ヘンケル、アメリカでスト破りを利用して労働者のストを弾圧
2017-11-30
カリフォルニア州ピッツバーグのヘンケル・エアロスペース・ベイポイントで、インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織である全米機械工・航空宇宙労組(IAM)の組合員80人以上が、2017年10月16日からストに入っている。ストの理由は、使用者が労働者の安全の問題など現場の懸念事項に取り組もうとしないことである。
ボーイングをはじめとする航空会社向けに接着剤を生産するピッツバーグのヘンケル・エアロスペースのストは、ヘンケル施設の安全手順を改善する新協約をめぐる経営側との交渉の行き詰まりを受けて始まった。
しかし会社側は、工場の組合指導者や組合員に対する報復や差別によって、この紛争に対応している。ヘンケルは組合を破壊するために、組合つぶしやスト破りを専門とする会社、ストロム・エンジニアリングを通してスト破り労働者を雇用した。伝えられるところによれば、ヘンケルは現在、これらの臨時代替労働者に数百万ドルを費やしているという。
ヘンケルはヨーロッパ全域で組織率の高い企業である。だが、アメリカの状況はヘンケルの2016年持続可能性報告書の説明とはかけ離れている。この報告書で同社は、「経営側との徹底的な意見交換や協議が、実務レベルで例えば現地の従業員代表委員会と行われているだけでなく、全社的に労働組合との間でも実施されている」と述べている。同じ報告書で同社は、「従業員の健康と活力を増進し、高い業績を上げる機動的な組織を作れるようにしている」とも主張している。
2013年、26歳の臨時労働者デービッド・エレイジアンが、化学薬品配合機を動かしていたときに引き込まれて圧死した。米カリフォルニア州労働安全衛生部(Cal/OSHA)が実施したその後の調査の結果、非常に多くの違反が確認され、同社は20万米ドルの罰金を科せられた。
その後、労働者は何とか会社側と最初の協約を取り決めた。しかし、この協約は多数の安全性の問題に取り組んでおらず、ヘンケルは相変わらず協約を無視し、異議を唱えている。
現在の安全委員会が勧告した定期保守の未実施が原因で、過去6カ月間に蒸気による重度の熱傷事故が何件か発生した。ある事故では、IAM組合員が全身の30%以上に第3度熱傷を負った。
機械工労組は何件かの不当労働行為を申し立て、Cal/OSHAは同社を召喚して処罰した。IAMによると、この不当労働行為の申し立ては、苦情処理スケジュールの違反、週5日・1日12時間勤務スケジュールの強制、組合交渉中にIAMの仕事を遂行させるために非組合従業員の訓練を実施した行為に関係がある。同労組は新たな不当労働行為の申し立ても準備中である。
ドイツのインダストリオール加盟組織IG BCEは、初めてヘンケル労働者に連帯と支援を表明した組合である。IG BCEのグローバル化・欧州政策担当部長のマイケル・メルスマンは言う。
「スト破りの利用は容認できない。私たちは機械工労組との連帯を表明する。IG BCEはドイツ従業員代表委員会とともに経営陣と協議しているが、適切な解決策はまだ見つかっていない。私たちは労使双方が交渉のテーブルに戻って適切な解決策を見つけるよう希望し、支援している!」
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は機械工労組に連帯書簡を送った。
「インダストリオール・グローバルユニオンは、ヘンケル・エアロスペースの非妥協的な姿勢の結果である本件ストを全面的に支持します。貴組合の誇り高き生産労働者80人には、安全で健康的な労働環境および会社側との建設的な社会的対話を要求する十分な権利があります。いかなる企業も、労働者の健康と幸福に対する責任を否定できず、自社構内における悲惨な死亡事故の責任を取ることを拒否すべきではありません」
「私たちは、ヘンケル・エアロスペースが組合と公正な協約を取り決め、急を要する基本的な安全衛生問題、効果的な苦情処理手続き、交渉による昇進・訓練制度の実施に取り組むことを要求します。さらに、ヘンケル・エアロスペースは不当労働行為を是正し、Cal/OSHAの決定に完全に従って行動すべきです」
インドの組合、不安定雇用との闘いと組合の力の強化を決議
2017-11-29
インドのインダストリオール加盟組織は11月26~27日にデリーで会合を開き、今年の組織化・組合構築活動を評価するとともに、不安定雇用との闘いと組合の力を強化する旨決定した。
インダストリオール・インド協議会は11月26日に集まり、翌日にもインドの加盟組織による団結会合を開催、インドの労働組合運動が直面する課題とインドの加盟組織による進行中のイニシアティブをめぐって自由な討論を行った。
ジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長は次のように述べた。
「インダストリオールは今後、製造業部門全体のサプライチェーンで労働者を支援する取り組みの強化を目指す。インダストリオールは、グローバル枠組み協定、ストップ不安定雇用の闘い、生活賃金を求める闘い、持続可能な産業政策/インダストリー4.0/公正な移行に関する能力強化を通して、加盟組織に戦略支援を提供していく」
「女性の参画と権利の強化、女性に対する暴力をなくすためのキャンペーンが、今後インダストリオール活動の不可欠な部分になる」
G・サンジーバ・レディーINTUC会長兼インダストリオール執行委員がこう述べた。
「インドの労働組合運動は、インド政府の親企業・反労働者的な政策による途方もない攻撃にさらされている。この不当な政策と闘うために、私たちは労働者の全国的な動員を開始した。国際労働組合運動がインドの何百万人もの労働者に具体的な連帯を表明することが何よりも重要だ」
R・クチェランWPTUC会長がこう語った。
「インドは多くの課題に直面している。例えば、民主主義的な規範や世俗的な価値観の浸食、組合権に対する前代未聞の攻撃、不安定雇用と失業の急増などだ。このような課題を踏まえて、労働組合運動は政府の反労働者政策に抵抗するために団結を構築しなければならない。製造業部門の垣根を越えて組合の力を強化するために、戦略的に取り組む必要がある」
この会合では、インダストリオール関連部門(鉄鋼、船舶解撤、繊維、衣料、皮革、製靴など)の組合組織化、インドの不安定雇用との闘い、女性参画の強化、暴力の根絶における業績と障害、進むべき道をめぐって討議した。
銀行と船主、安全なシップリサイクル求めるキャンペーンに参加
2017-11-24
インダストリオールは、このほどオランダで一連の会合を開き、安全なシップリサイクルを求めるキャンペーンを推進した。
船舶解撤は世界で最も危険な仕事である。1年前、パキスタンのガダニ造船所で、海岸で船舶を解体中に爆発が起き、28人の労働者が亡くなった。インダストリオールは、ずいぶん前から安全なシップリサイクルを求めてキャンペーンを展開しており、業界の利害関係者と一連の会合を開き、この産業を改善するための集団的対応を練り上げてきた。
10月30日にオランダの組合FNVが進行役を務めた会合で、インドとパキスタンの船舶解撤労組代表も加わった組合代表団が、オランダの銀行ABNアムロ、INGおよびNIBCダイレクトNLの代表と会談した。
オランダの銀行は新造船の建造資金を融資しており、ノルウェーの銀行DNBおよびノルウェーの輸出金融機関Eksportkredittとともに、船舶解撤産業が環境や人間に及ぼす影響を懸念している。
INGの持続可能性問題管理者Rikjan van Zalingenと持続可能性責任者ロビン・ウィリングが、同行の「責任あるシップリサイクル基準」を共同で発表した。この基準は、ベスト・エフォート・ベースで船舶建造融資や再融資の条件を定めることを目指している。この条件によって、ライフサイクルの終わりに安全なシップリサイクルの準備を確保できるだろう。
インド鉄鋼・金属・機械労連のビジャーダール・バスデオ・ラネーが、新造船に課税し、耐用年数の終わりに安全なシップリサイクルの代金を払えるようにすることを提案した。
将来、銀行は所有者に対し、EUシップリサイクル規則によってホワイトリストに登録された造船所で船舶を解体し、危険性物質の目録を作成することを約束させるかもしれない。組合は、EU規則は高い基準を定めているが、現在バングラデシュやパキスタン、インドにはホワイトリストに掲載されている造船所がないので、この基準は雇用を犠牲にすることになるだろうと感じている。
南アジアの海岸では13万人の労働者が船舶の解体に従事しており、川下で何百万人もの労働者が雇用されている。船舶解撤は南アジアで鉄鋼の主な供給源となっている。この仕事は危険で、環境にリスクをもたらすが、人々は雇用を必要としている。
組合の考えでは、国連の国際海事機関が立案した香港条約(船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための国際条約)は、条件を改善するための最も効果的かつ普遍的なメカニズムである。香港条約は平等な競争条件を提供し、危険な造船所が安全な造船所の水準を引き下げることのないようにしている。
組合代表団は11月2日に王立オランダ船主協会(KVNR)とロッテルダムのKVNR本部で会談し、船舶のライフサイクルにサーキュラー・エコノミーの考え方を導入するための最も効果的な方法をめぐって討議した。KVNRは船舶解撤における人権・環境問題に関して非常に懸念している。
