イタリアの鉄鋼労働者、アルセロール・ミッタルとの協約を確認
2018-09-19
イルバ・グループ労働者(インダストリオール加盟組織FIM-CISL、FIOM-CGILおよびUILM-UILの組合員)は、9月6日に経済開発省と労働組合、アルセロール・ミッタルの間で締結された新協約を賛成93%の圧倒的多数で承認した。
過去1週間、グループの労働者全員が参加する集会が何度か開かれた。これらの集会で労働者は協約の内容について知らされ、批准に賛成の投票をした。労働者は会社側との協約に多数の賛成票を投じた。この協約が承認されれば、工場の取得と即時操業への道を開く可能性がある。
イタリアでイルバ・グループ労働者約1万4,000人を代表しているFIM-CISL、FIOM-CGILおよびUILM-UILはそれぞれ、すべての現場で合計44回の集会を開いた(タラントで32回、ジェノバで3回、ノービリグレで4回、マルゲラ、サレルノ、パドア、ミラノおよびラッコニージで各1回)。
3組合は共同声明で次のように述べた。
「達成された成果に大きな満足を表明する。労働者は協約を承認した。ホットエリアの差し押さえから6年、12回のイルバ救済命令と数十回のストを経て、労働者による協約承認によって我が国有数の複雑な争議が終結する」
締結された協約に従って、鉄鋼業の復興のために42億ユーロの投資が計画されている(産業に12億5,000万ユーロ、環境に11億5,000万ユーロ、買収の一環として18億ユーロ)。また政府はタラント工場の除染プログラムと環境改善のために、前所有者のリバ・グループから没収した12億ユーロも利用する。環境問題とその後発表された資源の没収が原因で、イルバ・グループ、特にタラント工場は2012年7月から危険にさらされていた。
3組合は、「タラント工場を皮切りに環境研究の進展と現場の安全、それに可能な限り早く完全雇用を達成するための計画の実施タイミングを監視する」と約束した。
同社はまず1万700人の労働者を雇用すると約束した。協約によると今後雇用は削減されない、と組合側は説明した。すぐに雇用されない労働者や任意の離職・配置転換プログラムに同意した労働者は、除染プログラムが終了する2023年までに雇用される。残った数千人の過剰人員は除染プログラムを通して雇用される。
しかし、この協約によって問題がすべて解決するわけではない。ヨーロッパの独占禁止法に基づいて、アルセロール・ミッタルはガラツィ(ルーマニア)、オストラバ(チェコ共和国)、スコピエ(マケドニア)、ピオンビノ(イタリア)、デュードランジュ(ルクセンブルク)、リエージュ(ベルギー)にあるいくつかの小規模施設を売却する。
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。
「この長期にわたる争議が望ましい形で解決されたことについてイタリアの同志を祝福する。これは私たち全員にとっての勝利だ。イルバの鉄鋼労働者全員がアルセロール・ミッタルでグローバル組合ネットワークに参加することも歓迎する。これによって彼らは、よりよい協議や情報、それに社内で方針に影響を及ぼす可能性を得ることができるだろう。他方、私たちはアルセロール・ミッタルと欧州委員会に対し、それぞれの組合に関与し、売却された施設で労働者の権利と権益が完全に保護されるようにすることを求める」
OECD鉄鋼委員会、貿易摩擦と過剰設備を中心に議論
2018-09-19
鉄鋼の過剰生産能力は全世界で依然5億4,000万トンに上り、次の鉄鋼不況が来れば大規模なダンピングによって鉄鋼労働者の雇用が危険にさらされる。
これはOECD鉄鋼委員会が出した結論の1つである。この年2回の会合は9月17~18日にパリで開かれ、100人を超える政労使代表が集まった。参加組合にはインダストリオール・グローバルユニオンとともに、インダストリオール・ヨーロッパ、OECD労働組合諮問委員会(TUAC)、フランスCFE-CGC、英国ユナイトが含まれていた。
世界の鉄鋼生産能力は、2018年には2015年以来初めて増加すると予想される。今後数年間の能力増加は中東とインドに集中すると見られている。
中国は過剰生産能力を助長しているとして、会合で政府や業界団体、インダストリオール・グローバルユニオンから激しく批判された。中国の鉄鋼生産は国家的な支援を受けて20年足らずで5倍に増加し、中国製品は海外で市場価格以下の価格で大量に販売されている。
