インタビュー:ヴァルター・サンチェス/インダストリオール新書記長
2016-12-15
2016年10月5日、ブラジルCNM/CUTのヴァルター・サンチェスがインダストリオール・グローバルユニオン書記長に選出された。長年にわたって組合活動に従事してきた元金属労働者のサンチェスは、今後4年間インダストリオールを主導する。
インタビュー
所属組合:インダストリオール・グローバルユニオン
出身国:ブラジル
文:レオニー・ググエン
写真:インダストリオール
Q:まず、ブラジルでのご自身の生い立ちについて少し話していただきたい。
A:サンチェス: 私はブラジル南部パラナ州の田舎で生まれました。1960年代に農業がひどい冷害に見舞われ、6歳のとき、ブラジルの多くの世帯の人々と同様に私たち一家もサンパウロへの移住を余儀なくされました。ほとんどの人がすべてを失い、私たちも同じでした。多くのブラジル人と同じように、私も16歳で働き始めました。1年後、機械労働者として機械エンジニアリング工場に就職しました。21歳だった1985年、ロールスロイス社に移って技術者として働き、その後メルセデスベンツ社で生産技師として働きました。
Q:組合活動にかかわるようになったきっかけは何か?
A: 17歳でエンジニアリング工場に就職すると、すぐに労働組合に加入しました。独裁政権下だったので、当時は経済問題だけでなく、不公正や自由の欠如とも闘おうという強い衝動に駆られていました。独裁政権が終わると一連のネオリベラル政権が誕生し、労働者に多くの問題をもたらしたため、自分自身が労働組合にかかわるのは自然な流れだったように思えます。
最初に就任した選出ポストは、ブラジルの法律で義務づけられている内部安全衛生委員会のメンバーでした。その後、1992年にメルセデスベンツ社で従業員代表委員に選出され、その後何回も再選されました。
Q:サンパウロの大学で地理学の学位を取得しているが、どうやって大学に通ったのか?
A: 私が20歳だったころは、工場労働者が大学に行くのは珍しく、非常に選択肢が限られた社会でした。大学へ通うのはとても難しく、ごくわずかな定員に数百万人の志願者が殺到する状況でした。ブラジルでは、私のような工場労働者たちは夜間コースを受講し、昼間は働くのが一般的でした。それで、私も夜間コースに行きました。その当時は、死ぬまで工場で働きたいのか、それとも研究や地理学の分野で活動したいのか、自分でもよく分かりませんでした。
しかし、当時の私は、体中に闘志がみなぎっており、たとえ出世を犠牲にすることになっても、工場に残って労働者の権利と社会的公正を求めて闘う労働組合に深く携わるほうが役に立てるだろうと考えていました。2003年にCNM/CUTで全国レベルのポストに就き、その後そこでさらに書記長などいくつかの職務を経験し、最終的に国際書記になったわけです。
Q:これまでの組合歴を教えていただきたい。
A:これまで、いつも障害に直面してきたが、その都度障害を突き破ってきました。ブラジル人として初めて世界従業員代表委員会に加わわると共に、2002年には、ダイムラー(メルセデスベンツの親会社)でグローバル枠組み協定を取り決めた作業部会にも参加しました。さらに、ダイムラー監査委員会初のブラジル人メンバーであり、ドイツ人でないのは今も私だけです。そして今は、インダストリオールとその前身組織の歴史上初めて、南側諸国出身のグローバル・ユニオン書記長となりました。
Q:インダストリオールにとって南側諸国出身の指導者の誕生の意義は何だと思うか?
A:もちろん、どのグローバル・ユニオンも、加盟組織と絶えず協議する民主的な適任の人物を望んでおり、それが主な要件だと思います。しかし南側諸国出身であることは、従来とはまた異なる経験をもたらすのではないかと思う。というのは、これまで、グローバル・ユニオンの責任者のほとんどはヨーロッパか北米の出身であった。彼らに発展途上国への細やかな感情がないということではないが、非常に反組合的な環境、独裁政権やネオリベラル政権、厳しい弾圧、多国籍企業とサプライチェーンが押し付ける不安定な労働条件など、実際に(南側の)発展途上国の状況下で生活するのはまた別の経験だと思っている。
Q:今、インダストリオールと加盟組織が直面している課題とは何か?
