多くの国々で民主主義が減退し、組合が政府と社会的対話を行うことが困難になっている現状に検討を加えた。ミャンマー、バングラデシュおよびインドネシアの組合指導者が、大規模な労働権侵害についてだけでなく、政府による労働者の権利攻撃に対抗して実施された組合の行動についても詳しく説明した。
金子晃浩インダストリオール副会長・地域共同議長が次のように述べた。
「2024年には地域の多くの国々で選挙があり、労働者に大きな影響を与えている。政府との社会的対話を続け、要求を強く打ち出さなければならない。バングラデシュでは、大規模な抗議がきっかけで政権交代があった。労働者の権利を保護・向上させるために闘いを続けなければならない――目標を達成するために、もっと多くの労働者を組織化する必要がある」
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長、アシュトシュ・バッタチャリア南アジア地域事務所所長、ラモン・セルテーザ東南アジア地域事務所所長が、行動とキャンペーンならびに2025年の第4回インダストリオール大会に関する報告を発表した。
アジア太平洋女性委員会のジェニー・クルシェル共同議長が、インダストリオールの規約とアクション・プランにおけるジェンダー主流化の要点を参加者に伝えた。共同議長は、グローバル青年特別作業部会が若い女性の参画拡大に尽力していることも称賛し、若い女性をインダストリオール執行委員会にオブザーバーとして参加させることを支持した。
青年代表が活動の最新状況を伝え、若者参画を増やして加盟組織内部ならびにインダストリオール機構の全レベルで多様な統合を確保するために、加盟組織に支援を訴えた。
プリハナニ・ボエナディ・インダストリオール・アジア太平洋共同議長が次のように述べた。
「組合機構で女性と青年の参画拡大を確保しなければならない。女性と青年は労働組合運動の未来であり、彼らの声を議題に取り入れる必要がある」
持続可能な産業政策に関するテーマ別会合で、組合指導者は、製造業への投資が増えているにもかかわらず、労働者は急激なインフレ、賃金の停滞、不安定雇用、労働者の権利に対する攻撃の激化で、これまで以上に苦しんでいるという懸念を共有した。指導者たちは、世界中でエネルギー移行が進むに伴い、これらの課題の悪化が予想されると強調した。
ケマル・ウズカンが、産業政策のさまざまな側面と、この問題に関するインダストリオールのキャンペーンの大要を説明し、次のように述べた。
「既存の制度に異議を申し立てるだけでは十分ではない。公平かつ公正な世界のための解決策も考え出さなければならない。1つは、労働者の利益を中心に据えた持続可能な産業政策の策定だ。計画を立案し、あらゆるレベル――世界、地域および国家――で実施しなければならない」
グローバル・サプライチェーンにおける労働者の権利確保と、労働者の権利促進に向けた貿易協定のセーフガードメカニズムの強化に関するパネルディスカッションでは、インド、バングラデシュ、インドネシア、日本およびオーストラリアの組合指導者が、各国の貿易と製造業の状況について話した。課税、貿易協定の労働者の権利条項、サプライチェーンの透明性、ILOの中核的労働基準の批准、各種の法律による多国籍企業への責任賦課の問題をめぐって討議した。
参加者は、国家レベルの持続可能な産業政策を求めるキャンペーンの必要性を主張し、情報交換と共同戦略策定のために貿易に関する地域プラットフォームの設置を決定した。
MENA自動車労組ウィーク
2024-11-05
2024年10月、インダストリオールはモロッコでMENA自動車産業労組ウィークを企画し、エジプト、チュニジア、モロッコの組合指導者が参加した。10月6-7日にMENA自動車労組ネットワークが会合を開き、公正な移行と組織化、労働者の課題を取り上げた。
ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長が、労働者は移行の影響をもろに受けるため、移行において最も重要な問題だと強調した。企業は労働者の代わりに、オートメーション化が進んだ製造プロセスを導入したり、効率向上のために事業全体をデジタル化したりしている。ここで組合が介入し、公正な移行を確保しなければならない。
自動車産業は2つの部分から成り立っている――現地組合やインダストリオールと安定した労働協約を結んでいる古くからの自動車メーカーと、特に電気自動車・自律走行車の分野の新興企業(主に中国企業と米国企業)である。
「これら各社は莫大な投資能力を持つ企業だが、労働組合を自動的に承認または理解しているわけではなく、それが大きな課題だ。インダストリオールは現在、当事者を交渉のテーブルに着かせて新協定を立案しようとしている」とゲオルク・ロイテルトは述べた。
参加組合は、前回の会合以降の現状、進展および2025-2030年のアクション・プランに関する最新情報を発表した。組合は2つの問題に焦点を当てることに合意した。
- 労働市場と産業の転換についての交渉に組合を参加させること。
- 移行の悪影響、何よりもレイオフと失業を相殺するための解決策を求めて企業と交渉すること。
ネットワークは公正な移行に関する声明を発表し、既存の雇用の持続可能性と、労働者の権利とディーセント・ワークの原則を尊重する新規雇用の創出を要求した。この声明は、移行期間中に失業にさらされる労働者の社会的保護、選択肢および十分な補償も求めている。
ネットワークのメンバーは、産業部門の移行政策をめぐる全国・部門レベルの社会的対話を行い、労働組合を積極的に関与させることも要求した。
アーメド・カメル・インダストリオールMENA地域事務所所長が次のように述べた。
「MENA地域は、地域における多国籍企業(特に中国企業)の拡大、気候変動による技術面・環境面の変化、組合承認の課題がある中で、この産業が世界レベルでどのように進化しているかを示す実例だ。作業計画を立て、それを実施するための機構を設けることによって、さらに組合を強化することができる」
チュニジアFédération Générale de la Métallurgie et de l’Electronique – FGME-UGTTのHossam Eddine Dhayaf書記次長がこう述べた。
「移行はすでに進んでおり、南側諸国と労働者が犠牲になっている。この移行を公正なものにするために労働組合が一致団結し、目標を統一しなければならない。これは共同アクション・プランの策定によってのみ実行できる」
モロッコSyndicat Nationale des Industries de la Métallurgie et Electromécanique – SNIME-CDTのMohamed Moufid書記長が述べた。
「新技術への依存は労働者の未来に対するリスクを示しており、組合は移行が労働者を犠牲にしない公正なものとなるようにする立場を取らなければならない。特に、克服が必要な窮状に置かれた女性のために」
モロッコFédération Nationale de la Métallurgie et des Industries Synthétiques Métallurgiques et Electroniques – FNMISME – UMT指導者のNora Elmoustahyが述べた。
「ルノーが生産サイクルにロボティックスを導入したとき、組合はレイオフされた労働者を、それらの労働者に取って代わったロボットの保守を扱う新設部門に再統合するために交渉した。組合は交渉を通して、レイオフされた労働者を新しいプロジェクトで雇用する、つまりレイオフされた労働者を新規プロジェクトで優先させるよう会社側を説得することにも成功した」
チュニジアFédération Générale de la Métallurgie et de l’Electronique – FGME-UGTT指導者のNouzha Elmarzoukiが次のように述べた。
「クロムブルグ・ウント・シューベルトでは、気候変動を受けて、高温に取り組むために職場に冷却装置を導入し、職場の改善をうまく取り決めた」
労働組合の自由に対する攻撃、組合との対話の打ち切り、組合員の排除により、組合に対する環境が非常に厳しくなっている。使用者は組合を職場から締め出し、組合が労働者と連絡を取れないようにしている。労働組合活動に対する制約と政府による使用者の不当な優遇は、組織化を妨げる大きな障害である。だが、逆境にさらされながらも、組合はキャンペーンを通して何とか組合員数を増やしており、数社にターゲットを絞って2030年までに組合員数15%増を目標に、引き続き組合員数の増加に取り組んでいく。
インダストリオールが多国籍企業と結んでいるグローバル枠組み協定は、組織化に役立つ手段となっており、いくつかの企業で組合員数が増えている。加盟組織は組織化によって、一方では要求を勝ち取る能力を高め、他方では労働組合の尊重と自由を確保した。参加者は、将来計画を立案するために訓練を支援し、労働組合の技能を開発することが重要だと強調した。
モロッコFédération Nationale de la Métallurgie et des Industries Synthétiques Métallurgiques et Electroniques – FNMISME – UMTのKhaled Taher書記長が述べた。
「この部門における組合の取り組みと訓練への継続的支援についてインダストリオールに感謝している。このウィークは経験を交換できるようにし、モロッコで質的飛躍を遂げているこの部門で連帯を強化してくれる。一致した意思に基づく共通の闘いによって、障害を取り除き、不可能を可能にすることができる」
エジプト自動車部門産業労組の指導者Abdelrahman Solimanが次のように述べた。
「交流と学習の重要な場であるこのウィークに参加できて嬉しい。私たちは労働組合活動で困難を経験しているが、新世代の労働組合員は労働者の権利を支持して労働組合活動を強化しようと懸命に取り組んでいる」
チュニジアFédération Générale de la Métallurgie et de l’Electronique – FGME-UGTTのAbdelaziz Arfaoui書記長が述べた。
「特にネットワーク・レベルで、労働組合活動の開発に多大な努力が注がれており、サプライチェーンで組合活動をさらに改善する重要な要因になっている。私たちにとっては結果が重要であり、これは現場で実現している成果だ。自動車部門で労働組合の目標をいくつか設定しており、それを達成するために取り組んでいる」
