第47回定期大会 |
運動方針に対する産別の意見・要望と本部答弁
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民営の雇用労働者4,951万人のうち、企業規模99人以下の中小零細企業で働く労働者は、2,573万人で、過半数を超えていますが、その置かれた厳しい状況について、7月22日に発表された政府の「労働経済白書」は、「中小企業労働者問題への対応」と項目を起こし、次のように指摘しています。 「中小企業は大企業に比べ、原材料費などの価格を販売価格に転嫁することが難しく、仕入れの経路も大企業に比べ制約され、仕入れ価格を抑制することも厳しい状況にあり、そのため、利益は抑制されています。そして、2002年以降の景気回復過程で、小規模な事業所では大幅な賃金低下が続いている。」 価格転嫁の問題点は,JAMの景況調査でも同じような結果が出ています。 その背景の一つとして、「大企業の経営判断が、短期志向に傾いている可能性」を指摘し、「そのようなことでは、長期的な経済取引の中で、地域の中小零細企業とともに成長し、発展していくという良好な経済慣行を崩していく危険がある」と警鐘を鳴らしています。 労働者が生み出した成果(生産性向上分)が中小企業にほとんど残らなのが実態です。市場万能主義を背景とした行き過ぎた価格競争の弊害が、末端の中小零細企業にしわ寄せされ続ければ、貴重な技能の伝承や人材の確保・育成もままならず、まともなものづくりの基盤が崩壊してしまうことになります。 労働経済白書は、「中小零細企業の労働者にも成長の成果が行きわたるよう、大企業と中小零細企業の格差を踏まえた公正取引の推進」を呼びかけています。 公正取引に関わる問題は、政府の「成長力底上げ戦略推進円卓会議」でも主要議題の一つとし、6月20日の「第6回会合」の合意の中で、「特に、中小企業にとって大きな問題となっている下請取引については下請代金支払遅延防止による取締りの一層の強化を図るとともに、中小企業庁が、現在10業種に向けて出している『下請適正取引等の推進のためのガイドライン』の普及啓発にかかる取り組みを強化し、下請適正取引等の推進に全力をあげる」としています。 JAMは、この10業種に向けて「下請ガイドライン」について、JAMの月刊誌に順次掲載するとともに、中央、地方の労使会議や、15の業種別部会の労使会議の場で、説明会を行うなど、紹介・周知の活動を展開しています。 金属労協を構成する各組合・各企業は、お互いに取引関係にあります。ガイドラインを絵に描いた餅にしないように、金属労協に集う労働組合がこぞって、経営側に対する積極的な働きかけを行うことが求められているのではないかと考えます。 A選択と集中について まず、「総合プロジェクト会議答申」に沿ったこの間の効率的な運動・運営に向けた取り組みに敬意を表します。 日本で唯一のナショナルセンターとしての連合は、結成20年を経過しようとしていますが、中央・地方で、活動の定着とさらなる飛躍が求められています。 金属労協を構成する各産別は、その連合の中で主要な位置を占めています。 賃金を軸とする労働条件改善の取り組み、政策制度の取り組みなどにおいて、連合の一員としてはもちろんですが、金属労協として取り組んできた実績の上に、連合金属部門として、中央・地方連合において、発言し、積極的な役割を果たしていくべきであると考えます。 そして、金属労協として、行うべきことは、国際労働運動の分野であります。 経済のグローバル化に伴い、労働運動の国際連帯は、従来以上に、その重要性が増しています。 国際労働組合総連合や国際金属労連も、多国籍企業に対応する労働組合の役割と国際連帯を呼びかけています。 企業自らが社会的責任を自覚し実践するCSR活動や、労使が公正労働基準の遵守などについて協定する企業行動規範(COC)の締結の拡大も重要な課題となっています。 金属労協として、この国際労働運動分野の課題を運動の中心に据え、活動を強化していくという「選択と集中」が、今こそ求められているのではないでしょうか。 「総合プロジェクト会議答申」を踏まえ、今後、新役員体制の下で、さらに、金属労協の運動と組織の「選択と集中」、運動の重複解消に向けた踏み込んだ問題提起と議論の展開をお願いします。
