重要なお知らせ

2018年闘争推進集会ひらく(2018年1月23日、電機連合会館)

2018年01月31日

2018年闘争推進集会ひらく

「強固な日本経済の構築」に向けた「生産性三原則の実践」

による「人への投資」の実現に向けて

金属労協5産別が集まり、意思結集を図る

金属労協各産別書記長・事務局長によるパネルディスカッション

 金属労協(JCM)は、2018年1月23日午後、電機連合会館において、加盟産別・単組等から約180名出席のもと、2018年闘争推進集会を開催した。冒頭、髙倉明議長の挨拶の後、「生産性三原則と今日の課題」と題して、北浦正行 武蔵大学客員教授・日本生産性本部参与の講演、「2018年闘争に臨む金属労協の主張」として浅井政策企画局主査の報告をそれぞれ行った。続いて、加盟5産別の書記長・事務局長をパネリストに、浅沼事務局長のコーディネーターの下、パネルディスカッション「2018年闘争に向けた各産別の取り組み」を行い、2018年闘争の情勢や各産別の特徴的な取り組みを中心に認識を深めた。最後に、髙倉議長の発声により、参加者全員で加盟5産別が結束を強化し闘争勝利に向けた「ガンバロー」三唱を行い、閉会した。

★議長挨拶要旨(髙倉明議長)

挨拶する髙倉金属労協議長

【2018年闘争への取り組み状況】
 金属労協は、昨年12月8日に開催した第60回協議委員会において、「強固な日本経済の構築」に向けた「生産性三原則の実践」による「人への投資」を実現していく観点から、「3,000円以上の賃上げ」をはじめとする2018年闘争方針を決定した。現在は、5産別がそれぞれ、中央委員会を開催し、今次闘争に向けた方針を策定中である。

【経労委報告への見解】
 → 「経団連「2018年版経営労働政策特別委員会報告」に対する見解」

①賃金
 経労委報告では、2018年における賃金・労働諸条件引き上げの意義に関しては、おおむね金属労協と認識を同じくするところとなっているが、一方では、「年収ベースの賃金引上げを基本」とする姿勢を崩していない。
 これに対して、金属労協では、「生産性三原則」では働く者全体に、マクロ経済レベルで適正に成果配分することが基本であること、将来にわたる生活の安心・安定の観点、それによる消費拡大効果からすれば、基本賃金の引き上げが不可欠であることなどを反論をしている。

②「底上げ・格差是正」
 経労委報告では、連合が大手を上回る賃上げ額の目安を示したことについて、「実態から大きく乖離した金額」を掲げていると批判している。
 これに対して、金属労協では、大手企業に働く者も、中小企業に働く者も、日本の経済力に相応しい賃金の社会的水準が確保されなくてはならないこと、拡大を続けてきた賃金格差を是正するためには、格差の実態を直視し、格差に焦点を当てた取り組みが不可欠であることなどを反論している。

③非正規労働者
 非正規労働者に関しては、経労委報告では、「不合理な処遇格差の解消」など法改正への対応とともに、処遇改善について労使で前向きに協議すべきことについて言及している。
 金属労協では、2017年闘争において、非正規労働者の賃金・労働諸条件引き上げを実現した組合は、取り組み組合の3分の1程度に止まっているが、同じ職場で働く仲間として、非正規労働者の賃金・労働諸条件引き上げに取り組んでいくことは、労働組合の使命であるとともに、労使の社会的責任でもある。経営側の積極的な対応をお願いしたい。

④特定最低賃金
 金属産業が9割を占める特定最低賃金については、「廃止に向けた検討」をすべきであると主張している。
 しかしながら、金属産業などのものづくり産業では、グローバル経済の下で熾烈な国際競争を繰り広げていることによる賃金の下押し圧力がある。日本の基幹産業である金属産業が、「低賃金・低生産性」産業に陥ることを防ぎ、金属産業の労働の質にふさわしい賃金水準をバリューチェーン全体で確保することにより、人材確保を図るとともに、非正規労働者の処遇改善を進めるため、特定最低賃金の取り組みを一層強化していかなければならない。

【その他】
 「働き方の見直し」も今闘争の重要テーマの一つである。政府の「働き方改革」では、働く者の健康確保、仕事と子育て・介護との両立、生産性の向上といった観点がクローズアップされている。政府の施策を待つのではなく、産業・企業の労使自治の下で、積極的に働き方の見直しを行い、「良質な雇用」を実現していく。

