ITUC、労働者にとってワースト10の国を公表
2020-06-22
国際労働組合総連合は年次世界労働権利指数を発表し、世界の労働者の権利と自由の侵害・制限を列挙した。このデータは144カ国の状況に基づいている。ITUCは世界労働権利指数の最新版で、侵害件数が過去7年間で最高に達したと指摘している。
政府・使用者は、団体交渉とスト権の侵害によって労働者の権利を制限し、いくつかの国では組合の登録を妨害して労働者を組合から排除している。
世界労働権利指数2020の調査結果によると、85%の国がスト権を侵害し、80%の国が団体交渉権を侵害していた。
労働者は51カ国で暴力にさらされ、61カ国で独断的な逮捕・拘留を体験し、72%の国々で司法制度の利用を否定または制限されていた。
報告によると、言論の自由を否定または制限している国の数が増えている。この報告書は、政府が労働組合指導者を監視し、独立組合と組合員に不安を広げて圧力をかけようとしているという悪評がいくつかある不穏な傾向についても警告している。
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール・グローバルユニオン書記長は言う。
「COVID-19の前でさえ、世界中で労働運動に対する前例のない攻撃と貧富の格差の拡大が見られ、これが新たな世界経済危機を招いた。ITUC世界労働権利指数は、この状況を定量的に反映している。私たちはインダストリオール関連部門における侵害を定期的に報告しており、繊維や鉄鋼、自動車、鉱業の状況はまったく改善していない。しかしCOVID-19発生後、組合員のほとんどが、さらに大きな規模で侵害にさらされている。唯一の反撃方法は、組織化の拡大、組合の強化、グローバルな連帯の促進だ」
侵害状況はバングラデシュ、ブラジル、コロンビア、エジプト、ホンジュラス、インド、カザフスタン、フィリピン、トルコ、ジンバブエで特に深刻であり、今年の報告書はこれら各国を労働者にとって最も危険な国々に挙げている。
情報画像付の報告書全文は、ITUCウェブサイトでアラビア語、英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語の各版を入手可能。
組合員の安全衛生、雇用および収入を守るためにグローバルな連帯を強化
2020-06-18
パンデミックが続く中で、インダストリオール執行委員会はオンラインで世界中から労働組合代表を集め、公正な明るい未来を改めて要求した。
COVID-19パンデミックは第2次世界大戦以来最も深刻な経済危機を招き、人々に壊滅的な影響を与えている。イェルク・ホフマン会長は開会挨拶で、パンデミックに立ち向かって結束を保つと述べた。
「この危機は労働組合活動に影響を与えており、私たちが闘って勝ち取った権利を縮小するために利用されている。インダストリオールの強さの基礎は、その組合員と、交渉やキャンペーンなどの行動だ。全世界33億人の労働者の大多数が自分たちの生存や今後のことを心配しており、私たちは団結しなければならない」
国際労働機関の予測では、今年7月までに3億人のフォーマル雇用が失われ、インフォーマル経済ではさらに多くの雇用がなくなるだろう。
今回のパンデミックで、グローバル・サプライチェーンが極めて脆弱であること、多国籍企業が特定の責任を負っていることが明らかになった。インダストリオール加盟組織は組合員への影響を報告した――英国の自動車メーカーは数千人を解雇している、世界の衣料産業で企業の怠慢が続いている、イタリアはほぼ完全に行き詰まった、インドは政府が労働者を犠牲にして労働法修正を強行しようとしているため大きな打撃を受けており、移民労働者は故郷に帰ろうとしているが食料も交通手段もない。
ヴァルター・サンチェス書記長は、COVID-19がインダストリオール関連部門に及ぼす影響について執行委員会に報告し、インダストリオールは労働者が保護されるよう確保するためにグローバル・ユニオン、全国組合ならびに部門レベル組合と協力していると述べた。
「加盟組織はCOVID-19の悪影響と闘い、組合員の安全衛生、雇用および収入を擁護している。そして同時に、組合は企業と協力しながら生産施設を切り替え、ベンチレーターや手指消毒剤など、治療の最前線で最も必要とされる製品を製造している」
さらに組合は、ハンガリー、ブラジル、カンボジア、インド、フィリピンのように、この危機に乗じて民主主義や人権、労働者の権利、労働組合を弾圧しようとしている政府に抵抗している。
「カンボジアで組合員を擁護したために投獄された組合指導者、ソイ・ソロスの釈放を求めるキャンペーンに全員が参加し、国際連帯の有効性が証明された」
「インドでは今週、労働者の権利を擁護するために別のキャンペーンを開始した。公正で明るい未来に向けた団結と闘争が必要だ」
執行委員会は、COVID-19に関する政治声明と、繊維・衣料産業のブランドに関するキャンペーン決議を全会一致で採択した。
インダストリオール女性委員会は執行委員会の前日に会合を開き、報告の中でモニカ・ベローゾ共同議長が、組合のすべての面に女性を含めなければならないと強調した。
「女性は現在のパンデミックで最も厳しい状況に置かれていると同時に、組合で十分に代表されていない。組合は女性の権利のために、男女平等のために闘わなければならない。各国政府は、女性が嫌がらせに遭わずに働けるという十分な保証を提供していない。もっと多くの政府が、仕事の世界における暴力とハラスメントに関するILO第190号条約を緊急に批准する必要がある」
パンデミックとそのリスクに直面して、執行委員会はインダストリオールの第3回世界大会を2021年9月まで1年延期することを全会一致で決定した。現在の任期(執行委員会、会計監査委員、会長、副会長および指導部)は、それに応じて延長される。2つの大会準備作業部会(規約/財政/持続可能な組織機構とアクション・プラン)の任期も延長された。
世界の航空宇宙産業――不時着目前か?
2020-06-16
ほんの数カ月前、世界の商業航空宇宙産業の前には、ボーイング737マックス危機を除けば青天だけが広がっていた。純粋な成長の兆しが見えていたが、COVID-19は数十年間で最悪とも言える危機をもたらした。
レポート
各国のロックダウンと旅行禁止は航空産業に途方もなく大きな影響を与えている。ここ8週間、すべての民間航空機の約80%が運航しておらず、ほとんどの航空会社の財務状態に大きな悪影響を及ぼしている。
各国政府が介入しない限り、倒産は避けられない。たとえ最悪の事態は回避できるとしても、新しい航空機の注文が延期またはキャンセルされているため、航空会社や整備部門、空港だけでなく航空宇宙製造部門でも失業が発生するだろう。
深刻な人員削減が毎日のように報道されている。今のところ最も目立つのは、ロールスロイスの9,000人、GEアビエーションの約1万人(労働者総数の25%)、ボーイング商業航空機部門の1万6,000人(労働力の10%)、サフランの約5,000人である。
各社の大規模な削減を見る限り、市場はすぐには回復しそうにない。初期の予測では、航空部門がCOVID前の数字に回復するには最低でも5年ほどかかりそうである。なぜそんなにかかるのか。COVID-19関連の規制が完全に解除されたら、この部門は立ち直るのではないか。
この混乱の背後には、そのほかに何があるのか。現在の危機は、以前から存在し、いま実際に現れたいくつかの問題を明らかにしている。
組合は、この危機の解決に積極的に関与する必要がある。この部門は過去10年間にグローバル化が進んだため、持続可能で正当な将来戦略を策定するには、グローバルな組合協力と社会的対話が極めて重要である。
重要な問題は何か?
高度に資本集約的
商業航空宇宙は資本集約型産業であり、限られた数の大企業しか活動していない。新しい航空機の開発には数十億ドルかかるが、利益率は2〜4%程度と低い水準にとどまっている。
主要サプライヤー、特に推進装置メーカーの利益率ははるかに高い。その理由は、エンジン生産にあるというよりも、アフターマーケットの整備・修理・オーバーホール(MRO)事業の利益率が非常に高いことである。
この非常に大きな財政的規模は航空会社の貸借対照表に反映されている。つい最近まで、一部の航空会社は多額の利益を上げていたため、毎年数十億ドルを費やして保有機を更新または拡大していた。現在、8週間のCOVID-19ストレス試験を経て、その同じ航空会社の多くが倒産の瀬戸際にある。
ボーイングとエアバスの果てしない対決
商業航空機産業は、最大のライバルであるボーイングとエアバスに支配されている。エアバスがボンバルディアの大部分を買収し、ボーイングもエンブラエル買収の寸前まで行ったときには、この複占がさらに強固なものとなるように思われた。
この対決のもう1つの重要な章は、不公正な取引方法や大型民間航空機関連の違法な国庫補助・助成が絶えず取り沙汰されていることである。2005年以降、アメリカとEU4カ国(エアバスが大規模に事業を展開しているフランス、ドイツ、スペイン、イギリス)は、世界貿易機関で関連紛争にかなりの資源を投資した。
現在、COVID-19ショックの結果、両社は新たな状況に直面している。新規の契約が次々に入って注文が満杯になるどころか、何機かの航空機を売却するために譲歩しなければならない。両社は延期とキャンセルの受け入れを余儀なくされている。そうしないと、主要取引先の破綻を引き起こすおそれがあるからだ。
両社が喧嘩すると第三者が喜ぶ
この対決の影で、間接支援のおかげもあって、第3の企業が浮上している――中国の国有企業COMACである。専門家によると、この新興メーカーが十分な国際競争力をつけるにはまだ少し時間がかかるが、今後最も力強い成長が予測される中国とアジアで、将来のビジネスを勝ち取る見込みが大いにある。
さらに、独立系メーカーとなったブラジルのエンブラエルが、市場で再び重要な存在になっていることを忘れてはならない。ロシアの航空宇宙産業には、共同CR929プロジェクト(2つの通路がある長距離ジェット)でCOMACとも協力して、今後さらに重要な役割を果たす可能性がある。そして最後に、三菱も地域ジェット市場で重要な企業になろうと強い野心を抱いている。
非現実的な成長シナリオ? 間違いなく持続不可能!
