広報ニュース

第100号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2020年2月29日)

ウクライナの闘いのために連帯

2020-02-29

グローバルな組合運動は2月25日に連帯行動を起こし、グローバル・ユニオン・フェデレーションのキエフ・ミッションと、中核的ILO条約、国内法およびヨーロッパの法律に反する労働法・労働組合法案と闘うウクライナの組合を支援した。

この#HandsOffUkraineUnions行動デーにあたり、界中の労働組合員がウクライナ大使館に抗議文を届け、大統領に労働者の権利と結社の自由を弱める労働法案の撤回を要求した

同ミッションはウクライナ労働組合連盟、ウクライナ自由労働組合総連盟(KVPU)とともに、ティモシー・ミロバノフ経済相、ガリーナ・トレチャコバ議会社会政策委員会委員長、ウクライナのEU統合に関する議会委員会委員長、ウクライナのEU代表団団長、ILO国家コーディネーター、オンブズマン、使用者団体と会談した。

ウクライナのEU代表団とILO代表団は詳報を出し、労働法案のどの規定がILO条約やヨーロッパの法律に違反しているか明らかにする予定である。ルカ・ビセンティーニETUC書記長によると、ミッションはミロバノフ、トレチャコバ両氏から、組合と合意に達するという確約を得た。政労使作業部会の結果を考慮し、法案がILO条約ならびにウクライナ・EU連合協定に従うよう確保するという発言も引き出した

ミハイロ・ボリネッツKVPU会長は言う。

私たちの任務はソーシャル・パートナーを説得することではなく、社会的対話を行い、意見を述べること目標は、ウクライナの労働者を擁護し、保護を提供するメカニズムを擁護することだ」

進行中の法改革は、ウクライナの組合権に対する直接攻撃であり、労働組合運動の破壊を目的としていると見られている。したがって、ミッションはILOに労働組合法案の調査も求めた。

インダストリオールは2月28日、ITUC、PSI、IUFとともに、ジュネーブ国連本部のウクライナ政府代表部ハイレベル代表2人と会談した。一行は大統領宛の書簡を手渡し、法案をめぐる懸念と要求を表明した。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。

「政府にグローバル・ユニオン・ミッションの際に交わされた約束を守るよう要請する。ウクライナの組合への連帯支援を続け、労働者・労働組合の権利がILO中核基準に従って尊重されるよう確保する

 

 

暴力とハラスメントのない仕事の世界

2020-02-27

 

3月8日の国際女性デーは、仕事の世界における暴力とハラスメントに関する新しいILO第190号条約を促進し、その批准を要求する重要な機会となる。

昨年11月のインダストリオール世界女性大会が達成した成果は、男女平等と女性の権利促進を、すべての活動により深く組み込むよう確保するうえで貢献する

女性大会は傘下組合のための変革的アジェンダを策定、力関係や組織機構、文化を根本から変革する措置を確認し、女性が労働組合で、より一般的には仕事の世界で絶えず経験している不平等の根本原因を取り除くことを目指した

インダストリオールは、女性大会で確認された男女平等の達成に必要な措置に特に焦点を当てる。その中でも特に重要なのは、ジェンダーに基づく暴力との闘いである。

ジェンダーに基づく暴力が根絶されない限り、関連産業や傘下組合で平等は達成されない

インダストリオールは、ILO第190号条約の批准を求めてキャンペーンを展開している。私たちは組合として、この条約が批准され、国内法に取り込まれるよう確保するために果たすべき重要な役割を担っている他のグローバル・ユニオンとともに、加盟組織が認識向上に使うための資料を作成した。

女性の権利促進を目指して3月8日に結集しよう!

インダストリオール女性フェイスブック・グループに参加して、3月8日の貴組合の計画を共有することができる。このプラットフォームを使って、aseby@industriall-union.orgやpress@industriall-union.orgに行動を報告したり、写真を送ったりすることもできる。それらの行動や写真を利用して各組合の行動を促進する予定である。

ソーシャルメディアでハッシュタグ#ALLWomen #C190 #ITCANCHANGELIVESを使用のこと。

 

テルニウム・グアテマラと歴史的協約を締結

2020-02-21

8年に及ぶ闘いを経て、Sitraterniumは1月29日にテルニウム・グアテマラと労働協約を締結した

2012年の同労組設立以来、労働者はこの鉄鋼メーカーによる反組合行動にさらされてきた。これを受けて同労組は、インダストリオール・グローバルユニオンその他の組織の支援を受けて、自分たちの権利を守るためにキャンペーンを開始した

先月締結された協約は、グアテマラのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織Festras傘下のSitraterniumにとって非常に大きな勝利である。