チュニジアFédération Générale de la Métallurgie et de l’Electronique – FGME-UGTTのYamina Mbarki書記長がこう述べた。
「COVIDパンデミック、ロシアとウクライナの戦争、そして今度はガザ戦争が起こり、そのすべてが自動車部門に影響を及ぼしている危機だが、これに負けず私たちは職場のキャンペーンを通して組織化で重要な進展を達成している。一部の経営陣がキャンペーンを妨害し、労働組合員が労働者と連絡を取れないようにしようとしているにもかかわらず、成果が上がっている。2030年までに組合員数15%増を目指している」
ステランティスMENA労組協議会
北部アフリカの加盟組織とサプライヤーで構成されるステランティスMENA労組協議会は、2024年10月7-8日に会合を開いた。参加者は、主な目標と労働組合員の活動を妨げている問題を確認し、来期の作業計画を策定した。この計画は、社会的対話と安全衛生改善に重点を置き、地域のステランティス生産ネットワーク全体で効果的な社会的対話にサプライヤーを統合するために、調整・協調努力を強化することの重要性を強調する。
インダストリオール、ルノーMENA労組協議会/ルノー・グローバル従業員代表委員会および経営側の会合
2024年10月8日の会合は、組合と経営側が会談して重要な問題を提起する重要な機会だった。ルノーMENA労組協議会の代表団は、ルノーにおける重要な展開に焦点を当てて、地域とモロッコの自動車産業で見られる最も重要な展開についての見解を示した。
代表団は、経営側との建設的な社会的対話の結果、労働協約が締結されたことに感謝の意を表明し、特にロボティックスへの依存の高まりと、各種の新しい技能を必要とする新しい種類の車の開発を踏まえて、対話を発展させて公正な移行も取り上げることの重要性を指摘した。代表団は、来期の優先的活動を発表し、さまざまな経験について学習することが重要だと述べた。代表団は世界各地のルノーの組合・労働者の経験について概要説明を受けた。ルノー・グローバル従業員代表委員会代表団と経営側は、会合に謝意を表明し、ルノーMENA労組協議会と連絡を取り続けて共同作業を開発することの重要性に言及した。
この会合に先立ってルノーMENA労組協議会が開かれ、さまざまな事態の展開を調べるとともに、経営側と協議すべき最も差し迫った課題の優先順位を決めた。
モロッコの金属労組を対象とする戦略計画更新ワークショップ
モロッコの金属労組SNIME-CDTとFNMISME-UMT向けに、2つの戦略計画ワークショップがそれぞれ2024年10月9-10日、11-12日に開かれた。このワークショップでは実態を評価し、最も重要な課題を確認したのち、目標を定め、アクション・プランを立案し、計画を実施する労働組合チームが選出された。組合員数の増加、安全衛生の改善、モロッコにおける産業レベルの社会的対話の開発に特に重点を置いた。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/mena-automotive-unions-week
インドネシアの組合がオムニバス法に勝利
2024-11-01
組合が勝利を収め、インドネシアの憲法裁判所は、物議を醸している雇用創出法に関する組合の申し立て71件のうち21件を許可し、政府に2年以内に新しい法律を制定するよう命令した。
一般にオムニバス法として知られている雇用創出法は、2020年に当時のジョコ・ウィドド大統領によって制定された。インドネシアの組合はインダストリオール・グローバルユニオンに支援され、労働条件を悪化させる同法に抵抗してきた。
労働党とインドネシア労働組合総連合(KSPI)、全インドネシア労働組合総連合(KSPSI-AGN)、インドネシア統一労働者総連合(KPBI)、インドネシア金属労連(FSPMI)が司法審査を申し立てたあと、憲法裁判所は10月31日、外国人労働者の雇用を検討する際に労働者を優先しなければならない、有期雇用契約は5年を超えてはならない、休日は週に1日ではなく2日にすべきである、との裁定を下した。
最高裁判所は労使関係制度について、労使交渉で合意のための審議が必要であり、雇用の終了は労使関係機関からの命令によってのみ行うことができ、労使関係紛争処理に関する法律を参照しなければならない、と述べた。
約500人の労働組合員と労働党の活動家が、憲法裁判所の前に集まって判決を待った。労働党党首のサイード・イクバルは、この判決をインドネシアの労働者の勝利と宣言、プラボウォ・スビアント大統領に対し、判決を尊重して異なる解釈をしないよう要請した。
「オムニバス法に関する憲法裁判所の決定は、労働者の権利を求める進行中の闘いにおいて、FSPMIをはじめとする組合の記念碑的な勝利を示している。この判決は透明な統治の重要性を強調しているだけでなく、労働者を保護して権利を与える法律の形成にあたって労働者の提言が極めて重要な役割を果たすことも再確認している。インダストリオールとアジア太平洋地域のすべての組合による支援に心からの感謝を伝えたい」とインダストリオール・アジア太平洋執行委員会のプリハナニ・ボエナディ共同議長は言う。
この画期的な判決は、最低賃金制度の要件も詳細に規定した。とりわけ、収入は労働者とその家族の合理的なニーズ(食料、住宅、教育、医療、年金など)を満たさなければならないこと、使用者は賃金構造と賃金表の設定にあたって企業の値ごろ感と生産性を考慮に入れるだけでなく、労働者の区分、地位、勤続年数、学歴、能力も考慮しなければならないことである。
「これはインダストリオールが加盟組織とともに深く関わってきた長年にわたる闘いだ。今回の勝利はインドネシアの労働者にとって重要であるのみならず、域内の政府による同様の試みにも影響を与えるだろう。労働者の権利をむしばもうする試みと今後も闘っていくが、今はインドネシアの加盟組織とインドネシアの労働者を祝福したい」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/union-win-against-indonesias-omnibus-law
VW労働者、工場閉鎖めぐりスト決行を表明
2024-11-01
10月30日、フォルクスワーゲン労働者は大胆な警告を発した――会社側がリストラ計画で工場閉鎖の可能性を除外しない限り、ストを決行する。同社とインダストリオール加盟組織IGメタルは、賃金と工場閉鎖の可能性をめぐって激しい紛争を続けている。
前回の交渉で、VWは有害な削減計画のリストを発表した。交渉が続く中で、労使双方は技術委員会を設置し、11月21日の次の交渉に向けて賃金、訓練および臨時雇用を分析している。
IGメタルは、VW経営陣が無謀な決定を下し、雇用保障に関する長期協定を解体すると脅していることを非難した。ドイツの3工場を閉鎖するというVWの計画は、同社の87年の歴史で先例のない措置であり、これが紛争の中心となっている。
さらに、この自動車メーカーは大量レイオフ、残った従業員の10%の賃金カット、167ユーロ(181米ドル)の月次ボーナスの廃止、1400カ所ある研修場所の600カ所への削減、永年勤続労働者の特別手当の保留を提案している。
「フォルクスワーゲンは雇用保障協定の終了によってパンドラの箱を開けた。信頼回復は会社側次第だ」とIGメタル交渉担当者のトルステン・グレーガーは述べた。
ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車部門担当部長は次のように述べた。
「私たちはVW労働者と連帯する。同社は、会社の利益を伸ばしている労働者を保護するために誠意を持って交渉しなければならない」
VWはドイツで12万人を雇用し、10工場を稼働させている。休戦が原因で組合側は12月まで大規模なストを開始することができないが、労働組合幹部は、信頼と伝統の破壊とみなされる事態を防止するために、労働者がすべての必要な行動を取ることを明確にした。
写真:シャッターストック
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/vw-workers-threaten-strikes-over-plant-closures
ミャンマーの衣料労働者が四面楚歌
2024-10-31
クーデターの前からすでにミャンマー経済の柱だった繊維・衣料産業は、この国の軍指導者が崩壊しかかっている経済に外貨をつぎ込む重要な手段になっている。そして、労働者が代償を払っている。
2021年2月1日の軍事クーデターから3年半以上になるが、軍事政権は今もミャンマーに拠点を置いている。8月に軍が自国民を350回も爆撃したのに続いて、9月にも新たな空襲で少なくとも26人(10人の子どもを含む)が命を奪われた。
国軍は政権を握ると、労働組合を実質的に禁止し、組合指導者を逮捕した。ミャンマーには結社の自由がなく、組合や他の労働者団体は機能することができない。強制労働、労働者の権利侵害、不安定雇用の増加、賃金の崩壊が報告されている。
ビジネスと人権リソースセンターが開発したトラッカーが、ミャンマーの衣料産業における虐待を監視している。今年6月の終わりまでに、国際ブランド関連の266工場で556件の労働権・人権侵害容疑が記録された。
グローバルな連帯と説明責任の要求
今年6月のILO総会で、グローバル・ユニオンは国際労働機関(ILO)に憲章第33条の発動を求めた。軍事政権は、ILO調査委員会が強制労働と結社の自由に関する議定書の重大な違反の確認後に出した勧告を実施していないからである。
軍事クーデター以降、インダストリオールはミャンマーの加盟組合とともに運動し、ブランドにこの国から安全に投資を引き揚げさせようとしている。2022年、インダストリオールとミャンマーで活動している衣料ブランド数社の協議の結果、この国からの責任ある撤退を概説した「ミャンマーからのブランドの責任ある事業撤退の枠組み原則」が策定された。プリマーク、ニュールック、インディテックス、H&M、リドル、ファーストリテイリングが、この協定に従っている。
「ミャンマーにおける人権侵害によって、企業は労働者の安全を保証できないため、責任を持って事業活動を行うことは不可能だ。2021年の国軍による暴力的クーデター以降、ミャンマーでは人権デュー・ディリジェンスが不可能ということが繰り返し証明されている。あらゆる情報を入手できるのだから、この国で生産を維持しているブランドは、知らないと言うことはできない」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/myanmars-garment-workers-under-siege
OECDで労働者の権利と公平な競争環境めぐり議論
2024-10-31