この会合で中国の業界・政府代表は、中国に過剰設備が存在することを否定。中国は生産能力をすでに1億2,000万トン減らしていると説明し、中国には現在、少なくとも等量の設備能力を削減しない限り新規設備を追加できないという厳格なルールがあると述べた。中国は今、世界の鉄鋼生産の半分を占めている。
先ごろ一方的に鉄鋼関税を課したアメリカも、会合参加者から大きな批判を浴びた。米国政府代表は、これらの関税は国際貿易ルールに従っており、国家の安全に対する脅威に対応して導入されたものだと答えた。
参加者は、鉄鋼委員会や鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラムなどの多国間組織が、鉄鋼の過剰生産能力を削減するという約束を果たし始めなければならないことに合意した。
委員会に先立って開かれたワークショップで、TUACのロナルド・ジャンセンが、スウェーデン雇用保障協議会など労働者の権利を支援する労働市場機関は、生産能力縮小その他の産業変化の公平性を高められるようにすることができると(パワーポイントで)指摘した。
「鉄鋼工場が閉鎖されると自殺率が上昇することがある。委員会は、解雇された従業員のメンタルヘルスや、工場閉鎖との関連で必要なメンタルヘルス支援を考慮しているのか」
このワークショップで、ユナイトの一般執行委員トニー・ピアソンがこのように質問した。
鉄鋼委員会の2日後、鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラムが会合を開いた。このグローバル・フォーラムは、OECD鉄鋼委員会と協力して鉄鋼の過剰生産能力危機に立ち向かうため、2016年にG20が設置したものである。
鉄鋼委員会とグローバル・フォーラムは各国に対し、世界的な過剰生産能力の主な原因である鉄鋼部門への国庫補助金に関する共通の理解を深めるために、協力を促している。鉄鋼委員会は委員長の結語で、市場を歪め、過剰生産能力を助長している補助金その他の政府支援策を速やかに撤廃する必要があると繰り返したが、どの支援策が市場を歪めているかについては合意に至らなかった。
鉄鋼委員会は国家的な支援に関するガイドライン案も策定し、補助金データベースを開発している。作業の進行は緩慢で、この作業にあたって委員会とグローバル・フォーラムがうまく連携しているかどうかは定かではない。TUACとインダストリオールは、このガイドライン案に関する共同提出物(PDF)を作成した。
インダストリオールは鉄鋼委員会で、グローバル・フォーラムから労働組合が排除されていることに改めて抗議した。
「鉄鋼労働者はこれらの討議において重要なステークホルダーであり、過剰生産能力は鉄鋼労働者とその地域社会に大きな影響を与えている。鉄鋼労働者も話し合いの席に着くべきだ」とアダム・リー・インダストリオール素材金属担当部長は述べた。
公正な裁判の欠如で断たれたブラジルの労働者の希望
2018-09-17
ブラジルは1964~1985年の軍事独裁以来初めて、暗黒の専制政治時代に逆戻りしている。法律制度を悪用して、議会クーデターの背後にいた腐敗したエリートを保護しようとする動きがあり、2016年には合法的に選出されたジルマ・ルセフ大統領が弾劾された。
9月11日、2003年から2011年まで2期にわたってブラジル大統領に選出された金属労組指導者で労働党創設者のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバは、世論調査で国民から強く支持されていたにもかかわらず、出馬の撤回を余儀なくされた。
ルーラ在任中に実施された改革によって大量の貧困者が大学教育を受けられるようになり、社会福祉プログラムのボルサ・ファミリアとフォーミ・ゼロは飢餓と極貧の根絶に効果を上げ、貧困層の圧倒的多数に将来への希望をもたらした。インフレと一律賃上げに加えて実質最低賃金が73%上昇、2,000万人以上の雇用が創出され、失業率は過去最低の4.3%にまで下がった。ルーラはブラジル、ラテンアメリカおよび全世界で労働者のシンボルになった。
2年前から政権を握っている正当性がない政府は、これらの業績の大部分を台無しにし、労働者の権利を攻撃して経済的無秩序を引き起こした。ブラジルの失業率は現在14%前後である。
