ヘンケル、アメリカでスト破りを利用して労働者のストを弾圧
2017-11-30
カリフォルニア州ピッツバーグのヘンケル・エアロスペース・ベイポイントで、インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織である全米機械工・航空宇宙労組(IAM)の組合員80人以上が、2017年10月16日からストに入っている。ストの理由は、使用者が労働者の安全の問題など現場の懸念事項に取り組もうとしないことである。
ボーイングをはじめとする航空会社向けに接着剤を生産するピッツバーグのヘンケル・エアロスペースのストは、ヘンケル施設の安全手順を改善する新協約をめぐる経営側との交渉の行き詰まりを受けて始まった。
しかし会社側は、工場の組合指導者や組合員に対する報復や差別によって、この紛争に対応している。ヘンケルは組合を破壊するために、組合つぶしやスト破りを専門とする会社、ストロム・エンジニアリングを通してスト破り労働者を雇用した。伝えられるところによれば、ヘンケルは現在、これらの臨時代替労働者に数百万ドルを費やしているという。
ヘンケルはヨーロッパ全域で組織率の高い企業である。だが、アメリカの状況はヘンケルの2016年持続可能性報告書の説明とはかけ離れている。この報告書で同社は、「経営側との徹底的な意見交換や協議が、実務レベルで例えば現地の従業員代表委員会と行われているだけでなく、全社的に労働組合との間でも実施されている」と述べている。同じ報告書で同社は、「従業員の健康と活力を増進し、高い業績を上げる機動的な組織を作れるようにしている」とも主張している。
2013年、26歳の臨時労働者デービッド・エレイジアンが、化学薬品配合機を動かしていたときに引き込まれて圧死した。米カリフォルニア州労働安全衛生部(Cal/OSHA)が実施したその後の調査の結果、非常に多くの違反が確認され、同社は20万米ドルの罰金を科せられた。
その後、労働者は何とか会社側と最初の協約を取り決めた。しかし、この協約は多数の安全性の問題に取り組んでおらず、ヘンケルは相変わらず協約を無視し、異議を唱えている。
現在の安全委員会が勧告した定期保守の未実施が原因で、過去6カ月間に蒸気による重度の熱傷事故が何件か発生した。ある事故では、IAM組合員が全身の30%以上に第3度熱傷を負った。
機械工労組は何件かの不当労働行為を申し立て、Cal/OSHAは同社を召喚して処罰した。IAMによると、この不当労働行為の申し立ては、苦情処理スケジュールの違反、週5日・1日12時間勤務スケジュールの強制、組合交渉中にIAMの仕事を遂行させるために非組合従業員の訓練を実施した行為に関係がある。同労組は新たな不当労働行為の申し立ても準備中である。
ドイツのインダストリオール加盟組織IG BCEは、初めてヘンケル労働者に連帯と支援を表明した組合である。IG BCEのグローバル化・欧州政策担当部長のマイケル・メルスマンは言う。
「スト破りの利用は容認できない。私たちは機械工労組との連帯を表明する。IG BCEはドイツ従業員代表委員会とともに経営陣と協議しているが、適切な解決策はまだ見つかっていない。私たちは労使双方が交渉のテーブルに戻って適切な解決策を見つけるよう希望し、支援している!」
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は機械工労組に連帯書簡を送った。
「インダストリオール・グローバルユニオンは、ヘンケル・エアロスペースの非妥協的な姿勢の結果である本件ストを全面的に支持します。貴組合の誇り高き生産労働者80人には、安全で健康的な労働環境および会社側との建設的な社会的対話を要求する十分な権利があります。いかなる企業も、労働者の健康と幸福に対する責任を否定できず、自社構内における悲惨な死亡事故の責任を取ることを拒否すべきではありません」
「私たちは、ヘンケル・エアロスペースが組合と公正な協約を取り決め、急を要する基本的な安全衛生問題、効果的な苦情処理手続き、交渉による昇進・訓練制度の実施に取り組むことを要求します。さらに、ヘンケル・エアロスペースは不当労働行為を是正し、Cal/OSHAの決定に完全に従って行動すべきです」
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