広報ニュース

第64号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2017年2月28日)

韓国の金属労働者4,000人が世界最大の造船会社のリストラに抗議

2017-02-17

 

韓国金属労働者4000人が現代重工のリストラに抗議し、集会開く

2月15日に韓国・蔚山の現代重工業(HHI)造船所前で約4,000人の金属労働者が集会を開き、この世界最大の造船会社のリストラ計画を撤回させると誓った。

  韓国のアナリストと組合の考えによると、HHIの支配株主で現代財閥の一員であるチョン・モンジュンは、息子のチョン・キソンに所有権を譲るために同社を再編しようとしている。この措置は韓国の法律に違反する。

 HHIは昨2016年10月、現代ロボティックス、現代電気エネルギー・システム、現代建設機械、現代重工業の4社に分社化すると発表した。HHIは2017年2月27日に予定されている株主総会で、この再建計画を取り上げる。HHI労働者は、株主総会を阻止するために2月22~27日にストを計画している。

 

集会で闘争宣言をするキム・サングKMWU委員長

インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の韓国金属労組(KMWU)は、2016年12月にKMWU加盟を票決したHHI労働者を支持すると誓約した。KMWUは4時間のストと同時に集会を開き、全国から数千人の工場組合役員を結集させた。キム・サングKMWU委員長が集会で発言し、次のように述べた。「このリストラ反対闘争は現代重工業労働者だけの闘いではない。私はここに、これはKMWU労働者17万人の闘いであると宣言する」「KMWUはこのリストラを阻止する。これはチョン・モンジュンと朴槿恵政権が造船不況の責任を労働者に押しつけようとするものだ」

 HHIの組合幹部ペク・ヒョンロクが次のように語った。「現代重工業の分割は、チョン・モンジュン一族による3世代連続の世襲の基礎となる。一族の狙いは、労働者の勤勉によって築き上げられた富をすべて独占することだ。チョン・モンジュンだけに利益を与える株主総会を承認することはできない。私たちはこの総会を阻止する」

 KMWUが現代自動車によって承認されているにもかかわらず、HHIはKMWUを団体交渉代表として認めようとしない。KMWU現代支部長のパク・ユギは、集会でHHI労働者への支援を約束した。「現代自動車の労働者は現代重工業の仲間を支持する。一方的なリストラに反対するこの闘いに勝利するまで、私たちはともに闘う」

 

 

タイの加盟組織、ILO提訴めぐり労働省と会談

2017-02-16

ILO提訴めぐり労働省と会談するタイのインダストリオール加盟組織代表

 タイのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織はバンコクで労働省と会談し、国際労働機関(ILO)への提訴で強調された懸念を再度表明した。

 インダストリオール加盟組織は2月10日の会談を利用して政府に圧力をかけ、進行中の労働権侵害事件を解決するよう求めた。タイの組合は、プラチンブリ県の自動車部品サプライヤーで新たに登録された組合をめぐる労働争議も取り上げた。Y-TECタイランドは先ごろ、プラチンブリ自動車部品労組(2017年1月登録)の労働側交渉代表と創設メンバーを解雇した。

 タイに加盟組織7団体を擁するインダストリオールは、2015年10月にILOに提訴し、同国政府が組合差別と不公正な労働法から労働者を保護していないことを指摘した。

 タイの法律は労働人口3,900万人の約75%に結社の自由に対する権利と団体交渉権を与えていないため、この国の組合組織率は1.5%と東南アジア全体で最も低くなっている。

 

会談に参加したタイのインダストリオール加盟組織の代表たち

この提訴を検討したILO基準適用委員会はタイ王国政府に対し、「法律面でも実際面でも常に労働者が組合差別行為から効果的に保護され、この保護がすべての合法的な労働組合活動(労働者組織の設立に関連する活動を含む)を対象とするよう確保するために必要な措置を講じる」ことを要求している。

