日韓金属労組定期協議
「両国の政治・経済・労働情勢」、「労働法改正に関わる動向と対応」を
テーマに報告、議論を行う
2015年10月27日、大阪で開催
金属労協(JCM)は、2015年10月27日、大阪市の「エル・おおさか」において、金属労協と韓国金属労連(FKMTU)との定期協議を開催した。会議には、韓国側からは、韓国金属労連のキム・マン・ジェ委員長、ジョン・イル・ジン副委員長、キム・ソンス事務局長をはじめ32名が出席、日本側の金属労協からは、相原康伸議長をはじめ三役、加盟産別・単組から44名が出席した。定期協議では、政治・経済・社会情勢をはじめ日韓両国の労働法改正に関わる動向と対応など日韓の金属労組が直面する課題について報告と質疑応答を通じた討議を行った。
開会
開会にあたり、両国金属労組を代表して、金属労協の相原議長および、韓国金属労連のキム・マン・ジェ委員長が挨拶を行った。金属労協を代表して相原議長が、歓迎の意を述べた後、韓国金属労連を代表して、キム・マン・ジェ委員長は、「韓国の与党が発議した5大労働悪法の国会審議が目前となっている。当該法案は、解雇を容易にし、低賃金を強いるものであり、この法案を強制するような政府のガイドラインの発表も11月に予定されている。日韓両国とも国家指導者の政策により国民が苦しんでいる。」「韓国では経済成長率が2%に落ち込み、低成長時代に入った。物価上昇は0%が続き、デフレの危機感が高まり、日本の長期不況を韓国で繰り返しているような状況である。」「政治経済的に大変な困難な状況に際し、今回の定期協議を通じて、日韓両国の仲間の皆様の知恵とアドバイスを得たい。」と述べた。
議題1「日韓両国の政治・経済・労働情勢について」
議題1では両国の政治・経済・労働情勢について、JCMから浅沼事務局長が報告し、相原議長(自動車総連会長)が自動車産業について、宮本副議長(JAM会長)が機械産業について補足の報告を行った。韓国金属労連からは、チェ・ジャン・ユン政策企画本部長が報告した。
質疑応答では、「韓国の野党勢力の結集」、「下請企業間の公正取引の問題」、「政労使委員会などの場における社会的合意形成」、「若年失業率」などについて、活発な意見が交わされ、韓国側からは、「日本の労働組合では民主党と政策協議を実施するなど、成功例があり、民主党と長い信頼関係がある。韓国も日本から多くを学びたい。」との考えが示された。
議題2「労働法改正に関わる動向と対応について」
議題2では労働法改正に関わる動向と対応についての報告を浅井JCM政策企画局長とチェ・ジャン・ユン韓国金属労連政策企画本部長が行った。質疑応答では、「外国人技能実習制度」、「派遣労働者の組織化」、「韓国における賃金ピーク制」、「日本でのホワイトカラー・エグゼンプションの導入」などについて、質疑応答があった。特に韓国における賃金ピーク制については、「これまで定年の法制化がされておらず、労働協約を通じて定年を取り入れてきたが、高齢化が進んできた過程で、定年を法制化しなければならないという声が大きくなってきている。」「韓国政府は高齢者の賃金を抑制するための賃金ピーク制を法制化し、システムとして導入しようとしている。」「政府は若者の失業率を改善するために、高齢者の賃金を削らなければならないと言って国民の支持を得ようとしている。」「韓国金属労連としては、政府のこういった動きに反対しており、野党との協議を通じて働きかけを続けていく。」と述べ、韓国の労働者の労働条件維持、向上に対して、強い意欲を示した。
閉会
最後の閉会の挨拶では、金属労協から2016年の秋に韓国での開催を申し入れ、韓国金属労連に受諾いただいた。詳細については韓国金属労連と金属労協の事務局で調整するということとなった。
日韓産業別労組協議も開く
電機・電子産業、鉄鋼・造船・非鉄産業、電線産業の3分野別に労組協議
金属労協と韓国金属労連との協議終了後昼食休憩となり、その後電機・電子産業、鉄鋼・造船・非鉄産業、電線産業それぞれで産別協議を行った。
電機連合と韓国金属労連電機電子分科との「日韓電機産業労組定期協議」では、①「電機産業の現状と課題認識」、②「少子高齢・人口減少社会への対応」、③「2015年闘争の成果と非正規雇用への取組み」をテーマに論議した。
基幹労連と韓国金属労連鉄鋼分科・造船分科・非鉄分科との「日韓鉄鋼・造船・非鉄産業労組定期協議」では、「両国の鉄鋼・造船・非鉄産業の動向と展望」を主要議題に論議した。
全電線と韓国金属労連電線分科との「日韓電線産業労組定期協議」では、「電線産業の動向と2015年春闘の結果」を主要議題に論議した。