運動方針に対する産別からの意見・要望とそれに対する本部答弁

これまでの運動の良さを活かした新たな運動の構築を

門馬代議員
全電線
門馬代議員
 運動方針に賛成の立場で、全電線として意見を申し上げたい。
 2点目は総合プロジェクト会議「答申」についてであります。
 JCにおいては、「改革の実践による金属労協の機能強化と運動の質的転換」を命題に求心力ある金属労働運動の確立と運動基盤の構築に向けた論議を進めてこられ、今後それぞれの活動分野ごとに一層取り組みを推進されるとのことでその期待は大きなものがあります。
 私ども全電線としても、グローバリゼーション経済・社会における環境変化が激しいことから、運動の再検証をおこない、「全電線運動の再検証」と銘打って3年間に亘り、運動や活動の見直し論議のなかで、短期・中期的な視点で各政策について再検証をおこない、守るべき基本は押さえながら必要な検証を進めてきました。そして、過日開催した定期大会において「改定 全電線中期基本政策」として、環境変化に対応する当面の運動の方向についてまとめました。金属労協においても、これまでの活動の良さを活かし新たな運動基盤の構築を行っていただくことを期待いたします。
 また、金属労協運動については金属労協の責任において、産別は産別の責任において、その活動を推進していかなくてはならないと考えておりますが、金属労協の立場として各産別同士の情報交換などをはじめ、より一層産別活動が充実できるよう、産別の取り組みに対する支援活動をよろしくお願いいたします。
 2点目は、今後の各政策分野についてであります。
 労働政策分野については、これまでの「第2次賃金・労働政策」に基づき、労働市場の変化に対応した新たな労働政策構築を推進するためにも、賃金水準をはじめとする実態把握・提示されるなかで、金属産業全体の労働条件改善に向けた取り組み強化につながるような効果的な運動の展開をお願いするとともに、産別、単組のこれら主体的な取り組みに対しても、情報提供をはじめとした支援をお願い致します。
 政策・制度分野については、これまで同様に重点政策項目の実現に主眼を置き、金属産業の産業基盤強化と安心して暮らせる社会の実現に向け、政策項目を精査しその取り組みを推進すべきと考えます。
 以上、産別の実情も含め要望を述べさせていただきましたが、全電線としましても、先月の第60回定期大会にて向こう2年間の運動方針を確認したところであります。この運動方針に基づき活動を推進するなかで、JC共闘の一員としても、本方針に対して最大限の努力と積極的な運動を展開することを申し上げ、賛成の意見とさせていただきます。



政策・制度課題への取り組みで実現力向上への工夫を要望

前田代議員
電機連合
前田代議員
 運動方針原案に賛成の立場で、「政策・制度課題」への取り組みに関し、要望を述べさせていただきます。
 「政策・制度課題」を取り上げる理由は、もはや単一の企業労使だけでは解決できない「政策・制度課題」が、実は組合員の生活の維持・向上にとって、ますます重要な要素となってきているからであり、単一産別はもとよりですが、金属という大きな産別のくくりの中での取り組みとしていくことが、政策実現を果たすことに向けた実効性が高い項目が多いと考えるからです。もちろん、電機連合としても、電機産業固有の課題を中心に政党および省庁との政策協議会を毎年実施し、機関紙などで、その要請事項や論議内容を、都度、組合員にも伝えてきていることも付け加えておきます。
 JCの今回の議案では、「コンパクトで主張の趣旨がわかりやすい政策・制度のまとめを行い」、「政策課題を解決するための実現力向上に努めていく」ことが提起されています。これは賛同できる内容であり、電機連合としても、今後とも議論に参画し、実現に向けて協力していきたいと考えています。

テーマを絞り込み理解者を増やす取り組みに努力を
 このことを踏まえた上で、要望の第1点目です。現状では、JCの政策・制度課題の実現に向けた活動として、政府・政党への要請が中心となっていますが、加盟組合の役員や組合員にも、コンパクトで分かりやすく、その内容を伝え、理解者を増やす取り組みに努力願いたいという点です。要請事項は専門的であり、その内容を十分理解するには困難な面もありますが、多くの方が関心を寄せそうな項目、例えば、「次代のものづくりを担う現場力の強化」や「地球温暖化対策の推進」などから、テーマを1つから2つに絞って、重点的に、分かりやすく伝えていくのも一つの方策だと考えます。
 今ほど例で示した「次代のものづくりを担う現場力の強化」に関しては、ご承知のように理数離れが進展し、工学系学科の卒業生が徐々に減ってきており、日本の将来の技術的優位性への影響が懸念されます。日本の経済で大きなウエイトを占める金属産業の将来について、若い人材に焦点をあてた認識の共有化を図るなど、JCらしさを大きくアピールできるテーマではないかと考えます。
 今一つ項目の例で示した「地球温暖化対策の推進」に関しても、何を実施すれば京都議定書の目標数値を達成できるか、具体的に個々人に何ができるかなど、国民全体で共有すべき課題であり、JC課題として共有のものとすることができると考えます。電機連合としても、この13年間フィリピン、マレーシアなどの東南アジアで植林ボランティアを行い、ただ植林するだけでなく、参加者および現地の人に対して森林の重要性の啓発活動を行っていることからすれば、身近にとらえられるテーマではないか考えます。
 繰り返しになりますが、このような視点で、1つまたは2つ程度にテーマを絞り具体的・重点的に、分かりやすく伝えていく姿勢を是非大切にし、できるだけ組合員との距離を縮められる取り組みをお願いしておきます。

