インドの安全衛生危機に改善なし
2021-03-10
<JCM記事要約>
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2021年3月10日:インドの絶え間ない労働災害は、労働安全衛生の改善に進展がないことを示している。インドでは、2020年5月にロックダウンが終わってから数々の事故が報道されており、工場や化学プラント、鉱山の事故率が驚くほど高い。
インドで安全上の危機が深刻化していることは、2021年に報道された14件の事故で、すでに労働者42人が死亡し、約100人が負傷しているという事実から明らかである。これらの事故は、化学メーカーや製薬会社、製鉄会社、鉱山で発生した。
3月4日、マディヤプラデシュ州チンドワラ地区にリライアンス・セメントが所有するSIALゴグリ炭鉱の事故で、契約労働者のラケシュ・ニコテ(27)が即死し、もう1人が重傷を負った。労働者が坑内天盤の支柱を立てるために掘削していた際、天盤が崩落した。同じ日にサウスイースタン・コールフィールズ・リミテッドのディピカ鉱山で、掘削機から落ちた石が頭に当たり、ケーブルマンのガジパル・シンが死亡した。
自動車部門でも避けることのできた事故が報告された。2月24日、チャカン地区のオートモーティブ・スタンピングス・アンド・アセンブリーズ社で働く溶接工のウメシュ・ラメシュ・ダーケがロボット装置に直撃され、頭と首に致命傷を負った。センサーの誤作動が原因と見られる。
2月23日早朝には、グジャラート産業開発公社のジャガディア工業団地にあるユナイテッド・フォスフォロス社の工場で大規模な爆発が起こり、労働者3人が死亡、4人が行方不明になり、26人が負傷した。予備情報によると、短絡が原因で溶媒火災が発生した可能性がある。この事故は大規模な汚染を引き起こし、グジャラート汚染管理委員会は工場閉鎖を命じた。
2月12日にタミルナードゥ州ビルドゥナガル地区の花火工場で発生した事故では、現在までに犠牲者数が21人に達している。
2月11日にも、モルビ町に近いラングパー村のグリス・セラミックタイル工場で事故があり、60〜70トンの粘土原料が入った12のサイロの1つが崩落した。労働者3人のうち2人が瓦礫の下敷きになり、遺体で発見された。
製造業部門で報道された一連の事故を見ると、2020年5月から12月までに、約64件の事故で労働者118人以上が死亡し、682人が負傷している。化学・医薬品産業では55人の労働者が、鉱業部門では43人(うち18人が鉱山労働者)が死亡した。
公式の統計によると、2014〜2018年に、届け出のあった工場事故で5800人の労働者が致命傷を負った。平均して毎年、少なくとも1160人の労働者が労働災害で亡くなっている。これらの数字は、実際の犠牲者数を過小評価していると思われる。2019年と2020年の公式数字はまだ分かっておらず、これはインドが事故データに関する報告を改善し、透明性を高める必要があることを示している。
この期間中に多数の死亡事故が発生した州は以下のとおりである。
- グジャラート――1179件
- マハラシュトラ――761件
- タミルナードゥ――451件
- チャティスガール――431件
- アンドラプラデシュ――341件
- カルナータカ――347件
- テランガナ――304件
インド全国鉱山労連のSQ・ザマ書記長は述べた。
「国中で、そして鉱業部門で死亡事故が増えていることに深刻な懸念を抱いている。無計画な採掘活動、採掘作業における安全訓練なしの契約労働者の利用拡大、安全規則の無視、安全装置の不足が、労働者の命を奪い続けている。事故を阻止するために意識的に努力する必要がある。政府は、安全性を高めるために強いメッセージを送り、早急に対策を取る必要がある」
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は次のように述べた。
「2020年6月、インダストリオール・グローバルユニオンはインド政府に対し、第2のボパール災害を防止するために速やかに手を打つよう警告した」
「インド政府が安全上の危機に取り組むために目立った努力をしていない現状には、呆れるばかりだ。政府が安全規則の見直しを直ちに求めるべきことを、私たちは改めて主張する。法律や規則の枠組みにプロセス安全管理の原則を統合する必要がある。安全性を高めて事故を防止するには、安全専門家と組合の関与し、十分な透明性を持った公の協議が必要であり、直ちに実行する必要がある」