世界最大の労働組合ドイツIGメタル 金属・電機産業において、賃上げ4.3%、
週35時間の労働時間を28時間まで、最大24か月短縮する権利を獲得
2018年2月5日夜半、世界最大の労組であるドイツIGメタルは、ドイツ南西部バーデン・ヴュルテンベルグ州の使用者団体との13時間にわたる厳しい労使交渉の結果、新協約締結に至った。IGメタルは、足元の経済・雇用情勢や企業の稼働状況等を勘案し年6%の賃上げを要求していたが、経営側は難色を示し、当初は2.3%の賃上げを提示するなど労使の乖離は大きかった。パターン・セッターであるバーデン・ヴュルテンベルグの労使が合意したことで、今後、同内容で他地域でも労使合意され、ドイツ全土の390万人の金属産業の被用者に適用される見込みである。
新協約は2018年4月から4.3%の賃上げや、2019年からすべてのフルタイム被用者が個別に、最大2年間、週労働時間を35時間から28時間まで短縮する権利を得る等の内容となっている。
また、IGメタルの今回の要求背景として、デジタル化の進展による時間や場所にとらわれない柔軟な働き方が広がったこと、少子高齢化により労働者が無理せず働きつづけられる柔軟性のある労働時間が模索されていること、またIGメタル230万組合員に対するアンケートで、多くの労働者が賃上げよりも時短を重視していることが判明したこと、等を挙げている。
協約締結に至るまでの数週間、IGメタルは、すべての団体交渉地域で、34年ぶりとなる大規模な24時間ストを実施し、経営側への圧力を強化した。この一連の行動に、約280社の労働者、およそ50万人が参加した。金属労協/JCMからも、交渉最終盤にあたり、激励を込めて髙倉議長名で連帯メッセージを送付した。
主な内容
◆2018年1、2、3月分として、100ユーロの一時金。
◆2018年4月1日から、賃金を4.3%増額。
◆2019年から、全被用者に400ユーロの定額と、月収27.5%相当の追加手当。
◆子育て、介護をしている被用者、シフト勤務の被用者は、協約上の追加手当か、
8日間の休日のどちらかを選択することが可能。
◆被用者は最大24か月間、週労働時間を28時間まで削減する権利を得る。
その後、被用者は元の労働時間に復帰する権利がある。
◆協約は2020年3月31日まで有効。
IGメタル イェルク・ホフマン会長は今回の交渉の結果について、次の通り述べている。
「今回の協約締結は、近代的で、自己決定に基づく労働界へ向かう道筋におけるマイルストーンだ。」
「今回の協約交渉においてIGメタルは、業界の経済的成果に被用者を公正に参加させること、労働時間に関する裁量権の増加、全ての人にとっての仕事と家庭の両立の改善、そしてシフト勤務の負担軽減、等の中心となる目標を設定していたが、これらの目標を達成した。」
「被用者の実質収入が明確に増加する。このように今回の結果は業界の素晴らしい経済状況を反映しており、同時に経済全体にとってプラス効果がある。収入が明確に増えることで内需拡大につながり、この先の景気安定に寄与する。」