 ILOはタイ政府がタイ労働法の改訂プロセスを迅速化できるよう技術支援を提供し、国内法と結社の自由および団体交渉の原則との整合性を取るとともに、訴状で提起された問題に適切に取り組ませようとしている。

 

アジア太平洋執行委員会、バングラデシュで投獄されている労働組合員の即時釈放を要求

2017-02-14

 

バングラディシュでの労働組合員への弾圧に対して非難決議を採択したアジア太平洋執行委員会(シンガポール)

インダストリオール・グローバルユニオン・アジア太平洋執行委員会は2017年2月10日にシンガポールで会議を開いた。これは昨年10月の第2回世界大会以降の初会合であり、アクション・プランの実施促進に向けて進展状況について報告しあうと共に、課題解決について話し合った。

 同執行委員会では、バングラデシュにおける労働組合員の弾圧に対して非難の決議を行った。同国では最低賃金の引き上げを求める闘いの結果、35人の労働組合員と労働者が逮捕されるに至っている。

 委員会は、獄中の組合員全員を無条件で即時釈放するようバングラデシュ政府に求める決議を全会一致で採択した。労働組合権と生活賃金の完全な承認を得るまで、この闘争において同志を支援し続けることも約束した。

 地域共同議長の相原康伸議長(JCM/日本)とミシェル・オニール氏(TCFU/オーストラリア)が会合の司会を務め、シンガポール・インダストリオール協議会のシリル・タン議長が参加者を歓迎した。

 2人の共同議長は新たに選出された執行委員を祝福した。ミシェル・オニール共同議長は世界の労働組合運動が直面している課題を強調し、次のように述べた。

 「全世界とアジア太平洋地域で人種差別と外国人排斥の攻撃が悪化しており、この地域における右翼政権の台頭と労働法の規制緩和で労働者の権利が猛攻にさらされている」「執行委員会には、労働者の権利を守り、人々を団結させ、労働者に対する猛攻撃をやめさせる重大な責任がある。労働者は地域全体で団結して闘っており、この責任を果たす大きな能力があることを示している」

 

歓迎の辞を述べるシリル・タン ・シンガポール・インダストリオール協議会議長

相原康伸共同議長は次のように語った。

「この地域のインダストリオール加盟組織は非常に困難な状況に直面している。韓国の加盟組織は民主主義を回復して労働者の権利を守るために闘っている。バングラデシュでは、労働組合員が賃上げを要求したために投獄されている。パキスタンでは、ここ数カ月間で30人以上の船舶解撤労働者が亡くなった」「これらの国々で労働者の闘いを支援するために国際連帯を構築する必要がある」

 サブリージョンの代表として、韓国金属労組(KMWU)のキム・サンギュ委員長、インド全国鉱山労連のG・サンジーバ・レディー氏、統一衣料労働者連盟(SGSF)のナズマ・アクテル氏、インドネシア金属労連のボエナディ・プリハナニ氏から、それぞれの国における労働者の闘い、業績および将来の課題について報告した。

 報告者たちはインダストリオール加盟組織に、各国の労働者の闘いに連帯を表明してくれたことを感謝し、継続的な支援を求めた。民主主義と労働者の権利を守るために韓国全体で実施された労働者と国民の驚くべき動員の姿とインダストリオールの連帯を記録したビデオが、KMWUの方から上映された。

 ジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長が、2016年の世界大会で採択されたアクション・プランの実施における進展状況について報告し、次のように述べた。

 「インダストリオールは、世界的ブランドと多国籍企業が労働者の権利にもっと責任を負うことを確実にするために、サプライチェーンに関する国際論議に強い影響を与えている」

 「グローバル枠組み協定の効果的な実施は主な優先課題の1つだ。合同構築プロジェクト、不安定雇用との闘い、組合活動への女性参画が重要な活動分野となっている」

 「ACTイニシアティブを通して地域の標的国で生活賃金を求める産業別団体交渉を確立しようとする努力が、間もなく始まる」

「インダストリオールは、スリランカ、韓国、バングラデシュでも組合権をめぐる紛争に深く関与しており、労働組合権の弾圧に反対するためにILOやEUなど多方面で取り組んでいる」

