新着情報(アジア金属労組連絡会議)

第6回アジア金属労組連絡会議(2013年4月22-23日、シンガポール)

2013年04月26日

 

 

金属産業の状況、組織化、最低賃金等について議論

 

6回アジア金属労組連絡会議

 

2013422-23日、シンガポールで開催

 

2013年4月22日、23日の両日、シンガポール「ダウンタウンイースト」においてJCM主催による第6回アジア金属労組連絡会議を開催した、今回は、シンガポールのIMF-SC(IMFシンガポール協議会)の受け入れ・協力を得ての開催となった。会議にはアジア太平洋地域の13カ国61名の金属労組代表、インダストリオール本部、地域事務所が参加した。JCMからは西原議長をはじめ17名が参加した。また、旧3GUFの活動の相互理解・連携を促進するため、UAゼンセンからも2名がオブザーバー参加した。 

第6回アジア金属労組連絡会議(2013年4月22-23日、シンガポール)

開会挨拶では、西原JCM議長、受け入れ国の組織を代表しシリル・タンIMF-SC議長、インダストリオール本部を代表し、モニカ・ケンペール書記次長が拶した。その後参加者紹介を行い、シリル・タンIMF-SC議長のもと、議事に移った。

議題1:金属産業の状況及び、各国金属産業労組の活動について  

本部報告:世界の金属産業労組の活動(産業別部会における各産業別の優先課題を中心に)

 松崎インダストリオール部長がインダストリオールの活動の優先課題および産業別部会の活動状況を中心に報告を行った。

 

各国報告:各国の金属産業の状況、金属産業労組の活動状況について(雇用の維持に向けた取り組み等)

 

 ◆オーストラリアはAMWU(オーストラリア製造労組)とAWU(オーストラリア労組)からの参加者が分担して報告、韓国はキム・マン・ジェFKMTU(韓国金属労連)委員長が報告、日本からは若松JCM(金属労協)事務局長が報告を行った。

 質疑応答では、日本に対し、オーストラリアから出向や転籍に対する労働組合の関与について、韓国から出向・転籍の場合の労働条件引き下げの可能性と労働組合の対応について、質問が寄せられた。日本からの回答として、出向・転籍の場合は労働組合が関与し、労働条件も含め労使協議を十分尽くしていることを紹介した。

 

 ◆シンガポール:トー・ホック・ポーMIWU(金属産業労組)委員長が報告を行った。政労使の雇用維持と労働条件向上の取り組み、団体交渉を通じた低賃金労働者の労働条件の底上げの取り組み、退職年齢引き上げと高齢者再雇用制度についての報告が中心であった。

 質疑応答では、シンガポールに対して、タイから賃金引き上げ要求や団体交渉で物価上昇率をどのように加味しているのか、およびマレーシアとタイの参加者より中央積み立て基金(年金基金)について、質問が寄せられた。

 

 シンガポールから回答として、労働組合の要求策定や団体交渉において物価上昇も十分加味しており、賃金の引き上げや一時金などで対応していること、および中央積み立て基金の詳細について紹介された。

 

 ◆全体討議:上記4カ国からの報告の後、全体討議をおこなった。質疑はシンガポールからの報告に集中した。再雇用制度について、マレーシアとタイの参加者が質問し、外国人労働者について、インドネシアとインドの参加者が質問した。最低賃金制度がないことについて、香港の参加者が質問した。

 

 シンガポールから回答があり、再雇用は希望者全員、一年更新、組合員資格維持という原則のもと、労使協議を十分に尽くすとのことであった。外国人労働者もシンガポールの労働組合が組織化を進めており、募集の際の基本的な労働条件の交渉はできないが、付加的給付や福利厚生については外国人労働者を代表し、シンガポールの労働組合が団体交渉を行い、健康保険などはシンガポールの労働者よりもよい水準であるとのことであった。シンガポールには最低賃金はないが、低賃金の定義を月あたり1000シンガポール$以下とし、それ以上を確保できるよう、労働組合が各事業所を監督しているとのことであった。

 

議題2:アジア太平洋地域における強力な労働組合構築に向けて

本部報告:インダストリオール各国リーダーシップフォーラム報告

 

 インダストリオールの取り組みについてロブ・ジョンストン執行部長が概略を説明した。その後アニー・アドビエント東南アジア地域代表が活動報告を行った。

 

各国報告:各国における組織化の取り組み及び、旧3GUFの状況について

 

 インドについては、サンジャイSMEFI書記長がインドからの参加者を代表して報告、バングラデシュはインダストリオールのバングラデシュ協議会を代表し、アブ・タヘール金属部門代表が報告を行った。インドネシア報告はスパルノ・B・FSPMI事務局長とエドゥアルド・マルパウンFSPーLOMENIK事務局長が行った。フィリピンはジュリアス・カランダンMWAPが報告を行い、マレーシアはN・ゴパルキシュナムIMF-MC事務局長が、スリランカはデヴェンドラSLNSS委員長が報告を行った。

 

