広報ニュース

第75号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年1月31日)

インドのバジャジ・オート労働者、経営側の遅延作戦に対抗

2018-01-31

40回に亘る交渉にもかかわらず譲歩を拒否する経営側に対し、真摯な対応を求めて無期限のハンストを開始した労働者たち
経営側は組合員の不当解雇・異動や、労働協約を一方的に破った賃金改定を行っていた

 不当な解雇と団体交渉におけるバジャジ・オート経営陣の非協力的態度に抗議して、組合は1月29日にプネーで無期限のハンストを開始した。

 バジャジ労組によると、経営側は労働者が提起した問題を引き延ばしている。

 2013年に解雇された労働者8人の復職に向けて意味のある進展は見られない。

 経営側は2016年、賃金改訂の約束を一方的に破った。2010~2019年の労働協約によれば、3年ごとに組合と協議して賃金を改訂しなければならない。ところが経営陣は、組合の要求をはるかに下回る率で一方的に賃金を改訂した。さらに、組織労働者を分裂させようと画策して、チャカン工場の労働者とアクルディ工場の非組労働者の銀行口座に、一方的に改訂した賃金を振り込んだ。しかし、アクルディ工場の組織労働者の賃金は上がらなかった。

 同じ時期、経営陣は2016年10月に6人の労働者(活動的な組合員)を異動させた。組合は労働審判所で不当な異動に異議を申し立て、審判所は労働者を支持する停止命令を出した。これに対して経営陣は6人の労働者を解雇した。

 組合はこれまでに経営陣との会合を40回開いた。しかし経営陣は交渉で譲歩を拒否し、公判で遅延作戦を利用したため、まだ結論に至っていない。

 バジャジ・オートのチャカン、アクルディ両工場で労働者を代表している組合Vishwakalyan Kamgar Sanghatanaのディリップ・パワール会長は、これらの延び延びになっていた組合の要求を強く打ち出すためにハンストに入った。

 チャカン工場とアクルディ工場の労働者は会長と連帯して、会社が支給する朝食と昼食をボイコットしている。

 ディリップ・パワール会長は、組合は対話によって問題を解決しようとしていると言う。
 「結論に達することができなかったため、私たちは挫折感と無力感から今回の無期限ハンストを開始した。経営側に対し、労働者が提起した真の問題に取り組むよう要求している」

 ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長は言う。
 「インド有数の自動車メーカーであるバジャジ・オートが、不当な解雇や異動、組織労働者の賃上げ拒否という挙に出ていることは衝撃的だ」
 「バジャジ・オートは労働者の団体交渉権を尊重し、対話による問題解決と産業平和の維持に向けて緊急の措置を取らなければならない」

 バジャジ自動車労働者の所属組合Vishwakalyan Kamgar Sanghatanaは、インダストリオール傘下の統一労働者連盟(SEM)に加盟している。

 

トルコの金属労働者が団結と抵抗、決意で大勝利

2018-01-30

新しい労働協約の締結を発表する組合幹部
使用者側は賃金24.6%増、社会的給付23%増の要求を受け入れた

 政府のスト禁止令にもかかわらず、トルコの金属労働者は新しい労働協約でほぼ25%の賃上げを勝ち取った。

 ストは2018年2月2日に始まる予定だった。組合はスト禁止令の承認を拒否して闘争続行を誓い、結果として目覚ましい成果を達成、179社の労働者13万人を対象とする新しい部門レベル労働協約によって賃金・労働条件を改善した。

 この2年協約は2017年8月31日にさかのぼって発効し、金属労働者を代表する3組合(インダストリオール加盟組織のビルレシク・メタル・イスとチェリク・イスを含む)と金属産業使用者団体MESSが締結した。

 金属労働者が断固たる態度で臨んだ結果、使用者団体MESSは以前の譲歩を撤回し、組合への最終案で大幅な増額を提示した。

 MESSが最初に示した案は実績インフレ率と同じ3.2%の引き上げだった。その後、MESSは第2回交渉で6.4%、第3回交渉では13.2%に増額した。しかし結局、使用者側は賃金24.6%増、社会的給付23%増を受け入れた。トルコの金属労働者は補足的健康保険も要求どおりに獲得した。

 使用者側が要求をほぼ受け入れたため、トルコの金属労働者は、この勝利に喜びと満足の意を表した。労働者はモットーを繰り返し、「前に言ったとおり、この闘いは私たちが終わったと言うまで決して終わらない」と主張した。

 インダストリオール加盟組織のビルレシク・メタル・イスは声明で次のように述べた。「この労働協約の締結は、スト禁止令を拒否して闘った金属労働者の業績だ。すべての労働者に、この過程で努力を払ってくれたことに感謝する」

 インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパのヴァルター・サンチェス、リュック・トライアングル両書記長は、トルコ金属部門の加盟組織に書簡を送り、次のように述べた。
 「一連の厳しい交渉で断固たる姿勢を示したトルコの金属労働者全員を祝福する。皆さんの団結と闘争、決意のおかげで、このような大勝利が可能となった」
 「皆さんは、団結すれば何でも達成できるという素晴らしい例を世界中の人々に示してくれた。この団結が維持されると確信している」

 

