エリクソン・グローバル労働組合ネットワークが初会合
2016-04-29
インダストリオール・グローバルユニオンとUNIグローバルユニオンは、4月26~27日にスイスのニヨンでエリクソン・グローバル労働組合ネットワークの初会合を開き、15カ国から40人以上が参加した。
主要多国籍ICT電子企業のエリクソンは全世界で事業を展開し、従業員数は11万6,000人を超えている。
インダストリオールとUNIの加盟組織20団体の代表が、15カ国それぞれの組合活動について情報を交換した。
この会合では社会的責任に関する同社の方針にも焦点を当て、参加者は、同社のすべての施設で保障すべき人権および労働者の権利(ILOの中核的労働基準を含む)の実施をめぐって活発に議論した。
参加者は、エリクソン労働者間の情報交換と連携強化に関するネットワークの重要な活動について合意した。討議の結果、参加者は、国際レベルで同社との関係強化を目指して引き続き努力することに全会一致で合意した。
会合では、エリクソン労働組合ネットワークの戦略計画案が採択された。参加者に選ばれた作業部会が、この案をさらに練り上げる予定である。
トリニダード・トバゴの鉄鋼労働者、権利を求めて決起
2016-04-28
カリブ海の島トリニダード・トバゴの鉄鋼労働者は、国が鉄鋼危機に見舞われている真っただ中で雇用と権利を求めて立ち上がり、闘っている。
今週初め、トリニダード・トバゴ鉄鋼労組(SWUTT)が組織した最新の抗議行動が実施された。
アルセロール・ミッタルの閉鎖で大量レイオフが始まり、セントラル・スチール社(Centrin)やチューブ・シティーIMSなどの同業他社にもたちまち飛び火した。その後、すでに失業で壊滅的な被害を受けていた労働者は、使用者に法定解職手当の支払いを拒否された。
クリストファー・ヘンリーSWUTT会長は、これまでに解雇手当を支給されたのは、今週初めに首つり自殺した労働者デービッド・フランシスの遺族だけであることを非難した。「なぜ会社側は、デービッドがこのような極端な形で要求した適切な対応ができなかったのか。これら各社が支払うべき手当を支払うまでに、あと何人の労働者が死ななければならないのだろうか」「この大量レイオフの社会的影響は引き続き波及し、さらに悪化するだろう」とヘンリーは警告した。
SWUTTは、政府が介入して企業に法律を遵守させるよう要求している。
インダストリオールは鉄鋼各社に対し、労働者が危機の矢面に立たされることのないようにし、トリニダード・トバゴだけでなくカリブ海地域全体にとっても極めて重要な鉄鋼業を救済するよう要求した。
英政府、組合キャンペーンを受けて鉄鋼工場の部分国有化に同意
2016-04-22
イギリス政府は、救済策の一環として、ウェールズのポートトールボットにある経営難に陥ったタタ・スチール工場の株式の25%を取得する意向を確認した。
中国のダンピングによって全世界で鉄鋼価格が暴落、タタ・スチールは英国事業の売却に追い込まれ、数千人の雇用が脅かされている。
この救済策は、英保守政権のサジッド・ジェイビッド・ビジネス大臣によって発表された。政府による株式取得は、この事業の購入者を見つけやすくするためのカンフル剤とすることを意図している。
以前に国有化を除外したジェイビッドは経済的自由主義者で、自由市場を盲信して鉄鋼業救済策を妨害したことで批判されている。保守政権は危機への対応が遅く、中国製鉄鋼に対するEUの関税引き上げ案も拒否した。
この措置は鉄鋼部門に組合員がいるインダストリオール加盟組合に歓迎された。加盟組織は、銀行救済の規模とサプライチェーンにとっての鉄鋼の重要性を人々に思い出させることによって、この産業への支援を集めることに成功した。
組合側は、鉄鋼生産を調達やインフラ開発に結びつけ、ダンピングに取り組む持続可能な長期産業政策を支持している。
ユナイトのトニー・バーク書記次長は、この取り組みについて次のように述べた。
「今日の発表は解決策の一部にすぎない。次なる課題は、タタ・スチールUK全体を購入し、イギリスで製鋼の長期的未来を確保することを約束する買い手を見つけることだ。組合員は、売却プロセスにおいて年金を確保し、組合員に悪影響が及ばないようにするという約束も求める」「鉄鋼業が繁栄できるようにするうえで英政府がすべきことがまだ山積している」