KVNRのニールズ・ファン・デ・ミンケリスが、組合との共同アプローチを策定し、オランダ政府に条約批准を勧めることを提案した。香港条約は、総トン数の40%と再生利用施設の3%を占める15カ国によって批准された時点で効力を生じる。現在、6カ国が批准しており、間もなくトルコも批准すると予想され、総トン数に占める割合は21%となる。
その晩、インダストリオールとFNVはロッテルダムで公開の会合を開き、船舶解撤について話をした。FNVメタール組合員で元造船労働者のヨープ・ファン・オードが、南アジアの船舶解撤労働者に安全訓練を提供する活動について語った。
「解体される船の中には私が造った船もある。だから私は安全な解体方法を知っている」
松﨑寛インダストリオール造船・船舶解撤担当部長が次のように述べた。
「南アジアの海岸のひどい状況を懸念している利害関係者が大勢いる。船舶解撤を安全にする最善の方法は、すべての人々を団結させて共同アプローチを策定することだ」
「銀行も船主協会も、船舶解撤産業を改善するために印象的な取り組みを進めている。香港条約の批准・実施は、第一歩として船舶を安全にリサイクルする最も現実的かつ包括的な方法だと思う」
フリーポートによる健康保険の廃止後、グラスベルグ鉱山で7人が死亡
2017-11-23
5月にフリーポートのグラスベルグ鉱山で労働者がストに入ったあと、会社側は労働者を解雇して健康保険を打ち切った。その結果、7人が亡くなった。
インドネシア・パプア州にあるフリーポートのグラスベルグ鉱山で5月、労働者がストを決行した。これを受けて同社は4,220人の労働者を解雇し、健康保険や教育の機会、その他の給付を打ち切った。インダストリオールのドキュメンタリー映画が示しているように、労働者とその家族は収入源を失ったあと、生き延びようと必死に努力している。
フリーポートに健康保険を打ち切られた結果、労働者7人が亡くなった。私たちは死者を悼むとともに、生きている者のために闘っている。
- アブリアント・ロンベ。2017年6月29日に病死。
アブリアント・ロンベは地下営繕部で機械工として働き、グラスベルグで9年間勤務した。南スラウェシ州マカッサルに妻と2人の子どもが残された。 - ゼス・マキサンティ。2017年9月21日に病死。
ゼス・マキサンティはGRS業務二部の運搬トラック運転手で、7年間グラスベルグで働いた。西パプア州ソロン出身。妻と3人の子どもが残された。 - ニコラス・カベス。2017年10月7日に病死。
ニコラス・カベスは地下建設部のバッチプラント運転工で、17年間グラスベルグで働いた。昨年妻が亡くなったため、5人の子どもが孤児となった。 - カロルス・カサモル。2017年10月15日に病死。
カロルス・カサモルはGRS業務四部の運搬トラック運転手で、9年間グラスベルグで働いた。西パプア州ティミカに妻が残された。 - サットゥ・サウン。2017年10月17日に病死。
サットゥ・サウンは地下建設部の土木作業員で、6年間グラスベルグで働き、西パプア州ティミカに住んでいた。妻と3人の子どもが残された。 - マルセル・スアラン。2017年11月3日に自殺。
マルセル・スアランはGRS電気ショベル/ドリル営繕部の電気技術者だった。病気の子どもの入院治療を拒否され、出身地の北スラウェシ州マナドで首を吊った。彼のBPJS健康保険証が拒絶されたのは、会社が使用停止にしていたからである。 - イルワン・ダーラン。2017年11月16日に腎不全で死亡。
イルワン・ダーランはトロッコ営繕部で働いており、20年間グラスベルグで勤務した。東ジャワ州ブリタールに妻と3人の子どもが残された。
この7人の避けられた死はグラスベルグの苦しみを浮き彫りにしている。何千人もの人々が極めて不安定な状況に置かれている。グラスベルグ鉱山の危機は地域に緊張と不安をもたらしており、鉱山への主要道路で武力攻撃も発生した。
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は次のように述べた。
「このような訃報を聞くのは非常に悲しい。どの労働者も友人や家族をあとに残して亡くなった。インダストリオール・グローバルユニオンとして、お悔やみ申し上げる」
「この労働者たちが亡くなったのは、フリーポートがスト参加を罰するために保健医療を使えなくしたためだ。これはグラスベルグにおける最悪の労働者の人権侵害だ」
「フリーポートは労働者の命を犠牲にして、鉱山の管理権をめぐるインドネシア政府との紛争で政治的な点数を稼ごうとしている」
自動車会議でeモビリティーへの移行めぐり議論
