広報ニュース

第89号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2019年3月31日)

インドで船舶解撤労働者向けの拡大訓練センターがオープン

2019-03-25

インダストリオール加盟組織のアラン・ソシヤ船舶再利用一般労組(ASSRGWA)は、訓練センターの第2段階を開始し、インダストリオールとオランダの組合FNVの支援を受けて2019年3月13~16日にトレーナー訓練プログラムを実施した。

この訓練センターは、この種の施設としては南アジア地域で唯一のもので、船舶の安全かつ持続可能な再生利用について船舶解撤労働者を教育・訓練している。施設の追加によって拡張され、2019年3月13日にオープンした。

ナショナルセンターであるインド労働者連盟のハーブハジャン・シン・シドゥ書記長は開所式で次のように述べた。
「ASSRGWAは大きく貢献し、船舶解撤労働者の生活改善に取り組んだ。船舶解撤労働者はほぼ例外なく移民労働者や不安定労働者で、世界で最も弱い立場に置かれていると言っていい」

松崎寛インダストリオール造船・船舶解撤部門担当部長が次のように述べた。
「この訓練センターは、南アジア地域で船舶解撤労働者の環境改善を支援するうえで、造船・海運・船舶解撤部門における組合連帯の大きな成果だ。ASSRGWAの取り組みは地域全体の組合に刺激を与え、自国でも同様のインフラを構築して労働者の権利を促進しようという気にさせてくれる」

V・V・ラネーASSRGWA書記長が述べた。
「船舶再生利用業者、政府代表、グジャラート海事委員会をはじめとする関係者全員に、大いに必要な協力を寄せてくれたことを感謝する。何より、インダストリオールとFNVからの一貫性した連帯支援はASSRGWAの取り組みを強化するうえで極めて重要な役割を果たした」

開所式には350人以上の船舶解撤労働者が参加、S・K・シェタイASSRGWA会長が司会を務め、アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長と使用者代表、政府当局者も出席した。

続いて、FNVのヨープ・バン・オードとマーティン・バン・デ・ブーフトがトレーナー訓練プログラムを主導し、さまざまな船舶再生利用企業によって指名された24人の参加者が受講した。この船舶の安全かつ持続可能な再生利用のためのプログラムでは、コミュニケーション、監視、色分け、アスベストの安全な取り扱い、個人用保護具の適切な使用、騒音公害からの保護、事故の原因と結果の理解・防止、ワイヤーロープや工具、シャックルの安全な使用など、さまざまな側面を取り上げた。

 

団結してバングラデシュの持続可能な船舶解撤を要求

2019-03-25

政労使は、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港条約の批准を目指して運動することに合意
安全衛生が会合の主要テーマ

インダストリオール・グローバルユニオンは2019年3月11日にチッタゴンで会合を開き、バングラデシュの政労使代表が持続可能な船舶解撤と効果的な社会的対話を求めた。

この政労使会合はFNVとバングラデシュ労働研究所(BILS)の支援を受けて開催され、労働法の実施や労働安全衛生など、船舶解撤労働者が直面している目下の問題を見直した。

参加者は、2009年に採択された船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約を早急に批准することが重要だと強調した。

船舶解撤部門の組合の報告によると、組合結成が進展しているにもかかわらず、労働者は相変わらず危険な労働条件や低賃金、不安定雇用、労働者の権利の行使に不利な環境に直面している。組合はバングラデシュ政府に対し、香港条約批准プロセスの促進を要求した。

バングラデシュ船舶解撤・再生利用業者協会の代表が、船舶の持続可能な再生利用と労働条件改善に向けて徐々に前進していると強調した。

松崎寛インダストリオール造船・船舶解撤部門担当部長はこう述べた。
「効果的な社会的対話を確立し、香港条約の批准・実施に向けた取り組みを強化することが重要だ。使用者と政府が持続可能な船舶リサイクル産業を目指して前進するために組合と協力する姿勢を見せていることは励みになる」

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長が次のように語った。
「政労使が取り組めば船舶解撤部門の不安定な労働条件を効果的に変えることができる。労働安全衛生問題に対する認識を高め、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用に向けた政治的意思を強化することが重要だ」

