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第91号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2019年5月31日)

インダストリオール執行委員会、労働者の権利を促進

2019-05-29

5月21~22日にブリュッセルで開かれたインダストリオール執行委員会の主要なテーマは、グローバルな連帯だった。労働者の権利が攻撃される中、労働組合は組織化して力を強化している。

「1人に対する攻撃は全員に対する攻撃だ」とイェルク・ホフマン・インダストリオール会長は開会の辞で述べた。
「できるだけ多くの人々がグローバルな連帯の利益を得るようにする必要がある。グローバルな連帯は、グローバル資本に対して効果を発揮し得ることが分かっている」

組合幹部たちは2日間の会合で、ブラジルやアルジェリア、あるいはシントラカルボンのイゴール・ディアスが殺害の脅迫を受けているコロンビアのように、体制側が敵対者や市民、組合を攻撃している世界にあって、前途に横たわる課題へのグローバルな対応について議論した。

代議員はカナダのUSWメタロスの証言を聞いた。ケベック州トロアリビエールで同労組の組合員1,000人が、アルコアが交渉を拒否したあと17カ月近く同社工場でロックアウトされている

米テネシー州チャタヌーガのフォルクスワーゲン労働者は今なお組合加入権を与えられておらず、これを受けてインダストリオールは初めてグローバル枠組み協定(GFA)を停止した。

グローバル資本への対抗は、労働者の権利促進における戦略目標であり鍵である。インダストリオールと多国籍企業が締結した46本のGFAは、グローバル・レベルで労使関係を発展させる重要な手段である。例えばソルベイとのGFAが、インドの同社事業でボーナスに関する問題を解決した経緯を見れば分かる。

現在、仕事の未来に関する協定をめぐって、ある大手多国籍自動車会社との交渉が続いている。これは仕事の世界における非常に大きな転換に対応し、公正な移行を議題に盛り込むチャンスである。

ILO仕事の未来世界委員会は、前例のない変革期にあって、すべての人のためにより良い仕事の未来を達成する方法を調べている。参加者は経験を共有し、すべての国々の技術進歩レベルが同じというわけではないため、グローバル・レベルの労働運動戦略の必要性について議論した。

執行委員会は経験を交換することの必要性を認識し、活動の継続を承認するとともに、次の意向を表明した。

  • 加盟組織にILO報告書のフォローアップを奨励
  • 多国間機関に働きかけ、現場のインダストリオール組合員のために行動や決定に影響を与えることを約束
  • インダストリー4.0をめぐる転換を扱う企業に、契約に基づく約束を要求することを約束
  • 地域・国家レベル会合や部門別会議、ネットワーク会議で、意識向上と能力強化に取り組み続けることを約束

労働者のための実施に焦点を合わせたインダストリオールの「公正な移行への労働組合ガイド」が、議論の基礎となった。その結果、情報を交換して公正な移行に関する政策立案への期待に応え、労働者が産業の未来に関して発言権を持てるようにすることを約束した。

組合構築は、組織化を促進して組合の力を強化しようとするインダストリオールの努力の不可欠な要素である。2018年には768回の能力強化活動が行われ、実に2万3,000人が参加した。

  • 組合構築プロジェクトは、フィリピンの出産休暇延長のような画期的勝利を達成した。
  • ケニアでは、135の安全衛生委員会が設置されており、600を超える工場で労働者を訓練した。
  • 香港条約の批准拡大に関する活動が進んでおり、最近トルコが加盟した。現在、調印国は9カ国である。

執行委員会は6組合の新規加盟を承認し、新規組合員が22万4,000人増加、戦闘力を高めるとともに、私たちが団結によってさらに強くなっていることを証明した。

インダストリオール女性委員会は今年11月に女性大会を計画している。執行委員会は、ジェンダーに基づく暴力に関するILO条約への支持を改めて表明した。インダストリオールは他のグローバル・ユニオンとともに、この条約を求めて闘っている。

これまでに100を超える加盟組合が、職場における女性に対する暴力をなくすためのインダストリオールの誓約を採択した。このキャンペーンは今も続いている。

2020年10月にケープタウンで開かれる第3回インダストリオール大会の2つの作業部会が、世界中から組合代議員を集めるための準備に着手している。加盟組合による関与は、インダストリオールのアクション・プランと優先課題、組織機構に関する提案にとって重要になる。