情報伝達のあり方の検討も要望
 要望の2つ目は、その伝達方法についてです。政策制度課題に関して、一度に多くの組合員に理解を求めることは大切でありますが、まずなによりも、加盟組合の役員に理解を得られなければ、しっかりとした進捗は図られません。組合員にまで展開する工夫していただくために、一段の検討をお願いしたいと考えます。機関紙やホームページなどの活用もありますが、産別の伝達ツールや伝達ルートを利用した情報伝達のあり方など、JCと産別・単組までの連携・連動したあり方についての検討も要望しておきます。

総合プロジェクト答申のフィードバック・再検証を
 終わりに、「総合プロジェクト答申」は、結論としてJCの今日と将来にわたる存在意義を是とした上で、その機能強化を一段と図るという考え方にあり、電機連合としても賛意を示すものであります。その上で、取り巻く環境は、今後も激しく変化していくことが予想されます。そうした中での連合というナショナルセンターとの役割の違い、また、連合への金属産業部隊としての役割を常に意識しながら、「総合プロジェクト」で浮き彫りとなった論点のフィードバック・再検証を常に心がけ、運営されることを期待し、意見・要望とさせていただきます。

JCはものづくり産業 政策の推進に注力を

斉藤代議員
JAM
斉藤代議員
 今、事務局長から提案がありました総合プロジェクトで示された答申、並びに答申を踏まえた方針に対して、中小を主体とする産別の立場で、4点にわたって要望、意見を述べたいと思います。
 まず一つ目は、方針にもあるように、連合運動が定着した現状において、やはり連合運動との重複はできるだけ避けるべきではないかと考えます。例えば、今詳しくご説明がありました政策・制度の取り組みなどはまさしく連合に移すということをもっと徹底してやるべきではないかと考えます。一方、JCとして、ものづくりやサプライヤーの立場での産業政策の推進についてはしっかりと進めることが必要ではないかと思うわけです。
 2つ目は、経済のグローバル化が進展する中で、企業の活動範囲は大きく広がってきているわけです。JAMの2000年の調査においても、海外の現法の駐在員数、この時点においても30万人というふうになっているわけでして、そういう観点も踏まえるならば、金属労協の国際労働運動における責任と役割はますます大きくなっていると思うわけです。
 また、急速に発展するアジア諸国の労働条件の引き上げ、これは社会正義の観点のみならず、日本の国際競争力の維持と我々の将来の雇用とも密接な関係を持っていると認識するわけですが、そういう観点で国際労働運動について、特にアジア地域におけるJCの果たすべき役割は、ご指摘のとおり、極めて大きいと感じるわけでして、その強化を強く求めるわけです。
 3つ目は、予算のあり方についてですが、これから会計予算のご提案があるわけですが、今回はこれまでの行事や内容の見直しが中心となっておりますけれども、やはり基本的には収入で支出を賄うことが原則だろうと思います。連合や産別の活動との重複を避けて、取り組み課題の具体的な精査をさらに行っていただきたい。部門の統廃合や人員についてもさらに見直しをし、スリムで効率的な組織にしていただくようにお願いしたいと思います。
 4つ目に、都道府県単位で金属部門連絡会議が設置されて、JAMも参加していますが、一方で、JCのブロックでの活動内容との整理ができていないと感じております。そのために、結果として両方の会議が必要となっておりまして、本来の連合運動強化の趣旨から考えれば、都道府県単位の金属部門連絡会の強化に伴って、ブロック活動は縮小されるべきだと考えるわけであります。
 JAMの中では、地方においては連合活動が中心となっている中において、JCの地方活動がどのように必要なのか、その必要性を問う声が多く出されております。いま一度予算面を含めて、実態に即したブロック活動のあり方についての検討を行っていただきたいと思います。
 同時に、金属労協は春闘を見れば産別共闘ですから、中央機能があれば十分だろうと考えますし、国際運動も中央機能だと考えます。よって、いま一度地方組織で行うべき活動は何なのかについて、ブロック活動のあり方とあわせ持ちながら整理をお願いしたいと思うところであります。
 以上申し述べさせていただきまして、JAMは中小を主体とした単組数約2,200の産別ですけれども、金属労協、JCの一員として今後とも精いっぱいの努力を行っていくことを申し上げまして、要望、意見とさせていただきます。ありがとうございました。

