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第84号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年10月31日)

マレーシアの労働審判所、解雇された自動車労働者への補償を裁定

2018-10-29

 マレーシアの労働審判所は10月、労働者に有利な判決を下した。2013年8月の解雇にさかのぼって、110万マレーシア・リンギット(26万5,000米ドル)の賃金が支払われる。労働者全員がマレーシアのインダストリオール加盟組織、全国輸送機器・関連産業労組(NUTEAIW)の組合員である。

 裁判官は裁定にあたって不正行為で労働者を有罪としたが、解雇は自動車部品メーカー2社(ハイコム・オートモーティブ・マニュファクチャラーズといすゞハイコム)の元従業員18人に対する過度の処罰とみなした。両社はDRBハイコム・グループの子会社であり、同グループはマレーシアでタタ・モーターズ、ホンダ、フォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツ、いすゞ向けの自動車組立を専門としている。

 NUTEAIWは2013年の解雇後、組合員を支持して人的資源省労使関係局に提訴し、法廷で労働者を代表するために弁護士を雇った。

 労働者が解雇されたのは、経営陣がユーチューブにアップされた2013年5月付の動画を発見したあとのことである。この動画の中で労働者たちは、全マレーシア・イスラム党の候補者に労働者のマニフェストを手渡し、組合権と給付を要求していた。この候補者は2013年の総選挙でパハン州議会議員に立候補していた。

 経営側は、労働者が賃金・労働条件を改善するために外部の力を利用したことを非難した。労働者の何人かがマニフェストを手渡した際に会社のロゴが入った制服を着ていたため、経営側は会社の評判に傷がついたと主張し、数カ月の内部調査を経て、この行動に参加した労働者18人(行動を組織した労働者を含む)を解雇した。

 労働審判所は、この不正行為は刑事犯罪ではないと判断し、解雇された労働者たち(そのほとんどが20年にわたって同じ会社に勤務)が過去に重大な不正行為を犯したことがない点にも留意した。審判所は、この解雇は「不正行為とは不釣り合い」であると宣言し、両社に対し、解雇以降の未払賃金全額と復職に代わる補償金の支払いを義務づけた。各労働者は2万4,000マレーシア・リンギット(5,800米ドル)から9万4,000マレーシア・リンギット(2万2,635米ドル)を受け取る。

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