広報ニュース

第101号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2020年3月31日)

日本の金属労働者、賃上げを獲得

2020-04-02

JCMの春闘を通じて、多くの金属産業大手企業労働組合が賃上げを獲得した。

中小企業の労働組合は大企業の交渉結果をもとに会社と交渉に取り組んでいる。

JCMを構成する大手企業労組は2月に企業に対して賃金・労働諸条件に関する要求書を提出し、交渉を重ねてきた。3月11日、大部分の労組が回答を得た。

  • 56組合すべてで定期昇給を確認し、うち44組合で平均1060円の賃上げを獲得
  • 平均で5.1か月の一時金を獲得
  • 企業内最低賃金協定は、平均で月額1,698円の引き上げを獲得

2020春闘で達成された結果を受けて、JCM高倉明議長は次のように述べている:

  • 日本経済を個人消費がリードし強固な経済構造へ転換することが必要不可欠との認識に立ち、人への投資として、この数年来継続している賃金引き上げの維持を求めてきた。
  • 組合員の協力や努力が産業・企業の発展には必要不可欠である。労働組合は経営に対して不安払しょくにつながる回答を示し、共に苦境に立ち向かうことを強く求めてきた。
  • グローバル経済、日本経済は日に日に悪化し、それどころかCovid-19の将来影響がこの瞬間見通せなくなっている。しかしながら、多くの組合が昨年並みあるいはそれ以上の賃金引上げを達成したことは、景気の底割れを回避するという労使の役割を発揮したことを証明している
  • バリューチェーン全体の賃金・労働諸条件の引き上げが、金属産業の競争力強化にとって重要である。賃金引上げを獲得できた組合数の拡大と、大手企業を上回る賃金引上げ額の獲得をすることにより、底上げ・格差是正の実現を図るべく、春闘を通じて支えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Covid-19対策――労働者と使用者へのアドバイス

2020-03-30

COVID-19に対する従業員・雇用者へのアドバイス(英語)

インダストリオール・グローバルユニオンは、労働安全衛生を労働者の権利、使用者の責任の問題ととらえている。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の発生がもたらした非常事態下においても、この基本原則に変わりはない。それどころか、この原則はこれまで以上に重要性が増している。

2、3週間で何もかもが変わったが、その反面、何も変わっていない。

どの国で働いていようと、今までどおり法律が適用される。法規の文言は世界各国でさまざまだが、一般に使用者は従業員の安全衛生を保護しなければならない。この義務には、安全に仕事をするために情報や教育、訓練、適正な装置を提供することが含まれる。加えて、COVID-19発生に対処するために新しい特別法規が制定されているかもしれない。職場が適用されるすべての法規定に従うようにしなければならない。

訳:職場に内部システムを導入しなければならない。

 

労働者は、どのようなリスクがあるか、それらがどのように管理されるかをできるだけ正確に知る権利を要求する。どんな管理を実施するかに関する意思決定への参加権を強く主張する――それは私たちにとって重大な問題である。つまり、合同安全衛生委員会や労働組合安全代表が、講じられるすべての措置の立案と実施、監視に全面的に関与しなければならない。最後に、管理が不十分だと考える理由がある場合に、不健康または危険な仕事の遂行を拒否する権利を主張する。

使用者には、安全で健康的な職場を確保する責任がある。従業員には、導入された管理手段を慎重に守り、実施する責任がある。

新型コロナウイルスとは?

いま全世界で一般に新型コロナウイルス感染症と呼ばれている病気は、専門用語ではCOVID-19と呼ばれ、SAR-CoV-2という新たに発生したウイルスによって引き起こされる。

この感染症は恐ろしい事態を引き起こしている――誰も免疫を持っていないウイルスなのである。このウイルスは世界中に広まっており、感染率を抑えて医療制度が破綻しないようにするための対策が実施されている。

だが同時に、他の多くの病気と同じような感染症であり、このウイルスによる感染症の予防は、ずっと前から知られている原則に従っている

世界保健機関はリーフレット「Getting your Workplace Ready for COVID-19(職場のCOVID-19対策)」(2020年3月19日)で、COVID-19について次のように説明している。

