広報ニュース

第142号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2022年3月8日)

ペルーがILO第190号条約を批准

2022-02-23

【JCM記事要約】

  • ペルーがILO第190号条約を批准した。これはラテンアメリカで4番目、世界で11番目に批准を達成したことになる。
  • 暴力とハラスメントはジェンダー平等とディーセント・ワークを妨げる障害になっているとし、インダストリオールは、ジェンダーに基づく暴力と闘い、すべての人の尊厳と尊重に基づく仕事の世界を実現するためにキャンペーンを開始した。

 

2022年2月23日:ペルーは、ラテンアメリカでウルグアイ、アルゼンチン、エクアドルに次いで4番目、世界で11番目にILO第190号条約を批准した。
                                                      

ペルーの労働組合は、仕事の世界における暴力とハラスメントに関するILO第190号条約の批准を促進するにあたって重要な役割を果たした。

いずれもインダストリオール・グローバルユニオンに加盟するペルーの全国繊維労連(FNTTP)と製造・関連産業労連(FETRIMAP)が、批准キャンペーンにかかわった。

ジェラルド・オロルテギFNTTP労働権擁護担当書記は言う。

「ペルーでは、職場のハラスメントはジェンダーだけでなく組合にも関係がある。組織労働者のハラスメントは、過度の作業負担、ビデオ監視による職場の厳しい管理、賃金に関する差別待遇の形で現れており、組合員が数カ月あるいは数年かかる場合もある合法的な団体交渉手続きに取り組んでいる一方で、使用者は非組織労働者に手厚い優遇策を進んで与えている」

仕事の世界における暴力とハラスメントは多くの労働者にとって日々の現実であり、ジェンダー平等とディーセント・ワークを妨げる障害となっている。インダストリオール・グローバルユニオンは、ジェンダーに基づく暴力と闘い、すべての人の尊厳と尊重に基づく仕事の世界を実現するために、キャンペーンを開始した。

 

モレックス・マレーシアは組合潰しを中止せよ

2022-02-21

【JCM記事要約】

  • モレックス・マレーシアがペナン工場で労働者に事業状況説明をした際、経営者側は「電子産業従業員組合北部地域(EIEUNR)に賛成票を投じた場合はボーナスが支給されず、前途もなくなる」と脅した。EIEUNRはこれを組合潰しだとして苦情を申し立てた。
  • インダストリオールは同社最高経営責任者へ書簡を送付し、労働者に対する脅迫をやめて結社の自由を尊重するよう強く要求した。

 

2022年2月21日:マレーシアの電子労組EIEUNRは、モレックスの組合潰しを批判している。同社は組合員に団体交渉権を与えまいとしている。
                                                      

2月7日にモレックス・マレーシアのペナン工場で行われた事業状況説明の際、モレックス・マレーシア経営陣は労働者に対し、電子産業従業員組合北部地域(EIEUNR)に賛成票を投じないよう警告した。

同労組によると、モレックス・マレーシア経営陣は、「EIEUNRに投票した場合はボーナスを支給されず、前途がなくなる」と労働者を脅した。

EIEUNRが組合つぶしに関して苦情を申し立てたあと、2月22日に予定されていた無記名投票は労使関係局によって一時中止された。

モハマド・ラジ・ビン・ラヒムEIEUNR会長は言う。

「モレックス・マレーシアは承認請求プロセスに不当に干渉している。私たちは、経営側がもたらした損害を緩和するために、EIEUNRと労使関係局が労働者向けに適切な状況説明を行うよう要求する」

マレーシアの労働法は使用者による組合組織化への干渉を禁止しているが、マレーシアの労働者は組合加入権の行使にあたってしばしば脅迫されている。

アトレ・ホイエ・インダストリオール・グローバルユニオン書記長は、モレックス最高経営責任者ジョー・ネリガンへの書簡で、労働者に対する脅迫をやめて結社の自由を尊重するよう強く促している。

「私たちはモレックスに、同社が自社の行動規範を通して、非差別原則と合法的雇用慣行(労働者の結社の自由の尊重を含む)にコミットしていることを思い出させたい」

電機・電子産業はマレーシアの重要な製造業部門で、輸出総額の35%を占め、約56万人の労働者を雇用している。

モレックスは、データ通信や医療・産業・自動車・家電用エレクトロニクスなど、各種産業向けの電子・電気・光ファイバー接続システムを製造する世界的メーカーである。全世界で4万5000人以上の従業員を雇用している。