1点目はワークライフバランスについてですが、ワークライフバランスの実現につきましては、社会的にも必要性を増しており、労働に対する魅力を高める上でも重要な取り組みであると認識しているところであります。とりわけ労働時間短縮については、全電線は所定内労働時間は世間水準にあるものの、有給休暇を含めた総労働時間は長時間となっていることもあり、昨年度策定いたしましたは「中期時短方針」に基づき働き方の見直しも含め、取り組みを強化していく所存です。JCにおかれましては、共闘強化の観点から、労働時間も含めたワークライフバランスの取り組みがさらに前進することを期待いたします。 また、具体的な運動につきましては、金属労協の立場として各産別同士の情報交換などをはじめ、より一層産別活動が充実できるよう、産別の取り組みに対する支援活動をよろしくお願いいたします。 A労働条件改善に向けた取組み強化を 2点目は、賃金についてであります。これまでの「第2次賃金・労働政策」に基づき、労働市場の変化に対応した新たな労働政策構築を推進するためにも、賃金水準をはじめとする実態把握・提示をされるなかで、金属産業全体の労働条件改善に向けた取り組み強化につながるような効果的な運動の展開をお願いしたいと思います。また賃金改善の取り組みにつきましては、これまで全電線としても十分とはいえないまでも、一定の前進を図ってきたところではありますが、今後の取り組みにつきましては足下の物価上昇なども十分に勘案する中で検討していくべきものと考えますので、今後につきましても、産別に対する情報提供をはじめとしたより一層の支援をお願い致します。 B政策実現に向けた取組み強化を 最後に、政策・制度要求の実現については、4つの柱を軸に、引き続き民間・ものづくり・金属としての政策実現に向けた取り組みを一層推進するとともに、わたしたち金属産業が引き続き世界市場をリードしていけるための産業政策も合わせて強化していくべきと考えます。 全電線としてJC共闘の一員として、本方針に対して最大限の努力と積極的な運動を展開することを申し上げ、賛成意見とさせていただきます。
第一は、今後の金属労協のあるべき姿に関してです。 ものづくり立国日本を支える優秀な人材の確保のためには、若者がものづくり産業を就職先として選択するような環境づくりに、積極的に取り組むことが求められます。そのためにも、例えば電機産業といった個別産業だけでなく大枠(大産業)としての金属産業全体をいかに魅力あるものにしていくかが重要であると考えます。 同時に、魅力ある金属産業の実現に取り組む金属部門の労働運動はますます重要性を増しているわけであり、それをどのようなあり方・形態の下で進めていくのかということは、総合的に検討すべき重要な課題です。 この点については、運動方針(案)では、とくに、「組織強化への対応とより効率的な運動の構築」の観点から、「大産別としてのIMF−JCが果たす役割と機能強化について、国際労働運動の強化や、JC共闘、政策提言のあり方など、そのあるべき姿について検討」することとされています。また、「連合の部門運営については、中央台(中央レベル)での連合金属部門連絡会を充実するとともに、地方連合内に設置された金属部門連絡会を母体に地方レベルにおいても金属運動の確立をめざし、部門運営の強化を図って」いくこととされています。 これらのことは、金属労協の将来に大きく影響する検討項目であるだけに、例えば、金属労協は国際労働運動を中心に据え、その他の活動については連合金属部門連絡会に一本化することで効率的運営をはかるというような見直し案も含め、電機連合としても積極的に論議に参画していきたいと考えます。