イランの自動車労働者、賃金不払いに抗議してスト
2021-02-11
<JCM記事要約>
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タブリーズのイラン・ホドロ・カンパニー自動車工場の労働者は、賃金不払いに抗議して山猫ストを実施している。
イラン・ホドロ・カンパニーはイランの主要な自動車メーカーで、乗用車のライセンス生産や、トラック、小型バス、バスの製造に従事している。
同社ではいくつか問題が発生している。ここしばらく腐敗が告発されており、昨年9月、10月には賃金と労働者の社会保障負担を支払わなかったことが報告された。
その結果、一部の労働者は定年に達していながら働き続けなければならない。というのも社会保障制度が、不足分の拠出金が支払われるまで年金支給を拒否しているからである。
イラン・ホドロはイランに6つの生産現場があり、タブリーズ工場の年産能力は12万台である。この多国籍自動車会社はアゼルバイジャン、ベラルーシ、セネガル、シリア、ベネズエラにも工場があり、支払いに関する問題をCOVID-19パンデミックのせいにしている。タブリーズの労働者は1月30日に山猫ストを開始した。その結果、数人の労働者が解雇されたという。
インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織のイラン金属・機械労組(UMMI)の報告によれば、パンデミックの経済的影響がアメリカによる進行中の制裁の影響に輪をかけ、イラン全国で工場が壊滅状態にある。主要自動車工場とサプライヤーが影響を受け、多くの企業が賃金や社会保障負担を支払っていない。そのため、労働者は給付を受給したり医療を受けたりすることができない。
ホドロ自動車労働者の行動は、あり得ない生活・労働条件に抗議して立ち上がった最新の事例にすぎない。サウスパース油田・ガス田では昨年8月から抗議が続いており、適正な条件と、人材斡旋会社を経由しない直接雇用を求める労働者による紛争が増えている。
年金支給額が少なすぎて退職者が定年退職後に貧困に陥っているため、全国で年金受給者による抗議も発生している。貧困線は現在、平均年金額の4倍である。UMMIの退職組合員は積極的に抗議を組織している。
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長はこう述べた。
「イラン政府は市民に対する責任を果たしていない。そのために企業による労働者の虐待を許し、社会保障制度が世界的パンデミックで最も必要とされる時期にひどい資金不足に陥っている」
「イランの労働者は我が身を守るために立ち上がっている。それは正しい行動であり、責任を果たしていない抑圧的な政権や企業に抵抗する勇気を示している。イランは独立労働組合を承認し、この国の労働者と年金受給者が公正を勝ち取れるようにする必要がある」
イタリアの金属労働者、団結して新しい全国協約を締結
2021-02-11
<JCM記事要約>
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1年以上に及ぶ交渉を経て、イタリアの金属労組は2月5日に全国労働協約の更新に成功した。この協約は約160万人の労働者を対象としている。
イタリアのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織FIOM−CGIL、FIM-CISLおよびUIL-UILMは、全国労働協約の交渉で重要な結果を達成した。2021年1月から2024年6月までの協定期間中、平均給与が4回に分けて総額112ユーロ(135米ドル)増額される。
「この新協約で、112ユーロの昇給と多くの労働者への保護・保証により、前例のない危機を乗り切りたい」とロッコ・パロンベラUIL-UILM書記長は言う。
この協約には昇給に加えて、2020年6月からインフレ率に基づいて最低賃金が12ユーロ(14米ドル)引き上げられることも盛り込まれている。その他、フレキシブル給付が年間200ユーロ(242米ドル)増額され、35歳未満の若年労働者について2022年から使用者の補助年金基金負担が2.2%増額される。
