イギリスのGKN労働者、借金を原動力にしたTOBの阻止を政府に要請
2018-03-01
イギリス全国のGKN労働者が国会議事堂に集まり、テリーザ・メイ政権が英国有数の老舗企業に対する借金を原動力にした買収を阻止するよう要求した。
産業革命の幕開けの1759年に設立された自動車・航空宇宙会社GKNは、「再建」専門会社のメルローズによる借金頼みの敵対的買収に直面している。この買収によってGKNは13億ポンド以上の債務を背負い込み、メルローズの顧問たちは最大1億4,000万ポンドの報酬を手にする。労働者は、削減とリストラによって自分たちが借金の返済を求められると考えている。
GKNは全英14カ所で6,000人を雇用している。2月28日、全国の事業所からGKN航空宇宙・自動車・国防労働者が国会議事堂に集まり、買収阻止を求めて国会議員と政府に働きかけた。
インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織のユナイトは政府に対し、国家安全保障を理由に、一般の人々のためにメルローズの公開買い付けを阻止するよう促している。GKNはイギリスの防衛装備を供給・維持している。
ユナイトの考えでは、メルローズによる公開買い付けは「例外的な配当」によって株主を引きつけるために多額の融資を利用しており、GKNに債務を負担させる。買収の主眼は、株主と銀行、それに2億8,000万ポンドを超えるボーナスを受け取るメルローズ経営幹部への支払いにほかならない。メルローズは、数千人の熟練雇用を守るための投資に基づいて、GKNの未来のために本格的な長期計画を立ててはいない。
メルローズによる買収の結果、GKNの段階的売却や雇用の削減・海外流出に至る可能性がある。
ユナイトのトニー・バーク製造業担当書記次長は次のように述べた。
「GKNはワールドクラスのメーカーで、政府の産業戦略に不可欠であり、英国製造業の重要企業の1つだ」
「メルローズの手中に落ちれば、すべてが危険にさらされ、イギリスを電気自動車分野のリーダーにという閣僚の計画が台無しになりかねない」
「借金を原動力にしたメルローズの公開買い付けは、フランスやドイツでは起こらないだろう。テリーザ・メイは国益のために行動すると言っている。今こそ、その言葉を実行に移し、政権がGKNの買収を阻止することによって英国の雇用を守らなければならない」
インダストリオールとインダストリオール・ヨーロッパは以前ユナイトに書簡を送り、ユナイトの立場への支持を表明した。ケマル・ウズカン書記次長は国会議事堂での集会に先立って次のように発言した。
「メルローズはGKNに投資して数千人の熟練雇用を守るという意志をまったく示していない。この借金頼みの取引は、株主の短期利益と経営幹部のボーナスを生み出すことしか考えていない」
「私たちは生産的経済を食い物にする投機家に反対しているユナイトを支援する」
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