2017-11-17
11月1~3日に南アフリカ共和国のプレトリアでインダストリオール・グローバルユニオン自動車作業部会の会合が開かれ、15カ国から代議員70人が参加。自動車部門における技術変化について情報を交換し、バリューチェーンで組織化したり不安定雇用と効果的に闘ったりする方法を検討した。
この会合は南アフリカ全国金属労組との共催により、スイス・ジュネーブのインダストリオール・インダストリー4.0会議からちょうど1週間後に開かれた。新世代の電気モーターが内燃機関に代わって導入されたときに起こりうる変化に対応するために、労働組合はどのように準備すべきかをめぐって討議した。参加者は、世界中からの関連報告を聞くことによって「世界旅行」に出発し、ハイブリッド車や電気自動車、自動運転車の導入に関する現状と今後予想される展開を確認した。
多くの伝統的なOEM企業は自動化の推進によってインダストリー3.0に焦点を合わせている、と会合の参加者は指摘した。そうではなく自動車部門への新規参入企業が真のインダストリー4.0の概念を導入しており、そのような企業では従業員が組織化されていることはめったにない。作業部会は、グローバルな労働組合の企業別ネットワークのレベルで、この議論をフォローアップすることで合意した。
バリューチェーンの組織化を目指す戦略も特に強調された。今後12カ月間に自動車部門の具体的なパイロット・プロジェクトを練り上げるために、専門家グループが設置された。
作業部会は最後に、労働者・労働組合の権利がしばしば政府・企業からの脅威にさらされている国や地域(米国南部、トルコ、メキシコ、インド、中東・北部アフリカ、タイ、中国)を調べた。代議員は、これらの国々に特別な注意を払い、自分たちの権利を求めて闘っている労働者と連帯して活動を計画し、支援することを決定した。
ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車・航空宇宙産業担当部長は次のように述べた。
「会合に出席した労働組合員は、自動車部門の不安定雇用をめぐって率直で腹蔵のない討議を行い、不安定雇用と効果的に闘う最善の方法を示す事例を調べることに合意した」
インダストリオール執行委員会、企業欲と女性に対する暴力に断固反対
2017-11-16
執行委員会は11月8~9日にスリランカ・コロンボで会合を開催、グレンコア、シェル、女性に対する暴力に反対し、インドネシアのグラスベルグ鉱山でストを実施したために解雇された労働者を支援するキャンペーンを支持した。
50カ国近くから労働組合指導者が集まり、グローバルな組合運動の総力を見せつけた。
女性が勤労生活で日々直面している状況について重要な議論が行われ、執行委員会は職場における女性に対する暴力や嫌がらせに関する決議を採択した。職場における女性に対する暴力は現実に見られ、毎日発生している。この暴力は言葉による嫌がらせから身体的虐待や性的虐待まで、さまざまな形態を取る。
代議員は、断固とした態度を打ち出して所属組合で誓約を支持・促進し、女性に対するあらゆる形態の暴力は容認できないことを明確に述べるよう求められた。
インダストリオールはキャンペーン組織である。執行委員会は2件の新しい企業別キャンペーン、すなわち巨大石油会社シェルと鉱山・素材会社グレンコアに対するキャンペーンの開始を支持した。
シェルに対するキャンペーンは、シェル事業で働く労働者全員の権利平等を求めている。現在、同社による労働者の待遇は地域によって大いに異なる。
グレンコアに対するキャンペーンは、同社が労働者の権利を尊重し、安全衛生を改善し、労働者との直接・間接両方の交渉で誠意を示すよう要求している。
キャンペーンの原動力となっている差し迫った事件はオーストラリア、カナダ、南アフリカの争議であり、オーストラリア・クイーンズランド州オーキー・ノースのロックアウトやカナダ・ケベック州の精製所で10カ月前から続いているストが挙げられる。このキャンペーンの狙いは、これらの争議を解決して会社側との有意義なグローバル対話を確立し、世界中の事業で組合権と安全衛生をめぐる懸念に対処することである。
鉱業は不安定な職業である場合がある。インドネシア・グラスベルグにフリーポートが所有する銅山で、労働者を支援するインダストリオールの闘いが続いている。インドネシアの国家人権委員会は、同社による労働者数千人の解雇を人権侵害と認定し、復職を勧告している。
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長はこう述べた。
「労働者はすべての国々で不公正に直面している。私たちは自分たちの持てる影響力を行使して抵抗する必要がある」
