ブラジルの労働事情及び労使関係の実態
などについて研鑽
金属労使130名が参加
金属労協は、2012年7月6日午後1時半から、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷(私学会館)で第10回「海外労使紛争の防止に関する労使セミナー」を開催した。セミナーにはJC加盟産別・単組・企業から労使代表約120名が参加した。今回は、近年日系企業が相次いで進出しているメキシコの労働事情・労使関係の実態について早稲田大学社会科学総合学術院教授である畑惠子氏から講演を受けた。また、「多国籍企業労組ネットワーク」推進および労使紛争が発生した際の国際的な「キャンペーン」などについて、インダストリオールの基本的な考え方について松崎寛インダストリオール・グローバルユニオンICT・電機・電子、造船・船舶解撤担当部長から講演を受けた。最後に、二人の講演者をパネラーに、それぞれの講演についてさらに深掘りを図るべく、野木正弘事務局次長をコーディネーターにパネルディスカッションを行った。
冒頭主催者を代表して西原議長が挨拶に立ち、本セミナーの趣旨について「IMF-JCとして、近年各地で発生している、日系多国籍企業における労使紛争を防止するための労使セミナーを過去9回開催してきた。日本の親会社の労使である我々は、同じ企業に働く現地生産拠点の健全な労使関係の醸成を手助けし、企業が発展し、働く者が幸せになる「WIN-WIN」の関係をグローバルに作っていく重要な役割を担っているということを強く認識していくことが重要である。各国労働事情については、近年グローバル経済の中での存在感を急速に高めており、日系企業の活動もとみに拡大しているメキシコについて取り上げた。また、国際労働運動の現場から見た日本の労使関係について率直な話をIMF-JCからインダストリオール本部に派遣している松崎氏からしてもらう。」等と述べた。
【セッション1】「メキシコの労働事情」畑惠子早稲田大学社会科学総合学術院教授
まず、セッション1として「メキシコの労働事情」と題して、長年メキシコの政治情勢について研究をされてきた畑惠子早稲田大学社会科学総合学術院教授より、メキシコに特有の政治状況、それに直結した経済状況と労働事情(特に、CTMを中心とした労働組合の事情)について、およびそれらを踏まえて日本企業が進出する際労使双方が注意すべきポイントについてお話頂いた。
【セッション2】「インダストリオール本部から見た日系企業の労使関係と課題」
松崎寛インダストリオール・グローバルユニオンICT・電機・電子、造船・船舶解撤担当部長
その後、セッション2として、「インダストリオール本部から見た日系企業の労使関係と課題」と題して、松崎寛インダストリオール・グローバルユニオンICT・電機・電子、造船・船舶解撤担当部長より、先般結成されたインダストリオールの概要とその理念、欧州・日本間の「CSR」というものに対する考え方の違い、日本の労使関係をどう諸外国に認識させるかの方法論、およびメキシコでのインダストリオールの活動について、報告を受けた。
【セッション3】パネルディスカッション
最後にまとめのセッションとして、IMF-JC野木事務局次長をモデレーターに、先のセッションで講演頂いた二人にパネリストとして再度登壇頂き、前段のセッションを踏まえ、それぞれ個別の論点についてのさらなる掘り下げを図るべくパネルディスカッションを行った。野木次長からそれぞれの論点についての簡単なとりまとめとIMF-JCとしての考え方、また押さえておかなければならないポイントについて紹介し、適宜深堀を必要とするポイントについてはパネリストとして登壇したそれぞれの講演者に質問し補足いただくという形で進められた。
最後に、若松事務局長が、「IMF-JCとして今後も、このような機会を通じて皆さんが国際労働運動に対する知見を深めて頂くための手助けをさせていただきたい。また、国際連帯のための活動をさらに強化していきたい。」等と述べ、セミナーを終了した。