【最後に】
 政府が、経済界に対して、「3%の賃上げ実現に期待する」と要請し、経団連・経労委報告に、「個人消費活性化に向けた『3%の賃金引上げ』との社会的期待を意識」と記載したとしても、実際に責任を持って賃上げを交渉・決定するのは、各企業の労使である。各企業の労使が、自らの賃金実態を点検し、産業間・産業内における賃金水準の位置づけ、課題を把握し、上げ幅だけでなく、絶対額を重視することによって、より迫力のある主張を展開することができる。底上げ・格差是正、および日本の基幹産業にふさわしい賃金水準確立に向けて、取り組んでいきたい。
 今次闘争においては、「強固な日本経済」は「強固な金属産業」から、「強固な金属産業」は「強固な現場」から生まれる。そして、強固な現場は、「人への投資」なしには実現しない、との想いをベースに置きながら、5産別の強固な共闘の下で、闘争を推進していく。

 

 ★講演「生産性三原則と今日の課題」(北浦武蔵大学客員教授・日本生産性本部参与)

講演する北浦氏

 生産性の維持・向上のためには、働き方の多様性・柔軟性、働きやすさ・働きがいを高め、働く意欲を高めることが重要であることや、生産性三原則の果たしてきた役割について解説した。今日の課題として、「雇用安定」においては、生涯にわたるキャリア形成や、多様な就業選択と雇用均等が、「労使協議」においては、労使協議制の再確立や、労使の「信頼」関係の再確立が、「公正分配」においては、コーポレートガバナンスの安定、個別賃金配分の適正化、ワーク・ライフ・バランスの推進、安心と健康の保証にそれぞれ課題があることや、新技術の進展への対応などについて説明を受けた。

 

 ★報告「2018年闘争に臨む金属労協の主張」(浅井政策企画局長)

本部報告をする
浅井政策企画局主査

 浅井茂利政策企画局主査より、経団連「経営労働政策委員会報告」の主張に対して、金属労協が取りまとめた「2018年闘争 交渉参考資料」に基づいて、労働側の主張のポイントを説明した。

 → 2018年闘争交渉参考資料

 

 

 

★パネル討論「2018年闘争に向けた各産別の取り組み」
 (パネリスト:5産別書記長・事務局長)

コーディネータの
浅沼金属労協事務局長

 つづいて、浅沼金属労協事務局長によるコーディネートの下、5産別書記長・事務局長をパネリストに「2018年闘争に向けた各産別の取り組み」と題してパネルディスカッションを行った。パネリストからは、各産別の産業動向と闘争方針の概要を説明した後、2018年闘争における特徴的な取り組みを紹介し、相互の理解を深めた。
 → 2018年闘争各産別要求内容(原案)

各産別パネラーからの主な発言内容は以下の通り。

 


【自動車総連 金子晃浩 事務局長】

金子自動車総連事務局長

*賃上げは3,000円以上とした。直接雇用の非正規労働者の賃金についても、原則として、時給20円を目安とした賃金改善分を設定する。「3,000円以上」の意味は、産別で一枚岩で取り組める水準で、3,000円で足りないところはそれ以上を要求するということである。

*底上げ・格差是正に向けた個々の単組における取り組みを後押しすべく、「絶対額を重視した取り組み」をこれまで以上に意識して取り組む。

*生産性三原則に立ち返り、職場の生産性向上に繋がる取り組みとするとともに、労働時間の取り組み(総労働時間の短縮、より抑制的な36協定)の前進を図る。

*非正規労働者の取り組みについて、労働組合としての社会的責任、自動車産業における雇用の状況等を踏まえ、各単組の状況に応じた取り組みを一歩でも二歩でも前進を図る。併せて、非正規労働者の取り組みの基盤となる非正規労働者の組織化を前進させる一つの契機とする。

電機連合 神保政史 書記長

神保電機連合書記長

*「生活不安、雇用不安、将来不安」の払拭に向け、継続した「人への投資」に取り組むとともに、「働き方改革」を推進する。

*賃金体系の維持を図ったうえで、3,000円以上の賃金改善を求める。

*2017年闘争では電機産業労使で「長時間労働の是正をはじめとする働き方改革に向けた電機産業労使共同宣言」を確認した。2018年闘争では、統一目標として、労使協議の場の設置、働き方改革につながる労使協議の推進に取り組む。

