わが国経済は、本年前半にはいったん景気回復傾向を見せていたものの、量的金融緩和政策にブレーキがかかり、小泉内閣が金融機関の不良債権処理問題の決着を打ち出したことなどから、秋以降、急激に悪化の様相を強め、雇用情勢も、今後さらに危機的な状況に陥ることが懸念されている。
先般、小泉内閣は「改革加速のための総合対応策」を決定、これに基づき金融庁が「金融再生プログラム」を策定し、日銀は日銀当座預金残高の目標値引き上げを実施した。しかしながら、内閣の方針はあくまで「デフレやむなし」を前提とし、国民各層にただ我慢を強いるものであって、デフレそのものの解消をめざすものではない。
小泉内閣は「構造改革なくして景気回復はない」をスローガンに掲げているが、デフレ解消と景気回復なき構造改革は、健全な産業・企業をも破綻に追い込み、わが国の発展基盤の崩壊と国民生活の破局を招く危険性すらある。政府はただちに以下の政策を断行し、デフレの解消と景気回復によって、雇用と生活の安定を図り、そのなかで、不良債権処理をはじめとするわが国に山積する構造諸課題の解決と、産業の再生に邁進すべきである。
1. |
名目GDP成長率を少なくとも2〜3%に回復させるべく、大幅な量的金融緩和政策を継続的に実施していくこと。 |
2. |
所得税制において、住宅ローン利子所得控除制度、教育費支出所得控除制度を導入し、国民購買力を喚起すること。なお、政府として国民に行政改革の強化を約し、今後の行政改革の成果によって、減税財源を捻出する「行革減税」として、実施すること。 |
3. |
財政赤字の拡大が、民間の消費マインド・投資マインドを冷え込ませる傾向にあることから、景気回復策として従来型の公共支出拡大を行わないこと。実施する公共事業についても、経済全体への影響を十分に精査すること。 |
4. |
金蔵労協の提案している、雇用保険の抜本的拡充、「コミュニティ・スキルアップ・カレッジ」の全国展開、「美しい日本再生事業団」の創設など、雇用にかかわるセーフティーネット構築を早急に行うこと。 |
5. |
わが国の長期的発展に不可欠な、ものづくり産業の国内生産基盤強化に向けて、高度熟練の技術・技能の継承・育成、新分野開発を促進する規制の整理・撤廃、エネルギー・輸送分野をはじめとする産業インフラコストの内外価格差是正などを推進すること。 |
以上、決議する。
2002年12月3日
全日本金属産業労働組合協議会 第45回協議委員会 |
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