OECDは、脱炭素化が造船業にもたらす課題、中国の台頭、紅海危機に起因する世界貿易の混乱で、市場がゆがめられることを懸念している。
OECD造船委員会は10月30日、世界の造船業が「バランスと競争力」を保ち、不当な国家的支援などの要因によってゆがめられないようにするために、造船部門の公平な国際競争環境に関するワークショップを開催した。
国際海事機構は2050年までに海運業のネットゼロ達成を目標に掲げており、2025年4月の海洋環境保護委員会(MEPC83)で、中期的な対策――この目標の達成に向けた経路――に合意しなければならない。
代替燃料について合意しておらず、今後の軌道は特定の燃料に投資するという大手船会社の決定に左右されるため、これは造船会社に課題をもたらしている。多くの船主はLNGを移行燃料として利用しているが、これはメタン排出量が多いためグリーンソリューションではない。
環境に優しい燃料は、運賃――ある場所から別の場所へ貨物を運ぶ費用――を80%上げると予想される。
OECD加盟国にとって最大の懸念は、造船超大国としての中国の台頭だった。総トン数で見て、世界の船の過半数が中国で建造されている。中国の船は国家的支援を受けて生産されており、競争をゆがめている。
インダストリオールは労働者の見解を示した。組合にとって、公平な競争環境を損なっている最大の要因は、労働者の権利と条件である。組合は、次のようなものが優れた慣行であることに合意している。
- 高い安全基準
- 競争力のある賃金と良好な労働条件
- 基幹労働力への投資
- 訓練と造船業への参入ルートの提供
- 移民労働者・契約労働者の平等待遇
しかし、最良の慣行にはコストがかかる。企業と国は、基準を下げることによって短期的な費用優位を得る。組合の力が強い国は最良の慣行を支持する可能性が高いが、それによってコスト面で不利になる。OECD諸国の中にも違いがあるが、OECD諸国と非OECD諸国(特に中国)との違いのほうが大きい。
中国は造船にかかる人件費が世界で最も安く、ドイツの7.4分の1である。中国は結社の自由と団体交渉に関する中核的ILO条約を批准しておらず、中国には自由労働組合がない。労働者には権利がないので、中国は競争相手より安いコストで活動している。
USWのロイ・ハウスマンとIAMAWのピーター・グリーンバーグが会合で演説、米国政府に301条の発動を要請するという両組合の決定について説明し、国家的支援、知的財産窃盗、労働者の権利の欠如によって中国は優位に立つことができていると主張した。両組合が提案した救済措置の1つは、中国製の船に対する港湾料金である。
ウォルトン・パントランド・インダストリオール船舶解撤産業担当部長はこう述べた。
「造船委員会には高い労働基準を支持しようという善意がある。しかし、これは中国が労働者の権利を尊重しないために損なわれている。アメリカの組合はこの問題の興味深い解決策を持っているが、労働運動はグローバルな対応を行う必要がある」
インダストリオールは、最良の慣行について合意するために、ILO部門別技術会合の開催を提案した。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/workers-rights-and-a-level-playing-field-at-the-oecd
造船アカデミーで産業を育成
2024-10-30
グラスゴーの造船アカデミーに入ると、現代的な教室があり、快適で仕事をしやすいカフェテリアがある。インダストリオール加盟組織のユナイト・ザ・ユニオンは5年以上、英国造船業が必要としていたもの――より現代的で持続可能な未来に向けて労働者に準備させる最先端の造船アカデミー――を求めて果敢に闘った。その目的は当面のニーズに応えることだけでなく、次世代のために造船業を再形成することでもあった。
インダストリオールは、労働組合ユナイトの要職者であるダンカン・マクフィーと膝を交え、詳しく話を聞いた。
英国全土の造船所は長い間、訓練施設を提供していたが、老朽化し、造船業が何としても必要とする新しい人材を引きつけることができなくなった。若者が次第に最先端産業に流れる時代にあって、造船は新しい顔、現代的な顔を必要としていた。
「ユナイトは早くから現代化の必要性を認識し、新技術、近代工学、最新の業界動向に関して、ブルーカラー/ホワイトカラー両方の労働者と卒業生を訓練できる施設の設立というアイデアを支持した。私たちのビジョンは明確だった――造船をどんなハイテク産業にも引けを取らない革新的で魅力的な産業にすることだ」とダンカン・マクフィーは述べた。
組合は長年にわたって変化を求めて働きかけ、2本立てのアプローチを取った。技術の進歩に伴って、適応力が高く技術に精通した労働者が必要になることを認識し、新しい人材の採用と現役労働者のアップスキリングの両方を強く要求したのである。
「私たちは造船会社に繰り返し言い聞かせた――人に投資する意思がなければ、この産業は成長できないだろう」とダンカン・マクフィーは説明した。
航空宇宙会社のBAEシステムズが可能性を認識したとき、大きな進展があった。国際契約の増加と堅調な受注を受けて、同社は組合のビジョンへの資源投入を決定した。
「私たちは同社に、口先だけではなく行動で証明するよう求めた。投資は多額に上ったが、見返りも同様に大きいだろう。そして、造船アカデミーが実現した」とダンカン・マクフィーは述べた。
この現代的なアカデミーには、ブルーカラー/ホワイトカラー両方の労働者と卒業生向けの教室があり、製鋼、艤装、設計工学のような仕事のための具体的な訓練プログラムを実施している。新人向けの実習にとどまらず、現役労働者の技能向上にも役立つだろう。労働者の多くは、新しい技能を学んで新しい役割を引き受けたがっている。ワークショップは誰でも参加でき、若い実習生と経験豊かな労働者の両方が、急速に進化している造船業に適応できるよう支援している。
だが、ユナイトのビジョンは造船所を超えて広がった。ユナイトは、このアカデミーを小規模サプライチェーン企業のための資源にし、そのような企業が実習生を派遣して、大規模造船所の労働者と一緒に訓練を受けさせられるようにすることを要求したのである。これは造船エコシステム全体が熟練労働者から利益を得られるようにし、最終的に造船業のサプライチェーンを強化する措置だった。
多様性と包摂も最優先課題になった。
「女性実習生30%を目指している。現在の割合は20%で、私たちは男性優位の産業の固定観念を打ち破ろうと決意している。私たちは、造船の未来はすべての人を包摂する必要があることを理解しており、造船業を女性にとってより身近な産業にすることを使命としている」とダンカン・マクフィー。
アカデミーは2024年8月に門戸を開放し、新世代の造船技師を受け入れ始めた。施設に足を踏み入れてみれば、過去から脱却していることは明白だった。
「この産業が近代産業であり、成長しており、造船技師を取り上げた古い映画とはまるで違うことを人々に伝えたい。私たちは企業と緊密に協力して実習生に初日から将来のキャリアの道を示し、彼らが造船分野における自身の旅の行き先に自信を持ち、明確に理解できるようにした」とダンカン・マクフィーは述べた。
「これらの新しい実習生がドアを通り抜けた瞬間から、ユナイトはそこにいた。第1週に当組合は、実習生のキャリア全体を通じて組合がどのように支援できるかについて話した。新人の組合勧誘成功率は95%で、これは私たちが労働者と深くつながっている証拠だ。これらの実習生の多くは経歴の全体にわたって組合にとどまり、経営者になる者もいるが、最初から支えてくれた組合に忠実であり続ける」とダンカン・マクフィーは述べた。
造船アカデミーのための闘いは簡単ではなかった。何年もかけてキャンペーンを実施し、繰り返し問題を提起し、投資を要求しなければならなかった。だが、ユナイトは揺るぎない献身を通して、英国造船業がただ生き残るだけでなく繁栄するようにした。彼らは、現代技術と熟練労働者が造船業を新時代に導くことができる未来を求めて闘った。そして、その未来がついに到来した。
「世界の造船業は活況を呈しているが、労働者の高齢化に伴って労働者不足が悪化している。新技術と排出基準は、造船を刺激的でダイナミックな職業にしている。新しい人材(特に女性)を引きつけることが持続可能な未来への鍵であり、組合のビジョンはこれを実現する」とウォルトン・パントランド・インダストリオール造船・船舶解撤部門担当部長は述べた。
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https://www.industriall-union.org/union-gets-shipbuilding-academy-to-grow-industry
マレーシアのハイコムはILO決定を遵守せよ
2024-10-30
全国輸送機器・関連産業労組(NUTEAIW)は、使用者も政府も2022年のILO決定を無視し続けていることを受けて、ハイコム・オートモーティブ・マニュファクチャラーズの組合指導者5人の復職を要求している。
5人の組合指導者が解雇されたのは2016年、勤務時間後にハイコム・オートモーティブの敷地外で団体交渉に関する組合の状況説明会に加わったあとのことである。同社は会社のイメージを傷つけたとして労働組合員を非難した。
ILO結社の自由委員会(CFA-ILO)は2022年6月、労働時間外に会社の敷地外で団体交渉の行き詰まりに関する組合の状況説明に参加したことを理由とするNUTEAIW組合員・指導者の解雇「は結社の自由に従っておらず、労働組合の職務遂行を妨げる威嚇に該当する可能性がある」との裁定を下した。
それにもかかわらず、使用者は労働者の復職を拒否している。NUTEAIWは今週、マレーシア議会で記者会見を開いた。このインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織は、ハイコムと当局がCFA-ILOの決定を無視していることに失望を表明した。
ゴパール・キシュナム・ナデサンNUTEAIW書記長は、同労組は昨年労使関係局と総理府にも苦情を申し立てたが、14カ月経ってもハイコムに対する厳しい措置は講じられていないと述べた。
「5人の労働組合員は過去10年にわたって失業している。彼らの経済的苦難を想像してほしい。同社が5人を直ちに復職させ、未払いの賃金・給付を支払い、勤続年数を認めるよう要求する。ハイコム経営陣が要求に応じなければ、当局は厳しく法律を執行し、組合つぶしに関与した社員を起訴しなければならない」とナデサンは述べた。
2人の議員、チャウ・ユー・ホイとハッサン・カリムがNUTEAIWの要求を支持しており、マレーシア政府はILO第98号条約の締約国として、特に労働時間外の組合活動への合法的参加に際して、組合に対する差別行為から労働者を保護する国際義務を負う、と述べた。