「Sitraterniumは8年前に設立された。私たちはテルニウムと初の集団雇用契約をついに締結した。今度は協約の遵守を確保しなければならない」とワルター・ロドリゲスSitraternium書記長は言う。

「Sitraterniumを代表して、インダストリオール、そのテナリス・テルニウム労働者世界協議会、アルゼンチンの組合UOM、カナダ鉄鋼労組、各全国組合、Festras、同僚、友人ならびに法律顧問など、支援してくれる方々全員に感謝したい。団結は戦闘力だ

2017年のインダストリオール・テナリス・テルニウム労働者世界協議会後、同労組は経済協力開発機構(OECD)にこの紛争を付託することに決めた。インダストリオールは、グアテマラの工場で労働組合を承認せず、組合との協議を拒否したことを理由に、OECDナショナル・コンタクト・ポイント(NCP)にテルニウムを提訴した

2018年、ルクセンブルクのテルニウム代表はNCPに、Sitraterniumと集団雇用契約について交渉すると話した。同年3月にテルニウム代表とSitraternium代表との初会合が開かれたが、その後間もなく同社は協議を中止した

2019年に団体交渉プロセスが始まった。最終的に今年1月29日、初の協約が締結され、翌日に関連文書が認証のために労働省に提出された。

デービッド・モラレスFestras書記長は言う。

「協約締結を大変うれしく思う。グアテマラでは、この部門の団体交渉がまだほとんど行われていないので、これは重要な協約だ。これですべてが解決するわけではないことは承知しているが、今後の交渉でもさらに成功を収める基礎を築いた

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。

「この歴史的な成果に至ったSitraterniumの同僚の決意と専心を祝福する。グローバルな連帯と国際的なメカニズムは有効だ私たちは一丸となって闘い続け、勝利を達成する」

 

フィリピンに関するILO調査への組合参加を要求

2020-02-20

フィリピンの組合は政府に対し、フィリピンにおける労働運動家殺害に関する国際労働機関(ILO)調査のための専門作業部会に労働組合代表を加えるよう求めている。  

労働雇用省(DOLE)はILOハイレベル・ミッションを受け入れる用意があるという2月14日のシルベストル・H・ベロ3世フィリピン労働長官の発表を受けて、統括労働団体のエイブラハム・レイエス全国執行副会長は言う。  

労働組合員の殺害と労働運動家に対する赤札の継続に関するILO調査を認めるというDOLEの決定を歓迎するしかし、作業部会に組合代表を参加させ、バランスの取れた見方ができるようにして公平を確保しなければならない。

DOLEの声明によれば、作業部会の構成はクラロ・A・アレラーノ次官、ベニョ・M・ベナビデス労働次官補、それに国家労使関係委員会、労使関係局、その他の国家機関のメンバーである。   

「容疑者の何人かは国家治安部門関係者なので、他の国家機関が準備作業を行えば真実が明らかになるかどうか疑わしい」とレイエスは言う。

アニー・アドビエント・インダストリオール・グローバルユニオン地域事務所所長もレイエスに同意し、ミッションの委任事項や調査に召喚する目撃者・被害者遺族の決定にフィリピンの組合を参加させるべきだと言う。  

2019年12月10日、世界中の組合が世界行動デーに結集し、フィリピンにおける労働組合員の殺害と赤札に抗議した。フィリピンでは過去数年間に少なくとも43人の労働運動家が殺害されている。 

 

デューデリジェンス――フランスは本当に企業免責根絶の基礎を築いたか?

2020-02-19

2013年10月24日にバングラデシュの首都ダッカで発生したラナ・プラザの大事故は、激しい抗議を引き起こした。被服縫製工場が入っていた建物が崩壊し、死者は1,000人を超えたこの大惨事により、主要ブランドや欧州系企業(カルフール、マンゴ、オーシャン、プリマークなど)の下請会社に雇用される労働者が広く耐え忍んでいる労働環境に注目が集まったこれらの多国籍企業の中に、その後法に照らして処罰された会社はない。障害となっているのは、買い手との関係が不明瞭であり、親会社がサプライヤー従業員の労働条件を認識していたことを証明するのが、不可能とは言わないまでも困難なことである

フランスは2017年に世界で初めて注意義務』またはデューデリジェンスに関する法律を採択した。この画期的な法律は初めて、人権や環境権が侵害された場合における多国籍企業の親会社とその子会社・下請会社との刑事上の関係を規定。要するに、大企業が買い手としての地位を隠れみのにするのを防止しようとしている