 次に、インダストリオール地域事務所活動報告として、アニー・アドビエント東南アジア地域事務所長とアプールバ・カイワール南アジア地域事務所長から、過去および将来の計画に盛り込まれた地域活動について報告した。

 インダストリオールの戦略目標は地域事務所による活動の指導原理となっている、と両所長は語った。組織化プロジェクトは加盟組織が組合員数を増やすうえで役立っている。

 全国的問題に関するキャンペーンの形での国別介入、ストップ不安定雇用キャンペーン、男女平等・母性保護キャンペーン、団結会合、労働組合ネットワーク、グローバル枠組み協定の実施、訓練ワークショップ、資料の発行により、労働者の権利を守る加盟組織の能力が高まった。

 アジア太平洋女性委員会の共同議長を務めるSGSFのナズマ・アクテルが、前日の女性委員会で下された主な決定を報告した。女性委員会はインダストリオール指導部ポストと国内・地域・世界レベルの意思決定機関で女性参画率40%をあくまでも追求する、とアクテル共同議長は述べた。

 次のアジア太平洋執行委員会は2018年初めに開催される。

 

 

アジア太平洋女性委員会、若い女性労働者の組織化を優先へ

2017-02-13

 

アジア太平洋女性委員会に参加した代表たち

 インダストリオール・グローバルユニオン・アジア太平洋女性委員会は2017年2月9日にシンガポールで会合を開き、加盟組織による進展を評価するとともに、女性労働者の権利を守る取り組みを強化するための将来戦略を策定した。

 アジア太平洋女性委員会は、実施された行動と、女性労働者が直面する大きな課題に対処するための将来戦略に検討を加えた。そのような課題として、不安定雇用、男女平等、労働安全衛生、母性保護、セクシャル・ハラスメント、若い女性労働者の組織化、インダストリオールの組織機構や指導部ポストへの女性参画の促進が挙げられる。

 インダストリオール・グローバル女性委員会のミシェル・オニール共同議長が会合の司会を務め、次のように述べた。

「世界中で政治・経済面の退行的変化により、労働者の権利に対する攻撃が強まっている。グローバル資本の無責任な行動が、増え続ける不安定雇用、組合権に対する攻撃、安全衛生の軽視と相まって、女性労働者や家族、地域社会に深刻な課題を突きつけている」

 「インダストリオール女性委員会には、女性製造業労働者の意見が聞き入れられるようにするという重要な任務がある」

 ジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長が、インダストリオールのアクション・プランと関連活動の実施は女性労働者の権利を守るうえで大きな成果を上げていると説明し、次のように述べた。

 「加盟組織はインダストリオール組織機構への女性参画の促進において意味ある進展を遂げた。先ごろの世界大会で私たちは、全レベルの意思決定機関で女性参画率40%を導入するという約束を規約に盛り込んだ。地方・全国・世界レベルで女性代表性を促進するために、一貫して実践的に取り組む必要がある」

 インダストリオール加盟組織のインドネシア金属労連(FSPMI)が、女性の組合参加の著しい増加を報告した。ダーマワティ・ナタクスマーが次のように語った。

 「このところ、インドネシアの産業労働力では女性労働者が大幅に増加している。FSPMIは大きな課題を抱えているにもかかわらず、製造業部門の女性労働者による組合加入の促進において大きな成功を収めた」

 参加者は若い女性労働者の組織化の重要性を力説し、若者を組織化するにあたっての課題も強調した。ベトナム全国石油ガス労組のギエム・トゥイ・ランとインドネシア全国労働組合のドーリナ・ランバン・トルアンがこう述べた。