COVID-19の拡大プロセス

COVID-19感染者が咳をしたり息を吐き出したりすると、感染した体液の飛沫が放出される。この飛沫のほとんどは、机やテーブル、電話など、近くの表面や物に付着する。汚染された表面や物に触れたあとに目や鼻、口をさわると、COVID-19に感染するおそれがある。COVID-19感染者の1メートル以内に立っていると、その人の咳や呼吸の飛沫を吸い込んで感染することがある。つまりCOVID-19はインフルエンザと同じような方法で広がるのであるCOVID-19感染者のほとんどは、軽い症状が出たあとに回復する。しかし、重症化して入院治療が必要になる人もいる。重症化のリスクは年齢とともに高くなり、40歳を超える人は40歳以下の人よりもリスクが大きい。免疫力が低下している人や、糖尿病、心臓病、肺疾患といった持病のある人も重症化やすい

訳:新型コロナウイルスの症状・・・発熱、咳、息切れ、咽頭炎、頭痛


症状は?

症状を知っておくことは、自分や同僚がリスクにさらされているかどうか、他人にリスクをもたらさないかどうかを確認するために重要である。COVID-19感染の最も分かりやすい症状は、熱が出ることと、空咳が絶え間なく出始めることである。

これらは感染者に最も頻繁に見られる症状である。

全体の88%       発熱
全体の68%       空咳
全体の38%       疲労感
全体の33%       痰
全体の19%       息切れ
全体の15%       筋肉痛または関節痛

それほど報告頻度の高くない症状として、そのほかに咽頭炎、頭痛、悪寒、吐き気や嘔吐、鼻詰まり、下痢、喀血(血痰)、結膜充血(目の痛み、涙目)が挙げられる。

ほとんどの人は、合併症を起こさずにCOVID-19感染から回復する。しかし、一定割合の人は重症急性呼吸器症候群や肺炎になることがある。そのような重態になると、臓器不全や死に至るおそれがある重篤な合併症のリスクは年齢とともに増大するようである

症状が現れた場合の対処法

在宅時に症状に気づいたら、外出しない

職場で初めて症状が出た場合は、使用者(誰に知らせるかを明確にしておかなければならない)に知らせて帰宅する。帰りの交通機関を待っている間、他の人たちと少なくとも2メートルは距離を空けておく。

医者を呼ぶ。同居人全員を含めて、自主隔離に関する最新のアドバイスに従う。症状が悪化してきたら、直ちに医師の診察を受ける。

できれば使用者は、曝露の疑いがある労働者が無料でCOVID-19検査を受けられるようにすべきである。本稿執筆時点では検査キットが不足しているが、供給増が予想されることに留意されたい。

職場で講じるべきCOVID-19対策

あらゆる職場の危険要因と同様に、合同安全衛生委員会と安全代表は、適切な職場方針、プログラムおよび手続きの実施を確保すべきである。これらの方針やプログラム、手続きについて合意しなければならない。使用者だけに決定を委ねてはならない。

方針やプログラム、手続きは、遵守して初めて効果を上げる。効果的に実施を監視する手順についても合意すべきである。

危険の確認

危険の確認とリスク評価は共同で行う――リスクを評価する道徳的権限を有するのは,そのリスクに直面している人たちだけである。

*初期の焦点は、旅行から帰った人や感染者と接触した人、あるいは大量の潜在的感染者だった。しかし、世界の大部分の地域は現在、地域感染や市中感染が起こっている状況にある。したがって、もはや旅行者への曝露が唯一の危険というわけではない。

*このウイルスは症状が現れる前に感染することがある。それでも、すべての人が自分のためだけでなく他者のためにも症状を知っておかなければならない。上記の詳細な症状リストを参照のこと。

リスクの管理

個人衛生と産業衛生の原則は、COVID-19の場合も他のバイオハザードの場合と同様である。何よりもまず、危険を除去または完全隔離する。ウイルス感染の機会を極力排除することによってリスクを最小限に抑える。そして最後に、効果的な個人用保護具を提供する。

今回の場合、危険の除去や完全隔離は不可能であり、職場の誰も(労働者、請負業者、顧客、訪問客)が感染している可能性があるので、リスクの最小化とは以下の戦略の実施を意味する。

