企業内最低賃金協定の締結拡大に取り組み、
産業別最低賃金の実現に結びつける
金属労協は、2011年1月26日午後1時から3時まで、神奈川県「新横浜国際ホテル」で加盟5産別の中央・地方の最低賃金担当者270名が一堂に会し、金属労協2011年度最賃連絡会議を開催した。会議では、2010年度の取り組みを総括すると共に、1月24日の常任幹事会で確認された「2011年度産業別最低賃金の取り組み方針」を報告した。冒頭、有野副議長・労働政策委員長より現状と課題について述べた後、諏訪金属労協政策企画局主任が2010年度の取り組み経過について報告。須田連合労働条件局長から「最低賃金における動向と課題」について話を聞いた。続いて、若松事務局長が「2011年度産業別最低賃金の取り組み方針」について報告。全体討論に入り、各地方の最低賃金担当者から多数の意見・要望が出され、萩原・木住野両中央最低賃金審議会委員、若松事務局長が答弁を行い終了した。
有野副議長・労働政策委員長挨拶(要旨)
- 金属労協では、デフレからの脱却をメインテーマに、下支えも主題として2011年闘争に取り組む。雇用・生活・将来不安を解消しなければならない。
- 全体の底上げを図らなければ真のデフレ脱却にはつながらない。非正規労働者を含めた底上げを図るためには、様々な取り組みを複合的に進めることが必要。そのなかで我々がまずできるのは何かと問われれば、この最低賃金引き上げの取り組みである。
- 民主党政権になり、地域別最低賃金については大幅に引き上げることができた。ただし、水準としてはまだまだ不十分。また、従来最低賃金は入り口賃金としてのナショナルミニマムだったものが、その水準から何年も賃金が上がらない、そこが問題になっているのではないか。
- 地域別最低賃金と産業別最低賃金の差がなくなってきた。それにともない産業別最低賃金不要論がまた出てきている。しかしナショナルミニマムと、我々製造業に勤める者の最低賃金が同じであっていいはずがない。その両者の役割には明確な違いがある。我々は強い意志を持って産業別最低賃金および企業内最低賃金に取り組んでいかなければならない。
全体討論
参加者発言
- 地域別最低賃金が従来とは違う基準のもと上がってきている中、産業別最低賃金については従来と同様の議論になってしまっている。地域別最低賃金に対する優位性を確保するための考え方を示して欲しい。800円・1000円が現実のものとなるならば、そこに埋没しない産業別最低賃金のあり方について、もっと議論すべき。また、中央台でも産業別最低賃金の必要性について突っ込んだ労使論議をして欲しい。
- 地域別最低賃金に対する産業別最低賃金の優位性の確保に関しては、比較的優位であるうちに中長期的なあり方も含めて議論しなければならない。東京の場合でも屋上屋論が出てきたり、上げ幅の議論しかできないなど、本来の産業別最低賃金の意義について議論ができていない。より上位での議論の場においてそのような議論をしてもらえるとありがたい。
- 大阪はこれまで全国のスタートを切って金額を決めてきた。今年については、県の中での打順を変えるよう取り組んだ。しかしながら、大阪の中だけではなく全国的に、好調産業・好調地域を前に出すような調整はできないものか。また、産業別最低賃金の優位性を確保するためにも、上げ幅論議ではなく水準論議にするための方策を出して欲しい。それに資する企業内最低賃金の取り組みをもっと強化して欲しい。また、基幹労働者の範囲等も考える時期に来ているのではないか。
- 神奈川の電線ケーブル最低賃金は非常に厳しい状況に置かれている。我々もその打破のため最大限努力していくが、JCでも早い時期から情報交換の場を機動的に設置するなど、指導体制を強化して欲しい。
事務局答弁
- 象徴的に「東京・神奈川問題」と称しているが、800円・1000円が現実のものとなったときを踏まえればまさに全国的な課題。従来の考え方にとらわれず、根っこから産業別最低賃金のあり方・考え方について議論していきたい。
- 直近クリアしなければならない課題については、審議会対策の強化、すなわち産業別最低賃金の必要性について使用者側に理解を働きかけること、また企業内最低賃金の取り組みを強化することが絶対的に必要。一時的に埋没した場合も含め、粘り強い取り組みを進めて欲しい。
- 賃金の底上げが経済の成長に支えられて半ば自動的になされていくという仕組みが機能しなくなった現在、我々がそこにどのように関わっていくかが突きつけられた課題。そのような観点で中長期的なあり方について議論していきたい。