「ラナ・プラザ災害は問題についての認識を高めるうえで重要な役割を果たしたが、以前から類似の事故が発生していたため、私たちはしばらく前からこの法的不備に取り組んでいた」 とアムネスティ・インターナショナル・フランスのアドボカシー担当官サバイン・ガニエは説明する。

歴史的に、多国籍企業が享受している刑事免責は子会社にも及ぶ。オリビエ・プティジャンが著書『Devoir de vigilance, une victoire contre l’impunite des multinationales(注意義務、多国籍企業の刑事免責に対する勝利)』で説明しているように、法律上、このような刑事免責は存在しない。

「何十もの事業所や子会社、合弁事業その他の取引関係を傘下に収め、全体の利益に従って管理されている統一的・自主的事業単位(トタル、アップル、H&Mなど) の場合、[国際]法では独立事業体の集まりとみなされる」

一例として、2011年に石油グループ・シェブロンの子会社が、エクアドルの司法制度によって、現地での企業活動に起因する環境破壊で95億米ドルの罰金を科せられた。この米国系エネルギー大手が裁定の受け入れを拒否したことを受けて、NGO数団体は、シェブロンが事業を展開している他の国々で同社を有罪にしようとしたが、親会社と南米子会社との関係を証明できる法的手段がないために、その試みは無駄に終わった。

先駆的な法律

2017年にフランスで可決されたデューデリジェンスに関する法律は、この法的不備を埋めようとしている。同法は国連ビジネスと人権に関する指導原則に基づいており、国家だけでなく企業も、取引関係や事業活動に伴う「人権関連リスクを確認、防止および緩和」する義務を負うと定めている

適用対象は、フランスで活動しており、フランス首都圏で5,000人超または全世界で1万人超の従業員を雇用するすべての企業である。この法律はフランスの大企業に、人権・基本的自由、安全衛生および環境に関して、自社の活動が引き起こす可能性のあるリスクや重大な違反の防止を義務づけようとしている。同法が革新的である点は、この大企業の責任が親会社の活動のみならず、その子会社や、親会社が取引関係を結んでいる下請会社・サプライヤーの活動にも適用されることである。

この法律の強みは、国境を越えて効果を及ぼし、全レベルの主要な買い手やサプライチェーンに適用されることだ、 と企業で労働者代表を支援しているコンサルタント会社シンデックスのコンサルタント、デルフィーン・モーレルは指摘する。

具体的には、対象企業は一連の予防手段を定める年次『注意義務』(デューデリジェンス)計画の発表を求められる。ほとんどの対象企業が株式市場に上場されているため、この情報は公開されており、当該企業やvigilance-plan.orgのウェブサイトで入手できる。

しかし3年後の現在、デューデリジェンス法の成否はまちまちである。対象企業は2017年と2018年の2本の年次計画を発表しているはずである。だが、繊維部門のザラやH&M、食品産業のラクタリスなど、発表していない企業もある。

「企業は曖昧さにつけ込んでいる。法律の適用対象は、フランスで活動しており、世界中で1万人超の従業員を雇用している企業だが、フランス国内に1万人の従業員がいる企業にのみ適用されているという主張もある」とモーレルは説明する。現に、ウェブサイトでフランス首都圏に7万4,000人以上の従業員がいると謳っているマクドナルドのような多国籍企業でさえ、計画発表への参加をまだ決めていない

これらの疑念を払拭するために、NGOと労働組合はフランス政府に対し、デューデリジェンス計画の提出を義務づけられる企業のリストを要求している。

「要求への回答はまだない」とフランスの労働組合総連合CGTの国際顧問、モハメド・ロウナスは言う。「経済省は、この法律の監視も約束した。報告書の作成が委託されているが、ずいぶん前に発表されていたはずなのに何の知らせもない。業界を混乱させないようにブレーキをかけているようだ」

長い政治闘争

この法律の可決は長い政治闘争の結果だったと言わなければならない。労働組合に支持されたこのキャンペーンは、当初はシェルパやCCFD-Terre Solidaire、アムネスティ・インターナショナルをはじめとするNGOのグループが開始したものである。

「2012年の大統領選挙の前に、関連NGOは何人かの候補者に接触した。その後大統領になったフランソワ・オランドは、親会社に子会社の活動に対する責任を負わせると約束した」とガニエは思い起こす。新政権が発足すると、NGOグループは議会の代表者とともに提言活動を実施した。その後、社会主義・環境保護主義の議員3人が議会でこの問題を取り上げる。まず2014年に、そして2015年にも再び法案が提出されたが、いずれも、この法律は越えてはならない一線を越えていると考える政府・社会党(PS)によって拒絶された