不安定雇用との闘いはインダストリオールにとって重要である。執行委員会初日以降、代議員はスリランカの加盟組織とともにデモに加わり、不安定雇用の蔓延を阻止するために行動を起こすよう政府に要求した。
貿易・産業政策
インダストリー4.0は、インダストリオール加盟組織の関連産業のいくつかに大きな影響を及ぼし、仕事や生産の性質を転換するとともに、雇用を削減したり変化させたりしている。
執行委員会はインダストリー4.0に関するアクション・プランを支持した。
インダストリオール貿易作業部会は、あらゆる貿易協定で労働権を含む公開かつ透明な交渉を義務づけるよう要求している。この問題はグローバルに議論する必要があり、すべての加盟組織が議論に加わる必要がある。
執行委員会はいくつかの連帯決議を採択した。
- 使用者が巨額の利益を上げていながら30%の賃金カットを強行しようとしているオーストラリアのエクソン・モービル
- モディ政権に対する全国規模の抗議に乗り出しているインドの組合との連帯
- 社会保障の悪化に抗議しているルーマニアの労働者への支援
- 労働者が地域社会の支援を受けて工場前でストを実施しているイタリアのハネウェル
- ブラジルの組合の全国行動デーへの支援
特別決議
インダストリオール・グローバルユニオン執行委員会の代議員は、2017年11月8日にスリランカ・コロンボで開かれた会合において、社会保障負担を使用者から従業員に移すというルーマニア政府の意向に留意し、この企てを強く非難するとともに、ルーマニア政府に対し、ルーマニアの労働者に悪影響を及ぼす政令の放棄を求める。
ブラジルの全国闘争デー!
インダストリオール・グローバルユニオン執行委員会は、2017年11月9日にスリランカ・コロンボで開かれた会合において、労働権と社会保障権を脅かす深刻な政治経済危機に直面しているブラジルの労働者への全面的な支援・連帯を表明する。これらの権利は、社会的公正と民主的権利の強化を求める歴史的な闘いで勝ち取ったものである。
ブラジル労働組合総連合は、11月10日に全国闘争デーを挙行し、11月11日実施予定の労働改革による権利の取り消しに不満を表明するよう求めた。労働者は全国で結集し、数千人が街頭でデモを繰り広げる予定である。
この新しい労働法は一連の労働条項を修正し、数十年間の成果を根こそぎにする法律を押しつけるものであり、労働条件を著しく弱体化させて国家全体の未来を危険にさらす。
インダストリオール執行委員会に出席している組合代表は、ディーセント・ワーク方針に適合せず、基本的労働権を侵害するブラジル政府と連邦議会によるこれらすべての施策を拒絶する。
私たちは、労働権と社会保障を守るためにブラジルの労働者の闘いと連帯することを再確認する。
グラスベルグ金山危機の犠牲者
2017-11-16
インダストリオールは、グラスベルグ鉱山のストが労働者と地域社会に与える影響に関するドキュメンタリー映画を公開した。
“Gold Dust: the human cost of the Grasberg mine crisis”
インドネシア・パプア州にフリーポートが所有するグラスベルグ鉱山で、数千人の労働者が2017年5月にスト実施を理由に解雇され、それ以降失業状態にある。世界最大の金鉱の支配権をめぐって同社とインドネシア政府が紛争を繰り広げる中で、労働者がその代償を払わされている。
インダストリオールは、労働者とその家族に対するストの影響に関するドキュメンタリー映画を制作し、11月9日にスリランカ・コロンボの執行委員会で発表した。
労働者は収入を断たれ、医療や教育を受けられず、場合によっては住居も失っている。
先ごろ、1人の労働者が治療を受けられなかったために自殺した。
インドネシアの国家人権委員会は、労働者数千人の解雇を人権侵害と裁定し、労働者の復職を求めている。
組合と職場で女性に対する暴力を根絶
2017-11-16
女性に対する暴力との闘いを誓約し、組合として取り組もう。
職場における女性に対する暴力は労働組合の中核的な課題である。インダストリオール執行委員会は加盟組織に対し、女性に対する暴力と闘うことを誓約し、そのコミットメントを実施するために積極的な措置を講じるよう求める
女性に対する暴力は人権侵害であり、男女平等を妨げる障害となっている。国連の報告によると、女性の35%が身体的暴力、心理的暴力または性的暴力を受けたことがある。国によっては、この割合は70%に達する。
女性に対する暴力は依然、最も黙認されている人権侵害の1つである。組合は女性の権利の促進・擁護において責任の一端を担っている。職場における女性に対する暴力は、労働者の権利、安全、健康および尊厳に影響を及ぼす。
労働組合は女性に対する暴力を拒否しよう。
誓約を!