具体策

個人衛生

石鹸と水をたっぷり使って頻繁かつ徹底的に手を洗う。簡単に手を除菌できる場所を職場全体に戦略的に設ける。

「徹底的な」手洗いの方法を説明するポスターを貼っておけば役に立つ。手を消毒するには、大量の石鹸または洗剤と水で最低20秒は洗う必要がある

洗っていない手で顔(目、鼻、口)に触れないようにする。

ハンドドライヤーは残っているウイルスを拡散させるおそれがあるため、ペーパータオルで拭くほうが望ましい。

職場で良い呼吸衛生を促進する――くしゃみや咳が出る場合はティッシュペーパーで鼻と口を完全に覆うか、ティッシュがないときは腕の曲げたところで覆うよう全員に奨励する。

その他のコミュニケーションや教育・研修も役立つ。

産業・職場衛生

維持管理措置:表面(機械、工具、制御装置、ハンドル、キーボード、タッチスクリーン、電話、オフィス機器、ドア、階段の手すり、備品など)の頻繁な清掃・消毒体制を実施する。表面を消毒するには、十分に高い濃度のアルコールや過酸化水素、塩素系漂白剤(最低62~71%のエタノール、0.5%の過酸化水素または0.1%の次亜塩素酸ナトリウム)で、最低1分間は洗浄する。血液や体液で明らかに汚染されている場合は特に注意して処理し、そのエリアを消毒するとともに清掃スタッフを保護しなければならない。清掃スタッフに適切な消毒方法を通知したり、それに関する訓練を受けさせたりする。特に勤務交代時に職場の表面や機器を頻繁に清掃すると、感染の抑制に役立つ。

使用者は、清掃用品やティッシュ、救急用品、個人用保護具などを十分にストックしておかなければならない

職場を十分に換気する。

社会距離戦略:可能な限り労働者間の間隔を広げる(2メートル以上)。できれば在宅勤務やフレックスタイム、時差勤務を認め、互いに密着する労働者の数を減らす。

不要不急の出張や会議はすべてキャンセルし、可能な限りバーチャル会議で代用する

年齢や持病が原因でリスクが高い労働者には特に配慮すべきである。

台所や食堂の備品、調理器具、食事用器具類、食器などには特別な注意を払わなければならない。

使用済みティッシュなど、汚染されている可能性のある廃棄物は安全に処分すべきである。廃棄物の中にウイルスがいる可能性がある場合は、処分について助言を求める。場合によっては、特別な手順を遵守しなければならない。

発症または感染が疑わしい症例の取り扱い

感染が疑われる症例が職場で確認されたら、医師の診察を受けさせ、本人を直ちに帰宅させなければならない(重症の場合は医療機関へ)。自宅で搬送を待っている間は、本人を他者から隔離しておく――感染の疑いがある人がマスクを着用すれば、飛沫を介してウイルスが他の人に移る可能性を抑えることができる。本人が接触したすべての物や表面を消毒する必要があり、接触した可能性のあるすべての人を特定して監視しなければならない。

個人用保護具

COVID-19ウイルスに対抗する特定の保護具の提供を決定するにあたっては、その職場に固有の性質と当該の作業を考慮したリスクアセスメントに従わなければならない。以下の一般的なアドバイスは、個々の状況において最善の解決策ではないかもしれない――必要に応じて別途専門家の助言を求めること。

一般的な紙製マスクやサージカルマスクは通常、医療現場以外や、汚染された可能性のある物質の洗浄や処理、感染が疑われる人との接触といった特定業務以外の作業には必要ない。マスクは病気の感染を抑えるかもしれないが、誤った安心感を与えるおそれもある。湿ったマスクは、取り外して廃棄する際に細心の注意を払って手や顔をすぐに洗わなければ、感染を引き起こす可能性のある汚染表面になることさえある。ぴったり合う適切な種類のマスクを装着しても、ウイルスを防ぐ完全なバリアにはならず、必要に応じて完全な呼吸器保護プログラムを導入し、適切な研修や装着、使用を確保することが望ましい

