広報ニュース

第80号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年6月30日)

キャタピラー組合ネットワーク、日本の同志との連帯を表明

2018-06-28

キャタピラー・グローバル労組ネットワークが初めて日本(相模原)で、年次労働組合ネットワーク会議を開催した
相模原工場は2018年7月末で工場が閉鎖されるが、同社は海外でも1万5千人以上の雇用が削減されて手当は用意されていない

 キャタピラー・グローバル組合ネットワークは、2018年7月末に工場が閉鎖される日本の相模原で年次会合を開催し、組合を強化してキャタピラーをよりよい企業にするためにグローバルな連帯を確認した。

 6月25~26日に日米欧から30人以上の代議員が集まり、キャタピラーで年次労働組合ネットワーク会議を開いた。加えて、経験を交換するためにコマツユニオンからのゲストも出席した。

 このネットワークは今年初めて東京近郊の相模原で会合を開いた。相模原工場は2016年終わりの経営意思決定を受けて閉鎖される。その後、キャタピラーでは全世界で1万5,000人以上の雇用が削減されたが、配当は手付かずのままである。

 過去2年間に多くの工場が閉鎖され、大幅に縮小された工場もある。相模原工場は年末までに操業を停止し、取り壊されることになっている。幸い、キャタピラージャパン労働組合(基幹労連加盟組織)は余剰人員解雇を何とか最小限に抑え、多くの労働者を他社や明石工場に異動させた。それでも、工場閉鎖が労働者とその家族にとって悲痛な話であることに変わりはない。

 キャタピラー労組の武井英樹中央執行委員長は次のように述べた。
 「私とこの会議に参加した組合員にとって、他国の行動や問題について学べたことは実に有益な体験だった。このネットワークが成功を収め、世界中のキャタピラー労働者間の連帯を強化するよう願っている」

 日本基幹産業労働組合連合会(基幹労連)の神田健一中央執行委員長と全日本金属産業労働組合協議会(JCM)の浅沼弘一事務局長も会議で挨拶した。

 ネットワークと作業部会で議論の中心となったのは、悪しき決定と工場閉鎖を防ぐために会社側に対話の改善を要求するという案である。ネットワークはキャタピラーをよりよい会社にすることを目指しており、労使関係の改善によってこれを達成しようと努めている。

 コマツユニオン中央執行委員長も出席者に挨拶し、世界の他の地域と根本的に異なる日本式の社会的対話について説明した。

 マティアス・ハートウィッチ・インダストリオール機械エンジニアリング担当部長が、ほとんどの日本人の同僚が「キャタピラー」という英単語に「チョウの幼虫」という意味もあることを知らないことを念頭に置いて、会議を総括した。
 「将来、経営側が労働者と労働組合を敵ではなくパートナーとみなすようになれば、キャタピラーはもっと成功を収めることができるはずだ。労働組合ネットワークと参加組合員は常に公正な対話を受け入れる。これは労働者だけでなく企業のためにもなる。だから、貪欲なキャタピラーが本当に美しいチョウになるかもしれない」

 ネットワークは共同活動計画を採択した。参加者全員がネットワーク構築の続行を決意している。さまざまな労働組合・地域間の交流は、そのような多国籍企業で理解を深めるうえで極めて重要である。さらに、先ごろ経営側が人権についての議論を開始する旨発表しており、対話の改善につながると期待される。キャタピラー・グローバル組合ネットワークは、この対話に入る用意がある。

 

インドとスリランカの組合、持続可能な産業政策を要求

2018-06-28

IA南アジア事務所はインド・デリーとスリランカ・コロンボで持続可能な産業政策についてのワークショップを開催した
政府に対して持続可能な政策を提案すると同時に、一般組合員にも認識を促すことを決めた

 インドとスリランカの労働組合は、全国レベルの社会的対話を強化し、産業政策の立案に労働者の意見を採り入れることが、持続可能な産業政策を策定するとともに、持続可能な産業で新しいディーセント・ワークを創出しつつ現在の労働者を保護する公正な移行を開発するために極めて重要だと強調した。