- 女性に対する暴力との闘いに関する誓約を印刷し、職場か組合事務所に掲示してほしい。
インドの組合、労働者数千人を動員してモディ政権の反労働者的政策に抗議
2017-11-15
インドの組合はモディ政権に対する抗議行動を強化しており、11月9~11日にデリーの議会前で3日間の大規模なデモを実施した。
この大集会は、11月7日に組合が提示した12項目の要求憲章に政府が十分対応していないことに対する行動である。
労働者の要求には、緊急の物価抑制策、労働法の厳格な執行、すべての労働者を対象とする普遍的な社会保障、最低賃金の増額、すべての労働者の年金、結社の自由と団体交渉に関するILO条約第87号および第98号の批准が含まれている。
組合の声明によれば、インド政府の「無謀な廃貨政策と拙速な消費税(GST)実施は雇用喪失と物価上昇を招いている」。
過去3年間に労働者の実質賃金が目減りし、雇用も減少している。政府は反労働者的な労働法修正、公益事業(防衛装備製造施設や鉄道など)の民営化も進めている。
デモの最後に、政府の態度に変化がなければ中央労働組合は全国的な無期限ストを検討するという決議が採択された。
その一方で、組合は以下の行動を決定した。
- 2018年1月第1週までに地区レベル合同会議を完了
- 1月最後の週に地区レベルの無抵抗不服従運動を実施
- 部門・産業レベルの共同ストライキで民営化に抵抗
- 来年度組合予算で反労働者措置に抗議
インダストリオール・グローバルユニオンは、2017年11月8~9日にスリランカ・コロンボで開催された執行委員会において、労働者の権利を守るために闘っているインドの加盟組織ならびに労働組合運動との連帯決議を可決した。
インダストリオール加盟組織、スリランカの不安定雇用に抗議
2017-11-09
50カ国近い労働組合指導者が、11月8日にスリランカでインダストリオール加盟組織とともに不安定雇用反対デモを行い、グローバルな組合運動の総力を見せつけた。
100人を超えるインダストリオール加盟組織代表が、スリランカの労働組合から参加した労働者とともに首都コロンボで街頭デモを繰り広げ、賃金委員会命令第59条Aの修正を政府が実施するよう要求した。
この修正の狙いは、事業の中核業務と正規・常用職務で派遣労働者(不安定な第三者契約労働者)の雇用を制限・制約することである。スリランカの組合は、不安定な契約労働の普及を食い止めるために修正の実施を求めている。
「人的資源の利用、契約労働者の利用を制限する闘いにおいてスリランカの同志を支援するために、私たちはここに集まった」とヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は述べた。
イェルク・ホフマン・インダストリオール会長も聴衆に語りかけ、不安定雇用は世界的規模で労働者に影響を及ぼしている現代の病だと宣言し、次のように述べた。
「世界中の組合がスリランカの労働者と連帯している。世界の労働組合運動は、ディーセント・ワークと生活賃金を要求する皆さんの行動を支持している。派遣労働、契約労働、短期雇用は、すべての労働者の不安を増大させる。私たちはスリランカでこの慣行をなくしたい。アジアでこの慣行をなくしたい。世界中でこの慣行をなくしたい」
この修正は2009年に提案されたが、今回の行動はその実施を求める最初の大規模なデモである。スリランカのインダストリオール加盟組合5団体が参加した。
ヴァルター・サンチェスはこのデモを利用して、スリランカの対欧州連合輸出に特恵関税を提供するGSP+資格の復活も支持した。
「私たちはスリランカ政府が、すべての労働条件、労働権、結社の自由の権利および団体交渉権の尊重を確保する限り、GSP+資格を維持することを支持する」
インダストリオールは11月8~9日にコロンボで執行委員会を開催し、ブラジルからベラルーシ、ノルウェーからネパールに至る国々の加盟組織が参加する予定である。
インダストリオール女性委員会、職場における女性に対する暴力との闘いを誓約するよう組合に要求
2017-11-09
11月7日にスリランカ・コロンボでインダストリオール女性委員会が開かれ、職場における女性に対する暴力が主要テーマとなった。女性委員会は職場における女性に対する暴力や嫌がらせと闘うキャンペーンへの支援を強化した。
職場における女性に対する暴力は現実に見られ、毎日発生している。この暴力は言葉による嫌がらせから身体的虐待や性的虐待まで、さまざまな形態を取る。あらゆる形態の暴力は容認できず、インダストリオールは職場における女性に対する暴力と闘うために運動している。
