インドネシアブリヂストン労働者、終身雇用形態を勝ち取る
2013-01-01
2012年12月28日、カラワンとブカシにある2つのインドネシアブリヂストンタイヤ工場の997名の契約派遣労働者が、終身雇用形態を勝ち取った。
雇用形態が契約派遣から終身に変わったことは、インドネシアの労使関係における大きな突破口となり、インダストリオールグローバルユニオン加盟組織、KEP SPSIにとっての大きな勝利と言える。同組織にはインドネシアのブリヂストンタイヤ2工場の3,250人の労働者が加入している。
ブリヂストンの労働組合は、ICEMが行ってきた、そして現在はインダストリオールグローバルユニオンが引き継いだ、アジアの社会的対話プロジェクト、契約派遣労働プロジェクトを受け、契約派遣労働問題に2008年から取り組んできた。同労組はプロジェクトの一環としての研修で得た知識を実行に移そうとした。2003年に制定されたインドネシアの労働法によると、生産ラインに契約派遣労働者を雇用することは違法とされている。しかしながら、この労働法は企業に順守されていなかった。
2011年7月に行われた一連の交渉の結果、管理側は生産ラインに新たに契約派遣労働者を雇用しないこと、また、労働組合との社会的対話を通して、既存の契約派遣労働者の雇用形態を終身雇用にする準備を始めることを約束した。この時、200人の契約派遣労働者が終身雇用形態を勝ち取った。
2012年を通して組合と会社側の交渉は続いたが、2012年11月に人材開発省が法令を出したことで、それはより強化された。人材開発省による法令は、企業は次の5つの部門以外では契約派遣労働者を雇用できないというものであった:警備、清掃、ケータリング、鉱山部門でのアシスタント、運輸サービス。
2012年12月に交渉が成立し、997人の短期契約派遣労働者は終身雇用形態を獲得した。そして彼らは会社に入った初日から計算した雇用期間に応じた離職手当を得ることができた。組合によると、まだ171人が契約派遣労働者として、運転手、警備員などの職種で雇用されているということだ。組合は彼らに関しては、2013年1月に交渉をする計画だ。
インドネシアにおける不安定労働は全国的な問題だ。組合の奮闘により、2012年1月、憲法裁判所が仕事の外部委託は労働者の権利に反しているという決定を出すに至ったことは大きな進歩だ。インドネシアの多くの労働組合は、契約派遣の形態の組合員を終身雇用形態にすることに成功している。
1月17日、インドネシア憲法裁判所は-外部委託労働は違憲であり、労働者の権利に反している-という画期的な決定を下し、それはインドネシア憲法に記された。
パキスタン火災被害者への補償
2013-01-17
ドイツのディスカウント衣料チェーンKiK Textilenは、パキスタン労働者教育調査機関(PILER)と、パキスタンのアリ・エンタープライズ工場の火災被害者に対し総額100万米ドル(約8,860万円)の補償を支払うことを合意した。
アリ・エンタープライズの主要バイヤーの一つだったKiK Textilenは、2013年1月5日、パキスタン・ボルディア町で発生した繊維工場の火災被害者に対し、総額100万米ドル(約8,860万円)を支払い、長期の補償計画を策定し、パキスタンにおける労働者保護の向上に取り組むことを合意した。
パキスタンの労働組合の要求と、インダストリオールやClean Clothes Campaign(NGO)を含む国際団体からの支援によって、補償プランが実施されることとなった。
PILERとKiK Textilenの合意によると、補償は2段階で支払われる。第1段階では、遺体の損傷が激しく特定不可能であるため、政府から一切補償を受けとっていない被害者の遺族に支払われる。KiKは火災での重傷により障害者となったり雇用を失った労働者に対しても補償したいとの考えを表している。その他の労働者は次の段階で支援され、補償金額は使用者、バイヤー他社などすべての関係者との合意を経て決定されると述べた。
PILERはシンド州高等裁判所(SHC)に補償プロセスを促進するため申立てを行った。その中で、裁判所内に補償プロセスを監督し、すべての必要事項を決定する独立した委員会の設置を求めている。シンド州高等裁判所は1月15日、アリ・エンタープライズ経営者に対し、5,000万パキスタンルピー(512,000米ドル、約4,535万円)の補償を支払うよう通知した。また、シンド高等裁判所法務官に対し、工場火災に関する委員会調査報告書を提出するよう指示した。 PILERの声明によると、ドイツのバイヤーKiKはアリ・エンタープライズ被害者への補償の対話だけでなく、パキスタン労働者の職場の安全体制に関する長期計画の策定にも関与している。