労働組合「コミュニティー」のロイ・リックス書記長は次のように述べた。「政府が負債による資金調達を支援する意思を示し、英国事業の株式の25%を購入する姿勢を保っていることを歓迎する。政府は引き続きコミュニティーと緊密に協力しなければならない。私たちは鉄鋼業の未来を確保するためにできる限りのことをする」
フェルナンド・ロペス・インダストリオール書記次長は以下のように語っている。「自由市場原理主義者のビジネス大臣を擁する英保守政権が鉄鋼業の一部を国営化したとは皮肉だ。これはイデオロギーが現実の壁に突き当たったときに起こることだ」「これは重要な第一歩であり、私たちの主張が勝利を収めようとしていることを示している。しかし、この極めて重要な産業の持続可能な未来を保証するために、する必要のあることがまだ山ほどある」
イタリアで金属労働者の全国ストが成功
2016-04-21
イタリアの金属労働者は4月20日に4時間の全国ストを行い、大規模な動員を成功させた。
インダストリオール加盟組織FIM、FIOMおよびUILMによると、全国平均参加率は75%を超えた。多くの工場と事務所では、すべての活動が完全に阻止されており、イタリア全国の100カ所近い中央広場で集会や会合が開かれた。
特に大きな成功を収めた動員は、フェデルメカニカ(イタリア金属産業使用者連盟)現会長の出身企業Comer Industries(レッジョ・エミリア州)で行われ、従業員430人の約9割がストに入った。フェデルメカニカ現ゼネラルディレクターの出身企業であるフィレンツェのGEオイル&ガスでは、従業員の7割がストに参加した。
このストは、金属労働者を対象とする全国協約の更新交渉を明白に支持するメッセージとなった。組合は、経営側は労働者の要求に応える義務があると考えている。
マルコ・ベンティボーリョFIM書記長は、ナポリでの組合集会を次のように締めくくった。「スト参加者数はファビオ・ストルキ・フェデルメカニカ会長の予想を上回った。労働者は、変化が必要であること、誰も街頭に繰り出さずにすむ画期的な協約が必要であることを認識している。フェデルメカニカは私たちに難題を投げかけた――今日の行動は、それに対するこの上なく強力な回答だ。金属産業の使用者がやるべきことは、今夜にでも交渉を再開させて協約を結ぶことだ」
マウリツィオ・ランディーニFIOM書記長が、ミラノのアソロンバルダ(ミラノ州の産業団体)前のステージから語りかけた。「今こそイタリアが経済を再開すべきときだ。今回のストの成功は、金属労働者が全国協約の更新をいかに望んでいるかを示している。労働者には協約の対象となる権利がある。フェデルメカニカは明日、交渉を再開しなければならない。私は現在のイタリアにとって不要な紛争の責任を負いたくはない」
ロッコ・パロンベラが、レッジョ・エミリア産業労組前の集会を次のように締めくくった。「フェデルメカニカは協約に関する提示を変更し、まず賃金から始め、可能な限り早く私たちを交渉の場に呼ばなければならない。金属産業使用者団体のトップが、まちまちの提示と賃上げによって金属産業労働者160万人の分断を提案することは容認できない」
ユルキ・ライナ・インダストリオール・グローバルユニオン書記長は、イタリアの金属労働者によるストを支援するメールで次のように述べている。「インダストリオール・グローバルユニオンは皆さんの要求を全面的に支持し、使用者団体フェデルメカニカとアシスタルに、新協約に定める賃上げを金属労働者の95%に適用しないという案の再考を求める。この案は交渉を会社レベルか地方レベルだけに制限し、臨時・下請契約労働者の権利を制限するものだ」
インダストリオール、鉄鋼業の危機に介入
2016-04-21
インダストリオールは、鉄鋼業の危機を打開するためにブリュッセルで開かれたハイレベルOECD会合に参加した。
この会合は2016年4月18日に開催され、過剰生産能力と構造調整に対処する世界的な戦略について討議。各国政府、鉄鋼メーカー、労働者および影響を受ける地域社会の代表が出席した。
全米鉄鋼労組のホリー・ハートがインダストリオール代表として参加し、鉄鋼危機が一連の産業破壊を引き起こし、世界的規模で良質な雇用を一掃するとともに、労働者の権利と労働条件を組織的に浸食している実態を説明した。
この危機の本質は、過剰生産設備があり、あまりに大量の鉄鋼が生産されていることである。これによって鉄鋼価格が20%下落し、鉄鋼生産から利益を得るのが難しくなっている。その結果、多くの雇用が失われている。
