インドが香港条約を批准
2019-11-29
世界最大の船舶解撤国、インドが香港条約を批准した。この批准は、世界で最も危険な仕事である船舶解撤の浄化を目指すインダストリオールのキャンペーンにおける大きな前進を意味する。
バングラデシュ、中国、インド、パキスタンおよびトルコは世界の5大船舶解撤国であり、総トン数で世界の船舶解撤の98%以上を占めている。
11月28日、最大の船舶解撤国インドが、国際海事機関(IMO)の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約を批准した。
香港条約は下記の条件を満たして初めて発効する。
- 15カ国以上が批准
- 批准国の商船船腹量が世界の40%以上
- 批准国が過去10年間に合計船腹量の3%以上を再生利用
インドの批准で、必要な国の数は満たされた。
条約の発効には、あと総トン数の約10%とリサイクルトン数の0.4%が必要である。
インダストリオールは、世界一危険な仕事と呼ばれることの多い船舶解撤の浄化キャンペーンを強化し、主要海事国に働きかけている。船舶解撤産業には安全・健康・清潔で持続可能な雇用を提供する責任があり、労働者にはそのような雇用を期待する権利がある。
松崎寛インダストリオール造船・船舶解撤部門担当部長は言う。
「香港条約は最低基準を定めており、持続可能な未来に向けて平等な競争条件を作るための第一歩だ。インドは責任を取っている。今度は中国とバングラデシュ、パキスタンが条約を批准する番だ」
インダストリオール造船・船舶解撤部会の副部会長で、インド最大の船舶解撤労組ASSRGWA指導者のV・V・ラネーは言う。
「ASSRGWAはアランにある世界最大の船舶リサイクル施設で労働者を組織化している。今回の批准で労働者の権利が保護され、社会的対話の余地が生まれる。持続可能な産業になることも目指していく」
「インド政府の香港条約批准を祝福する」
ドイツの自動車労働者が公正な移行を要求
2019-11-28
独バーデン・ビュルテンベルク州の自動車サプライチェーン労働者は、雇用と労働条件の削減によって技術変化に対応するという産業計画に反対してデモを繰り広げている。
自動車産業の中心地であるバーデン・ビュルテンベルクには、自動車部品メーカー産業クラスターの企業が約160社ある。部門全体で約46万8,500人の労働者が雇用されている。
多くの企業が技術変化を理由に、財政緊縮計画や移転、雇用削減、工場閉鎖を発表している。削減を計画している企業の1つはボッシュで、2工場で1,600人の雇用削減を予定している。産業専門家の推計によると、2030年までに3万~4万5,000人の雇用が失われる可能性がある。
これらの企業は地域使用者団体によって代表され、この団体はインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織のIGメタルと賃金・労働条件を交渉している。少なくとも1社が使用者団体を脱退し、その結果、賃金協約からも脱退した。
IGメタルは、この事態を非常に深刻に受け止めている。インダストリー4.0に起因する仕事の世界の転換と電気自動車へのシフトは始まったばかりで、この削減は憂慮すべき先例を作るものだからである。ドイツの状況は、世界の自動車部門に見られる幅広いトレンドの一部である。新技術に投資し、場合によっては製品と生産プロセスの両方を根本的に変更する必要があるため、この部門は混乱に陥っており、全世界に工場閉鎖が広がっている。
労働者はシュトゥットガルト市での一連のデモに参加した。11月22日、1万5,000人の労働者が市の中心にある宮殿広場を赤い旗で埋め尽くした。
ローマン・ツィッツェルスベルガーIGメタル地域書記は次のように述べた。
「使用者がするべきことをしていないために私たちが仕事と未来を奪われるようなことがあってはならない」
「すべての使用者が知っておく必要があるのは、協力して初めて明るい未来を形成できるということだ。従業員と協力して、すべての現場の、全従業員を巻き込んだ転換の見通しを高めていこう。私たちはここに立っており、これからも闘い、誰にとっても有効な解決策が得られるまであきらめない」
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長はこう述べた。
「この自動車クラスターの使用者が採用している無責任で近視眼的なアプローチは社会的責任の欠如を示しており、私たちは深く憂慮している。傘下組合は変化する仕事の世界に綿密に取り組んでおり、公正な交渉プロセスによって管理される公正な移行を一貫して求めている」
「私たちは、抵抗する意欲を示しているIGメタルならびにその組合員と連帯する――産業の転換によって誰も置き去りにされてはならない」
第190号条約――生活を変える可能性!
2019-11-25
インダストリオールは今日、女性に対する暴力撤廃の国際デーにあたり、仕事の世界における暴力とハラスメントに関するILO第190号条約の実施と批准を促進する新しいキャンペーン「第190号条約――生活を変える可能性」を開始する。
職場におけるジェンダーに基づく暴力とハラスメントは、全世界で何百万人もの女性労働者にとって日常的な現実となっている。
国際労働総会は2019年6月、画期的な国際文書である第190号条約と第206号勧告の採択によって、仕事の世界における暴力とハラスメントへの反対を表明した。
新しいILO第190号条約は、職場における暴力とハラスメントの根絶を目指し、すべての人が勤労生活において暴力とハラスメントからの自由の権利を有することを認めた初めての国際基準である。
ILO第190号条約は、国の立法および執行の不足、したがって何百万人もの女性労働者の保護の不足を補うために不可欠な新文書である。
第190号条約は、仕事の世界における差別および不平等と闘う有意義な手段になる。この条約は、雇用と職業における平等および非差別の権利を確保する法律の採択を求めており、特にジェンダーに基づく暴力に取り組んでいる。
第190号条約は、ジェンダーに基づく暴力の根絶を目指す国際文書を達成するために何年も精力的に努力してきた労働組合運動にとって、非常に大きな勝利である。この新条約の採択は、暴力とハラスメントのない仕事の世界を求める労働組合の闘いに勢いを与える。
労働組合は、団体交渉や多国籍企業とのグローバル枠組み協定の交渉などにおいて、この条約を今すぐ利用し始めるべきである。
インダストリオールの誓約の採択によって、執行委員会と多くのインダストリオール加盟組織が、すでにジェンダーに基づく暴力との労働組合の闘いの重要性を認めている。
「第190号条約は、労働組合がジェンダーに基づく暴力、さらに広く見れば仕事の世界における男女不平等や差別と闘う絶好のチャンスを示している。第190号条約によって、1人の労働者も置き去りにされなくなる! この文書を利用して労働者、特に女性労働者の生活を変えるべきだ」とジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長は言う。
第3回インダストリオール大会に向けて:「人民に権力を――公正な未来のために団結」
2019-11-23
インダストリオール執行委員会は第3回世界大会に向けた機運を作り出す。
インダストリオール・グローバルユニオン執行委員会は11月21~22日にジュネーブで会合を開き、2020年にケープタウンで開催される第3回世界大会の準備を検討した。この大会は全世界に、グローバルな運動の強さと団結に関する強いメッセージを送る。
代議員は2つの大会準備作業部会、すなわちアクション・プランおよび政治決議に関する作業部会と、規約、財政および持続可能な組織機構に関する作業部会の案を分析した。今後、加盟組織に上記に関する案と指導部の指名の提出を促す。
執行委員会は、11月18~19日の強力な世界女性大会の勧告に従い、ILO第190号条約の批准と実施を求めるキャンペーンの実施を決議した
この決定に先立って、ジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長とエバ・アルコス女性委員会共同議長が概説した。アルコスは刺激的な女性大会について報告。この大会には60カ国から200人を超える女性が集まり、職場と組合で差別や暴力、ハラスメントに取り組むための変革的アジェンダを要求した。
♀インダストリオール女性委員会共同議長@monicalveloso:
「労働組合で女性、特に若い女性の居場所を作らなければならない。女性労働者、特に若い人たちの認知度を高める必要がある。私たちが刺激を与える相手は若い人たち以外にいない」
11:03 PM――2019年11月21日
ホルドクロフトは、女性に対する暴力という全世界で進行中の危機と、この危機と闘う手段としてのILO第190号条約の効果について話し、執行委員会に条約批准キャンペーンの実施を要求した。決議は全会一致で採択された。
イェルク・ホフマン・インダストリオール会長が代議員に、全世界に広がる民主主義的価値からの後退、貿易戦争、インダストリー4.0に起因する生産の変化、気候変動を改めて強調した。
「目前の課題に立ち向かうには強力で団結した労働者団体が必要だ。失敗は選択肢に入っていない。積極的に行動し、課題に取り組み、資源をプールし、将来の課題に向けて市民社会とともに労働組合の力を結集しなければならない」と会長は述べた。
ヴァルター・サンチェス書記長が、厳しい状況下における組織の活動について報告した。低成長と不平等拡大が爆発的に悪化し、香港、アルジェリア、ハイチ、エジプト、アゼルバイジャン、イラク、レバノン、チリその他の場所で人々がデモを繰り広げている。それぞれの暴動に現地固有の原因があるが、これらの運動は自由と民主主義、社会的保護、環境が脅かされているという共通の理解によって結びついている。