独立専門家から成る国連人権委員会は8月、ルーラの事例を考慮してブラジル政府に対し、ルーラが大統領候補者として政治的権利を行使できるようにすることを要求した。
現在、10月7日の選挙が近づく中で、72歳のルーラは汚職で有罪判決を受けて獄中にある。上訴プロセスはまだ終わっていないが、当局は憲法と国際基準に違反してルーラに選挙権も被選挙権も与えなかった。
国際弁護士によると、この判決はルーラの立候補資格を否定し、再選への立候補を妨害するために仕組まれたものだった。ルーラに対する証拠のない申し立てや中傷キャンペーンにもかかわらず、ルーラは世論調査で国民から多大な支持を得ている。
ルーラは法的手続きに明白に違反して投獄され、ルーラと彼の弁護士の携帯電話が不法に盗聴された。23回の審問を経て起訴状が発行されたが、70人の証人の中に起訴を支持する証拠を提出できた者は1人もいない。
ところが、右翼勢力は国家主権という美辞麗句を隠れみのに、国内外のすべての法律に違反してルーラをまったく公正に扱わず、選挙への参加を妨害するなどした。
労働党は労働者の主義のために闘い続けることを目的に、新しい候補者のフェルナンド・ハダドを発表した。前サンパウロ市長で学者のハダドはルーラから公式に支持され、現在、選挙前の世論調査でトップに立っている。
インダストリオール・グローバルユニオンと加盟組織を含む国際労働組合運動は、ルーラとブラジル国民に全面的な支援を表明している。5月に開かれた直近のインダストリオール執行委員会は、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ元大統領を支持して特別決議を採択した。
この選挙の結果はブラジルの未来を決定づける――この国は膨大な数の国民の利益に民主的に資するか、それとも、どんな犠牲を払っても自分たちが豊かになることだけを目指している新しい寡頭政治を支持する右翼勢力の手中に落ちてしまうのか。
ケニアの組合、自動車部門でディーセントな雇用を要求
2018-09-13
ケニアの自動車部門は急激に成長しており、グローバル企業のいすゞ、日産、スカニア、タタ、トヨタ、フォルクスワーゲンが組立ラインを拡大している。しかし労働組合に言わせれば、常用雇用が減って不安定雇用が増えているため、この成長はほとんど労働者のためになっていない。
ケニア・ビークルズ・マニファクチャラーズはタタとスカニアの車を組み立てており、アソシエイテッド・ビークルズ・アセンブラーズはトヨタと契約している。バリューチェーンには部品、流通およびメンテナンスが含まれる。
東アフリカ共同体関税同盟がケニアでの車両製造の魅力を高めるために条件を緩めているため、これは自動車部門にとって成長のチャンスである。世界の他の地域から輸入された中古車ではなく、現地で生産された車両の購入を促進する政策も刺激になっている。
しかしながら、自動車部門では削減が広く行われ、安い輸入品が相変わらず市場にあふれている。組合によると、産業政策の保護メカニズムが不十分で、総合的な経済戦略もないため、状況が悪化している。
自動車部門の課題と解決策について議論するために、インダストリオール・グローバルユニオン・サハラ以南アフリカ地域は最近ナイロビで何度か会合を開き、加盟組織のケニア金属合同労組(AUKMW)と南アフリカ全国金属労組(NUMSA)が出席した。各国の加盟組織間の連携と学習が強調された。アフリカの自動車労組をグローバル・ネットワークに組み込むために、来年また会合を開く計画がある。
会合では、ほぼ完成した車両を南アフリカから受け入れ、ドアやボンネット、タイヤ、その他いくつかの部品だけを4人の常勤労働者に取り付けさせているVWが2015年、2,000人の雇用を創出する可能性のある大型組立ラインの開設計画を発表したことが報告された。政府は、この工場から車両を購入することによって生産を拡大することまで約束した。残念ながらAUKMWの報告によれば、大きな期待にもかかわらず、同社はまだ4人の常勤労働者しか雇用していない。さらに、118人の労働者を10年にわたって短期契約で雇用している。AUKMWはこれに異議を唱えているが、裁判で常用雇用を要求する試みは失敗に終わった。