*ワーク・ライフ・バランス推進の観点から適正な総実労働時間を実現していく取り組みと、過労死等を防止し健康を守る取り組みの観点から、総実労働時間の短縮に取り組む。

*36協定特別条項限度時間の見直しの政策指標を変更した。特別条項の限度時間が1カ月80時間、1年720時間を超える場合、1カ月80時間以下、1年720時間以下での締結に取り組む。

*有期契約労働者の無期転換に関する取り組みでは、無期転換者は正社員とすることを基本とする。やむを得ず「多様な正社員区分」を設定する場合には、不合理な労働条件がないことを確認するなどの取り組みを行う。

 

【JAM 中井寛哉 書記長】

中井JAM書記長

*JAMは標準労働者要求基準、JAM一人前ミニマム基準への到達を基本として、個別賃金絶対額水準を重視する。30歳の到達基準260,000円、目標基準280,000円、35歳の到達基準305,000円、目標基準320,000円とする。賃金構造維持分を除き、賃金改善分を6,000円基準、平均賃上げ要求基準を10,500円以上とする。

*企業内最低賃金協定の取り組みでは、特定最低賃金(産業別)との関係を重視して、18歳以上企業内最低賃金協定を締結する。

*総実労働時間については、1,800時間台を目標とし、当面1,900時間台をめざす。

*春闘と合わせて、「製品の価値(公正取引)」と「労働の価値(賃金水準)」を正しく評価させ、「価値を認めあう社会の実現」をめざして運動を展開する。

 

【基幹労連 弥久末顕 事務局長】

弥久末基幹労連事務局長

*2年サイクルで政策実現と労働条件改善に取り組んでいる。2018年は労働条件全般を2年間にわたって総合的に改善していくことをめざす「総合改善年度」。

*産別一体となって、2018年度・2019年度の中で2年分の賃金改善要求を行う。要求額は2018年度3,500円、2019年度3,500円以上を基本とする

*「65歳現役社会」の実現にむけた労働環境の構築の取り組みでは、「定年年齢の65歳への延長」を視野に、制度検討を具体化する必要がある。2021年度の60歳到達者から年金支給開始年齢が65歳となることをふまえ、2021年度から該当者に適用できる制度導入をめざす。具体的には、先行して具体要求できる組合は一貫した雇用形態となる新たな制度導入を求め、制度導入を待たずに取り組める項目がある組合は現行制度の改善を求めていく。また、制度導入について検討が必要な組合は労使検討を求めていく。

 

全電線 佐藤裕二 書記長

佐藤全電線書記長

*電線関連産業をとりまく環境とともに企業業績が改善傾向にあるのは「生産性運動三原則」に基づき、労使で生産性を向上させる努力を継続してきた成果であり、「人への投資」とあわせ、その生産性向上の成果の適正な配分を求める。

*賃上げについては、到達水準での要求を基本としつつ、35歳標準労働者賃金で3,000円以上(個別賃金方式)の引き上げに取り組む。

*退職金引き上げについては、2017年に引き続き、銘柄を「高卒・勤続42年・60歳・標準労働者」とし、当面取り組むべき水準を2,200万円、めざすべき目標水準を2,400万円とする。現行水準と当面取り組むべき水準との乖離が大きい単組は、単組の主体的判断のもと、当面取り組むべき水準の80%(1,760万円)の到達に向け、取り組みを進めていく。

*年間総実労働時間1,800時間台を目標としつつ、1,900時間台の定着を目標に取り組んでいる。抜本的対策としても年間休日1日増の取り組みを基本に、1日の所定労働時間短縮にも取り組む。当面の目標である年間総実労働時間1,900時間台の定着に向けては、時間外労働時間の規制の厳守、削減や、年次有給休暇の取得促進などに取り組む。

 

★2018年闘争勝利に向けて、全員でガンバローを三唱

  最後に、髙倉金属労協議長の発声で、2018年闘争勝利に向けて、金属労協5産別200万組合員が、要求に込めた思いを最後まで貫徹するために一致結束していくことを誓い、全員で「ガンバロー」三唱して、闘争推進集会を終了した。

2018年闘争勝利に向けて全員でガンバローを三唱