為替レート:1米ドル=88.6円(2012年1月23日現在)
ジャカルタで労働者5,000人が最低賃金求めて集会
2013-01-17
労働組合は1月16日にジャカルタで労働者5,000人による大集会を開き、「900社以上について、2012年11月の合意で増額された最低賃金の支払義務を免除する」という政府の決定を非難した。
2013年1月16日の集会参加者は、午前9時にジャカルタの首都警察署前から出発し、エネルギー・天然資源省、さらに人的資源・移住省(労働省)まで行進した。警察と軍は9,000人を配備し、デモを監視した。
集会の第2の要求は、政府による電気料金引き上げ案の撤回だった。値上げが実施されれば、労働者の購買力が大幅に低下することになる。
インドネシアの組合が2012年10月3日の大集会で労働者300万人を動員した1カ月後に、ジャカルタの最低賃金が157米ドルから2013年には230米ドルに引き上げられることが決まった。
その後、製靴・被服・繊維産業を中心に約986社が労働省に書簡を送り、少なくとも来年まで新しい最低賃金の支払いを免除するよう要求、労働集約型の企業46社がすでに承認を得ている。これら986社の多くが、好戦的な黄色組合を利用して労働者を威嚇し、民主的組合の結成を妨害し続けている。
サイド・イクバル会長率いる有力なインドネシア金属労連(FSPMI)は、数千人の金属労働者を動員した。イクバル会長は労働組合総連合KSPIの会長でもあり、KSPIもこの集会に組合員を参加させた。インドネシアの3大労働組合総連合(KSPI、KSBSIおよびKSPSI)を統合する新しい労働者評議会MPBIも参加した。
サイド・イクバル会長によると、労働省には、2つの状況のいずれかに該当する場合に企業に免除を認める権限しかない。すなわち、企業が2年続けて損失を出したことが監査で判明した場合と、賃上げの先送りについて労働者と合意している場合である。
インドネシア・ナイキ・サプライヤー製靴工場最賃
2013-01-17
インドネシアのナイキ・サプライヤー製靴工場が軍関係者に金を支払い、最低賃金以下で働くよう労働者を脅迫したと伝えられている。
2013年1月15日、ABCニュースは西ジャワ州スカブミ市にあるナイキ・サプライヤー工場労働者が、使用者の新最低賃金免除申請を同意・署名するよう軍関係者に脅迫されたというショッキングな動きを報じた。2012年、数百万の労働者が最低賃金引き上げ、社会保障、より良い労働条件を求めてデモを行ったことに留意する必要がある。労働者のデモに応える形で、政府は最賃を140万ルピア(US$145)から204万ルピア(US$220)に46%引き上げた。
しかし、企業は財政状況に関する情報と労働者の同意を提供すれば、新最賃の支払免除を申請することができる。これを活用し、スカブミにあるナイキ・サプライヤー工場は軍関係者に金を支払い、新最賃支払免除を支持するよう労働者に脅迫したと伝えられている。また、労働者は「工場内部には多くの軍情報部員がいる」と言われている。組合・社会活動家は労働者への脅迫に軍が関与していることに対し、深刻な懸念を表している。
ジャカルタ・グローブ紙は、その後ナイキは免除申請を取り下げたと伝えた。
メキシコ行動デーの準備
2013-01-17
2月18~24日の2013年メキシコ行動デーを控えて、世界中で行動の準備が続いている。メキシコの首都では、2月19日に全国組合が国際組織や北米の労働組合員とともに行進する予定で、この週には全国でさまざまな行動が計画されている。
行動週間中に、インダストリオール加盟組合は運輸労働者などとともに自国のメキシコ大使を再び訪問し、以下に関する措置を要求する。
●保護協約に関する係争中のILO提訴第2694号
●パスタ・デ・コンチョス事故に対する公正な措置
●最近の退行的な労働法改革の拒否
メキシコの民主的労働組合が関与する現在進行中の主な紛争の1つは、シウダードアクーニャのフィンランド系多国籍自動車部品メーカーPKCで繰り広げられている。同社では、全国鉱山労組ロス・ミネロス第307支部の組合員11人が1月14日、激しい組合つぶしキャンペーンに抗議する6日間のハンストを終了した。