しかし、仕事中に鼻水や咳が出た労働者には、職場を離れることができるまでサージカルマスクを着用させ、他の人へのリスクを抑えるべきである。

手袋や特別な衣服は、その職場で普段は必要とされないのであれば、一般にCOVID-19対策としては必要ない。ただし、医療現場や、汚染された可能性のある物質の洗浄や処理、感染が疑われる人との接触といった特定業務は別である。それらの衣類は感染を抑制する役割を果たすことがあるが、例えば手袋着用時に顔を触らないようにするために、訓練・教育プログラムを併せて行う必要がある。

清潔にしておくこと、特に手洗いが非常に重要と考えられている。つなぎの作業服や長靴、手袋、ヘルメット、ゴーグル、呼吸マスク、その他の個人用保護具など、すべての作業服の適切な洗浄・消毒手続きが導入されているかどうかを考慮する。

十分な社会的保護の確保

咳や微熱などの軽い症状であっても「外出するな」という意味であることを、職場で働く全員が理解しなければならない。このメッセージをできるだけ強く伝えるべきである。

病欠の場合は賃金全額を保証しなければならない。さもなければ、具合が悪くても出勤する人がいてウイルスを拡散させる危険性が高い。

精神的・情緒的健康に配慮する。この先の見えない時期にあって、誰もが恐怖を感じるだろう。在宅勤務する場合は、社会的隔離によるストレスを経験するかもしれない。

個々人に対処する方針と記録

使用者は、職場で誰かが発症した場合に医療機関に無事搬送されるまで、その状況に対処する計画を立てておかなければならない

職場への訪問者には、最近の旅行歴や現在の症状の有無を尋ねる。

フォローアップが必要な場合に備えて、職場を訪れた請負業者や顧客、訪問者の氏名(訪問先を含む)を記録しておくべきである。

結論

COVID-19は職場の安全衛生に新たな課題を突きつけているが、これまでと変わっていないことが1つある――組合は仕事の安全性を高める!

 

イタリアの金属労働者、重要性の低い生産の停止を求めてスト

2020-03-27

最新情報:CGIL、CISLおよびUILは政府との交渉で、3月25日付の新しい命令により、今回の衛生危機の間に実施できる「不可欠な生産活動」の定義の修正を確保した。今回の命令は3月22日付の命令に取って代わるもので、許可される生産活動を削減している。新しい命令は出勤者数を減らし、それによって労働者の安全衛生保護を改善する内容であり、労働組合は満足している。

イタリア北部でCOVID-19の影響が最も大きいロンバルディア州で3月25日、イタリアの組合FIOM、FIMおよびUILMが 8時間のゼネストを指示し、多数の金属労働者が参加した。現地組合の報告によると、の地域のすべての州でスト参加率は実に60〜90%にも上った

参加率がこれほど高かった理由の1つは、スマートワーキングや労働時間の中断・短縮、組合の要求で導入されたその他の手続きが、すでに実施されていたことである。

この高い参加率は、不要不急の生産活動すべての閉鎖を求めるロンバルディア州ならびに全国レベルの組合の要請への支持を示してもいる。

組合側がスト実施を決定したのは、使用者団体コンフィンドゥストリアの圧力により、パンデミックにもかかわらず多数の企業に生産継続を許可した政府を説得するためある。

FIOM、FIMおよびUILMによると、現在、何が必要不可欠なサービスとみなされるかについて解釈の余地があるため、多くの企業が活動を継続している。

現下のコロナウイルス拡大を踏まえて、組合は次のように宣言した。

「活動を許可された企業が多すぎ、重要性、必要性が疑わしい部門も含まれている

活動が継続していた一例は、ヘアドライヤーや掃除機のモーターの製造工場である。

FIOM、FIMおよびUILMは共同声明でストライキの結果に触れ、以下のように述べた。

「金属労働者の動員は、全国総連合(CGIL、CISL、UIL)の対政府イニシアティブを支持する行動だった。政府は、必要不可欠であるために継続できる活動のリストの見直しに応じている。この間にCGIL、CISL、UILと政府との交流が再開された。私たちは、このストライキを通じて、期待され要求される結果に至ることも願っている。生産活動を約10日間停止すれば、人と人との接触の可能性が低くなり、それによって感染の可能性も低くなる。これは人々の健康のみならず、崩壊のリスクから守らなければならない医療制度にとっても有益である」