チャウは政府に対し、組合つぶしを深刻に受け止め、紛争を解決するために行動を起こすよう要求。政府は労働者の権利を擁護するだけでなく、国際舞台におけるマレーシア政府の名声も守らなければならない、と述べた。
「組合に対する差別は最も深刻な結社の自由の侵害の1つであり、労働組合の存在そのものを危うくしかねないというCFA-ILO結論に同意する。インダストリオールは、5人の労働組合員のために正義を求めるNUTEAIWのキャンペーンを支援している。10年も待たされたのだから、そろそろこの紛争を終わらせるときだ」とラモン・セルテーザ・インダストリオール東南アジア地域事務所所長は述べた。
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https://www.industriall-union.org/malaysia-hicom-must-comply-with-ilo-decision
IGメタル組合員が警告スト開始
2024-10-30
インダストリオール最大の加盟組織IGメタルは10月29日、ドイツの金属・電機産業全体で全国的な警告ストを開始し、2024年の団体交渉における緊急行動を要求した。
3回の交渉を終え、10月28日に和平期間が満了したあと、100を超える工場で1000人以上の労働者が仕事を放棄し、有意義な賃上げを強く要求した。
IGメタルは実習生について7%の昇給と170ユーロ(183米ドル)の上乗せを要求しているが、使用者側は2025年7月から1.7%、2026年7月から1.9%の賃上げしか提示していない。この提示は各年の予想インフレ率を大きく下回っており、実質賃金の減少になることから、組合から見れば期待外れである。
労働者が警告ストによって努力を強化している中、IGメタルと地域使用者団体の交渉が続いている。争点は明白である――公正な賃金がなければ、この産業と労働者の未来が危険にさらされる。
団体交渉方針担当のIGメタル執行委員ナディーン・ボグスラフスキーは次のように述べた。
「使用者側の現在の提示は、従業員が現在受けている価格圧力に迅速かつ十分に取り組むにはあまりにも少ない。あとから提示された賃上げと、将来の予想インフレさえ補償しない増額は、従業員にとって受け入れがたい。この産業は熟練労働者の確保に関して後れを取る危険がある。そのようなわけで、実習生はもっと多くの報酬を受け取る価値がある」
「交渉の場で明白かつ迅速に成果を達成できるようにするために、いま企業での警告ストが必要だ。誰も団体交渉の行き詰まりを望んではいない」
「使用者は今すぐ貢献しなければならない。人々は将来の見通しと使える金を必要としている。賃金抑制は誰のためにもならず、企業の状況を悪化させるだろう。国内経済の好転は企業にも大きな利益を与える。この点で企業も自らの役割を果たさなければならない。」
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は次のように述べた。
「私たちはIGメタルのスト参加者を全面的に支援し、連帯している。ドイツの使用者は交渉のテーブルに着き、労働者のために誠意を持って適正な賃金を取り決めなければならない。労働者が自分自身と家族の面倒を見られるようにする賃金を」
写真:IGメタル・ウェブサイト
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/ig-metall-members-commence-warning-strikes
インダストリオール、中東の即時和平を要求
2024-10-25
インダストリオール・グローバルユニオンは、中東における軍事的激化に対して強い憤りを表明する。この激化は極めて大きな人的損失を伴い、本格的な地域戦争の懸念を生んでいる。インダストリオールは、平和的手段、外交および対話を通して、イスラエル・パレスチナ紛争はじめ地域のすべての紛争の公正かつ永続的な解決策を改めて求めている。
インダストリオール執行委員会は5月、パレスチナ人に対するイスラエルの戦争を非難する決議を採択した。その後、ガザで殺害されたパレスチナ人が合計4万人を超え、ガザは貧困率100%に近い永続的な刑務所になり、ヨルダン川西岸は毎日攻撃を受け、平和的解決の望みが少しもない。
イスラエル、パレスチナ双方で、さらに多くの民間人が、今やレバノンとイランも巻き込んだ軍事行動から逃れざるを得なくなっており、食料や水、医療用品の不足を特徴とするただでさえ悲惨な生活条件がさらに悪化している。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長はこう述べた。
「私たちは労働組合として、すべての民族と国家の自決権のために決起する。私たちの運動は世界最大の市民社会運動であり、この状況の継続を黙って許すことはできない。それを許せば、労働運動史の汚点になるだろう」
「私たちは、すべての人民・国家の平和、公正、自由、平等の権利、民主主義、人間の尊厳および主権平等を支持する。即時かつ永続的な停戦を強く促し、すべての政府に対し、パレスチナ人を粉砕しようとするイスラエルの軍事的努力を後援するのをやめ、二国家解決の達成に集中するよう求める」
インダストリオールは他のグローバル・ユニオンとともに、独立パレスチナの実行可能な経済的未来を促進するために、国連安保理事会決議242および338の完全実施による公正で持続的な平和を一貫して要求している。インダストリオールは5月、他のグローバル・ユニオン7団体ならびに国際労働組合総連合とともにパレスチナに赴き、ヨルダン川西岸とガザの組合との連帯を表明した。
代表団は次のように明言した。「この大変な時期にパレスチナの労働組合・労働者と連帯する。ガザの人々が直面している重大な人道危機を深く憂慮しており、パレスチナ人、イスラエル人および世界中の人々を支持して平和と平等、公正を求める」
写真:2023年11月27日、ガザ地区北部から南部に逃れるパレスチナ人の家族
Ⓒ UNRWA photo by Ashraf Amra
テスラに対するスト
2024-10-24
米国系自動車メーカーのテスラが労働協約交渉を拒否しており、スウェーデンの組合IFメタルが同社に対するストライキを呼びかけてから1年が経つ。過去100年間、労働市場が労使対話によって統治されており、労働者のほぼ90%が労働協約の対象になっている国にあって、スト決行はめったにない決裂を示している。
テスラは1年間、いまだにIFメタルとの対話の開始を拒否しており、スト破りの輸入という極めて珍しい措置を講じ、スウェーデンでスト中の労働者の代わりにヨーロッパの他のテスラ修理工場からスタッフを呼び入れている。
だが、ストへの支援は強く、スウェーデン・モデルを擁護しようという意志も固い。スウェーデンでは、その他12組合がいわゆる同情ストに加わった。電気技術者、沿岸労働者、郵便配達を代表している組合が行動を起こしている。これは何より、テスラ車がスウェーデンの港で降ろされず、テスラ充電ステーションで作業が行われず、ナンバープレートが届けられないことを意味する。同情ストは近隣の北欧諸国の港にも広がっており、デンマーク、ノルウェーおよびフィンランドの組合が行動を起こしている。
テスラ修理工場前のピケラインには、スト中のテスラ労働者だけでなく、IFメタルと労働協約を結んでいる企業の労働者も加わっている。インダストリオールとITUCは連帯を表明して、今月に入ってイェテボリでスト中の労働者を訪問した。
ボルボ・トラックスの労働者は毎日8時間、人員が配置された修理工場前のピケラインで断固とした態度を取った。IFメタルは、地域で労働協約を結んでいる企業の労働者を使って名簿を作っている。労働者はストライキ行動のための休暇を認められ、IFメタルがスト実施日の賃金を支払っている。
世界有数の年金基金であるノルウェー政府年金基金はテスラの約1%を所有しており、最大規模の所有者である。同基金のCEOは先ごろスウェーデンのラジオで、テスラ経営陣および取締役会と定期的に会談し、労働協約締結の必要性を繰り返し主張し続けていると語った。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
「テスラのストが1年になる。国の労働市場を100年近くうまく統治してきたスウェーデン・モデルを完全に軽視するイーロン・マスクの態度は、この国の他の多国籍企業とまったく対照的だ。これは受け入れがたいことであり、スト中の労働者はインダストリオール組合員5000万人の全面支援を受けている」
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/the-strike-against-tesla
ウクライナ再建には組合が必要
2024-10-23
インダストリオールは10月14日にウクライナの加盟組織と会談し、現在の生活・労働条件を評価するとともに、戦後復興への道を戦略化した。議論の中で、組合が中心的役割を果たし、ウクライナの再建にあたって労働者の権利とニーズが保護されるようにすることの緊急の必要性が強調された。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は、どこで貢献できるかを確認するには、これらの最新情報を入手することが重要だと力説。再建は大規模なものとなり、資金分配システムを導入し、労働組合運動が関与することが不可欠だと強調した。
ウクライナの組合は課題を強調した。増税で状況が悪化しており、ウクライナ国民にさらなる負担をかけている。一方、この国は将来の再編成に欠かせない高度熟練従業員を失っている。組合は大きな課題として、インターネット、電力、石炭、冬に欠かせないその他の物品の不足も強調した。男性が戦争で戦っているため、女性も地下の鉱山で働かざるを得なくなっている。
冬が近づく中で、原子力部門は態勢を整えているが、エネルギー発電所の80%が破壊された、と組合は述べた。この荒廃は原子力労働者に非常に大きな圧力をかけており、これらの労働者は現在、国のエネルギー供給を維持するという任務を課せられている。エネルギーがなければ、ウクライナは再建することができない。労働者は絶え間ない砲撃によって損害を受けているインフラを修理しており、毎日命がけで働いている。
インダストリオール加盟組織Atomprofspilkaのワレリー・マトフ会長は次のように述べた。
「目前の課題と闘う用意はできている。発電所の修理が完了し、稼働している。この作業は非常にゆっくりしたペースで進んでおり、最高の質とは言えないときもあるが、1つずつ問題を解決していく。いくつかの保護システムも作っている」
