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第77号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年3月31日)

インダストリオール、グレンコアのコバルト鉱山における労働者虐待を自動車産業に警告

2018-03-22

IAはグレンコア社のコバルトは、コンゴの劣悪な環境で採掘されていると自動車産業に警告した
全ての自動車メーカーに、コバルトの調達においてデューデリジェンスを実行するよう求めた

 グレンコアがコンゴ民主共和国に所有する鉱山の劣悪な労働条件が明るみに出たことを受けて、インダストリオール・グローバルユニオンは自動車産業に対し、同社に圧力をかけて事業を浄化させるよう求めている。

 鉱業と自動車産業の労働者を代表するインダストリオールは、何百もの自動車労組から成るグローバル労働組合ネットワークを利用して、自動車サプライチェーンでグレンコアがコバルト労働者を虐待している件について業界の自覚を促そうとしている。

 自動車産業は電気自動車の生産を増やしており、バッテリー用の重要な金属であるコバルトにますます依存するようになっている。グレンコアは世界最大のコバルトのサプライヤーである。

 2018年2月にコンゴ民主共和国に派遣されたインダストリオール実情調査団の報告により、グレンコアのカモト・カッパー・カンパニーとムタンダ銅山でコバルトを採掘している労働者は12時間勤務1回当たり750mlしか水を飲ませてもらえないこと、グレンコアは賞味期限を過ぎた食べ物を支給しており、風雨をしのげるまともな食事場所がないことが明らかになった。

 鉱山には適切なシャワーや沐浴施設もなく、労働者とその家族は汚染や職業性呼吸器疾患の危険にさらされている。「泥まみれで帰宅するので子どもを抱いてやることもできない」と、ある労働者は語った。

 このミッションは、労働者と家族がグレンコアの保健医療施設へ行くために42キロメートル移動しなければならないことも確認した。つまり、朝早く家を出なければならず、それでも帰りが夜になり、場合によっては治療を受けられないこともある。

 このミッションは、カモト・カッパー・カンパニーとムタンダ銅山の両方で労働者を代表しているコンゴ民主共和国のインダストリオール加盟組織、TUMECの緊急の要請を受けて実施された。

 TUMECは、コンゴ民主共和国のグレンコアの鉱山における賃金格差をめぐってスト実施を検討している。例えば、白人監督者は月給4,000米ドルで、直属の部下のコンゴ人は月給600米ドルである。

 報告書によると、グレンコアはTUMECとの労働協約を尊重しておらず、再交渉を拒否している。ミッションは、5年前から労働者の賃金が上がっていないことも確認した。

 世界のコバルトの60%以上が、世界最貧国の1つであるコンゴ民主共和国から供給されている。スイス系企業グレンコアの予想によれば、スマートフォン用バッテリーの重要部品でもあるコバルトへの需要は今後3年間に67%増えるだろう。コバルト価格は過去1年で倍以上に上がっている。

 昨年末、BMW、フォルクスワーゲン、フォードなど世界の主要自動車会社のグループであるドライブ・サステナビリティー・パートナーシップが、原料の調達に関連する倫理・環境・人権・労働権問題を確認し、それらに取り組むための新しいイニシアティブを開始した。インダストリオールはすべての自動車メーカーに、自動車産業向けのコバルトの調達においてデューデリジェンスを実行するよう求めている。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は次のように述べた。
 「自動車会社は、各社が販売する電気自動車が責任をもって生産されているという顧客の期待に応える必要がある。それらの電気自動車のバッテリーにとって非常に重要なグレンコアのコバルトは、その期待にはほど遠い」
 「私たちは自動車メーカー各社にグレンコアから買わないよう頼んでいるわけではなく、グレンコアに圧力をかけて『責任をもって生産しており、労働者の権利と地元の地域社会を尊重している』という同社の主張どおりに行動させることを求めている」

 インダストリオールはグレンコアCEOのアイバン・グラセンバーグに書簡を送り、コンゴ民主共和国の鉱山における労働者の状況を是正するよう一連の要求を提示した。

 グレンコアはコンゴ民主共和国で、子会社のムタンダ・マイニングとカタンガ・マイニング(カモト・カッパー・カンパニーを所有)を通じて約1万5,000人を雇用している。2016年にカタンガで露天掘り鉱山の壁が崩落し、7人の労働者が亡くなった。

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