政労使会合は、香港条約批准キャンペーンと、労働者および業界の向上のための効果的な社会的対話を約束した。
参加者は、政府による解撤場の監視を改善し、職場の死傷事故を防止することの重要性に合意した。労働者に適切な安全訓練も受けさせ、個人用保護具の使用を奨励すべきである。政府、使用者およびインダストリオール加盟組合を含む当事者全員が、バングラデシュの持続可能な船舶解撤部門に向けた取り組みの強化を約束した。

 

ロシアの組合、フォード工場維持キャンペーンを準備

2019-03-21

フォード労組代表と国内外の同僚が、同社のロシア戦略見直し発表を受けて2日間の議論を行い、ロシアのフォード・ソレルス合弁事業で雇用を守るために可能な方法や、他のフォード工場が閉鎖された場合の対応を検討した。

3月15~16日にサンクトペテルブルクで開かれた会合を主導したのは、インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の地域間労働組合「労働者協会」(ITUWA)とフォード労働者第1労働組合組織である。両組織はロシア・フセボロジスクのフォード・ソレルス工場において、共同で労働者の利益を代表している。

この会合には、ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長、ハンス・ラウィツケ・フォード欧州従業員代表委員会書記、ボリス・クラフチェンコ・ロシア労働同盟(KTR)議長も出席した。

2019年初めにフォードが開始した見直しの結果が今年第2四半期に公表される予定だが、労働者はすでに同社における自分たちの先行きを心配している。フォードは、ドイツで少なくとも5,000人の雇用を削減すると発表しているが、フランスはじめいくつかの欧州諸国でも工場閉鎖を計画しており、さらにブラジルの工場閉鎖も発表された。

フォード・ソレルスは2016年に238億ロシア・ルーブル(3億6,950万米ドル)の赤字を計上、2017年には状況が改善したが、それでもなお136億ルーブル(2億1,100万米ドル)の赤字となった。2018年の結果はまだ分からない。

両組合はフォードの戦略、グローバルな傾向、ロシアの自動車産業を総合的に分析した結果、フセボロジスク工場の保護を最大の目標に掲げた。ロシアにおけるフォードの将来の再編成に関する意思決定プロセスに精通・関与しようと努めるとともに、連邦政府を含む国内外の同盟者にも支援を求めることにしている。行動実施と同時に強力なメディア・キャンペーンも展開する予定である。

ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長は次のように述べた。「生産的な会合だった。これで今後の活動の方向性が明確になった。私たちにとって肝心なのは、ロシアにおけるフォード労働者の未来をめぐる議論の全レベルで組合を関与させることだ。さらに、この過程でフォード労働者への全面的な連帯支援を行う」

 

サナンドのフォード・インディア労働者が低賃金に抗議

2019-03-15

グジャラート州サナンドにあるフォード・インディア工場の労働者が過去27日間、会社支給の食事を拒否し、経営側が団体交渉で賃上げに応じなかったことに抗議している。

サナンド・フォード・インディアの労働組合(Karnavati Kamdar Ekta Sangh)は、2018~2020年の労働協約をめぐり交渉している。工場の手取り賃金は現在、約1万7,000インド・ルピー(244米ドル)と極めて低い。労働者は仕事の内容に見合った賃金を要求している。

工場の組合員864人のほとんどは業務経験が9年を超えている。一連の交渉を経て、経営側は賃金提示額を9,800インド・ルピー(141米ドル)から1万ルピー(144米ドル)へとわずかに引き上げた。この賃上げは3年の協約期間に段階的に導入される。

マルデブシンフ・ジャデジャ組合会長は言う。
「経営側が賃上げを拒否しているため、非常に困難な状況に陥っている。私たちは国内の自動車労働者の中で最も賃金が低く、家族に適正な生活条件を提供できない。経営側は十分な根拠なしに労働者に懲戒処分を科して圧力をかけ、たとえ病気になっても会社の医師の診断を受けるために工場に出るべきだと主張している」
「そこで私たちは決然と、しかし平和的に自分たちの懸念を表明するために、会社が支給する食事を拒否し続けている」

ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長は言う。
「世界有数の自動車メーカーが労働者にわずかな賃金しか支払わないことは容認できない。フォード経営陣は圧力戦術を取るのではなく、労働者の懸念を理解し、対話を行い、要求への受諾可能な解決策を見つけるべきだ」

下記に比較を示すように、サナンドのフォード・インディア工場労働者はインドの自動車産業で最も賃金が少ない。
地域および全国の他の自動車工場で、同様の資格と業務経験の労働者が受け取っている手取り月給は以下のとおり。

タタ・モーターズ・サナンド:2万6,421ルピー(379米ドル)
チェンナイ・フォード・インディア:4万ルピー(574米ドル)
ゼネラル・モーターズ・プネー:4万1,506ルピー(596米ドル)
チェンナイ近郊のダイムラー・インディア工場:4万2,000ルピー(603米ドル)
マネサールのマルチ・スズキ工場:5万ルピー(720米ドル)
チェンナイ近郊の現代自動車インディア工場:5万ルピー(718米ドル)

 

ブラジルでフォード工場閉鎖に抗議

2019-03-14

フォード労働者は3月7日にサンベルナルド・ド・カンポの行事に参加し、市内のフォード工場閉鎖に抗議
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長が行事に参加し、フォード労働者との国際連帯を表明

ブラジルのサンベルナルド・ド・カンポにあるフォード・モーター・カンパニー工場の労働者が、工場の操業維持と雇用確保のためにキャンペーンを続けている。

3月7日にフォードCEOのジェームズ・ハケットとインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織・全国金属総連合(CNM-CUT)傘下のABC金属労組指導者との交渉が決裂したことを受けて、闘争継続の決定が下された。

フォードは2月19日、地域の労働者代表との事前協議抜きで、1967年から操業してきたブラジル工場の閉鎖を発表した。フォードによれば、この閉鎖は国際的再編の一環であり、南米におけるトラック生産・販売の中止決定に従っている。

閉鎖の影響は工場の常用雇用労働者2,800人だけでなく、1,700人の臨時労働者にも及ぶ。組合の推定によると、生産チェーン全体を考慮すれば合計1万人に影響を与える可能性がある。

組合指導者のワグナー・サンタナは、組合員に闘いの続行を呼びかけた。
「諦めてはならない。闘い続け、フォードに圧力をかけて決定を撤回させなければならない。ここで働く労働者一人一人が、母親や父親一人一人が、この会社の富をゼロから築き上げるために助力した。皆さんは会社の最も貴重な資産だ」

サンタナは労働者に、自宅で待機して出勤しないようにし、3月13日に再び会合を開いて今後の措置を決定することも促した。フォードに決定を撤回させて交渉を続けさせるために引き続き当局と協議する、とサンタナは述べた。

組合幹部たちは支援を集めるために、すでに国会議員や市長、市会議員、ブラジル副大統領など何人かの政治家と会談している。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は、3月7日にサンベルナルド・ド・カンポで開かれた労働者との行事に参加した。

「フォードは競争力を保つために戦略を練り直し、新規投資や新製品を開発しなければならない。厳しい時期を迎えているが、私たちを団結させているのは連帯だ。インダストリオールは、雇用危機にさらされている世界中のフォード労働者を支援するために可能な限りのことをする」

 

インダストリオール、ジェンダーに基づく暴力に取り組む強力なILO条約を要求

2019-03-06

暴力やハラスメントは日々、数百万人の女性労働者の生活に影響を与えている。だが、職場における暴力とハラスメント(ジェンダーに基づく暴力(GBV)や嫌がらせを含む)の根絶に向けた行動の基準を定める国際レベルの法律は、まだ存在しない。

2019年6月にスイス・ジュネーブの国際労働総会で、仕事の世界における暴力とハラスメントをめぐる2回目のILO討議が行われる。この討議は何百万人もの労働者、特に女性の保護に関する国際労働基準に見られるこの重大な不備に取り組む拘束力のある文書の採択に向けて、歴史的に重要な機会になる。それで、私たちはどんな条約を求めているのか。