労働力の大半が失われ、組合員数が大幅に減少している。加盟費が集まらないため、組合は財政難に陥っており、必要不可欠な活動を続けるのに苦労している。キャスパー・エドモンズ国際労働機関(ILO)代表が、ウクライナにおけるILO活動の概観を提供した。
「労働者の権利侵害を記録している。鉱業・エネルギー部門の状況をフォローしているが、状況は労働者にとって悪くなっている」
エドモンズはさらに、ILOはアメリカと日本の政策を研究していると述べ、ウクライナ再建資金を供給するというコミットメントがあると指摘した。しかし、将来の職務に備えて技能を向上させる必要があるエネルギー部門の労働者に焦点を当てることが重要である。
組合は差し迫ったニーズを表明した――変圧器と発電機、財政援助である。給料があまりにも少なく、ウクライナ産業への投資がこれまで以上に必要になっている。労働者を保護するためだけでなく、労働者のニーズが満たされるようにするためにも、労働組合を再建プロセスに参加させなければならない、と組合は強調した。組合が除外されれば、再建努力が行き詰まる恐れがある。
フリードリヒ・エーベルト財団(FES)のために行われた研究「ウクライナの生き残りのためのインダストリオール方針――30年に及ぶ産業の空洞化を覆す」の共著者であるブライアン・ミラコフスキーとウォロディミル・ウラシウクが、ウクライナ再建のための主要な産業政策勧告を発表した。これらの勧告には、再工業化を推進する立法・規制改革を提案する権限を有する産業政策協議会の設置が含まれている。この協議会は専門アドバイザーの支援を受け、効果的な産業政策を立案・実施するウクライナの能力を高めるだろう。重要なことに、この政策は地域振興と現地調達率を優先させると同時に、武器製造の拡大、エネルギーシステムの脱炭素化による効率と回復力の向上、再工業化努力への財政支援拡大に焦点を当てるべきである。
独立鉱山労組(NPGU)とウクライナ独立組合総連合のミハイロ・ボリネッツ会長は次のように述べた。
「インダストリオールがウクライナに関心を寄せてくれることに感謝する。国民を元の状態に戻すために、できる限りのことをしている。労働組合は給料をインフレとGDPに合わせるよう主張しており、これには鉱山労働者を含めなければならない。さまざまな労働組合に取り組もうと努力しており、国を取り戻すために懸命に働いている」
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長はこう述べた。
「すべての努力と資源を結集することによって、今後もウクライナの加盟組織のニーズに応えていく。ウクライナの組合は存続可能な社会・経済生活に基づく国の再建において重要な役割を果たしており、私たちは彼らと連帯している」
写真:シャッターストック
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/ukraine-reconstruction-needs-unions
造船・船舶解撤世界会議、持続可能な産業転換を要求
2024-10-17
10月15-16日にグラスゴーで開かれたインダストリオールの造船・船舶解撤世界会議に16カ国の組合指導者が集まり、世界で最も危険な部門のうちの2つで、より安全かつ公正で持続可能な業界標準を定めるためのビジョンをめぐって団結した。このフォーラムは大胆な変化を求め、労働者保護の強化、持続可能な慣行、グローバルな連帯を要求した。
アイリーン・ヨー・チョー・ジェク共同部会長は言う。
「組合は新技術への包括的な移行を生み出すうえで必要不可欠だ。すべての人のために公正な労働慣行、雇用の安定およびバランスを確保しなければならない」
「安全衛生はこの産業の生命線だ。私たちは知識を共有し、現場の生活の改善策を見つけるためにここにいる」と津村正男共同部会長は言う。
ビジャーダール・バスデオ・ラネー副部会長は言う。
「国際協力は労働者の安全の基盤だ。香港条約は変革に向けた一歩となる」
ウォルトン・パントランド部門担当部長が部門の概観を述べ、両部門の課題を強調した。
「この産業は、技術変化から男女比の不均衡、労働者不足まで、厳しい課題に直面している。新たな人材を呼び込み、安全に焦点を当て、世代間の平等を強く要求しなければならない」とウォルトン・パントランドは言う。
会議の焦点は、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(2025年6月発効予定)の実施が迫っていることだった。
この画期的な協定は重要な保護を導入している。すなわち、義務的な安全衛生訓練、船舶解撤前の危険除去の強制、リサイクル工場の明確な説明責任要件である。
しかし代議員は、低い遵守率、非常に強い商業的圧力、不十分な法的執行など、進行中の課題に対する懸念も表明した。この条約は前進を示しているが、代議員たちは、政府・企業に労働者の安全に対する責任を負わせるために、強力な国際連帯によって支持しなければならないことに合意した。
オーストラリア、米国、シンガポール、韓国、日本、オランダ、バングラデシュ、インド、デンマーク、フランス、フィンランド、ノルウェー、台湾、スペイン、英国の代議員が、労働者不足、女性参画の不足、移民労働者の組織化、中国の生産の急拡大といった共通の関心事を強調した。フォーラムは最後に明確なメッセージを出した――確固たる組合の構築、社会的対話の強化およびグローバルな団結が不可欠である。
この部門は今後、団体交渉力を利用して労働者の権利と安全に焦点を当て、労働者の長期的利益の優先、安全衛生ネットワークの構築、最良の危険共有慣行の擁護を目指していく。女性参画を改善して女性組合活動家向けのグローバル指導プログラムを策定し、若いホワイトカラー労働者を包摂するための戦略の共有によって、ジェンダーと若者の包摂にも焦点を当てる。
さらなる措置として、組合協力の促進によるグローバルな組合の力の強化、労働協約への移民・契約労働者の統合、多国籍企業におけるネットワーク構築、OECDとの連携による持続可能性と技能開発の重視、船舶解撤における公正な移行の支援、継続的な技能開発と利用しやすい資格取得経路の提唱が挙げられる。
クリスティーナ・オリビエ書記次長は言う。
「これまで以上に今こそ、社会インフラの強化によって、組合が組織化し、より安全で公正な職場を支持できるようにしなければならない」
アフリカでビジネスと人権に対する開発重視の取り組みを要求
2024-10-17
10月8-10日にケニアのナイロビで開催された第3回アフリカ・ビジネスと人権フォーラムでの議論において、労働組合は、開発を重視してビジネスと人権に取り組み、経済開発と工業化を支援する必要があると述べた。労働組合は、この取り組みが必要とされるのは、アフリカ大陸が貧困や不平等、失業、気候変動による異常気象事象(地域社会を荒廃させている洪水や干魃など)の課題に直面し続けているからだと主張した。
このフォーラムには地域社会、市民社会組織、政府、使用者団体、人権保護団体、労働組合組織などから500人以上が参加し、テーマは「急速に変化する状況下での責任ある企業行動の促進」だった。
議題の1つは、クリティカルミネラル資源の選鉱とアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の恩恵に基づくアフリカの経済成長の可能性だった。インフォーマル経済からフォーマル経済への移行も利益をもたらす可能性がある。この開発は持続可能でなければならず、責任ある企業行動と環境保護の条件下で達成すべきであることが強調された。例えば、自動車メーカーのいすゞイーストアフリカをはじめとする企業は、インフォーマル経済と中小企業のサプライヤーとの契約を支援することによって、企業の成長に貢献していると述べた。
リベリアでビジネスと人権に関する国家行動計画(NAP)プロセスに参加し、他の労働組合員やグローバル・ユニオン・フェデレーションのBWIアフリカとともにパネルに加わったバクス・クン・リベリア統一労組教育・訓練局長は、組合の関与のおかげで労働条項を盛り込むことができたと述べた。
「私たちは当初、NAP策定プロセスから締め出されていたが、招待された際、計画に労働問題を含めるために懸命に闘った。気候の公平性の問題に関しても市民社会組織と共通の立場に達した」
UWULはインダストリオール・グローバルユニオンに加盟しており、このパネルディスカッションはFES-AU事務所によって支援された。
NAPには、差別、臨時雇用化、児童労働から労働者を保護するための条項があり、実行可能なビジネスと人権報告メカニズムと、現行法を利用して救済を受ける権利への組合の要求が盛り込まれている。NAPを策定しているその他の国々はケニア、ウガンダ、リベリアである。UNDPによれば、セネガル、ガーナ、マラウイ、ジンバブエ、モザンビークといった国々でもNAPに向けた進展が見られる。アフリカ連合も、国家元首と政府が採択するビジネスと人権政策案を立案している。
オンラインで参加したアレックス・エンコシITUCアフリカ人権・労働組合権コーディネーターが、デュー・ディリジェンスが重要だと述べた。
「労働組合は労働者の権利の擁護者であり、結社の自由、団体交渉およびスト権を守るためのディリジェンス枠組みに関して協力している」
インダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所のポール・フランス・ヌデソミン所長が述べた。
「責任ある事業慣行を主張することによって、組合はサプライチェーンで多国籍企業に関与することができる。組合は鉱業部門と製造業部門の多国籍企業を引き込み、各国に労働者を保護するよう求め、加害企業に対して救済を実施しようと努めているため、これは重要だ」
このフォーラムは、アフリカ人権・人民権委員会、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、ビジネスと人権アフリカ、ユニセフ、ビジネスと人権に関する作業部会およびUNDPが、さまざまな地域・大陸・国際組織の支援を受けて開催した。
若年労働者による若年労働者のためのツールキット開発
2024-10-11
10月にフランス、フィンランド、日本、フィリピン、インドネシア、ドイツ、エスワティニ、シンガポール、スウェーデンの15組合から、28人の若いホワイトカラー労働者とオルグがジュネーブに集まった。この行事の目的は、若年ホワイトカラー労働者の特定のニーズに取り組み、彼らを労働組合に引きつけて動員する方法を調べ、よりよく代表することだった。
若年ホワイトカラー労働者は、移動性が高く、自分で交渉する傾向があり、組合に対して否定的な見方をしているため、組織化が難しい場合が多い。