そのことが、連合や産別との運動の重複を解消し、運動の選択と集中、効率的・質的転換を追求する、金属労協の組織的な位置付けと役割の確立につながるものと考えます。 A2009年闘争に向けて 第二は、2009年闘争に向けてです。 2008年闘争では、「ワーク・ライフ・バランスの実現等を含めた総合労働条件の改善」として、15年ぶりに時間外割増率の引き上げを要求しました。具体的な前進回答は一部の組合にとどまりましたが、多くの組合で継続協議の回答を引き出すことができました。そのことは、労働時間管理の適正化や長時間労働是正に向けての具体的な取り組みなど、労使共通の課題として長時間労働を是正しワーク・ライフ・バランスの実現を図る足がかりになりました。 また、時間外割増率の引き上げを中心とする労働基準法改正法案が昨年の通常国会に提出され、現在も継続審議の扱い――いわゆる「吊るし」の状態――となっていましたが、与党は、今秋の臨時国会にて、一ヵ月の時間外労働80時間以上を法定割増率50%とされている政府案を、60時間以上で割増率50%とする修正案を提出し早期の成立を期すという方針です。これは、2008年闘争の時間外割増率の引き上げの取り組みが一定の社会的な運動となり、政治へも良い影響を与えたものだと考えています。今後も、すべての労働者のワーク・ライフ・バランスの実現をめざすため、金属労協として、連合への取り組みを含め、政治への関わり、政策制度面のさらなる強化を要望します。 なお、ここへきて、消費者物価指数が2%近くまで上昇しており、とくに生活必需品の値上がりによって、私たちの家計は大きな影響を受けています。一方でGDPについては直近で−2.7%(名目)と、国民経済成長は停滞してきています。2009年闘争を取り巻く環境は、こうした景気の悪化と物価の上昇という、スタグフレーションが目前に迫ってきており、これまでになく難しい闘争になることは間違いありません。2009年闘争にむけて、金属労協として、ぜひ、連合をまきこんだ早めの議論を展開していただくことを要望します。 電機連合としても、JC共闘の主要産別としての役割と責任を自覚し、これらの論議に積極的に参加していくことを表明し、以上、発言とさせていただきます。
自動車総連では近年、アジア地域を中心に残念ながら労使紛争が多発する傾向にあります。もちろん、これらの紛争に対して自動車総連としても金属労協と連携しながらでき得る限りの対応をしているところです。 金属労協の協力に対して深く感謝すると共に、今後もこのような事態が発生した場合、ご指導とご協力をお願いします。 しかしながら、最も大切なことは労使紛争を未然に防止することであり、金属労協と各産別が積極的な未然防止努力を行っていくことが重要だと考えています。 その意味では、本年6月に第1回アジア金属労組連絡会議を開催できたことは大変意義深く、アジア各国の労組が一堂に会して意見交換するなど、産別の活動ではなかなかでき得ない規模の活動であり大変感謝していますし、各国の民主的な労働運動の発展に大きく寄与していくことと思います。アジア地域においては金属労協の役割は重要であり、更なるイニシアティブをもって継続推進して頂くようお願いします。 また、海外調査団から転換した海外研修プログラムでは、加盟単組レベルまで含めた各産別の国際運動強化策として実施され、海外の労組役員と直接対話をすることにより、海外に目を向けた活動の重要性はもとより、日本との文化の違い、考え方の違いを肌で感じられる貴重な経験ができたと参加者からも高い評価を得ており、今後も継続した活動をお願いしたい。 加えて、今期は労使紛争防止セミナーも実施し、会社側からの参加者も多く、労使共に関心の高さと必要性の高さが示されました。COCの取り組みにおいて、その真の目的であるILO中核的労働基準遵守を達成するための重要な活動であり、定期的な開催をお願いしたいと思っています。自動車総連の加盟組織からは、参加の機会を増加させることが望まれており、産別としてもセミナー開催を検討していますので、こちらについても是非ご指導をお願いします。 幅広い活動で大変かと存じますが、国際活動は金属労協の重要な役割であり、産別をリードする活動の継続をお願いして、自動車総連としての意見表明とします。