1. 拘束力のある原文が必要
ILOの使用者グループは数カ国の政府とともに、職場における暴力とハラスメントに関する拘束力のある文書の採択の妥当性を疑問視している。これはあってはならないことである。
ジェンダーに基づく暴力とハラスメントをはじめとする暴力やハラスメントのない仕事の世界で働くことは、すべての人の権利である。しかし、GBVは職場で広く見られ、心理的・身体的・性的な健康に破壊的な影響を与えるだけでなく、その余波は家族や労働環境にも波及している。
そのような理由で、万人に最低基準を保証するために、職場における暴力とハラスメントに関する国際基準格が緊急に必要とされる。

2. GBVを重視した条約が必要
GBVは依然、最も黙認されている労働者の人権侵害の1つである。国連によると、15歳を超える女性の35%(全世界で8億1,800万人)が、家庭や地域社会、職場で性的暴力や身体的暴力を経験している。
職場におけるGBVは労働市場参加に影響を与え、女性が男性優位の部門や仕事に加わりにくくするおそれがある。
新しい条約は、GBVの根本原因やリスク要因への取り組みの必要性を強調しなければならない。例えば、ジェンダーに基づく不平等な力関係、複数の差別が入り組んだ状況、ジェンダー・ステレオタイプなどである。

3. あらゆる形態の暴力とハラスメントを対象とする条約が必要
私たちは、いじめや心理的な嫌がらせも含めて、あらゆる種類の「暴力とハラスメント」に対処する条約を求めている。
ILO基準は、セクシャル・ハラスメントなど、仕事の世界における暴力とハラスメントの国際的定義について初めて合意する機会である。

4. この条約は不安定労働者を含む全労働者を保護すべき
新しい条約は労働者全員を対象とし、誰も置き去りにされないようにしなければならない。ILOによると、世界の労働者の4分の3がインフォーマル雇用、臨時雇用、自営または無報酬の仕事に就いている。仕事の世界は、よりインフォーマルな雇用形態に向かって発展している。
すべての労働者が暴力やハラスメントの犠牲者になる可能性があるが、特に攻撃されやすい人たちがいる。いくつかの研究によると、臨時労働者やパートタイム労働者、不安定な雇用に就いている労働者は、フルタイムの常用労働者と比べて暴力やハラスメントの犠牲になるリスクが高い。暴力と女性の経済的脆弱性・貧困・低賃金の間には明白な関連性がある。
新条約は、雇用形態にかかわらず、インフォーマル経済も含めて労働者の広い定義を採用することが不可欠である。

5. 条約の適用範囲は物理的な職場だけに限定しない
条約は職場だけでなく、訓練や出張、通勤、仕事で提供される輸送手段、社交行事など、仕事関連のすべての状況を対象とすべきである。2016年のTUC研究では、無視できない数(14%)の女性が、クリスマスパーティーのような仕事がらみの社交行事で嫌がらせがあったと報告した。
ILO労働者活動局の報告書が強調しているように、グローバル・サプライチェーンにかかわる雇用、特に衣料・電子部門では、注文品の完納を求めるプレッシャー、長時間労働、深夜通勤の必要性によって、女性労働者のリスクが悪化している。経済加工区で働いている若い女性は特に、工場や会社の宿泊設備、あるいは通勤途上で暴力や性的虐待にさらされやすい。
南アフリカの鉱山で行われた調査によれば、夜勤や早朝勤務の女性は、歩いて鉱山に行く途中や夜間に1人でバスを待っているときに攻撃される危険が大きい。

6. 条約は家庭内暴力の影響を認めるべき
親密なパートナーから暴力を受けている世界中の女性の3分の2が就業している。家庭内暴力とそれから逃れるための努力は、労働者の生活に影響を与えている。経済的自立の不足も、女性を暴力的な関係に追い込む要因になることがある。
新しい条約は、職場が家庭内暴力の影響を緩和し得ることを認識しなければならない。女性の雇用維持を支援することができれば、経済的理由で暴力的な関係に陥ってしまう事態を防止できる可能性がある。

