インダストリオール、OECDで鉄鋼労働者の懸念を提起
2017-10-02
9月28~29日にフランスのパリで開催されたOECD鉄鋼委員会に十数人の組合活動家・指導者が出席し、過剰設備やリストラなど、世界中の労働者とその家族に影響を与え続けている鉄鋼市場の厄介な現状の憂慮すべき影響について、労働者の意見を主張した。
この会合で、インド鉄鋼・金属・機械労連所属のインダストリオール執行委員でインダストリオール・グローバルユニオン素材金属部会の共同部会長を務めるサンジョット・バダブカールが、OECD代表団の労働組合諮問委員会のメンバーとして発言した。
バダブカールは発言の中で、鉄鋼業における労働市場の状況や、鉄鋼労働者と鉄鋼労組の発言権を強め、その意見を十分に理解させることの必要性について語った。
OECD鉄鋼委員会が鉄鋼生産や鉄鋼価格がこのところやや改善していると報告し、昨年よりも工場閉鎖や雇用削減が減っているなど、労働者にとって一定の改善が見られるものの、バダブカールは労働市場における厄介な事態の展開をいくつか指摘した。
バダブカールは、先ごろタタ・スチールとティッセンクルップが、両社の欧州鉄鋼事業を併合し、折半出資の合弁企業を設立するという了解覚書を発表したことに触れた。この結果、4,000人の雇用が減少するだろう。
彼女は次のようにも語った。
「関連労組の多くでは、ダンピングなどの不公正貿易慣行を原因とするリストラで組合員が解雇され、職を失う状況が続いている。私たちはOECD鉄鋼委員会のマンデートに、各国政府が鉄鋼業の生産能力縮小に起因する社会的コストの削減に取り組むという約束が含まれていることに留意する。残念ながら、各国政府はこの約束をまったく守っていない。加盟組織の報告によると、スウェーデンを唯一の例外として、鉄鋼業のリストラで失業した労働者は、妥当な期間内に同様の仕事や収入を得られる望みがほとんどない。所得補助と再訓練給付は全般として不十分だ」
バダブカールは以下の点も繰り返した。
「関連組合は、中国が外圧に対応して汚染を抑えるために、生産能力の縮小に着手しているという報告を聞いている。私たちは中国に対し、この生産能力縮小が中国の労働者に及ぼす影響の軽減に必要なすべての措置を講じるよう要求する。OECD鉄鋼委員会に対しても、同委員会の専門知識を活かして、労働者へのこれらの影響を効果的に抑える方法について中国を指導するよう促す」
同時にバダブカールは中国の鉄鋼労働者との連帯を表明した。
「中国が結社の自由と団体交渉権を尊重し、独立した民主的労働組合が活動できるようにすることを要求する。私たちはすべての国々にこれを要求している。OECD鉄鋼委員会もそうすべきだ」
さらにバダブカールは、ラテンアメリカの労働組合からの報告について懸念を表明した。ラテンアメリカでは、地域全体でネオリベラル政権が労働市場の柔軟性の拡大を要求するという不穏な傾向が見られ、それによって雇用保護と労働者の権利の保護が弱体化している。
インダストリオールによる介入のあと、OECD鉄鋼委員会の委員長による声明で、委員会メンバーが構造調整で職を失った鉄鋼労働者をより強力に支援することの重要性が繰り返し強調された。
*下記リンクからスピーチ全文をダウンロードできます。
http://admin.industriall-union.org/sites/default/files/uploads/documents/2017/FRANCE/sanjyot.statement.oecd.docx
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