協約の主要な業績は、1973年から実施されている職務分類システムの改革である。
フランチェスカ・レ・ダビッドFIOM-CGIL書記長は言う。
「この協約は、労働組合関係、情報参加権、訓練を受ける権利、安全衛生問題、ジェンダーに基づく暴力との闘いに関する法律を強化している」
組合は協定の中で何とか労使関係も強化、その結果、雇用権の保護が改善する。労働者は、情報、討議、参加、訓練の権利改善も享受する。
新協約は労働者の個人的権利をより手厚く保護し、ジェンダーに基づく暴力やスマートワーキング(勤務時間外に接続を切る労働者の権利など)に関する文言が大幅に改善している。
加えて、会社が公的調達契約を結ぶ際に雇用を維持する義務に関する条項が導入される。
ロベルト・ベナグリアFIM-CISL書記長は言う。
「交渉が極めて難航した協約だった。パンデミックと経済・社会危機に今や政治危機も加わり、ここ数十年で指折りの厳しい時期かもしれない」
協約は今後数週間のうちにイタリアの労働者の投票に付される。
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。
「加盟組織3団体、FIM/CISL、FIOM/CGILならびにUILMが、非常に厳しい時期に重要な業績を達成したことを祝福する。経済的に明るい内容であるのみならず、組合の団結が今回の勝利を可能にした点でも、すべての人々を鼓舞することは間違いない」
ミャンマー軍事政権を孤立させるために、各国政府・企業に対する圧力を高める国際労働組合組織
2021-02-10
国際労働組合組織の共同声明
世界の労働者2億人以上を代表する10の国際労働組合組織は、ミャンマーの軍事政権の商業的利益を標的にするよう各国政府・企業に圧力をかけることを各国の労働組合に要請している。
我々はミャンマー国民に連帯し、クーデターを起こしたミン・アウン・フライン最高司令官をはじめとする軍指導部を孤立させるよう、世界中の労働組合と労働者に呼びかける。
労働者の利益に反する権力に立ち向かうという、グローバル・ユニオン(訳注:国際産別労働組合組織、国際労働組合総連合、OECD労働組合諮問委員会のパートナーシップ)の方針に基づき、我々、国際労働組合運動は、本日、以下を要請する。
- クーデターを主導したミャンマー国軍指導者に制裁を課すよう国連安全保障理事会に要請する。制裁は軍に資金を提供する経済資本も対象としなければならない。
- ミャンマーに対する武器禁輸を国連安全保障理事会に要請する。
- ミャンマーに対する、「武器以外の全て(EBA)」の品目への特恵関税の廃止をEUに要請する。
- ミャンマーで活動する外国企業に対して、ミャンマー国軍が所有するビジネスとの直接的・間接的な取引関係または金銭的関係(詳細はミャンマー国軍の経済的利益に関する国連人権理事会の報告書に記載)を中止し、被拘禁者の解放、民主主義制度の回復、全てのミャンマー人労働者の人権および労働基本権の保障のために自らの影響力を行使することを要請する。これには、ビジネス縮小の影響を受ける労働者に対する支援やクーデターに反対する労働者の保護も含まれる。
我々は世界各国の加盟組織に対して、上記を支援するとともに、以下を行うことを要請する。
- ミャンマー国軍に対して、非常事態宣言の解除、全ての政治犯と活動家の即時釈放、ミャンマー国民が指導者を選ぶ権利の擁護、表現の自由や結社の自由に対する制限の廃止を要求するよう、自国政府に圧力をかける。
- ミャンマーと関係を有し、ミャンマーで活動あるいは投資する全ての企業に対して、ミャンマー国軍との商業的関係を断ち、被拘禁者の解放、民主主義制度の回復、全てのミャンマー人労働者の人権および労働基本権の保障のために自らの影響力を行使することを要請する。これには、ビジネス縮小の影響を受ける労働者に対する支援やクーデターに反対する労働者の保護も含まれる。
国際労働組合総連合(ITUC)のシャラン・バロウ書記長は次のようにコメントした。
