グローバル化と労組戦略に関して議論
IMFと中華全国総工会の共催で2011年11月上海で開催
2011年11月29、30の両日、中国・上海でIMF(国際金属労連)と中華全国総工会の共催で、『グローバル化と労組戦略に関するセミナー』が開催された。セミナーには、IMF側からは本部のライナ書記長、ロペス書記次長、ジョンストーン執行部長をはじめ5カ国10名が参加。中華全国総工会からは郭民主管理部長をはじめ32名が参加した。セミナーでは、①「グローバル化と労働の世界」、②「グローバル化と労組戦略(各組織の経験)」、③「労組の発展と展望」の三部構成で議論を展開した。
2011年11月29日・30日の両日、中国・上海にてIMFと中華全国総工会の共催でグローバル化と労組戦略に関するセミナーが開催された。今回のセミナーは、中華全国総工会が2011年6月のILO総会にてILO労働側理事ポストを獲得したこともあり、より各国の経験から学びたいという中国側の思惑と、中華総工会へのアウトリーチを強化しようとするIMF側の思惑が一致したことから開催が決定した。
IMF側からは、本部のライナ書記長、ロペス書記次長、ジョンストン執行部長をはじめ、ブラジル、ドイツ、スウェーデン、米国そして日本のIMF加盟組織から10名が参加、日本からは自動車総連の市ノ渡国際局長、IMF-JCの野木事務局次長が参加した。また、中華全国総工会からは総工会本部の郭民主管理部長、張中国冶金建材工会副主席、周上海市総工会副主席、王江蘇省総工会副主席他、32名が参加した。
「①グローバル化と労働の世界」「②グローバル化と労組戦略(各組織の経験)」「③労組の発展と展望」という三部構成で議論が展開された。
2010年に各地で頻発した労使紛争を受け、中華全国総工会は共産党の後押しを受け、全国的に各企業において「集団協約の締結促進」と「団体交渉の仕組みの確立」に向けた取り組みを推進していることが強調された。過去の総工会との対話と比較し、現状の中国の問題点を自ら指摘するなど中国側の参加者はよりオープンかつ率直に主張していたように感じた。
IMF-JC野木事務局次長は、「②グローバル化と労組戦略(各国の経験)」のセッションで、IMF-JCが行っている海外での日系企業の健全な労使関係構築に向けた取り組みとその考え方を紹介し、中国企業が海外で事業を行う際の労使関係のフォローの必要性に触れた。また自動車総連の市ノ渡局長は、「③労組の発展と展望」のセッションで2010年に起こった日系企業の労使紛争を受けて、日系自動車各社の対応等について説明し、JCとしても在中国日系企業の労使関係改善に役割を果たす旨述べた。今回のセミナーからも、中華全国総工会が海外にも広く目を向けていること、とりわけドイツの労使関係や従業員代表制度を一つのベンチマークと考えていることが感じられた。また企業別に組織が設立されている点から日本の労使関係にも注目している様子であった。総工会の参加者の多くは、今回のような国際組織との対話の機会を今後とも多く持っていきたい旨述べ、セミナーが有意義であったことを強調した。