インダストリオール執行委員会は、いくつかの連帯決議を採択した。

ブラジルの労働組合運動への支持

インダストリオールは、労働法や社会権・労働組合権の弱体化に直面しているブラジルのナショナルセンターが6月14日に指示したゼネストを支持する。

韓国における現代重工業による大宇造船海洋の買収に関する決議

インダストリオールは、この合併をめぐる交渉の透明性の不足に関して懸念している。公正貿易と競争の制限は、造船業サプライチェーンの労働者と組合にとって大きな脅威である。

韓国政府に退行的な労働法修正の中止とILO中核的条約の批准を要求

これらは労働者の基本的人権であり、使用者の取引材料ではない。インダストリオールは韓国政府に対し、コミットメントを示す意思の表明を求める。

インダストリオール執行委員会のすべての写真をフリッカーで閲覧可能

 

バングラデシュの船舶解撤場で続く安全上の危機

2019-05-29

今年に入ってから、バングラデシュの船舶解撤場の事故で少なくとも8人の労働者が死亡し、35人が負傷している。2017年以降の死者数は約47人である。

最近の一連の事故は、バングラデシュの船舶解撤産業が大規模な安全上の危機に瀕していることを示している。

  • 5月28日にゴールデン・アイアン船舶解撤場の火災で労働者5人が負傷した。2人は重度の火傷で入院している。
  • 5月20日にバティアリ・スチール船舶解撤場で労働者1人が感電死した。
  • 5月15日、シタクンドのマヒヌール船舶解撤場でガスボンベが爆発して火災が発生、労働者2人が死亡した。この事故では4人が負傷し、入院している。事故当時、現場では70~80人の労働者が働いていた。
  • 2月26日、ハビブ・スチール船舶解撤場で労働者1人が死亡。
  • 2月18日、サゴリカ造船所で石油タンカーが爆発し、2人が死亡した。
  • 1月28日、SSコンフィデンス解撤場で1人が死亡。

使用者の怠慢に不十分な検査、当局による安全対策の実施不足、安全な船舶解撤方法に関する訓練の不備、労働者が適切な保護具を入手できない状況が、これらの事故の大きな原因である。

松崎寛インダストリオール船舶解撤担当部長は言う。
「使用者と政府当局者の怠慢が一因で事故が頻発しており、2018年のバングラデシュ・シップリサイクル法を厳格に実施する必要がある」
「バングラデシュ政府が、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約の批准・実施に向けて、もっと迅速に行動することを重ねて要求する」

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は言う。
「船舶解撤労働者の生命が危険にさらされている現状は容認できない。インダストリオールは使用者と政府に対し、適切な安全対策を確実に実施するよう求める」

インダストリオール加盟組織のBMFとBMCGWFは、船舶解撤労組フォーラム(SBWTUF)のメンバーとともに5月19日にチッタゴンで集会を開き、一連の事故に抗議するとともに、船舶解撤産業における安全対策の改善と適切な労働者訓練を要求した。

 

ブリティッシュ・スチール労働者に相応の未来を

2019-05-27

インダストリオール・グローバルユニオンは、長期的なブリティッシュ・スチール救済策を要求しているイギリスの加盟組織を支持する。

インダストリオール加盟組織のユナイト、GMBおよびコミュニティーは英国政府に対し、管財人の管理下に置かれているブリティッシュ・スチールの雇用を確保し、長期的未来を保証する解決策を見つけるよう求めている。同社は5,000人を直接雇用しており、さらに2万人の雇用を支えている。

ブリティッシュ・スチールは4月にイギリス政府から1億2,000万ポンドを借り入れ、2週間後、財産管理下に置かれることを避けるために7,500万ポンドの追加融資を求めた。経営危機に陥った同社は2016年、プライベート・エクイティ企業のグレイブル・キャピタルによってタタ・スチールから1ポンドで取得された。グレイブルは、モナークやコメットなど成功した企業の破綻から利益を得てきた過去があり、組合に批判されている。

組合は政府に対し、必要に応じてブリティッシュ・スチールを公的支配の下に置くことも含めて、同社のために解決策を見つけるよう要請。その後、政府はブリティッシュ・スチールの財産管理を支持することに同意した。つまり、買い手が見つかるまでサプライヤーや労働者への支払いが確保される。

ユナイトのスティーブ・ターナー書記次長は次のように述べた。
「ブリティッシュ・スチールの労働者はトップクラスであり、先の見えない逆境を乗り越えて闘ってきた。新しい所有者は幸運に恵まれ、彼らを従業員として迎える特権を与えられる。誰が購入するにせよ同社を丸ごと取得すること、手っ取り早く儲けたがっている災害資本家に分割して売却されないようにすることが不可欠だ」

