バングラデシュの船舶解撤労働者、団体交渉と安全衛生の訓練を受講
2016-07-28
バングラデシュの船舶解撤都市チッタゴンでインダストリオール・グローバルユニオンのワークショップが開かれ、バングラデシュの船舶解撤労働者が団体交渉と社会的対話、安全衛生に関する訓練を受けた。
2016年7月20~21日、バングラデシュ労働研究所(BILS)との共催で団体交渉と社会的対話に関する2日間の訓練ワークショップが開かれ、インダストリオール加盟組織の現場レベル指導者の団体交渉技能の強化に焦点を絞った。
続く2016年7月22~23日にはバングラデシュ労働安全衛生・環境財団(OSHE)の支援を受けて、さらに2日間のトレーナー向けワークショップを開催、船舶解撤労働者にとっての組織的な安全衛生問題を取り上げた。この行事には多数の船舶解撤労働者と活動的な組合員が参加した。
バングラデシュの船舶解撤産業は世界有数の危険な産業である。2015年10月から2016年7月までの9カ月間に発生した一連の事故で、18人の労働者が死亡し、大勢が負傷した。
インダストリオールは加盟組織のバングラデシュ金属労働者連盟およびバングラデシュ金属労働者同盟とともに、南アジア船舶解撤産業の金属労働者組織化プロジェクトを通して、労働者を取り巻く状況を改善するために介入している。
ワークショップ参加者は、現行法では解撤場レベル組合しか認められていないが、船舶解撤労働者が産業レベル組合を結成できるようにするために、バングラデシュの労働組合法の改正も要求した。参加者たちは、そのような法改正は組合の強化に役立ち、社会的対話プロセスの制度化を可能にすると述べた。
この産業で多数の死亡事故が発生している現状を踏まえて、安全衛生に関するトレーナー訓練ワークショップは、労働者にとって安全な作業方法と、船舶解撤場で安全な作業環境を提供する使用者の責任に関する認識を促すことを目指していた。訓練を受けた労働者が現場で同僚に学習内容を伝えるであろうと期待されている。
アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は、組合が積極的に存在感を高め、団体交渉と社会的対話によって安全な作業環境を生み出して労働条件を改善する必要があると強調した。
インダストリオール造船・船舶解撤部門のビジャーダール・ラネー副部会長が、バーゼル条約や国際海事機関、ILOガイドライン、香港条約、船舶解撤に関する欧州連合規則といった国際文書に関する情報を参加者に提供した。副部会長はインドで船舶解撤労働者の組織化に取り組んだ自らの経験も共有し、解撤場の安全衛生問題を改善するうえで組合が果たす役割について話した。
インダストリオール加盟組織はパートナーであるBILSおよびOSHE財団とともに、バングラデシュ政府に改訂された2015年バングラデシュ・シップリサイクル法の実施を求める取り組みの強化を決議した。さらに参加者は、香港条約の批准に向けた進行中のキャンペーンを加速させることも決定した。香港条約は、バングラデシュの船舶解撤労働者のために環境上適正で安全な職場を作るうえで役立つだろう。