まず、1点目は「WLBの実現に向けての着実な取り組みの前進について」です。基幹労連としてもAP07より重要案件と認識し、まずは労使話し合いの場の設置に取り組み、WLBの実現に向けた土台づくりにつなげてきたところです。 こうした中で、08交渉に於いてはJC・連合運動とも呼応し、長時間労働の是正に向けて実効性の高い内容として時間外労働割増のアップを求めました。その結果、時間外割増率50%を引き出した組合は2組合、休日労働割増率40%を引き出した組合は34組合であり、継続協議の組合も数多くあります。具体論に於いては、法改正の係わりも含め労使の主張は平行線のままとなったものの、全体的には長時間労働の是正に向けた経営側の決意を引き出すことは出来ました。 基幹労連としても今回の取り組みを足がかりに、法改正および関わる動向を注視しながら粘り強く取り組んでいきますが、JCにおいても、WLBの実現が産業・企業の競争力の強化につながるという「好循環」を意識し、労働界の先頭に立って働くものの活力に繋がるよう取り組みの強化に期待します。 Aものづくりを中核にすえた国づくりを 2点目が政策・制度要求に関わる「ものづくりを中核に据えた国づくり」という点についてです。基幹労連に於いても「金属資源およびエネルギーの安定調達・供給に向けた、官民一体となった総合的かつ戦略的な取り組み」という内容で、7月に各省庁に対し要請活動を行ってきました。 世界経済の発展に伴い、資源資材の価格高騰と需給の逼迫が続いており、資源を有する国とそうでない国の間では摩擦も生じています。 資源・資材の安定供給と適正な価格が設定出来なければ、素材産業である鉄鋼をはじめ造船・自動車・電機・建築関係等、各産業にも多大な影響を及ぼすことは、すでに足下の状況が示しています。 資源・エネルギーの安定確保のため、政府主導による資源外交を強力に推進し、鉄スクラップや非鉄金属など、資源・資材の国内における産業循環を維持するため、国内安定供給と適正な価格反映に向け、官民を挙げての取り組みに向けたJCの力量発揮を望みます。 地球温暖化問題に真正面からの取組みを 併せて、ものづくり立国であるわが国が今後とも発展していくためには、地球温暖化問題に真正面から取り組むことが大変重要です。 まずは、産業分野毎のエネルギー効率を改善する「セクター別アプローチ」を、世界レベルでの省エネ推進に実効ある手法として位置付け、先進国から途上国へ省エネ技術の移転をスムーズに行い、我が国の金属産業が培ってきた高度な環境・省エネ技術を地球温暖化防止に役立てる事が重要なことです。 地球温暖化対策は、経済との両立、国内産業の維持、世界規模での地球温暖化ガス排出削減を前提に議論を進めるべきと考えます。ものづくり産業に働く者の立場から、国民の安定・安心を追求する事が必要であり、このような立場に立ったJCの積極的な対応を求めます。 以上、求心力のある金属労働運動の更なる前進を期待し、基幹労連を代表しての意見・要望とします。
Aグローバル化なしには日本経済はもはや成り立たない。これを是とした上で、負の側面を解決するため、世界の労働者と連携を深めていく必要がある。IMF-JCとしては、今年始まったアジア金属労働組織連絡会議の機能を強化し、全世界からの情報収集に努めたい。さらに、参加者数の底上げが図れるような、発言力の強化に向けた組織改変を検討したい。 B09交渉については、連合とも連携しながら、早めに議論を展開していきたい。 Cワークライフバランスについては、生活との調和、人材の確保、ディーセントワークの実現等、さまざまな側面があるが、法改正が実現すれば効果は大きいと期待する。来年の闘争に向けても一歩踏み込んだ取組をしたい。 D部門運営についても、引き続き機能強化を図りたい。同時に国際的活動も強化するための組織改変も検討したい。 |