ティム・ローチェGMB書記長が述べた。
「閣僚はブリティッシュ・スチールを救済するために、国有化も含めて、あらゆる選択肢を利用する準備をしておくべきだった。しかし、閣僚たちは勤勉な労働者と地域社会を救うために配慮せず、判断の妨げとなるイデオロギーの障壁を取り除こうともしなかった」

ロイ・リックス・コミュニティー書記長がこう語った。
「今後グレイブルを関与させるべきでないことは明白だ。グレイブルは、身を引くことによって正しく行動し、この産業に責任を持って取り組む人たちが協力して同社を救済できるようにする必要がある」
「コークス炉は稼働を続け、鉄鋼資産も残っており、スカンソープの製鋼事業にもその川下事業にも引き続き希望がある。必要なのは、しかるべき会社が所有することだ」

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は、加盟組織への書簡で鉄鋼労働者との連帯を表明し、次のように述べている。
「ブリティッシュ・スチールは歴代政府の失策で経営危機に陥り、金融投機家のえじきにされた。グレイブルは、そのような投機家の最新例だ。状況の悪化は長年にわたる怠慢の結果であり、政府が鉄鋼業の産業戦略を策定していないため、事態がさらに悪くなっている。したがって、すべての当事者が、鉄鋼業の重要性と労働者の正当な要求を十分に考慮する適切な解決策を見つけることが絶対に必要だ」

 

バングラデシュ協定の成果を確保

2019-05-22

アコードとバングラデシュの衣料使用者団体(BGMEA)が画期的合意に達した。これにより、バングラデシュでは今後も工場の安全性が改善する。この合意は5月19日にバングラデシュ上訴裁判所に承諾された。同裁判所は、12カ月の移行期間中にアコードが活動を続けることを許可している。

バングラデシュ最高裁判所がアコードは2018年11月30日にバングラデシュでの業務を停止しなければならないと決定してから、アコード締約ブランドと労働組合は、行き詰まりの打開策を見つけるためにバングラデシュ政府と交渉してきた。上訴裁判所は、この協議を継続できるようにするために何度か期間延長を認めたが、これ以上の延長は認めないと断言した。

アコードは5月19日の法廷審問のわずか数日前、アコードからバングラデシュの新設機関であるRMG持続可能性協議会(RSC)への最終的な引き継ぎの原則についてBGMEAと合意に達した。この合意は将来に向けてアコードの活動を維持し、労働組合の役割を保証している。

新しい機関は最終的にアコードの業務と機能、スタッフをすべて引き継ぐ。この機関の統治には、BGMEA/BKMEA、ブランド各社、グローバル労働組合および全国労働組合が参加する。RSCは関連政府省庁の規制枠組みの中で活動するが、政府からは独立する。

RSCは移行後も工場検査、改善、フォローアップ検査、労働者の訓練、独立苦情処理制度を継続し、ブランド、労働組合および消費者に、アコードの画期的な安全計画の不可欠な要素が守られるという必要な保証を提供する。

重要なことには、アコードの既存の透明性の特徴がすべて維持され、例えば検査・改善活動のすべての結果が公式ウェブサイトで完全に開示される。

クリスティー・ホフマンUNI書記長が述べた。
「アコードとBGMEAの合意は、バングラデシュRMG産業の最前線で労働者の安全を守るうえで重要な一歩前進だ。アコードの救命活動を続けることができる」

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長はこう語った。「アコード発足以来のインダストリオールの目標は常に、労働者の安全衛生を守ることだった。常設の国家安全遵守監視システム(RMG持続可能性協議会)でバングラデシュの全国労働組合が継続的に役割を果たすことは、これからも労働者の安全が損なわれないようにするための鍵となる。国内外の労働組合は今後とも懸命に努力し、バングラデシュの衣料労働者が最高水準の労働者安全訓練を受け、独立苦情処理制度を利用できるよう保証する」

RSCへの移行を促進するために、BGMEAは最高技術責任者とエンジニアを任命し、ダッカのアコード事務所に配置する。これによってBGMEAは、アコードの日常業務に関する必要な知識と経験を得て、RSCへの効果的かつ円滑な移行を確保できるようになる。

裁判所が認めた281日の移行期間中、アコードはバングラデシュで活動する法的許可を与えられる。

 

ケニアの組合、いすゞイーストアフリカと労働協約を締結

2019-05-17

いすゞイーストアフリカとの労働協約締結は、組合と使用者が融和的に労使関係に取り組めば賃金・労働条件を改善できることを示している。

インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織のケニア金属合同労組(AUKM)は5月8日、5カ月の交渉を経て協約を締結した。この協約は、いすゞイーストアフリカとAUKMとの長期に及ぶ友好関係をさらに強化し、組合と自動車会社との円満な関係の構築に貢献する。