2月PKCアルネセスで新たな職場投票を実施するという確約をロス・ミネロスが取り付けたため、このハンストは中止された。これに先立って実施された10月18日の選挙は経営側による威嚇・脅迫によって妨害され、ロス・ミネロスは黄色労働組合CTMに僅差で敗れた。この職場が自由かつ民主的な選挙でロス・ミネロスを選出することは明らかである。ハンスト参加者は2012年12月14~20日に不当解雇され、この間にPKCアルネセス経営陣は、職場の組織化に関与した労働者122人を強制的に退職させた。この122人の労働者を直ちに復職させなければならない。
新しい職場代表選挙の日程は1月31日の会合で決まる。国際連帯行動は目下、10月の選挙前に経営陣が地方当局や雇われた暴漢と全面的に共謀して加えた弾圧の再発防止の確保に焦点を絞っている。同社は10月の選挙前に地元のテレビ、ラジオ、新聞で展開された大々的なメディア・キャンペーンにも出資し、ロス・ミネロスの評判を傷つけた。
労働者たちは、職場の組織化とロス・ミネロス第307支部の正式結成を目指して4年前から闘っている。PKCアルネセスで労働者の権利が日常的に侵害されている事例の数々を見れば、経営側が工場における民主的な代表的労働組合の結成を恐れている理由が分かる。黄色組合CTMの監視下で、経営側は1日100メキシコ・ペソ(6ユーロ)未満の低賃金しか支払わず、休憩5分の1日10時間労働という違法な長時間勤務を実施し、労働者の休暇その他の給付を侵害していながら、何の罰も受けていないのである。
グローバル・ユニオン、フィジー軍事政権の新しい命令を非難
2013-01-24
インダストリオール・グローバルユニオンはITUCならびにグローバル・ユニオン・フェデレーションとともに、既存反対政党の排除と新党登録の禁止を狙ったフィジー政党命令を非難している。
民主的な協議プロセスの結果まとめられた新しい憲法草案を軍事政権が退けた直後の2013年1月15日に発布された命令(2013年命令第4号)は、民主主義の原則と労働組合権を攻撃する新たな措置だ。
この命令の中で最も厄介な第14条は、すべての公務員に対し、政党の申請、政党への加入または政党における役職就任を禁止している。第14.2条(d)の定義によれば、「公務員」には選出または任命された労働組合役員が含まれる。この命令は、フィジー労働組合会議(FTUC)が(労働組合も加わる)新しい反対政党を結成する特別代議員会合を開いたわずか数日後に発布されたが、これは偶然の一致ではない。信じがたいことに、第14.1条(c)に基づき、労働組合役員は政党への支持を表明することさえできない。 組合指導者は政党の申請者、党員または役員になると、労働組合の役職を辞任したものとみなされる。この命令を無視すれば、罰金5万ドルと禁固5年の一方または両方を科せられる。
「政権はまたしても、この国で最大の市民社会組織であり反対勢力である労働組合運動を沈黙させようとしている。国際社会は、すべてのフィジー市民が政治プロセスに本格的に参加できないのであれば、2014年の選挙の約束が無意味になってしまうことを認識する必要がある。この命令を見れば、現政権が手段を選ばず2014年の選挙に勝とうとしていることがよく分かるはずだ」とシャラン・バロウ国際労働組合総連合(ITUC)書記長は説明した。
この命令は多くの既存政党の排除も狙っているようだ。政党は命令発布から1カ月以内に、組合員が国内4地域すべてに合計5,000人以上(128人以上から強化)いることを証明し、5,005ドルの手数料を支払わなければならない。同命令は政党名の長さまで規制し、現地語の名称を禁止している。この期限を守らなかった政党は、すべての資産を政府に差し押さえられる。新しい基準を満たさないまま政党としての活動を続ければ、党役員は罰金5万ドルと禁固5年の一方または両方を科せられる。
「この命令は、労働組合が自らの目標の促進に向けて政治活動に関与することを禁止している点で、結社の自由の原則に明らかに違反している。政党の結成を希望するすべての個人や集団が、法の前の均等待遇原則に基づいて政党を結成できるようにすべきだ。この命令は明らかにその基準を満たしていない」と、グローバル・ユニオン・フェデレーション、ITUCおよびTUACをまとめるグローバル・ユニオン評議会のアンベット・ユーソン議長は述べた。