 全体討議では、オーストラリアからミャンマーの労働組合支援活動に対するインダストリオールの関与と他のGUFやNGOなどとの活動の調整、およびこのような活動には労働組合が積極的に関与することの重要性の指摘があった。インドからは、2013年2月20日から21日にかけて実施されたインドでの全国的な抗議行動/ゼネラル・ストライキについての紹介があった。日本からは日本国内での旧3GUF加盟組織間の連絡、調整、合意形成の取り組みについてコメントがあった。

 

議題3:最低賃金の動向と課題

各国報告:各国における最低賃金の動向と課題

 

 各国の最低賃金の状況について以下の報告があった。
インドネシア:スパルノ・B・FSPMI事務局長
日本:平川JCM事務局次長
韓国:キム・ヨン・ミFKMTU女性局長
マレーシア:N・ゴパルキシュナムIMFーMC事務局長
フィリピン:ラルフィ・メドラノPMA書記次長
タイ:チャーリー・ロイソンTEAM会長

 

 全体討議では、インドネシア・タイに対して日本から急激な最低賃金の引き上げによって物価も上昇してしまえば、実質的な生活水準の向上にはつながらないのではないか、マクロ的な視点が必要との指摘があった。また最低賃金引き上げに伴う労使紛争の増加や、タイの最低賃金300バーツ全国一律化による影響、周辺諸国への雇用の移転・国内産業の空洞化についての指摘があった。

 タイの参加者は、経営者はこれまで別途支給していた諸手当やチップ(ホテル・レストラン業界)を賃金に組み込んで、賃金引上げなしに最低賃金水準をクリアするようなことを行っていると述べた。TEAMでは最低賃金引き上げに伴う労使間の問題に対応するためコールセンターを設置し、相談活動を行っており、労働省と調整して最低賃金が順守されているか監視活動を行っているとのことであった。また、法人税の減税等、最低賃金の引き上げによる企業経営への影響を抑えるための政府の対応は取られているとの補足もあった。インドネシアの参加者は、賃金引き上げは物価上昇の要因になりうるが、不動産投資の激増や政府の低金利政策も物価上昇の大きな要因であると述べ、政府に対する妖精活動が必要との認識を示した。また、現在の最低賃金水準は60項目の物品価格のもとに算出されているが、労働組合側の要求はそれを80項目まで増やすことであるとのことであった。

 インドネシアの参加者は、賃金引上げは物価上昇の要因になりうるが、不動産投資の激増や政府の低金利政策も物価上昇の大きな要因であると述べ、政府に対する要請活動が必要との認識を示した。また現在の最低賃金水準は60項目の物品価格をもとに算出されているが、労働組合側の要求はそれを80項目まで増やすことであるとのことであった。

 

 

議題4:次回のアジア金属労組連絡会議について

-JCM提案および討議

 下記提案を若松事務長が行い、その後討議を行った。

 

アジア金属労組連絡会議は、IMFの時代からあくまでも機関決定を行う場ではないものの、加盟組織間の情報交換、意見交換、連携強化の場として位置づけ、IMF-JC主催で年1回開催してきたものであり、結果として、アジア太平洋地域におけるIMFの活動補完の役割を果たしてきた。

本来であれば地域におけるこの種の活動は、インダストリオールが主催して行うべきであると考えるが、財政上の制約もあり、この種活動を年1回開催していくことは現実的に難しいと考えざるを得ない。

上記を踏まえ、インダストリオールにおいてアジア太平洋地域の加盟組織が一堂に会する機会は4年に一度開催されるアジア太平洋地域会議があるのみであり、従ってJCMとしてはアジア太平洋地域の金属セクター労組を対象にしたアジア金属労組連絡会議を引き続き開催していきたいと考えている。

また、日本の旧ICEM加盟組織であるインダストリオール・JAF、旧ITGLWF加盟組織であるUAゼンセンも、JCMにおけるアジア金属労組連絡会議と同様の活動を行っており、今後においては、これら他GUFの地域活動との連携の可能性も視野に入れて取り組みを進めたい。

なお、来年のアジア金属労組連絡会議については、アジア太平洋地域会議の開催年ではあるものの、これまでの経緯を踏まえ、20144月中旬にベトナムのホーチミンで開催すべく、現在インダストリオール本部・地域事務所、およびベトナムVUITと調整中である。

皆様からのご意見をお聞きしたいと考えているので、宜しくお願いしたい。

 

  討議ではスダルシャン・ラオ南アジア地域代表より、アジア金属労組連絡会議を南アジア地域で開催するよう要請する提案があった。その提案に関しては、JCMから来年については上記の調整通りに開催することとし、次回検討することを回答した。

 

 オーストラリアからの参加者は、この会議をベースとしたデータ収集と報告・回覧の提案があった。ロブ・ジョンストン・インダストリオール執行部長と西原議長がこの提案に対し、成果を挙げることのできる会議運営、本部と地域事務所の役割分担とともに協議しつつ対応していくとの返答を行った。

 

閉会

 

 モニカ・ケンペール・インダストリオール書記次長、シリル・タンIMF-SC議長、西原JCM議長が閉会の挨拶を行い、両日にわたるアジア金属労組会議を閉会した。終了後、全員で記念撮影を行なった。