「若年ホワイトカラー労働者は傘下組合の現在であり、未来だ。彼らの話を聞いて、傘下組合で居場所を広げる必要がある」とコリン・シェウィン・インダストリオール・ホワイトカラー労働者共同部会長は言う。
パネルで職場問題、組織化戦略、コミュニケーションを取り上げ、小グループで理想的な組合モデルと戦略的アウトリーチについて議論した。
フランス、フィリピン、ブラジル、エスワティニの労働者が願望と懸念を共有した――フィリピン:組合つぶしの不安。フランス:雇用保障、接続しない権利の課題、柔軟性の不足および有意義な仕事をめぐる懸念。ブラジル:経験に対する使用者の高い要求を満たすという課題ならびに不平等・差別問題。エスワティニ:雇用と雇用保障の欠如。
共通の願望は、雇用創出と雇用保障、ワーク・ライフ・バランス、アップスキリング、女性のための柔軟な作業場だった。
「傘下組合内部で、若年労働者が積極的に参加し、自分たちを取り上げる組合戦略を策定できるようにする環境を作ることが重要だ」とCFE-CGCエネルギーの若手インダストリオール執行委員ロマン・ダルジャンは言う。
このグループの理想的な組合に関する議論から、願望と現実のギャップが明らかになり、代表、透明性、コミュニケーションおよび若年労働者の権利拡大の欠如が浮き彫りになった。参加者は、対面コミュニケーション、早期組合教育、組合内部における多様性拡大の必要性を強調した。
参加者たちは、若年ホワイトカラー労働者は組合に対して否定的な見方をしており、「組合は社会の多様性を代表しておらず、メディアで不正確に伝えられることが多い」と感じている、と述べた。参加者は、このイメージを改善するために、積極的なコミュニケーションにより、ソーシャルメディアを利用して労働組合が先を見越した活動主体であることを示すよう提案し、簡潔なメッセージを送って効果的に若者に接触する必要があると強調した。
日本、フィンランド、ガーナから参加したパネリストが、若年ホワイトカラー労働者の組織化戦略を共有した。若年労働者向けの訓練給付と加盟費の課題が新たな問題だった。一部の組合はゲームイベントを企画したり無料のコーヒーを提供したりして交流を奨励し、労働組合に関する認識向上と教育の場を設けた。
若年労働者とのコミュニケーションに関するセッションで、対象者を理解することの重要性が強調された。シンガポールとスウェーデンからの参加者が経験を共有、若年労働者は対面の交流を好むと指摘し、政府と協力して組合をホワイトカラー労働者にとって魅力的な存在にする必要があると述べた。スウェーデンの組合は、労働者が学生から従業員に移行するのを援助するうえでの課題を強調し、労働組合は学生と若年ホワイトカラー労働者がもっと安心して組合に加入できるようにすることが重要だと力説した。
専門家オルグのアーロン・チャペルが、戦略的組織化キャンペーンについて発表した。参加者は、仕事のあとに会話を始めたり、ランチミーティングを主催したりするといったシナリオを実際に演じた。
ガーナの代議員が、WhatsAppやフェイスブック、インスタグラムのようなプラットフォームを使ったオンライン組織化の実例を発表し、的を絞った組織化の利用や労働者のニーズの把握について話した。ビラ配りや若年労働者の心に訴えかけるキャッチフレーズの利用による、ターゲットを絞らないアプローチの例も示した。課題として、不安定雇用と、組合についての誤った通説が原因で若年労働者の組織化が困難である現状が挙げられた。オンライン組織化ではデータベースの利用が鍵である。
ドイツ、ノルウェー、ブラジルからの参加者が、労働組合がどのように労働者を代表しているか説明した。共通のテーマは、組合が提供する便益やサービスである。
「今回の議論で、組合に積極的に関与したいという若手組合員の願望と、彼らが直面している障壁がまたしても明らかになった。指導者たちは、若者に年長者と同じ条件・義務を課しておきながら、若者が組合活動に全面参加できるようにすることを一貫して拒否してきた自分たちの姿勢を、早急に問題にする必要がある」とサラ・フローレス・インダストリオール青年・プロジェクト担当オフィサーは言う。
インダストリオールのホワイトカラー労働者担当部長は言う。
「インダストリオールは今後、若年ホワイトカラー労働者とオルグ双方の意見を聞いて、若いホワイトカラー労働者の組織化方法に関するツールボックスを開発していく。このツールボックスには、検証済みの有効な手段を含める。若いホワイトカラー労働者の話に耳を傾ける必要がある。私たちが彼らを定義することはできない。その定義は彼らが決める必要があり、私たちは彼らの話を聞かなければならない」
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/developing-a-toolkit-for-young-workers-by-young-workers
キャタピラー・メキシコ労働者の公正な協約を求めるストが1周年
2024-10-10
全国産業・サービス労働者独立組合(SNITIS)は、メキシコ・ヌエボラレドのキャタピラーで1年間ストを実施しており、公正な労働協約を獲得しようと努めている。
20/32運動としても知られているSNITIS労働者は、メキシコの法律に定める集団調停プロセスを使い尽くしても労働者の要求を満たす合意に達しなかったため、昨年9月22日にストを決行した。
1年後の今、労働者の幅広い要求の解決策を見つけるためにキャタピラーと有意義な交渉が行われていないため、SNITISは依然ストライキ中である。労働者は、組合指導者のビクトル・マヌエル・バーガラが不当に解雇されたあと、キャタピラーに組合権の尊重を要求するためにストを開始した――バーガラはその後、世論の圧力のおかげで復職した。
同労組によれば、キャタピラーはストをつぶそうとしており、組合員を差別している。同社は国際労働基準とメキシコ労働法に違反して、組合労働者に対して威嚇や報復、排除のような戦術を利用している、とSNITISは言う。組合によると、これらの戦術の狙いは労働者の集団的な力を弱め、団結権・団体交渉権を損なうことである。
労働者の要求は以下のとおり。
- メキシコのキャタピラー経営陣とSNITISの建設的対話によって、労働者の要求が満たされるようにすること。
- 反組合的慣行を直ちに中止すること。
キャタピラーは2023年に全世界で90億米ドルを超える利益を計上したので、労働者は、賃上げは合理的かつ正当な要求であり、会社にとって対応可能な要求だと感じている。
パトリック・コレア・インダストリオール機械エンジニアリング担当部長は言う。
「インダストリオールとキャタピラー・グローバル組合ネットワークは、公正を求める闘いにおいてこれらの労働者を支援するために全力を尽くしている。キャタピラーに対し、この問題を速やかに解決するために必要な措置を講じるよう強く促す。この紛争の解決策が見つかるように、私たちは、公正と労働者の権利尊重の原則に従って建設的対話を受け入れる」
「すべての国際労働組合組織にも、引き続き積極的に活動し、メキシコにとどまらない社会的公正を求める労働者の闘いを支援するよう呼びかけている。彼らは権利を求めて闘っている世界中の労働者の模範だ」
素材金属部門で人権保護の強化を要求
2024-10-04
労働組合は、人権デュー・ディリジェンス(HRDD)フレームワークが、素材金属部門で労働者の状況に有意義な改善をもたらすようにすべく努力を強化している。10月3-4日にプラハで開催されたワークショップで、インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、世界中から組合代表を集め、この産業が労働者の権利と安全にもたらす悪名高いリスクに取り組んだ。欧州委員会の支援を受けたこの行事は、どうすれば組合は積極的にHRDDプロセスを形成し、企業に責任を負わせることができるかに焦点を当てた。
欧州連合の企業持続可能性デュー・ディリジェンス指令(CSDDD)のような新しい法的枠組みの実施に伴い、多国籍企業は、グローバル・サプライチェーンの人権侵害への対処を求める強い圧力にさらされるようになっている。鉄鋼、アルミニウムなどの必須金属を含む素材金属部門は、複雑なサプライチェーン、危険な作業環境、原料採取における搾取的な慣行が原因で、特に侵害が発生しやすい。
ワークショップ参加者は、HRDDはこれらのリスクへの企業の取り組みを変革できる強力な手段であることを強調した。この部門はますます厳しい監視下に置かれるようになっており、多くのステークホルダーが、労働者の安全衛生保護の改善と、従業員・周辺地域社会両方のための環境保全の強化を要求している
インダストリオール・ヨーロッパ労働組合の企業方針責任者を務めるアリーン・コンションは、HRDDは企業にとって官僚主義的確認手続き以上のものでなければならないと強調した。
「その目的は、企業が労働者の権利を最優先することによって、活動方法を変革することでなければならない。これには、サプライチェーン全体で団結権・団体交渉権の保護を確保することが含まれる」
欧州全域にとどまらず他の地域でもHRDD法の数が増えている中で、労働組合は、これらの枠組みが実際の行動につながるようにするうえで極めて重要な役割を果たす立場にある。リスク評価からアクション・プランの取り決めまで、HRDDプロセスのすべての段階に参加することによって、組合は労働者の権利を優先させることができる。
パトリック・コレア・インダストリオール・グローバルユニオン素材金属担当部長は、組合の関与の重要性を強調した。
「労働組合が全面的に参加しなければ、デュー・ディリジェンスは空約束に終わる危険がある」
HRDD法が実施される中で組合は、企業に責任を負わせ、人権デュー・ディリジェンスが単に企業を法的リスクから守るだけでなく、労働者を搾取や損害から保護するようにしようと固く決意している。これは素材金属部門ならびにその他の部門における企業責任の拡大と労働者保護の改善に向けた重要な一歩である。
クリスティーナ・オリビエ・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長は次のように述べた。
「企業は、もはや自社の事業で人権を尊重するという義務を無視することができない。組合にとって、これはデュー・ディリジェンス・フレームワークが、特に素材金属のような危険性の高い部門において、労働者のために具体的な真の改善をもたらすようにする絶好の機会だ」
ワークショップでの議論は、組合が企業による遵守状況を監視し、特に労働者が最も高いリスクにさらされている部門で、企業による人権関連の約束が実施されるようにすることの必要性にも重点を置いた。