労働時間や労働協約の課題もJC共闘の柱の一つに

伊藤代議員
基幹労連
伊藤代議員
 求心力ある金属労働運動の確立と運動基盤の構築に期待を込め、基幹労連を代表して、3点に関して意見・要望を表明したいと思います。
 第1点目は「金属産業にふさわしい労働条件の確立」についてであります。
 JCが民間労働組合の代表として、これまでわが国の春闘をリードしてきたことは紛れもない事実であり、今後も社会的影響力を保持し続けることは、われわれ生活者にとっても、また金属産業の永続的な発展にとっても重要であります。そうした観点からは、総合プロジェクト会議の答申にもあるように、春闘のもつ社会的成果配分システムの再構築に向けた取り組みがきわめて重要であり、大くくり職種別賃金水準の形成によって新たな共闘軸を見出そうとする考え方も理解できます。
 しかしながら、マクロ経済指標による根拠をどこまで波及させるかは別として、現下の社会情勢を鑑みれば、ミクロの産業事情を重視した取り組みにならざるを得ないと思われる。それぞれの産業・企業のおかれた状況に格差がある中では、現実的な対応を踏まえ、各産別がそれぞれの産業状況を踏まえて責任を持って主体的に取り組むことが重要になります。
 これはいわば昨春闘の進化形であり、JCには、マクロを踏まえた部分と産業ごとのミクロによる部分の双方を包含した上での共闘軸の構築を要望する。未来永劫こうした状況が続くとは思えないが、少なくとも現在はそうした状況ではないかと考えています。
 一方、働き方やそれを取り巻く環境がめまぐるしく変化する中、われわれの生活は賃金以外の労働条件や協約による影響がますます大きくなっている。昨今、「風呂敷残業」は死語になったが、メモリースティック残業や添付ファイル残業がそれにとって替わるなど、効率化やコスト削減のみを追求した現状は、これまで以上に労働強化を推し進め、長時間労働を助長しているといっても過言ではありません。
 賃金よりもむしろこうした課題解決の方が、場合によっては、JCの求心力に成り得るのではないか。答申にも若干触れられてはいるが、労働時間や労働協約上の課題をJC共闘の重要な位置づけに据えることも検討すべき課題の一つである。確かに協約の締結時期が異なる中で難しい取り組みとならざるを得ないが、ワークライフバランスを追求するのであれば、民間の代表者としてなおのこと、こうした課題を重視した取り組みを検討していただきたい。

アジア金属労組連絡会議の結成について
 2点目は「アジア金属労組連絡会議」の結成についてであります。
 アジアを中心に企業の海外事業展開は今後ますます増加すると思われ、それは世界各地で多かれ少なかれさまざまな労使関係上の問題・課題が発生することを意味する。JCにはこうした課題に対しても的確に対応していくことが求められています。
 むろんわれわれ産別・企業連・単組レベルでも各国労組との連携強化については積極的に対応するとともに、CSRを基本とした取り組みにも責任ある対応をすすめていく所存である。こうした取り組みは各国組織の相互理解を促進するのみならず、海外紛争を未然に防止することにも繋がると確信しています。
 アジア金属関連組織のつながりを強化するとともに、アジアにおけるわれわれの責務まっとうするためにも、サブリージョンや連帯セミナーの発展形として連絡会議を早急に立ち上げていただきたい。そのためにも、IMF本部にも積極的に働きかけることを強く要請します。

JCの組織的な位置づけについて
 最後に、「IMF−JCの組織的な位置付けと運動の役割」に関してであります。
 環境条件の変化に適合した金属運動の構築が必要との認識に立ち、改革を実践しつつ、連合運動の中においても求心力ある金属運動を確立することを表明していることに対して、民間ものづくり産業を代表する立場で心強く思うとともに、是非ともそれを断行していただきたい。
 連合の示していた部門運営の強化は棚上げ状態となっており、当分の間はどのような形で部門運営が実践されるのか不透明な状況にあります。そうした環境の下で、金属としての結集軸を維持すべくJCを改革していくためには、どのようにJCを機能強化するかという視点のみではなく、連合運動の中でいかに金属運動の影響力を発揮できるのかという発想を主眼に検討することが重要です。
 まもなく連合発足以来、20年という大きな節目を迎えようとしているが、その節目にふさわしい金属運動を構築するという発想で、今後のJC運動について考えていただきたい。どの部分を機能強化していくのかは、そうした検討の後に判断しても決して遅くはないと考えます。
 中央にとっても地方にとっても、民間製造業の結集軸として金属労協の存在は不可欠であり、自信を持って今の立場を貫いていただきたい。