航空宇宙産業のCOVID発生前の成長シナリオは5つの仮定に基づいていた。
- アジアを中心に全世界で中流階級が増加し、飛行機旅行への需要がさらに高まる。
- 経済は引き続き高度にグローバル化していき、出張旅行需要は長期的に高止まりする。
- 地域空港の数が増え続け、航空交通が増える。
- 顧客選好に基づいてハブによる飛行機旅行がますます補完され、一部はより直接的な接続に取って代わられる。
- ネットワーク航空会社と格安航空会社の共存は経済的に継続可能であり、持続的成長を保証する。
現在、これらの仮定のいくつかは現実味を失っている。
テレビ会議と在宅勤務が部分的に(出張)旅行に代替
在宅勤務を余儀なくされて、多くの出張旅行者はテレビ会議の長所に気づいた――技術的問題がほとんどない、時間の柔軟性がはるかに高い、コスト節約になる、などである。
持続不可能なビジネスモデル
- ネットワーク航空会社は今、国内便の多くが赤字であり、高速列車による接続に取って代わられたほうがありがたいと認めている。
- 格安便市場はかろうじて利益を上げている。
- ネットワーク航空会社と格安航空会社との競争には有害な面もある。
グリーン化――航空宇宙は大きく出遅れ
カーボン・フットプリントを大幅に減らす実行可能な戦略のない産業は持続不可能であり、市場から撤退するだろう。戦略に真剣に取り組まず、顧客や政府を欺く産業は信頼を失い、改革を求める圧力をますます強く受けるようになる。
航空宇宙産業は自動車産業から学び、飛行機旅行をよりクリーンかつグリーンにする努力を強化すべきである。最新の商業航空機の炭素排出量は前の世代より40%少ないということが、希望的観測ではなく事実に基づく数字であってくれればいいのだが。今のところ、灯油なしで航空機を動かす技術的ブレークスルーはない。例えば地上走行中は電動機を使って排出量を減らすことができるだろうが、それによる改善は取るに足りない。
航空を将来の複合輸送コンセプトに完全に統合しなければならない。ハブ概念の利用を減らして直行便接続を促進する方法は、環境に優しい解決策ではない。地域空港の数をさらに増やすことを目指す政策についても同じことが言える。
COVID-19規制はいつ解除?
コロナウイルスは商業航空の未来に対する重大な脅威である。規制措置がいつ完全に解除されるか、COVID-19のさらなる波がやってくるかどうかをめぐる不確実性に加えて、最も重要な問題は、乗客は再び密着して座ることを受け入れるようになるのか、いつそうなるのかということである。
グローバルな構造の開発に着手したばかりのグローバルな産業
航空機の販売・運行・整備・修理・オーバーホールは完全にグローバル化された事業だが、製造ネットワークとサプライチェーンはさほどグローバル化されていない。低コスト国、主にメキシコとMENA地域への生産アウトソーシングは、約20年前に小規模に始まった。その後、インドの巨大な研究開発事業など、世界的な供給ネットワークが大きく成長しているが、まだまだこれだけでは終わらない。
アクション・プラン
グローバルな労使協力・対話の改善
労働組合の視点からすれば、この部門ではまだ真のグローバルな取り組みが見られない。企業レベルに本格的なグローバル労働組合ネットワーク(TUN)がなく、エアバス、サーブ、サフランの既存の3本に加えて、さらにグローバル枠組み協定が増えれば有益だろう。
例えば、迅速な情報交換や、多くの自動車TUNの重要な特色である協調的共同行動も、航空宇宙部門にとって有益であり、現在の危機下で役に立っていただろう。
各国政府に働きかけて国際運輸労連と協力
組合は政府と協力しながら、現状を安定させるうえで役立つシナリオを作成し、この部門の持続可能な産業戦略に共同で取り組まなければならない。インダストリオール・グローバルユニオンと国際運輸労連は、力を合わせてより密接に協力するつもりである。両連盟は共同作業部会を設置し、重要な研究プロジェクトで協力することにしている。
新興経済国の重視
多くの航空宇宙企業がまだ世界的事業展開を拡大しているところであり、サプライチェーンのグローバル化が進んでいるため、インダストリオール・グローバルユニオンは、新興経済国、特にMENA地域とインド、メキシコで、労働組合を構築して支援するための努力を強化していく。COVID-19次第だが、部門運営委員会は2020年末までにMENA地域で重要な会議を開催する予定である。
トルコの自動車労働者、連帯で大きな勝利を達成
2020-06-16
トルコ・メタルは、Bodo Bode Doğrusanと初の労働協約をめぐり交渉している。この段階に至るまで懸命な闘いを繰り広げてきた。ピケ、集会、行動、とりわけ国内・国際連帯の結果、この自動車部品会社を交渉のテーブルに着かせた。
プロフィール
2019年に、ブルサ市ケステルのBodo Bode Doğrusan生産施設の労働者は基本的な組合加入権を行使し、その大多数がトルコ・メタルの組合員になった。トルコ労働省は2019年11月6日に公式証明書を交付し、トルコ・メタルが交渉パートナーとなるに十分な過半数を確保していることを確認した。
だが、会社側は交渉に入るどころか、法的権利を行使して同労組に加入したことを理由に労働者を処罰した。
脅迫や威嚇、解雇が続いた。Bodo Bode Doğrusanは組合員6人の雇用契約を打ち切り、2月9日にさらに75人の労働者が解雇された。
しかし、労働者は反撃して工場を出ることを拒否、外気温度が氷点下の中、10日間のピケを張った。
要求は明白
- 解雇された同僚の復職
- 組合の即時承認
- 同社が労働者に対して起こしたすべての訴訟の取り下げ
- 労働協約交渉の即時開始
インダストリオール・グローバルユニオンはBodo Bode経営陣への書簡で、同社の行動は「トルコの労働法ならびに基本的な国際労働基準(国際労働機関の結社の自由および団結権の保護に関する第87号条約と団結権および団体交渉権に関する第98号条約など)の甚だしい違反」に当たると警告した。
Bodo Bodeは巨大自動車会社のMANとダイムラーに供給している自動車部品会社で、インダストリオールは両社とグローバル枠組み協定を締結している。両協定には、労働者の権利を尊重する社会的責任のあるパートナーからの部品調達が定められている。
インダストリオールはBodo Bodeから調達している大手企業の一部と接触し、介入して同社に国内労働法と中核的国際労働基準を遵守させるよう求めた。
インダストリオールは、トルコの金属労働者をドイツの組合IGメタルと結びつけるうえでも援助した。IGメタルはMANとダイムラーに欧州従業員代表委員会がある。MAN欧州従業員代表委員会のメンバー3人がトルコを訪問し、Bodo Bode労働者と会談して連帯と支援を表明した。
2月18日、Bodo Bode Doğrusanで大集会が開かれた。この集会で、Pevrul Kavlakトルコ・メタル会長は次のように述べた。
「トルコ・メタルは一貫して社会的対話を促進してきた。すべての組織化職場でその原則を実施しており、ここで実施する用意ができている。私は声を大にしてBodo Bodeに言う――合法的に行動して労働者を尊重するか、それとも、私たちがこれらの価値観を会社に教えるかだ」
2月19日に特別行動デーを実施し、Bodo Bodeと主要な顧客の両方にさらに圧力をかけた。組合員はBodo Bodeの前で抗議行動を実施し、イスタンブールのダイムラー本社前で連帯集会を開いた。
この圧力すべてが連帯行動と相まって、トルコの金属労働者の力強い勝利に貢献した。
2月21日、Bodo Bodeは国内・国際両レベルにおける労働者と顧客からの圧力に屈し、解雇された労働者全員の復職、すべての訴訟の取り下げ、組合の承認、団体交渉の開始に同意した。
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。
「これは真のサクセスストーリーであり、大きな勝利だ! 最終的にこの勝利をもたらした組合員の勇気と決意に敬意を表する。これはグローバルな組合連帯とグローバル枠組み協定の強力な実施・執行の素晴らしい実例だ。同社が今後、交渉の場で文明的な紛争解決策を選ぶことを期待している」
サハラ以南アフリカの自動車部門:生産拡大でディーセントな雇用を創出する可能性
2020-06-16
現在、アンゴラ、エチオピア、ガーナ、ケニア、ナミビア、ナイジェリア、ルワンダ、南アフリカ共和国など各国で、多国籍自動車メーカーが生産工場を開設している。この動きは、サハラ以南アフリカ(SSA)で自動車部門向け生産活動が拡大する可能性があることを明確に示している。車両需要は先進国で失速、SSAを含む新興経済国で成長しており、この部門が成長して内需を満たすようになるチャンスがある。
レポート
多くの場合、相手先商標製品製造会社(OEM)は自前の施設を設立するつもりが最初からなく、現地の委託製造業者と契約を結んでおり、委託製造業者が自社工場で車両を組み立てている。さらに、OEMは完全な製造事業を導入することがめったになく、セミノックダウンキット(SKD)から始めて、最終的には中期的に完全ノックダウンキット(CKD)に移行する計画を立てている。SKDとCKDの製造価値付加はかなり低く、工場での生産量が少ないため、部品製造への投資が行われる可能性は低い場合が多い。ほぼ間違いなく、各国政府はこれらの小規模ローテク組立工場を過度に保護している。これらの工場で組み立てられる車両の一部は、SKDに関する政策要件を満たすために分解されているだろう。この場合、製造価値付加は小さい。
SKDはほぼ完成した車であり、原産国で限られた数の部品に分解されたあと、別の国に輸出されて再び組み立てられる。ノックダウンキットには、車の製造に必要なすべての部品が含まれる。
CKDとは完全ノックダウン車を指し、約40%以上が完成した状態の車である。つまり、組立作業が最小限のSKDより多くの部品が組み立てられるということである。
批判的な人々は、SKDとCKDは実は製造ではなく、ほとんど価値付加のない「スクリュードライバー」組立工場だと言う。
例えばケニアでは、OEM向けに製造するフランチャイズを持つ企業を通して契約製造が行われている。例えば、政府が株主になっているケニア・ビークル・マニュファクチャラーズは、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、クライスラーのフランチャイズを所有。別の地元企業AVAは、三菱ふそう、スカニア、トヨタ、日野、タタ向けに中型・大型商用車を組み立てている。
「国産」車の製造にも取り組んでおり、いくつかの新興企業がプロトタイプを発表している。ケニアでは、英国の起業家ジョエル・ジャクソンが2009年に創設したモビウス・モーターズがバギーを発売する予定である。初めて購入する人向きのモデルで、価格は1万2,500米ドルと、ほとんどの国民にとって高価である。