この問題を強調するインダストリオールのキャンペーンは組合に対し、「組合は暴力に反対」をスローガンに、職場におけるあらゆる形態の暴力に対して明確な態度を打ち出すよう求めている。
ミシェル・オニール女性委員会共同議長は、暴力との闘いは困難な取り組みであり、一夜では変わらないと述べた。
「男女平等を妨げている女性に対する暴力を排除せずに、どうやって男女平等を達成できるだろうか」
「しかし私は、インダストリオールと加盟組織がこの闘いを真剣に受け止めれば変化をもたらすことができると確信している」
代議員は、女性に対するあらゆる形態の暴力は容認できないことを明確に述べる誓約と決議をインダストリオール執行委員会に付託し、採択を求めることで合意した。
キャンペーンの一環として、11月25日と3月8日と6月の国際労働総会前後に動員をかける。インダストリオール関連部門における女性に対する暴力の情報収集と摘発も引き続き行う。
モニカ・ベローゾ女性委員会共同議長は、世界中の全加盟組織に影響を及ぼすキャンペーンを展開し、女性に安全な職場を保証する変化をもたらすことの重要性を強調した。
「女性に対する暴力に反対するキャンペーンはインダストリオールのグローバルな支援によって強化されている。すべての関連組合が暴力を拒否すれば、暴力との闘いにおいて強力な味方ができる」
ILOジェンダー専門家の松浦彩さんが、仕事の世界における男女に対する暴力や嫌がらせの根絶に向けたILO基準設定プロセスについて女性委員会に話をした。
女性委員会は、ジェンダーに基づく暴力に焦点を絞った包括的なILO条約を採択し、勧告により補足することを支持した。しかし、そのような条約を支持しているのはILO加盟187カ国のうち38カ国にすぎないため、拘束力のない勧告になってしまう危険がある。
女性委員会は、組合が行動を起こし、自国政府に条約の採択を支持させるために働きかけることが重要だと強調した。
男性優位の部門における女性
女性に関するインダストリオール活動の全体的な目標は、インダストリオールと加盟組織で参加・代表を強化し、女性の権利と平等を促進・増進・保護することである。これを実施するために、すべての部門、ネットワーク、地域およびプロジェクト活動に女性活動を統合し、参加と代表に取り組んでいる。
2018年の活動の焦点は、男性が優位を占める鉱業、素材金属、素材、エネルギー各部門と、それらの部門の組合や企業で女性問題に取り組むためのアクション・プラン策定である。
インダストリオール組織機構で女性代表性40%の目標を達成することが、女性委員会の優先課題である。インダストリオールの青年活動では、もっと高い50%に目標が設定されており、平等が目標ではなく事実として提示されている。
ジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長は次のように述べた。
「組合内部で著しい変化がなければ、女性代表性40%の目標が達成されないことは明らかだ」
「組織機構と意思決定において女性の居場所をつくるために講じなければならない措置について加盟組織に不可欠な指針を与えるにあたり、女性委員会の活動を引き続き支援していく」
オーストラリアの組合、ガス工場の請負業者による削減に抗議
2017-11-02
石油・ガス大手エクソン・モービル/エッソは、請負業者のUGLがオーストラリア・ビクトリア州で賃金・労働条件を最大30%削減し、家庭生活を無視した厳しい勤務表を導入することを認めようとしている。これを受けて労働者は、ビクトリア州南東部のロングフォード・ガス工場の外で不眠不休の抗議行動を実施している。
オーストラリアのインダストリオール加盟組織AMWU、AWUおよびETUの組合員は6月から、雇用と地域社会を守るためにキャンペーンを展開している。
請負業者UGLは陰険な戦術とオーストラリアの法律の抜け穴を使って、200人の労働者に、彼らの職場から何マイルも離れたウェスタン・オーストラリア州のほんの一握りの関係ない労働者が承認した協約を無理やり受け入れさせようとしている。
この協約を受け入れれば、ロングフォード工場の労働者は賃金を30%カットされ、手当や年次休暇も減ってしまう。家庭生活を無視した厳しい勤務表が導入されると、労働者は勤務1週間・休暇1週間のシフトから勤務5週間・休暇1週間のシフトに移行することになるだろう。
労働者のために闘うオーストラリアの組合は、声明で次のように述べている。
「またしても多国籍企業がオーストラリアに進出し、我が国の資源を開発しながら、税金を払わず、賃金を削減しようとしている。ビクトリア地域はすでに膨大な雇用喪失にあえいでおり、これらの労働者の賃金カットは地域経済に壊滅的影響を及ぼす」