 インダストリオール南アジア地域事務所は、2018年6月18~19日にデリーで、6月21~22日にコロンボで、連続して2回の「持続可能な産業政策に向けた」ワークショップを開催した。デリーで開かれた「持続可能性への課題」に関するパネルディスカッションに参加したインドのナショナルセンターの指導者たちは、インド政府が最近労働組合の要求を一貫して無視していることに深刻な懸念を表明した。インドの労働組合はゼネストも含めて一連の全国レベル抗議を組織しているが、政府は社会的対話を徐々に弱め続けている。インド政府は危険なまでに労働法改革を推進しており、この改革は不安定雇用を急増させ、新規雇用と解雇を繰り返す使用者の方針を促進する。

 インダストリオールのブライアン・コーラー安全衛生・持続可能性担当部長は次のように述べた。
 「仕事の世界は、気候変動とインダストリー4.0の形での急速な技術的転換とに起因する、重大な持続可能性の課題に直面している。多国籍企業は躍起になって生産プロセスを転換しており、政府はそれを促進する政策枠組みを作り出している。そのような転換は持続可能でなければならず、人権・労働権、経済開発および環境保護を盛り込んでいることが不可欠だ。このプロセスにおいて、労働組合運動は重要な役割を担っている」

 インド全国労働組合会議(INTUC)議長およびインダストリオール加盟組織インド全国金属労連会長を務めるG・サンジーバ・レディー博士が次のように述べた。
 「インドの労働組合は歴史的に重要な全国同盟を結成しており、労働者の権利を守るために一致協力している。私たちは産業が急速な技術開発と気候変動に対処できるようにする産業政策を歓迎する。しかしながら、この過程で雇用創出と労働者の雇用保障・社会保障を十分に重視すべきだ。労働組合の見解に対するインド政府の無関心は依然、組合運動にとって大きな課題となっている」

 アマルジート・カウアー全インド労働組合会議(AITUC)書記長はこう語った。
 「インドの経済成長は最近、労働者階級に利益を与えていない。実質賃金が目減りし、組織部門においてさえ不安定雇用が増加している。労働組合権が一貫して攻撃され、雇用創出の課題が立ちはだかっている。廃貨やいわゆる物品・サービス税制改革(GST)をはじめ、インド政府の最近の政策は事実上、失業問題を悪化させている。我が国の経済・社会・環境ニーズを満たすように持続可能な産業政策を発展させるために、政府は労働組合の見解を考慮に入れる必要がある」

 鉄鋼、エネルギー、自動車、電機・電子、衣料・繊維、皮革、化学、エネルギー、鉱業、セメント、船舶解撤およびインフォーマル・セクター労働者など、多様な分野を代表しているインドのインダストリオール加盟組織が経験を共有し、さまざまな持続可能性問題や労働安全衛生問題について議論した。また、インダストリオールのグローバル枠組み協定(GFA)に「公正な移行」の原則を盛り込むべきことも示唆した。この行事には、ナショナルセンターのAITUC、CITU、HMS、INTUCおよびNTUIの全国指導者が参加した。

 コロンボのワークショップでは、スリランカ政府に関与するための組合戦略の策定に焦点を合わせた。参加組合は、スリランカのような低~中所得の発展途上国には「フリーサイズ」のアプローチは適していないと強調した。持続可能性と公正な移行を確保し、雇用創出・開発の差し迫った必要に取り組むために、スリランカは適切な政策余地を必要としている。参加組合は、インドの持続可能な産業政策案を起草し、全国労働組合の合同プラットフォームで広域的な支援を確立することを決議した。さらに、一貫して政府に持続可能な政策を提案すると同時に、一般組合員の認識を促すことも決定した。

 アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長が述べた。
 「南アジア地域の産業政策への持続可能なアプローチが今必要とされている。すべてのレベルで社会的対話を強化し、政策問題に関する労働組合の意見を採り入れる有意義な制度構造を構築すれば、公正な移行と持続可能な産業政策の達成に役立つ」

 