サンチェスは、580日にわたって投獄されたルーラへの確固たる支援を加盟組織に感謝した。
「彼の釈放はブラジルの民主主義回復への第一歩であり、皆さんの連帯が非常に重要だった」と書記長は述べた。
ケマル・ウズカン書記次長が、インダストリオールが国連気候変動会議に関与したこと、公正な移行を確保するために組合がこれらの討議に加わることが重要であることについて話した。
「私たちが圧力をかけなければ企業は必要なものを提供しない」
アンナ・フェンドレイ副会長がこう語った。
「私たちが代表している産業は、気候排出目標を達成するための変更によって独自に影響を受ける。ここに力がある。私たちは気候危機に影響を与えることができる」
「気候約束を果たすためには経済を完全に転換する必要がある」とイェルク・ホフマンは言う。
「生産、インフラ、輸送、物流」
「私たちの課題は、今日仕事に就いている労働者が明日も仕事に就いているようにすることだ」
11:33 PM――2019年11月21日
ウズカンは、企業の社会的責任を確保するための拘束力のあるグローバル文書をめぐる討議を導入した。会合ではグローバル枠組み協定について議論した。この協定は単なる紙に書かれた言葉ではなく、生きた文書にする必要がある。本国の組合の関与が欠かせない。
#ALLexcoメンバーは、国連条約など拘束力のあるグローバルな文書による企業の社会的責任の確保について話し合っている。
グローバル枠組み協定と、協定を実施して効果を確保する方法をめぐり討議している。
GFAは単なる紙に書かれた言葉ではなく、生きた文書にする必要がある。本国の組合の関与が欠かせない。GFAは梃子であり、それを支える構造を導入して初めて効果が表れる。
12:58 AM――2019年11月22日
インダストリオールは他のグローバル・ユニオンとともに、12月10日の人権デーでフィリピンに焦点を当てる。フィリピンではドゥテルテ大統領の麻薬撲滅戦争で2万7,000人が死亡した。
少なくとも43人の労働組合員が殺害されている。
フィリピンは危機的状況にある。ドゥテルテの麻薬撲滅戦争で2万7,000人が死亡した。労働組合員43人が殺害されている。
「政府は私たちを物理的に殺し、精神的にも殺そうとしている。当局は最後には敗北すると私は信じている。希望と自由の精神は生き続ける」
6:31 PM――2019年11月22日
執行委員会は、下記組合の加盟を承認した。
- Union Algerienne des Industries – UAI
- ケニア理容美容労組(KUHABWO)
- ヒスタドルート応用技師・技術者組合(UPET)
- ロシア産業労組(IWU)
- Union Syndicale des Travailleurs de Guinee – USTG
執行委員会は南アフリカ航空でスト中のNUMSA組合員を支持する決議も可決した。
インダストリオール#ALLexcoは#SAAでスト中の@Numsa_Media組合員を支持する決議を可決した。
労働者は人員削減に反対し、適正な賃金を要求、この航空会社の財務基盤を立て直すために再建戦略を策定している。
背景:https://www.newframe.com/saa-more-than-just-a-salary-protest/…
SAA、単なる給与関連の抗議ではない
この国有航空会社の労働者は、SAAを破綻や民営化から救うために取締役会を解散させ、経営陣を入れ替えさせようとしてストに入った。
7:24 PM――2019年11月22日
ホワイトカラー労働者の組織化に関するサイド・ミーティングを開き、新しいガイドを導入した。
タイの組合が労働法の見直しを要求
2019-11-22
573種類のタイ製品に対するアメリカの一般特恵関税制度(GSP)停止はタイに衝撃を与えたが、組合は、この措置はタイ政府に労働法を刷新して労働者の権利を保護する機会を提供すると言う。
米通商代表部(USTR)によると、USTRが長年にわたってタイ政府に働きかけてきたにもかかわらず、タイ政府は2015年にアメリカ労働総同盟・産業別労働組合会議(AFL-CIO)が申し立てた労働者の権利侵害の問題に取り組まなかった。
「タイ政府にGSP打ち切りに対する全責任を負わせなければならない。政府は広範囲の組合差別に取り組まず、労働者の権利を保護していないからだ」
「タイの労働運動は政府に対し、労働者の団結権を守るためにILO条約第87号条約と第98号条約を批准するよう要求している。今こそ、タイ政府はGSP停止問題を解決する手段として、この2本の条約を批准すべきだ」とプラシット・プラソプサク・タイ産業労働組合総連合(CILT)会長は言う。
「タイ政府と交渉するために米国政府代表が派遣されたが、その努力は無駄に終わった。タイの政治家は、GSP停止の原因はタイ政府が論議の的となる3種類の化学物質を禁止したことにあると主張したが、これは彼らがいかに労働者に関心を持っていないかを示している」とチャリー・ロイソーン・タイ電子・電気機器・自動車・金属労働組合総連合会(TEAM)書記は言う。
インダストリオール・グローバルユニオンは2015年10月7日、国際労働機関にタイ政府に対する苦情を申し立てた。この苦情には労働者の権利の甚だしい侵害18件が含まれている。
アニー・アドビエント・インダストリオール東南アジア地域事務所所長は次のように語った。
「絶え間のない組合つぶしや労働者に対する威嚇と長年闘っているタイの加盟組織を全面的に支持する。タイ政府が労働法改革を開始し、根本的原因に取り組むことを要求する」
私たちの未来、私たちの組合――インダストリオール女性大会、変革的アジェンダを要求
2019-11-21
11月18~19日にスイス・ジュネーブで開かれたインダストリオール・グローバルユニオン世界女性大会に60カ国の労働組合から200人を超える女性が集まり、組合と職場におけるジェンダー平等の実現に向けた変革的アジェンダを求めた。
女性たちは、組合の活動方法を根本的に変革し、女性の平等な参画、参加およびリーダーシップを確保するよう要求する決議を可決した。
「現状を変えたい。私たちは前進しているが、まだ十分ではない。組合を変革し、女性組合員とすべての多様な集団の構成員を勧誘して引きつけることができる持続可能な組合になりたければ、物事の進め方を変える必要がある」とジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長は述べ、大会の目標について概説した。
この大会が開かれた今年、スイスでは歴史的な動員が行われた。2019年6月14日に50万人の女性が街頭でデモを繰り広げ、同一賃金、権利平等および女性に対する差別と暴力の根絶を要求した。これを受けて新しい差別防止法が成立し、女性議員の割合が過去最高の40%に達した。
スイスの加盟組織@UniaSuisse @UniaSchweizのバニア・アレバが#ALLwomenで開会の辞を述べ、今年の夏に行われた歴史的な女性のストの重要性について語る。
5:11 PM――2019年11月18日
女性を攻撃すれば暗礁にぶつかる
大会参加者は、インダストリオール執行委員会に、職場における暴力とハラスメントに関する新しいILO第190号条約の実施と批准の促進に向けた合同グローバル組合キャンペーンを支持するよう求める決議を承認した。
6月に成立した条約は労働組合にとって大勝利である。この条約は女性に対する暴力、特にジェンダーに基づく暴力とセクシャル・ハラスメントに対するキャンペーンに新たな刺激を与えた、とアルメレ・セビー・インダストリオール・ジェンダーコーディネーターが述べた。
インダストリオールは現在、多国籍企業とのグローバル枠組み協定に条約の尊重を盛り込んでいる。
「女性を攻撃すれば暗礁にぶつかる!」というスローガンを南アフリカの金属労組#NUMSAのルース・ヌトロコツェが唱え、#ALLwomen大会で女性に対する暴力をめぐる討議の口火を切る。
100を超えるインダストリオール加盟組織が「誓約」を受け入れ、組合と職場で女性に対する暴力を阻止するために行動を起こすことを正式に約束した。
誓約に署名した南アフリカ全国金属労組のルース・ヌトロコツェが、南アフリカでは女性の殺害事件が日々増えていると報告した。同労組は、職場で女性の安全を確保するために企業がもっと多くのことをするよう求めて運動しており、セクシャル・ハラスメント事件や暴力事件を取り扱う人々に訓練を施している。彼女はこう語った。
「女性は報復を恐れて報告したがらない。だから、事件の取り扱い方法に問題がある」
女性と仕事の未来
インダストリー4.0と、自動化、デジタル化および人工知能がもたらす変化は、科学・技術・工学・数学(STEM)関連の仕事で十分に代表されていない女性に特に影響を与えることになる。
スウェーデン・ユニオネンのリーナ・アンデルソンが、STEM分野で雇用される女性は、男性的な「ブログラマー」文化、能力の非承認、技術問題を提起する際に感情的になるという批判が原因で、この部門を去る可能性が男性よりも高いと付け加えた。
スウェーデン・ユニオネンのリーナ・アンデルソンが#STEMの女性について語る。女性はこの部門に参入する可能性が低く、辞める可能性が高い。その理由は以下のとおり。
*男性的な「ブログラマー」文化
*女性の能力の非承認
*技術問題を提起する際に感情的になるという批判
5:37 PM――2019年11月19日
モーリシャスのジェーン・ラグーが、工場のカメラが労働者に心理的な悪影響を与えていることを明らかにし、企業による監視が従業員に及ぼす影響を詳しく調査するよう求めた。
参加者は、組合が生涯学習、技能向上および能力強化を促進し、仕事の世界における女性の雇用を保護するよう求めた。しかし新技術がもたらす柔軟性は、女性がワーク・ライフ・バランスを改善するうえで役立ち、新しい機会を提供する可能性がある。
私たちの時代だ!