AUKMWは会合後に団体交渉ワークショップを開き、いすゞ、KVM、乾電池メーカーのクロライド、サンフィルター、チョーダ・ファブリケーターズ、ペリカン・サインズの職場委員が出席。ナショナルセンターの労働組合組織センター代表も参加した。ケニアの工場レベル交渉と南アフリカ共和国の集中団体交渉との比較をめぐって意見を交換し、副労働コミッショナーが国内の労使関係を改善するために交渉協議会を導入することに興味を示した。
NUMSAは、ゼネラル・モーターズが南アフリカで工場を閉鎖し、労働者の一部をいすゞに移籍させた際に、どのようにして労働者の利益を保護したか説明した。
ケニー・モーガン・インダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所副所長はこう述べた。
「自動車部門で労働者のために常用雇用と労働条件改善を求めるAUKMWの闘いを歓迎する。これからも団体交渉の改善に向けた努力を支援していく」
インタビュー:ナポレオン・ゴメス・ウルティアのメキシコ帰還は結社の自由にとっての勝利
2018-09-11
12年間カナダに亡命していたロス・ミネロス指導者のナポレオン・ゴメス・ウルティアが、やっとメキシコに戻った。帰国後はアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール次期大統領が率いる政党・国家再生運動(Morena)で、上院議員として新しい役割を引き受ける。
自身の帰国は民主主義を求めて闘う独立労働組合にとって勝利であり、組合権の確保に向けた前向きな一歩だと思うか。
もちろん。民主主義を求めて闘う私たちにとって真の勝利だ。そして、ロス・ミネロスの労働者にとって勝利であるのみならず、メキシコ、ラテンアメリカ、さらには全世界の労働者階級にとっても勝利だ。
私たちは何とか12年に及ぶ政治的迫害と卑怯な攻撃に耐え、尊厳をもって抵抗してきた。それをとても誇りに思っている。
今度は、労働者の権利を回復するために懸命に働かなければならない。労働者の権利は、結社の自由と民主主義を弱体化させている腐敗した会社や企業、政府によって踏みにじられている。
次期上院議員として、労働者の権利を回復するために何をするつもりか。
私は宣誓就任の瞬間から、メキシコの労働政策を変えるために闘う。この国の労働政策は国内企業と多国籍企業の利益を最優先しているので、労働者の搾取の大部分を後押ししている。
雇用法を改革して新しい国家労働政策を策定し、労働者が公正な報酬を受け取り、尊厳をもって仕事をし、労働者の権利が尊重されるようにする。
違法な労働協約をなくさなければならない。それは労働市場をより民主的、自由かつ公正なものにするための改革案に盛り込まれる。
北米自由貿易協定でアメリカ、カナダおよびメキシコで労働者の雇用権を承認・保護させるための対策も講じたい。労働者階級の幸福が確保される未来の構築に役立つ本当の変化を起こすことを目指している。
メキシコ政府に、鉱山における安全および健康に関する国際労働機関第176号条約を批准させることができると思うか。
それは私の目的の1つであり、上院議員として果たすべき責任だ。内部から変革を起こさなければならないので、政府に協定への署名を求めて圧力をかけるつもりだ。
それは本当に重要なことだ――鉱山会社は今なお、まったくもって耐え難い条件で従業員を働かせている。我が国の労働者が仕事の内容や場所にかかわらず、生命や健康を危険にさらさなくてすむようにしなければならない。
あなたは記者会見で、パスタ・デ・コンチョス鉱山で死者を出した爆発事故の調査を再開させるべく努めると述べた。あの恐ろしい悲劇に公正な処断を下せると思うか。
私は最初から、グルポ・メヒコは産業殺人を犯したと主張してきた。私たちの要求は3つある。すなわち、爆発事故で亡くなった労働者の遺体を収容すること、遺族が適正かつ公正な補償を受け取るようにすること、調査を再開して悲劇の原因を突き止め、あのような過失を犯した者を裁くことだ。アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール新政権は、これらの要求を支持してくれると思う。
初めて、メキシコの内閣で女性が50%を占めるに至った。それは重要なステップだと思うか。それから、31歳のルイザ・マリア・アルカルデが新しい労働・社会福祉大臣になったことについてはどうか。