テナリス・コロンビアで組合に対する迫害が続く

2018-06-21

テナリス・チューボカリベ労働者は会社からの組合への攻撃的行為をILOに提訴し、5週間にわたって抗議している
本件は若年に向け労働条件を報告するためにWhatsAppのグループ設置を理由に、会社が労組のマルゴ会長を処分したことに端を発する

 コロンビアのテナリス・チューボカリベ労働者はILOに提訴し、5週間前からカルタヘナの工場前で抗議行動を実施、同社による労働組合Sintratucarへの組織的攻撃を糾弾している。

 コロンビアの労働者は、6月上旬に国際労働機関(ILO)に苦情を申し立てるとともに抗議行動を実施し、2017年10月以降テナリスが結社の自由と団体交渉の権利を繰り返し攻撃していることを非難している。

 Sintratucarに対する迫害が始まったのは、会社側が同労組のワルベルト・マルゴ会長を処罰したときだった。その理由は、労働条件について報告するために、パートタイム契約の若年労働者向けにWhatsAppグループを設置したことである。

 若年労働者は、自分たちが安全性の問題に関する訓練を受けておらず、労働災害に遭う恐れのある職務を遂行していることを明らかにした。これに対して会社側は報復し、解雇すると脅して強制的に組合を脱退させた。

 Sintratucarの要請で労働省が介入し、テナリスに団体交渉を強制してようやく同社は交渉に応じた。

 しかし、結果は芳しくなかった。同社が提示した案は、賃上げなしと雇用の不安定化を定める条項を盛り込んだ受け入れがたいものだったのである。

 さらに会社側は、団体交渉でパンフレットを配布した組合幹部7人を7日間の無給停職処分にした。

 加えて、さらに31人の指導者と組合員が減給210日の処分を受けた。

 同社は休日の超過労働を拒否した組織労働者にも、最大3日間の減給処分を科した。

 インダストリオール・グローバルユニオンは2017年9月、ルクセンブルクの経済協力開発機構(OECD)ナショナル・コンタクト・ポイントに、グアテマラにおける組合権侵害でテルニウム(テナリスと同様にテチント・グループ傘下)を提訴した。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は、6月20日にテチント・グループCEOのパオロ・ロッカに書簡を送り、次のように述べた。
 「コロンビアのテナリス・チューボカリベとグアテマラのテルニウムの鉄鋼工場で直ちに介入し、紛争を公正に解決するよう強くお勧めます。インダストリオールはテナリス・テルニウム世界労働者協議会とともに、労働者の支援に全力を尽くしています。インダストリオールは、全世界における妥当な労働条件の整備だけでなく、紛争を防止すると同時に解決することもできるテナリス、テルニウム両社との信頼できる成熟した社会的対話の確立へのコミットメントも繰り返し表明します」

 

ILOでメキシコ政府による結社の自由の侵害を再び非難

2018-06-19

ILOの基準適用委員会でメキシコ政府によるILO第87号条約(結社の自由条約)違反への糾弾がなされた
組合によると同政府が支持する保護協約が、結社の自由と真の団体交渉に対する権利侵害になると批判している

 労働組合10団体が、メキシコ政府によるILO結社の自由条約(第87号)の度重なる甚だしい違反を糾弾している。

 基準適用委員会(CAS)はメキシコ政府によるILO第87号条約の違反を調べている。6月上旬の全体会議で、労働者代表は労働組合員に対する甚だしくかつ度重なる暴力行為を報告し、2017年、2018年にトレックス・ゴールド所有のメディア・ルナ鉱山で紛争が発生した際、インダストリオール加盟組織ロス・ミネロスの組合員4人が死亡した件でメキシコ政府を非難した。

 組合によると、現政権が支持する保護協約(使用者と御用組合との違法な労働協約)は、結社の自由と真の団体交渉に対する権利の侵害となる。

 「保護協約は最も低い労働コストを保証し、何より労働者と交渉する必要がない。メキシコでは1960年代以降、保護協約が国の政策と経済の極めて重要な要素となっている。このモデルは成功して広まり、すべての産業部門を対象とするに至った」とインダストリオールのプロジェクト・権利担当役員のスザンナ・ミラーは言う。