いすゞイーストアフリカは228人の労働者を雇用しており、うち27人が契約労働者で、女性はわずか13人である――AUKMはこの問題に関するキャンペーンを展開、より多くの女性の雇用を奨励し、女性労働者を支援する環境を作り出している。

この協約によって賃金が8~9.7%上がり、5万1,560~8万5,329ケニア・シリング(517~855米ドル)になる。この引き上げの結果、同様の仕事に従事する異なる等級の労働者の賃金格差が埋まり、不平等がなくなる。通勤手当が8%、住宅手当が10%上がる。増額された給付として、そのほかにシフト手当が挙げられる。同社には、使用者が労働者に支払う賃金の20%の社会保障給付金もある。

ローズ・オマモAUKM書記長が次のように述べた。
「これは両当事者がこれまでに取り決めた中で特に好ましい労働協約であり、私たちが長い時間をかけて築き上げた友好と信頼に基づいている。労働協約は強力な労働組合の根幹だ。だから協約を締結すると喜びを感じる」

インダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所のポール・フランス・ヌデソミン所長が述べた。
「労働条件の改善は労働者とその家族の暮らしを改善するので、この労働協約の締結は称賛すべき成果だ。給付の改善は、私たちが自動車部門に支払わせようと運動している生活賃金につながる」

いすゞイーストアフリカ(旧ゼネラル・モーターズ・イーストアフリカ)は小型商用車を製造している。ケニア政府は現地生産を誘致するために、また工業化努力の一環として、自動車コンポーネントの輸入に関税免除を導入している。政府は現地生産奨励策として、政府購入にあたって現地生産車を最優先する措置も実施している。

 

メキシコの独立組合、労働改革の進展を強調

2019-05-16

「労働者の組織化と動員を妨げるものは何もない」。これは5月1日のメーデーに新しい労働改革が発表されたあと、メキシコの独立組合が下した結論である。

この改革は、独立労組を対象とするインダストリオール・グローバルユニオンの活動(カナダの加盟組織ユニフォーが支援するプロジェクト)の一環として、5月初めに開催された一連の調整会合で熱心に討議された主題である。

新しい法律により、使用者保護協約を排除できるようになる。もっと正確に言えば、労働者は自由な無記名投票で組合指導者を選出する権利を与えられた。労働協約は労働者の承認を得なければならなくなった。そして、労働関連の裁判は労働裁判所を通して行われる。

独立組合はインダストリオールおよびユニフォーとの会合で、この改革は大きな進展だが、いくつか矛盾をはらんでおり、まだ大きな課題が残っていると述べた。外部委託など一定の主要問題が取り上げられていないため、さらなる改革が必要になるだろう。新法がどのように実施されるかがポイントになり、これには莫大な資源が必要である。

「組合の大掛かりな見直しが行われることは間違いない。私たちは今、独立組合として現状を再検討し、分裂を防止して立場を強化するようにきちんと行動しなければならない。政府の介入によってすべてが解決するのを待っていることなどできない。労働者を保護して改革を実現するために対策を講じるのは組合の責務だ」という結論に至った。

協力しながら認識を高め、すべての労働者のために統一行動を取るうえで、独立組合、社会運動家およびインダストリオールが果たす役割も強調された。

自動車、自動車部品、航空宇宙およびタイヤ産業で新たに設立された独立組合の連合団体(FESIIAAAN)も、IGメタル、ユニフォー、金属労働者の全国総連合(CNM-CUT)、連帯センターならびにインダストリオールの代表と会合を開いた。この会合で組合は、この新しい連合団体の強化へのコミットメントを再確認した。

「メキシコの27の自動車工場のうち、独立組合があるのは3つだけだ。何年もの間、独立組合は厄介者のように孤立させられてきた。しかし今、私たちはFESIIAAANを通して1つにまとまっていると言って差し支えない。ずっと多くの労働者が、私たちとともにより良い生活・労働条件を享受できるよう確保するために闘う」と出席者は述べた。

代表団とその加盟組織は5月1日の行進に参加し、初めて独立組合と他の民主的組合(UNT-NCTおよびCIT)が並んでソカロ中央広場まで行進した。そして初めて、独立組合が国立宮殿でのロペス・オブラドール大統領との会談に参加した。

モハマド・アルサディ・ユニフォー国際局長が、メーデーを祝福するために広場に集まった10万人のデモ参加者に語りかけ、次のように述べた。
「メキシコが新しい法律を採択したことを大変うれしく思う。政府が独立した民主的な組合と協力して改革を実施するよう願っている」

