インダストリオール・グローバルユニオン、ミャンマーの軍事クーデターを非難し、民主主義と憲法の尊重を要求
2021-02-02
インダストリオール・グローバルユニオンは、ミャンマーで新任議員の宣誓式と新たな組閣の数時間前に国軍によるクーデターが発生し、民主的に選出された国民民主連盟(NLD)指導者のウィン・ミンとアウン・サン・スー・チーが拘留されたことを非難する。
ミャンマーで50年に及ぶ軍事政権を経て始まった民主化プロセスを妨害してはならない。ミャンマーの軍指導者は、NLDが軍主導の連邦団結発展党(USDP)に圧勝した11月の選挙結果を尊重しなければならない。
組合活動が2012年から許可されたばかりの国にあって、インダストリオールは、選挙結果を台無しにしたり、ミャンマーの民主主義への移行を妨げたりすることを目指すいかなる行動も拒絶しなければならない、というミャンマー労働組合総連盟(CTUM)の声明を支持する。
軍は、国民の自由で民主的な選択を進んで受け入れ、国際人権基準に従わなければならない。ウィン・ミン、アウン・サン・スー・チーをはじめとする政治活動家を無条件で即時釈放すべきである。
インダストリオールは軍指導者に対し、経済成長と生活水準向上の成果は、2011年以降の民主化と複数政党の平和的共存のおかげであることを認めるよう求める。暴力や紛争、非民主的ルールに訴えれば、外国投資と国際経済開発の誘致に向けたミャンマーの取り組みを頓挫させることになる。
「私たちはグローバル・ユニオンならびに世界中の加盟組織とともに、労働者の権利と民主主義を求めて闘い続けるミャンマーの同志のために国際連帯を結集する」
「国際機関と各国政府に対し、軍に明確なメッセージを送り、民主主義と憲法を尊重させるとともに、選出された政府を復帰させることを要求する」とヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。
インダストリオール、TKエレベーターと枠組み協定を締結
2021-01-20
<JCM記事要約>
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インダストリオールは、TKエレベーターと新しい枠組み協定を締結した。同社は、複数の産業で活動するドイツ系多国籍グループ、ティッセンクルップのスピンオフとして設立された。
インダストリオールは、すでに2015年にティッセンクルップと枠組み協定を結んでいる。したがって分離後、旧協定を新会社に導入することは至極もっともなことだった。これは、この新しいグループで中核的労働基準に継ぎ目なく有効性を持たせる最も安全な方法でもあった。IGメタルと同社従業員代表委員会、インダストリオール・グローバルユニオンの強力な立場を統合したおかげで、エレベーター/エスカレーター部門初のグローバル枠組み協定が結ばれた。インダストリオール・グローバルユニオンは、この部門の他の多国籍企業もこの例に倣うべきだと提案している。
旧協定と同様に、ILO中核的労働基準が新協定の原文の基礎となっているが、新協定の立案にあたって、次のようないくつかの変更が加えられた。
- 規則をより強力かつ明確に定義し、同社およびサプライチェーンに適用。
- 同社で活動している労働組合に対する使用者の中立性の定義を改善。
- 合同安全衛生委員会を導入し、従業員と従業員代表による安全衛生問題への関与を改善。
- 報告制度を設け、苦情や違反を匿名で提出できるようにすることにより、守秘義務を保証。苦情を検討する国際委員会は、インダストリオール、IGメタルならびにグループ従業員代表委員会、欧州従業員代表委員会の代表で構成される。この委員会はTKエレベーターの人事部代表と緊密に協力する。
「この新しいグローバル枠組み協定により、TKエレベーターで全世界5万人以上の従業員を対象に集中苦情処理制度を創出した。ここでは、労働者の基本的権利が侵害された場合に、従業員一人一人が苦情を申し立てることができる。私たち従業員代表委員会および労働組合員にとって、ティッセンクルップとともに構築したこの文化を、TKエレベーターの新しい所有者とも維持することが特に重要だった。したがってTKエレベーターは、すべての同僚にとって公正で尊敬の念に満ちた使用者であり続けることを約束している」
「この新協定は重要な一歩だ。初めて、この部門の大手6社のうちの1社が、全世界でILO中核基準を守ることを保証している。これは部門のすべての生産・維持従業員にとって画期的なことだ。インダストリオールと加盟組織の仕事は始まったばかりだ。今度は、同社が活動しているすべての国の代表的組合を関与させ、グローバル・レベルで真の社会的対話を通して、この新しいグローバル枠組み協定に活力を与える必要がある」
「コロナ・パンデミックは世界的な不平等の悪化をもたらしている。私たちはティッセンクルップ・エレベーター社のグローバル枠組み協定によって、特に危機に際して、これまで以上に必要になっている労働者の権利を擁護するためにシグナルを送っている。安全衛生委員会の設置にも成功した。内部報告制度と国際委員会が監視・実施を確保している」
フィリピンの自動車部門で雇用保護に成功
2021-01-13
<JCM記事要約>