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。
「不安定雇用の災難は労働者まで飲み込もうとしているが、組合は抵抗している。インダストリオールはキャンペーンを支援しており、エッソに対し、サプライチェーンに対する責任を負って直ちに建設的な対話を行うよう要求する」
ビクトリア州の労働者は、エッソの陸上・海上石油掘削施設を維持・運転している。膨大な富と上昇する利益にもかかわらず、エッソは昨年稼いだ85億オーストラリア・ドルに対する税金をまったく支払っていない。
次の方法で抗議中の労働者を支援することができる。
- 下記アドレス宛に支援のメッセージを送る:sheryl.aylward@amwu.org.au、andrew.dettmer@amwu.org.au、anne.donnellan@amwu.org.au、daniel.walton@nat.awu.net.au、debra.bushell@nat.awu.net.au、members@awu.net.au、admin@etuaustralia.org.au、eranga@etuaustralia.org.au
- 請願書に署名してシェアする。
- フェイスブック・サイトのソーシャルメディア投稿で支援し、Esso/Longford UGLy disputeを「いいね!」してシェアする。@exxonmobilの#UGLyplanについてツイートする。
インドネシア人権委員会、グラスベルグ労働者の復職を要求
2017-11-02
インドネシアの国家人権委員会は、フリーポートがパプアに所有するグラスベルグ鉱山における労働者数千人の解雇を人権侵害と裁定し、労働者の復職を勧告している。
PTフリーポートが一時帰休をめぐる交渉を拒否した際にストを決行したために、4,200人を超える労働者が解雇された。この鉱山は世界最大の金山、世界第2位の銅山で、米国系フリーポート・マクモランが所有している。
インダストリオール・グローバルユニオンにもコピーが送付されたインドネシア大統領への委員会勧告は、次のように述べている。
人権委員会は「PTフリーポート・インドネシアに対し、一時帰休の影響を受けた労働者全員(PTフリーポート・インドネシア従業員と契約労働者・下請労働者の両方)を復職させ、一時帰休方針によって生じた損害全額を賠償するよう勧告する」。
人権委員会は、この解雇事件では人権、特に豊かになる権利が侵害されていると結論づけた。
同委員会は、「1999年の人権に関する法律第39号第36条第(1)項および第9条第(1)項で保障された市民の生活権および生存権に関連する福祉権の実現のための勧告に関するフォローアップ対応の重要性」も指摘している。
8月にインドネシアを訪問したインダストリオール・ミッションは、解雇された労働者の多くが収入を断たれ、融資や住宅、教育、医療を利用できない状況にあることを確認した。その結果、数人が亡くなったと見られている。
数万人の常用・契約労働者を雇用するPTフリーポート・インドネシアは、グラスベルグ鉱山の管理をめぐってインドネシア政府と長期に及ぶ交渉を続けている。政府は鉱山の利権の51%を求めており、フリーポートに株式を売却させるために同社の輸出許可を停止した。組合は、この解雇は同社の対政府交渉戦略の一環であり、直接雇用を減らして不安定雇用の利用を増やすための戦略だと考えている。
インダストリオール加盟組織の化学・エネルギー・鉱山労組(CEMWU SPSI PTFI)は、グラスベルグで労働者を代表している。同労組は先月、5月1日に始まったストを11月30日まで延長する通知を発行した。
インダストリオールは、フリーポート・マクモランの権利侵害に関して同社の投資家に接触するプログラムを継続しており、国家人権委員会の勧告に関する最新情報を株主に提供していく。
鉱山の安全も懸念事項で、10月17日に重大事故が発生、契約労働者1人が死亡し、同僚2人が負傷した。
鉱山周辺地域は不安定な状況にある。10月21日、22日、23日に鉱山の近くで狙撃事件が発生し、警察官6人が負傷、1人が死亡した。警察の主張によれば、この事件は鉱山の開発が現地人に利益を与えていないと考える分離主義グループに関連がある。
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は次のように述べた。
「人権委員会はPTフリーポート・インドネシアがグラスベルグ鉱山で人権を侵害していることを明確にした。私たちは同社に対し、委員会の勧告に従って解雇労働者を直ちに復職させるよう促す。インドネシア大統領にも、PTフリーポート・インドネシアを勧告に従わせるよう要求する」