 ところが、メキシコ政府とさまざまな事業部門の共犯者はこの事実を否定し、この慣行が結社の自由と団体交渉の弱体化を目的としていると決め付ける客観的な根拠はないと主張した。

 同様にメキシコの使用者代表も、メキシコには「嫌がらせも解雇もなく、団体交渉と社会・労働平和がある」と述べた。これに対して失笑が起こった。全体会議は、この発言をメキシコの労働者に対する侮辱とみなしたのである。

 基準適用委員会は、2015年からメキシコ政府に対し、ソーシャル・パートナーと協力しながら、保護協約関連問題に取り組む法律と慣行を導入するよう求めていることを指摘した。しかし今なお、あらゆる産業部門へのすべての新規投資に、あらかじめ締結された保護協約が自動的に組み込まれている。

 労働者グループは、メキシコについてスペシャル・パラグラフを盛り込み、ILOに直接接触ミッションの任命を求めるよう要求した。しかしながら、これは委員会の最終勧告に含まれていなかった。

 基準適用委員会はメキシコ政府に対し、今年11月に開かれる次の専門家委員会までに、最終勧告の適用にあたって取られた措置に関する詳細な情報を提供するよう求めた。たとえ政権交代があっても、メキシコは2019年まで引き続きCASの監督リストに掲載される。

 

2018年ILO総会で労働者の権利を擁護

2018-06-14

 5月28日から6月8日にかけてジュネーブで開催された第107回国際労働総会では、仕事の世界におけるジェンダーに基づく暴力に関する条約やILO条約違反など、労働運動にとって重要な問題をめぐり議論した。

 ILO総会は、「持続可能な開発目標を支持する効果的なILOの開発協力」に関する全体討論を行い、ILOの将来の開発協力ビジョンを形成することを視野に入れて、2018年以降のILO開発協力戦略についての指針を与えた。

 インダストリオール・グローバルユニオンは、貧困と飢餓から平等、クリーンエネルギー、気候行動、ディーセント・ワークと経済成長、平和と公正に至る17の目標を支持して、次のように発表した。

 「必要なものは計画である。道徳的に正当化できる唯一の対応は、労働者に公正な移行を保証すること。労働者に、この緊急に必要とされる転換を支持してもらいたければ、労働者のためになることを盛り込まなければならない」

 仕事の世界サミットが開かれ、政府やソーシャル・パートナー、著名な専門家が参加して最も重要な問題を検討し、平和と強靱性のためのディーセント・ワークに取り組んだ。

 インダストリオール・グローバルユニオンはこう述べた。
 「私たちは製造・エネルギー・鉱業部門の労働者として、関連産業と雇用においてデジタル化と(各種の破壊的な先端生産技術の呼称である)いわゆるインダストリー4.0の影響をすでに強く感じている。職場のデジタル化が進む中で、いくつかの権利を勝ち取らなければならない。

  • 地方・地域・全国・国際レベルにおける労働者代表の情報・協議権
  • 教育・訓練に対する権利
  • 職場と家庭における一定水準のプライバシー権」

公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言をフォローアップして、社会的対話と三者構成原則をめぐり重要な討議が行われた。

インダストリオールは述べている。
 「社会的対話には労働における基本的権利の完全な尊重と実施が必要だが、大変残念で腹立たしいことに、世界のあらゆる場所で労働者の権利の侵害が増えている傾向が見られる」

 政労使代表が集まり、仕事の世界における暴力とハラスメントに関する将来の文書の性質や適用範囲について交渉した。政府側が支持したおかげで、委員会は勧告によって補足される条約を支持している。

基準適用委員会(CAS

 基準適用委員会での報告によると、ハイチでは過度に高い目標と長時間労働が見られ、まさに賃金泥棒にほかならない不当に安い超過労働手当が支給されており、メキシコでは労働者が公正な組合選挙を要求したために殺害されたり、脅されたり、解雇されたりしており、ナイジェリアではシェルに雇用される不安定労働者が組合を結成しないと約束する書簡への署名を強制され、ベラルーシでは組合権を行使した組合が刑事罰の対象となり、ボツワナの鉱業部門では交渉も補償もなしに大量レイオフが実施された。