組合側は「職場復帰を余儀なくされたすべての人が、健康を十分に尊重して安全に活動できるようにする。すでに示されたように、私たちは躊躇なく、衛生要件と安全対策を遵守しない活動を阻止する」。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は、連帯メッセージの中で次のように述べた。

「インダストリオール・グローバルユニオンはイタリア政府に対し、必要不可欠なサービスを提供したり、重要な製造業で働いたりしているために、このパンデミックの間も勤務を続けているすべての労働者の安全衛生を守るよう求める。さらにインダストリオールは、3月12日のグローバル・ユニオン評議会の声明に沿って、工場の安全確保あるいは職場の完全閉鎖を要求している」

 

世界各地の工場で急遽、Covid-19関連用品を生産

2020-03-27

新型コロナウイルス感染症の発生を受けて、各職場が生産体制を変更し、ウイルスとの闘いに加わっている。

米国ウィスコンシン州では、340人を超えるGEデーテックス・オメダ従業員が、時間と闘いながら人工呼吸器を生産している。麻酔・呼吸・乳児ケア用機器を製造しているインダストリオール傘下の全米機械工労組(IAM)第1406支部の組合員は、世界中で急増する人工呼吸器需要を満たそうと電光石火の行動を起こし、3月19日に1年間の緊急契約延長を承認した

目標は、今後90日間にできるだけ多くの人工呼吸器を生産することである。

「突然の契約延長交渉に取り組んだ結果、組合機関が非常に迅速に結集し、GEヘルスケアとの契約に合意したことを誇りに思う」とシーラ・ジョーダン第1406支部職場委員会委員長は述べた。

この契約延長は、私たちが組合員として今回のパンデミック対策に貢献できることを示している

ロバート・マルティネス・ジュニアIAM国際会長は次のように語った。

「第1406支部組合員のような勤勉で献身的な男女のおかげで、きっとこの危機を乗り切れるだろう。全世界が連帯して力を合わせ、このパンデミックに取り組む必要がある今、彼らは私たち全員を激励してくれる。彼らは文字どおり命を救っており、IAM全体が彼らをとても誇りに思っている」

アメリカでは繊維会社が、緊急に必要とされる医療用品を求める政府の要請に応え医療従事者用のフェイスマスクを製造するサプライチェーンを構築した。

自動車メーカーのフォードは現在、病院職員用の透明フェイスシールドを製造中で、今週は約7万5,000個を生産する予定である。

ブラジルの金属会社フレックスは同国保健省に選定され、Covid-19と闘うために集中治療室で使用する人工呼吸器を生産する。

CNM/CUT傘下のソロカバ地域金属労組(Sメタル)は、労働者を保護するための適切な措置を確保するために同社と交渉を進めている。同労組は必要な労働者数に関する情報も要求しており、現在、りの労働者が集団休暇を取得できるよう交渉中である。

スペインでは、インダストリオール加盟組織CCOOが企業に対し、パンデミック対策に資源を投じるよう要請した繊維・製靴業界はこの要請に応え、来たる春夏用の服の代わりに医療専門家用の作業服を製造する。ガリシアにある13のインディテックス工場のうち3工場は、医療ユニフォームの生産に専念する。

 

マレーシアで組合ピケにより行き詰まりを打破

2020-03-17

電子産業従業員組合北部地域(EIEUNR)の1日ピケを受けて、インフィニオン・テクノロジーズ(クリム)は、交渉の席に戻って労働協約交渉を続けることを余儀なくされた。使用者は2月25日に交渉の行き詰まりを宣言していた。

350人の労働者が会社の門の外に集まり、交渉の行き詰まりと経営側の賃上げ見送り案に抗議した。EIEUNRによると、同社は2016年から2018年までに4億7,900万マレーシア・リンギット(1億1,100万米ドル)の純利益を得ているため、この案は不当である。

