第40回労働リーダーシップコース |
2009年1月7日、京都・関西セミナーハウスで伝統の金属・ものづくり労組リーダーの養成講座である労働リーダーシップコースの記念すべき第40回が開校した。今回のコースには、北は山形から南は福岡まで総勢42名が受講し、1月24日(土)まで合宿研修を行っている。 午前10時からの開校式は、琴の演奏で厳かに始まった。
冒頭、平田哲校長、からの式辞の後、主催者を代表して西原浩一郎金属労協議長が挨拶、40年間にわたる同コースの意義について述べると共に、竹中初代校長をはじめ、平田校長ら運営委員の先生方の献身的な協力に感謝した。この後、来賓として厚生労働省の小野晃政策統括官から祝辞をいただいた。小野政策統括官は、40年にわたり開催されてきた同コースに対し、関係者に敬意を表するとともに、卒業生の多くが労働界で活躍していることを高く評価し、現在の労働市場の課題について紹介した。 続いて、中條毅運営委員長、山口芳彦JC関西ブロック代表、香川孝三副校長(大阪女学院大副学長)からそれぞれ祝辞を受けた。最後に、受講生を代表して窪田孝光さん(全国マツダ労連事務局次長)が元気よく決意表明を行い、開校式を終えた。 終了後、西原議長から「これからの労働運動とリーダー像」と題して、開校講演を受けた。
夕食会では、すき焼きで、平田校長の音頭で乾杯し、ゼミ別に交流を深めた。晩の全体ミーティングでは、全員の自己紹介を行った後、各ゼミ毎に班長・副班長を決めたほか、座長、ラジオ体操担当、討論会実行委員などを互選で決めた。級長には、住田孝司さん(マツダ労組)が選出された。 運営体制、役割分担も決まり、24日(土)までの2週間半のコースがスタートした。
第1週はゼミナール1でスタートした。ゼミは本コースの重要な部分であり、ものづくり職場・組合におけるさまざまな課題について講師の指導のもと、ざっくばらんな解決への経験交流や討論を計4回行い、その成果を最後に個人ごとにレポートにまとめて、ゼミごとに発表する。今回から4ゼミ体制から5ゼミ体制に拡充した。従来の平田ゼミ「労働組合と人間」(指導講師=平田哲校長/アジアボランティアセンター代表)、香川ゼミ「労働組合と世界」(香川孝三大阪女学院大学副学長)、石田ゼミ「労働組合と職場」(石田光男同志社大学社会学部長)、中田ゼミ「労働組合と社会」(中田喜文同志社大学大学院教授)に加え、40回を機に新たに冨田ゼミ「労働組合と働き方」(冨田安信同志社大学教授)が加わった。 1週目は、ゼミを皮切りに、「戦後の労働運動と労使関係の変遷」(鈴木勝利金属労協顧問)、「国際労働運動論」(小島正剛金属労協顧問)、「組合戦略論」(神田良明治学院大学教授)、「労働経済論」(中田喜文同志社大学大学院教授)から講義を受けると共に、8日晩には、コミュニケーションを体験学習する「ファンタジー・グループ」(日高神戸学院大学教授)を受けた。
13日(火)午後の「雇用論」(猪木国際日本文化研究センター所長)では日本の雇用問題の本質について分析した。14日(水)には「国際協力論」(平田アジアボランティアセンター代表)では国際化と国際協力について、労働組合に求められる社会貢献活動について考察した。 14日(水)の午後からは、野外研修「鞍馬山の自然に学ぶ」をテーマに鞍馬山散策を行った。全員で修学院駅まで歩いて、叡山電鉄で終点の「鞍馬寺」まで電車で行き、駅前の牛若丸が剣術の指導を受けたという天狗の像の前で記念写真を撮ったあと、鞍馬寺に向かい出発。前日の雪が山上に積もっており、道が凍結していたため、鞍馬山本殿金堂の途中まではケーブルカーを利用し、鞍馬山の本殿金堂まで雪道をのぼり、社務所にて「鞍馬山の歴史と自然」について講話を伺った。
