2017-18年度運動方針を決定
新役員を選出、相原議長・浅沼事務局長を再任
海外から18カ国・地域、19組織30名が参加
金属労協(JCM)は、2016年9月6日(火)午前10時から午後4時15分まで都内江東区の東京国際交流館「プラザ平成」で、第55回定期大会を開催した。
来賓として、国内から連合本部の神津会長をはじめ、インダストリオール国内加盟組織を代表して島田インダストリオール・JAF議長、佐藤インダストリオール・JAF事務局長、海外からはベルトホルト・フーバー会長、ユルキ・ライナ書記長をはじめ、インダストリオール・グローバルユニオンの本部・地域事務所、並びに加盟組織の代表、合わせて18カ国・地域から、19組織、30名が参加した。
大会では、司会の藤冨事務局次長が開会の辞を述べた後、向井伸行資格審査委員長(基幹労連)が出席状況を報告、大会が成立していることを確認した。議長団として、森田義之代議員(自動車総連)と横山まゆみ代議員(JAM)の両人が選出され、前半を担当する横山大会議長が冒頭挨拶した後、議事運営委員と書記について確認した。
1.議長、来賓挨拶
相原康伸金属労協議長挨拶
最初に、金属労協を代表して相原康伸議長が挨拶に立ち、第55回定期大会の開催にあたり、①最近の経済社会情勢、②春季生活闘争をはじめとする労働条件の改善、③政策・制度要求実現に向けた取り組み、④インダストリオール第2回世界大会を目前に控え、その対応と国際労働運動の取り組み、⑤インダストリオール・グローバルユニオン日本加盟組織協議会の設立の5点を中心に、所信を述べた。→議長挨拶詳細
神津里季生 連合会長挨拶(要旨)
本年7月の参議院選挙は、連合推薦候補12名中8名の当選に留まった。厳しい逆風下での皆さんのご尽力に感謝申し上げたい。今回の民進党代表選にあたっては、わかりやすい議論を国民の前に示すことで暗雲を振り払い、野党の中心としてリーダーシップが発揮されることを願っている。
今年の春闘では、意識的に「底上げ春闘」の旗を振ってきた。やればできるとの思いを強くし、改めて連合としての一体感のある運動が大事なものだと感じた。公正取引の駆け込み電話ダイヤルや中小企業団体との連携、大手追随からの脱却、サプライチェーン(バリューチェーン)における付加価値の適正配分といった概念を掲げて取り組み、金属労協の皆さんには、先頭に立って体現していただいた。
足下の物価上昇がゼロ近傍であるにもかかわらず賃上げを実現し、賃上げ率でも大手と中小の格差を圧縮したことは、60年を超える春闘の歴史において、初めての成果といえる。この極めて重要な一歩を、さらに持続させていくことが重要である。
一人ひとりの働く者が明日を展望できるか、日本経済が本当の意味でデフレの闇から脱却できるか、そのカギを握っているのは、私たちの運動に他ならない。人から人へと問題意識をしっかりとつなぎ、課題解決に向けて邁進していきたい。
島田 尚信 インダストリオール・JAF議長挨拶(要旨)
現在、インダストリオールでは、10月の世界大会に向けて議論が行われている。加盟費問題については、基本会費を1.28スイスフランとし、3GUFの会費を4年かけて統一していくという方向が示された。様々な視点で活動を見直すことはあっても、会費がないために縮小せざるを得ないという事態は避けなければならない。多少の問題点はあるにしても、今回の提案には賛成の立場で議論していきたい。
組織機構では、副会長を地域代表の執行委員が務めることと決定した。女性参画比率に関しては、全ての執行機関で三役の40%を達成するのは、現状では難しいと考えている。
今後、インダストリオールの運営は、地域や業種が意識されるようになる。日本協議会を発足し、日本全体としての意見をまとめていくことの意義は大きい。すでに、それぞれのGUFがアジア各国で行っている支援・協力活動を効率化し、有効性を追求することも可能である。日本協議会の運営においても、引き続きJCMの皆様のご理解とご協力をお願いしたい。
海外来賓紹介・代表挨拶①(ベルトホルト・フーバー インダストリオール会長)
ここ数年、アジアの多くの国々では経済成長に勢いが見られる。その結果、国際競争力も改善し、いくつかの国では貧困率も改善した。しかしアジアでは、いまだに7億人以上が厳しい貧困の中で暮らしている。我々は、このような状況を受け入れるわけにはいかない。