「ミャンマー国軍による政権掌握に愕然としている。クーデターを成功させないために全力を尽くす」
「国軍が国の基本原則を書き換えようとするという、ミャンマー国民にとって非常に不穏な事態が生じている。我々はミャンマー国民に連帯するとともに、脆弱な民主主義を守るために行動し、軍の政権掌握に抵抗する勇敢な労働者に敬意を表する。国際労働組合運動は、拘束されている全ての人々を解放させ、暴力やハラスメントに終止符を打たせるために闘う。クーデターの首謀者を孤立させなければならない」
ITFのスティーブ・コットン書記長は、国際労働組合運動は今こそ、クーデターやインターネットの遮断に全国で抗議するミャンマーの労働者に連帯すべきだとし、次のように語った。
「拘束されている全ての人々の無条件解放、非常事態宣言の解除、民政回復が実現するまで、軍事政権に制裁を課し、孤立させるために、我々は一致団結して、国連安保理や各国政府に圧力をかけなければならない」
この共同声明に署名した国際労働組合組織
- 国際建設林業労働組合連盟
- 教育インターナショナル
- 国際ジャーナリスト連盟
- インダストリオール・グローバルユニオン
- 国際運輸労連
- 国際労働組合総連合
- 国際食品関連産業労働組合連合会
- 国際公務労連
- OECD労働組合諮問委員会
- ユニ・グローバルユニオン
エレベーター/エスカレーター労働者、権利を求める闘いに尽力
2021-02-10
<JCM記事要約>
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2月3日、20カ国のエレベーター/エスカレーター産業から75人の労働者やエンジニア、組合活動家、職場委員が集まり、オンライン会合を開いた。
エレベーター/エスカレーターは依然として最も安全な交通手段の1つであり、この部門の労働者は組合と協力して現状を維持したいと考えている。つまり、生産、設置、保守において利用者・労働者双方の事故発生率を低く保っておくために、安全対策が必要だということである。
ドイツのインダストリオール加盟組織IGメタルのウォルフガング・レム執行委員が、COVID-19パンデミックで国家間の不平等が明らかになっている現状について話した。
マティアス・ハートウィッチ・インダストリオール機械エンジニアリング担当部長が世界情勢に関する最新情報を提供し、労働者と組合が直面する課題に焦点を当てた。
パンデミックがきっかけで、エレベーター/エスカレーター部門では、リモートワークの増加やデジタル化・オートメーションの加速のような変化がスピードアップしており、プラットフォーム労働や外部委託も増えている。この部門は厳しい景気後退に見舞われているわけではないが、点検が下請けに出され、雇用に重大な脅威をもたらしている。外部委託が続けば安全を危険にさらす恐れがある。
討議では、この部門のいわゆるビッグ5にさらに焦点を絞った。すなわち、オーチス、三菱電機、シンドラー、コネ、ティッセンクルップ(2020年にプライベート・エクイティー会社に売却され、現在はTKエレベーターという別会社)の5社であり、世界の生産、設置、修理の約60%を占め、総売上高は合計560億米ドルである。
インダストリオールと加盟組織は、力を合わせて多国籍企業の力に対抗している。これらの努力に沿って、インダストリオールは先ごろTKエレベーターとグローバル枠組み協定を締結した。
日本のインダストリオール加盟組織、日立ビルシステム労組の成瀬大輔委員長が、2019年の一連の重大事故を受けた同労組の活動について報告した。同労組の取り組みのおかげで、会社側は事故再発防止のために作業方式を見直している。
ウォルフガング・ターナーIGメタル書記長が、エレベーター/エスカレーター部門の賃上げ、労働時間短縮、具体的な協約を中心に、進行中の団体交渉について報告した。
フランスの組合からは、使用者による社会的対話への総攻撃について報告があった。率直に発言する活動家が、経営側からますます弾圧されるようになっている。