本部答弁【團野事務局長】
團野事務局長
團野事務局長
 本部の考え方に賛成の立場でさまざまなご意見をちょうだいしました。
 今、各産別から、さまざまな観点から意見、要望をいただいたと受けとめをしております。環境条件の変化の中で、産別の置かれた状況、そして、各産別が運動として目指すべき運動方向が、それぞれさまざまな考え方がある。それだけばらつきが出始めていると私は認識をしたところであります。しかし、一方でそうした状況にあるとしても、金属全体としての運動をきちっと維持し、今後とも連合運動の中でその役割を波及していく必要があると、改めて認識をしたところであります。
 そういう観点に立って、総合プロジェクト会議答申でも触れさせていただきましたように、今後とも改革を実践しながら、機能強化と運動の質的転換を図り、各産別のニーズにきちっとこたえられるように努力を継続してまいりたいと、括的に見解として申し上げておきたいと思います。
 その中で、1、2、コメントを申し上げたいと思います。
 JAMさんのほうから、予算のあり方について触れていただきました。まず収入で支出を賄うことを原則にして、きちっとして、スリムで効率的な組織にするようにという指摘であります。これは答申の中でも申し上げましたように、引き続きこの追求をしてまいりたいと思います。
 それから、JCの地方ブロックでの活動内容と県単位での金属部門の連絡会議が設置されているけれども、その活動内容との整理ができていないのではないかという指摘をいただきました。実は、5年前に地方連絡会、地連を解散するときに活動の母体は県に移す。そして、地方の連合の中に金属の連絡会議をつくり、そこに収れんしていくという考え方を整理いたしております。ただ、各都道府県単位に地方連合の中に金属の連絡会議をつくる過程の中において、各地域ごとにその進捗度合いに大きな違いが生じました。これを放置しておいてはせっかく努力をした金属の連絡会議の設置がまた霧散してしまうのではないかという観点に立って、その調整機関として地方ブロックを設置させていただきました。その当時から整理いたしておりますが、このブロック会議はある意味では暫定措置であります。各県単位の活動がきちっと定着していけば、このブロック会議を引き続き継続配置する必要がなくなっていくわけでありますので、進捗状況をきちっと見きわめながら、ご意見にもありましたような方向、考え方を含めて、整理してまいりたいと考えているところであります。
 また一方、各地方段階で地方レベルで地方連合の状況を見ていくと、地方連合の中にも極めて無理、むだがあるわけであります。そういう意味で、金属が代表して、そういったことに注力していただくということも、指摘をいただくことも必要だろうと思います。今議論されておりますのは、地方連合の中でも、例えば地協をつくろうとか、地協をつくり、その専従者を配置するという形になるわけであります。そういたしますと、予算の中に含める人件費の割合が増大していくわけでありまして、なかなか本来の目的に沿った予算配分もできないということも考えられるわけでありますので、そういう意味では民間を代表する立場として金属が今後ともしっかりしていく必要があるのではないか。また、そうした観点に立って、地方連合の中でも意見を言っていく。そういうことも必要ではないかと思うわけであります。そういった観点も含めて、ご理解をいただければありがたいと思うところであります。
 また、各県単位の、例えば産業基盤の整備の問題とか、ものづくりの教育の問題等も広くかかわりがございますので、そういう問題も含めて、各地方段階でもそういった活動を展開していくべきではないかと考えているところであります。今後において、そうした活動のあり方についてもさらに精査しながら、運動の定着に向けて努力してまいりたいと考えているところであります。
 また、電機連合のほうからは、政策・制度について重点的に絞り込む。また、そのテーマとして地球環境問題とか、現場力の強化などに絞り込んで、重点的にわかりやすく伝えていくのも1つの方策ではないか。また、具体的に個人は何ができるのかなど、国民全体で共有すべき課題でもあるといったことで、そういったことを例に挙げてご指摘をいただきました。そのとおりだと思いますし、そのような観点に立って、政策・制度課題についてはさまざまな議論がございますが、さらに重点的、また、効率、効果的に進めていくように努力をしてまいりたいと考えているところであります。  その他さまざまな意見をいただきましたが、それぞれが今後の金属運動にとって極めて大切な、重要な指摘だと思います。そうした一つ一つの産別意見を踏まえまして、さらに改革を実践しつつ、各産別のニーズにこたえられ、求心力が保てるよう、さらに向上するような運動の確立を目指して、この2年間、運動を推進してまいりたいというふうに考えておりますので、ご理解とご協力をいただきたいと思うところであります。以上、見解とさせていただきたいと思います。