コースの折り返し地点である14日晩には、住田級長の総合司会のもと交流会を開いた。じゃんけんゲームでスタートした交流会では各ゼミ対抗で考えた思い思いのスタンスや出し物に腹の底から笑い、歓談した。平田校長や香川副校長もコンビで、「坂田の三四郎」の寸劇を披露された。セミナーハウスからはトキさんが「ムーンリバー」を独唱、みんなを魅了した。交流会には、英会話の講師らも一緒に参加した。最後に香川副校長を先頭に全員で恒例の阿波踊りで会場を踊り回り、後半戦への鋭気を養った。 15日(木)には、最近改正された労働契約法や雇用関係法を中心に課題を考察した「労働法」(香川大阪女学院大教授)や、世界的な経済危機下の日本企業の動きや再編問題などへの労組の課題を「労使関係の史的課題 再考」(中條同志社大名誉教授)で学んだ。 晩には、「討論会」を行った。討論会は、石田同志社大教授の指導のもと、討論会実行委員会で準備を進め、@ボランティアの取り組み、A目標管理面談について、Bコミュニケーションについて、Cワークライフバランス、D求心力を高める活動、の5つテーマのテーブルに分かれて、それぞれのテーマ毎に実行委員が座長となって、受講生は、自分の興味のあるテーマのテーブルに行き、ざっくばらんな意見交換、経験交流を行った。
週末の17日(土)には、ゼミナール3を行ったが、午前中から午後にかけて、前回39回修了生の近藤さん(パナホーム労組)と上田さん(三洋電機労組)が出張先から激励に駆けつけ、ゼミの先生方と再会し、近況を報告したり、出身の受講生を激励したりしていた。
20日(火)には、午前ゼミ4を行い、各自がまとめた課題への解決策を記したレポートについて各人発表しあい、指導教授およびゼミメンバーからのアドバイスを受けた。午後は、昨年新設された「統計学」(浦坂同志社大准教授)の講義と実習を受けた。
21日(水)は午前に「哲学」(シュペネマン同志社大名誉教授)、午後に「深層心理」(樋口同志社大名誉教授)の講義を受け、生きる基盤について学んだ。 22日(木)には、午前中に「金属労協の運動課題」(若松JC事務局長)と「コーポレートガバナンスとCSR」(大平明治学院大教授)の講義を受けた後、午後には、「実践国際政治学」(袴田青学大教授)と題して、ロシアの政治経済社会の現状と変化について講義を受けた。
最後に平田校長をはじめ、各ゼミ担当講師から全体講評をいただいた後、金属労協の滑川事務局次長が各ゼミ発表についてのコメントを行い、最後に若松事務局長が総括まとめを行い、計4回にわたるゼミでの真摯な活発なゼミ討論の発表内容に対して評価すると共に、指導していただいた担当講師の先生へ感謝し、今後、みんなで議論した内容を、職場にかえって、組合活動に生かしていってほしいとコメントし、ゼミまとめを終了した。 23日晩には、受講生42名全員で、運営委員の先生、英会話の講師も一緒に、打ち上げ夕食会を行い、全員の2週間半にわたる健闘をたたえ合うと共に、これからの健康と活躍を祈って、香川副校長の音頭で乾杯した。
24日朝は、住田級長の司会で、全員ロの字になって「出発の集い」を行い、一言ずつ参加しての感想を述べあった。その後、10時半より閉校式を行い、平田校長の式辞の後、平田校長から受講生42名全員に修了証が授与された。今回の修了生を含めて、第40回までの修了生の累計は、1,343名となった。この後、主催者を代表して、若松事務局長が挨拶した後、中條運営委員長、香川副校長、石田・中田・冨田各運営委員からそれぞれ餞の言葉を頂戴した。最後に、受講生を代表して、今コースの級長を務められた住田マツダ労組執行委員が、答辞を述べ、全員で卒業の歌を合唱し、閉校式を終えた。 中庭で記念撮影を行った後、裏門手前に、第40回修了生が寄贈したモミジの木の記念植樹を行った。この後、打ち上げを行い、各ゼミ担当講師に受講生から感謝の色紙が贈呈されるなど、なごりを惜しみつつ、各人の組合・職場に戻っていった。 また、第40回修了生は、受講した記念に、関西セミナーハウスのフロントにプルトップの回収缶と趣旨書を設置した。
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