 ブラジルは、団体交渉権に関する第98号条約の違反でCASに提訴された。ブラジルのナショナルセンター6団体すべてが声をそろえて、正当性のない政府が可決した退行的な労働法改革を糾弾した。インダストリオールはグローバル・ユニオンのPSI、ITFおよびEIとともに、この労働改革が1億人の労働者に悪影響を及ぼすことを非難した。これに対してブラジルの労働大臣は、ILO専門家委員会は信頼できないと主張、ブラジルを「政治的動機によって選び出された悪意のあるリスト」に載せたとして同委員会を非難し、出席者全員の反発を招く結果となった。

 ブラジル、メキシコ両方の事例で、労働者側スポークスパーソンはスペシャル・パラグラフとILO直接接触ミッションを要求した。報告書は、両国政府は11月の専門家会合のためにILOに折り返し報告しなければならないと結論づけた。つまり、両国は2019年も引き続きCASの検討対象リストに掲載されるということである。

 インダストリオールは加盟組織を支援して、ウクライナにおける労働監督の解体、ミャンマーにおける機能的な組合の結成に対する制限、アルジェリアでインダストリオール加盟組織Snategsの迫害に至った結社の自由と言論の自由に対する残酷な弾圧を非難した。

 インダストリオールはCASで労働時間に関する総合調査にコメントを寄せた。インダストリオールは次のように結論づけている。
 「労働者の権利の侵害に終止符を打たなければならない。このような状況を続けることはできない。これは進歩と社会的公正を達成するために共同で取り組む場であり、これらの労働権・人権の侵害を直ちに終わらせなければならない」
 「労働における基本的原則および権利を尊重しつつ、協調的アプローチによってディーセント・ワークを促進する必要がある。私たちは世界の製造・エネルギー・鉱業部門の労働者としてコミットメントを再確認し、政府・使用者にも同じことを要求する」

基準適用委員会(CAS)の報告書(原文)はここで参照できる。

 

韓国の組合指導者イ・ヨンジュが釈放!

2018-06-14

ソウル拘置所で6カ月過ごした後、釈放されたイ・ヨンジュ女史(写真:右端)
彼女がデモを組織して参加者が公務執行を妨害したとして、執行猶予付きで懲役刑と罰金刑が言い渡されていた

 イ・ヨンジュ元韓国民主労総書記長が2018年6月14日午前、執行猶予で刑務所から釈放された。彼女はソウル拘置所でほぼ6カ月を過ごした。

 釈放されたものの、イは6月12日の裁判において、すべての容疑で有罪判決を下された。裁判官は、2015年11月14日に人民大量動員集会を組織したとして、彼女に懲役3年、執行猶予4年、罰金50万韓国ウォン(460米ドル)を言い渡した。検察側は、このデモは交通の妨害となり、10万人のデモ参加者が解散せずに公務の執行を妨げ、何人かのデモ参加者が機動隊の放水銃と公共のデモに対する取り締まりに抵抗したと主張した。

 この動員は抑圧的な労働改革に反対するもので、韓国で大衆運動を引き起こすきっかけとなった。その結果、朴槿恵元韓国大統領が弾劾され、現在、皮肉にも労働組合指導者が拘留されているのと同じ拘置所で24年の刑に服している。

 文新政権は「キャンドルライト政府」を自認しており、労働運動を尊重すると約束したが、前大統領が投獄されたからと言って、これまでのところ労働組合の権利と自由に対する韓国政府当局の態度が変わったわけではない。

 イの同僚であるハン・サンギュンKCTU委員長は、2015年12月に投獄され、今年5月に釈放された。

 国際労働組合運動は、韓国の労働組合権の状況に絶えず特別な注意を払っている。インダストリオールは獄中の組合指導者を何度か連帯訪問した。同時に、ITUCおよび他のグローバル・ユニオンとともに、韓国の労働組合と連帯して抗議行動を組織した。