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インダストリオール加盟組織のフィリピン金属労働者同盟(PMA)による嘆願が成功を収め、自動車部門の失業阻止を目指す輸入車の暫定セーフガード関税が導入された。
PMAによると、現在の政策はフィリピンの自動車組立産業とサプライチェーンに深刻な損害をもたらしている。
貿易産業省(DTI)は1月5日、輸入完成車(CBU)に7〜11万フィリピン・ペソ(1457〜2289米ドル)のセーフガード関税を賦課、輸入乗用車の台数が2014〜2018年に35%増加して市場の70%を占めていると主張した。他方、2017年から2018年までに自動車部門の雇用は8%減少した。
この決定は、PMAが嘆願を開始し、輸入CBUの悪影響に関するデータを示した結果である。輸入車のほとんどは、タイ、インドネシア、韓国から輸入された。
ルエル・プンザランPMA全国会長は言う。
「DTIの決定を歓迎する。これは長いプロセスの第一歩だ。200日後にフィリピン関税委員会を説得し、最長4年間セーフガード措置を発動させなければならない。この措置は、うまくいけば不公正競争を阻止して国内自動車産業に一息つく暇を与えるだろう。政府は国内製造業を支援し、雇用機会を維持しなければならない」
アニー・アドビエント・インダストリオール東南アジア地域事務所所長は言う。
「PMAが政府にうまく働きかけ、労働者に有利な産業政策を実現させたことを祝福する。この素晴らしい組合介入は、人々のためになる貿易に関するインダストリオールのアクション・プランに沿っている。すべての国に、労働者のために政策的余地を利用する自由がある」
公正な移行に投資していないエネルギー企業
2021-01-07
<JCM記事要約>
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インダストリオール・グローバルユニオンが委託した新しい報告書によると、主要エネルギー企業は気候約束に見合った投資をしておらず、言葉と現実に食い違いがある。
エネルギー転換の展望と傾向:パターン、シナリオおよび影響(英語版)
この報告書『エネルギー転換の展望と傾向:パターン、シナリオおよび影響』は、ブラジルの組合が後援するエネルギー産業専門の研究機関Ineepが作成した。研究者は、主要エネルギー企業の企業戦略や投資、市場成果を綿密に精査するとともに、各社で働く組合員にインタビューした。
この報告書は、2015年パリ協定とCOP24シレジア宣言に盛り込まれた公正な移行に関する文言と企業戦略を比較し、国際エネルギー機関からの情報を考慮。企業別、地域別に現在のエネルギー構成を調べ、将来を予測している。
すぐに分かる傾向は、未来のグリーン化に関する企業の言葉と投資との不一致である。ほとんどのエネルギー企業が、エネルギー転換に関する言葉によって大掛かりな広報キャンペーンを開始し、時には自社ブランドを完全に再構築している。だが報告書を見れば、投資に占める割合が最も大きいトタルでさえ、再生可能エネルギーへの資本支出は4.5%にすぎない。その他ほとんどの企業は、投資額が半分またはそれ以下である。
この情報は2019年のデータに基づいている。コロナウイルス・パンデミックと石油価格の変動を受けて再生可能エネルギーへの投資が加速しているが、全体的傾向の変化を示す明らかな証拠はない。
地域別内訳を見ると、政策環境が最も発達しているEUでは、企業による移行への投資が多い。中国企業とロシア企業は投資額が最も少ない。報告書は、ドナルド・トランプの選挙敗北にもかかわらず、米国は現在の化石燃料依存型エネルギー政策をおおむね維持するであろうと予測している。
企業は再生可能エネルギー投資を拡大している――実際には、潜在的未来への投資を分散させつつ、化石燃料収入の大部分を維持したいと考えている。移行戦略はエネルギー企業内部で論争の種になっており、これはシェルの役員が、エネルギー転換のペースが遅いことに不満を抱いて先ごろ辞任した一件に表れている。
この報告書は、再生可能エネルギー部門における現在の雇用と予想される雇用を示し、地域別、エネルギー源別に分類している。良質な雇用は保証されていない。2050年までに、予想される2500万人の再生可能エネルギー雇用の3分の2が太陽光で、残りのほとんどが陸上風力で創出される。だが、これらの雇用の大半は部品製造と建設・設置である。維持管理部門では約500万人の雇用が生まれると予想されるが、そのほとんどがブルーカラー雇用である。
組合員へのインタビューから、企業はエネルギー転換に関して労働者にほとんど話をしていないことが分かった。
インダストリオールのダイアナ・ジュンケラ・キュリエル・エネルギー担当部長は次のように述べた。
「この報告書は、エネルギー企業の投資対象がマーケティングであり、再生可能エネルギーではないことを示している。各社は外部状況によって変化せざるを得なくなるまで、これまでどおり事業を続けるつもりだ」
「私たちが意思決定プロセスに加わるために今すぐ行動を起こさなければ、これは労働者に大きな痛みを伴う結果をもたらす。私たちは、企業がパリ協定の要件を満たす明確なエネルギー転換計画を策定し、これらの計画を労働者に伝えるよう要求する必要がある。企業は組合と継続的な交渉を開始し、この移行を管理するとともに、技能と雇用が維持されるよう確保する必要がある」
「私たちは公正な移行に向けて計画し法制化するために、政治代表に圧力をかけ続ける必要もある」