「私たちは、勤続年数に基づく3〜10%の賃金調整、無制限の医療手当、1,200マレーシア・リンギット(280米ドル)の出産補助金、200マレーシア・リンギット(46米ドル)のシフト手当を提案している。会社の健全な財務状況を考えれば、これらは妥当な要求だ。当組合はボーナスをはじめとする給付の削減に反対している」とフィルダウス・サードEIEUNR副会長は言う。

労働者は毎日、ガスや化学薬品の配管が張り巡らされた廊下や階段を歩かざるを得ない。経営側はこの問題に取り組むと約束しているが、今のところ何も対策が講じられていない

インフィニオン・テクノロジーズが組合幹部を会合に招き、3月30日に交渉を再開することに同意したあと、ピケは終了した。経営側は、4月末までに新しい労働協約を締結し、2020年1月1日以降の未払賃金を全額支給するという約束を再確認した。

アニー・アドビエント・インダストリオール・グローバルユニオン地域事務所所長は同社に対し、社会的対話を尊重して誠実に組合との交渉を再開するよう強く求めている。

利益分配制は団体交渉の基本原則だ。マレーシアのエレクトロニクス企業は全般として好調なのだから、インフィニオン・テクノロジーズはEIEUNRの要求を真剣に検討しなければならない」とアニー・アドビエントは言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

新型コロナウイルス感染症――緊急経済対策と職場対応が必要

2020-03-12

グローバル・ユニオン評議会共同声明

新型コロナウイルス感染症の急速な拡大を受けて、健康を保護して経済を刺激するために世界規模の緊急対応が必要となっている。政府・使用者は、労働者を保護して職場における感染に取り組むために措置を講じなければならない

国際通貨基金(IMF)は、新型コロナウイルス感染症は2008年の景気後退のような経済恐慌を引き起こすおそれがあると警告している各国政府が国際機関を通して協調的に行動し、景気を下支えして雇用を維持する必要があることは明白である。世界経済は、実体経済と労働者、中小企業に効果を及ぼし、雇用と生活、地域社会を優先する景気刺激策を必要としている。パートタイム労働者、移民労働者、非居住労働者、不安定労働者、「ギグ」労働者、インフォーマル労働者など、すべての労働者向けの所得補助が不可欠である。

労働者は、新型コロナウイルスが経済や社会、健康に及ぼす影響を最も大きく受けている。労働者を保護できなければ感染がさらに拡大する特別な対策を講じ、有給病気休暇の取得権を持たない労働者が直ちに有給休暇を取得できるようにするとともに、病気休暇規定がある場合はさらに改善し、保護を提供する労働条件や取り決めを確保しなければならない

プラットフォーム企業に雇用を頼っている労働者が社会的保護を受け、プラットフォーム企業自体が出資する資金から補償を得られるようにすべきである。

世界は差し迫った危機に直面しており、この危機は非常に大きなものになる可能性がある。インフラや公衆衛生が不十分な最貧国にウイルスが蔓延すれば、数億人に壊滅的な影響を与える危険があるさらに、新型コロナウイルスが医療制度に加える大変な重圧は、新たな公衆衛生問題を引き起こす可能性が高い。

あらゆる部門の労働者がリスクにさらされているが、真っ先に緩和・治療ニーズの矢面に立たされるのは医療労働者である多くの国々で医療への資金供給が不十分であったり、国民が医療を受けられない状態にあったりし、医療制度が最も充実している部類に入る国でさえ、新型コロナウイルスは圧倒的な影響を及ぼす可能性がある。グローバルな対応は、これを前面に押し出さなければならない。

ウイルスの影響が広がる中で、労働者の健康と職場における権利を保護するには、政労使対話や団体交渉が極めて重要である

各国政府は、この難題に立ち向かって現下の危機に取り組み、将来の感染危機に対応して防止しなければならない。労働者と職場はこの中心となる

全世界で2億人の労働者を代表しているグローバル・ユニオン評議会(CGU)は、各国政府に以下のとおり要求する。

  • 雇用形態に関係なく、すべての労働者(フォーマル労働者、「ギグ」労働者、不安定労働者、インフォーマル労働者を含む)に、直ちに有給休暇取得権を拡張し、所得を維持し、社会的保護を広げる
  • 雇用と経済を支えるために国の歳出による景気刺激策を実施し、賃金と労働者の福祉、中小企業を守る
  • 国際機関と協力・協働しながら、新型コロナウイルスがもたらす脅威に十分対応できない国々への援助を拡充し、多国間金融機関が各国のニーズを評価して適切に対応するよう確保する。