 ケマル・ウズカン書記次長は言う。
 「イ・ヨンジュの釈放を祝福する。しかし、裁判所が彼女に対するすべての容疑を不起訴としなかったことは残念だ。文大統領は本件に特別な注意を払い、韓国で労働者の利益を優先事項とするために全力を尽くすべきだ」

 

インドのシュナイダーエレクトリック労働者、組合権を求めて結集

2018-06-11

ルミナス・パワー・テクノロジーズの労働者は労働組合を発足させ、登録に必要な手続きを全て完了したが、
会社側からさまざまな報復活動や組合つぶしを受けたため、結集して結社の自由と団体交渉の権利を要求した

 エネルギーマネージメントのグローバル・スペシャリスト、シュナイダーエレクトリックが所有するルミナス・パワー・テクノロジーズの労働者は、経営側の報復措置とカースト制度に基づく虐待に抗議して結集し、結社の自由の権利を要求した。

 ルミナス・パワー・テクノロジーズ労働者は2018年6月9日にヒマチャル・プラデシュ州ウナ県Gagret Tehsil Ambで集会を開催、組合役員の異動を非難するとともに、結社の自由と団体交渉の権利を要求した。

 労働者は権利侵害の悪化、劣悪な労働条件、労働安全衛生問題に対応して、集団的決定により2018年3月26日に独自の組織ルミナス・パワー・テクノロジーズ労組を結成した。

 同労組は組合登録に必要な手続きをすべて完了している。ところが経営側は、労働者による組合結成の動きを知るや、さまざまな報復活動や組合つぶし活動を開始、組合委員会メンバーを脅したり組合役員全員の勤務シフトを変更したりし、彼らを孤立させて職場で他の組合員に会えないようにした。

 さらに経営側は、12人の役員全員をヒマチャル・プラデシュから2,800キロメートル以上離れたタミル・ナードゥ州ホスアー工場に異動させた。この全役員の異動は、労働当局による労働組合確認プロセスの開始直前に行われ、偶然の一致ではあり得ず、必然的に組合結成努力の妨げになるだろう。

 労働者によると、ルミナス・パワー・テクノロジーズの何人かの管理者は、組合役員のカーストに基づく暴言を吐き、他の労働者の前で彼らを侮辱して組合を中傷し、労働者による組合加入を阻止しようとした。労働者はそれらの虐待的な管理職を警察に訴えた。

労働者はシュナイダーエレクトリック経営陣への書簡で次のとおり要求した。

  • 組合つぶし活動、組合役員に対する嫌がらせや虐待をやめること。
  • 会社の価値観に記載される多様性へのコミットメントを実行に移すこと。
  • 組合登録手続きにおいて中立性を保つこと。
  • すべての組合役員と他の労働者の異動を取り消すこと。
  • 賃金、労働条件および労働安全衛生を改善するために組合役員と建設的な討議を行うこと。
  • 組合役員に対してカースト制度に基づく暴言を吐いた管理者を処罰すること。

 

職場におけるジェンダーに基づく暴力に関する条約を目指して

2018-06-07

 

 5月28日にジュネーブで年1回の国際労働総会(ILO総会)が開幕し、ガイ・ライダー事務局長が会議冒頭、職場における暴力や嫌がらせをなくすための強力な行動を求めた。ILO加盟187カ国の政労使代表が集まり、職場における暴力や嫌がらせに関する将来の文書の性質や適用範囲について交渉した。

 インダストリオールは加盟組織に、ケニア金属合同労組のローズ・オマモが労働者グループに加わり、仕事の世界における暴力や嫌がらせに関する基準の採択をILO総会に要求したことを伝えた。
 「交渉は厳しかったが、条約の実現に向けて労働者を本格的に支持している国々の政府から多大な援助を受けた。勧告によって補足される条約を確保できたので満足している」
 「政労使は、この問題に関する未来の文書の性質は、勧告によって補足される条約であるべきだということに合意した」
 「労働者は多くを達成し、序文に『ジェンダーに基づく暴力』という文言を盛り込ませ、家庭内暴力も序文と適用範囲に入れさせた。労働者の定義が職場だけでなく仕事の世界にも広げられた」とオマモは述べた。