 

韓国の金属労働者、現代重工の造船合併に反対

2019-05-15

インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の韓国金属労組(KMWU)と市民社会グループは、現代重工業と大宇造船海洋との合併に反対するために協力した。

KMWUはDSMEで造船支部集会を実施(写真:KMWU)

KMWU、労働者および市民社会グループが結集し、世界最大の造船会社である現代重工業(HHI)が大宇造船海洋と合併し、韓国造船海洋(KSOE)という新会社を設立する案に反対した。

17億5,000万ドルの合併取引に関する了解覚書は3月8日、HHIと大宇の多数株主である国有の韓国産業銀行との秘密交渉を経て締結された。この取引については、5月31日に開かれる臨時株主総会で承認を得る必要がある。売上高で世界最大の造船会社が第2位の造船会社と合併し、強力な独占力を持つ支配的企業が誕生する。

KMWUは、この取引はチョン・モンジュン一族が経営する財閥への韓国政府の施し物だとして批判している。この取引は健全な競争をもたらすどころか、世界の液化天然ガス市場の58.5%、大型タンカーの56.6%、全世界の造船受注残高全体の21.2%を新会社に与え、造船エコシステム全体を歪めるだろう。

この取引は資産をKSOEに保持しつつ、HHIの債務だけでなく生産作業も未上場会社に分割譲渡する。KMWUは、これはHHIを食い物にし、労働者を犠牲にして再編される可能性のある事業体に債務を移す企てだと非難した。

パク・グンテKMWU HHI支部長(写真:リム・ヨンチョル)

パク・グンテKMWU HHI支部長は次のように述べた。
「労働者が汗水流してこの会社を築き上げたが、会社側は成果を独り占めし、私たちに一番悪いものを押し付けようとしている」
「臨時株主総会の妨害も含めて、このプロセスを阻止するためにあらゆる戦術を取るつもりだ」

組合をはじめとする利害関係者は交渉から締め出され、この合併が造船業の危機を誘発し、サプライチェーン全体で労働者の暮らしと地域社会を危険にさらすことを懸念している。韓国の造船業では、すでに過酷なリストラが実施され、2014年以降10万人を超える労働者が失業している。2017年のHHI分割の際、労働協約が承認されず、組合の影響力がさらに低下したという先例がある。

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記次長が述べた。
「この買収は雇用と公正貿易に世界的規模で影響を与えるマイナス要因になっている。インダストリオールは、労働組合の権利と、持続可能な未来に向けた世界の造船業をめぐる社会的対話を確保するために行動を起こす」

大宇造船所での昼休み集会(写真:KMWU)

 

 

マレーシアの法改革はILO結社の自由条約を遵守せよ

2019-05-10

2019年7月に議会で審議される予定の労働法修正に先立って、インダストリオール・マレーシア協議会は、1959年労働組合法と1967年労使関係法に関する一連の協議会合を開催し、結社の自由、公正な労働慣行、団体交渉といった問題に関して幅広い合意を求めた。

2019年4月28日にマレーシア・セランゴール州ペタリンジャヤで協議会合が開かれ、マレーシアのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織3団体、全国輸送機器・関連産業労組(NUTEAIW)、電子産業従業員組合連合(EIEU連合)および紙・紙製品製造従業員組合(PPPMEU)が参加した。

意見の割れた問題は労働組合の定義である。労働組合は現在、類似の仕事、職業または産業の労働者を代表することしかできない。組合運動にかかわる多くの関係者が、産業別組合を強化して産業別交渉を促進するために、この条項を維持したいと考えている。

政府は、この法律を変更し、環太平洋パートナーシップ協定の交渉時にアメリカとマレーシアが合意した労働整合性計画と調和させることを提案している。

論議を重ねた末、参加者の過半数が、この国際労働基準の支持を決定し、変更案に同意した。 

S・ソマースンドラム

「私たちは長い間、結社の自由および団結権保護に関するILO第87号条約の批准を支持してきた。組合の結成を制限すれば自己矛盾になるので、それはできない。闘いにおいて正直でなければならない」
S・ソマースンドラムPPPMEU事務局長

ILO第87号条約は、労働者には差別なしに労働組合を設立し、または労働組合に加入する権利があると定めている。

組合幹部たちは、承認プロセスにおける組合差別について議論し、使用者による干渉や威嚇が原因で無記名投票に参加する労働者が1人もいないときがあるという不満を共有した。