7. 条約は確固たる責任の枠組みを提供すべき
この条約は、政府、使用者、企業および組合が職場における暴力とハラスメントに取り組むための枠組みを提供すべきである。
条約の適用対象は政府になるが、暴力やハラスメントのない労働環境を作る主たる責任は使用者にある。使用者に、組合と協議して職場方針を導入することを義務づけ、防止策、透明な部外秘の苦情処理手続き、加害者に対する制裁、労働者に方針や手続きを理解させるための情報、職場における暴力とハラスメントの犠牲者への支援について定めさせるべきである。

インダストリオールは加盟組織に対し、この国際女性デーを利用して、自国のナショナルセンターとともに仕事の世界におけるGBVに関するILO条約を支持して行動を起こすよう促している。

 

自動車工場の閉鎖が相次ぐ理由

2019-03-06

自動車工場は組合組織率の高い高賃金・高熟練の仕事を提供しているので、いくつかの国々における工場閉鎖や人員削減の多発は労働組合に懸念をもたらしている。工場ごとに閉鎖と闘う必要があるが、より幅広い構造的要因を理解する必要もある。

メーカー各社は自動車部門の重大な変革の勢いに乗じて、赤字の自動車工場だけでなく、黒字ではあるが利益の少ない事業も閉鎖・統合している。若い消費者の間で自家用車への需要が減少するともに、公共性の高い新しいモビリティー・ソリューション手段に向かう動きが見られる中で、自動車会社は全世界で製造モデルを再考している。

ゼネラル・モーターズは極端な例である。同社はオーストラリアで1工場を閉鎖し、ヨーロッパ、ロシアおよびアフリカで事業を売却、今年はアメリカ4工場、カナダ1工場を閉鎖する予定で、ほぼ6,000人の雇用が犠牲になる。

ホンダは、英スウィンドン工場の閉鎖(3,500人の雇用削減)と、トルコ・ゲブゼでのシビック生産中止(労働者1,000人に影響)を発表した。

ジャガーランドローバーは全世界で4,500人の雇用を削減する予定で、日産はイギリスで新型SUVの製造計画を中止した。フォードは欧州事業を見直しており、ブラジルでサンベルナルド工場の閉鎖(3,000人の雇用を削減)を発表した。

この混乱の背後には何があるのか。イギリスのブレグジットなど局地的要因も決定に影響を及ぼしているが、これはグローバルな大型再編である。自動車産業は次の段階に移行するために大規模投資を必要としている。私たちは、この変化の管理をめぐる対話に加わる必要がある。

変化を推進している主な要因は何か。

需要の減退
車の所有形態や消費者の習慣が変化しており、ほとんどのアナリストが需要はピークを打ったと考えている。車を必需品と考える若者がはるかに少なくなった。車は主に輸送手段とみなされ、多くの人々がウーバーのような相乗りサービスのほうが便利だと考えている。自転車やオートバイ、スクーターなどの個人輸送手段の利用も増えている。

脱石油と気候変動
炭素ベースの経済からの移行の必要性に対する認識が高まっている。いくつかの国々は、すでにガソリンとディーゼル油の使用禁止計画を発表している。だが、電気自動車のような代替手段や、それらの維持に必要なインフラは、まだ大規模な採用の準備ができていない。

電気自動車
これからは電気自動車の時代であることは誰もが知っており、ほとんどの自動車メーカーがモデルを開発している。しかし、これには多額のコストがかかり、これらのモデルはまだ採算が取れないので、開発は投機的である。電気自動車は内燃機関より可動部品が少なく、労働者が少なくてすむ。ドイツIGメタルの予想によると、電気自動車が原因で16万人の雇用が失われる。

自律走行車
自律走行車が将来どれだけ普及するかをめぐって盛んに議論されているが、ほとんどのメーカーが車に自動機能を追加している。そのためにはコストのかかる開発を重ねる必要がある。グーグルのウェイモ・プロジェクトは自動運転タクシーに巨額の投資をしている。