インダストリオールの若い女性が奮起させる情熱的な証言を行い、全世界で若い女性と青年の参画を強化するために5大要求を提示した。
1. 若い女性の認知度向上
2. 積極的な青年政策の保証・促進
3. 大会への強力な若者参画
4. インダストリオールの組織機構への若者参画
進むべき道
参加者は大会の最後に、インダストリオールのアクション・プラン2020-2024で、すべての活動と行動にジェンダー平等、多様性および女性の権利促進を組み込むことを要求する決議を全会一致で採択した。
「この2日間に決定したことは今日ここにいないすべての人たちの役に立つので、私たちは闘いを続けようと意欲を感じている」とインダストリオール女性委員会共同議長のモニカ・ベローゾが述べた。
エバ・アルコス共同議長が次のように付け加えた。
「私たちは女性が安心して自分たちの経験や闘いを表明できる環境を提供し、非常に生産的な大会になった」
ILO第190号条約の批准を求めて運動しよう!
2019-11-19
ILO総会は6月、仕事の世界における暴力とハラスメントをなくすための新しい条約・勧告の採択を圧倒的多数で可決した。新しい第190号条約は、労働組合がジェンダーに基づく暴力との闘いを推進する特別な機会を示している。
仕事の世界における暴力とハラスメントは至るところで――オンラインで、職場で、通勤中に、労働者が休憩したり、食事を取ったり、健康・衛生ニーズを満たしたりする場所で、社交的な会合で――起こる可能性がある。
第190号条約が重要である理由
- 仕事の世界における暴力とハラスメントは許容できない。
- 仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶を目指す最初の国際基準である。
- すべての人に暴力やハラスメントのない仕事の世界で働く権利があることを認めている。
- 国の法令における既存のギャップをカバーする。
第190号条約は、労働組合をはじめとする利害関係者が仕事の世界における暴力やハラスメントと闘う推進力となる。組合には、この条約が国内法に組み込まれるようにするために果たすべき重要な役割がある。
組合にできること
組合員と社会全体の認識を高め、教育を施す。
- 各国で第190号条約の批准を求めて積極的に運動する。
- 仕事の世界における暴力とハラスメントの問題をめぐって結集する。
- 他の労働組合やナショナルセンター、NGO、特に女性人権団体と同盟を築き、職場における暴力とハラスメントの撤廃に助力する。
- 批准を支持するための組織機構を開発する。
第190号条約と組合――これは私たちの手段であり、利用すべきである!
インダストリオールのジェンダーコーディネーター、アルメレ・セビーに連絡し、貴組合に何ができるか確認のこと。
ホワイトカラー労働者の組織化
2019-11-15
組織化による組合の力の強化は、インダストリオール・グローバルユニオンの主な優先事項である。組織化は重要な目標の達成に役立つ。例えば、生活賃金、不安定雇用の制限、人権・労働組合権の尊重、より健康でより安全な職場、より公平な社会などである。
第4次産業革命(インダストリー4.0)の影響が波及する中で、産業活動の転換が進んでいる。デジタル化や接続性、人工知能、先端技術(3D印刷、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーなど)によって、ますます多くの労働者がこれらの技術に関する知識の対価として賃金を支給されるようになり、身体的スキルに対して賃金を支払われる労働者が減っていくだろう。
この転換を説明する1つの方法は、労働のホワイトカラー化である。労働組合運動が今後も関連性と有効性を保つには、増え続けるホワイトカラー労働者をうまく組織化しなければならない。
全世界の労働者ほぼ30億人のうち、自由で独立した組合の組合員はわずか7%で、民間部門のホワイトカラー職の組合組織率はそれよりもさらに低い。活動的な労働組合員となるとなお少ない。インダストリオールのホワイトカラー部門は加盟組合員総数の約12.5%を擁し、どの指標を見ても、この割合は増加している。
例外はあるものの、ここ数十年、多くの国々で組合員数と組合の影響力が低下している。OECD諸国(世界の富裕国の上位34カ国)の組合組織率は、1980年の33%から2013年には17%に低下した。その一因は、多くの政府や多国籍企業が組合を弱体化させ、労働者の権利を攻撃しようとしていることである。
アジア、ヨーロッパ、北米・中米、それにアフリカと南米の一部では、過去数十年間に組合の存在感が低下したために経済的不平等が悪化している。
この傾向を食い止めるために、世界中の組合がこれまで以上に効果的に組織化しなければならない――世界の労働人口に占めるホワイトカラー労働者の割合が大きくなっているとしたら、これらの労働者が労働組合運動にとって重要であることは明白である。
労働者の力の強化とは組織化を主要優先課題にすること
そのためには組合の文化を変える必要がある。組合は新規組合員の勧誘と現組合員の定着に、もっと多くの時間と努力、資源を注ぎ込まなければならない。連帯の構築と、すべての組合問題への組合員の積極的関与に焦点を合わせる必要もある。
組織化とは何か、なぜ組織化すべきなのか?
組織化とは、組合員数の増加、労働者間の連帯構築、労働者の組合加入の拡大を意味する。
組合員の勧誘と定着が組織化への鍵である。資本家と企業は組合よりも資金力があるが、組合の力の源泉は組合員である。
だが、組合員数の増加だけでは十分ではない。組織化には、労働者の間で連帯を構築するとともに、労働者を組合に関与させて活動させ、共通の目的の達成に向けて協力させることも必要である。
組合は組織化すれば強くなり、以下のための力と資源を獲得できる。
- 組合員のために賃上げ、給付および労働条件の改善を達成する。
- 多国籍企業と効果的に交渉する。
- 不安定な職場を減らす。
- より健康でより安全な職場を確保する。
- 不当解雇や虐待から労働者を保護する。
- よりよく現組合員にサービスを提供し、新規組合員を勧誘する。
- 世界中で労働者の権利を求めてネットワークを構築し、キャンペーンを展開する。
- より大規模なピケやストを実施する。
組合員数や組合員の連帯、組合員の行動を拡大する組合は、政治力も獲得する。そのような組合は、より大規模な政治デモを動員したり、政治的な意思決定に対する影響力を強めたり、例えば勢力基盤に基づくロビー活動によって、労働者と組合に関係のある法律により大きな影響を与えたりすることができる。組合の力にとって、政治的影響力は前提条件ではなく結果である。労働者の力を最優先しなければならない。安全性の高い仕事に従事し、組織化して団体交渉を行うホワイトカラー労働者の権利は、日常的に侵害されている。労働者の権利が承認されるのは、いつも労働者の行動や闘いのあとであり、それに先行することは決してない。
一般に、組合が十分に組織化されている場所では経済的不平等が小さい。組合組織化は、富と権力のより公正な配分によって強力な組合と経済を確立するうえで役立つ。
組合員は組合の最大の資源
組合員が多いほど、組合は力を持つことができる。
インダストリオールの組織化支援
インダストリオールは、世界中で組織化プロジェクトを支援している。特に重視しているのは、加盟組織が永続的な組織化文化を発展させ、独自の組織化プログラムを運営するよう奨励し、それを可能にすることである。
インダストリオールは加盟組織とともに、ワークショップや会議、職場訪問、訓練を実施し、組織化計画を討議・立案。調査やマッピング、出版物、資料などにより、加盟組織の組織化活動を支援している。特に南側諸国で、インダストリオールのプロジェクトがオルグの活動資金を供給しているケースもある。
インダストリオールは、14産業部門の労働者に加えてホワイトカラー労働者も代表しており、それぞれの部門にアクション・プランがある。すべての部門アクション・プランで、組織化による組合の力の強化が目標に掲げられている。各部門は、さまざまな方法でこの目標を追求している。
組織化して組合組織率を高めるとともに、アジア6カ国を対象とする組織化プロジェクトを支援することに重点を置くことは、インダストリオールのICT・電機・電子部門アクション・プランの一部である。
インダストリオールは20社を超える多国籍企業でグローバル組合ネットワークを支援している。そのうちいくつかは世界従業員代表委員会(一般に、使用者が正式に承認し活動しているグローバル組合ネットワーク)である。多くのグローバル組合ネットワークが、組合代表が存在しないか不十分な社内の職場で組織化に取り組んでいる。会社での組織化活動にあたって連帯支援も動員している。これらの多国籍企業のすべてが、ホワイトカラー労働者と呼ぶことのできる労働者を大量に雇用しており、その数が増え続けていることは覚えておくに値する。
組織化はアルミ会社アルコアのグローバル組合ネットワークの優先課題である。このネットワークは、米国バージニア州のアルコア労働者がインダストリオール加盟組織の全米鉄鋼労組(USW)に加入しようとする動きに経営側が反対していることについて、アルコアのCEOに繰り返し懸念を表明した。このネットワークの組合は、世界行動デーでもこれらの労働者を支援した。2015年6月に組織化活動が成功し、労働者はUSW加入を票決した。