トルコ政府が金属産業のストを禁止

2018-01-26

トルコ政府は179の職場を指定し、それらに対してストを禁止する政令を出した
それに対して組合側は金属産業の大幅な労働条件の改善を求め、スト決行を表明した

 トルコにはまだスト権があるのか。答えは明らかにノーである。すべての主要多国籍企業を含めて、トルコの金属部門で179職場・13万人の労働者が2018年2月2日にストに入る予定だったが、「国家安全保障を損なう」という理由で政府によって禁止された。

 金属労働者を代表する3組合(インダストリオール加盟組織のビルレシク・メタル・イスとチェリク・イスを含む)と金属産業使用者団体MESSとの部門レベル交渉の決裂をめぐる争議の結果、ストライキが発表された。

 このストは、2018年1月24日に大統領と首相、全閣僚が署名したあと、1月26日の官報で発表された政令により禁止された。この政令はスト禁止の対象となる179職場を指定しており、その中にはティッセンクルップ、ボッシュ、フォード、メルセデスベンツ、ルノー、シーメンスといった多国籍企業が所有する現場も含まれている。

 ストを禁止する政令が出された日に、使用者団体のMESSは、スト実施日前にもう一度交渉を行うために3組合を招待した。しかし、この政令はそれ以上の労使交渉を禁止している。

 2017年12月初めに交渉が決裂すると、組合側は争議を宣言した。政府の調停者が任命されたが、争議を解決することはできなかった。3組合は1月11~12日にMESSの最終案を拒絶した。金属産業の賃金は低く、労働条件は困難かつ危険である。組合側は大幅な改善を要求している。

 労働組合および労働協約に関する2012年のトルコの法律(第6356号)には、「閣僚会議は、要求または開始された合法的なストまたはロックアウトが公衆衛生または国家安全保障を損なう場合、命令によって60日間にわたり当該ストまたはロックアウトを停止することができる」という規定がある。

 トルコ政府は日ごろから法律第6356号を悪用しており、政府は結社の自由の権利に関するILO第87号条約に違反して、たびたびストを禁止している。トルコの組合は、頻繁にスト禁止令を無視して違法な争議行為を実施しており、場合によっては、禁止令にもかかわらず大きな意味のある勝利を得ている。

 ビルレシク・メタル・イスは反抗的な声明を発表し、次のように述べた。
 「私たちはスト禁止令を認めない! 2月2日にストを決行する。今日は金属労働者として、職場での生産に根差した私たちの力を行使することにより、ストを禁止する当局に対抗する」

 これを受けて、インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパのヴァルター・サンチェス、リュック・トライアングル両書記長はトルコ政府に書簡を送り、スト禁止令を非難した。
 「現与党が政権を握ってから、さまざまな部門で各種のストが14回禁止されました。2017年1月に出された前回の金属産業スト禁止令は、まだ記憶に新しいところです」
 「すでに何度もこの方針を明確に批判してきたように、私たちは今回もまた、トルコ政府による労働者の基本的スト権の露骨な侵害に対して強い非難を表明せざるを得ません。この権利はトルコの憲法と国際労働条約、国際労働機関の法制によって保障されています」

 両書記長は加盟組合を通してトルコの金属労働者にも連帯書簡を送り、次のように述べている。
 「皆様方と連帯して断固たる態度で臨むという両組織のコミットメントを改めて表明します。皆さんは孤立してはいません。皆さんの闘いは私たちの闘いです。そして私たちは、職場と社会で公正が達成されるまで支援を継続します」

 

インダストリオール、メキシコの労働改革案を拒絶

2018-01-25

インダストリオール・グローバルユニオンは、メキシコの上院議員に労働法修正案に反対するように求めた
法案が成立すれば、現在外部委託を規制している条項や規則を撤廃し、結社の自由と団体交渉の妨げになる

 インダストリオール・グローバルユニオンはメキシコの上院議員に対し、外部委託を増やして労働者の安全を危険にさらす労働改革案に、反対票を投じるよう要求している。

 メキシコ政府と2つの企業内組合センターは、12月に連邦労働法(FLL)修正案を提出した。2月1日に議会の新しい会期が始まり、上院議員が法案を審議する予定である。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール・グローバルユニオン書記長は1月24日に上院議員に書簡を送り、労働権を攻撃している同法案に賛成票を投じないよう求めた。

 「この新しい法案には極めて有害な条項が盛り込まれており、極端な外部委託モデルとそれがもたらす労働条件の不安定化を助長するとともに、憎むべき保護協約を撤廃するどころか、その利用を促進することになるだろう」とサンチェス書記長は指摘した。

 この法案は、現在外部委託を規制している条項や規則を撤廃し、結社の自由と団体交渉の妨げにもなる。

 「CTMとCROCに属する上院議員によるイニシアティブは、労働権に対抗する常軌を逸した行為だ。例えば、新しい外部委託規則のもとで企業が労働者の採用に関して無制限の自由を与えられれば、保護協約を撤廃するのではなくその利用を促進し、労働者の搾取を奨励してメキシコで不平等の悪化を招くだろう。この法案は、団体交渉とスト権、結社の自由を制限・妨害して条件を設けており、そのほかにも悪いところがたくさんある」とインダストリオール加盟組織ロス・ミネロスのナポレオン・ゴメス・ウルティア会長は説明する。