新しい競争相手
動車会社は、テスラのような新興メーカーだけでなく、グーグルやウーバーなど、代替的な個人輸送手段を提供する技術系企業との競争にもさらされている。ますます技術によって車に付加価値が与えられるようになっており、メーカーが直面する危険は、単なるハードウェア・プロバイダーになってしまうことである。このリスクを緩和するために、各社は多額の資金を投じて技術的専門知識やソフトウェアを入手する必要がある。

インダストリー4.0と仕事の未来
自動車製造はすでに高度に自動化されており、かなりの量の作業をロボットが担っている。新世代の電気自動車や自律走行車を実現するには、サプライチェーンのすべてのプロセスを対象とする新しい完全統合システムを設計しなければならない。高度熟練労働者は今後も組立や機械管理に必要とされるが、多くの補助業務は削減されるだろう。

解決策は?
介入がなければ、未来の自動車工場が雇用する労働者数は現在よりもはるかに少なくなる。産業における変化を管理するという原則はこれまでどおりだが、組合は信頼できる計画の立案に大いに集中しなければならない。

今こそ企業と協力
インダストリオールは、いくつかの自動車会社とグローバル枠組み協定を締結している。これらの協定は、産業の未来に関するハイレベル討議を促進し、新しい形態の生産への移行について交渉する機会を提供する。

政府・地方当局に対するロビー活動
組合は政府と協力しながら持続可能な産業政策を策定しなければならず、企業が雇用を創出するのを待っていてはならない。インフラや交通政策、都市計画が重要である。都市設計の方法は輸送の未来に重大な影響を及ぼす。

自動車工場の目的の見直し
上述の課題を踏まえて、組合は新しい仕事の世界に備える必要がある。高熟練自動車労働者の能力を保存・開発し、将来の自動車産業のニーズを満たすだけでなく、閉鎖が避けられないときに、その穴を埋める新産業のニーズに応える必要もある。この作業は企業や地方・国家政府と協力して実施しなければならない。
最終的に、組合、企業、政府および都市計画立案者が、大規模な産業配置転換プロジェクトで一致協力しなければならない。

アクション・プランの策定
インダストリオールは今後1年間、これらの変化を経験した加盟組織からの最優良事例を開発するために一連の会合を主催する。
一連の企業別ネットワーク会議だけでなく、今年は産業の変化に関する専門家会合も開催される。総仕上げとして12月に自動車会議を開き、部門の変化に対処するための勧告について議論する。

 

バングラデシュ政府は衣料工場の安全確保のために介入を

2019-03-05

バングラデシュ政府は相変わらず、火災予防および建設物の安全に関わる協定は、後継の所轄安全当局の有無にかかわらず期日までに無効とする、と主張している。

2月18日の上訴裁判所の審問でアコード側弁護士は、アコードの機能の政府移管に関する条件をめぐるアコードとバングラデシュ政府、使用者団体BGMEAとの交渉決裂を報告した。上訴裁判所の裁判長は、バングラデシュおよび国家経済にとってのこれらの問題の重要性に言及、解決に達するために協議を続けるよう両当事者に命じ、2019年4月7日までさらに期間延長を命令した。これまでも11月29日、12月17日、1月21日に交渉継続を求める裁定が下されている。

インダストリオールとUNIグローバル・ユニオンはアコード締約ブランドの代表とともに、バングラデシュ首相と商務大臣に書簡を送り、行き詰まり打開への直接介入を求めた。

この書簡は、時期尚早にアコード事務所を閉鎖すれば、代替的手段でアコードを実施する必要が生じることになり、直ちに悪影響が及んで損害をもたらすと述べている。改善工事を完了していないかなりの数の工場はアコード加盟ブランド向けに生産する資格を失い、GSP資格が危機にさらされ、バングラデシュのRMG工場に発注しているブランドの存続性が危ぶまれる。