本当に素晴らしいことだと思う。私は常々、製造業や政治、組合活動への女性参画の支援・擁護に努力してきた。その点で妻のオラリアは素晴らしい同僚であり、私たちはともにメキシコで「ウィメン・オブ・スチール」のようなグループを創設した。ロス・ミネロスの同僚も、このような展開に大変満足している。
アルカルデはとても賢く、心構えが十分できている。必ずや労働・社会福祉大臣としての重責を果たし、私たちと効果的にコミュニケーションを取り、私たちの施策を支持して相互を尊重した対話を確立してくれるだろう。その際、政府と私たち議員の両方が力になれる。
私は成功を確信している。労働者階級だけでなく、より幅広い層の人々の幸福と繁栄を促進する新しい社会を構築するために、一緒に前進できればと願っている。
インド、パキスタン、バングラデシュの船舶解撤労組が会談し、組合構築を調整
2018-09-05
インドとパキスタン、バングラデシュのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織が8月31日、9月1日にネパールのカトマンズで会合を開き、船舶解撤労働者の権利を求めるキャンペーンを調整した。
この会合は、この地域で船舶解撤・再生労働者を組織化するためのインダストリオール/FNV共同プロジェクトの一環として開かれた。バングラデシュ金属労働者連盟、バングラデシュ金属・化学・衣料・縫製労連、パキスタン全国労働組合連盟およびインド鉄鋼・金属・機械労連が、組合の組織化や結成に関する経験を共有した。厳しい環境にもかかわらず、造船所と川下産業で3万人の労働者が組織化された。
参加組合は船舶解撤労働者の問題を共同で提起し、標準労働時間、最低賃金、安全な飲料水の供給、夜間労働の廃止、事故発生時の治療、事故による死亡や不可逆的な障害への適切な補償を要求した。船舶解撤は世界で最も危険な仕事であり、多種多様な搾取がある。これらの職場では不利な労働条件、事故(死亡事故を含む)、組合つぶしが猛威を振るっている。
香港条約批准キャンペーンの強化をめぐり討議した。この条約は2009年に採択され、船舶の再生利用が人の健康や安全、環境に不要なリスクをもたらさないようにするための規則を定めている。インド、バングラデシュおよびパキスタンのインダストリオール加盟組織は過去1年間に、使用者、政府、NGOも含めたすべての主要な利害関係者の代表と、この条約に関する効果的なワークショップや会合を開いた。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記次長は次のように語った。
「船舶解撤は恐ろしいビジネスで、組合はそれを変化させることができる唯一の勢力だ。船主は船舶の活動期間に財を成し、あとはインドやパキスタン、バングラデシュの海岸に放棄して解体させるだけだ」
「彼らは手を尽くして責任を回避しようとしており、これを阻止しなければならない。香港条約を批准させることは正しい方向への大きな一歩になるが、現場の充実した労働組合活動の代わりを務めることは決してできない。したがって、これらの国々で引き続き加盟組織と協力しながら、世界で最も搾取されている労働者が集団的な発言権を獲得し、独力でやっていけるようにしなければならない」
会合では船舶リサイクル法について議論した。この法律は、2018年にバングラデシュ議会で可決された。インドでは2013年に可決され、2018年に修正された。パキスタンではまだ草案の段階で、組合は間もなく可決されると期待している。船舶解撤労働者の権利と生命を守るために、これらの法律の有効性を高める方法に検討を加えた。
松﨑寛インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は述べた。
「船舶解撤量は今後25~30年間で3倍になり、ますます多くの労働者が船舶解撤場で働くようになるだろう。この重要なプロジェクトを通して組織化活動を加速させる必要がある」
アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は次のように語った。
「南アジアは船舶解撤において非常に重要な地域だ。私たちは3カ国すべての加盟組織と協力して各組織の強化に取り組み、船舶解撤労働者の安全と労働条件の改善に向けて努力できるようにしている」
会合の引け際に、組織化と組合構築の強化によって船舶解撤産業の安全性を高めるという誓約を再確認した。