ノルウェーから、組合つぶしに関する特別な事例が報告された。新しい労働時間監視システムに対する組合の抵抗を抑え込むために、11月に職場委員兼労働組合副会長が解雇されたという。2月に組合側が紛争に勝利し、解雇された労働組合員が復職した。
マーカス・ハンセンHMF会長が参加者に次のように語った。
「これは思わぬ幸運だ! すべての連帯メッセージに感謝する。この闘いで、これまでになく組合を強化することができた。今では労働者の95%が組合員だ!」
会合で行われた討議に基づいて、代議員は共同声明をめぐり議論している。この声明は間もなく発表される。
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長がこう述べた。
「ネットワークの専心と連帯を祝福する。この業界の変化を受けて、下請けやリモートワーク、デジタル化の増加傾向のような深刻な課題が前途に待ち受けている。だが、協力すれば明確で強力な答えを提供し、労働者の命と福祉を守ることができる」
労働組合、ILO第190号条約の批准を要求
2021-02-05
<JCM記事要約>
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2021年に入ってから、3カ国が仕事の世界における暴力とハラスメントの撤廃に関する第190号条約の批准の承認を票決した。
ラテンアメリカの組合は、第190号条約の批准に向けて努力を続けている。1月17日、エクアドルが投票を行い、第190号条約の批准を承認した。
自由労働組合総同盟(CEOSL)によると、CEOSL加盟組織の家事労働者・関連労働者全国労組が全国平等協議会、国連ウィメン・エクアドルおよびシモン・ボリバル・アンデス大学とともに実施したキャンペーンが、基本的な役割を果たした。
1月26日にはチリが投票を実施し、ILO第190号条約の批准と第206号勧告の採択に向けて措置を講じるよう要請する協定案を承認した。これは国際労働組合総連合とフリードリヒ・エーベルト財団(FESチリ)が参加したCUTのキャンペーン#TrabajoSinViolenciaに続く大きな前進である。
さらに多くの国々が第190号条約を批准しようとしている。シリル・ラマポーザ南アフリカ共和国大統領は1月11日、条約の批准を誓約した。仕事の世界における暴力は、南アフリカの女性労働者の大部分に影響を及ぼしている。2018年の研究によると、女性の30%が職場で迷惑な性的誘惑の被害に遭ったと推定される。インダストリオール加盟組織は第190号条約の批准を求めて運動しており、この件は大統領と議会が取り上げている。
データを見ると、パンデミック下で家庭内暴力が激増しており、世界中で家庭内暴力の増加が報告されている。パンデミック発生とそれに伴う外出禁止の社会的影響で社会的交流が減少し、強制的な共同生活に固有の緊張と家庭内暴力のリスクが高まっているのだろう。
労働組合は、女性がCOVID-19感染予防機器と引き換えに性的な交際を求められた事例を何件か報告している。過去の例によると、景気後退期や雇用減少時には、女性が虐待や代償的セクシャル・ハラスメントに遭うリスクが高まる。
「現在のパンデミックとその経済的影響で、女性に対する暴力との闘いの緊急性がさらに高まっている。労働組合は、各国で第190号条約の批准を目指して引き続き努力しなければならない。条約が批准されている国では、労働組合と組合キャンペーンが効果を上げた」とアルメレ・セビー・インダストリオール・ジェンダーコーディネーターは言う。
トルコでスウェーデン系システムエアが組合つぶし
2021-01-28
<JCM記事要約>
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トルコの組合ビルレシク・メタル・イスは、平和的に紛争を解決しようとしたが失敗したため、労使関係問題をめぐってスウェーデン系多国籍企業システムエアをOECDに提訴した。
トルコのシステムエア製造子会社システムエアHSKで、インダストリオール加盟組織ビルレシク・メタル・イスが労働者の過半数を組織化したあと、トルコ労働省は昨年10月、同労組を交渉代表として承認した。