2月20日にダッカのチョークバザールで火災が発生し、少なくとも70人が死亡した大惨事は、バングラデシュには労働者の命を保護するに十分な安全制度がまだないことを裏付けている。バングラデシュ工科大学(BUET)の安全専門家は火災後、衣料産業で火災が減少している唯一の理由はアコードが絶えず工場を監視していることだと述べた。BUETによると、そのような安全確保能力はアコードがなければ存在しない。ダッカの計画・開発管轄機関RAJUKの責任者は、ここ半年のうちに調査された20万8,000軒の建物のうち、少なくとも3分の2が何らかの点で国の建築基準法に違反していると述べた。

明らかに、アコードが確信を持って自らの責任を移管できるようになるまでには、まだ長い道のりがある。バングラデシュ政府は、これまでのところ工場改善の進展やその後の検査に関する報告をまったく発表しておらず、政府による検査の対象となる工場の改善期限が、場合によっては何年も過ぎてしまっている。

2018年9月、衣料産業の条件改善を目指すバングラデシュ、欧州連合、アメリカ、カナダおよび国際労働機関との協力協定であるバングラデシュ・コンパクトは、次のように報告した。

  • 検査・改善プロセスの透明性を確保して報告を公表するための取り組みに関するフォローアップが不十分であり、最初の検査報告書を受けた改善に関する情報が古く不完全である。
  • 非協力的な工場で検査や改善を強制するための強化手順が実施されていない。
  • ほとんどすべての是正措置計画に誤りがあるため、5件しか承認されていない。それにもかかわらず、29%という改善進捗率(アコードの改善率は89%)が報告されたが、公開データベースがアップデートされていないため立証できない。

バングラデシュ政府は、交渉決裂と裁判所の期間延長命令に起因する不透明性を払拭するとともに、交渉の席に着き、政府が本当に引き継ぎ態勢を整えたうえでアコードの機能を確実かつ責任を持って移管すべく本格的に取り組まなければならない。

 

アメリカの機関車労働者、合併後に労働協約を守るためにスト決行

2019-03-02

GE工場の売却を受けて、米ペンシルベニア州エリーの全米電機労組(UE)組合員1,700人が労働協約を守るためにスト中である。

ゼネラル・エレクトリック子会社のGEトランスポーテーションが2月25日、ワブテックに売却された。同労組は新しい所有者に、新協約を交渉できるようになるまで現行労働協約を尊重するよう求めている。

ピッツバーグを拠点に50カ国で活動する多国籍鉄道装置メーカーのワブテックは、強制残業や初任給の最大38%カットといった新しい条件を課している。ワブテックは、労働者の最大20%を低賃金の臨時労働者と入れ替えることも計画している。

同社は鉄道、海洋、鉱業、掘削および発電産業向けに輸送機器、特に機関車を製造している。この工場でストが行われたのは1969年以来のことである。現在およそ2万3,000両の機関車が稼働しており、その7割が長期サービス契約の対象となっている。ワブテックは、機関車の速度や切り換えなどを制御するための新しいデジタル技術の開発計画を立てている。

エリー工場の生産労働者はUE第506支部が組織化しており、UE第618支部がホワイトカラー従業員を代表している。UEはインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織である。

「同社が数十年来の労働条件の継続に同意しようとしなかったことに、私たちは深く落胆している。会社側の拒絶によって、私たちは組合員と子どもたちの未来を守るためにストを決行するしかなくなった」とスコット・スロースンUE第506支部長は述べた。

地域社会や他の組合支部、さらには世界中から、労働者に連帯支援が寄せられている。米大統領候補のバーニー・サンダースも支援メッセージを送った。

「エリー湖の友人や隣人、地域社会からドッと支援が寄せられていることに感謝している」とカーリーン・トーランスUE第618支部長は述べた。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール・グローバルユニオン書記長とリュック・トライアングル・インダストリオール・ヨーロッパ書記長は、レイモンド・ベトラー・ワブテックCEO宛の書簡で次のように書いている。
「ワブテックとGEトランスポーテーションとの合併に乗じて、UEの同志が過去数十年に及ぶ苦闘の末に勝ち取った成果を取り上げようとしてはならない。機関車製造に関する彼らの技能と経験は誰にも劣らず、それ相応に報酬を支払うべきだ」