このワークショップは、繊維、採取産業、自動車部品メーカーなど、危険性の高い部門で組合の能力を構築するためにインダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合が主導する、より幅広いイニシアティブの一部である。今後2年間、同様の行事によって組合指導者に、職場でHRDDを実施するために必要な手段を与える。このイニシアティブの終わりに2026年に大規模な会議が開かれ、組合代表が政策当局と戦略や勧告を共有する。
ジュディス・カートン=ダーリング・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記次長は次のように結論づけた。
「労働組合は常に労働者の権利擁護の最前線に立ってきており、HRDDはそのための新しい強力な手段を与えてくれる。デュー・ディリジェンス・フレームワークが、その保護対象である労働者によって形成されるようにすることが、私たちの手に委ねられている」
マレーシアの自動車サプライヤー、ヴァレオで組合つぶし
2024-09-30
ヴァレオ・マレーシアによる組合つぶしの画策が失敗し、裁判所は全国輸送機器・関連産業労組(NUTEAIW)の団結権を認める判決を下した。ヴァレオ・マレーシアは、無記名投票の結果による労働者の自由な選択を軽視しようと試み、NUTEAIWに対して多数の法的な異議申し立てを行った。
インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織のNUTEAIWは、COVID-19パンデミック下で同社を組織化した。
労使関係局はNUTEAIWの承認請求を判断するために2021年12月14日に無記名投票を実施、同労組は対象従業員579人から56.82%の支持を得た。
投票結果が労使関係規制に定める要件を満たしていたにもかかわらず、ヴァレオは最高裁判所、控訴裁判所および連邦裁判所で法的な異議申し立てを行い、「労使関係局長は、NUTEAIWが労働者を『洗脳した』という当社の苦情を調査しなかった」と主張した。
最高裁判所は、局長は正当にNUTEAIWに承認を与え、手続き上の不正はないとの判断を下した。控訴裁判所は、同社は所定の2カ月以内に局長の不正行為に関する正確な情報を提供しなかったと述べた。連邦裁判所は、同社が異議申し立ての中で新しい法的問題を証明しなかったことを理由に、ヴァレオの許可申請を却下した。
ゴパール・キシュナム・ナデサンNUTEAIW書記長は言う。
「私たちは連邦裁判所の判決を歓迎しており、ヴァレオにNUTEAIWとの団体交渉を開始するよう求める。法的手段によるヴァレオの組合つぶしは、使用者が定期的に組合を訴えて組合をつぶすことを認めている労働法の弱点を示している。この法律を改正し、法的嫌がらせをやめさせなければならない」
ラモン・セルテーザ・インダストリオール東南アジア地域事務所所長は言う。
「同社は、自動車労働者を組織化するNUTEAIWの権利と無記名投票の結果を尊重しなければならない。マレーシア政府が批准済みの国際労働機関第98号条約は、労働者および使用者の団体は、その設立および機能において互いによるあらゆる干渉行為から適切に保護されるものとする、と明記している」
ヴァレオは多国籍自動車メーカーで、パリに本社がある。全世界175カ所に生産設備があり、運転支援システム、照明装置、電気自動車用の電気システムを生産している。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/malaysia-union-busting-at-auto-supplier-valeos
キャタピラー・グローバル労働組合ネットワーク、労働者への支援と変革の要求を約束
2024-09-30
キャタピラー・グローバル労働組合ネットワークは9月25日にパリで会合を開き、この大手製造企業の労働者の間でグローバルな連帯を強化した。キャタピラーが驚異的な利益(2023年90億米ドル超)を上げ続けている中で、世界中の労働者は賃金の停滞、雇用不安、反組合的慣行の悪化に直面している
この会合には全世界から組合代表が集まり、課題に取り組んで集団行動の方針を決めた。代議員たちはアメリカや北アイルランド、メキシコにおける労働者の闘いの物語を共有し、緊張感が漂っていた。
キャタピラーが外部委託への依存を高め、真の社会的対話を行おうとしないことが、議論全体を通じて共通のテーマだった。
建設部門の世界的な失速にもかかわらず、キャタピラーの財務実績は堅調を維持している。しかし組合代表は、この成功が労働者の犠牲を伴っていることを強調した。
クリスティーナ・オリビエ・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長は次のように述べた。
「キャタピラーは成功を収めているが、労働者は搾取されている。同社の利益は、公正な賃金と労働者の権利の尊重を犠牲にしてはならない」
会合で表明された主な懸念は、同社が底辺への競争戦略を取り続けており、生産が低賃金国に移転し、それらの地域の労働者が十分に保護されないままになっていることである。特にメキシコの事例が目立っていた。
メキシコのヌエボラレドでは、Caterpillar Tecnología Modificada工場の労働者が1年以上前からストを行い、公正な賃金と所属組合Sindicato Nacional Independiente de Trabajadores de las Industrias y de Servicios(SNITIS)の承認を要求している。ストに先立つ数カ月間に何度か交渉が決裂し、労働者はキャタピラーの組合つぶし戦術と差別的な慣行を非難している。
組合が勝利を収め、組織化を理由に当初は解雇された組合指導者のビクトル・マヌエル・バーガラが復職した。しかしSNITISとその組合員は、より良い賃金とより安全な労働条件を保証する労働協約を強く要求し続けている。
「SNITISの闘いは、全世界のキャタピラー労働者全員の闘いだ。私たちはメキシコの同僚と全面的に連帯しており、彼らの権利が完全に尊重されるまで支援し続ける」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は述べた。
ネットワークは、キャタピラーCEOのジム・アンプルビーに正式な書簡を送り、介入してSNITISとの交渉が真摯に受け止められるよう強く促すことで合意した。
グローバル市場で継続的に成功しているキャタピラーは、それに応じて公正な労働慣行にコミットしなければならない、と組合代表たちは主張する。ある代議員がこう述べた。
「キャタピラーは記録的利益を計上しながら労働者を搾取し続けることはできない。世界中が注目している」
この会合では、ネットワーク自体を活性化させることの必要性にも取り組んだ。COVIDパンデミック以降、組合間のコミュニケーションが減速し、集団行動の効果が弱まっている。代議員は、国境を越えて連帯を構築し、キャタピラーの労働慣行に抵抗するという決意を再確認した。議論の終わりには、メッセージが明白になっていた――世界中のキャタピラー労働者は同様の課題に直面しており、集団行動を通してのみ、有意義な改革を強く要求することができる。
クリスティーナ・オリビエは次のように述べた。
「これは1つの工場あるいは1つの国だけの問題ではない。多国籍企業による労働者の扱い方の基準を設定するという話だ。団結することでさらに強くなる。キャタピラーは私たちが引き下がらないことを理解しなければならない」
インドの組合指導者、素材金属部門と鉱業部門の労働者問題を中心に議論
2024-09-20
インダストリオールは9月上旬、インドのコルカタで素材金属部門と鉱業部門の労組指導者を対象にワークショップを開催、両部門における労働者の課題を詳述した。
9月7-8日に開催された素材金属ワークショップには、合計29人の労働組合員が参加した。組合指導者たちは、ビライ、ビシャカパトナム、ドゥルガプル、ボカロ、バーンプール、ルールケーラーのBALCO、タタ・スチール、その他の製鉄所など、国内の主要素材金属工場を代表していた。9月9-10日に開催された鉱業ワークショップには、コール・インディア・リミテッドの子会社数社、国営鉱物開発公社、タタ炭坑、インド鉄鋼公社の鉄鉱石鉱山から、およそ22人の労働組合員が参加した。
組合指導者たちは、高い生産圧力、有能な人材の深刻な不足、増え続ける不安定労働者、公共部門製鉄会社の民営化、鉱山の外部委託と閉鎖、職場の深刻な安全衛生問題に言及した。
さらに、女性労働者・若年労働者の組合への参画比率が低いこと、組合員数が減少していることも、緊急の課題に挙げた。技術変化と気候変動は、この部門の労働者にさらなる課題(雇用不安の喚起など)をもたらしている。
参加者は、組合の力の強化、より包括的な組合の構築、政府の公営企業民営化政策や不安定雇用との闘いの必要性を強調した。もう1つ強調されたのは、ESG(環境・社会・ガバナンス)基準に関する会社の方針をめぐる議論に組合を参加させることだった。両ワークショップは、インドの素材金属産業と鉱業で労働者が直面する課題に取り組むにあたり、組合の連帯と効果的な戦略が重要だと力説した。
インダストリオール地域事務所チームは、コール・インディア・リミテッドの公正な移行に関する計画についてもっと学ぶために同社会長とも会談し、これらの方針を立案する際に労働組合も参加させることの必要性を強調した。
インダストリオール・チームは、地下鉱山のニムチャ炭坑と露天掘りのNorth Searsole鉱山(いずれもコール・インディア・リミテッド子会社のEastern Coalfields Limitedが運営)も視察した。視察の目的は、鉱山の労働条件と労働安全衛生を理解することだった。
アシュトシュ・バッタチャリア・インダストリオール南アジア地域事務所所長は次のように述べた。
「インダストリオール加盟組織と労働組合は、労働者の権利を優先させて生活を保護する公正な移行を確保するうえで、重要な役割を果たすことができる。組合の積極的な参加は、気候変動に取り組むだけでなく、職場の安全衛生も保証する方針を作成するために欠かせない。持続可能な未来は、すべての労働者にとって包括的、公正かつ確実でなければならない。持続可能な産業の形成に取り組むインドのすべての加盟組織との連帯を表明する」
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/challenges-facing-workers-in-base-metal-and-mining-sectors
今も残るジェンダー賃金格差
2024-09-18