ところが現地経営陣は、同労組と交渉するどころか、労働省の決定を不服として上訴した。これはトルコの使用者が用いる一般的な組合つぶし戦術である。この上訴と直接関連して、現地経営陣はCOVID-19対策を口実に、組合員に無給休暇の取得を強制した。現在、21人の組合員が無給休暇を取得している。
システムエアは、自社の戦略的サプライヤー全社が行動規範に従っていると主張している。だが、労働者が工場周辺で平和的行動を起こすと、現地経営陣は、解雇された労働者によるデモを支援したという理由で2人の労働者を解雇した。
ビルレシク・メタル・イスによると、脅迫と組合つぶしが続いている。システムエアHSKは依然、組合を脱退しなければ無給休暇を取得させると組織労働者を脅す一方で、積極的に従業員を新規採用している。
スウェーデンの組合ユニオネンとIFメタルは、スウェーデンの同社で支部組合がうまく組織化しており、経営陣と良好な協力関係を築いている。
「トルコの経営陣が組合とトルコの法律を受け入れていないことは遺憾であり、驚きだ」とユニオネンのカリン・ストロームとIFメタルのマッツ・スベンソンは言う。
「スウェーデンの経営陣との対話で、唯一の打開策はビルレシクを労働者の代表と認め、支部組合と真の対話を始めることだと伝えようとしたが、無駄に終わった。この不必要な紛争が早く終結し、代わりに建設的対話が始まることを願っている」
何度も対話を試みたが現地経営陣によって拒否されたあと、ビルレシク・メタル・イスはスウェーデンのOECDナショナル・コンタクト・ポイントに苦情を申し立てた。
「私たちが認定過半数組合として承認されたあともなお、システムエアHSKは組合との交渉を拒否している」とビルレシク・メタル・イスのウズカン・アタル書記長は言う。
「それどころか、使用者は無給休暇の話を出して脅し、組合員に組合脱退を強要している。そして親会社は、スウェーデンの姉妹組織が問題を提起したあとでさえも、労働者の基本的権利の侵害に目をつぶることを選んだ。私たちは公正を得るまで闘い続ける」
インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパは、連帯声明でシステムエアの行動を非難し、「まったく受け入れがたい行為であり、同社自身の方針とトルコ労働法、基本的国際基準に明白に違反している」と指摘した。
声明はシステムエアに対し、強制的に無給休暇を取得させられている組合員を復職させ、直ちに組合つぶしをやめ、ビルレシク・メタル・イスと建設的協力に入ることも要求している。
システムエアは換気装置を生産しており、全世界の事業会社79社で6000人以上を雇用している。トルコ子会社のシステムエアHSKはシステムエアの100%子会社である。
ベラルーシは労働者の権利と人権の侵害をやめよ
2021-01-22
<JCM記事要約>
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ベラルーシの組合活動家と労働者は、民主主義と自由を求めて平和的な抗議行動を起こしたために、厳しい判決を言い渡されている。
ベラルーシ最高裁判所は1月20日、ベラルーシカリ闘争委員会の控訴を棄却し、昨年のストを違法と判断した。
多くの労働者と独立組合の組合員が、2020年8月の大統領選挙の結果に抗議したあと不相応な報復を受けている。
1月19日、インダストリオールに加盟するベラルーシ通信電子産業労組(REP)の青年ネットワーク・コーディネーターを務めるダリア・ポリャコバが、「内務機関の職員に対する暴力または暴力の脅威」で2年間の自由の制限(自宅監禁)を宣告された。ダリアは、同僚が拘束されるのを阻止しようとしたときに、警官の上着の袖を破った。ダリアは未亡人で、子どもが2人いる。
ベラルーシ独立労働組合(BITU)組合員のウラジミール・ベルドニコビッチとアンドレイ・プリルツキーも、警察に対する暴力で告訴された。ウラジミールは、10月の抗議行動後に逃亡した末、4年の刑を宣告された。アンドレイ・プリルツキーは、8月に高齢男性が暴行を加えられていたときに割って入り、逆に暴行・拘留され、15日の刑を宣告された。プリルツキーは現在ロシアで拘留されており、ベラルーシへの引き渡しを待っている。