A:これまでの人生の大半を労働組合員として過ごしてきて、世界には取り組むべき課題が数多くあると感じている。所属組合で長く国際連帯活動にかかわった経験を踏まえて、これらの課題に取り組むことに決めて活動してきた。5つの戦略目標を掲げたインダストリオールのアクション・プランは、私たちが抱える多くの課題を正確に示しており、5つの目標はすべて相互に関連していると思う。しかし、船舶解撤産業や鉱業、衣料産業で一連の悲惨な事故が起こっている状況は、企業欲の最も残酷な面を示している。
不安定雇用は大きな課題だ。世界で最も労働条件に恵まれているドイツにおいてさえ、企業は請負や派遣労働の形でこっそり不安定雇用を利用する方法を見つけている。不安定雇用と闘うために、より強力な組合を構築しなければならない。さもなければ、他の分野で良質な雇用を創出しない国々では大量失業が発生するだろう。だから、組合がもっと力をつけ、組合員数を増やし、労働者の職業訓練を改善できるよう援助しなければならない。
労働者が攻撃されるたびに、連帯して行動しなければならない。なおそのうえに、私たちは技術的飛躍(インダストリー4.0)のまっただ中におり、これは今後すべての産業に影響を与えるだろうし、すでに影響が出ている。いずれ近いうちに、いくつかの部門が丸ごと消えてしまうだろう。新しい部門も生まれるだろうが、ほぼ間違いなく雇用創出量ははるかに少ない。だから、それぞれの国や地域で持続可能な産業政策を求めて努力しなければならない。可能な限り強力な組合を構築し、充実した産業政策を確立して多国籍企業の力に抵抗するために、組合を協議に参加させるよう政府に要求できるようにしなければならない。
Q:インダストリオールは向こう4年間にどのように発展する必要があると思うか?
A:組織機構、各地域およびインダストリオール活動全体を改善し、加盟組織により良いサービスを提供できるようにしなければならない。インダストリオールは過去4年間に数々の成果を上げ、多くのキャンペーンを成功させた。バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定は大成功を収め、全国1,600カ所以上の衣料工場を検査・改善するために法的拘束力のある機構を確立した。リオ・ティント・キャンペーンは世界中の事業の加盟組織を団結させ、この大手採鉱会社が組合と対話を行うよう要求している。やらなければならないことはまだあるが、リオ・ティント・キャンペーンは同社に真の改革を実行させ、何人かの反組合的な鉱長を交代させ、加盟組織がより多くの職場を組織化できるようにさせた。
それから、多国籍企業で多くの労働組合ネットワークが結成されたことも、もう1つの業績だろう。しかし、加盟組織に影響を与える問題の場合は加盟組織と密に連絡・協議し、加盟組織の意見を活かせるようにしている。重要なのは、労働組合ネットワークやグローバル枠組み協定で蓄積した力を利用し、多国籍企業にサプライチェーンに対する責任を負わせる必要があるということだ。ほとんどの不安定雇用がサプライチェーンで見られるので、サプライチェーン労働者を組織化する組合を支援する必要もある。
ガダニ船舶解撤場で労働者5人が焼死
2017-01-10
1月9日にパキスタンのガダニ船舶解撤場でまたしても死亡事故が発生し、LPGコンテナ船の火災で少なくとも5人の労働者が亡くなった。ガダニでは過去数カ月間に数十人が死亡しているにもかかわらず、何の安全向上策も講じられていない。
およそ100人の労働者が第60区画で船を解体していたときに火災が発生し、救命ボートで救助された。わずか2週間前にも同じ船で火事があったが、そのときは死傷者が出なかった。
この船の所有者でガダニ船舶解撤場所有者協会の元会長であるデワン・リズワンは、火災が発生すると現場から逃走、その後、ハブ市近郊で警察に拘留された。
亡くなった労働者はムハンマド・サイード、サイード・カーン、アリフ・カーン、ナイマット・シャー、サビルで、全員がスワート地区とテシルカラット地区の出身である。もう1人の労働者も負傷した。
インダストリオール加盟組織パキスタン全国労働組合連盟(NTUF)のナシル・マンスールは次のように述べた。