日本やドイツのような先進国では、少子高齢化が社会制度を圧迫している。不安定雇用は世界的に増加し、デジタル化が進む中で、さらにその流れが加速することも危惧される。加えて、人権侵害、気候変動、環境破壊、エネルギー供給などの問題が、各地で不安定要素となっている。
多くの国において非正規雇用の割合が増加し、正規雇用であっても厳しい条件で働いている人々は多い。その傾向は、多国籍企業と、そのバリューチェーンにおいて顕著である。日本、ドイツ、米国の企業も例外ではなく、我々には、協力して対処すべきことがたくさんある。
来月、リオデジャネイロで開催されるインダストリオール世界大会では、新執行部が選出され、船出を迎える。新執行部の綱領(案)は、「被用者の権利擁護」「組合の権利構築」「多国籍企業における被用者権利の貫徹」「不安定雇用に対する戦い」「持続的産業政策の促進」の五つに焦点を当てている。そして今後4年間、地域活動の更なる発展に努めていく。
バリューチェーンは、地球全体へと広がっている。グローバル化によって我々の各国の労働組合間の距離は縮まり、組合政策も国内に留まるものではない。文化や歴史が異なっても、我々は同じ人間であり、似たような要求や問題、そして夢を共有している。だからこそ、我々は一つになれるのである。とりわけJCMの皆さんには、インダストリオールファミリーの一員として、アジア地域での活動をさらに強化されることを願っている。
海外来賓代表挨拶②(ユルキ・ライナ インダストリオール書記長)
我々は今、まさに複雑な世界に住んでいる。多国籍企業の振舞は、決して良いものではない。それは、フィンランド、ドイツ、日本でも同様である。インダストリオール・グローバルユニオンの重要な課題の一つは、労働者の権利が侵害された場合、グローバルファミリーの力を結集し、動員することである。
相原議長は、日系企業において労働者の権利が侵害されると、タイ、インドネシア、フィリピン、メキシコ、米国南部といった現場へ積極的に赴き、対処に当たってきた。こうした強い連帯を示すことによって、この複雑な世界においても、JCMはとりわけ尊敬を集める存在となったのだと思う。
JCMの日本国内での業績に加え、とくに女性参画への取り組みには、心から敬意を表したい。今後、ローカルにおいても、グローバルにおいても、男女が共に意思決定し、平等に労働者の組織化を進めていくことが重要と考える。10月、リオで開催される第2回インダストリオール・グローバルユニオン世界大会では、JCMの参加者のうち30%は女性と伺っている。
これまでの支援・連帯に心から感謝を申し上げるとともに、今後もアジア太平洋地域、さらに世界中の労働者の権利のために、そして国内の労働者と家族の生活改善のために、素晴らしい活動を続けていただくことを願っている。Global solidarity forever!
2.一般経過報告など報告事項を確認
~会場フロアには「ものづくり教室コーナー」を展示~
海外来賓代表挨拶の終了後、ここで海外来賓34名及びインダストリオール・JAF代表2名の方々は退席、全員の感謝の拍手でお送りした。が退席され、感謝の拍手でお送りした。続いて、山鹿裕治議事運営委員長(電機連合)からこの後の議事日程について提案があり、これを確認し、昼食休憩に入った。
会場の外のフロアの一角には、金属労協が支援・推進している「ものづくり教室」展示コーナーを初めて設置した。2016年度(2015年9月~2016年8月)には、地方ブロックのサポートにより、各都道府県の連合金属部門連絡会を中心に、全国34都道府県で「ものづくり教室」を開催、小学生を対象に未来のものづくり産業を担う人材育成に金属労協加盟の産別地方組織や単組・支部の役員の方々の協力のもと、活動を展開している。今回の展示コーナーには、「ものづくり教室」でどのようなモノを作っているのか参考にしてもらうために、地方ブロックを通じて、子供達が実際に作ったキット(完成品)を送ってもらい展示した。全国から23点が集まった。大会参加者は、昼休みに、展示コーナーで、興味深く手に取ったりして見学していた。
12時50分から午後の部を再開。報告事項として
