インドの安全衛生に残る深刻な懸念
2022-01-28
【JCM記事要約】
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2022年1月28日:インドの製造業では2021年、事故が多発して月平均7件が報告され、162人を超える労働者が死亡、一生残る障害や大怪我を負った者もいる。新年に入ってからの数週間にも何件か事故が発生し、この傾向が続く可能性があることを示している。
2022年1月1日、タミルナードゥ州ビルドゥナガル地区の花火工場で爆発が起こり、4人の労働者が死亡した。この爆発で建物が崩壊し、数人の労働者が重傷を負った。1月5日にも同様の事故があり、ビルドゥナガルにある別の爆竹製造施設の爆発で労働者3人が命を落とした。
1月6日、ビシュワプレム織物染色・捺染工場の労働者6人が、スラト地区のサチン川からの毒ガスを吸って死亡し、その他29人の従業員が入院を余儀なくされた。グジャラート汚染管理委員会は、水硫化ナトリウムとチオ硫酸ナトリウムが自然河川に不法投棄されたことを確認した。国家環境裁判所がこの件を取り上げているが、地方当局の措置は相変わらず手ぬるい。
1月11日には、マンガロールでも化学物質が漏出。アンモニア漏出後、水産加工施設の従業員20人がムッカの民間病院に入院した。インドのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織は、ノーザン・コールフィールズ・リミテッド(NCL)鉱区での事故も報告している。1月10日にNCLのアムロルヒ・プロジェクト地域でディーゼルタンカーが発火し、1月12日には契約労働者1人が燃料庫の清掃中に死亡した。
事故は勤労生活につきものになっている。1月23日、ラクマプール=ナーシクにあるメガファイン・ファーマ・カンパニーの現場で、化学反応炉火災により労働者1人が死亡、その他4人が重傷を負った。
過去5年間に、政府は検査と認可を緩和して自己認証制を認め、いくつかの企業を安全衛生報告の対象から除外して事業を容易にし、小企業を支援している。少ない安全衛生投資、老朽化した機械、機械運転訓練の不足で、労働者にとって危険が高まっている。3カ月間のCOVID-19ロックダウン後に工場が活動を再開すると、労働災害が激増した。
インドでは、工場の数と比較して安全衛生検査官が少ない。組合と労働者は、ずいぶん前から安全衛生基準の効果的な実施を要求してきた。
インダストリオール執行委員のサンジャイ・バダブカールは次のように述べた。
「2021年4月に労働雇用省は、事故増加の原因を調査して安全衛生・労働条件に関する現在の方針や慣行を見直すために、3つの専門家パネルを設置した。しかし、労働組合・労働者の懸念と勧告は考慮されなかった。私たちは、中央政府と州政府が事故関連情報をすべて開示し、調査報告を公表し、使用者か関連政府当局に責任を負わせるよう要求する」
インド全国鉱山労連(INMF-INTUC)会長でインダストリオール執行委員のG・サンジーバ・レディーは述べた。
「これらの事故に悲しみと憤りを感じている。これは明らかに安全対策の深刻な誤りを示している。これらの頻発する事故のハイレベル司法調査、労働者代表と協調した工場・鉱山の厳密な検査、安全衛生法の真の精神に沿った強化・実施、契約制度の全廃を要求する」
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は次のように述べた。
「インドにおける労働災害の頻発は重大な関心事であり、明らかに安全規則の弱体化と不遵守を示している。インダストリオールはインド政府に対し、国内の現行安全法規を緊急に見直すとともに、労働組合の助けを借りて総合行動計画を策定し、職場の安全性と耐火性を高めて死の落し穴にならないようにすることを求める」
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