 「アジア太平洋地域では、特に電子・衣料・繊維産業で働く労働者の過半数が若い女性だ。この新世代の労働者のライフスタイルや願望は他の労働者と異なる」

 「そのほとんどが不安定労働者であり、低賃金や長時間労働、性的虐待、嫌がらせなど数多くの問題を抱えている。組合運動は若い女性労働者を組合に加入させるために賢明な戦略を策定することが不可欠だ」

 女性委員会は若い女性労働者を組織化するために改めて努力することを約束した。

 バングラデシュ統一衣料労働者連盟のナズマ・アクテルが発言した。

 「バングラデシュをはじめ多くの国々に保守的な価値体系があり、女性労働者が草の根レベルで組合活動に参加するうえで大きな課題となっている」

 「集団的な介入によって男性労働者の意識を高め、女性参画を促す環境と機会を生み出す必要がある」

 それぞれ東南アジア、南アジアの地域事務所所長を務めるアニー・アドビエントとアプールヴァ・カイワールが、女性参画が拡大していること、地域で組織された各種の活動によって母親の健康問題への取り組みに進展があったことを報告した。両所長は、いくつかの国々で女性委員会が設置され、多くの国々で加盟組織が国別協議会への女性参画促進に取り組んでいることも強調した。

 参加者は、女性委員会が設置されている一部の国々で、女性委員会が提起した問題を取り上げるために国別協議会が十分に対応していないという懸念を表明した。参加者たちは、これらの全国機構を関連づけるよう求めた。

 女性委員会は、バングラデシュで最低賃金の増額を要求している労働組合員が弾圧されている現状について深い懸念を表明した。同委員会はバングラデシュにおける労働者の闘いとの連帯を表明し、バングラデシュ政府が投獄されている労働組合員と労働者を直ちに釈放することを要求した。

 ミシェル・オニールとナズマ・アクテルが、全会一致で女性委員会の共同議長に選出された。共同議長は女性の問題を取りまとめ、インダストリオールの意思決定プロセスにかける。

 

 

機械工労組、米南部のボーイングで重要な投票へ

2017-02-09

 

組合承認選挙の勝利に向けてアピールするボーイング労働者

 アメリカ南部で予定されている組合承認選挙は、トランプ政権下における労働組合の組織化能力を判断するテストケースと見られている。

 インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の全米機械工・航空宇宙労組(IAM)は、サウスカロライナ州チャールストンで極めて重要な投票を迎えようとしている。ほぼ3,000人のボーイング労働者が2月15日、組合承認について採決を行う予定である。

 この選挙は、トランプ時代における組合運動の組織化能力を決定づけるテストケースとみなされている。選挙に勝利すればトランプの反組合的政策への非難となり、あつれきを招く人種差別に対する勝利になるだろう。工場労働者の約3分の1がアフリカ系アメリカ人である。

 米国南部は組織化が難しいことで有名である。賃金と組合組織率が低く、団体交渉の対象となる労働者が少なく、政治家は偏った立場から組合と敵対することが多い。

 サウスカロライナ州は「労働権」州であり、労働組合に加入していない労働者が組合費を払わずに労働協約の恩恵にあずかれるようにする法律を採択している。同州の組合組織率は全米で最も低い。

 IAMをはじめとするアメリカの組合の主張によると、労働権の裏にある動機は、組合を破壊し、「企業エリートにさらに多くの資金と権力を移す」ことである。ドナルド・トランプ米大統領は労働権を連邦レベルに広げる意向を示しており、これは組合に対する根本的な攻撃であると見る向きが多い。

 ここ数年、低賃金と弱小組合に付け込もうと、多くの企業が南部に生産拠点を移している。ボーイングはワシントン州の工場を閉鎖したあと、2011年にサウスカロライナ工場を開設した。それ以来、10万787機以上のドリームライナーを生産している。

 IAMは主にワシントン州で約3万5,000人のボーイング労働者を代表している。同労組は2015年、政治的干渉と会社側による大規模な情報工作を受けて、チャールストン工場での承認選挙から撤退した。