 この案は企業と企業内組合を利する。法案が承認されれば、企業は容易に解雇できる低賃金労働力と保護されていない労働者を利用できるようになる。

 この法案は使用者保護協約の利用を助長するとともに、労働組合と労働協約の登録を管轄し、政府支援の企業内組合に支配される政府機関を設置するものであるため、企業内組合が利益を得る。

 サンチェス書記長はメキシコの上院議員への書簡で、労使関係の民主化、結社の自由の実施、メキシコにおける保護協約の利用の根絶が、ずっと前からメキシコの民主的労働組合と国際労働組合運動の中心的な要求となっていることを思い出させた。この要求は、インダストリオールとITUCが国際労働機関(ILO)結社の自由委員会に提出した提訴第2694号の中核的部分となっている。

 毎年、メキシコ政府と企業内組合ナショナルセンターの代表はILO会議で、新しい労働改革は保護協約の利用を根絶し、結社の自由と団体交渉を保証すると約束している。12月に制度的革命党(PRI)所属の上院議員2人(CTMとCROCの組合員)が提出した法案は、正反対のことを提案している。

 サンチェス書記長は上院議員に対し、最新の連邦労働法修正案を拒否し、その代わりに国際条約とすでに全会一致で承認された憲法改正に従う二次法案を承認するよう促した。

 

カナダのアルミニウム製錬所、交渉決裂後に労働者をロックアウト

2018-01-25

使用者側が労使交渉から一方的に手を引き、1,000人以上の組合員をロックアウトした
労働組合側は公正な年金と先任権を求めて交渉していた

 カナダ・ケベック州ベカンクールのアルミネリエ・ド・ベカンクール・インク(ABI)で、全米鉄鋼労組第9700支部の組合員1,000人以上がロックアウトされている。

 労働協約が失効した1月11日午前3時、組織労働者1,030人がロックアウトされた。これに先立って、使用者側は協約交渉から一方的に手を引き、組合に最終案を提示したが、この案は80%の組合員によって拒絶された。

 同社は、政府仲介者が開催する予定だった労使会合が開かれる前から、電解槽列(アルミニウムの製錬に使われる電解炉)を閉鎖し、先手を打って交渉を妨害しようとした。

 ABIは株式の75%を米国系アルミ大手のアルコアが、25%を英・豪系多国籍鉱山会社リオ・ティントが所有している。

 協約交渉の争点は、年金制度の変更と労働者の先任権の承認である。同社は、確定給付型年金制度から、従業員がリスクをカバーする組合員出資制度に移行したいと考えている。

 鉄鋼労組は、公正な年金と先任権に対する組合員の権利を擁護するつもりだが、交渉再開の意思はあると述べている。
 「私たちは引き続き誠実に交渉し、この工場の円滑な運転を維持する用意と意思がある」とクレメント・マッセ鉄鋼労組第9700支部長は述べた。

 同労組の考えでは、今回の交渉決裂は、電力会社に電気料金の値下げを要求する戦略の一環として、あるいはアルミの過剰在庫を減らして価格を引き上げようとする試みの一環として、同社が利用する政治戦術かもしれない。

 ロックアウトは本社からの命令であり、現地の管理者は、自分には組合との交渉を続ける「権限」がないと言っている。

 「交渉の席で提示されたすべての組合案のコストを上回る代償をもたらす労働争議を、なぜ引き起こすのか。ここに何かうさん臭いものがある。投資家はアルコアに回答を求めるべきだ」とマッセは語った。

 インダストリオール・グローバルユニオンは組合支部に連帯の書簡を、アルコアCEOロイ・ハーベイに抗議文を送った。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は次のように書いている。
 「インダストリオール・グローバルユニオンは、とりわけ雇用上の先任権と適正な退職金に関するUSW第9700支部の正当な要求を全面的に支持します。したがって私たちはアルコアに対し、アルミネリエ・ド・ベカンクール(ABI)に介入して直ちにロックアウトを終わらせ、公正な協約をもたらすであろう組合との交渉の再開を保証するよう要求します」

 アルコアにはグローバル組合ネットワークがある。インダストリオールは、このネットワークを動員してベカンクール闘争に対する支援を確立する。

 

イタリアの金属労働者が「労災死亡事故の根絶!」を要求

2018-01-23

4件の死亡事故が発生し、安全衛生の問題に注目を集めるために集会と1時間ストを実施した労働者
これらを組織した FIOM-CGIL、FIM-CISL、UILM-UILは、職場の安全対策が不十分であると指摘

 インダストリオール加盟組織のFIOM-CGIL、FIM-CISLおよびUILM-UILは、ミラノ県ローのラミナ社とブレシア県ロバトのエレットロニカ社で最近4件の悲惨な死亡事故が発生したことを受けて、職場の劣悪な安全衛生の問題に世間の注目を集めるためにロンバルディア地域で集会と1時間ストを組織した

 「Basta Morti sul lavoro!」(もううんざりだ:労災死亡事故の根絶!)が、劣悪な安全衛生労働条件が原因で起こった最近の予防可能な労災死亡事故に対応して、ミラノで大集会を開いた労働組合の主要メッセージである。