南アフリカでは、ムレザとイランのSAIPAグループの合弁事業が、販売価格1万2,434米ドルの車を生産する予定。報告によると、この車はSKDから作られ、ジンバブエとボツワナの旧マツダ工場と旧現代工場でCKDキットが製造される。
キイラ・モーターズもウガンダでハイブリッドカーを生産する予定で、ナイジェリアの国産ブランドであるイノソン・ブランドは9,555米ドルの車の販売を開始した。うまくいけば、生産が始まるころにはディーセントな雇用が創出されるようになっていることが期待される。
世界でも特に開発が遅れた地域であるSSAでは、ほとんどの政府と政策当局が、自動車製造業は持続可能な工業化と経済開発にとって極めて重要と考えている。いくつかのアフリカ諸国政府、例えばエチオピア、ガーナ、ケニア、ナイジェリア、南アフリカの政府は、ドイツ、アメリカ合衆国、日本、韓国、中国、インドのような自動車製造国を見て、この部門が工業化を促進することに気づいている。金属製造、プラスチック、エレクトロニクスのようなプロセスが、これに貢献している。さらに、自動車メーカー、輸入業者、トラック/バス製造会社、自動車部品メーカーおよび販売会社、コンポーネント製造業者および供給業者、小売業者から成るグローバルな自動車部門バリューチェーンは、大いに必要とされる数千人のディーセントな雇用を創出する可能性がある。この雇用は、失業率が高く賃金が低い地域で不可欠である。
技術進歩に伴って電気自動車(EV)や自動運転車(AV)の開発が進んでいるが、SSAでは、これらの展開を支えるインフラが限られている。しかし、自動車会社と電機会社、情報技術会社の間の技術的収束も、新しい雇用を創出する可能性がある。SSA諸国はこれを、これらの新興産業を利用するために研究開発に投資する機会とみなしている。この研究開発では、部品製造業と現地で調達できる原材料への価値付加に焦点を合わせることができる。
SSAの自動車部門が世界の生産に占める割合は1%に満たない。この産業は世界各国に比べて小さく、2020年の推定世界製造台数8,200万台の2.3%を生産するにすぎないと予想される。ちなみに、この割合は中国30%、ヨーロッパ22%、北米17%である。
これを考慮すると、SSAで生産を増やして、より多くのディーセントな雇用を創出できる可能性は非常に大きい。SSAは、増大する人口を輸送するために2030年までに1,000万台以上の乗用車を製造する可能性を秘めている。
組織化を進める組合
自動車部門を組織化しているインダストリオール加盟組織は、ケニア金属合同労組(AUKMW)、ガーナ工業・商業労組(ICU)、ナミビア金属・関連労組(MANWU)、南アフリカ全国金属労組(NUMSA)、ナイジェリア鉄鋼エンジニアリング労組、ルワンダのSyndicat des Travailleurs de l’Industrie(Strigecomi)である。
SSAでは自動車部門の拡大が予想されるため、組合はすでに勧誘と組織化に関与している。組合戦略は、さまざまなイニシアティブで形になっている。例えば、職場・工場およびインフォーマル部門における勧誘・組織化、国境を超えた組合間の団体交渉ワークショップ、それにフォルクスワーゲン・ネットワークやリア・ネットワークのようなインダストリオール・グローバル・ネットワークである。
インダストリオールが自動車会社(ボッシュ、BMW、フォード、ダイムラー、レオニ、MAN、PSAプジョーシトロエン、ルノー、フォルクスワーゲン、ZF)と締結しているグローバル枠組み協定(GFA)は、関連組合にとって不可欠である。GFAは多国籍企業の事業全体で労働者の利益を保護し、労使がグローバル・レベルで取り決め、最高水準の労働組合権、安全衛生および環境活動を盛り込んでいる。
AUKMWはこのほど、スカニア東部アフリカと労働協約を、ジュア・カリというインフォーマル整備工場と了解覚書を締結した。組合は工場で従来の組織化方法を使いながら、不安定な条件下で働いている場合が多いインフォーマル部門の熟練工を組織化する新しいモデルを試している。組合は、インフォーマル労働者が他の労働者と同じ権利と利益を享受し、労働基準によって保護されるようにしたいと考えている。
例えばインダストリオールVWネットワークは、フリードリヒ・エーベルト財団サハラ以南アフリカ労働組合能力センターの支援により、2019年11月に会合を開いてSSAにおけるVWの拡大をめぐる傾向について討議した。この会合では、社会的対話、団体交渉・組織化・勧誘戦略、連帯・組合相互支援の確立、組合の力の強化を促進するネットワークの能力を構築する方法や、この部門に対するインダストリー4.0の影響も取り上げた。会合には、エチオピア、ドイツ、ケニア、ルワンダおよび南アフリカのインダストリオール加盟組織が出席した。
VWネットワークは、SSAの組合がIGメタルならびに欧州従業員代表委員会とのネットワークを築くためのプラットフォームでもある。ドイツの組合IGメタルとNUMSAとのリア・ネットワークは成功例であり、ヨーロッパとアフリカの労働者がアイデアや戦略を交換している。
リアの欧州従業員代表委員会とIGメタルが始めたリア・ネットワークの目的は、ヨーロッパとアフリカの合同従業員代表機構を設立することである。同社はヨーロッパとアフリカを一体とみなしているため、このアプローチは戦略的である。さらに、強力な企業別ネットワークはグローバル資本に対抗するうえでも役立つ。そのようなネットワークは、価格を指示してサプライヤーよりも安く販売するOEMの優位にも対処する。これを受けてサプライヤーは、賃金を減らして労働者と不安定な契約を結んでいる。例えば、南アフリカのリア工場では労働者の過半数が派遣会社を通して雇用され、ネットワークは労働者の常用雇用を求めてキャンペーンを展開している。
ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長は言う。
「SSAの自動車部門への投資がますます増えている時節柄、インダストリオールはアフリカの加盟組織とよりいっそう緊密に協力したいと考えている。関連労働組合を団結させ、労働組合ネットワークやグローバル枠組み協定、ワークショップ、グローバル・サプライチェーン戦略といった多国籍協力・連帯の手段を最大限に活用したい」
組合は団体交渉で同じような問題に直面しているので、さまざまな国で連帯を構築している。例えばAUKMWとNUMSAのパートナーシップは、組合がどのように団体交渉を行うべきかに重点を置いている。最近の会合では、委任事項や交渉中の組合員への報告に焦点を当てた。さらに、賃金基準やインフレ調整、生活賃金の促進も強調した。組合は団体交渉で産業の成長、雇用機会、自動車部門の見通しのような経済問題にも取り組まなければならないと強調された。労働法による雇用保障と紛争解決の促進や、ケニアと南アフリカ共和国の産業で不安定雇用をなくすためのキャンペーンも極めて重要である。
ローズ・オマモAUKMW書記長は言う。
「自動車部門への投資は雇用を創出する。私たちは組合として、それらの雇用を生活賃金が得られるディーセントな雇用にしたい。この部門の成長は、組合がより多くの組合員を勧誘して組合員数を増やすチャンスだ。インフォーマル部門の不安定労働者のほとんどは労働組合に加入していない。どうすれば彼らが組合員になれるか調べている。公共・民間交通システムを改善するために、インフラ開発だけでなく自動車部門にも投資する必要がある。現地のタクシー(マタトゥ)用の車両も改良が必要であり、ケニアの労働者を輸送するためにバスの台数を増やすべきだ」
ブシムジ・ムクンゴNUMSA自動車部門コーディネーターは言う。
「目前の難題に負けず、組合員の生活・労働条件改善を求めて闘い続ける。使用者との労働協約を通して設けられた基準を維持しなければならない。これは状況改善に向けてあくまで闘うべきだというケニアの同僚へのメッセージだ。他のアフリカ諸国における労働者の搾取にも取り組まなければならないので、定期的に会合を開いて能力を強化している」
政府支援が重要
全世界での経験から、政府の産業政策は自動車部門の成功において主導的役割を果たすことが分かっている。これは各国政府が自動車産業への投資を呼び込むために触媒の役割を演じているSSAでも同じはずである。南アフリカで先ごろフォードと自動車製造地区が開発されたこと、ナミビアでプジョーと政府が協定を結んだことは重要である。南アフリカのダーバン自動車クラスターのような自動車クラスターは、民間企業と自治体、自動車メーカーを結束させ、現地のサプライチェーンで成長と競争力を促進している。これらの国家クラスターを地域レベルで結びつければ、地域自動車サプライチェーンの開発に向けてクラスターを形成することができる。
さらに、SSAは自動車製造用の資源も豊富である。しかし、原材料からもっと多くのものを引き出すために、組合と市民社会組織、地域社会は政府に対し、車両製造業への現地調達政策の導入によって価値付加を促進する政策の策定を強く促している。
自動車製造用の原材料は、恵みよりも災いと言われることが多い。この地域には鉄鋼やアルミニウムといった原材料が豊富である。SSAでは十数カ国に莫大な埋蔵量があり、鉄鋼を生産できる。例えばモザンビークでは、モザールがアルミニウム製品と合金を生産している。リベリアは数十年前からファイアストンのゴム園で天然ゴムを提供している。残念ながら、これらの原材料は価値付加なしで輸出されており、その結果、これらの国々は完成品として輸出する場合に比べて収入を逃している。この地域には、自動車製造業に欠かせない白金族金属などの素材金属もある。
このところ、化石燃料から再生可能エネルギーへの移行に伴って電気自動車への需要増加が加速しており、バッテリー製造の重要な材料であるコバルトへの需要が増えている。コンゴ民主共和国には世界のコバルト鉱床の60%以上がある。SSAにはバッテリーセル生産の可能性がある。課題は、明らかに、ほとんどのアフリカ諸国に電気自動車製造用のインフラがないことである。
自動車部門の成功要因は優遇政策と助成金による政府支援である。例えば南アフリカでは、産業政策行動計画に基づいて自動車生産開発プログラムが策定されており、どちらの政策手段も貿易産業省が支援している。組合は社会的対話を通して政策プロセスに関与している。その結果、自動車部門はGDPの7.5%に貢献しており、南アフリカ製の車両は140カ国以上に輸出されている。南アフリカは他のアフリカ諸国とは異なり、現地の自動車産業を保護するために中古車輸入も禁止している。