 ブライアン・コーラー・インダストリオール航空宇宙担当部長は次のように語った。

 「ドナルド・トランプの当選は全米の労働者への挑戦であり脅威だ。サウスカロライナで組合が勝利すれば、私たちに抵抗する力があるという力強いシグナルになるだろう」

 「インダストリオールは国際連帯を表明し、ボーイング労働者に組合に賛成票を投じるよう勧める」

 

連帯が奏功! スリランカの労働者が組合承認に賛成票

2017-02-09

 

組合承認選挙の勝利を受けて、コメントするFTZ&GSEUの指導者アントン・マークス氏

 産業用手袋メーカーATGの労働者が2月7日に組合設立を票決し、スリランカの自由貿易地区で他の労働者の基準となる大きな成果を達成した。

 この多国籍手袋メーカーがスリランカの2工場から組合を追い出そうとして失敗したことを受けて、インダストリオール・グローバルユニオンは今週、労働者の快勝を祝っている。

 FTZ&GSEU指導者のインダストリオール執行委員アントン・マークスは、選挙結果が明らかになった2月7日、初めてATG経営陣と握手することができた。同労組は会社側の姿勢が原因で、ただ労働者を代表して交渉する権利を獲得するためだけに2年に及ぶ闘争を強いられた。

 威嚇や停職、脅迫などの虐待があり、会社側は投票する労働者のリストを作ろうと試みたり、組合幹部を警察に訴えることと引き換えに1人の女性労働者を昇進させたりした。

 FTZ&GSEUは両ATG工場で合法的な交渉代表権者として確認されたので、安全衛生やセクシャル・ハラスメント、雇用条件の問題に取りかかることができる。同労組は、この変化によってATGの営業実績が改善すると確信している。投票率は95%で、必要な支持率40%を難なく達成した。

 国際支援・連帯の一環として、ATGの法人顧客や地域パートナー、スリランカの政治家への要求が行われた。インダストリオールはG20諸国の駐スリランカ大使にも介入を要請した。ドイツと欧州連合の駐スリランカ大使は、自由な職場投票の要求にあたって極めて重要な役割を果たした。

 カトゥナヤケ自由貿易地区の他の工場で働く労働者は、自由に組合代表を決定する権利を行使する余裕がない。今回の投票は国内外の圧力にさらされた状況下で行われた。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は次のようにFTZ&GSEUを祝福した。

 「私たちはローデ大使とマルグ大使の素晴らしい支援を忘れないが、この勝利は、上司による脅迫や威嚇に負けず団結したATG労働者によって達成された。今度はATGの近隣工場でも同様の勝利を達成し、労働条件を変えていこう」

 FTZ&GSEU指導者アントン・マークスはこう語った。

「今回の出来事は使用者にとっても学ぶべき教訓になる。つまり、グローバル経済においては、利益や投資だけでなく労働者の連帯や組織的団結も、地理的境界を越えて広がるということだ」

 

 

バングラデシュで投獄されている労働組合員と労働者の釈放を求めて

2017-02-06

 

バングラディシュの労働者の即時釈放と労働組合弾圧の中止を要求するキャンペーンを展開中

バングラデシュでは2016年12月以降、少なくとも26人の労働組合員と衣料労働者が、最低賃金の増額を要求したあと労働組合活動を理由に投獄されている。インダストリオール・グローバルユニオンとともに、バングラデシュ政府に彼らの即時釈放を求めてほしい。

 これらの労働者と労働組合員のほとんどは、2016年終わりのストに参加したために投獄されている。バングラデシュ政府は、このストにかこつけて労働者を幅広く弾圧し、ストに参加しなかった他の労働組合員まで逮捕している。多くの組合幹部が逮捕を恐れて身を隠しており、組合事務所も閉鎖された。