9月18日の国際同一賃金デーは、同一価値労働同一賃金の達成に向けた積年の努力を象徴している。ジェンダー賃金格差は全世界で持続しており、同一賃金法やILO同一報酬条約の広範囲にわたる批准にもかかわらず、平均20%を推移している。この格差は、社会、経済および労働市場の根強いジェンダー不平等から生じている。ジェンダー賃金格差の解消は、女性のために社会的・経済的公正を達成する方法の1つである。
これと闘うために、インダストリオールは昨年、賃金平等とジェンダーに基づく暴力に関する国際的専門家のジェーン・ピリンジャーが開発した賃金平等ツールキットを発表し、賃金不平等に取り組むための組合戦略を提案した。重要な措置は、認識向上、賃金の透明性の促進、構造上の原因への対処、フォーマル/インフォーマル両部門における低賃金労働者の支援などである。
このツールキットを足場として、インダストリオールは、組合が賃金平等に関する計算や報告、交渉を行ううえで役立つ訓練モジュールを開発している。2024年にはFESの支援によってウガンダとトルコで訓練が実施される。
主要なILO統計(2024年):
- 女性の労働参加率は50%未満
- 女性の60%がインフォーマル労働に従事
- 女性の収入は男性より20%少ない
- 世界の介護労働力の70%が女性
- 女性は無給介護労働の75%超を遂行
アルメル・セビー・インダストリオール・ジェンダー担当部長は言う。
「持続的なジェンダー賃金格差との闘いは、女性委員会がインダストリオールの優先課題に掲げている。ツールキットも訓練モジュールも、目的は、ジェンダー賃金格差とは何か、女性の仕事の過小評価と闘うためにジェンダーニュートラルな職務評価を行うにはどうすればよいかを、加盟組織が理解しやすくすることだ。訓練モジュールの大部分は、これらすべての問題をめぐり交渉する方法について、労働組合を訓練することに専念している。労働組合が女性化された仕事を含む仕事の価値を団体交渉と社会的対話の中心に据えられるように、団体交渉チームのメンバーを訓練することが重要だ」
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/there-is-still-a-gender-pay-gap
東南アジアの青年、組合訓練への統合を要求
2024-09-17
東南アジアの若い労働組合員が9月14日にマニラで会合を開き、労働組合に対し、青年を変化の促進役として認め、日常の組合訓練で若者に20%を割り当てるよう求めた。
青年たちは、ジェンダーに基づく暴力とハラスメント(GBVH)を根絶し、労働協約と組合方針にGBVHと第190号条約の条項を盛り込むうえで、能力強化が重要だと強調した。
勧告は以下のとおりで、これは9月11-14日の東南アジア青年アカデミーが作成したアクション・プランの一部だった。
- 青年の調査と青年の密集度のマッピングを実施
- より多くの若年労働者を労働組合に組織化
- 工場・現地組合・連合団体レベルで青年委員会を設置
- 既存のインダストリオール全国青年委員会を再開
- 組合の持続可能性を確保するために青年のリーダーシップを強化
- 20%の青年訓練割当制に関する組合方針を立案(組織化・GBVH訓練など)
- 労働協約にGBVHと第190号条約の条項を包含
- 賃金のジェンダー平等と公正な昇進の機会を支持
- 青年活動家ネットワークを創出
- 意思決定機関と加盟組織の会合に青年を包摂
- 青年の認知度を高めるためにソーシャルメディアアカウントを開設
インダストリオール東南アジア・東アジア・太平洋青年作業部会(SEA2PAC-Y)のジーン・フェイ・ダグマン共同議長が、2023年の青年アカデミー・アクション・プランを見直した。
SEA2PAC-Yはアクション・プランの一部を達成した、と共同議長は述べた。例えば、インドネシアとカンボジアにおける全国青年委員会の設立、定期SEA2PAC-Y会合への若年労働者の積極的な参加、ITUC組織化アカデミーとの共同によるバーチャル組織化訓練などである。青年たちは、ミャンマーにおける民主主義の回復、訓練資源の拡充、SEA2PAC-Yプラットフォームを通じた規約修正に関する3つの決議も策定した。
青年アカデミーには、カンボジア、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムから22人の若者が出席した。
4日間の会合で参加者は、変化をもたらす主体としての青年、グローバル化した東南アジアにおける社会的公正、気候変動と公正な移行、ジェンダー平等とLGBTQI労働者の包摂、インフォーマル化、ディーセント・ワークなど、さまざまな問題について議論した。
さらに青年たちは、Bantayog ng mga Bayani(英雄記念碑)とケソン市博物館を訪れ、40年前の反戒厳令運動と市民革命の歴史を学び、元青年活動家と意見を交換し、自分たちの経験を各自の国の歴史と関連づけた。
サラ・フローレス・インダストリオール青年担当オフィサーが次のように述べた。
「若い世代にあとを引き継いでくれることを期待するなら、若手指導者を集め、急速に変化する仕事の世界における労働組合慣行について議論することが重要だ。この地域の過去と現在のさまざまなダイナミクスを理解すれば、彼らの行動の改善に役立つ」
ラモン・セルテーザ・インダストリオール東南アジア地域事務所所長が次のように述べた。
「私たちがグローバル化経済で直面しているメガトレンドを討議するこの重要な会合で、若い労働組合員が貢献してくれたことを評価する。若年労働者の運動を持続的に変化させ、組織力を高めることを構想している。労働組合運動の未来は若い労働組合員に委ねられている」
この会合は、2024年から2026年まで続くインダストリオール・グローバルユニオン−フリードリヒ・エーベルト財団東南アジア青年アカデミーの第2サイクルの最初の活動である。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/south-east-asia-youth-calls-for-integration-in-union-training
ILO報告、インダストリオールの第190号条約関連活動を強調
2024-09-13
国際労働機関(ILO)による最近の報告書『仕事の世界における暴力とハラスメント』は、職場での暴力の問題がエスカレートしている現状に極めて重要なスポットライトを当てており、COVID-19パンデミック以降の暴力やハラスメントの増加への対応と、組合がパンデミック対策を盛り込むために交渉を調整・転換しながら、第190号条約の批准と完全実施の両方に関連する戦略を実施し続けていることに、特に重点を置いている。
報告書は、特に2019年のILO第190号条約の採択以降、インダストリオールと加盟組織が職場の暴力やハラスメントにどのように取り組んでいるかを強調している。この画期的な条約は、ジェンダーに基づく暴力とハラスメント(GBVH)の根絶を目的としており、全世界の職場で変革の波を引き起こしている。
インダストリオールの活動は第190号条約の批准と実施の促進に根差している、と報告書は述べている。インダストリオールは、ジェンダーに基づく暴力とハラスメントに反対する方針を労働協約に統合し、すべての労働者のために安全な作業環境を醸成すべく、大陸を越えて加盟組織を動員している。
例えばインダストリオールは、ナイジェリアやアルゼンチン、フィリピンの組合が自国政府に第190号条約の批准を要求するうえで力添えすると同時に、職場での暴力やセクシャルハラスメントに対するゼロ・トレランス方針の策定にあたってインドネシアの組合も支援しようと尽力している。これらの努力は、尊厳と安全に根差した作業環境を目指すグローバル運動の拡大を象徴している。
インダストリオールは「職場と組合で根絶」誓約を通しても大きな前進を遂げている。この誓約は加盟組織に対し、積極的に女性に対する暴力と闘ってGBVHの撤廃を促進するよう呼びかけている。この誓約は全世界の組合に刺激を与えており、内部機構と外部交渉でジェンダーに基づく暴力とハラスメントを優先させるよう要求している。
加えて、第3回大会で採択されたインダストリオールの画期的な決議は、性差別、女性蔑視およびGBVHのゼロ容認を要求しており、これらの原則をグローバルな労働運動の構造にさらに深く埋め込んでいる、と報告書は指摘している。この決議は、さらにGBVH、性差別および女性蔑視に関する新しいインダストリオール方針の策定と採択に至った。
グローバル・ユニオンと衣料小売業者が締結した繊維・衣料産業における安全衛生のための国際協定の拡張版は、セクシャルハラスメント防止策を盛り込んでおり、何百万もの労働者のためにより安全な環境を作っている。加えて、インダストリオールとグローバル鉱山会社のアングロ・アメリカンが交わしたMoUは、鉱業部門で職場の安全とジェンダーに基づく暴力に取り組むうえで重要な節目を示している。
インダストリオールは包括的な訓練計画にも重点を置いており、組合指導者にGBVHに取り組むための手段を与えている。そのグローバル訓練イニシアティブは、鉱業、衣料、電子のような部門を対象とし、認識を高めるとともに、より良い職場方針を取り決めている。
「インダストリオールと加盟組織の集団的努力は、職場の暴力やハラスメント(GBVHを含む)との闘いの強力な先例を示している。第190号条約を批准し、自らの原則をグローバルな労働慣行に埋め込むためのインダストリオールの取り組みは、万人のためにいかなる暴力やハラスメントもない職場を生み出すうえで組合が役割を果たしていることを示す有力な証拠である。社会的対話、戦略的パートナーシップ、揺るぎない支持を通して、インダストリオールは次世代のために仕事の世界を変革している」とアルメル・セビー・インダストリオール・ジェンダー担当部長は言う。
「この報告書は、暴力やハラスメントの防止とILO第190号条約の批准・実施の支持において、組合が極めて重要な役割を果たしていることを強調している。私たちは団体交渉で、労働安全衛生で、また労働者が信頼する職場方針を通して、ジェンダーに対応したアプローチなど、暴力やハラスメントの防止を目指す国家・地域・世界レベルの組合の施策や戦略、交渉の事例を200件以上集めた。組合が実にさまざまなレベルで、そのような取り組みや行動を実施していることは印象的だ」と報告書を執筆したジェンダー専門家のジェーン・ピリンジャーは言う。
写真:シャッターストック
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/ilo-report-highlights-industriall-c190-work