南アフリカは、自動車部門に雇用創出の可能性があることを示す実例である。現在は低迷しているものの、この国の自動車産業は今も部品製造から車両組立に至る分野で11万2,000人以上の労働者を雇用しており、バリューチェーンでは32万人以上が雇用されている。しかし、他の国々では雇用者数が少ない。南アフリカではOEM7社(BMW、フォード、いすゞ、メルセデスベンツ、日産、トヨタ、VW)と、乗用車・大型商用車の独立系輸入・販売業者が活動している。政府は、戻し減税や関税・消費税の減額といったインセンティブを提供している。
アフリカの貿易が抱える課題のいくつかは、多くの小国経済が分散していることに起因している。アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の締結により、この状況が変わる可能性があると期待されている。AfCFTAは完全に機能すれば、地域経済共同体を1つのブロックに統合する。ケニアと南アフリカのいすゞ事業間の協力は、地域統合が自動車部門に利益を与える可能性があることを示す実例だが、これは、いすゞがケニアで低賃金を払うために南アフリカで高賃金を避けているということかもしれない。この場合、南アフリカで3,000台以上の小型トラックが生産され、SKDキットの最終組立は車両が販売されるケニアで行われている。
自動車部門の成否は、ヨーロッパ、日本、米国および他の国々からの中古車の流入規制にもかかっている。ガーナのような国では、中古車輸入が激しい競争を引き起こしている。中古車のほうが安いので、ほとんどの人が中古車を選ぶからである。これを規制するために、政府は新車の自動車金融制度の策定を求められている。だが、中古車には現地の条件に適していないなどのリスクがあり、中古車のほとんどが寿命に達しているので修理費が高額である。
ケニアも中古車に関して同じ問題を抱えており、輸入の抑制を目指す国家自動車政策を策定した。ほとんどのSSA諸国と同様に、ケニアでも10台中8台が中古車である。
ナイジェリアでは、国家自動車産業開発計画により、国産車の購入促進によって自動車部門を復活させようと目指している。この計画は、免税や輸入中古車への高率関税によって、多国籍自動車メーカーにもインセンティブを与えている。
さらに、急速な都市化で輸送需要が増えるだろう。経済水準や資産所有、教育レベルの向上によって中流階級が3億人以上に増えており、アフリカ大陸の人々の購買力が上昇して車を購入できるようになっている。しかし、SSAの自動車所有率は現在1,000人当たり42台であり、米国の837台、中国の173台に比べて少ない。世界平均は1,000人当たり180台である。したがって、増大する人口を輸送し、動物に引かせる荷車などの伝統的方法から最新の輸送方式に移動手段を転換するために、もっと多くの車両が必要である。
自動車産業に有利なもう1つの人口統計学的要因は、この地域の人口増加であり、現在の労働力人口は5億人である。国際労働機関によると、この労働力人口は2030年までに6億7,600万人(世界の労働力の約20%)に増大する。自動車部門には、雇用機会が増えたときにも十分な労働力がある。
生活賃金の支給によって所得が上昇し、現地の自動車需要が増加しているため、特に乗用車に関して、SSAの自動車部門には非常に大きな成長可能性がある。雇用創出の結果、組合は新規組合員を獲得するだろう。だが、自動車産業の雇用増加とSSAの急速な工業化を受けて、自動車クラスターを促進する強力な産業政策を導入し、例えば腐敗や密輸が絡んでいることの多い中古車の流入に対処する必要がある。
インダストリオール地域自動車会合の日時と場所は、コロナウイルス感染症パンデミックによる延期のため、まだ発表されていない。世界中の自動車労働者を代表している労働組合が初めて集まり、ネットワークやGFAに関する情報・戦略を交換し、関連マッピング作業(すべての工場の場所、組織化状況など)を完了する予定である。
STEMの女性――労働組合にとっての課題
2020-06-16
STEMは科学・技術・工学・数学を表す。ジェンダーギャップに取り組んでSTEMの女性を保護することは、現在、労働組合にとって最も緊急性の高い課題の1つである。
スペシャル・レポート
文:アーメル・セビー
深く根づいた社会・文化規範や固定観念、行動は、女性がSTEMで機会均等と平等な待遇に対する基本的権利を享受するうえで妨げとなっている。
加えて、労働組合は仕事の未来を形成するために公正な移行を求めて努力する中で、女性が置き去りにされず、雇用と時間と利益の公正な再分配の恩恵にあずかれるようにすべきである。
危機的状況にあるものは何か?
STEMには、ソフトウェア開発者やウェブ開発者、コンピュータープログラマー、科学研究員、エンジニア、データベース管理者、技術者、数学者、統計学者のような非常に多くの職業が含まれる。
STEM職は必ずしも高技能職というわけではないが、それでもSTEMに分類される職業は他の職業に比べて不釣合いに技能レベルが高い。
インダストリオール関連部門のほとんどはSTEM部門であり、製造業やエネルギー産業、鉱業はSTEM職で働くSTEM資格保有者を大量に雇用している。
STEM職は賃金が高く、未来の仕事になると期待されている。新技術の発展を受けて、製造部門は新しい技術的スキルを必要としている。STEM分野はインダストリー4.0の発展と気候変動への対処において鍵になる。STEM関連の雇用は、他の雇用よりもはるかに急速に増加している。
STEM職、特に高熟練職に占める女性の割合は低い。ジェンダーギャップは高等教育から始まる。UNESCOによれば、STEM関連の研究分野に入学する学生のうち、女性の割合は35%にすぎない。
自動車総連(JAW)によると、新規雇用エンジニアの男女比は半々ではない。技術系学部では女子学生の割合が15%前後だからである。
ヨーロッパ全域で、男性は中・高度技術製造業で優位を占めており、科学者とエンジニアの83%が男性である。エンジニア職に占める女性の割合は、オーストラリアで2016年に12.4%、カナダでは同年に13%、アメリカでは2017年に16.2%にとどまった。
STEMで働いている女性の割合は分野によって異なる。全世界で、女性の割合が最も低いのはエンジニアリング、製造、コンピューター科学、ICTである。
加えて、高等教育において、仕事の世界への移行において、さらには職歴においてさえ、STEM分野から脱落する女性の数が不釣合いに多いという問題もある。例えば欧州連合諸国全体で、ICT関連の学位を保有する30歳以上の女性のうち、技術産業にとどまることに決める人の割合はわずか20%である。
STEMにおける男女不平等の原因
女子は科学や技術、数学の勉強を奨励されることがめったにない。これらの分野は男性向けだと考えられている。若い女性は、STEM職で身を立てようするのは自分だけではないかとか、将来使用者に差別されるのではないかと心配することも多い。それに加えて、若い女性がこのような困難を克服するのを手助けできる女性の役割モデルやメンターはほとんどいない。
2019年11月に開催されたインダストリオール女性大会のSTEMの女性に関するプレゼンテーションで、スウェーデンの組合ユニオネンは、女性が卒業前にSTEM教育から脱落する理由を説明する要因をいくつか列挙した。
- 教員や学生による性差別
- 能力の承認不足とその結果としての自尊心喪失
- 孤立感
- STEM分野を他者の生活を改善するための手段と考えない風潮
STEMで働いている女性にとって、この差別は続いている。2017年にアメリカで実施された調査によると、女性はいくつかの形で差別を経験している。すなわち、同じ仕事をしている男性より賃金が少ない、無能であるかのような扱いを受ける、同じ仕事をしている男性に比べて上級幹部からの支援が少ない、職場で孤立していると感じる、最も重要な任務を与えられない、女性であることを理由に昇進できない、などである。
ユニオネンによると、女性は最終的に自分の資格に見合わない仕事に就くことが多い。カナダ・ユニフォーの報告によれば、女性はSTEM職で研究に携わっている場合、不安定雇用に甘んじる羽目になり、安定性は高いが賃金の低い仕事に転職するために辞めることが往々にしてある。
STEMの女性はガラスの天井と壁に直面している。女性はゼネラリスト色が強く、あまり技術的ではなく、より低い管理的なポストに就くことを選んでおり、そのような職務に選ばれている。その結果、女性は年齢に関係なく男性より低いポストに就く可能性がはるかに高い。2017年にハッカーランクが1万4,000人以上の職業開発者(女性2,000人を含む)を対象に実施した世界的な調査によると、35才以上の女性の20%以上(男性の割合は6%)が今なお低いポストに就いていた。
先ごろマダガスカルで開かれたワークショップで、鉱業部門のインダストリオール加盟組織は、技術的職業またはSTEM職で働こうとしている女性が差別されている実態を報告した。無意識的・意識的な偏見と出産休暇取得の可能性が原因で、若い女性は採用プロセスで不利に立たされる場合が多い。
世界各地で、女性は家にいて育児・家事労働を担当することを期待されている。労働時間の硬直性とSTEMにおけるワーク・ライフ・バランスの課題が一因で、これらの職業を辞める女性が偏って多い。
STEMの女性は男性の同僚より収入が少ない。カナダでは2015年、STEM分野の学士号を保有する労働者の男女賃金格差が17.9%に達した。この格差はヨーロッパでは2014年に27.6%、アメリカでは2017年に19.7%だった。
STEMにおける性差別とジェンダーに基づく暴力(GBV)
STEM部門では男性的な文化が広く見られる。技術部門とコンピューター科学部門では、『ブログラマー』(ブラザー+プログラマー)文化のせいで女性が去っている。
2019年12月にドイツで開かれたインダストリオール自動車作業部会で、性差別は女性がSTEM部門で直面する主要な問題の1つとして報告された。女性は冗談や行動、女性の仕事を低く評価する発言、女性の能力の疑問視、女性の阻害、職業面での成長の妨害によって、男性の同僚や上司から日常的に意識的・無意識的な性差別にさらされることを余儀なくされている。
女性は産業に広がっている微妙な形の差別が原因で夢の職業を諦めている。「紙で1,000回切られて死ぬようなもので、管理者は女性が血を流していることに気づかない」とロンドンの女性ソフトウェア・エンジニアは言う。「これは初めて話を聞く人にとっては小さな問題あるいは何でもないことのように思えるかもしれないが、女性は誰かに話すころには疲れ果てている」
STEMの女性はGBVを免れない。いくつかの研究とSTEMの女性の証言は、これらの分野でセクシャル・ハラスメントが高度に蔓延している状況を非難している。
組合は何をすべきか?