 「12月の出来事と組合が弾圧されている現状は、バングラデシュにとって憂慮すべき後退だ。拘留中の労働者とバングラデシュの基本的労働組合権を守るために抵抗しなければならない」とヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。「投獄されたバングラデシュの組合員を支持するようお願いする。時間は刻々と過ぎているので、今すぐ行動を起こしてほしい」

 インダストリオールはUNIおよびITUCと連携しながら、労働者の即時釈放と労働組合弾圧の中止を要求するキャンペーンを展開している。

 多様な参加方法がある。

  • 自国のバングラデシュ大使館・領事館で行動を実施する。必ず行動の写真かビデオをpress@industriall-union.orgに送ること。いくつかの都市では、大使館訪問を組織するための取り組みがすでに進行中である。地元での訪問に参加したり訪問を計画したりしたい方は、アダム・リー(alee@industriall-union.org)まで連絡のこと。同じ地域で関心を持っている他の組合との連携を支援する。
  • 添付の抗議文をバングラデシュ大使館に手渡すか、直接バングラデシュ政府に送る(英語のみ)。貴組合のレターヘッドを入れ、最初の文に組合名を挿入し、署名して書簡の冒頭に記載のメールアドレスに送付する。
  • 自国政府に添付の書簡を送り、投獄されている労働組合員の釈放と労働者の権利の尊重をバングラデシュ政府に要求するよう依頼する。
  • 添付の連帯パネルを持って自分の写真を撮り、ハッシュタグ#EveryDayCountsをつけてインターネットで公開し、press@industriall-union.orgに送付する。

背景

 バングラデシュ政府と衣料工場所有者は、賃金ストを口実に労働運動を弾圧しようとしている。

 バングラデシュの衣料産業の賃金は世界最低水準にある。最低賃金の増額を要求したことを理由に、独断的な拘留、59工場の生産停止、1,600人を優に超える労働者の解雇、警察による労働者・労働組合指導者600人に対する告訴という措置が取られている現状は、容認できるものではない。

 バングラデシュの衣料労働者には明確な団結権があり、生存していける生活賃金を支払わなければならない。

 ラナ・プラザ崩落事故からもうすぐ4年になる。主にアコードを通して火災予防および建設物の安全の分野で大きな進展があったが、バングラデシュ政府は法の支配(国内労働法と国際労働基準を含む)の尊重を保証するための措置をほとんど実施していない。

 

IGメタルとオペル欧州従業員代表委員会がPSAグループと会談

2017-02-23

 

オペル工場(写真提供:PSAグループ広報局)

 PSAグループによるオペル/ボクソール買収案をめぐる議論が続く中で、IGメタルとオペル/ボクソール欧州従業員代表委員会は2月20日、このフランス系自動車メーカーの代表と会談した。

 この会合は、オペルと同社従業員の未来のために対話したいという双方の願望を強く感じさせた。参加者は、PSAによるオペル/ボクソール買収案が現行労働協約、現場の保護、雇用保障に及ぼす影響について討議した。

 PSAグループは、欧州諸国で現行協約を尊重し、関係者全員と引き続き対話することへのコミットメントを再確認した。同グループは、欧州従業員代表委員会ならびにドイツのインダストリオール加盟組織IGメタルと密接に協力しながら、「オペル経営陣とともに、フランスとドイツにルーツを持つ欧州レベルの擁護機関を生み出し、会社と従業員の未来を守る」意思があることを表明した。

 「現行労働協約を尊重・実施しつつIGメタルと協力することが、今後のプロセスの重要な条件だ。それが従業員の諸条件に関する合併案の基礎になる」とイェルク・ホフマンIGメタル/インダストリオール・グローバルユニオン会長は述べた。

 オペル/ボクソール欧州従業員代表委員会のウォルフガング・シェーファー=クルーグ委員長は次のように語っている。

 「このコミットメントと、今後の交渉プロセスについての合意は、PSAとさらに協議していくための基礎となる。タバレスPSA会長は協議の中で、独立した企業としてのオペル/ボクソールの持続可能な開発に興味があることを説得力をもって伝えた」