 FIOM-CGIL、FIM-CISLおよびUILM-UILは共同プレスリリースで次のように述べた。
 「私たちはこのところ苦悩、落胆、怒りの感情に包まれており、この恥ずべき状況に対抗する取り組みをよりいっそう強めていこうという気になっている」
 「あまりにも頻繁に、不運の結果ではなく、企業が手続きや安全規則を遵守していないために労働災害が発生している。あまりにも頻繁に、この一連の出来事は、労働者の安全・保安を確保するために必要な予防制度や対策が不十分である実態を示している。あまりにも頻繁に、労働条件が軽視され、予防の必要性が過小評価されている」
 「あまりにも頻繁に、この話題に対する認識を高めて職場の安全性を確保するための訓練や介入がコストを理由に抑制され、人とその未来にまったく投資されていない」

 1月17日にミラノ県ローにあるラミナ社の鉄鋼工場の地下溶鉱炉内で、3人の労働者、マルコ・サンタマリア(42)、ジュゼッペ・セッツ(48)、アリゴ・バービエリ(57)がガス中毒(窒素)で死亡した。

 もう1件、死亡事故が発生し、ブレシア県ロバトのエレットロニカ社で19歳の若い労働者ルカ・レッチが旋盤に巻き込まれ、1月19日、組合が不十分な安全衛生条件に対抗する行動を発表したまさにその日に亡くなった。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール・グローバルユニオン書記長は、亡くなった労働者たちの加盟組織3団体と3家族のすべてに弔慰を表した。サンチェス書記長は次のように語っている。
 「インダストリオール・グローバルユニオンは、FIOM-CGIL、FIM-CISLおよびUILMが共同行動を実施し、金属部門で容認できないほど多数の防止可能な職場災害・事故が発生している現状に注意を促すとともに、使用者に労働者の基本的権利の尊重(厳しい安全衛生基準の遵守を含む)を要求している取り組みを全面的に支持する」
 「事故原因の十分な調査と結果の公表、改善対策の迅速な採用を期待している」

 

グローバル・ユニオン、バングラデシュ協定に基づき多国籍ブランドと230万米ドルで和解

2018-01-22

バングラデシュ協定に基づく和解により、ある多国籍衣料ブランドが150以上の工場の安全性向上のために200万ドルを支払う
さらにインダストリオールとUNIの共同サプライチェーン労働者支援基金に30万ドルの寄付を行う

 インダストリオール・グローバルユニオンとUNIグローバルユニオンは、生命にかかわる作業場の危険要因を取り除くために、ある多国籍衣料ブランドと230万米ドルで和解した。この和解は、法的拘束力のある火災予防および建設物の安全に関するバングラデシュ協定に基づく仲裁プロセスを通して取り決められ、サプライチェーンにおける職場の危険を除去するために1社が支払った金額としては最高の部類に入る。

 このブランドは、和解条件に基づいて社名は公表できないが、バングラデシュで150以上の衣料工場を改善するために200万ドル支払うことに同意した。

 この衣料メーカーは、インダストリオールとUNIの共同サプライチェーン労働者支援基金に、さらに30万米ドルを寄付する。この基金は、グローバル・サプライチェーンで労働者の賃金・労働条件を改善するためのグローバル・ユニオンの活動を支援するために設立された。

 グローバル・ユニオンは常設仲裁裁判所に提訴し、このブランドは自社工場にタイムリーな危険の除去を要求せず、数千人の労働者を危険な状態に放置したと主張した。組合側は、同社がアコードの要件に従って、自社工場が継続的な安全性の問題を解決するための財源を確保しなかったことも非難した。

 2016年10月の提訴時点で、このブランドのサプライヤー工場であることが分かっている施設の中に、必要な改善を完了していた工場は1つもなく、すべての工場に未解決の高リスク安全問題が少なくとも1つはあった。例えば、火災報知機やスプリンクラー装置がない、防火扉がない、工場のボイラーから易燃性物質が分離されていない等である。

 組合側の仲裁請求を受けて、同社の契約工場のいくつかで前向きな動きが見られ、ある工場の改善率は2016年10月のおよそ50%から2017年10月には90%以上に上昇した。しかし、このブランドに供給しているその他多くの工場は依然として大きく後れを取っており、改善率は50%近辺にとどまり、重大な構造上・火災予防上の問題が未解決のままになっている。

 アコードが満了する2018年5月までに、必要な安全性向上をすべて完了する必要がある。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は次のように述べた。
 「今回の和解はバングラデシュ協定が機能していることを示している。これは法的拘束力のあるメカニズムによって多国籍企業に責任を負わせることができるという証拠だ。問題のブランドがバングラデシュのサプライヤー工場の安全に対する責任を真剣に受け止めるようになったことをうれしく思う。同社の金銭的貢献は他のブランドが従うべき見本になっている」

 クリスティー・ホフマンUNIグローバルユニオン書記次長は述べた。
 「アコードに基づき、ブランド各社は自社製品を製造しているバングラデシュの工場の是正に対する金銭的責任の一端を担わなければならず、この合意は私たちがこれらのアコードの約束を積極的に実施していることを示している」
 「今回の和解により、150を超える工場が基本的資源を得て、何年も前から必要だった修理をようやく実施できるようになる。私たちは、バングラデシュで仕事の安全性を高めるために全ブランドに相応の貢献をさせるべく引き続き圧力をかけていく」