インダストリオールは企業や国家に接触し、必要があれば、組織化を支援するために企業・国家に対抗するキャンペーンを調整する。加盟組織からインダストリオールに、企業や国家による団結権侵害がたびたび報告される。対応としては一般に、まず経営陣または担当の政府当局者に書簡を送り、労働者の団結権尊重を要求する。
侵害が続けば、労働者の団結権を尊重させるために、企業や国家に圧力をかける戦術を用いる。例えば、他の組合や当該企業の欧州従業員代表委員会による連帯支援の動員、当該企業の顧客との対話、オンライン請願、年次株主総会での抗議、国際労働機関(ILO)やOECDへの提訴である。
ホワイトカラー労働者も、すべての労働者と同様にこの種の支援を必要としている。これまで、ホワイトカラー労働者は労働条件や賃金に恵まれているので労働組合代表は必要ないとか、ホワイトカラー労働者は機械的に経営陣の一部とみなすべきだと考えていた人もいるだろう。決してそうではなかった。現在、ホワイトカラー労働者もまったく同じように、権利の侵害や生産圧力、不安定な雇用関係、賃金・給付に対する攻撃、労働安全衛生上の危険にさらされていることが、痛々しいほど明らかになっている。
インダストリオール組織化プロジェクトの支援を受けて、世界中の組合が何十万人もの新規組合員を組織化した。
インダストリオールは、ラファージュホルシム、リオ・ティント、ゲルダウ、テナリス、キャタピラーはじめ世界有数の企業で、キャンペーンによって組織化を支援している。
インダストリオールは加盟組織と協力しながら、多国籍企業とのグローバル枠組み協定(GFA)を交渉・実施している。これらの協定は、高水準の労働組合権(団結権など)を導入し、組合が企業のグローバル事業とサプライヤーで組織化する機会を生み出している。インダストリオールは現在50本以上のGFAを締結している。
組合がインダストリオールGFAを利用して組織化に成功した例として、インドのBMWとダイムラー、マレーシアのボッシュ、アメリカのソルベイが挙げられる。
インダストリオールは、主に繊維・衣料部門で多数のブランドや小売業者と関係を築いている。ブランドとのGFAを利用して、ブランド各社が原料を調達している工場で労働者の団結権を促進している。これによって、工場所有者が組合組織化活動に反対することが少なくなり、反対した場合はブランドに介入を求めることができる。
インダストリオールは、国際的ブランド・小売業者と製造業者、労働組合とのACT(行動、連携、転換)イニシアティブの創立メンバーである。ACTは繊維・衣料サプライチェーンにおける生活賃金の問題に取り組んでいる。インダストリオールはACTを利用して、この部門で組織化を促進していく。
組織化の基本方針
インダストリオールは、組織化成功の土台を作るために、加盟組織とともに以下の基本方針を促進している。
1. 強力な組織機構の構築
強力な組合機構は職場で始まる。
これは組織化委員会や職場代表機構、女性委員会、安全衛生委員会、職場コミュニケーション担当者や活動家のネットワークなど、何であれ必要な職場組合機構である。これらの組織機構は、労働組合が最終的かつ正式に結成または認証される前でさえ、労働者が積極的に組合に参加して連帯を構築する機会を提供し、組合員の勧誘・定着にとって重要である。
強力な組合機構は職場外で効果的に組織化するためにも必要である。大規模な組合機構の傘下に入っていない個々の職場レベル組合は、グローバル経済では弱い。組合は連合すれば強力になり、全国組合は効果的な大規模組織化プログラムの運営資源を動員できるようにする点で優れているので、より大きな力を持つことができる。
韓国金属労組(KMWU)は長い間、企業別組合の連合団体だった。組合の資源の大部分が企業レベルにとどまっていた。そこで同労組指導部は組合員と協議し、全国組合への転換に対する支持を集めた。これによって、KMWUは地域・全国組織化戦略に資源を振り向けることができたのである。その結果、同労組はサムスンなど反組合的な巨大企業で組織化を成功させることができ、何千人もの不安定労働者を組織化するに至った。
ある国で1つの部門に複数の組合がある場合、統合して部門別組合を結成することで力を強化できる場合が多い。複数部門にまたがる統合によって、組織力のある強力な組合の構築を達成した例もある。
イギリスのユナイトやカナダのユニフォーのようなインダストリオール加盟組織は、複数部門の統合の結果である。ユナイトとユニフォーは多数の部門で労働者を代表しており、強力な全国組織化キャンペーンを実施して毎年数千人の新規組合員を組織化することができる。
いくつかのインダストリオール加盟組織がある多くの国々では、加盟組織が集まって国別協議会を結成した。これらの協議会は、加盟組織が会合を開いて全国的に重要な問題について議論し、共同行動を計画するための基盤となる。多くの国別協議会が、どの部門が優先的な組織化ターゲットであるか、どこで組織化プロジェクトを開発すべきかを決定している。
例えばアルゼンチン、ボツワナ、カメルーン、チリ、コロンビア、ガーナ、インド、インドネシア、モザンビーク、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、ウルグアイ、ザンビアでは、インダストリオール加盟組織が国別協議会を通して団結と組織化能力を強化している。
2. 民主性と透明性
組合が明確なルールを定め、包括的な組織機構を確立し、定期会合や選挙を実施し、民主的に活動すれば、労働者が組合に加入して活動的な組合員になる可能性が高くなる。組合は組合活動に関して定期的に労働者とコミュニケーションを取ることによって、透明性と組織化の成功率を高めることができる。
Travailleurs Unis des Mines, Metallurgies, Energie, Chimie et Industries Connexes(TUMEC)はコンゴ民主共和国で、不活発な小規模組合から、労働者にサービスを提供する大規模組合への移行を主導している。この組合は組合員教育プログラムを実施し、組合幹部や活動家向けのワークショップもたびたび開いている。さらに、組合員と頻繁に会合を開き、自分たちが学んだことを共有している。テーマには、安全衛生や効果的な組合員代表、組合員の勧誘が強力な組合の構築にとって重要である理由といった主要問題が含まれる。TUMECは過去2年間に数千人の組合員を組織化した。
3. 包括性
団結は組合の基本原則である。労働者は団結すると強い。しかし、ほとんどの組合が大規模な労働者セグメントを歴史的に無視したり、過小評価したりしてきた。例えば、ホワイトカラー労働者や事務技術職労働者、女性、不安定労働者、若年者、移民である。
労働力の構成が変化しているが、すべての組合がこの変化に順応しているわけではない。組合は積極的な戦略を採用し、これらの新たに出現している社会的に無視された集団を取り込んで組織化しなければならない。そのためには多くの場合、現在の機構の修正や新しい機構の創出が必要である。
ホワイトカラー労働者を効果的に組織化するために、組合はこれらの労働者にとって信頼できる適切な組織にならなければならない。現在、ホワイトカラー労働者には多くの女性や不安定労働者、若年者、移民労働者が含まれているため、組合はこれらの集団にも適した組織になり、指導的役割、スタッフ、委員会、職場代表機構など、すべての組合機構にこれらの労働者を参加させなければならない。
これらの取り残された集団にとって重要な問題にも集中しなければならない。これらの集団のメンバーがすべての組合組織機構とプログラムに加われば、組合は集中しやすくなる。
時には、不安定労働者の加入を妨げている障壁を取り除くために、組合の規約を変更しなければならない。ドイツでは、組合が派遣労働者向けの交渉機関を設置し、これらの労働者を勧誘するとともに、労働協約で派遣労働者の平等な待遇を達成した。IGメタルは派遣労働者の労働条件改善に焦点を絞って、2012年に臨時スタッフの中から3万8,000人の新規組合員を獲得した。
タイ産業労働組合総連合(CILT)の規約は、執行部の少なくとも3分の1は女性でなければならないと定めている。CILT加盟組織TEAMの月例会議では、女性問題が常に議題に盛り込まれている。
4. 協力と連携
労働者と組合は連帯して協力すると強くなる。組合は協力・連携し、お互いの組織化活動を支え合えば、より効果的に組織化することができる。
ウガンダのインダストリオール加盟組織は、国別協議会を結成して了解覚書を締結し、組織化活動などで協力・連携することを約束している。
組合は、より広い社会との協力によっても組織化成功率を高めることができる。組合組織化の成功がより広い社会にどのように利益を与えるかを示し、直接的な連帯支援を提供すれば、社会からの支持が高まる。
アメリカの加盟組織、全米自動車労組(UAW)は米国南部で、黒人やその他の少数民族の権利を求めて闘う市民権擁護団体と幅広く協力している。UAWが米国南部で組織化している自動車産業労働者の多くが黒人である。人権擁護団体は、南部でUAWの組織化活動を支援する行動を日ごろから実施している。
ホワイトカラー労働者グループを組織化するには、彼らのコミュニティーに接触して認知度を高めることが特に重要である。例えば、これまでの労働者よりも若く、高学歴で、多様な傾向のあるホワイトカラー労働者の希望や夢に関係のある社会・環境運動との関係づくりを試みなければならない。