「ごく基本的なレベルで、もっと多くの女性をSTEMに引きつけて保護することは公平の問題だ。女性にも男性同様に、STEMの仕事を続けて成功する道を選ぶ機会を与えなければならない。それは組合がより包括的で多様になり、変容する世界に適応して生き残るために推進すべき取り組みの一部でもある。新技術とインダストリー4.0が発展する中で、組合がSTEMの女性のために今すぐ行動を起こすべき重要な時期だ」とヴァルター・サンチェス,インダストリオール・グローバルユニオン書記長は言う。
組合は、STEMで男女平等を求める具体的な真の行動と、女性に対する差別や支配の連鎖を生む固定観念・社会規範と闘うための行動を要求すべきである。労働組合は、これらの女性(その多くがホワイトカラー)を組織化したければ具体的な戦略を策定しなければならない。
インダストリオール世界女性大会は、STEMの女性を組織化し、その権利を保護・擁護することを組合の優先課題にしなければならないと主張した。これらの女性を組織化するには、組合は自分たちを代表し保護してくれると感じてもらわなければならない。指導部をはじめ組織機構の全レベルで多様性を反映させ、すべての労働組合行動にジェンダーの視点を統合し、すべての労働者のさまざまなニーズに対応しなければならない。
加えて、考え方の変化を促すために、埋め込まれた固定観念を打破して女性の自尊心と自信を高め、組合内部および組合員間で意識向上や訓練を行うことが不可欠である。
カナダのユニフォーは、教育を通して組織内で代表不足や固定観念、技術・知識の欠如に取り組んでいる。同労組は訓練機関と協力して女性組合員向けに訓練・意識向上プログラムをいくつか計画し、女性がSTEM部門に参入または復帰するよう奨励している。これらの活動の目的は、女性組合員の自信を高めてSTEMの仕事に就かせることである。
ユニオネンは昨年、Women in TechおよびWomen in ITの2団体とともに、技術分野で働く女性向けのワークショップを開き、これらの女性の声を聞いた。女性は要求リストをまとめた。
英国では、ユナイト・ザ・ユニオンをはじめとする組合が学校でプレゼンを行い、生徒たちを職場に招待してSTEMの仕事を紹介した。
STEM部門における差別への取り組みは採用プロセスから始まる。労働組合は、透明かつオープンで責任ある採用プロセスを強く要求すべきである。特に技術系ポストで、新人の採用における意識的または無意識的な偏見に対応すべきである。マダガスカルでは、鉱業部門のインダストリオール加盟組織が、技術系ポストの求人で性差別のない言葉が使われているかどうか監視している。
透明性は、同一労働同一賃金と平等な昇進機会を保証するために重要である。労働組合は透明な給与体系と昇進プロセスを強く要求しなければならない。男女平等を効果的に監視するには、労働組合が企業レベルで男女別データを入手できるようにすることが重要である。例えば、新規採用従業員、昇進・昇給、さまざまな職種や給与水準の労働者の分布に関するデータである。
自動車産業では、英国の組合ユナイトによるイニシアティブを受けて監査が行われ、経営側と組合代表が一緒に訓練を受けた。この現場には現在、組合代表も参加する同一賃金審査委員会がある。
多くの国々の法律が企業に対し、平等計画を策定して差別との闘いを支援するよう義務づけている。フィンランドの法律は、従業員数30人超のすべての職場について、労働組合と協力して平等計画を導入しなければならないと定めている。技術産業では、使用者と労働組合(インダストリオール加盟組織を含む)が、平等計画を立案したり賃金調査を実施して男女賃金格差を確認したりする方法について、訓練資料や訓練モジュールを開発した。これらの訓練には労働者代表と経営側が参加している。
ユニオネンはスウェーデンの使用者団体ALMEGAとともに、企業が差別に関してどのように活動しているか監視するための協力プロジェクトを開始した。調査を行い、サンプル企業の情報を集めている。
STEMの女性向けのジェンダーに対応した生涯学習プログラムの開発を組合の焦点にすべきである。インダストリオール世界女性大会の参加者は組合に対し、使用者との交渉や討議で女性向けの技能向上・生涯学習プログラムを取り上げるよう求めた。
インダストリー4.0の影響は男性と女性とで異なる。女性は時間の不足が原因で男性より訓練機会が少ない。訓練は女性の労働時間中に実施すべきである。女性は、消滅すると予想されるSTEMの中熟練職にとどまっていることが多い。生涯学習は、職業生活を通して女性労働者を支援し、新規雇用の創出から利益を得られるようにする手段である。
労働組合は、STEMで働く男女のためのワーク・ライフ・バランス関連措置や、有給育児休暇の改善や保育サービスへのアクセス拡大によって育児・家事労働の負担を軽減・再分配するための措置を取り決めるべきである。
STEMの男女平等を実現するには、女性がGBVにさらされないようにしなければならない。仕事の世界における暴力とハラスメントに関するILO第190号条約は、組合にとって重要な手段である。この条約は、絡み合う多様な形態の差別、男女をめぐる固定観念、ジェンダーに基づく不平等な力関係など、GBVの根本原因に取り組むうえで役立つ。条約に定められているとおり、職場のリスク評価を行えば暴力とハラスメントの可能性を高める要因(ジェンダー、文化・社会規範など)を考慮することができるので、態度を変化させるうえでも役立つ。
インダストリオールは加盟組織が第190号条約キャンペーンに加わるよう奨励している。この条約は、STEM部門も含めた各部門で性差別や暴力とハラスメントに終止符を打つために生活を変えることができる。
職場復帰をめぐる交渉
2020-06-16
各国政府がロックダウンを緩和し始める中、世界中の組合が職場復帰について交渉している。安全衛生は主な優先課題であり、職場復帰の方法は組合と労働者にとって非常に重要である。
イギリスのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織ユナイト、GMBおよびUSDAWは、労働組合会議(TUC)とともに以下のとおり強調した。
「政府・使用者がCOVID-19パンデミックを受けた全国的な安全衛生革命に合意するまで、組合員300万人に職場復帰を勧めない」。
南アフリカでは、鉱業が6月1日に復帰を目指しており、この部門の危険な再開に明確に反対する動きがある。ハウテン州西部のアングロゴールド・アシャンティ事業でCOVID-19が大規模に拡大し、組合の反対が強まっている。全国鉱山労組(NUM)は、労働者全員が検査を受けるまで鉱山を再開することはできないと言う。
インダストリオールは、安全な生産再開のために細目を交渉しなければならないと考えている。職場復帰に賛成か反対かという問題ではない。復帰の可否は、ある国や都市のコロナ拡大状況、医療制度、通勤のための保護対策の有無などによって決まる。それが導入されたら、全国・部門・企業レベルで組合と交渉し、安全な職場復帰に備えなければならない。
インダストリオールは、労働安全衛生を労働者の権利、使用者の責任の問題ととらえている。
COVID-19によって非常事態に陥ったからと言って、この基本が変わるわけではない。それどころか、この原則はこれまで以上に重要性が増している。
法規は世界各国でさまざまだが、一般に使用者は従業員の安全衛生を保護しなければならない。この義務には、安全に仕事をするために情報や教育、訓練、適正な装置を提供することが含まれる。加えて、COVID-19発生に対処するために新しい特別法規が制定されているかもしれない。職場がすべての法的要求に従うようにしなければならない。
労働者は3つの主要な権利を要求する。
- 仕事の危険について知る権利
- 危険な作業を拒否または中止する権利
- 安全衛生関連の意思決定に本格的に参加する権利
労働者は、どのような危険があるか、それらがどのように管理されるかを、できるだけ完全かつ正確に知る権利を要求する。どんな管理を実施するかに関する意思決定への参加権を強く主張する――それは私たちにとって重大な問題である。つまり、合同安全衛生委員会や労働組合安全代表が、講じられるすべての措置の立案と実施、監視に全面的に関与しなければならない。最後に、管理が不十分だと考える理由がある場合に、不健康または危険な仕事の遂行を拒否する権利を主張する。
職場復帰の前にもちろんリスク評価が必要であり、予防策を導入しなければならない。透明な情報・協議・交渉プロセスを実施し、労働者と組合が全面的に関与すべきである。労働者をリスク評価に関与させなければならない――リスクを評価する道徳的権限を有するのは、そのリスクに直面している人たちだけである。
それぞれの従業員は職場復帰する前に、個人用保護具に関する訓練など、危険・リスク管理に関する実際的で適切な安全訓練を受けなければならない。以下を網羅する明確な手順を定めるべきである。
- 労働者と第三者(外部サプライヤーなど)が職場に立ち入る方法
- 作業場の清掃・消毒
- 個人衛生予防措置
- 集団用・個人用保護具
- 特別安全衛生と共有スペース(食堂、喫煙コーナー、ロッカールームなど)使用法
- 身体的・社会的距離ルール
作業編成は職場復帰にあたって重要な役割を果たす。交替制、内部の職場異動、会合、内部の行事・訓練について分かりやすく概説することができる。必要に応じて、組合・労働者との協定で在宅勤務について定めることができる。