「ガダニ船舶解撤場では労働安全衛生措置が改善していると主張されているにもかかわらず、絶え間なく事故が発生し、死傷者が出ている。安全は船舶解撤で最も軽視されている分野の1つだ」
環境省当局者によると、船内の化学泡剤が火災の原因だという。事故を防止するために、作業開始前に船から可燃物をすべて除去しなければならない。
この事故のちょうど前日の1月8日には、ディルシャッドという若い労働者が第69区画で船の上から落ちて死亡した。11月1日にも、ガダニ船舶解撤場で過去最悪と言える労働災害が発生し、石油タンカー火災で少なくとも26人の労働者が死亡、40人が負傷している。4人の労働者が今も行方不明である。
政府と使用者は労働安全衛生が改善したと主張しているが、ガダニ船舶解撤場では絶えず事故が発生し、死傷者が出ている。
松崎寛インダストリオール船舶解撤担当部長は言う。
「労働者はもう一瞬たりとも安全衛生改革を待つことができない。政府・使用者は今すぐ行動しなければならない。同じ致命的な誤りが何度も繰り返され、労働者が船舶解撤場で虐殺されている」
インダストリオールは11月にパキスタンのムハンマド・ナワツ・シャリフ首相に書簡を送り、同国政府に対し、船舶解撤場における安全な労働条件の確保と船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約の批准を求めた。
NTUFは11月1日の事故の負傷者と遺族への補償を確保することに成功した。しかし、ガダニ船舶解撤場で安全衛生を改善するという政府の約束は果たされていない。
インダストリオール、2016年も集中キャンペーンを展開
2017-01-06
2016年もインダストリオール・グローバルユニオンにとって重要な1年だった。コペンハーゲンで結成されてから4年が過ぎ、インダストリオールは10月にブラジル・リオデジャネイロで第2回大会を開催、100カ国以上から約1,400人の労働組合員が出席した。
大会スローガン「未来への闘い」は、インダストリオールの積極的な姿勢――常に前進、向上し、臆することなく闘う姿勢を示している。ベルトホルト・フーバー、ユルキ・ライナ両名の辞任後、加盟組織は新指導部を選出し、イェルク・ホフマンが会長に、ヴァルター・サンチェスが書記長に就任した。
リオに集まったインダストリオール代議員は、この機会を利用して「ルーラ」・ダシルバ・ブラジル元大統領への支援を表明、国内でネオリベラル勢力から政治的迫害を受けている同氏を支持する決議を採択した。
大会代議員は韓国の労働組合にも連帯を表明して決議を採択、この決議は11月30日の韓国ゼネストへのインダストリオール加盟組織による大規模かつグローバルな支援につながった。韓国の組合は政府から激しく攻撃されており、組合指導者が投獄されている。インダストリオール指導部は加盟組織とともに、2016年に何度か韓国を訪れ、ソウルの街頭で数万人の労働組合員を前に演説した。
ストップ不安定雇用キャンペーンが続いており、10月7日のディーセント・ワーク世界行動デーに大会で新しいアートワークが発表された。大会代議員は、とどまるところを知らない不安定雇用の脅威に取り組むことの必要性を繰り返し主張した。
2016年には鉱山における安全および健康に関するILO第176号条約の批准に向けたキャンペーンを新たに強調し、4月28日の死傷した労働者の国際記念日にソーシャルメディア・キャンペーンを実施して40万人にアピールした。世界中のインダストリオール加盟組織が自国政府に第176号条約の批准を強く要求し続けており、ギニアは2016年12月26日、同条約の批准に同意した33番目の国になった。
世界一危険な仕事である船舶解撤のクリーンアップ・キャンペーンが続いている。インドのインダストリオール加盟組織は、国内の船舶解撤場で労働者の組織化と安全性の向上に大きく前進した。しかし、船舶解撤は依然として死亡事故の多い産業であり、11月1日にもパキスタンのガダニで大事故が発生、危険な石油タンカー解体作業中に爆発が起こり、労働者28人以上が死亡し、50人が負傷している。
インダストリオールはグローバル・ユニオンのBWIと協力して、セメント大手ラファージュホルシムで安全性と労働者の権利を改善するために共同キャンペーンを実施している。先ごろ合併したこの多国籍企業では毎年約70人の労働者が亡くなっており、その90%が間接的に雇用されている。