CGUは使用者に以下のとおり要求する。

  • 労働組合を承認して交渉を行い、労働者の健康や権利、福祉に対する脅威を確認するとともに、職場での対応を立案・実施する。
  • 自社の事業およびサプライチェーンの全労働者に対する注意義務を認識して遂行するとともに、サプライヤーとの契約を維持し、新型コロナウイルスがもたらす脅威への対応にあたって、これらの労働者の権利と福祉を優先させる
  • 新型コロナウイルスの脅威を確認・防止・緩和・説明するプロセスや、使用者・政府による対応の評価に労働者代表を参加させる
  • 健康保護と保健計画が導入され、例外なく遵守されるよう確保する。
  • 団体交渉で相互に合意した多様な手段によって、すべての労働者の賃金と全額支給を保護する。
  • 新型コロナウイルスの脅威にさらされた労働者や感染した労働者に、疾病手当または休日給与の形で、休暇初日から有給休暇を保証する。
  • 新型コロナウイルスとその対策の悪影響を受ける全労働者(非標準的形態の雇用に就く労働者や契約労働者を含む)向けの補償基金を設立する。
  • すべての労働者に、各人に合わせた責任ある職場と勤務形態を提供する

すべての労働者、特に医療サービス提供者に、必要に応じて無料の医療検査、治療、訓練、訓練設備・施設を提供すべきである。特に影響を受けやすい人が多い移民労働者の状況に、特別な注意を払わなければならない。新型コロナウイルスがもたらす脅威への対応の一環として健康診断その他の検査を受ける際に、労働者のプライバシーや個人情報を保護しなければならない。地方・全国レベルの封じ込め措置が原因で労働者が金銭的に、あるいは実際問題として出勤できない場合は、可能な限り早く通常の職場に戻れるようにしなければならない

  • グローバル・ユニオン評議会の構成組織は、国際建設林業労働組合連盟、教育インターナショナル、国際ジャーナリスト連盟、国際芸術エンターテインメント同盟、インダストリオール・グローバルユニオン、国際運輸労連、国際労働組合総連合、国際食品関連産業労働組合連合会、国際公務労連、OECD労働組合諮問委員会、UNIグローバルユニオンである。
  • 画像:駅と地下鉄車両を消毒するニューヨーク市の鉄道労働者(アンドリュー・キャシン/MTAニューヨーク・シティー・トランジット)

 

ルーラ、不平等に対する世界的連帯を要求

2020-03-12

ルーラ元ブラジル大統領は3月6日(金)、ジュネーブのスイス記者クラブでインダストリオール・グローバルユニオンが組織した公開の集会で発言し、不平等に立ち向かうために協調的なグローバル行動を求めた。

 

 

200人近い聴衆は、ルーラの投獄とブラジルのクーデターに反対して運動してきた人たち、熱狂的な歓喜で彼を迎えた。在ジュネーブの報道機関から派遣された大勢の記者が出席し、記者会見の模様はライブストリームでも配信された。

ルーラに反応する報道関係者と聴衆

 

ルーラはヨーロッパ全域を回って各国指導者と会談し、自身が「現代の大きな闘い」と呼ぶ、不平等に対する世界的連帯の構築を呼びかけている

ルーラは、人類が多国間の行動を通して20世紀の闘いに取り組み、成功を収めたことについて語り、21世紀の大きな課題は不平等が拡大して労働者の権利が弱まる中で万人のために適切な生活を確保することだと述べた。

ローマ法王、パリ市長、フランスの経済学者トマ・ピケティ、ガイ・ライダー国際労働機関事務局長、ロバート・コジュル・ライトUNCTAD局長、世界教会協議会との会談でも、このメッセージを繰り返した。

ルーラとガイ・ライダーILO事務局長

 