組合幹部は、使用者に労働者の投票権を尊重させるために、法律に新しいサブセクションを設け、労働者が1人も参加しなかった場合、その無記名投票は無効とみなし、30日以内に日程を再設定する旨定めることを提案した。

インダストリオール・マレーシア協議会のゴパール・キシュナム書記が、政府の労使関係担当部署が不当労働行為を禁止している法律を実施していないことを批判した。この法律は使用者が労働組合に干渉できない旨明記している、と同書記は主張した。参加者は、労使関係法を修正し、この点を明確にするよう提案した。

不当労働行為に対する現行の刑罰は不十分である。労働組合加入を理由に労働者を解雇し、傷つけ、または脅した使用者に対する処罰は、2,000マレーシア・リンギット(480米ドル)以下の罰金と1年以下の懲役である。

参加者は、罰金を2万マレーシア・リンギット(4,800米ドル)に、実刑を2年以上に引き上げることを提案した。

労働組合員は政府に対し、労働者のスト権を禁止する法的規制を廃止し、団体交渉に関するILO条約第154号に従って団体交渉の範囲を拡大し、労働組合の停止に関連するすべての問題を労働審判所に付託するよう要請した。

参加者による提案は2週間以内に人的資源省に提出される。

国際労働災害犠牲者追悼日にあたり、参加者は死傷労働者に黙祷を捧げた。

 

 

男女賃金格差縮小のために組合が起こせる行動

2019-05-09

性別による賃金格差は、仕事の世界における男女不平等を示す最も大きな要因の1つである。組合は男女賃金格差の解消に重要な役割を果たす。

全世界の男女賃金格差は18.8%である。その原因は、一般に労働市場で賃金を決定する経験や教育、生産性、業績といった要因だけではない。

そうではなく、世界の賃金・男女平等に関するILOの2件の新研究によると、職業面で差別があり、産業や経済部門が男女別に分極化していることが、性別による賃金格差の大きな理由として際立っている。

女性は相変わらず、伝統的に男性優位の高賃金産業に占める割合が低い。最も需要のある高賃金職種はSTEM部門(科学・技術・工学・数学)の仕事だが、この部門の労働者に占める女性の割合はわずかである。

女性が遂行する仕事は過小評価され、低賃金であることが多い。これは、そのような仕事は伝統的に女性が家庭で行ってきた仕事を反映しているから、あるいは単に女性が同一労働に対して少ない賃金しか支払われていないからである。

小学校教育など徐々に女性が優位を占めるようになっている職業では、男女ともに給料が相対的に低下している。いったん女性中心と定義された職業は過小評価される。

2019年のILO報告書「男女平等に向けて大跳躍:より良い仕事の未来をすべての人に」によると、ヨーロッパの女性は、女性労働者優位の会社で働くと、男性優位の類似企業で働くよりも収入が14.7%減ると予想される。

この報告書は、デジタル経済では多くの女性が男性より低収入であることも示している。クラウドワーク(地理的に分散している大衆に開かれたデジタルプラットフォームによる仕事の外部委託)は、女性にとって落とし穴にしかならず、低賃金の断続的な仕事を提供する危険がある。

出産も性別による賃金格差の一因である。子どものいる女性の賃金は子どもがいない女性よりも少ない。これは職業生活の中断や労働時間の短縮に関連していることがあるが、より家族に優しい低賃金の仕事への就労や、母親のキャリアに不利益をもたらす企業レベルの画一的な採用・昇進決定に起因している場合もある。

性別による賃金格差を埋めるために組合は何ができるか?

性別による賃金格差の縮小における労働組合の役割に関するILO労働者活動局(ACTRAV)の報告によると、団体交渉プロセスが中央集権化されるほど賃金格差が小さくなる。多くの女性は組合組織率の低い部門で働いているため、労働協約の対象となる可能性が低い。

高所得国では、労働組合組織率が高いほど男女の賃金格差が小さい。

しかし、同一労働同一賃金は賃金交渉であまり取り上げられておらず、取り上げられている場合も、男性または女性だけのための措置によってではなく、主に賃金不平等全体に取り組むための措置によって討議されている。

「団体交渉は賃金を増やし、男女賃金格差を埋めることが証明されている。しかし、平等な賃金を勝ち取るには、組合の指導部や交渉の席にもっと多くの女性を参加させる必要がある。男女が団体交渉の利益を平等に享受できるようにするには、女性の参加・参画拡大が必要だ」
ジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長