フランスの最大手企業を代表しているAFEPは、法案を阻止するために精力的にロビー活動を行い、この法律はフランス企業の競争力を損なうと主張した。「AFEPは法案を阻止すべく非常に強く働きかけ、当時の経済相エマニュエル・マクロンにまで手紙を書き、この法律は危険だと主張した」とサバイン・ガニエは回想する。

行き詰まりがついに打開されたのは2016年8月、大統領就任前のマクロンが法案成立を嫌って辞任したときである。「プロセスの加速を推進したのはフランソワ・オランド自身だった。これはおそらく政治的な損得勘定によるものだろう。当時オランドは再出馬を考えており、これが再選に役立つかもしれないと考えたからだ」とアムネスティ代表は続ける。この法律は任期5年の最終週の2017年2月21日に可決された。フランスで、市民団体が促進して議会で取り上げられた法案が採択されることは非常に珍しい。

3年後の成果はまちまち

デューデリジェンス計画は、リスクマップをはじめさまざまな要素をカバーし、当該企業の活動に伴う危険、下請会社の評価手順、リスク緩和措置を取り上げなければならない。同法は通報メカニズムの導入も義務づけている。このメカニズムは、従業員、NGO、さらには例えば建設現場や工場の近隣住民も、企業活動がもたらす可能性のある未確認のリスクや逆効果を当該企業に通知できるようにしなければならない。

ある団体が発表した研究によると、提出された計画には非常に大きな差がある。「とても詳しくリスクを調べている計画もあるが、大多数はごく一般的なリスクしか取り上げていない」とガニエは言う。「児童労働や強制労働のリスクがあると説明していながら、これらのリスクが存在する場所や組織機構名を示していないこともある。せいぜい大陸を明らかにしている程度だが、それではあまりにも曖昧すぎる。これらのリスクに取り組むために必要な措置も示すべきだ」

通報メカニズムにも問題があり、たいていは懸念の送信先のメールアドレスが書いてあるだけで、通報がどのように処理されるか、どの言語を使えるかに関する情報が何もない。「メールが誰に送られるのか分からない。経営陣か人事部である場合が多い。そのような状況下で、どうして従業員にこのシステムを利用するよう期待できるだろうか

判例が法律を強化する可能性

この法律は何よりも、結果より手段に関する要件に基づいている。例えば、環境災害に責任を負う多国籍企業や、下請会社が児童労働者を雇用している多国籍企業は、そのようなリスクを防止するための計画を実施していることを証明できれば、有罪を宣告されないかもしれない。この骨抜きにされた内容は、この法律を制定するために払われた代償である

この法律は、さまざまな自由貿易協定をはじめ、大企業の利益を保護する膨大な法律文との関連でも考えなければならない。さらに、フランスが将来『営業秘密』の保護に関するEU指令を採択すれば、デューデリジェンス法の進展に深刻な脅威をもたらす。

それでもフランスのNGOはかなりの数の有罪判決を予想しており、その後の判例法を厳密に監視することにしている。最初に提出された法案では、デューデリジェンス計画と損害賠償がない場合、1,000〜3,000万ユーロの罰金が想定されていた。最終的に採択された法案では金額が明記されていない。「裁判所がさらに高い罰金を決定できるので、これはチャンスになる可能性がある」とガニエは言う。

最初の訴訟事件は、ウガンダにおけるトタルの活動をめぐって2019年11月に起こされた。現地におけるこの石油グループの事業は、食糧の権利を侵害するだけでなく、数千人から土地家屋を押収する原因になったと言われている。NGOはデューデリジェンス法を利用し、ウガンダで下請会社が土地取得に用いた方法の監視を怠ったとして、トタルに対して訴訟を起こそうとしている。しかし2020年1月30日、ナンテール高等裁判所は本件について裁定する管轄権がないと宣言し、この事件は商業裁判所に管轄権があるとの判断を示した。「これは非常に悪いニュースだ。この法律を最小限に解釈する方向に進んでいる」と多国籍企業の規制に関する地球の友キャンペーン責任者のジュリエット・ルノーは言う。商業裁判所は裁判官が企業の人間によって選ばれるため、企業側に有利な判決を下す傾向がある

この挫折にもかかわらず、フランスの法律は国際的にドミノ効果をもたらす可能性があるだろうか。この考え方はヨーロッパ数カ国、特に市民社会の間で勢いを増しているようである。スイスでは、すでに法案が提出されているが、議会で行き詰まっている。環境保護団体と左翼政党が立法を推進しているドイツも似たような状況にある。法案は日の目を見なかったが、ドイツ政府は将来の法案提出を認めていないわけではない。国連内部でも、多国籍企業の活動を規制する法的拘束力のある文書の導入について議論している。しかし進展は非常に遅く、アメリカ、ロシア、中国、ブラジルといった国々が手を尽くしてプロセスを妨害している。