景気後退が原因で需要が低迷し、中国が他国の鉄鋼メーカーを廃業に追い込む戦術として原価以下で生産しているので、生産量は増えている。
中国の生産を促進している国有・国営企業は、WTOの義務やILO中核的労働基準、環境基準、基本的人権に違反している。
鉄鋼危機は短期的な危機だが、鉄鋼業が破壊される前に今、緊急に行動を起こす必要がある。鉄鋼は世界第2位の産業で、自動車から冷蔵庫、建設まであらゆる分野で利用されている。世界の鉄鋼利用は2050年までに50%増加すると予測される。鉄鋼は良質な雇用による価値の高いサプライチェーンを維持するために欠かせない。
政府は鉄鋼を盛り込んだ長期産業戦略を策定する必要がある。この戦略はインフラや訓練への大規模投資を含む。政府は、工場の操業停止によって消滅の危機にさらされた鉄鋼製造地域を救うために、重点的に介入しなければならない。
政府と世界機関は、厳しい環境・品質基準を満たしている鉄鋼工場を閉鎖しておきながら、そのような基準が無視されている分野で無制限な成長を許容する政策が、気候に及ぼす影響を考慮しなければならない。
フェルナンド・ロペス・インダストリオール書記次長は次のように述べた。「鉄鋼業は多くの地域社会の経済繁栄に絶対に不可欠であり、何千人もの人々に直接的に、あるいはサプライチェーンを通じて、極めて重要な質の高い雇用を提供する」「この産業を不公正競争から保護する産業戦略の策定が不可欠だ。各国政府は、鉄鋼業が破壊されて数千人の良質な雇用が永久に失われてしまう前に、この危機に緊急かつ積極的に取り組む必要がある」
ボッシュ世界従業員代表委員会、労働者の関心事に対処
2016-04-20
4月12~14日にドイツのアプシュタットでボッシュの世界従業員代表委員会が開かれ、組合が声を上げた。
ボッシュの世界従業員代表委員会は今回が4回目で、37カ国の労働者代表が、同社が活動するそれぞれの国や部門の雇用条件に関する情報を交換した。
この巨大ドイツ企業はエレクトロニクスから自動車部品に至る製品を作っている。
インダストリオール・グローバルユニオンのヘルムート・レンゼ自動車産業担当部長は次のように述べた。「この委員会の目的は、全世界の事業でボッシュ労働者間の連携を改善することだ。経営側から会社の計画とそれが労働者に及ぼす影響について重要な情報を受け取っている。そしてもちろん、この会合は経営トップに世界中から懸念を提起する重要な機会だ。3年ごとではなく2年ごとに開いてほしい」
ボッシュの取締役・労使関係担当役員のクリストフ・キューベルが、会社の概観や方針、戦略を出席者に説明し、技術変化が会社に与える影響について話した。「インダストリー4.0のおかげで、仕事の形が現在とは変わり、仕事がますます誘導されるようになる。私たちの目標は、スタッフを訓練し、雇用を保護し、この新技術を段階的に利用することだ」
労働者代表は経営側に現地レベルの問題を提起することができた。例えば、インドのアダゴディにおける263人の雇用削減や、メキシコのボッシュにおける組合組織化の妨害である。
従業員代表委員会のアルフレッド・ロックル議長はこう述べた。「問題は人を選ぶか機械を選ぶかではなく、どうやってその両方を組み込むかだ。労働問題に関しては、ほとんどの現場で社会的対話が改善されているものの、現地経営陣が国内・地域・国際レベルの代表機関を妨害しようとしている事例が、まだ数多く報告されている」
フィンメッカニカでグローバル労働組合ネットワークを構築
2016-04-19
フィンメッカニカ労働者を代表する組合は2016年4月19日にローマで会合を開き、労働者の力を調整・強化するために新しいグローバル・ネットワークを構築した。
このイタリア系多国籍企業は国内航空宇宙・防衛産業の70%を占めており、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、スペイン、ポーランド、オーストラリア、カナダなどにも重要な生産拠点がある。
従業員総数4万7,000人の約38%がインダストリオール加盟組織に加入している。同社は再編成を経て、2016年1月1日に現在の形で統合され、全労働者を対象に国際レベルの交渉を行うことになっている。
インダストリオール・グローバルユニオンのブライアン・コーラー航空宇宙担当部長は新しいネットワークを歓迎した。