 インダストリオールとUNIは2017年12月、やはりハーグの常設仲裁裁判所の管理下で、ある世界的ブランドと別の仲裁事件を示談にした。両方の和解の対象となる工場数は合計で200を優に超える。

 どちらの和解も、コビントン&バーリングのマーニー・チークと彼女のチームが、このグローバル・ユニオン2団体を無料で弁護してくれたおかげで可能となった。

 バングラデシュの既製服産業で働く250万人の労働者を対象とするアコードは、1,100人以上の衣料労働者が死亡し、2,000人以上が負傷したラナ・プラザ災害後の2013年にインダストリオールとUNIが策定した。この協定は、法的拘束力のある義務を盛り込み、ファッション・ブランドに対し、請負業者に火災・構造・電気関連の安全問題の解消を義務づけるよう求めた初めての取り決めである。

 アコード検査官は、これまでに200を超えるブランドに供給する1,800以上の工場で検査を行い、火災・電気・構造関連の危険を11万8,500件以上確認している。

 アコードの最初の検査で確認された職場の危険の83%がすでに改善され、500のアコード対象工場が必要な是正の90%以上を完了した。

 2017年6月に第2次アコードが締結された。この協定は最初の協定が失効する2018年5月に実施され、アコードによる保護を2021年5月31日まで延長する。ただし、その日までに、共同監視委員会(アコード署名ブランド、アコード署名労働組合、バングラデシュ衣料製造業者・輸出業者協会(BGMEA)、国際労働機関(ILO)、バングラデシュ政府で構成)が、国家取締機関への引き渡しに関する一連の厳しい条件が満たされていることに全会一致で合意した場合は延長されない。

 

インダストリオール、UNIおよびBWIがストラ・エンソとグローバル枠組み協定を締結

2018-01-19

再生可能原料会社ストラ・エンソがグローバル・ユニオン3団体とグローバル枠組み協定(GFA)を締結
この協定により同社は、サプライチェーン全体でGFAの原則を実施するために努力する

 グローバル・ユニオン3団体は今日、ジュネーブの国際労働機関(ILO)でガイ・ライダーILO事務局長の出席のもとに、再生可能原料会社ストラ・エンソとグローバル枠組み協定(GFA)を締結した。スウェーデン製紙労組、スウェーデン林業・木材・印刷労組、フィンランド製紙労組の会長が立会人として署名した。

 このGFAでストラ・エンソは、同社のグローバル事業と子会社全体で基本的労働権を支持するために、グローバル・ユニオン3団体と協力することを約束している。同社はサプライチェーン全体でGFAの原則を実施するために努力する。

このGFAは特に下記に焦点を当てている。

結社の自由

差別禁止

児童労働・強制労働の禁止

安全衛生の改善に向けた組合との協力

移民の権利

適正な賃金

男女平等

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール・グローバルユニオン書記長は、署名にあたって次のように述べた。
 「ストラ・エンソを祝福するとともに、新しい正式な関係によって、同社のグローバル事業全体で労働者の権利を支持するための手段が得られることを歓迎する。他の紙パルプ製造会社にも、この例に倣うよう呼びかけたい」

 ストラ・エンソCEOのカール=ヘンリック・スンドストロームはこう述べた。
 「当社は、全従業員が敬意を持って公正な方法で扱われる労働環境を目指して努力しており、すべての事業単位が要件に従うよう確保するために絶えず取り組んでいる。このグローバル枠組み協定の締結によって、当社は意欲を示し、この重要な分野で次の段階に進む」

 GFAによって定められた紛争解決メカニズムがある。このメカニズムに基づき、現地レベルで問題に取り組むが、必要に応じて全国レベル、世界レベルに上げ、最終的には調停に付託する。

 このGFAはパートナー間の継続的な対話を公式化しており、すべての署名者が2年ごとに会合を開いてGFAの実施状況を評価する。

 しかし、グローバル協定の精神に基づいて率直な対話を確立し、それによりパートナーが協力しながら、できるだけ早く先手を取って問題を解決する。

 UNIグローバルユニオンのフィリップ・ジェニングズ書記長は次のように述べた。
 「この協定は、世界人権宣言70周年に当たる今年をスタートさせる最良の方法だ。この協定への署名によってストラ・エンソは、サプライチェーンで労働者の権利を保障するために正しい方向へ大きく踏み出そうとしている」
 「この協定は、労働者の権利が人権であることを重ねて承認するものだ。グローバル枠組み協定の重要性はストラ・エンソのような企業だけでなく、G20や世界中の国際組織にも承認されている」

 アンベット・ユーソンBWI書記長はこう述べた。
 「この協定の締結によってストラ・エンソは、同社のグローバル事業と子会社で労働者の基本的労働権を確保すると約束している。今後、ストラ・エンソと積極的に協力しながら現場でこの協約を効果的に実施し、労働者の生活を改善していけることを楽しみにしている」

 

台湾の労働組合が「史上最悪」の労働法を非難

2018-01-17

労働基準法の変更に対し、労働組合や社会運動家らがメーデー行動同盟を結成して抗議活動を展開
この変更により使用者は労働者を12日間連続で働かせることができるようになる