 インダストリオールとPSAグループとのグローバル枠組み協定は、中核的国際労働基準に対する責任を明確にし、グループの要件を取引先にも拡張適用することを強調している。この協定は2006年に初めて締結され、今年3月7日に更新される。

 「このGFAの更新によって、私たちは世界中でPSAとオペル/ボクソールのすべての雇用と生産拠点を守るために努力する」とヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は述べた。

 2月20日の会合には、PSAのカルロス・タバレス取締役会長とハビエル・シェロー人事担当執行副社長、イェルク・ホフマンIGメタル第1会長、オペル/ボクソール欧州従業員代表委員会委員長のウォルフガング・シェーファー=クルーグ博士が出席した。

 

パキスタンの船舶解撤場事故の犠牲者に補償

2017-02-23

 

補償金小切手を受け取るガダニ船舶解撤場での負傷者家族

全国労働組合連盟(NTUF)による一連の抗議行動を経て、2017年2月9日、ガダニ船舶解撤場の大規模な事故の犠牲者が補償金を受け取った。

 2016年11月1日、パキスタン・バルチスタン州のガダニ船舶解撤場で同国史上最悪と言える労働災害が発生。石油タンカーの爆発で労働者26人が死亡し、19人が負傷した。

 インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織NTUFによる3カ月に及ぶ一連の抗議行動を経て、合計45人の労働者がパキスタン政府と船舶解撤場の使用者から補償を受けた。死亡した労働者16人それぞれの遺族が150万パキスタン・ルピー(1万4,217米ドル)の補償金を受け取った。使用者が直接110万パキスタン・ルピーを、労働者補償委員会事務局が40万パキスタン・ルピーを支払った。

 さらに、労働者福祉委員会が亡くなった労働者の遺族に死亡給付金として1世帯当たり50万パキスタン・ルピー(4,739米ドル)を支払う予定で、合計補償金額は200万パキスタン・ルピー(18,956米ドル)になる。

 負傷した労働者19人も3区分の補償金を支給され、8人に10万パキスタン・ルピー(948米ドル)、10人に5万パキスタン・ルピー(474米ドル)、1人に2万パキスタン・ルピー(190米ドル)が支払われた。

 船舶解撤労働者を組織化しているNTUFは一連の抗議行動と記者会見で、船舶解撤労働者が直面している問題を強調した。NTUFは事故の犠牲者が確実に補償を受けられるようにするうえで重要な役割を果たした。

 NTUFのナシル・マンスールは次のように述べた。

「補償額が要求額に満たないことに失望している。しかし一貫した抗議のおかげで、船舶解撤労働者は過去に一度も支払われたことがなかった補償金を受け取った」

「あのような恐ろしい事故のあともなお、ガダニ船舶解撤場の労働者が危険な状況下で働いていることを私たちは懸念している。労働者は安全保護具を支給されていない」

「政府は労働者に安全な作業方法に関する訓練を受けさせるための施策を講じていない。労働者とその家族は依然、安全な飲料水、汚染されていない食べ物や住居を確保できない状況にある」

「何より、ガダニ船舶解撤場には病院も医療施設もない。私たちは船舶解撤労働者の安全を確保するために引き続き懸命に努力していく」

 NTUFは既存の国際規則・基準に基づいて船舶解撤法案を立案した。バルチスタン州政府に対し、船舶解撤場の使用者ならびに労働者代表とともに政労使会合を開き、船舶解撤場の安全を確保するための法律を採択するよう求めている。

 松崎寛インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は次のように述べた。

「この法案は、これ以上ないほど最悪の状況にあるガダニ船舶解撤場の状況を変えるための重要な第一歩だ」

「バルチスタン州政府は、NTUFが立案した法案に基づき、船舶解撤場の安全と検査を改善するために緊急に行動しなければならない。そして、パキスタンが船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約を批准すべき時が来ている」

 