一方、リオ・ティント、アンセル、ヒューゴ・ボスに対するインダストリオール企業別キャンペーンは、労働者に成果をもたらした。
2016年末、世界中のインダストリオール加盟組織が再び結集し、ニカラグアで組合代表の解雇に抗議したために有罪判決を受けた衣料労働者12人を支援した。約4,000人がニカラグア政府と韓国系衣料メーカーSAE Aテクノテックスへの書簡に署名し、労働者を無条件で釈放するよう求めた。多くの組合が地元のニカラグア大使館に抗議書簡を送った。#Tipitapa12の公正な処遇を求めるキャンペーンが続いている。
インダストリオールには毎日、世界中の労働者の権利侵害に関する報告が届く。この状況は2017年も変わらず、インダストリオールがキャンペーンをやめることは決してない。
バングラデシュの衣料労働者に対する弾圧の中止を要求
2017-01-05
インダストリオール・グローバルユニオンは、バングラデシュ政府当局による悪意のある弾圧を踏まえて、衣料労働者、組合指導者および労働活動家の迫害の即時停止を求めている。
バングラデシュの衣料産業にとって憂慮すべき後退が見られ、戦時に導入された緊急措置である1974年特別権限法に基づき、警察は過去2週間に少なくとも11人の組合幹部と労働権擁護者を拘留している。拘留された11人には、バングラデシュのインダストリオール加盟組織3団体(BGIWF、SBGWFおよびBIGUF)の組合員7人が含まれていた。
一方、1,600人以上の労働者が停職処分を受け、警察は600人の労働者・組合指導者を訴えている。
この当局による弾圧に先立って、12月12日にバングラデシュの首都ダッカのアシュリア地区で労働者がストを決行し、最低賃金を月68米ドルから190米ドルに引き上げるよう要求した。
バングラデシュの賃金は世界最低水準であるにもかかわらず、工場所有者は賃上げ拒否の強硬な態度で臨んでいる。その一方で、住宅費や物価、医療保険コストは急上昇している。
ストに対する報復として、バングラデシュ衣料製造業者・輸出業者協会(BGMEA)は59工場で生産を停止し、所有者は1,600人を優に超える労働者を独断的に停職処分にした。
ストの影響を受けた2つの工場、ウィンディー・アパレルズとファウンテン・ガーメンツは239人の労働者を刑事告発し、ハミーム・グループは1,000人もの労働者を訴えようとしているという報告がある。
インダストリオール関係筋によると、現在、多くの衣料労働者が恐怖のあまり仕事に戻れない状況にある。警察の迫害から逃れるために田舎に帰った労働者までいる。アシュリアにあるインダストリオール加盟組織の支部事務所のほとんどが、閉鎖されたり破壊されたりした。
バングラデシュのインダストリオール労働組合協議会は、拘留中の労働者全員の即時釈放と、労働者・組合指導者に対する警察の訴訟すべての取り下げを求めている。協議会は、国際労働機関がBGMEAとの会談を仲介することも要求している。
インダストリオールは他の組合やキャンペーン・グループとともに、バングラデシュの工場から製品を調達しているブランドに合同書簡を送付し、バングラデシュ政府に接触して拘留中の労働組合幹部の釈放、告発の取り下げ、労働組合指導者や労働権活動家に対する嫌がらせの中止を求めるよう促した。
バングラデシュには、独立労働組合と労働活動家がむち打ちや拷問、殺害の脅迫などの標的となった悲惨な過去がある。2012年、活動家のアミナル・イスラムが惨殺された。ヒューマン・ライツ・ウォッチをはじめとする人々は、バングラデシュ治安部隊の関与を強く疑っている。
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は次のように述べた。
「バングラデシュ衣料産業における労働組合員や労働者に対する弾圧を続けさせてはならない。インダストリオールは同国政府に対し、拘留されている労働組合指導者・活動家を直ちに釈放し、何百人もの衣料労働者に対する刑事告発を取り下げるよう要求する。政府の弾圧によって労働者を黙らせることはできない。衣料労働者には基本的団結権があり、生活賃金を支払わなければならない。政府は労働者を人道的に扱うことができなければ、貴重な衣料産業を失う恐れがある」