 これは労働者が職場だけでなく職場外(例えばバス停や自宅)でも保護されることを意味するため、大きな成果である。

 「来年は今回取り組むことができなかった内容も盛り込みたい。労働者が本当に望んでいたのは全世界で利用される基準だったので、今回の成果には満足している。これからも引き続き課題に取り組んでいく」とオマモは締めくくった。

 

2018年ITUC世界労働権利指数――民主的空間の縮小と企業欲の拡大

2018-06-07

ITUC世界労働権利指数は、国際的に認知された97の指標に基づいて142カ国をランク付けしている
ほとんどすべての国々でディーセント・ワークと民主的権利が衰退し、不平等が広がり続けている

 労働者の独断的な逮捕・拘留が見られる国の数は2017年の44カ国から2018年には59カ国に増え、54カ国で言論の自由が制限されていた。

 2018年ITUC世界労働権利指数は、国際的に認知された97の指標に基づいて142カ国をランク付けし、法律面および実際面で労働者の権利が最も手厚く保護されている国を評価している。

 2018年世界労働権利指数で確認された労働者の権利をめぐる3つの世界的傾向は、民主的空間の縮小、抑制のない企業の影響力、法律の重要性である。

 「国民が団結し、率直に意見を述べ、行動を起こす権利を保障していない国々で、民主主義が攻撃されている。ブラジルは結社の自由を否認する法律を可決し、中国は言論の自由を制限し、インドネシアでは労働争議の弾圧に軍隊が利用された」と国際労働組合総連合のシャラン・バロウ書記長は言う。

 移民労働者から公務員、プラットフォーム・ビジネスの労働者まで、労働者を労働法の適用対象から除外する国が増えており、65%の国々がいくつかの労働者区分を丸ごと労働法の適用対象外としている。

 ほとんどすべての国々でディーセント・ワークと民主的権利が衰退し、不平等が広がり続けていた。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。
 「残念ながら、労働者・労働組合の権利の侵害は例外ではなくむしろ通例となっている。私たちは先週、国際労働総会でいくつかの国々の労働者グループを支援した。ILO当事者によると、総会では最も重大な事例のみ討議する。私たちは、この点で役割を果たすよう国際機関に要求し続け、必要に応じて引き続き国際連帯も動員する。」

報告書の主な調査結果は以下のとおり。

  • 65%の国々が一部の労働者グループを労働法の適用対象から除外している。
  • 87%の国々がスト権を侵害している。
  • 81%の国々が一部または全部の労働者の団体交渉を認めていない。
  • 調査対象142カ国中54カ国が言論の自由と集会の自由を否認または制限している。
  • 労働者が肉体的な暴力や脅威にさらされている国の数は10%(59%から65%に)増加し、バーレーン、ホンジュラス、イタリア、パキスタンが含まれている。
  • 労働者が逮捕・拘留されている国は2017年の44カ国から2018年には59カ国に増えた。
  • ブラジル、中国、コロンビア、グアテマラ、ギニア、メキシコ、ニジェール、ナイジェリア、タンザニアの9カ国で労働組合員が殺害された。

 

サウスカロライナのボーイング整備士、IAM加入を票決

2018-06-04

サウスカロライナ州のボーイング社整備士が全米機械工・航空宇宙労組(IAM)への加入を票決した
米南部は反組織的な地域として知られ、その中でもサウスカロライナ州は民間部門での組織率が全米で最も低い

 サウスカロライナ州チャールストンのボーイング工場で働くフライトライン整備士のグループは、進行中の組織化活動において大きく前進し、インダストリオール・グローバルユニオン傘下の全米機械工・航空宇宙労組(IAM)加入を票決した。

 工場で製造されたドリームライナー787が出発準備を整えられるようにしているフライトライン整備士の交渉単位は、機械工労組への加入を票決した。この176人の労働者はサウスカロライナ工場で働く7,000人の一部を代表しており、この勝利は現場で労働組合の結成を目指す長年にわたる闘いの重要な足がかりとなる。

 全国労働関係委員会の規則によると、労働者の中のグループ(「マイクロユニット」)は労働条件が一定の基準を満たしていれば労働協約を取り決めることができる。IAMは、このマイクロユニットで先例を作り、他の労働者たちにも組合加入を促したいと考えている。