 台湾の労働組合と市民社会は、このたびの労働法修正を史上最悪と評し、その影響を緩和する準備をしている。

 台湾の立法院は1月10日(水)、労働基準法の変更を承認した。これによって使用者は、労働者を12日連続(交代勤務間の休憩はわずか8時間)で働かせる権限を与えられる。現行制度では、11時間の義務的休憩を与えて7日連続で労働者を働かせることができる。この修正は3月1日に実施される。

 インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織、台湾石油労組(TPWU)の会長であり、台湾全国産業総工会(TCTU)の会長も務めるチュエ・アン・チュアン氏はこう語った。
 「私たち労働組合は、新法採択の問題点と影響に取り組むために踏み出さなければならない。さらに、労働基準法の今後の修正に関して政府と交渉を重ねる必要がある」

 台湾人権委員会のメンバーは現在、修正の調査を求めており、この修正は1976年に国連総会が制定した国際人権章典に違反しているかもしれないと考えている。

 チュアン会長は次のように付け加えた。
 「修正案は労働者ではなく使用者を強く支持している。私は台湾の過重労働問題を深く懸念している。この新しい法律が実施されれば、この問題は悪化の一途をたどるだろう。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は次のように述べた。
 「新しい労働基準法修正は台湾の労働者に対する侮辱だ。労働者を倒れるまで酷使しても繁栄は促進されず、労働者が完全に持続不可能な状況下で働かされて衰弱するだけだろう。私たちは、この法律と闘う加盟組織の取り組みを支援する」

 昨年10月に台湾政府が論議を呼ぶ修正を提案してから、TCTUは他の労働組合や社会運動家、学生グループ、学者と協力しながら、この法改定に抗議するメーデー行動同盟を結成している。

 1月8日に議員が2回目、3回目の修正審議に入ると、メーデー行動同盟のメンバー300人近くが立法院の前で一夜を明かした。

 2017年12月23日の行進にはほぼ1万人が参加し、デモ参加者が台北駅に近い主要交差点を封鎖したあと、10人の組合幹部と学生が逮捕された。

 

トルコで金属労働者13万人がスト突入を決意

2018-01-17

トルコの労働組合3団体は使用者側の最終提案を拒否してスト決行を表明
金属部門での共同ストを実施し、政府がスト禁止を発令した場合には抵抗を呼び掛けている

 組合側が使用者側の最終案を拒絶し、トルコの金属労働者は、ルノー、ボッシュ、フィアットなどの主要多国籍企業を含む約180の職場でストに備えている。

 トルコの金属産業の特徴は、低賃金、長時間労働、高い労働災害発生率、不当利益、非常に高い生産性である。そしてビルレシク・メタル・イスの調査によると、低賃金が原因で金属労働者の85%が負債を抱えている。

 トルコの金属産業では2015年5月、6月の幅広い抗議行動に続いて、2017年10月初めに労働組合3団体(ビルレシク・メタル・イス、チェリク・イス、トルコ・メタル)と金属産業使用者団体MESSの間で部門全体の団体交渉が始まった。

 組合側の要求は、2カ年労働協約による大幅な賃上げと社会的給付、解雇予告手当・解雇手当、超過労働手当・夜間労働手当、有給休暇、安全衛生対策の改善、追加的健康保険である。これに対してMESSは、3年協約による(実績インフレ率さえ下回る)低い賃上げ率を提示した。

 2017年12月初めに交渉が決裂したため、3組合は争議を通知し、残業の拒否などの警告行動に出た。トルコの法律に従って公的調停人が任命されたが、争議を解決することはできなかった。間もなく調停人の報告が発表される。

 1月11日、3組合はMESSの最終案を拒絶した。ビルレシク・メタル・イスは、使用者側の案を「取るに足りない」「容認できない」内容と断じ、組合が伝えようとしていることを使用者は明確に理解していないと述べた。チェリク・イスは「この提示によってMESSは誤った主張にこだわり、危機と混乱を招いた」と発表した。

 トルコの法律に従って、組合側は調停人の報告書を受領後、「争議報告書の通知日から60日以内にスト指令の決定を下すことができ、スト実施日を6労働日前に相手方に伝え」なければならない。3組合はスト決行を公然と表明している。

 

トルコがこれまでストを禁止してきた経緯を考えれば、今回のストも先例に従うという深刻な懸念がある。

 トルコの労働組合法は「ストライキの延期」を認めており、「閣僚会議は、公衆衛生または国家安全保障にとって有害な場合、命令によって合法的なストライキを60日間停止することができる」。そして、「停止期間の満了日までに合意に達しない場合は、6労働日以内に一方当事者から申請があれば、高等調停委員会が争議を解決する」。つまり組合は、完全なスト禁止措置を指す「延期」後はストを継続できないということである。

 ビルレシク・メタル・イスは1月13日にイスタンブールでスト権に関する会議を開催、同労組の執行委員会は、トルコの他のすべての金属部門組合に対し、共同でストを実施し、政府がスト禁止を発令したら抵抗しようと呼びかけることを決定した。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール・グローバルユニオン書記長が会議で発言し、次のように述べた。
 「グローバル・ユニオン・ファミリーは、トルコの金属労働者の闘いを引き続き最大限に支援していく。スト権は基本的労働権であり、すべての労働者が行使できなければならない」
 「トルコ政府はこの権利を承認し、いかなる方法でも妨害してはならない」

 ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。
 「トルコの金属労働者は、非常に収益性の高い産業で生産性を高め続けているが、使用者はこの富をほんのわずかであれ労働者と共有したがっていない」
 「MESSが提示した案は金属労働者を愚弄しており、インダストリオールはよりよい協約を勝ち取るまで労働者を支持する」

 

フィリピンの古河で労働者が承認を獲得

2018-01-12

Furukawa Automotive System Incorporatedで認証選挙が行われ、圧倒的多数で労働者側が勝利した

 今年1月9~10日にFurukawa Automotive System Incorporatedで実施された認証選挙の結果、職場における組合の結成が圧倒的多数で支持され、労働者は大きな勝利を収めた。

 1,500人近くの労働者が、この自動車部品メーカーの組合代表に賛成票を投じた。同社の労働者数は5,000人で、うち50%超が非正規の派遣労働者である。

 古河における組合承認は、フィリピン金属労働者同盟(PMA)傘下組合、JCM傘下組合、グローバル・ユニオン・フェデレーションをはじめとする組織の集団的な支援により、長期にわたる闘争の末に達成された。

 認証選挙はフィリピンの労使関係における手続きであり、無記名投票によって、団体交渉のために適切な交渉単位で唯一かつ排他的な交渉代表権者を決定する。

 現地経営陣が組合の結成を阻止しようとする中で、古河労働者は勝利するまで毅然と構え、警戒を続けた。さまざまな組合組織の連帯支援とPMAの献身的なオルグによって、労働者たちは圧力をかけ続けた。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール・グローバルユニオン書記長はFurukawa Automotive Systemsに対し、労働者の基本的権利、特に団結権・団体交渉権の尊重を要求した。

 書記長はPMA指導部への支援メッセージで次のように述べている。
 「私たちは、労働組合と団体交渉の承認を達成するための闘いにおいて、Furukawa Automotive Systems Lima Philippinesの古河従業員厚生労組の同志と協力し合い抵抗する」

 Furukawa Automotive Systemsは、メトロマニラ南のリパ市にある経済特区の1つを拠点とする日本企業で、主要自動車ブランド向けに自動車用のワイヤーハーネスやコネクタ、機能部品を製造している。

 

インドのフォルクスワーゲン工場でハンスト

2018-01-12

能力給を含む新しい報酬制度導入に抗議し、フォルクスワーゲン従業員組合の代表11人がハンストを実施
ハンストにより2名が病院に運ばれたが、経営側からの反応は無い

 インド・プネーのフォルクスワーゲン従業員組合の代表11人がハンストに入り、能力給を含む新しい報酬制度を導入するという使用者の計画に抗議している。

 現在の賃金交渉は2016年末に始まったが、14カ月後の今も、大きな争点である能力給の導入方法について妥結していない。この制度はインドの自動車産業では一般的ではないが、すでに世界中のほとんどのVW工場で導入されている。

 フォルクスワーゲン(VW)は給料の80%を固定給、20%を能力給にしたいと考えており、この制度が実施されれば多くの労働者が大幅な賃金カットに直面する。

 ハンストは今日で5日目に突入、急速に犠牲者が増えており、すでに2人が病院に運ばれた。経営側からはまだ何の反応もない。

 抗議中の労働者を代表しているフォルクスワーゲン従業員組合は、交渉が無駄に終わったため、労働者は「死に至るまで絶食」する手段に訴えたと述べた。
 「私たちはハンストに訴えているが、生産を止めるつもりはないので、組合員は作業を停止していない」とVW従業員組合のマシェ・トゥシャール書記長は言う。

 ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長はこう述べている。
 「私たちはフォルクスワーゲンに対し、対話を行い、状況が悪化する前に速やかに公正な解決法を見つけるよう要求している」

 

ドイツの金属労組、賃上げと労働時間短縮を求めて大規模スト開始

2018-01-11

使用者側との賃金交渉を控え、大規模ストを開始したIGメタルの労働者たち
IGメタルは6%の賃上げと最大で週28時間労働への時間短縮の権利を要求

 IGメタルは、使用者連盟ゲザムトメタルとの賃金交渉を控えて大規模ストを開始した。

 この争議行為は1月8日(月)の警告ストと短時間の行動で始まり、労働者は数時間にわたって仕事を放棄し、街頭でデモを繰り広げた。フォルクスワーゲン、ポルシェ、メルセデスベンツ、ダイムラー、シーメンス、ティッセンクルップ、タレス、エアバス、ハネウェル、ボンバルディア、アトスをはじめ80社以上で、約16万人の労働者が行動を起こした。

 IGメタルは、交渉に進展がなければ行動を拡大し、主要企業をターゲットに丸一日のストを行う予定である。金属・電子部門の労働者390万人を対象とする労働協約の第1回交渉が今日始まり、IGメタルは自動車メーカー数社の拠点があるバーデン・ビュルテンベルク州の地域使用者団体と会談している。

 IGメタルは、ドイツの産業労働者のために根本的に新しい妥結を達成することによって、労働者が生産性向上の恩恵に預かり、ワーク・ライフ・バランスを改善できるようにすべく努めている。経済が活況を呈し、失業率が過去最低水準にある中、同労組は6%の賃上げを要求している。