「今日このグループが採択したアクション・プランは、国境を越えてフィンメッカニカと社会的対話を行う組織機構と合同プログラムを定めている。まず会社側に対し、法律上の義務に従って適切な欧州従業員代表委員会を設置したうえで、私たちの共通の関心事に取り組むことによってグローバル・ネットワークも承認するよう要求する」
その共通の関心事は以下のとおりである。
- 機構改革
- 教育、訓練および知識移転
- 若年・女性労働者の採用
- ビジネス戦略――持続可能な産業戦略
- フィンメッカニカ・グループ内部における労働者の平等な待遇
- 下請けとソーシャル・ダンピング慣行
- 研究開発
- 将来の製品保証
- 不安定雇用
新生フィンメッカニカは、さまざまな文化と対組合関係の寄せ集めである。このネットワークは労働基準への同社の取り組みを試すことになるだろう。
労働者の高齢化の問題は万国共通であり、組合は持続可能な雇用を確保するために訓練投資や新技術研究を要求している。
この取り組みはイタリアの加盟組織FIM-CISL、FIOM-CGILおよびUILM-UILの主催によるもので、2015年にベルリンで開催されたインダストリオール航空宇宙世界会議の決定に従っている。
航空宇宙・防衛産業は全体として今後数年間に成長すると予想され、870万人を直接雇用して合計5,810万人の雇用を創出しており、グローバル経済で極めて重要な役割を果たし続けている。
会合参加者は貿易と中国をめぐる議論の中で、ヨーロッパとイギリスの鉄鋼労働者への連帯・支援を表明した。
このグループは、FIM、FIOMおよびUILMの金属労働者との連帯も表明した。3組織は2016年4月20日に全国ストを行い、団体交渉におけるイタリアの使用者団体の侮辱的な提示を拒否する予定である。
ICT電機・電子労組が「インダストリー4.0」の課題に集中
2016-04-18
4月6~7日に東京でインダストリオール・グローバルユニオンの情報通信技術(ICT)電機・電子運営委員会が開かれ、参加した組合代表からは、「インダストリー4.0の課題に取り組むには強力で持続可能な産業政策が必要だ」等の意見が出された。
フランス、インド、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの15組合の代表41人が参加して、日本の東京都府中市でインダストリオール・グローバルユニオンICT電機・電子運営委員会を開いた。
会合で討議した中心的問題は以下のとおり。
- ICT電機・電子産業における世界的傾向と部門別活動
- 組織化と組合の力の強化
- 不安定雇用との闘いとサプライチェーン戦略の構築
- 労働組合ネットワークの創出と開発
- 将来の製造業と持続可能な雇用の促進
- アクション・プランのフォローアップと将来の活動
ICT電機・電子部門では、世界中で急速に事業を拡大している多国籍企業上位20社中11社が、結社の自由(ILO第87号条約)と団体交渉権(ILO第98号条約)が遵守されていない国の企業である。それらの企業では組合の存在感がまったくないと言っていいほど弱く、労働者には経営側に立ち向かう力がない。これが1つの理由で、この部門では世界中で未組織労働者が増え続けており、複雑なサプライチェーン・システムにおいて不安定雇用が拡大している。
この部門は、産業の再編成や将来の製造業といった大きな課題にも直面している。活発な合併・買収と新しい産業革命(インダストリー4.0とも呼ばれる)が、雇用量と労使関係に大きな影響を及ぼしている(セクション1、インダストリオール、松崎寛を参照)。
有野正治ICT・電機・電子部会共同部会長(JCM副議長/電機連合中央執行委員長)は次のように主張した。「多国籍企業にサプライチェーン全体で労働組合権と適正な労働条件を確保させる活動を強化する必要がある。同時に、インダストリー4.0の課題に取り組むために強力で持続可能な産業政策が必要だ。先進国・発展途上国間の連帯活動を促進し、将来の製造業のために持続可能な雇用と環境を達成しなければならない」
プリハナニ・ボエナディ共同部会長は次のようにコメントした。「私たちは労働市場と工業技術の両方で厳しい国際競争にさらされている。この部門のグローバル資本は実に柔軟に行動し、低賃金と労働法の規制緩和を促進している国々に移転している。労働者の間で統一ネットワークを構築し、これらの問題に対する悪影響を抑える解決策を見つける必要がある」
