インドのシーメンスで労働条件改善を達成
2016-12-08
インドのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織シーメンス労組(SWU)は、同社ターネー工場の変圧器部門で雇用される労働者について会社側と賃金妥結協約を結んだ。
SWUは裁判所に提訴し、労働者の勤務条件改善と雇用保障の重要性を強調した。裁判所は労働者に有利な判決を下し、労働者たちは、2013年にSWU組合員になった約215人の労働者(現在うち170人が組合員)が、この判決の対象となっている。
裁判所の判決を受けて、経営側はSWUに協議を提案した。
一連の交渉を経て、2016年11月30日に変圧器部門の賃金妥結に至った。妥結条件には特に幹部技術者を労働者と定義する措置が含まれ、これらの技術者は今後インフレ手当を支給され、会社の報奨制度やその他の勤務条件の適用を受けるようになる。
今回の妥結は、シーメンス労組のみならず同社自体の歴史でも極めて異例の重要な成果である。変圧器部門の労働者は2006年から働き始め、雇用数は2012年まで増え続けた。当初、労働者は専門技術者として雇用された。
これらの従業員は、他の労働者と同様の仕事をしているにもかかわらず、訓練を修了すると幹部技術者区分に配属された。結果として、これらの労働者は労働協約の対象とならず、賃金は低く、インドの法律では、自分で選んだ組合(この場合はSWU)に加入できなかった。
この問題が初めて提起されたのは、2012年にシーメンス従業員代表委員会メンバーとインダストリオール・グローバルユニオンが共催したシーメンス国際会議においてである。
ミャンマーのインダストリオール加盟組織、難題に負けず急速に進歩
2016-12-07
ミャンマー産業労連(IWFM)とミャンマー鉱山労連(MWFM)は2016年12月2~5日、組合構築、ジェンダーおよび不安定雇用に関する一連のインダストリオール・ワークショップに参加した。
数十年に及ぶ独裁政権から脱したミャンマーは、まだまだ発展途上にある民主主義国である。組合が直面している問題の多くは、常用雇用の代わりに1年契約が標準的手法として利用されていることに関係がある。この制度は頻繁に、1年契約終了時に組合幹部を排除するために使われている。数えきれないほど多くの労働者が、はるかに劣った条件で、はるかに短い契約に基づいて雇用されているため、この「標準」契約さえ得ていない状況にある。
使用者は通例50~70項目の付則を標準契約に追加し、それを守らなければ解雇されることがある。例えば、「監督者の命令に従い、当初雇用された仕事とは異なる仕事を行うことに同意しなければならない」「職場で集会を開いてはならない」「他の部署の労働者に話しかけてはならない」「生産割り当てを達成しなければならない」といった付則がある。最後の条項に基づき、労働者はサービス残業を強制されたり、目標を達成しなかった場合に解雇されたりする。その他、労働者が雇用終了後に同じ地域または部門の他の工場で働けないことや、組合に加入する権利がないことを定めている契約規定もある。
労働組合員や組合幹部の解雇は広範囲にわたる問題である。使用者は解雇された労働組合指導者の名前をウェブサイトで公表し、事実上ブラックリストに載せて将来の雇用から排除することが知られている。
ミャンマーの問題として、そのほかに、特に鉱業部門で安全衛生保護が不十分であることや、充実した労働協約の達成が困難であることが挙げられる。組合にとってまだ未経験の活動ばかりであり、労働者の賃金は最低賃金(現在1日3,600チャット=2.7米ドル)を下回っていることが多いため、特に賃金交渉に関する訓練や知識が絶えず必要とされている。
このような課題にもかかわらず、ミャンマーの加盟組織は、インダストリオールと他の労働組合組織(FNVモンディアール、FES、ユニオン・トゥー・ユニオン、オーストラリアの加盟組織CFMEUなど)の支援を受けて、数多くの組織化キャンペーンを成功させて成長している。
IWFMの組合員数はこの1年間に1万1,232人から1万3,486人(うち80%が女性)に増え、MWFMは2015年の3,785人から7,452人に組合員を増やした。この鉱山労組は組合員の実に30%が女性である。
その結果、労働者は社会保障給付金やその他の給付金(超過労働手当、解雇手当など)を支給されるようになっている。一部の組合は不安定雇用の常用雇用への転換に成功しており、最大500人を常用雇用化した例もある。
母性保護は最優先事項であり、現行法で認められている有給出産休暇は98日で、90日から延長されたが、それでもまだILO第183号条約に定める120日に満たない。実施面では依然問題があるが、組合は女性用トイレの設置など、そのほかにも成果を達成している。現在、組合がある工場の80%で、女性労働者は妊娠を理由に解雇されないという協約が適用されている。
イタリアの金属労働者、新しい全国労働協約を達成
2016-12-02
13カ月に及ぶ交渉と20時間のストを経て、2016年11月26日、インダストリオール加盟組織FIOM-CGIL、FIM-CISLおよびUILM-UILと使用者団体フェデルメカニカ/アシスタルが新しい全国労働協約について暫定合意し、個別協約の時代に終止符を打った。
12月1日、FIOM-CGIL、FIM-CISLおよびUILM-UILの3組合すべてが会合を開いて共同声明を発表、新たに達成された協約を「金属労働者にとって有利な協約」と表現した。
この協約は4年間有効で、金属部門全体を対象とし、この部門で雇用される160万人以上の労働者に適用される。この全国協約は包括協約であり、最低限の給付を保証している。組合は工場レベルで、さらなる給付改善を交渉することができる。3組合は今後この協約を職場集会に提出し、最終的に12月19日、20日および21日に関連労働者全員の拘束力のある投票に付す予定である。
組合代表に関する新規則によると、1つの労働組合または労働者の30%の要請さえあれば、労働者は企業別協約について採決を行う権利も与えられる。これは従来からFIOMの慣行の一部だったが、これまで共通の基準で実施されたことは一度もなかった。
組合によると、この協約は「非常に革新的」であり、「継続的訓練や教育権から序列制度の改革、全労働者のための補足的医療援助から補充年金制度、職場における組合安全衛生代表の活動促進まで、これまでの権利を拡張するとともに新しい権利を定めて」いる。
新たに達成された協約は交渉と参加を強化するとともに、インフレから収入を保護して福祉も強化し、金属労働者の全体的給付を改善、さらに組合と組合員、労働者の間における民主主義と代表のルールを明確にしている。
マウリツィオ・ランディーニFIOM-CGIL書記長はこの協約を称賛し、FIOM-CGILは2008年にも2012年にも協約更新に署名しなかったので、これによって「労働者の団結が改めて確認された」と述べた。「この協約は、いかなる種類の不正取引も示していない。そうではなく権利を拡大し、コスト構造全体をインフレ率以上に引き上げ、常に組織の中心的要求となってきた全国協約に民主的な道筋を導入するものだ」
マルコ・ベンティボグリFIM-CISL書記長は次のように語った。「本当に革新的な協約によって、労働組合の団結を取り戻した。最も難しいのは、将来を見通す文書を作成することだ。今回、私たちはそれを成し遂げた」
ロッコ・パロムベラUILM-UIL書記長は、「私たちはCCNL(全国労働協約)の価値を中心に据え、2次レベルの協約交渉を促進し、経営的要素や関連要因を判断した」と述べている。
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は、達成された協約の素晴らしい成果を歓迎し、「FIOM-CGIL、FIM-CISLおよびUILM-UILが新協約を見事に達成したことを祝福するが、これがイタリアの金属労働者全員に再び団結をもたらす共同連帯行動であったことを聞いて特にうれしく思う」と述べた。