 もう1つの主な要求は、子どもや高齢の親の面倒を見るために労働時間を週28時間に短縮し、2年後にフルタイム雇用に復帰する権利の獲得である。IGメタルは200ユーロの介護手当の追加を求めるキャンペーンも展開している。同労組の考えでは、男女の性別による役割が変化しており、労働時間を短縮すれば、より多くの女性が労働人口に加わり、より多くの男性が介護責任を負えるようになる。

 これまでは、企業のほうが従業員に柔軟性を要求してきた。IGメタルは、この方向を変えて、柔軟な仕事が労働者に利益を与え、家族生活に合う勤務パターンを選べるようにしたいと考えている。

 インダストリオール・グローバルユニオン会長でもあるイェルク・ホフマンIGメタル会長は、南西部ザールラント州ホンブルクでの集会で労働者2,000人に語りかけ、次のように述べた。
 「IGメタルがいるからには、3つの要素すべてを盛り込んだ労働協約しかあり得ない。すなわち、適正な昇給、一定期間にわたって労働時間を短縮する選択肢、すべての人が子育てや看病、健康のために労働時間を短縮できるようにする援助だ」

 ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は次のように述べた。
 「ドイツ経済は好調であり、労働者も生産性向上の利益を得て、柔軟性に対する権利を持つようにするのが公正な措置だ」
 「本当に歴史的に重要なのは、労働時間を週28時間に短縮するという要求だ。インダストリー4.0が仕事の世界にもたらす変化から、労働者も利益を得るようにすることが重要だ。このIGメタルの要求は、万人の役に立つ経済の構築において、労働組合が先頭に立っていることを示している」

 230万人の組合員を擁するIGメタルは、世界で最も大きく最も有力な組合の1つである。同労組が交渉中の労働協約は390万人の労働者に適用される。

 

韓国で著名な組合指導者イ・ヨンジュが抗議後に拘留

2018-01-09

与党民主党の事務所で座り込みのハンガーストを行ったイ・ヨンジュKCTU元書記長(写真中央)
12月27日に逮捕されたが、健康状態が悪化したため病院に運ばれた

 インダストリオール・グローバルユニオンは韓国政府に書簡を送り、イ・ヨンジュ元韓国民主労総(KCTU)書記長の逮捕に抗議した。

 イ元書記長は、KCTU書記長として活動したこと、特に2015年11月14日に前政権の抑圧的な労働改革に抗議する人民大規模動員の組織に加担したことを理由に逮捕状が出されてから、2年間にわたってKCTU事務所に滞在していた。

 3年間の書記長の任期が終わると、彼女はKCTU事務所を出て与党民主党の事務所で座り込みのハンストを始め、労働時間規則に抗議した。

 健康状態が悪化し、民主党は会見要求をすべて拒否した。組合執行部はハンストの終了を勧めた。彼女は12月27日に逮捕されて病院に運ばれ、そこで警察の聴取を受けた。12月30日、検察官の要請によって拘留命令が出され、ソウル拘置所に移送された。

 ハン・サンギュンKCTU委員長も、デモの組織に関連するほぼ同じ容疑で、2015年12月から同じ拘置所に拘留されている。大規模な抗議を受けて2017年に朴元韓国大統領が政権の座を追われたとき、6,444人が恩赦を与えられた。しかし、ハン委員長とイ元書記長に対する告発は取り下げられなかった。

 インダストリオールは韓国の組合運動とのグローバルな連帯の一環として、2015年以降、何度かハン委員長とイ元書記長を訪問して会見した。

 国連の恣意的拘禁に関する作業部会は2017年4月、ハン委員長とイ元書記長の事件を検討し、韓国政府に「穏やかな抗議の場合も含めて、恣意的な逮捕や拘留を防止する責任があることを思い出させるとともに、各国に対し、常に刑事訴訟手続きの悪用を避けるよう要求」した。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は、文在寅韓国大統領への書簡で次のように書いた。
 「私たちは、大統領が国内・国際労働基準を守るという約束を果たし、この意味で、組合幹部の迫害をやめ、投獄されている労働組合員全員を釈放し、労働者の基本的権利の尊重を保証なさると信じています」

 韓国の組合は、政府の労働時間規則の解釈に抗議している。現行労働基準法によると、労働時間は1日8時間、週40時間である。労働者に超過勤務手当を支給し、さらに12時間働かせることもできる。だが政府の解釈によれば、この法律は週労働時間を月曜日から金曜日までと定義している。つまり、使用者は労働者に対し、月曜日から金曜日まで40時間の勤務プラス12時間の超過労働に従事させ、さらに土曜日と日曜日にも割増賃金で1日8時間働くよう要求できるということになる。

 この解釈では週労働時間が68時間と世界最長になる。第59節で、いくつかの区分の仕事が労働時間規則の適用を免除されている。現政権は週末労働の割増賃金を廃止したがっている。組合による主な闘いは、死傷事故の原因となるこの法解釈と第59節の適用免除をなくすことである。

 

組合キャンペーンの主要な目的は以下のとおり。

 1. ILO中核的条約の批准によって基本的労働権を達成し、国内労働法を国際基準に従わせる。

 2. 社会連帯の強化、最低賃金の引き上げ、不安定雇用の撤廃によって不平等を減らす。

 3. サムスンや現代のようなコングロマリットに労使関係、安全衛生などに対する責任を負わせることによって、財閥中心の経済システムを改革する。