欧州委員会が支援する5カ年組織化プロジェクトが3年目に入っている。2014年と2015年には、インドネシア、マレーシア、フィリピン、台湾、タイ、ベトナムのインダストリオール加盟組織の労働組合員1,200人以上(うち40%が女性)が組織化訓練を受けた。このプロジェクト通じて、組合は組織化の能力を強化し、特にインドネシア、マレーシア、タイ、フィリピンで組合員獲得に大きな成果を上げた。
特にサプライチェーン全体で多国籍企業が企業責任を果たしていないため、この部門では労働安全衛生が争点となっている。この会合では、化学薬品への度重なる曝露に起因すると思われるマレーシアのリンパ腫の事例が報告された。運営委員会は、この事例を調査することで合意した。職場にあるすべての物質に関する情報への完全なアクセス、労働者を保護するための公正なメカニズムなど、労働安全衛生に関する基本的権利を促進していく。
参加者はインダストリー4.0の将来の影響についても活発に議論した。モノのインターネット(IoT)、3D印刷、仮想・拡張現実、ビッグデータ、コボット(人間と協力して働くロボット)による生産のデジタル化などの新技術が発展しており、急速に職場に浸透している。
ヨーロッパでは、これらの技術によって今後数年間に労働者100万人の雇用(ことによると雇用の最大54%)が変化する可能性があると推定されている。会合での議論から、新しい熟練雇用が創出されるであろうが、低熟練雇用や労働集約的雇用はたちまち姿を消す恐れがあることは一目瞭然だった。参加者は、組合はこの問題に関する強力な産業政策を必要としており、ディーセント・ワークに基づく持続可能な未来に向けて、政府・経営側との政労使対話を推進しなければならないと結論づけた。
同運営委員会は議論の結果に基づき、2015年の同世界会議で採択された部門アクション・プランをフォローアップするために強化すべき項目(サプライチェーン戦略、労働組合ネットワーク、労働安全衛生、持続可能な産業政策など)について合意した(セクション6、インダストリオール、松崎寛を参照)。
運営会議の終わりに、エネルギー、輸送、放送・通信、水・環境向けのシステムやコンポーネントを生産している東芝府中工場を視察した。代表団は現地の組合幹部および経営陣と会談し、水素エネルギー研究開発センターも訪問、究極のクリーンエネルギーシステムとみなされる、二酸化炭素を排出しない水素燃料電池システムについて学んだ。
バングラデシュの船舶解撤場でまた死亡事故
2016-04-18
有毒ガスの吸入で船舶解撤労働者1人が死亡し、もう1人が重体に陥っている。
2016年4月15日、バロ・アオウリア地域にマニックが所有するプレミアム・トレード・コーポレーションの造船所で、ビプロブ(22)とジャシム(27)が作業中に有毒ガスを浴びた。
バングラデシュ労働安全衛生・環境財団によると、事故は午後3時30分ごろに発生し、造船所経営陣は負傷した労働者を治療のためチッタゴン医大病院に搬送した。しかし、ビプロブは病院で亡くなり、ジャシムは重体である。
2016年に入って4カ月も経っていないが、バングラデシュの船舶解撤場では今日現在、6人の労働者が死亡している。
3月28日、カビール・スチール造船所の事故で労働者1人が死亡し、この死亡事故に抗議していた労働者と地域住民に警備員が発砲、7人が負傷した。これを受けてユルキ・ライナ・インダストリオール書記長は、この事故を極めて激しく非難し、バングラデシュ首相宛の書簡で政府に対し、「事故の犠牲者に適切な補償が提供されるよう保証するとともに、船舶解撤場を運営する使用者を重過失で罰する」よう要求した。
立て続けにまた死亡事故が発生したことは、船舶解撤会社が相変わらず適正な安全基準に従わずに解撤場を運営していることを示している。政府が船舶解撤労働者の安全な作業環境を確保する措置を講じていないため、犠牲者が増え続けている。
松崎寛造船・船舶解撤部門担当部長は言う。「バングラデシュで容認できない労働条件と闘うために行動を強化していく。バングラデシュ政府は約束したことを実施し、今すぐ労働者の生命を確保しなければならない」
インダストリオールは要求を繰り返し、新たに改正された2015年バングラデシュ船舶リサイクル法の即時実施を政府に促している。バングラデシュ政府は、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約の批准に向けた措置を加速させなければならない。