COVID-19のリスクが継続していることを考えれば、職場で症状が出た労働者を管理するための明確なルールを設けなければならない。職場で検査や審査、医学的監視を行う必要がある。COVID-19発症者については、疾病手当のような給付を満額支払い、完全な健康保険を提供しなければならない。
職場復帰計画はジェンダーに配慮し、女性を差別的状況から保護する特別な規定を設けなければならない。
多くの国々で今なお学校が全面的また部分的に休校しているため、労働者向けの保育施設を確保することが重要である。
検査・追跡手順はプライバシーを侵害するため、職場のデータ・プライバシーをめぐる懸念に対応しなければならない。
通勤のための各種輸送方法による解決策について相互に合意すべきである。
すべての職場復帰計画について真の社会的対話を行わなければならない。必要に応じて、専門家のサービスを利用できるようにすべきである。合意された職場復帰手順・協定の尊重の実施・監視に関して、安全衛生代表や安全衛生委員会の役割を明確にしなければならない。
COVID-19関連の心理社会的リスクを視野に入れて、労働者のメンタルヘルス対策を導入すべきである。
医学的・生物学的リスクが高い(例えば持病や特定の処方薬、年齢など)労働者を評価し、そのニーズに対応しなければならない。
業務災害保険計画や労災補償は、ほぼ間違いなく病気の認定だけでなく、安全な職場復帰手順に必要なCOVID-19の犠牲者とキャリアの広範な検査・識別にも依存する。組合は使用者に対し、COVID-19関連の請求に反対するのではなく支援するよう求めるべきである。
国際労働機関(ILO)は、安全で健康的な職場復帰のためのガイドを発行した。ILOによると、「職場復帰を決定する要因は、生命と健康の検討とリスクの予想・軽減でなければならない」。そして、「社会的対話は、効果的な政策設計を確保し、安全な職場復帰の促進に必要な信頼を築くうえで極めて重要である」。
ILOによると、国際労働基準は明確な権利・責任体系をはじめ、安全な職場復帰のための適切な枠組みを提供している。ILOの指針は、心理社会的リスク、化学的危害、人間工学的リスクなどを取り上げている。知る権利と拒否する権利、参加する権利も確認しており、ディーセント・ワークの問題に結びつけている。
ILOはラテンアメリカ・カリブ海地域向けに、10項目の職場復帰措置で構成される安全衛生ツールを導入した。
国際労働組合総連合の職場復帰に関する主要問題は、「COVID-19規制や閉鎖が解除されている多くの国々で人々が職場に復帰しているため、職場の安全衛生を最優先課題にしなければならない」と述べている。
イタリア
組合連合会3団体Cgil、CislおよびUilと使用者団体コンフィンドゥストリアは4月24日、手順について合意した。それに従って、企業が手順を遵守しなければ活動を停止し、地方委員会を設置する。この手順は下請会社の従業員を考慮し、これらの従業員の1人がウイルスの陽性反応を示した場合、下請会社はクライアント企業に直ちに通知しなければならない。
部門レベルでは、繊維部門のインダストリオール加盟組織Femca-Cisl、Filctem-CgilおよびUiltecが5月2日に了解覚書(MoU)に署名、使用者は復帰の「地固め」をする。MoUによると、それぞれの企業はこの手順を採用しなければならない。それによって会社の手順になり、その会社独自の他の措置と統合できるようになる。ソーシャル・パートナーは全国合同委員会を設置した。この委員会は9月30日まで活動し、企業と労働者に手順の内容を知らせる責任を負う。
企業レベルでは、インダストリオール加盟組織FIOM-CGIL、FIM-CISLおよびUILMが5月9日、フィアット・クライスラー・オートモービルズとコロナウイルスの拡大防止策に関する協定を締結した。政府が営業再開のゴーサインを出す際には、これを適用しなければならない。この協定はグループ労働者全員の最大限の安全衛生を保証しており、従業員に防護措置、新しい作業編成、労働者・雇用保護に関する情報を提供している。
ドイツ
IGメタルは、生産現場で保護を確保する方法に関するガイドを発行した。このガイドは従うべき7つのルールを示し、3種類の(技術的、組織的、個人的)措置を勧めている。
IG BCEは実施勧告を盛り込んだ10項目の計画を作成した。この計画には特に、復帰前の全職場のリスク評価、衛生計画、脆弱な層への配慮、個人用保護具が盛り込まれている。
スペイン
CC.OO.とUGTは使用者団体および政府の代表とともに、各部門の特殊性を考慮して、経済活動再開後の「段階的縮小」にどう備えるかに取り組んだ。労働組合は、労働者の保護を保証する活動の再開を要求した。
職場復帰が進む中で、マスクの幅広い使用が勧告されている。組合は、職場に復帰する従業員、特に一般の人々と接触する従業員の保護改善を要求している。下記部門について特別な手順を取り決め、合意した。
- ガラス/セラミック
- 鉱業
- 化学
- 香水・化粧品
- 金属産業
- 製紙
- 自動車
ベルギー
ベルギーの労働組合と使用者は、4月22日に非必須部門の職場復帰を取り扱う枠組みについて合意した。このガイドは、安全な職場を確保するための最優良事例を提示し、安全・健康・衛生指導に関する具体的予防手段を記載している。その狙いは、部門合同委員会(部門別協定について交渉する場)が独自の具体的な部門向け手順を策定する際の基礎を示すことである。
部門レベルでは、金属・技術部門の労働組合が活動再開のための協定を締結した。協定の目的は、職場におけるコロナウイルスの拡大に取り組むために全国レベルの指針を補うことである。この協定は当事者間の社会的対話とコミュニケーションの重要性を重ねて主張し、労働者・労働者代表による関与の必要性を強調している。
他の部門向けにも同様のガイドや勧告がある。
アメリカ
インダストリオール加盟組織の全米自動車労組(UAW)は、職場再開についてゼネラル・モーターズ、フィアット・クライスラーおよびフォード・モーターと合意に達した。UAWは、疾病管理予防センターの使用者向けガイドラインに従って、それぞれの施設で安全対策の強化を確保するために交渉した。
この協定は、時差交代、定期的な手洗い、ソーシャルディスタンス、体温測定、マスクの着用など、必要な予防措置を詳述している。
UAWは、職場復帰にあたってUAW組合員の安全衛生に影響を与える問題を積極的に監視し、対応し続けている。UAWは、現在のコロナウイルス検査を拡大して可能な限り早く完全な検査を行い、職場でウイルスにさらされる時間を減らすことも強く要求した。
ブラジル
さまざまな部門の組合が、何とか企業に安全衛生措置を導入させ、職場でCOVID-19の拡大と闘うとともに、リスクにさらされた労働者が直ちに現場から出られるようにした。この協定は義務的な有給休暇と一時的な雇用保障も提供し、経済的利益を維持し、企業が講じる措置について投票または組合の評価によって労働者の承認を得ることを義務づけている。
スリランカ
スリランカ政府は、社会的対話による労使の利益保護を目指して、COVID-19三者構成タスクフォースを設置。このタスクフォースは、すべての部門に適用される合意に達し、既存の法的枠組みの中で賃金支給と雇用を確保した。タスクフォースのメンバーは、労働者が引き続き雇用され、COVID-19ロックダウン措置によって解雇されないことで合意した。全従業員が職場に配置され、ローテーションで同数の勤務を割り当てられる。これにより、ソーシャルディスタンスのような安全衛生措置を尊重しつつ、労働者の利益を保護する。
トルコ
ビルレシク・メタル・イス(合同金属労組)はCOVID-19ガイドを作成、使用者と労働者の責任に対する認識向上を目指すとともに、職場で適切な措置が講じられるようにしている。職場レベルの安全衛生委員会と安全衛生代表に、ガイドの実施の厳密な監視が委ねられている。
繊維・衣料労組OzIplik-Isは、使用者が職場で講じる安全衛生措置について使用者側と合意する手順のテンプレートを作成した。このテンプレートは、措置の実施に関する法的規制も提案している。
関心表明書の募集――サハラ以南アフリカの自動車部門への新投資に関する調査
2020-06-16
労働組合はどうすれば、サハラ以南アフリカで持続可能な産業構造に基づくディーセントな雇用の創出を刺激・開始し、支援することができるだろうか。
エチオピア、ガーナ、ケニア、ナミビア、ナイジェリア、南アフリカ共和国、ルワンダの国別調査(各国1名の調査員)
南アフリカに拠点を置く主任・調整担当調査員1名
背景
いくつかの多国籍自動車メーカー(BMW、BYD、フォード、吉利、ホンダ、現代・起亜、日産、PSA、ルノー、タタ、トヨタ、VWなど)が、サハラ以南アフリカの自動車製造業への大型投資を発表している。投資対象国は、特にエチオピア、ガーナ、ケニア、ナミビア、ナイジェリア、南アフリカ共和国、ルワンダである。
これらの投資の主な前提は、所得(したがって中産階級)が今後とも大幅かつ持続的に成長するため、市場機会が広がり続けるということである。一連の投資には、この地域で工業生産を大幅に増やし、緊急に必要とされる新規雇用を創出する可能性がある。雇用はサハラ以南アフリカのほとんどすべての場所で緊急に必要とされているので、すべての政府ではないにせよ大半の国々の政府が、FDIをめぐって激しい競争を繰り広げている。そのため、労働条件と税制上の優遇措置に関して、底辺への競争が起こる可能性が非常に高い。