最初に、この1年間の金属労協活動の「一般経過報告」を市川佳子事務局次長(組織総務局長)から報告した。今回は、一般経過報告の2として、「労働リーダーシップコースの活動報告」について、昨年10月に開校された第47回労働リーダーシップコースで級長を務められた田中強JAM・コマツユニオン大阪支部書記長から、パワーポイントでの写真等も交えながら、報告を受けた。これは、まだ労働リーダーシップコースに未参加の組合向けにPRを兼ねて行ったもの。本年10月13日から29日まで京都で開催する第48回コースでは初めての試みとして「オープンカレッジ」も企画されており、その案内パンフも配布された。
引き続き、「闘争経過報告」について井上事務局次長から報告、この中では、2016年闘争をはじめ、特定最低賃金等への取り組みの報告があり、完成したばかりの特定最賃の維持・強化に向けた「JCM特定最低賃金パンフレット」も紹介された。→JCM特定最賃パンフ
続いて、特別報告として金属労協でこの2年間、労働政策委員会を中心に検討を進めてきてこの8月に確認された「金属労協第3次賃金・労働政策」について井上事務局次長から報告が行われた。→第3次賃金・労働政策
続いて、「2016年度会計決算報告」(市川次長報告)、2016年度会計監査報告(石井直樹会計監査が報告)について報告、それぞれ全会一致の拍手で確認した。
3.審議事項
第1号議案「2017-2018年度運動方針」を審議・決定
ここで大会議長を、横山まゆみ大会議長から、後半担当の森田義之大会議長に交代した。審議事項に入り、第1号議案として、「2017-18年度運動方針」について、浅沼弘一金属労協事務局長が提案に立ち、パワーポイントを使いながら、取り巻く政治・経済・産業状況や雇用・労働環境などを説明した後、2017-18年度運動方針を提案した。加盟5産別から原案賛成の立場で意見・要望が述べられた。
これらの産別からの意見・要望に対して、浅沼事務局長が本部答弁を行った。→産別からの意見・要望と本部答弁(要約)
この後、代議員の満場一致の拍手で「2017-18年度運動方針」を決定した。
第2号議案「2016年度一般会計剰余金処分」、第3号議案「2017年度会計予算」
第2議案「2016年度一般会計剰余金処分の件」、第3号議案「2017年度会計予算」について、市川事務局次長から提案を行い、満場一致の拍手で承認した。
第4号議案「規程一部改訂」
第4議案「規程の一部改訂の件」について、市川事務局次長から「旅費規程の一部改訂」について提案を行い、満場一致の拍手で承認した。
第5号議案:役員改選の件~議長に相原康伸氏(自動車総連会長)、事務局長に浅沼弘一氏(電機連合)を再任
第5号議案「役員改選の件」について郡司典好役員選考委員長(自動車総連)から経過説明と提案があった。女性4名を含む14名体制での常任幹事をはじめ、相原康伸議長・浅沼弘一事務局長(共に再任)を軸とする2017-18年度役員を全会一致で承認した。この後、議長団から新役員の紹介があり、新役員を代表して相原議長が挨拶した。→2017-18年度金属労協役員一覧
役員選考委員会の設置、顧問および政治顧問の委嘱
続いて第6号議案「役員選考委員会設置の件」、第7号議案「顧問および政治顧問委嘱の件」について、浅沼事務局長から提案し、全会一致の拍手で承認した。
2017-18年度金属労協顧問及び政治顧問氏名
退任役員への表彰状の贈呈と退任挨拶
最後に、今回の大会をもって退任される7名の方々に、相原議長から表彰状が授与された。退任された役員氏名は以下の通り。
◎有野正治 副議長(電機連合)*2010年9月から3期6年。労働政策委員長を担当。
◎海老ヶ瀬豊 副議長(全電線)*2006年9月から2期4年、常任幹事。2010年から3期6年、副議長として前半は組織委員長、後半は政策委員長を担当。
◎光田篤史 常任幹事(自動車総連)*2014年9月から1期2年。労働政策委員を兼任。
◎矢木孝幸 常任幹事(電機連合)*2014年9月から1期2年。国際委員を兼任。
◎半沢美幸 常任幹事(電機連合)*2012年9月から2期4年。労働政策委員、女性連絡委員を兼任。
◎近藤 之 常任幹事(基幹労連)*2012年9月から2期4年。労働政策委員を兼任。
◎吉沢勇次 会計監査(基幹労連)*2010年9月から3期6年。
退任役員7名を代表して、有野副議長、海老ヶ瀬副議長の2名の方から退任挨拶を受けた。最後に7名の退任役員の方々の今後の活躍を祈って、満場の拍手を送った。