組合がEUレベルでデューデリジェンスを推進
2021-03-11
2021年3月11日:ヨーロッパの労働運動は、EUレベルでデューデリジェンス法を求めるキャンペーンを推進している。
ヨーロッパのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織とインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、EU委員会にデューデリジェンス法の採択を求めて運動している。この法律は企業に対し、自社の事業とサプライチェーン、それに当該企業が利用するサービスにおいて、既存のおよび潜在的な人権侵害や環境リスクへの対応を強制する。
3月4〜5日、20団体を超えるヨーロッパの労働組合から80人が集まってオンライン会合を開き、『企業デューデリジェンスと非財務情報:労働者代表にとって脅威か、それとも新たな力か』について討議した。この行事はコンサルタント会社のシンデックスと協力して計画され、労働者代表を対象に法案の理解・利用に関する丸1日の訓練も行われた。
英国ユナイトのベン・リチャーズは、「デューデリジェンスはグローバルに連携する労働組合行動の代わりであってはならず」、別の手段と考えるべきだと強調した。
リュック・トライアングル・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記長は次のように述べた。
「重要なのは、デューデリジェンスや持続可能なコーポレート・ガバナンスに関して、拘束力のある義務的なEUルールを導入することだけではない。従業員代表がこの重要なツールを利用できるように、私たちが彼らの訓練を行わなければならない。さらに、彼らがどんな懸念や期待を抱いているか知っておく必要がある」
EU委員会で司法政策に関する主席顧問を務めるポール・ネミッツが発言し、3年に及ぶ研究と協議に基づいて、デューデリジェンス法を支持する説得力のある議論を展開。デューデリジェンスは労働組合とその同盟者が支持する政治目標にかなうが、企業を景気後退やその他の危機に晒し、企業を脆弱化する短期的思考を抑制するため、企業にとっても役立つ、と説明した。この法律は、長期の計画や事業戦略の奨励によって、EU企業をより強靭なものとする。また、企業の利害関係者について、株主だけでなく、持続可能性、労働者、環境、地域社会を含むように再定義することで、社会的対話をも強化するだろう。
法律は平等な競争条件を作るために必要である。自発的アプローチは機能していない。EU委員会は2020年2月、現在3社に1社しかデューデリジェンス措置を講じていないことを確認する研究を発表した。
この研究は、世界の法体系の展開に基づいている。国連人権理事会は2011年、初めて国際デューデリジェンス基準を導入したビジネスと人権に関する指導原則を支持した。その後、この指針に基づいて他の国際組織もデューデリジェンス基準を開発した。例えば、2011年のOECD多国籍企業行動指針、2017年の多国籍企業および社会政策に関する原則のILO三者宣言である。
国の法令もあとに続いており、最近ではドイツで法案が発表された。ネミッツは、中小企業も対象に含め、サプライヤー責任に対する慎重なアプローチを開発することによって、EUの法律をドイツのイニシアティブより幅広いものにすることを提案している。
欧州議会議員は3月10日、EU委員会がこれらのガイドラインを満たすデューデリジェンス法を採択するよう勧告する、欧州議会法務委員会の報告を採択した。EU域内市場への参入を希望するすべての企業が、デューデリジェンス義務に従っていることを証明しなければならない、と欧州議会議員は主張した。
インダストリオール・グローバルユニオンのケマル・ウズカン書記次長は、法律文書体系の拡大について次のように語った。
「私たちは、制裁と犠牲者救済制度に基づく、サプライチェーン全体における義務的デューデリジェンスを求めて闘っている。これは労働者に有利なように経済力のバランスを修正するのに役立つ。さまざまな制度や法的枠組みがある。それらを組み合わせ、労働条件を改善する首尾一貫した全体的環境を生み出す必要がある」
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