顧客数がまだ不安定・不十分であるため、企業は経済的リスクを可能な限り抑えてプロジェクトを実施するだろう。ほとんどのケースで、これは適切な一貫生産施設の建設を避けて、まずアフリカの委託製造業者によるSKD/CKDキットの組立に集中することを意味する。そのような生産パターンは、企業が完成車両の高い輸入関税を回避するうえでも役立つ。キットの組立に必要な技能はかなり低い。大規模自動車投資が持続可能な産業構造とディーセントな雇用をもたらすに至らなかった例が数多くある(例えばインド、マレーシア、いくつかのラテンアメリカ・中東諸国)。
サハラ以南アフリカでは、過去にナイジェリアで自動車産業復興に向けた顕著な動きが何度かあった。ナイラの下落、経済の低迷、ナイジェリアへの低価格車両の流入によって、これらの試みは頓挫した。最近の試みはナイジェリア自動車産業開発計画によるもので、その目的は、組立工場を増やして他のOEMの新投資を引きつけるために、財政的インセンティブなどの優遇措置を提供することだった。
南アフリカ共和国は現在、サハラ以南アフリカで唯一、自動車産業が盛んでディーセントな雇用と持続可能な労使関係がある国である。過去20年間にそのような構造の開発に成功した実例は、ある程度、他のアフリカ諸国の青写真として使うことができる。他のサハラ以南アフリカ諸国への新投資は、南アの確立した自動車部門に競争圧力をかける可能性が十分にある。
いくつかのOEMは、サハラ以南アフリカで事業拡大を進めている。VWは最近ケニア、ルワンダ、エチオピア、ガーナ、ナイジェリアで了解覚書(MoU)に署名し、車両組立施設の設立、モビリティー概念の評価、生産およびアフターサービスの訓練校の開設を行う。トヨタはナイジェリア、ガーナ、南アフリカ、ケニアなど、サハラ以南アフリカ各地で事業を展開している。ウーバーやタクシファイといった企業はトヨタの車両を使って顧客を運んでおり、これによってOEMの市場が拡大している。ルワンダのVW事業はウーバーとタクシファイ、それに政府事業も活用することを軸に構想されており、これらのプラットフォームからモビリティー産業を構築している(VWモビリティー・ソリューション)。
要するに、労働組合はどうすれば、サハラ以南アフリカの自動車部門で持続可能な産業構造に基づくディーセントな雇用の創出を刺激・開始し、支援することができるだろうか。
応募手続き
ステップ1
添付書類i「背景情報と委任事項(英語)」を読み、主任調査員(南アフリカに拠点を置いていなければならない)になりたい調査対象国(ナイジェリア、ケニア、ガーナ、南アフリカ、エチオピア、ルワンダ)を選ぶ。
ステップ2
同様の調査を実施した資格・経験の概略を記載したカバーレターを書き、履歴書を提出する。
ステップ3
作業計画案と調査実施予算案(調査方法を含む)を提出する(TORに概説するスケジュールに従うこと)。
ステップ4
カバーレター、CV、作業計画案、調査実施予算を下記宛にメールで送付:
インダストリオール・グローバルユニオン、ジュネーブ/ヨハネスブルグ
ケニス・モーガン氏、サハラ以南アフリカ地域事務所副所長
写し送付先:
FES-TUCC、ヨハネスブルグ
アイリス・ノソファー博士、ジュニアエキスパート、FES-TUCC
期限
関心表明書の提出期限は2020年6月25日(木)である。応募書類は、遅くともプレトリア時間午後5時までにインダストリオールに届かなければならない。この期限経過後の応募は考慮されない。
言語
関心表明書(関係書類を含む)は英語で作成する。他の言語による応募は受け付けない。
詳細についてはケニス・モーガンまたはアイリス・ノソファーまで。
選定基準
すべての必要書類を提出した応募はすべて、インダストリオールとFES-TUCCの合同委員会が審査する。インダストリオール・グローバルユニオンならびにFES-TUCCは、いずれも学術、科学、労働組合教育および組合活動に携わる女性調査員/活動家を増やそうと努力している。したがって、女性調査員からの応募は大歓迎である。応募者には適宜通知する。
権利を求めて闘争!
2020-06-16
現代自動車は8年前から、ドイツで1人の労働組合員を解雇しようとしてきた。ドイツの労働裁判所は6月19日、2回目のマルテン・フェルスホーレ対現代事件の判決を下す。
マルテン・フェルスホーレは献身的な労働組合員であり、従業員代表委員会メンバーである。今回の一件は現代が、2003年3月にドイツの現代自動車ヨーロッパ技術センター(HMETC)で雇用されたこの設計者を排除しようとするさらなる試みである。この訴訟は、マルテンが自身を解雇しようとする会社側によるいわれもない非難と闘うために、この韓国系自動車メーカーを相手取って起こさざるを得なかった2回目の法的紛争である。
現代の行動はマルテン・フェルスホーレ個人の事件にとどまらず、ドイツの自動車労働者の大多数を代表するIGメタルに対する侮蔑でもある。現代は対話も対立も回避するために、シーメンス経営陣の支援で設立された黄色労働組合AUBを後押ししている。
HMETCは2003年にドイツで設立され、中核となる2つの事業目標は、現代・起亜製品に対する認識を改善することと、両社の車がヨーロッパで設計・開発され、高い基準に基づいているという印象を顧客に与えることである。
ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長によると、この戦略は成功している。
「特に欧米では、過去15年間に現代・起亜以上に成長した自動車会社はほとんどない。では現代に、職場で合法的な組合を承認するなど、ヨーロッパの他の側面を受け入れろというのは無理な注文だろうか」
「現代は黄色労働組合に関与する代わりに、従業員代表委員会メンバーと建設的対話を行うべきだ。組合員を解雇しようとしたり労働者を威嚇したりするのではなく、危険な労働条件や過剰な労働時間に対する苦情を取り上げなければならない」
現代は反民主・反組合アプローチを支持しており、あらゆる種類の対等なパートナーシップや対話を何としても避ける方針を採用している。
- 韓国の労働組合化は激しい闘争であり、大規模ストなどの争議行為を実施したからこそ、現在の水準の適正な賃金と労働条件を達成することができた。
- 韓国と中国以外では、すべての現代・起亜工場の半数しか組織化されていない。
- 現代はインドの工場における労働者の組織化に不満を抱き、元々経営陣寄りだった第2組合の設立を支援した。
- 場合によっては、アメリカのように、経営陣が組合はいらないと公言し、採用にあたって組合活動の経験がある労働者を避けている例もある。
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。
「多くの企業がILO中核的労働基準に従う努力を強化している中で、現代グループは労働者にひどく失礼な態度を示している」
「インダストリオール・グローバルユニオンはマルテン・フェルスホーレを支持し、現代に対し、組合員に対する嫌がらせを直ちにやめて真の社会的対話を行うよう要求する」
インダストリオール指導部と韓国金属労組のリーダーシップの下で、グローバル現代・起亜労働組合ネットワークは今後も世界中の現代/起亜事業で労働組合活動を調整していく。このネットワークは、現代グループが世界中でILO中核的労働基準に従って活動するよう確保するために、引き続きグローバル枠組み協定をめぐって同社と建設的対話に入ろうと試みる。
アルコアが米国工場閉鎖を発表
2020-06-12
米国ワシントン州ファーンデールにアルミニウム工場を所有するアルコアが同工場の閉鎖を発表し、IAM組合員およそ600人が7月末までに失業しそうである。
インダストリオール加盟組織の全米機械工・航空宇宙労組(IAM)は、アルコアがファーンデールに所有するアルミ工場の組合員600人のために闘っている。この工場が閉鎖されれば、労働者の生活に重大な影響が及ぶからである。
この工場は製造業、航空宇宙産業および自動車産業向けに、また現在のCOVID-19危機で以前にもまして重要になっているベンチレーター、病院用ベッド、その他の不可欠な医療機器向けにアルミニウムを生産している。
IAMはトランプ大統領にこの問題を提起し、ホワイトハウスがこの戦略的に重要な工場を守るために必要なあらゆる手段を使うよう要求した。
「私たちは、この閉鎖の間に組合員が可能な限りの援助を受けるようにするだけでなく、これらの雇用とこの極めて重要な産業を救うことも諦めていない」とロバート・マルティネス・ジュニアIAM国際会長は語った。
「当組合は長い間、国内の製造業を支援するために国民としてできる限りのことをしなければならないと主張してきた。特に紛争や国家の非常事態に際しては、アルミニウムのように重要な必需品を輸入に頼ることはできない」
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長もIAMへの連帯書簡で、アルコアに米国工場閉鎖という見当違いの決定を再検討するよう強く促している。
「さまざまなパートナーと一緒にIAMのイニシアティブを全面的に支援・称賛し、地方・州・連邦当局の協力を求め、アルコア・インタルコ施設の新しい買い手を見つけるために必要な政策変更を採用するよう求める。