労働時間と賃金率は依然として中心的な問題だが、それだけでは十分ではない。現在の労働者は、環境や人権、ジェンダー問題、平等といった問題を気にかける傾向があり、組合にもこれらの問題を気にかけるよう求めている。
5. 競合禁止
同じ部門の労働者を代表する複数の組合が、職場で同じ労働者を同時に勧誘しようと競争してはならない。これは限りある資源を浪費し、組合間の対立や紛争を悪化させるだけである。この不統一は組合全般の信頼性を損なうおそれもある。組合は、このような形で互いに競争しないことについて合意しなければならない。ほとんどすべての国々では、組織化の標的にする労働者や職場に事欠かない。
ガーナ鉱山労組とガーナ輸送・石油・化学労組、ガーナ産業・商業労組は国別協議会を結成し、組織化にあたって競合を制限する方法について議論している。3組合は競合禁止協定を公式化するために了解覚書に取り組んでいる。
インドでは、組合が歴史的に党の路線やナショナルセンターごとに分裂しており、同じ労働者を代表する資格を持っている。インドの鉄鋼部門労組は昔から競い合ってきたが、民間部門の組織化にほとんど成功していない。
インド鉄鋼・金属・機械労連とインド全国金属労連は競合禁止協定を結んだ。それ以来、両組合はインドの民間部門鉄鋼業で数千人の労働者を組織化し、この協定は今やエネルギー部門と鉱業部門の組合にも適用されている。
6. 自立性
インダストリオールは、世界中の組合が組織化を改善・拡大しやすくするプロジェクトを支援している。しかし、インダストリオールの支援に頼っている組合が自立することが重要である。組合員数の増加はこの移行にとって重要である場合が多いが、それだけで十分というわけではない。
自立するには、組合が定期的に会費を徴収するための効果的なプログラム(強力な組織化プログラムを含む)を開発・維持し、現地・地域・全国レベルで組合活動を実施するに十分な会費を確保する必要がある。また、組合員が払う会費を増額したり、組合に加入させるために逆に特定の労働者の会費を引き下げたりする必要が生じることもある。時には、組合が非常に小さいために、他の組合と統合しなければ自立できないこともある。
インド鉄鋼・エネルギー・鉱業組織化プロジェクトの参加組合は、このプロジェクトによって組合員が増えた組合が、インダストリオールに加盟費を収める申告組合員数を増やすことで合意した。これらの組合は、組織化プロジェクト実施国に設立された新しいプロジェクト事務所の資金と機能を提供することも約束している。
ブラジル、韓国、南アフリカのインダストリオール加盟組織は、国際支援への依存を脱して自立し、海外で他の組合を支援するまでになった。これは世界的規模で組合の力を強化するための理想的な移行である。
組織化への準備
目的が職場で新組合を結成することであれ、すでに組合がある職場でより多くの組合員を勧誘することであれ、組合員の連帯や行動を拡大することであれ、準備を整えることが重要である。
目標
どの労働者を組織化のターゲットにするかの決定にあたって検討すべき要因がいくつかある。組合は、次のような組織化ターゲットを優先すべきである。
- 組合の力の強化に役立つ――これは例えば、部門全体で労働条件に影響を与える大手使用者が考えられる。
- 他のインダストリオール加盟組織がまだ代表しておらず、組織化のターゲットにもしていない。
- 勝算がある、すなわち、その組合には組織化を成功させる資源と能力がある。
組合は組織率の上昇を目指して組織化ターゲットを選ぶべきである。組織率とは、労働者全体に占める組合員の割合である。組織率が高いほど、労働者と組合はより強力になることができる。多くの国々では、職場で労働者の一定割合が組合に加入していれば、経営側は組合を承認して交渉しなければならない。組合が会社に経済的影響を与える力を持っている場合に限り、経営側が組合と交渉している国もある。その力は組織率が高く、かつ活動的な組合員が多い場合に得られることが多い。
組合組織率の強化は、職場の常用フルタイム従業員の大部分の組織化だけを意味しない。不安定労働者も含めて、すべての労働者の大部分を組織化することを意味する。
1ダースの職場で組織化しても、それぞれの職場でわずか数人の組合員しか勧誘できなければ、組合の力は強くならない。そうではなく、数は少なくても戦略的な職場にターゲットを絞り、それらの職場で高い組織率を達成すれば、労働者のために本当の利益を実現することができる。
現実的に行動し、勝算がある目標を優先させることは、常用労働者だけを狙うことを意味しない。世界中のインダストリオール加盟組織が不安定労働者の組織化に成功している。不安定労働者は労働者全体に占める割合が大きく、しかも増え続けているため、これは不可欠である。
今日では、ホワイトカラー労働者の多くが代替的な作業構造のもとで働いている。例えば、請負業者やフリーランサーに不適切に分類されているプラットフォーム労働者である。伝統的な組合組織化の目的は、十分な人数の組合員を獲得し、1つまたは複数の職場で合法的あるいは法定の団体交渉代表権者として認定されることである。時には、1つの職場で少数の労働者を、あるいは多くの職場に分散している類似の労働者を代表している非公認組合が効果を上げ、大きな成果を達成できていることもある。労働者の特徴を考慮しなければならない。影響力を持つには何パーセントが必要か。これらの労働者について決定的な組合組織率を達成できるか。
調査
どんな職場を組織化ターゲットにすればよいか判断する前に、組織化を行う部門や地域を調査することが重要である。この作業には、職場の所在地、労働者数、労働者の男女構成、他の組合の存在、主要顧客、その職場を所有している会社や、その職場から調達している会社に関するその他の関連情報の確認が含まれる。
いくつかの職場は、組織化活動の勝算を高めることのできる国際的な関係を築いている。
組織化ターゲットを決めて組織化キャンペーンを始める前に、組合は以下の質問の答えを求めるべきである。
潜在的組織化ターゲットは、
- GFAを締結しているか? 締結している場合、インダストリオールはターゲットが組織化活動に反対しないようにすることができるかもしれない。企業はGFAで、労働者の団結権の尊重を約束している。
- GFAを締結している顧客がいるか? いる場合、インダストリオールはこの顧客に、ターゲットに圧力をかけて組織化活動に反対しないようにさせることができるかもしれない。企業はGFAで、サプライチェーンにおける労働者の団結権の尊重を約束していることが多い。
- 有名ブランドである顧客がいるか? いる場合、インダストリオールはこの顧客に、ターゲットに圧力をかけて組織化活動に反対しないようにさせることができるかもしれない。インダストリオールは、サプライチェーンにおける労働者の団結権の尊重を約束している多くのブランドと関係を築いている。
2013年のラナ・プラザ災害を受けてインダストリオール・グローバルユニオンが発案したバングラデシュ協定は、ブランド名を利用してサプライチェーンの使用者に圧力を加えた実例である。
- グローバル組合ネットワークがあるか? ある場合、インダストリオールは組織化活動にあたってグローバル組合ネットワークに支援を求めることができる。インダストリオールは多国籍企業数十社と活発なネットワークを築いている。
- インダストリオールと関係を結んでいるか? インダストリオールのウェブサイトを検索のこと。インダストリオールは100社を超える多国籍企業と、対話が可能な関係を築き上げている。
- 他国に職場があるか? これらの職場に組合があれば、組織化活動を支援してくれる可能性がある。組織化を行うかもしれない国で、その会社の他の職場の組合が支援してくれる可能性もある。
- 組織化ターゲットになる可能性のある複数の職場や事業所があるか? 複数の部門や職場で同時に組織化キャンペーンを開始できれば、使用者は組合つぶしのための資源を複数のターゲットに分けなければならず、その効果が下がるかもしれない。
組織化は戦略的な企業調査の裏付けによって強化される。この調査は企業を分析し、企業に圧力をかけて労働者の要求を受け入れさせる方法を確認する。この調査の実施方法に関する情報については、インダストリオール・グローバルユニオンに問い合わせを。
潜在的組織化ターゲットが上記の関係のいずれかを築いている場合、インダストリオールは、それらを利用するために手助けできるかもしれない。これは組織化活動を行う組合を潜在的組織化ターゲットの他の組合に接触させたり、ブランドやGFA締約企業に連絡を取ったりすることによって実行できる。
計画の策定
組合は、ある地域を調査して1つまたは複数の組織化ターゲットを選んだら、組織化キャンペーンのために計画を練り上げるべきである。この計画では、何をする必要があるか、誰が何に責任を負うか、いつまでにそれをする必要があるかを明確にする。計画の実施にどんな資源が必要かも確認しなければならない。
組織化計画の策定・実施に参加する労働者が多いほど、計画は強力になる。より多くの人々に仕事を分散させることも、誰にも負担をかけすぎないようにするのに役立つ。
組織化計画には、特定の期日までに達成すべきベンチマークあるいは目標を盛り込むべきである。例えば、決まった日までに支持を取りつける労働者数、決まった日までに連絡先を入手する労働者数などが挙げられる。明確なベンチマークは、組織化キャンペーンが順調に進んでいるかどうか、調整を加える必要があるかどうか判断するうえで役立つ。