 IAMは全米24カ所で3万5,000人のボーイング労働者を代表しているが、会社側はこれまでサウスカロライナで組合結成の取り組みを阻止することに成功している。米国南部は反組合的なことで有名であり、サウスカロライナ州は民間部門の組合組織率が全米で最も低い。この工場で労働組合を結成しようとする過去の試みは失敗に終わり、2015年には現米国国連大使のニッキ・ヘイリー州知事が反組合キャンペーンを主導した。

 ボーイングは現在の組織化活動にも対抗しており、組合つぶし屋を雇ったり、労働者に反組合的な会合への出席を強制したりしている。同社は土壇場で投票に法的異議を申し立て、投票箱を押収させようとした。結果が発表されると、会社側は失望を表明し、この投票を違法と宣言させるために努力すると断言した。

 現場で組織化活動を主導したIAMのマイク・エバンスは次のように述べた。
 「この選挙の争点は賃金だけではなかった。男女労働者は職場における尊厳と調和を求めていた。そして、今回の投票によって目標達成に近づいた。ボーイングがやるべきことをやり、献身的な飛行準備技術者との誠実な交渉に応じるよう願っている」

 ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール航空宇宙担当部長は述べた。
 「南部では、使用者と政府、議員が共謀して、組合にとって非常に厳しい環境を生み出している。ボーイングは労働者の組合加入を阻止しようと手を尽くしたが、労働者は職場における尊厳と尊重のために立ち上がることを選んだ。これは大きな功績であり、さらに多くの労働者があとに続くことを願っている。私たちはIAMを祝福する」
 「ボーイングが成熟した企業になり、組合と生産的な関係を確立すべき時期だ」

 IAMはボーイング、ロッキード・マーチン、ゼネラル・エレクトリック、ユナイテッド航空、ハーレー・ダビッドソンをはじめとする企業で60万人の組合員を代表している。

 

鉄鋼・アルミ関税をめぐる最近の展開に関するインダストリオール・グローバルユニオンの声明

2018-06-01

 米国政府は昨日、数カ国に鉄鋼・アルミ輸入関税を賦課すると発表した。

 インダストリオール・グローバルユニオンは、第2回大会で採択された政治決議、グローバルな鉄鋼危機に関する宣言および3月23日の声明に沿った立場を繰り返す。この立場は、世界の労働運動とより広い社会の中で主導的役割を果たし、万人のためになる公正な世界貿易のビジョンを支持するコミットメントを明確に表明するものである。

 このような状況において、インダストリオール・グローバルユニオンは、なかなか解決しない世界的な鉄鋼・アルミの過剰生産能力の問題に取り組むための努力を倍加する。私たちは鉄鋼・アルミ産業で雇用を保護・創出するための努力を強く支持するが、今回のように無差別、一方的かつ不公正で貿易戦争を引き起こすおそれがあり、ひいては数カ国で数千人の雇用を危険にさらすであろう関税の実施は批判する。

 各国政府は、OECD鉄鋼委員会や鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラムなどの国際フォーラムで取り組みを調整して中国に圧力をかけ、生産能力の削減、過剰生産能力を生み出す不公正な取引方法の撤廃、他国における過剰生産能力の発生の防止を求めなければならない。インダストリオール・グローバルユニオンは引き続き、それらの努力を支援し、OECD鉄鋼委員会に参加し、鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラムへの労働組合参加を模索していく。

 さらに、世界的な鉄鋼・アルミの過剰生産能力の問題と闘うために、組合間の連携強化にも尽力する。この連携は、グローバルな組合の力と連帯の強化を確保するのに役立つ。この意味でインダストリオール・グローバルユニオンは、来週ブリュッセルで開かれるインダストリオール・ヨーロッパ素材金属会合に参加し、この問題について議論する。

 私たちは引き続き鉄鋼・アルミ部門の全加盟組織と連帯して協力し、一方的な政府の決定が世界のいかなる場所でも雇用を脅かさないようにする。