BITU組合員のイゴール・ポバロフは、8月17日に抗議行動に参加し、ベラルーシ冶金工場の他の労働者とともに道路を封鎖した件で刑事訴追されている。罪状は、社会秩序を甚だしく侵害する行動の組織、準備または積極的参加である。
そしてベラルーシでは、似たような事件がそのほかにも数多く発生している。
「異を唱えて抵抗すれば、誰でも訴えられる恐れがある。行政訴訟ではなく刑事訴訟を起こせる情報があれば、当局はそれを利用する」と自身も体制の犠牲者であるエリザベータ・メリャクBITU国際書記は言う。
1月18日、REP顧問弁護士で人権保護活動家のレオニード・スダレンコが「社会秩序を甚だしく侵害する行動の組織および準備」を理由にゴメルで拘留された。REPの考えでは、スダレンコは弾圧の犠牲者による罰金の支払いを支援したため、暴動資金供給の罪に問われている。
レオニード・スダレンコをはじめとする労働組合活動家の逮捕は、独立労働組合の活動家や、恐れずに市民の立場を表明し、権利を侵害された人たちを進んで支援する人々に対する体制側の弾圧の継続である、と同労組は考えている。
ケマル・ウズカン・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長は言う。
「ベラルーシカリのストに関する最高裁判所の評決は、危険な先例であり、ベラルーシ当局が労働者や国民との真の対話に備えていないことを明白に示している」
「インダストリオールは、ベラルーシにおける弾圧を改めて強く非難し、すべての組合員と活動家の起訴の取り下げと政治犯全員の釈放を要求する。私たちは、基本的な人権および労働者の権利を求めて闘うベラルーシの加盟組織と労働者への支援を約束する」
ブラジルの組合、フォードで5000人の雇用を保護するために闘争
2021-01-19
<JCM記事要約>
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フォードはブラジル3工場閉鎖の意向を表明、その結果、労働者5000人が失業する。インダストリオールはフォードに対し、この決定を再考して組合と代替案を協議するよう求めている。
フォードは102年間にわたってブラジルで車を製造・販売してきたが、タウバテ(サンパウロ州)、カマサリ(バイア州)、オリゾンテ(セアラ州)の3工場を閉鎖する意向を表明した。
この決定によってフォード従業員5000人が職を失い、ブラジルのサプライチェーン全体で約7万人の雇用にも影響が及ぶ。
2019年にサンベルナルド工場を閉鎖したフォードによる今回の発表は、組合や地方当局との協議もなく、世界的パンデミックがブラジルに打撃を与えている最中に行われた。この決定は、労働者と家族、地域社会に壊滅的な打撃を与える。
ヴァルター・サンチェス書記長はインダストリオール・グローバルユニオンの書簡で、フォード会長兼CEOのジェームズ・D・ファーリー・ジュニアに、決定を再考して組合と代替的な解決策を協議するよう求めた。
サンチェス書記長は、今回の決定が2012年4月にインダストリオールと締結されたグローバル枠組み協定(GFA)の甚だしい違反であることを指摘した。時宜を得た情報・協議は労使代表間の有効なコミュニケーションの必須条件である、とGFAは定めている。
ブラジルの組合総連合は共同声明を発表し、今週フォードのディーラー前で抗議を行うよう呼びかけた。フォード労組は、すでにキャンペーンや当局との会談を計画しており、決してあきらめないと述べている。
金属労働者の全国総連合CNM/CUT傘下の金属労組タウバテSindmetauのクラウディオ・バチスタ会長は述べた。
「労働者は簡単にドアから出ていくつもりはない。雇用を求めて闘い続ける」
Fitmetal/CTBに加盟しているカマサリ金属労組のフリオ・ボンフィム会長が言う。
「フォードは交渉なしでドアを閉めようとしている。これはひどい状況であり、同社が数千人の労働者を完全に無視していることを示している。当組合は引き続き断固として踏ん張り、闘い続ける」