「欧州連合さえ障害を設けている」とルノーは説明する。フランス側は、この法律を国際レベルで促進しようとしている。「フランスはこの法律を外交上の武器として利用しているが、これはそれ以上コミュニケーションの問題だ」とモーレルは言う。

この記事の初出は『Equal Times』

 

バングラデシュの船舶解撤場で死亡事故が続発

2020-02-17

バングラデシュは世界一の船舶解撤国だが、この産業の危険な労働条件が原因で2月前半に2人が死亡し、さらに多くの労働者が負傷した

2月4日、バラウリアのフルトラで、1人の労働者が切断していた巨大な鉄の隔壁の下敷きになって死亡した。この船舶解撤場では昨年8月にも労働者2人が死亡、13人が負傷しており、政府によって一時的に閉鎖された。

残念なことに、今回の死亡事故を見れば分かるように、過去の事故は解撤場の安全状況改善にまったく役立っていない

2月9日には、クワザ・カビール・スチールの船舶解撤場で労働者が鉄板にぶつかって重傷を負っている。

翌日にはSNコーポレーションで、労働者が鉄索に直撃されて死亡。この事故は労働者たちが船から巨大な鉄板を引きはがそうとしていたときに発生し、負傷者も1人出た。

使用者は労働者の安全を徐々に損ない、安全なリサイクル方法を無視し続けている。2019年に判明した船舶解撤事故に関する調査によると、少なくとも24人の労働者が死亡し、およそ79人が負傷した。2020年に入ってからは少なくとも4人が死亡、8人が負傷している。松崎寛インダストリオール船舶解撤担当部長は言う。

「事故が続発しており、これは大勢の労働者がまだ安全訓練を受けられない状態にあることを浮き彫りにしている。バングラデシュの船舶解撤場では不安定雇用が多いため、労働者が犠牲となり続けている

バングラデシュ政府は隣国のインドに倣って、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約を直ちに批准しなければならない政府・使用者は安全状況を改善するために組合と協力する必要がある

 

トルコの金属労働者、団結して賃上げを勝ち取る

2020-02-03

意志結集、共闘を通じて、3つの組合がおよそ13万人の組合員のために団体交渉により結果を勝ち取った。トルコ金属産業使用者団体(MESS)が1月に有意義な対話に入らなかったことを受けて、トルコ・メタル、ビルレシク・メタル・イスおよびウズチェリク・イスはスト実施を決定した。

しかし1月29日早朝、激しい交渉の末、大幅な賃上げについて合意に達した。トルコ・メタルとウズチェリク・イスは交渉集会後に協約に署名し、ビルレシク・メタル・イスも2月2日に署名した。

協約の有効期間は2019年9月1日から2年間である。協約に従って、時給12トルコ・リラ(TL)に満たない労働者は時給が引き上がる。すべての労働者の賃金は最初の6ヵ月間に17%引き上げられる(同期間のインフレ率は6.05%)。

次の6ヵ月間には、たとえインフレ率が6%を下回っても時給が6%引き上げられ、インフレ率が6%を超えた場合は加算される。以降の6ヵ月間ごとに、時給がインフレ率と同率で引き上げられる。

給付に関しては、1年目に20%増額される。

すべてあわせると平均増加率は最初の6ヵ月間に18.49%で、1年目に合計25.50%増となる。加えて、使用者により提供される健康保険も維持される

インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパは、加盟組織であるトルコ・メタル、ウズチェリク・イスおよびビルレシク・メタル・イスが、交渉プロセスにおける協力と団結により協約を勝ち取ったことを祝福している。

リュック・トライアングル・インダストリオール・ヨーロッパ書記長は言う。

「この団体交渉で素晴らしい成果を達成したトルコの金属関連加盟組織3団体を祝福する。ヨーロッパは現在、不平等の拡大に対抗する手段として、団体交渉を強化する方法について議論している。この協約の結果は、この目標に合致している。私たちの労働組合が公正な協約を求めて運動を進め、それが実現した

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。

「トルコの金属関連加盟組織3団体は、工場レベルと大衆デモによる動員の素晴らしい例を示した。また、どのように労働組合は労働者共通の課題をめぐって団結できるか、団結すべきかも示してくれた団結は、そのような部門全体の労働協約交渉プロセスにおいて重要だ。この偉業をを達成したトルコの組合を祝福する」