組織化計画には柔軟性を持たせ、予期せぬ状況が発生したときに対応できるようにしなければならない。組合または組織化委員会が定期的に計画を見直し、必要に応じて調整すべきである。
組織化計画の構成要素
- 労働者のリーダーの確認
- 組織化委員会の設置
労働者のリーダーの確認と組織化委員会の設置は密接に関係している。組織化したい労働者グループの中で、組織化キャンペーンを主導する能力と意欲のある人を確認することが不可欠である。これらのリーダーを中心に内部組織化委員会を設置する。部外者が主導する組織化はほとんど成功しない。職場に献身的な中核的組織化委員会が設置されていれば、組合はその委員会を通して活動し、集団行動や連帯に関して他の労働者を教育することができる。
労働者リストの作成
ターゲットの労働者や労働者グループを確認する。できれば連絡先リストの入手を試みる。入手できない場合は、労働者に接触しながらリストを作る――個人的接触に代わるものはない。ソーシャルメディアは特にホワイトカラー労働者にとって重要だが、組合はソーシャルメディアで組織化されるわけではない。どれだけ慎重にターゲット・グループを確認しても、使用者が反対することを認識しておかなければならない。
- 会合の開催
- 結集する問題の確認
組合組織化キャンペーンは、いくつかの問題で成功することが多い。ホワイトカラー労働者の組織化を成功させるには、まず労働者が結集する問題を確認しなければならない。ホワイトカラー労働者、あるいは事務技術職労働者の目標は何か。ホワイトカラー労働者は、移動性や育児休暇、教育、便宜または健康のような問題をブルーカラー組合員とは異なる視点から見ているのか、それとも、もしかすると優先順位の違いにすぎないのか。組合はどうすれば労働者の目的達成を支援できるか。
組合を労働者に関連づける。つまり、労働者の課題や問題、希望、夢を理解し、労働者が問題を解決したり目標を達成したりするうえで組合がどのように援助できるか説明する準備をしておく。組合はすべての問題を解決できるわけでも、すべての目標を達成できるわけでもないが、組織労働者と未組織労働者との大きな違いは、組合が使用者に労働者の声を聞かせ、労働者間の分裂や競争に乗じてその声が抑え込まれないようにすることである。
組合は本当に自分たちを代表・代弁してくれる、と労働者に信じてもらわなければならない。特に労働条件に関するものであるかどうかにかかわらず、成功をもたらす問題が提示されたら、それを推進する準備をする。言うまでもなく、私たちが組織化したいと考えている労働者の使用者が、労働者の怒りを買うことをして私たちに手段を提供してくれることが往々にしてある。
教育プログラム
模範を示して連帯を教える。これこそ組合が信頼性を得る方法である。使用者は頻繁に職場や職務内容(ブルーカラーとホワイトカラーなど)、階級、人種、宗教によって労働者を分断しようとする。使用者の未来は、組合の組織化努力を弱めることである。「1人の痛みは全員の痛み」という古いスローガンを指針としなければならない。困っている労働者への目に見える組合の支援は、それだけで強力な連帯教育プログラムである。
コミュニケーション
ホワイトカラー労働者を組織化するための効果的なコミュニケーションとは、労働組合活動、特に成功例についてターゲット・グループに定期的に情報を提供することを意味する。潜在的組合員を闘いに関与させなければならない。例えば、インダストリオールの請願書に署名させたり、電子ニュースレターで組合行動を逐一知らせたりする。
しかし、達成できるはずがないことを約束してはならない。信頼を守ること――結局、最後に残るのは信頼だけである。常に自分や組合の信頼性にどんな影響を与えるかという点から行動や声明の計画を考え、信頼性をあまりにも大きく損なう場合は拒否しなければならない。組合にできる最も大きな約束は、労働者が発言権を得るということである。
労働者を計画立案に関与させれば意欲が高まり、より活発な組合員になる。
世界中のインダストリオール加盟組織が進んで難題に取り組み、多様な環境で革新的な組織化解決策を提案している。
労働者の減少と非正規労働化に直面している自動車労連(JAW)は、正規従業員と不安定従業員の両方を対象とする複数年の組織化計画を策定した。
エチオピア繊維・皮革・衣料労組(IFTLGWTU)は、関連部門で活動する企業に比べて財源が少ないが、インダストリオールとドイツの衣料品ブランド、チボーとの関係を利用し、ある工場で組合組織化活動のために労働者に接触している。
マレーシア電子産業従業員組合連合(EIEU)は、移民労働者に明確にターゲットを絞った組織化キャンペーンによって移民労働者数の増加に対応している。EIEUは移民労働者と協力しながら低賃金など共通の問題に取り組み、権利に関して労働者を教育するために特別法律相談を提供している。
世界の労働者のうち自由で独立した組合の組合員はわずか7%で、活動的な組合員はさらに少ないため、組織化は手のつけようもない大仕事のように見えることがある。そんなことはない。
これまで以上に効果的にホワイトカラー労働者を組織化しよう。インダストリオールは支援を提供する準備ができており、今こそ組織化するときである。いつものように、労働者は団結すれば強くなる!
プロフィール:日本の支援でブータン人の組合を結成
2019-11-15
JCM傘下のJAMの援助と連帯支援を受けて、今年9月1日に松山でブータン国際労働組合(ILUB)が設立された。
組合: ブータン国際労働組合(ILUB)
国: 日本
文: Yap Hwa NG
700人の若いブータン人学生がブータンの悪徳就職斡旋業者に誘われ、日本語学校に通いながらパートタイムで働いて110万ニュルタム(1万5,500米ドル)を稼げると期待して日本にやってきた。
日本は2020年までに留学生を30万人増やすという意欲的な政策を実施している。この学び・稼ぐプログラムは、ブータン労働省に任命された認可エージェントのブータン海外雇用(BEO)が、日本のブローカーと連携して担当している。
しかし、ブータンの腐敗防止委員会は2018年12月、BEOは重要書類を提出せずに不法に登録証明書を受け取ったという申し立てを受けて、政府にBEOの免許取り消しを強く勧めた。加えて、日本のBEO代表はブータン労働省の認定を受けていなかった。
ブータン政府は金利8%で70万ニュルタム(9,800米ドル)の融資を提供したが、エージェント手数料13万ニュルタム(1,840米ドル)と日本語学校の授業料を払うと、ブータン人学生の手元にはほとんど残らない。
日本語が十分に話せないため、ブータン人学生が就ける仕事は限られていた。多くの学生が倉庫や工場で深夜のシフトに従事することになった。学生たちは週28時間を超えて働くことができず、時給9米ドルの低賃金であるため、少なからぬ学生が不法就労を余儀なくされた。
そのプレッシャーは途方もなく大きく、2018年に1人の若い学生が自殺した。
「助けを求める学生たちから電話が入り始めたとき、苦況を克服しようとする彼らの勇気に感動した。7月29日に学生たちとの会談を設定し、日本の当局に労働組合を登録できるよう手助けした」と安河内賢弘JAM会長は言う。
JAMからの支援がきっかけで、ブータン人学生は、異国で自分たちの権利を守るために労働組合の設立を決めた。
「日本有数の組合である連合およびJAMと知り合いになるまで、労働組合のことは知らなかった。労働組合の登録手続きは複雑で、JAMは事細かに指導して助けてくれた」とシャルマ・ロビンILUB副会長は言う。
「JAMに心から感謝したい。多くの若いブータン人がだまされて借金を背負わされた。私たちはILUBとして、弱い立場にある人々や低熟練労働者の権利を保護するために強く働きかける。若い仲間たちのために安定した適正な雇用を見つけ、適正な普通の生活を始められるよう懸命に努力する」とジャガナート・コイララILUB会長は言う。
労働者不足に取り組むために日本政府が採択した政策が問題の一因であり、留学生が不安定雇用に追い込まれ、自活できるだけの収入を得られなくなっている。これらの学生は移民労働者の地位さえないため、社会的支援がほとんどない。
安河内会長は、前途に待ち受ける課題について説明し、ブータン人学生が直面している問題に取り組むためにJAMは包括的なアクション・プランを立てていると言う。
JAMはILUBと連携し、ブローカーが徴収した不当な手数料と日本語学校への入学金の返還を求めて運動することにしている。JAMは企業に学生の労働条件改善も要求していく。
そしてJAMは、ILUBがブータンに支部を設立するとともに、日本で労働供給事業を行う許可を得られるよう支援する。この措置によって仲介業者が排除され、搾取がなくなる。
「ブータンの若者は極めて有能で、ちょうど日本の労働運動が生まれたときのように意欲的で理想に燃えている。これはブータン人が創設した最初の労働組合だ。この組合を育て、成長を支援していかなければならない。彼らの夢を実現させるために最善を尽くす」と安河内会長は言う。
インダストリオール女性大会、ジェンダー平等に向けた組合転換めぐり討議へ
2019-11-13
インダストリオール・グローバルユニオン世界女性大会は、労働組合が女性の平等な参画、参加およびリーダーシップを確保し、仕事の世界でジェンダー平等を達成するための変革的アジェンダをめぐり討議する。