CNTM/FSに加盟するセアラ州オリゾンテのマラカナウ金属労組(SindimetalMac)のホセ・ミルトン・ペレイラは、同労組は状況を監視しており、雇用を守って労働者が権利を剥奪されないよう努めると語った。
ヴァルター・サンチェス書記長は、インダストリオール傘下の全国総連合CNTM/FSとCNM/CUTへの書簡でこう述べた。
「雇用を保護して生産工場の稼働を維持するために闘っているブラジルのフォード労働者への全面支援を表明する。インダストリオールは、フォードが組合や当局と事前に協議せず、一方的にブラジル事業を閉鎖したことを全面的に非難する。経営側の受け入れがたい態度は甚だしいGFA違反だ」
組合協定でロールスロイス・バーノルズウィックを救済
2021-01-14
<JCM記事要約>
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ユナイト・ザ・ユニオン組合員は、冬を通して凍てつくようなピケラインで断固たる闘いを繰り広げた結果、バーノルズウィック闘争に勝利を収めた。労使間で締結された画期的な協定のおかげで、350人の雇用が守られ、地域社会は破滅から救われた。
9週間に及ぶストを経て、英国バーノルズウィックのロールスロイス・ジェットエンジン工場が救済された。昨年夏、ロールスロイスがジェットエンジン翼・トレントの生産をシンガポールに移転すると発表し、工場の先行きが不透明になった。労働者は争議行為を票決し、昨年11月6日に重点的ストを開始、この行動はクリスマス・イブまで続いた。労働者は2021年初めにピケラインに戻った。
人口わずか1万1000人の小さな町バーノルズウィックは、地域社会を守るために結集した。このロールスロイス工場は1943年から操業、ジェットエンジン発祥の地であり、多数の労働者を雇用している。この工場が閉鎖されていたら、地域社会の繁栄に壊滅的な影響を及ぼしていただろう。
この紛争は英国で広く支持され、全世界のインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織が同僚と協力して連帯メッセージを送った。
ユナイトは長い間、製造業の開発と成長、移行に投資する産業戦略を策定していないことに関してイギリス政府を批判してきた。政治的支援がなかったにもかかわらず、同労組は、将来に備えつつ雇用と製造能力を守る協定を取り決めた。
この協定は労働者から圧倒的に支持されており、この歴史的な現場は中核的製造施設として息を吹き返し、新しい中核的研究拠点となって、気候非常事態の課題に対応するためにエンジニアを訓練する。
協定の主な細目は以下のとおり。
- 現場で製造事業を続けることを10年間保証
- 最低350人の雇用を保証
- 中核的研究拠点となる訓練学校を創設し、ゼロカーボン技術の開発・製造を支援
- 2年間の強制解雇禁止協定を保証し、先端製造作業に関する討議を促進するとともに、カーボンフリーエネルギー生成ならびに合成燃料、グリーンテクノロジーを支援
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記次長はこう述べた。
「この紛争は実に重要な先例となるので、インダストリオール・グローバル航空宇宙運営委員会にとって非常に重要だ。この協定は、組合員の粘り強さと勇気の証拠であり、会社側が誠実に交渉して組合の代案に耳を傾ける意思を持っている証拠だ。この画期的な協定は航空宇宙部門の進むべき道を示しており、将来に備えつつ雇用と技能を守ると私たちは信じている」
ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール航空宇宙担当部長は述べた。
「ロールスロイスは、この部門で最も重要な企業の1つであり、労働組合員がグローバル・レベルで定期的に会合を開くことを認めている数少ない企業の1つだ。ロールスロイス代表は航空宇宙部門委員会に常時参加している。インダストリオール、ユナイトおよび同社は、グローバル・レベルで社会的対話をめぐって議論するために早く会合を開きたいと考えている」