ACTRAVとILOは、賃金格差を埋めるための組合行動に関する勧告を立案した。

性差別への取り組み

組合は、女性による労働市場と良質な雇用へのアクセスを制限し、性差別を助長しているジェンダー・ステレオタイプと社会規範に対抗しなければならない。交渉で取り組むべき問題は、女性の就職を妨げる障害に取り組む措置(男女のワーク・ライフ・バランスに関する政策など)、訓練・経歴開発の機会均等、有給育児休暇の改善、育児施設へのアクセス拡大、セクシャル・ハラスメントへの取り組みなどである。

具体的なジェンダー平等措置の要求

組合は、性別による賃金格差を埋めるために具体的な要求を打ち出すべきである。例えば、賃金・給与表の透明性向上、女性が優位を占める仕事の賃上げ、職務分類や賃金制度における性的偏見を避ける性差別のない職務評価、女性中心の職業や部門の再評価が挙げられる。

包括的な賃金決定の促進

労働組合と集団的賃金決定は、全体的な賃金不平等の縮小に貢献する。組合は、最低賃金と団体交渉の範囲を拡大し、女性が中心を占めるインフォーマル労働者や不安定労働者だけでなく、女性優位の部門も対象に含める方法を検討しなければならない。すべての労働者の最低賃金を生活賃金まで引き上げるためのキャンペーンは、女性の賃金の増額に役立つ。

サプライ・チェーンで働く女性の保護

規制が最も弱い傾向があり、競争圧力が最も強いグローバル・サプライチェーンの末端に女性が集中している現状も、性別による賃金格差を助長している。

多国籍企業とのグローバル枠組み協定は、労働条件改善に重要な役割を果たす可能性がある。例えば、インディテックス、H&Mおよびエイソスとのグローバル協定の一環として、トルコの衣料労働者を対象に実施されたインダストリオールのプログラムは、職場のジェンダー平等問題に対する認識の向上に役立った。ACTプロセスも、サプライチェーンにおける女性の給料の引き上げに重要な役割を果たすだろう。

女性の権利拡大

組合は、意思決定機関や交渉の場で女性参画を確保し、職場における女性の状況を好転させるべきである。組合指導部や団体交渉チームへの女性参画は、交渉結果が女性労働者に与える利益を拡大するうえで大きな効果がある。

 

フィジーの労働組合員弾圧に終止符を

2019-05-09

フィジー当局は5月1日のメーデーに、国際サミットに合わせて計画されていた抗議行動を阻止しようと、フィジー労働組合会議(FTUC)の代表と何人かの組合員を逮捕した。

フェリックス・アンソニーFTUC全国書記が、全国労働組合(NUW)の組合員29人、組合スタッフ1人とともに逮捕された。フェリックスはITUCアジア太平洋の会長でもある。彼は政労使会合出席中に政府代表や使用者、ILO当局者の面前で逮捕された。今回の逮捕は、5月1~5日にフィジーで開催されたアジア開発銀行の年次会合の前に起こった。

組合はサミットと同時に一連の全国規模のデモや行事を計画していた。最低賃金、労働法改革、スト権などいくつかの問題があり、フィジー水道公社で大規模な争議が発生、臨時労働が増加する中で数百人の労働者がレイオフされている。フェリックスはNUWを代表して水道公社事件の審理に出廷する予定だった。

釈放された29人の水道公社労働者

フェリックスは告訴されずに48時間後に釈放されたが、組合に対する弾圧は続いている。逮捕された労働者たちはパスポートを引き渡し、不法集会の罪で告発されたあと保釈された。フィジー当局は、FTUC事務所を家宅捜索してコンピューターやファイルを押収した。覆面パトカーが威嚇しようと事務所の外に陣取っている。他のFTUC加盟組織の執行委員も、警察から聴取に応じるよう指示されている。

組合事務所前のパトカー

 

フェリックスの逮捕後、国際労働組合運動とILOは緊急行動を起こし、すべての労働組合員の釈放と弾圧の中止を要求した。ヴァルター・サンチェス・インダストリオール・グローバルユニオン書記長は、フィジー首相への書簡に次のように書いている。
「結社の自由は平和と社会的公正を守る主要な手段の1つです。労働者には、恐怖や強制、弾圧、暴力のない雰囲気の中で、平和デモなどを通して意見を述べ、自らの利益を守る権利があります。労働組合活動を理由とする組合指導者や組合員の逮捕・拘留は、たとえごく短期間であっても結社の自由の原則に反する行為です」

 