女性大会プログラムは「私たちの未来、私たちの組合」をテーマに、現状と現在の組合のあり方に異議を唱え、女性の平等を妨げる組織的障害への取り組みによって進展を加速させるための戦略を提案できるように作られている。
ジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長は次のように語った。
「組合と職場で女性参画と平等に進展が見られるが、変化のペースが遅すぎる。女性抜きで形成された組合の機構や文化に女性が適合することを期待するだけでは十分ではない。組合が変化する仕事の世界で女性・若年労働者を組織化するという課題に直面している今こそ、平等を完全に受け入れるときだ」
11月18~19日にスイス・ジュネーブで開催される大会には、世界各地のインダストリオール加盟組織から200人を超える女性が集まる。
この行事では女性たちに、私たちが現在知っているモデルに基づく組合に関する仮定を忘れて、より包括的な組合はどのようなものかを想像するよう求める。
大会では、女性指導者たちが関連組合・産業におけるジェンダー平等の現状と、状況を改善するために組合が実施している行動に関する実態を伝える。特に焦点を当てるのは、仕事の世界における暴力とハラスメントに関する新しいILO第190号条約の達成と、批准キャンペーンにおける今後の措置である。
討議では、若い女性労働者の関心と期待に注意を払いつつ、インダストリー4.0とそれが職場で女性に及ぼす影響や、新しい形態の雇用が出現し、労働者の人口動態が変化している中での組織化の課題を取り上げる。
最後に大会は、インダストリオールが規約とアクション・プランでどのように変革的アジェンダを推進できるか、男性組合員・指導者をジェンダー平等を求める闘いに全面的に関与させるにはどうすればよいかに関する勧告を立案する。
世界女性大会はフェイスブックでライブストリーミング配信し、あらゆる場所の女性が討議をフォローして参加できるようにする。
ベルリンでグローバルな対話に弾み
2019-11-12
11月8日にベルリンで企業の社会的責任と労使関係に関するインダストリオール・グローバルユニオン会議が開催され、全世界から多国籍企業16社と労働組合14団体の代表が集まった。
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長が開会の辞で次のように述べた。
「この会議をベルリンで開くことに決めたのは、世界第4位の経済を誇るドイツが共同決定制度と労使関係尊重によって成功を収めているからだ。ドイツは他のすべての国々のモデルとなっている」
連邦労働社会問題省のビョルン・ボニング次官が挨拶に立ち、特に世界中の国々がデジタル化や気候変動に起因する新たな課題に直面している中で、強力な社会的対話には強力な組合の支持が必要だと述べた。同次官は、進展を達成するために国際制度の尊重を求めた。
この種の会議が開かれたのは初めてのことで、建設的な労使関係、グローバル枠組み協定、グローバル・サプライチェーンの管理をはじめ主要なテーマに取り組んだ。
会議を支援したドイツの組織フリードリヒ・エーベルト財団のミルコ・ヘルベルクがこう語った。
「私たちは労働者をコスト要因ではなく、不可譲の人権を有する市民とみなしたいと考えている。労働者には労働における権利を享受する権利がある。特にデジタル・トランスフォーメーションに関して取り組まなければならない目下の課題を調べる際、賢明な企業は労働者を意思決定に関与させている」
エニ、H&M、インディテックス、ルノーおよびソルベイの代表全員がパネル・ディスカッションに参加し、その模様はインダストリオールのフェイスブック・ページでライブストリーム放送された。
全世界に18万3,000人の従業員を擁するルノー・グループは.2013年にインダストリオールとグローバル枠組み協定を締結した。ルノーの労使関係責任者ミゲル・バルカルセルが、同社は欧州・フランス中心の方針を弱めているので、GFA締結は当然の成り行きだと述べた。
「ご存じのように、他の国々や地域の法律や労働条件、社会的対話慣行は大いに異なる。当社がビジネスをするには安定した環境が必要だ。……GFAは最優良事例を共有する条件を作り、問題や紛争が発生したときに、いつ介入しなければならないか予想する機会を与えてくれる」
しかし、北米UAWのトレーシー・ロメロは異なる傾向を指摘。アメリカではフォルクスワーゲンや日産といった企業に雇われた反組合的企業が組合の組織化努力を攻撃しており、これは政府による干渉と相まって結社の自由や人権、労働基準を弱体化させている、と彼女は述べた。
他の地域ではファッションブランドのH&MやインディテックスとのGFAが、サプライチェーンにおける結社の自由、労働組合化および労働権の改善に役立っていることが報告された。
ケマル・ウズカン書記次長がこう語った。
「この画期的な会議は、建設的な労使関係が企業の持続可能性に貢献し、労働条件や労働者の基本的権利を改善するための手段として役立つことを示した。相互理解が深まった。労働者の生活を改善するために引き続き社会的対話に関与していく」
造船・船舶解撤部門で行動
2019-11-08
船舶解撤は世界で最も危険な職業の1つである。インダストリオール造船・船舶解撤アクション・グループは11月4~5日にマルセイユで会合を開催、不安定雇用、香港条約批准キャンペーン拡大とともに安全性が主要議題となった。
神田健一共同部会長が開会の辞で、労働者の安全保護の重要性について語った。
中国が昨年船舶解撤を禁止したので、インドとパキスタン、バングラデシュが世界の船舶解撤の総トン数の92%を占めている。
インドは新しい船舶解撤法を採択しようとしている。やるべき仕事はまだ残っているが、SMEFIのラネー・ビジャーダール・バスエドの報告によれば、この産業は重要な前進を遂げている。社会的対話が始まり、労働条件と安全衛生(新しい病院など)が改善している。持続可能な船舶解撤への投資が行われており、国内の船舶解撤施設の8割が環境に配慮している。
NTUFのナディール・アジズによると、パキスタンの状況は厳しい。船舶解撤に従事する約1万人の労働者は賃金が低く、手袋やヘルメットのような安全対策もなく、きれいな飲料水を飲めない条件下で働いている。民間契約者が食堂と宿泊設備、1台の救急車を運営しているが、法外に値段が高く質は標準以下である。
「インドでは事故が減少しているが、バングラデシュでは今年すでに14人が亡くなった。この違いは国際基準遵守の重要性を示しており、私たちは労働者に対してこの産業を浄化する義務を負っている」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記次長は述べ、安全な船舶解撤に関する香港条約の批准キャンペーン拡大を促した。
今までのところ13カ国が香港条約を批准しているが、条約の発効には、商船の総トン数の40%、リサイクルトン数の平均3%を占める15カ国による署名が必要である。
造船業における各国の経験
造船業には全世界で移民労働者が流入している。国によっては、労働力の最大30%が主に中国、ベトナム、フィリピン、ポーランド、ルーマニアからの移民労働者である。
例えばオランダでは、斡旋業者や使用者に利益を与える取り決めによって移民労働者が大幅に増えているが、労働者は自分たちの権利について知らされず、国の社会保障制度や年金を利用できない状況に置かれている。不安定な状況では、苦情を言えば路頭に迷うことになるかもしれない。
アクション・グループは、移民労働者の権利擁護の重要性と、労働協約に移民労働者の権利を盛り込ませたいという願望を強調した。
チリの造船部門労働者は長い間、労働組合に加入できなかった。造船は軍事部門とみなされていたからである。CONSTRAMETのミケル・ゴッツォン・カペティージョ・カルデナスが、組織化が合法化されたため、自分の造船所では労働者の80%が組合に加入していると報告した。しかし法律は依然、労働協約交渉のような基本的組合権を制限している。
韓国金属労組は、現代重工業と大宇造船海洋との合併に抵抗している。同労組はここ数カ月間に一連のストを行い、常用労働者と契約労働者が並んで参加している。
これに対して同社は、解雇や給料の不払い、組合の銀行口座凍結、労働協約をめぐる交渉の停止によって、1,000人を超える労働者を処罰した。
女性は造船・船舶解撤両産業で十分に代表されていない。船舶解撤は造船所の川下で非常に多くの(ほとんどの場合インフォーマルな)仕事を生み出す。インドでは女性自営労働者連合が、川下でプラスチックやくず鉄のリサイクルに従事する女性を組織化している。
反撃すれば勝てる
オーストラリアの組合AMWUは2013年、「オーストラリアの船は国内で設計・建造・整備」キャンペーンを開始した。このキャンペーンは3年間続き、労働者と地域社会を動員して政治家に働きかけた。最終的に造船業の雇用を守り、「それらは高賃金の良質な雇用である」。
勢力を増し、声を揃えて発言するために、オーストラリアの造船業労組4団体が結集し、オーストラリア造船労連(ASFU)を結成した。
「ASFUは資源の利用を調整・合理化し、使用者、政府および業界との交渉にあたって連帯と強さを表明している。力を合わせて組織化し、産業の力を強化している」とグレン・トンプソンは述べた。