組合構築プロジェクトがインドで新規組合員組織化を推進

2017-02-22

 

持続可能な組合構築などを討議した組合構築プロジェクト会議(2017年2月、デリー)

インドのインダストリオール加盟組織は2014年以降、多くの不安定労働者を含む6万3,000人以上の新規組合員を組織化してきた。

 2014年から2016年にかけて、インダストリオール、ユニオン・トゥ・ユニオン、IFメタル、ユニオネン、SASKが支援するプロジェクトにより、鉄鋼・鉱業・エネルギー部門の加盟組織が4万3,062人、繊維・衣料・製靴・皮革部門の加盟組織が1万9,993人の新規組合員を組織化した。

 加盟組織は2017年2月のデリー会合で、持続可能な組合の構築、組合員への効果的なサービスの提供、グローバル枠組み協定(GFA)と組合ネットワークの利用をめぐる課題について討議した。

 アトレ・ホイエ・インダストリオール書記次長は、より多くの労働者を組合に加入させることが戦略的目的の達成に向けた主な目標だとして次のように述べた。「サプライチェーンで労働者を組織化し、組合の力と公正な社会を構築するために女性参画を促進することも重要だ」

 加盟組織は組織化にあたって構造的な課題に直面した。例えば、反労働者的な政治状況、労働法の変更、新組合登録の困難、海綿鉄工場の閉鎖、低価格鉄鋼の輸入、廃貨、抑圧的な管理などである。

 特に、不安定労働者の組織化が難しく、組合機構の持続可能性や組合費の徴収に大きな影響を及ぼしているという懸念もある。

 「これらのプロジェクトは、加盟組織の能力を高め、より強力で持続可能な組合を構築しようとする取り組みを支援するうえで、重要な手段になっている」とアプールヴァ・カイワール南アジア地域事務所所長は述べた。

 鉄鋼・鉱業・エネルギー部門プロジェクトは、アンドラプラデシュ、テランガナ、チャッティースガル、ジャールカンド、オーディシャー、マハラシュトラ各州で労働者を組織化するために、インド全国金属労連、インド全国鉱山労連、インド鉄鋼・金属・機械労連、Hind Khadan Mazdoor Federationを対象に実施された。

 多くの不安定労働者を組織化するとともに、企業プロジェクトに土地を提供した人々への適切な補償金を確保するために連帯支援を広げた。

女性の関与

 2016年には約2万人の労働者が、地域会合や工場ゲートでの会合、集会などさまざまな行事に参加した。これらの行事では女性参加者も増えた。

 インド・インダストリオール女性委員会のデビカ・シン議長が、部門における女性労働者のマッピング活動の結果を共有し、女性問題への取り組みにもっと関心を払うよう求め、次のように述べた。「この部門で働く女性労働者のほとんどが不安定労働者だ。多くの鉄鋼工場や鉱区で、女性労働者は低賃金、セクシャル・ハラスメント、女性用トイレの不足、労働安全衛生、託児施設の欠如などに直面している」

 繊維・衣料・製靴・皮革プロジェクトは、全国繊維・衣料・皮革労連、女性自営労働者連合、インド全国衣料・皮革労連、インド全国繊維労連、労働者イニシアティブ、インド繊維労連の活動を支援した。

 この活動はチェンナイ、コインバトール、バンガロール、コルカタとその郊外地区、デリー首都圏、カンプール、アーメダバード、ムンバイなどの製造業中心地で行われた。2016年には、7,000人以上の労働者が会合やワークショップに参加している。

 インダストリオール素材金属部門担当部長のアダム・リーが次のように述べた。「インドの加盟組織は多国籍企業で組合ネットワークとGFAを利用できる」「組合はいくつかの多国籍企業で国際的に力を持ち、この部門で効果的な連帯を広げることができる。インドの加盟組織は、これらの多国籍企業を確認して既存の組合の力を利用し、インドで組織化キャンペーンを支援していく必要がある」