インダストリオール結成5周年
2017-06-20
コペンハーゲンの結成大会から5年、インダストリオール・グローバルユニオンは、世界中で労働者の権利と社会的公正を求めて闘う力強いキャンペーン組織になるという約束を果たしている。
2012年6月20日、3団体が統合してインダストリオール・グローバルユニオンを結成し、140カ国の労働者5,000万人をまとめ上げた。インダストリオールは、鉱業、金属、エネルギー、化学、繊維および製造業をはじめとする産業で600団体を超える加盟組織を擁する。
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は次のように述べた。
「過去5年間にインダストリオールは、団結すれば強くなることを繰り返し示した。私たちは多国籍企業に責任を負わせ、各国政府に聞く耳を持たせ、労働者の権利のために闘って勝利を収めた。インダストリオールは、国際連帯に効果があることを示す証拠だ!」
2013年にバングラデシュで発生した悲惨なラナ・プラザ工場崩落事故によって1,000人以上の衣料労働者が死亡したあと、インダストリオールは運動の先頭に立ち、200社を超える多国籍ファッション・ブランドに法的拘束力のある火災予防および建設物の安全に関わるバングラデシュ協定(アコード)への署名を求めた。それ以来、アコードは1,600以上の工場を検査し、労働者200万人の安全を向上させた。インダストリオールはパートナーやUNIグローバルユニオンとともに、犠牲者への補償金3,000万米ドルの確保にも成功した。
この5年間、インダストリオールの活動は5つの戦略目標を指針に進められてきた。すなわち、強力な組合の構築、グローバル資本への対抗、不安定雇用の根絶、持続可能な産業政策、労働者の権利の擁護である。
労働者の権利の擁護
世界中で労働者の権利をめぐる消耗戦が繰り広げられている。威嚇されている仲間の労働組合員へのインダストリオール加盟組織による支援は、国際連帯が有効であることを証明した。インダストリオールのキャンペーンは、カンボジアとバングラデシュで投獄された労働組合員の釈放を促し、イエメンとスペインで労働者の権利を支持し、韓国では権威主義的な大統領の失脚に貢献した。
強力な組合の構築
組合員数の増加はインダストリオールの使命の核になっている。インダストリオール組合構築プロジェクトの結果、インド、インドネシア、ザンビアをはじめ各国で数千人の新規組合員が加入した。女性・若年組合員数の増加は、組合の力の構築に不可欠である。2016年10月にリオデジャネイロで開かれた第2回インダストリオール大会以降、インダストリオールは指導部ポストと活動で女性代表性40%を目標に掲げている。インダストリオールで女性参加を促進するための取り組みは、さらに国内レベルの組合機構にも影響を及ぼしており、例えばインドネシアのインダストリオール金属関連加盟組織FSPMIは、組織機構で女性代表性40%の割り当てを設定している。
グローバル資本への対抗
リオ・ティントとラファージュホルシムをターゲットにした運動など、インダストリオールの企業別キャンペーンは、労働者に大きな利益をもたらしている。インダストリオールは、必要があればグローバル資本に対抗するが、目的を達するには社会的対話が重要であることも認識している。多国籍企業ほぼ50社とのグローバル枠組み協定(GFA)は、基本的な労働者・労働組合の権利が促進・保護されるようにするうえで役立っている。フランスの大手自動車会社PSAおよび衣料ブランドH&MとのGFAは、サプライヤーの直接・間接労働者も含めたグローバル・サプライチェーン全体で労働者の権利を確保している。同様に、多国籍企業のインダストリオール労働組合ネットワークは、情報を共有して一緒に行動することによって組合・労働者に権限を与えるのに役立つ。
ストップ不安定雇用
インダストリオールは重点的プロジェクトを通して絶えず不安定雇用反対キャンペーンを展開しており、組合が何万人もの不安定労働者を組織化できるよう手助けしている。ディーセント・ワーク行動デーの10月7日に不安定雇用への抗議行動に参加するインダストリオール加盟組織が、年々増えている。
持続可能な産業政策
第4次産業革命と呼ばれることもある産業のデジタル・トランスフォーメーションが進む中で、インダストリオールは、自動化とデジタル化の影響を受ける全労働者に開かれた確かな雇用、持続可能な雇用を求めるキャンペーンを段階的に強化している。気候変動に取り組んで地球規模排出目標を達成するという課題に基づき、インダストリオールは、よりクリーンなエネルギーへの移行にあたって労働者が取り残されないように公正な移行を要求している。
インダストリオールはキャンペーン組織であり、生活賃金キャンペーンには、産業別団体交渉を通して賃金を改善するための主要衣料ブランドとの画期的なACT協定が含まれている。
「インダストリオールは前進の足場となる強固な基盤を築いた。私たちが直面している課題は大きいが、それに対応する用意ができている。加盟組織に過去5年間の多大な支持を感謝しており、今後も加盟組織を頼りにしている」とサンチェス書記長は述べた。