バングラデシュ:逮捕した被服労組指導者を即刻釈放せよ
2017-01-19
インダストリオールはUNIと共にバングラデシュ政府に対し、ここ数週間に逮捕した被服労組指導者を即刻無条件に釈放するよう求めるオンラインキャンペーンを開始した。
バングラデシュでは労働者の権利や民主主義が憂慮するほど後退し、少なくとも11名の労働組合指導者や労働活動家が逮捕されている。それと同時に、治安部隊が労働組合指導者やボランティアの家宅を急襲したため、多くの人は危険を感じ隠れている。
首都ダッカにおける被服生産の中心地であるアシュリアにある組合事務所は、侵入され、強制的に閉められ、組合員に関する種類は焼かれ、家具は取り除かれた。
12月に被服労働者が賃上げを要求して以来、1600名以上が解雇され、警察は600名の労働者及び組合指導者を提訴した。
インダストリオールとUNIはLabourStartと共に、オンラインキャンペーンを行い、バングラデシュの政府に対し、拘禁されているすべての組合指導者及び活動家を釈放し、被服労働者への抑圧を止めるよう要求している。
弾圧を行いながらも、バングラデシュのハシナ首相は今週ダボスにおいて世界のエリートの仲間に加わり、ビジネス界の指導者や国際コミュニティに対し、被服産業(RMG)においては協調的な労使関係になっていると語っている。また、同首相は、バングラデシュは「RMGにおいて、コンプライアンスを厳しく遵守している」と語った。
バングラデシュの輸出の83%を占めている被服産業は同国の経済にとって大変重要で、世界第2の繊維及びアパレルの生産国となっており、450万名の労働者を雇用し、うち80%が女性である。
インダストリオールとUNIは、2013年ラナプラザの崩壊で被服工場の労働者1,100名以上が死亡して以来、被服労働者の権利と安全のために先頭に立ってきた。両組織はバングラデシュ協定の立役者であり、200以上のブランドが法的拘束力を持つ同協定に署名している。これに基づき、1,600工場の火災や安全の危険性について検査が行われた。1,600工場において検出された安全面の問題のうち、74%が報告されるかあるいは是正が確認されている。
バングラデシュ:ドングリアン・ファッション労使が合意し、紛争終結
2017-01-23
ドングリアン・ファッション労組が会社側と労働協約を締結し、長年にわたる組合弾圧が終わった。
1月14日、バングラデシュ・ダッカの衣料製造中心地アシュリアにある衣料メーカー、ドングリアン・ファッションの労使代表が2年間の労働協約を締結した。
この協約は同社の労使関係の驚くべき転換である。2014年11月に組合が結成されると、活動家は退職の強要、身体的攻撃、さらには殺害の脅迫まで受けた。
経営側は、会社の敷地内での組合活動を制限するために最高裁命令を獲得した。組合の書記長と会長を含む12人の労働者が退職に追い込まれた。
インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の衣料労働者連盟(SGSF)は国際支援を動員し、現地経営陣に圧力をかけて組合と交渉させることができた。
その結果、労働者12人が復職し、2016年2月に労使間で了解覚書が交わされた。
新しい労働協約はこの関係を基礎としており、衣料部門の労使関係の重要な先例を示している。バングラデシュの繊維・衣料部門では、政府の弾圧によって組合幹部が逮捕されたばかりであり、労働協約が締結されることは珍しい。
この包括的協約には、賃金、休暇、出産休暇、苦情処理手続き、火災予防、食事手当・祝祭手当、組合活動のためのスペースなどに関する条項が盛り込まれている。労働者は現在、年1回の賃上げ、病気休暇、有給休暇に対する権利を与えられており、独断的に賃金の支払いが先送りされることもなくなる。
ナズマ・アクターSGSF会長は言う。
「この協約はバングラデシュの労働組合運動の良い模範であり、グローバルな連帯によってどれだけのことを達成できるかを示している。インダストリオールをはじめとする組合からの支援のおかげで、ドングリアンの状況を転換させて強力な労働協約を実現することができた」