松崎寛インダストリオール造船・船舶解撤担当部長が、2日間の会合を締めくくって次のように語った。
「2011年にこのグループに船舶解撤を組み入れた結果、私たちはより強くなり、連帯の拡大につながった。これからも支え合い、この部門の持続可能な未来のために組織化と教育・訓練を行う」
アクション・グループは特に以下の措置によって、2020年も引き続き労働者の権利を守り、組合の力を強化していく。
- 香港条約キャンペーンの拡大
- 造船・船舶解撤産業における女性参画の改善
- 既存の労働組合ネットワーク(フィンカンティエリ、BAE、ナバル)の開発
- 多国籍企業とサプライチェーンに関する調査
- グローバル枠組み協定の交渉可能性の模索
- 不安定労働者・移民労働者に関する徹底的なマッピング
- 不安定雇用の制限に関する優良事例の共有
- KMWU合併反対闘争への連帯支援の継続
- 改訂ILO行動規範の促進
RCEP原文の即時公表を要求
2019-11-07
インドはRCEP貿易協定から離脱したが、残り15カ国は交渉終了と2020年の署名を目指す方針を発表した。
7年かけて28回の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)貿易交渉を重ねた末、2019年11月4日にバンコクで開催された第3回RCEP首脳会議において協定締結が発表されると広く予想されていた。
ところが、インドはかつてない国内抗議を背景に、多くの問題が未解決のままRCEPからの撤退を決定した。
RCEP首脳の共同声明によると、15カ国は全20章の交渉を終了し、2020年に最終案への署名を目指す。整合性の取れた明確かつ関連法に従う協定にするために、原文は法的精査(弁護士による分析)に回された。RCEP加盟国は協力して未解決の問題に取り組む予定であり、インドの最終決定はこれらの問題が満足のいく形で解決されるかどうかにかかっている。
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール・グローバルユニオン書記長が次のように述べた。
「RCEP交渉において民主的なプロセスが欠如していることを引き続き懸念している。20章をめぐる交渉が終了したのだから、直ちにRCEP原文を公表し、情報に基づく公の論議を促進しなければならない」
「RCEPは、各国政府が現在および将来の開発ニーズに従って適切な貿易・産業政策を制定する政策余地に影響を与えてはならない。現在の原文にそのような障害があるなら削除すべきだ」
「RCEP加盟国は各国における労働者の諸権利と人権の侵害を傍観していてはならない。RCEPには持続可能な開発に関する章を設け、ILO中核的労働基準を促進して環境を保護する条項を盛り込む必要がある。労働組合が参加する効果的な実施・監視メカニズムへの取り組みを定めるべきだ」
アジア太平洋のインダストリオール加盟組織は、インダストリオールのグローバル貿易・産業政策アクション・プランに沿って、去る6月に地域アクション・プランを策定した。続いて7月、インダストリオール加盟組織は他のグローバル・ユニオン・フェデレーションとともに、民主的なプロセスの欠如や開発政策余地を維持することの必要性といった問題について深刻な懸念を表明した。8月には、G20サミットの組合版であるレイバー20で、公正な貿易制度を要求するために行動を起こした。
労働組合と市民社会は数多くの機会に懸念を強調し、RCEP加盟国政府が労働組合や農家、その他の社会各層との有意義な社会的対話を十分に行わないことは容認できないと述べてきた。
報告によると、インドが提起した問題の中には、輸入急増を抑制する特別セーフガード・メカニズム、専門家の移動、関税削減の基準年の2014年から2019年へのシフト、国境を越えたデータ転送に関するルールが含まれる。インドは「ラチェット」条項と投資・サービスに関する最恵国待遇にも反対した。
RCEPは東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国とパートナー5カ国(オーストラリア、中国、日本、ニュージーランド、韓国)との協定である。交渉が終了した20章は、財の貿易、原産地規則、貿易円滑化、貿易救済措置、サービス、自然人の移動、投資、知的財産、電子商取引、政府調達、競争および紛争処理を対象としている。
アジア太平洋の若年労働者が将来の計画を策定
2019-11-05
全国レベルで青年委員会を設置して最終的に地域ネットワークを結成することが、10月21~22日にマレーシアのポートディクソンで開かれた青年交流フォーラムの主要な目的である。能力を強化して若年労働者に組合活動への関与を奨励することが、このグループを強化するために確認された主な戦略の1つである。
この交流には、南アジアと東南アジアのインダストリオール加盟組織から50人以上の若年労働者が参加した。若年労働者は各自の組合活動を共有した。リーダーシップの組織・構築だけでなく、ユースキャンプ、より多くの若年労働者に接触するためのウェブサイト、英語・コンピューター研修の例があった。
2日間の交流で、全世界の若年労働者を取り巻く状況、ジェンダー平等、仕事の世界におけるジェンダーに基づく暴力とハラスメントに関する新たに採択されたILO第190号条約、コミュニケーション技術のような問題に取り組んだ。
スウェーデンの組合ビジョン・スウェーデンのイザベル・オラウソンが、スウェーデンの大学生に労働組合加入と卒業・就職後の組合員資格継続を奨励している状況を説明した。
「2020年にケープタウンで、インダストリオール大会と同時にグローバル青年会合が開かれる」とインダストリオール青年コーディネーターのサラ・フローレスが述べた。
「今度の会合の議題に関して皆さんの意見を聞くことが重要だ。若年労働者が積極的に行動し、組合指導部を青年活動に関与させる必要がある。将来の組合指導者を訓練する必要がある」
参加者たちは今後を見据えて、組合の力を強化するための若年労働者の組織化・訓練に焦点を当てた国家行動計画と、組合レベル、地域レベル両方の青年委員会の計画について討議した。
来年計画されている活動には、インダストリー4.0に関する学習、10月7日のディーセント・ワーク世界行動デーの行動、ILO第190号条約の批准キャンペーンがある。
2020年にはインドネシア、ミャンマーまたはタイでのフォーラム開催も提案された。
アニー・アドビエント・インダストリオール東南アジア地域事務所所長が参加者に、急速に変化している労働環境で組合指導者になることの難しさと成功例を取り上げるよう促した。
「これを実現するには、若年労働者が労働組合にかかわり続けなければならない。若年労働者はインダストリー4.0の課題に直面しており、皆さんは若年労働者として、適切な組合の取り組みを提案することができる。インダストリオール地域事務所は、若者に権限を与える活動や国内・地域レベルにおける青年機構の設置を強く支持する」
イタリアの金属労働者、持続可能な産業を求めてスト
2019-11-04
イタリアのインダストリオール・グローバルユニオン金属部門加盟組織FIOM-CGIL、FIM-CISLおよびUILM-ULの組合員は、10月31日に2時間ストを実施して職場集会を開き、持続可能な産業の未来のための緊急政策を要求した。
このストがイタリア全国の職場で実施された現在、工業生産の減少、賃金の低下、職場災害の増加を受けて、イタリアの金属産業の未来をめぐる不透明性が高まっている。主な要求は、産業・雇用危機の阻止、経済的・社会的成長の回復、投資の再開、賃金の増額、労働者の基本的権利の尊重、新規雇用の創出に関する意思決定への労働者の関与、新技術による生産性向上の恩恵の共有、社会的セーフティーネットの改革、職場における安全衛生の改善要求である。
「金属労働者は、この産業と国に対する自らの全体的責任を認識しており、労働者の生活と雇用の保護に必要とされる大きな技術変化や生態系変化を牽引したいと考えている」とFIOM、FIMおよびUILMの共同声明は述べている。
このストと動員はイタリアの産業が低迷している中で使用者と政府、議会に圧力をかけて行動を起こさせるために必要な措置だ、と3団体は考えており、次のように述べた。
「イタリアでは現在160社が危機的状況にあるが、解決の見通しは立っていない。経済的・社会的成長の再開と雇用および安全衛生の保護を目指す官民投資を通して、企業と労働問題を再び政治課題の中心に据える必要がある」
共同声明は次のように続く。
「イタリアでは耐え難い状況が見られる。社会的セーフティーネットの利用が増えており、家庭用具から鉄鋼業、自動車産業、電子、情報技術、設備に至る全産業で、工場全体の閉鎖が発表されている。再編プロセスは労働者にコストを転嫁して企業の収益性を保証する場合があまりにも多すぎる。同時に、仕事関連の死傷事故が増えている。この状況はもはや許容できない」
インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパは、ストの前にFIM-CISL、FIOM-CGILおよびUILMに共同連帯メッセージを送り、次のように述べた。
「戦略的な部門への官民投資によって雇用を増やし、環境的に持続可能な方法で良質な雇用を創出しようとする皆さんの闘いを全面的に支持します」
FIM、FIOMおよびUILMは、この動員を継続し、11月20日にローマで金属労働者の全国集会を開く旨発表した。