ルーラはジュネーブでジュリアン・アサンジの父親に会い、報道の自由を擁護する行動を要請。ベルリンも訪れ、ドイツの組合や進歩的な組織と会談している。

金曜日には公開の集会に先立って、ジュネーブに拠点を置くグローバル・ユニオン(インダストリオール、BWI、IUF、UNIグローバルユニオン、PSI、ITUC)の指導者と会見し、不平等に関する行動を推進するために協調的キャンペーンや政策対応を練り上げた。

団結した強力な労働組合運動が民主主義を擁護し、トランプやボルソナーロをはじめとするポピュリスト指導者が象徴している憎悪や偏狭の風潮に逆らって労働者階級のために闘うことが重要だ、とルーラは強調した。

公開の集会で、ルーラは個人的な友人であるヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長によって紹介された。サンチェスは集まった人たちに、ルーラが作業現場から組合指導者になり、さらには大統領にまで昇りつめ、在職中に数々の業績を達成したことを思い出させた。

在任中の8年間に、ルーラは5,000万人のブラジル人を貧困から救い出したと書記長は述べた。

ジュネーブでルーラのためにデモをするインダストリオール執行委員たち

インダストリオールは、反民主主義的なクーデターを非難し、ルーラの釈放を求めて運動するにあたって、重要な役割を演じた。ルーラはグローバル・キャンペーンの重要性を認め、次のように述べた。

獄中にあった580日間、独房まで皆さんの言葉が聞こえた。その声に毎日エネルギーを注入してもらったおかげで、無実を証明して闘いを再開しようと決意を固め、以前よりも強くなって出てきた

彼は続けた。

「彼らが私を投獄したのは、私が選挙に勝つと分かっており、それを望んでいなかったからだ」

ルーラは民主的な集団行動を熱烈に擁護し、次のように述べた。

私は革命家ではなく、民主主義者だ。民主的な手段を使って平和的に変化をもたらすのがいいと思う」

「不平等との闘いを先導して人々に明るい未来への希望を与え、右翼的愛国主義者が喧伝する憎悪に代わるものを提供する必要がある」

ベルリンの公開集会でのルーラ

 

ジュネーブ訪問後、ルーラはベルリンに赴き、一連の公開の集会を開催。IGメタル教育センターでの集会では、イェルク・ホフマン・インダストリオール会長に歓迎された。社会民主党とSPD、左翼党の政治家や、ドイツの労働組合連盟DGB、フリードリヒ・エーベルト財団とも会談している。

ルーラとイェルク・ホフマン

 

ルーラは国際女性デーにあたり、ローザ・ルクセンブルクがファシストに殺害されたラントベーア運河の記念碑に敬意を表し、メッセージを残した。

写真:リカルド・スタッカート

 

 

ベトナムの組合が新労働法を歓迎

2020-03-03

ベトナムで結社の自由の原則を受け入れる新労働法の可決という断固たる措置が取られ、ベトナムのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織はこれを歓迎している。しかし、労働者の権利を求める闘いは続く。

ベトナムの国会は2019年12月、新しい労働法を可決した。新法は2021年1月に実施される。

これにより、労働者は職場で独立組合を結成できるようになる。使用者と従業員・組合の間で賃金交渉が行われるが、使用者は全国最低賃金政策に従わなければならない。超過労働に上限(月40時間、年200時間、ただし繊維、衣料、履物および電子部門は年300時間)が課せられ、退職年齢が男性は60歳から62歳に、女性は50歳から55歳に引き上げられ、セクシャル・ハラスメントならびに人種、国籍、民族、性別、婚姻歴、妊娠、政治的見解、障害、HIVに基づく雇用差別が禁止される。

チャン・クアン・フイ・ベトナム全国工業・商業労組会長は言う。

「この労働法は実に進歩的で、組合が改革プロセスを推進し、労働者の保護における組合の機能・役割を促進する機会を提供している

アニー・アドビエント・インダストリオール地域事務所所長は、ベトナムの労働法を結社の自由および団結権保護に関するILO第87号条約に合わせる大胆な決定を称賛した。

真の結社の自由の精神により、労働者が不必要な干渉を受けずに団結する自由が確保されている