スリランカの組合、苛酷な新法に反対

2019-05-07

250人以上が死亡、500以上が負傷したイースターのテロ攻撃を受けて、スリランカ・インダストリオール協議会は政府に基本的人権の保護を要求している。

インダストリオール・グローバルユニオン加盟組合から成る同協議会は、スリランカで非常事態が宣言され、ほぼ全会一致の政治的合意で法律強化と厳罰化が要求されていることに深い懸念を表明した。

新しい法律は表現の自由と結社の自由を必ず制限する、と組合は考えている。

「私たちは、治安部隊に容疑者を逮捕して合法的に拘留・尋問する権限を与えることは認めるが、政府には社会で安定と正常を確立するにあたって国民の基本的権利を確保する責任と義務があると確信している」と声明には書かれていた。

組合は、テロ防止法に代えて、より過激な反テロ法が導入されることに危機感を募らせている。組合によると、この法律は組合や権利擁護活動家、野党政治家の弾圧にさらに利用されるだろう。

組合は、政府が現在、新しい包括的な労働法を立案中であることも懸念している。この法律は使用者・投資家に利益を与えることになるが、国家安全保障にかこつけて社会統制に利用されることを組合は恐れている。

スリランカ・インダストリオール協議会は、協議会メンバーも含まれるイースターの爆弾攻撃の犠牲者に謹んで哀悼の意を表し、直ちに補償金を支払うよう求めた。スリランカの政情不安は国家の機能に悪影響を及ぼし、安全保障の低下を招く、と協議会は述べている。

協議会は政府に対し、安定した平和な社会を確保するとともに、特にイスラム教徒に対する宗教的緊張の高まりを防止するよう要求した。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール・グローバルユニオン書記長は、スリランカの組合への連帯声明で次のように述べた。
「スリランカにおけるテロ攻撃をこれまでにない強い口調で非難する。この恐ろしい悲劇の犠牲者に同情を禁じ得ない」
「この凶悪な攻撃がさらなる暴力を生み出すのではなく、政府が法の支配の範囲内で基本的人権を完全に尊重しながら、断固として厳格に対応することを心から願う」

 

ロシアの労働組合、フォルクスワーゲンで賃金紛争の準備

2019-04-26

ロシア・カルガのフォルクスワーゲン工場で、インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織が交渉力の強化を目指して共同行動計画を策定した。賃上げをめぐって会社側と膠着状態に陥っており、ロシアの法律に定める集団争議に発展しそうである。

4月19~20日のインダストリオール・ワークショップで、フォルクスワーゲン・カルガ工場の地域間労働組合「労働者協会」(ITUWA)とロシア自動車・農業機械労組(AFW)の代表が、現在使用者側と交渉中の強力な労働協約を締結する方法について議論した。

組合側は20%の賃上げを要求しており、ここ数年インフレが原因でフォルクスワーゲン労働者の購買力が22%低下し、労働強度が少なくとも30%は上昇したと主張している。例えば、この工場では現在2交代制で、3交代制だった3年前と同じ台数を生産している。しかしフォルクスワーゲンは、わずか2.9%の賃上げを提示している。

ロシアの法律に定める3カ月の団体交渉期間が満了する5月11日まで、労使双方が基本的な問題について合意することはないだろう。同日以降、労働協約の未定の条項は意見の不一致に関する付随書に盛り込まれ、集団労働争議に入る。つまり、従業員は交渉担当者の要求を支持して集団行動を実施できるようになる。

フォルクスワーゲン・グループでAFWの第1次組織の会長を務めるルシュ・アレクサンダー・アブロシモフは次のように述べた。
「順法闘争から全面ストまで、集団労働争議の行動をいくつか計画している。また、工場内のコミュニケーション戦略と消費者向けの対外コミュニケーション計画から成る情報キャンペーンも策定した」

労働組合は意見の違いを脇に置いて、現在、共同組織化キャンペーンを実施している。その結果、両加盟組織は組合員数が倍になり、カルガ工場で労働者の過半数を組織化するに至った。そのおかげで労働組合は団体交渉を開始することができた。

ドミトリー・トルドボイITUWA会長は言う。
「労働組合組織間のギャップを埋める方法を見つけた。このワークショップは、フォルクスワーゲンで労働組合のイデオロギーに根本的な違いはないことを示し、組合の立場を集約できるようにしてくれた」

バディム・ボリソフ・インダストリオール地域事務所所長が次のように述べた。
「ここに、長い間紛争を繰り広げてきた2つの労働組合組織が何とか共通の言葉を見つけ、対立から真の連帯に移行するにはどうすればよいかを示す好例がある。協調的な共同行動はITUWAとAFWが労働者の正当な要求を擁護するのに役立つと私たちは信じている」