「私たちはファーンデールのアルコア・インタルコ・アルミニウム製錬所でIAMの同志と協力し合い抵抗し、この戦略的に重要な工場を守って雇用を維持する解決策を見つけるために闘っている」
世界有数のアルミメーカーであるアルコアは、最近スペインで工場閉鎖を発表した。同社は、中国のアルミニウム生産過剰とコロナウイルス・パンデミックの影響のため、アルミ価格が下落したことを理由に挙げている。
今回は連帯だけでは不十分
2020-06-11
パンデミックの最中にブラック・ライブズ・マター運動を中心に世界中で抗議の声が上がっており、労働組合は連帯してアメリカ合衆国のみならず全世界で公正と説明責任、改革を要求している。
疑うまでもなく、組織的な人種差別が存在し、社会に深く根を下ろしているため、特に自分が直接影響を受けない場合は見て見ぬふりをすることが簡単になっている。
私たちは人種的不公平を改めて明るみに出したこの世界的な抗議をじっくり考えながら、労働組合員としても熟慮すべきときである。解決策の一部になるには、自分たち自身の制度や構造の中を見て、自らに批判的な目を向ける必要がある。
この危機はチャンスであり、私たちはそれをつかむことも無視することもできる。公正と説明責任と改革を求める闘いは私たちにとって新しい活動ではない。私たちは何百年もの間、それらを求めて闘ってきており、闘い方を知っている。だが、この闘いは内部から始めなければならならない。私たちは自問し、自分たちの運動の中で不平等を永続化させて少数集団に不当に影響を与えることのないようにしなければならない。
米国だけでなく世界中で、法執行機関による不当な殺害や虐待で黒人やヒスパニック系が軽視されている現状を誰もが目にしている。
黒人の命の軽視は、警察による非難すべき殺害のみならず、経済的不公平――黒人とヒスパニック系のコミュニティーにおいて、さまざまな形で貧困と暴力の連鎖を生み出し続けている経済政策にも表れている。
COVID-19危機は、労働の価値と、必要不可欠で危険な仕事の賃金が最も低いことが多いという現実に疑問を投げかけている。これを子細に見れば明らかに、これらの低賃金雇用には、このパンデミックの影響をより強く受けている有色人種や少数集団、移民労働者が不釣合いに多く従事している。
ブラック・ライブズ・マター闘争の長所は、私たちが考えているよりもはるかに包括的なことである。有色人種や女性、若者がこの闘いの最前線に立ち、隊列に加わっている。私たちは組合としてもっと自らに批判的にならなければ、彼らとの関係を失ってしまうだろう。
この世代の若者は、団結の重要性とその威力への理解を示している。彼らは権限を与えられたと感じており、十分に大きな声で主張して自分たちの意見を聞いてもらえることを理解している。私たちは団結を、団結がどれだけ私たちを強くしてくれるかを知っており、そのことを身をもって体験している。
私たちは人種差別に対する直接的な脅威である。
組合として、総力を挙げて人種的・経済的公正を求めて闘う責任がある。外部だけでなく、組織内部でも。今こそ、たとえどこで起こっていようと組織的な人種差別と闘うという、厄介ではあるが必要な仕事をしなければならない。私たちは人種差別が労働者の分断をも狙っていることを知っているのだから。
グローバルな労働運動が結集し、すべての場所で人種差別に異議を唱えるときである。
組合がインド・モディ政権に対する非協力を要求
2020-06-10
インドの組合は、COVID-19ロックダウン中に労働者の利益を保護せず、労働者の権利を激しく攻撃しているモディ政権との闘いを強化している。7月3日に非協力デーを実施することが発表されている。
モディ政権が大勢の労働者の賃金支給を確保せず、ロックダウン中の人員削減を阻止していないため、インドの中央労働組合は6月5日の声明で不満を表明した。
政府が組合との社会的対話に関心を示さず、組合が提案した労働者保護策を軽視していることは、労働者に著しい影響を与えている。
組合側の要求は以下のとおり。
- 4月、5月および6月に、すべての所得税非課税世帯に7,500ルピー(99.5米ドル)を送金すること。
- 4月、5月および6月に、中小零細企業の労働者に賃金を支給すること。
- 少なくとも6カ月間、すべての労働者に広く食料を配給すること。
- 数百万人の移民労働者が安全に旅行できるようにすること。
約2億4,000万人の労働者が生計を失ったと推定される。工場は操業を再開しているが、その多くが雇用者数を減らし、賃金を減額している。
ILOは、およそ4億人がさらに深刻な貧困に陥るかもしれないと警告している。組合は、故郷の村に帰った何百万もの移民労働者の雇用機会を創出する農村雇用計画と、都市部向けの同様の計画への支援強化を要求している。
政府はパンデミックに乗じて労働者の利益に反する労働法変更を導入し、公共部門企業(PSE)の民営化など企業寄りの政策措置を発表している。PSEの多くは極めて重要な国益や公共目的に役立っており、莫大な公的資金によって設立された。この発表には、中央政府職員480万人と年金受給者680万人への給付支給決定も盛り込まれていた。
組合側は、政府の2,650億米ドルの景気刺激策は労働者に対する残酷な冗談だと強調している。実質的な救済措置は微々たるもので、この金額の大部分はさまざまな部門への融資保証である。
インド全国労働組合会議の議長を務めるインダストリオール執行委員のG・サンジーバ・レディー博士は言う。
「政府によるロックダウンの無神経な取り扱いと反労働者的な政策発表は、政府が労働者の権利を尊重しておらず、労働者の協力を受けるに値しないことを示している。政府の怠慢が原因で、何百万もの労働者が口で言い表せない窮状に追い込まれている」
「5月22日の大規模な全国的抗議を経て、いま抗議行動を強化しており、政府に私たちの要求に対応させるために7月3日に非協力運動を呼びかけている」
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。
「私たちは、モディ政権がパンデミックにかこつけて労働者の権利を攻撃していることを懸念している。労働者の利益に反する労働法変更を撤回しなければならない。政府は何百万という労働者の生計を保護するために緊急対策を実施し、組合と真の社会的対話を行って解決策を見つけるべきだ」
「インダストリオールはインドの組合運動と連帯しており、彼らの努力を支援するために国際連帯行動を起こす」
ガンディー式の非暴力的抗議による非協力運動は、インドの独立闘争における重大な出来事である。この運動は1920年にインドの自治を求めて、植民地支配者の改革に反対して開始された。
7月3日の行動には、中央組合のINTUC、AITUC、HMS、CITU、AIUTUC、TUCC、SEWA、AICCTU、LPFおよびUTUCと多数の連盟・団体が参加する。
グローバルな力を強化
2020-06-23
インダストリオール執行委員会はバーレーン、エルサルバドル、コートジボワール、ナイジェリア、パキスタン、パレスチナ、スイスおよびジンバブエの組合8団体の新規加盟を承認し、約3万人の組合員と1つの国が新たに加盟組合のリストに加わった。
バーレーン労働組合総連盟(GFBTU)は、主として造船・修理、金属およびエネルギー各部門に組合員がおり、バーレーン初のインダストリオール加盟組織である。GFBTUは、いくつかの大手企業、例えばアルミニウム・バーレーン(Abla)、バーレーン石油公社(Bapco)、アラブ造船・修繕所(ASRY)で労働者を組織化している。
パレスチナ電力・エネルギー一般労組は、ナショナルセンターのパレスチナ労働組合総連盟(PGFTU)に加盟している。同労組は2018年に設立され、電力部門の労働者を組織化している。
FISMECA(コートジボワール鉱山・金属・採石・関連活動労連)は、採石、鉱山、セメント、アルミニウム、金属の各部門に組合員を擁する。
組合員には、タタ・アフリカ・サービシズ、ボウロス・エンタープライゼス、マンディラス・グループ・ナイジェリア、ニジェール・ドック・ナイジェリア、モーター・パーツ・インダストリー、ホンダ・マニュファクチャリング・ナイジェリア、シュタイアー・モーターズ、ガルバ・ナイジェリア、プラントジェリア、ナイジェリア・シップ・ビルダーといった自動車会社の管理スタッフ、監督、管理者、上級管理者が含まれる。
2019年に登録されたジンバブエ・ダイヤモンド・関連労組(ZDMAWU)は、当初はダイヤモンド労働者を組織化していたが、範囲を広げてクロム・金・プラチナ鉱山の採掘活動も対象に含めるようになった。その中には特に、チアズワとムロワのダイヤモンド鉱山、ジンバブエ地域開発公社が所有する鉱山、アングロ・アメリカン・プラチナムのウンキ鉱山が含まれる。
全パキスタンWAPDA水力発電労組(APWHEWU)は、最大規模の公益事業であるパキスタン水力・電力開発局と配電・発電・送電会社で労働者の過半数を代表している。
「私たちのグローバルファミリーに加わる新しい組合を歓迎する。これはグローバルな連帯の重要性が認識されているということだ。より多くの組合の加盟によって、グローバル・ネットワークと労働者の権利を擁護する能力を強化することができる」とヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。