「ドングリアン経営陣は組合が労使交渉の非常に優れた基盤であることを理解し、労使関係が大幅に改善した」
ジェニー・ホールドクロフト・インダストリオール書記次長は次のように述べた。
「これは素晴らしいニュースだ。ちょうど2年前、この工場では組合員が退職に追い込まれた。それが今回、労使が充実した包括的労働協約を締結した」
「ドングリアン・ファッションは組合と建設的に協力することによって正しい道を選んだ。バングラデシュの他の衣料メーカーも同じアプローチを採用する必要がある」
インダストリオール・グローバルユニオン日本加盟組織協議会が発足
2017-01-23
2016年12月8日、インダストリオール・グローバルユニオン日本加盟組織協議会(略称:インダストリオール日本加盟協、英文略称:IndustriALL-JLC)結成大会が開催された。
インダストリオール・グローバルユニオンの結成から4年を経て、金属労協/JCM、インダストリオール・JAF、UAゼンセンが中心となり、インダストリオール日本加盟協を発足させたのである。
結成大会には、3組織から27名が、また、インダストリオール本部を代表して、アトレ・ホイエ書記次長が出席し、サンチェス書記長からの連帯メッセージを紹介した。その中で、サンチェス書記長は、「第2回世界大会において2016-2010 アクションプランが採択された。これを実行に移すうえで、インダストリオール日本加盟協の役割は大きい。」と述べた。
インダストリオール日本加盟協結成準備委員会を代表し開会の挨拶を行った島田インダストリオール・JAF議長(UAゼンセン副会長)は、加盟協の結成により日本の活動がより強力に、効率的になるだろうと、加盟協結成の意義を述べた。
岸本インダストリオール・JAF副議長はインダストリオール日本加盟協結成の経過報告の中で、「インダストリオール結成直後から、3組織が情報共有を行い、会議準備など連携を図っていく中で、国際活動で共通する部分をできるだけ1本化していこうとの意思統一がなされた。小さく生んで、大きく育てていきたい。また、加盟協を通じアジア太平洋地域の加盟組織との連帯を一層図っていきたい。」と語った。
その後、運営規定、2017年度活動計画及び予算について審議され、すべて事務局案の通り承認された。運営規定で定められているインダストリオール日本加盟協の目的は以下の通り。
- インダストリオールの規約及び諸決定に基づき、これを実践するためにアジアの地域事務所及び加盟組織間の協力・連携を図り、インダストリオール運動の発展を目指す。
- 世界のインダストリオール加盟組合、特にアジア太平洋地域の加盟組織との連帯を推進する。
- 国際労働運動の発展に向けた加盟組織の活動を支援する。
- 連合、産別組織、他のGUF(国際産業別組織)及び他の関係団体との情報交換等連携活動を行う。
インダストリオール日本加盟協は、すでに3組織共通で取り組んでいる国際活動の一元化に取り組む。具体的な当面の主な業務は、インダストリオール本部の文書翻訳、同機関会議への準備・対応、本部の要請による国際連帯活動となる。
今後2年間(2017-2018年)の役員体制は、以下の通り。
議 長 相原 康伸 金属労協/JCM議長、自動車総連会長
副議長 島田 尚信 インダストリオール・JAF議長、UAゼンセン副会長
副議長 岸本 薫 インダストリオール・JAF副議長、電力総連会長
事務局長 郷野 晶子 UAゼンセン副会長
役員を代表して挨拶した相原議長は、「インダストリオール日本加盟協は4つの期待を担っている。1.本部に対する意見反映プロセスの充実、2.多様性が特徴となっているアジアをまとめる、3.日本の3組織の連携により、関係する産業部門の活動に良い影響を与える、4.国際機能の統合と効率的な運営。」と抱負を述べた。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記次長は、10月のインダストリオール世界大会以降の活動について報告し、さらにインダストリオールとしての加盟協に対する強い期待を表明した。
インダストリオール日本加盟協は正式に2017年1月から活動を開始した。事務所は、JCM(金属労協)事務所内の一角に開設された。