 

ランジェリーブランドにタイの労働者1388人への740万米ドル支給を要請

2022-02-16

【JCM記事要約】

  • タイのビクトリアズ・シークレット社およびレーン・ブライアント社の労働者が昨年の工場閉鎖により予告なしで解雇され、いまだ支払われるべき賃金や手当等が1年近く支払われていない。これを受け、2月14日にアジア太平洋地域のインダストリオール・グローバルユニオン組合員100人以上が行動を起こし、同2社へサプライチェーンで労働者に対する責任を取るよう要求した。
  • インダストリオール東南アジア事務所・岩井所長は、企業はサプライチェーンで権労働者の権利が侵害されるようなことが発生した場合、デュー・ディリジェンスを行使して責任を取らなければならない、と強調した。

 

2022年2月16日:2月14日のバレンタインデーに、アジア太平洋地域のインダストリオール・グローバルユニオン組合員100人以上が、ランジェリーブランドのビクトリアズ・シークレット、トリッドおよびレーン・ブライアントを非難し、サプライチェーンで労働者に対する責任を取るよう各社に強く促した。
                                                      

この地域行動デーは、インダストリオール加盟組織であるタイ産業労働組合総連合(CILT)の組合員を支持して実施された。組合員たちは、突然の工場閉鎖で2021年3月に予告なしで解雇された。女性が大半を占め、COVID-19パンデミックの最中に悲惨な状態で放置されている。現在までのところ、労働者たちは、支払われるべき賃金や超過労働手当、休日手当、退職手当をまだ受け取っていない。

「労働者はもう1年近く支払いを待っており、可能な限り早く報酬を必要としている」とプラシット・プラソップスックCILT会長は言う。

オーストラリア、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、モンゴル、フィリピン、タイの労働組合員が、店舗での行動やソーシャルメディア・キャンペーン、ブランドへの抗議文送付に参加し、労働者への支払いを直ちに行うよう要求した。

インダストリオール・アジア太平洋女性委員会のメンバーは、2月14日の会合でバーチャルで地域行動デーに加わった。

「連帯は常に広く実施されており、この闘いは非常に重要だ。私たちはビクトリアズ・シークレットをはじめとする大手ブランドに対し、労働者に支払うべき740万米ドルを支給するよう求めている」とインダストリオール・アジア太平洋女性委員会共同議長で、CFMEU製造部門の繊維・衣料・履物担当全国書記を務めるジェニー・クルシェルは言う。

岩井伸哉インダストリオール東南アジア地域事務所所長は次のように言及。

「インダストリオールは悪質な使用者との闘いを続ける。サプライチェーンで権利が侵害されたら、ブランド各社はデュー・ディリジェンスを行使して責任を取らなければならない」

                    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マレーシアのダイソン工場で虐待の報道

2022-02-14

【JCM記事要約】

  • 英国のチャンネル4ニュースが2月10日に、主にダイソン向けに製品を生産しているATAインダストリアルで働くマレーシアの移民労働者グループによる報告を放送し、労働者が長時間に及ぶ強制労働や劣悪な環境での生活を強いられていることなどが明らかとなった。
  • インダストリオール・アトレ書記長は、同社はサプライチェーンでも国際基準に従って労働者の基本的権利を確保すべきだとし、労働者が搾取を避ける最善の方法は、賃金・労働条件を改善するために団結権・団体交渉権を行使できるようにすることである、と強調した。

 

2022年2月14日英国のテレビの手厳しい報道は、有名家電メーカーのダイソンを非難し、マレーシアの主要サプライヤー工場の1つ、ATAインダストリアルでの強制労働や不法監禁、危険な労働条件を伝えている。
                                                      

英国のチャンネル4ニュースは2月10日、主にダイソン向けに生産している工場で働くマレーシアの移民労働者グループによる報告を放送した。移民労働者たちは、ATAインダストリアルで雇用されていたとき、パスポートを取り上げられ、実質的に罠にかけられて働かされたことを詳述した。

超過労働も含めて、最大18時間の長時間労働を強制された。超過労働を命じられたときに拒否すれば、今後は超過労働を認められず、賃金で生活することができなくなると言われた。日給が10米ドルに満たない日もあった。

労働者の多くは不衛生な過密状態で生活していた。1部屋を最大80人が共有し、警備員に移動を制限された。

斡旋報酬、劣悪な生活条件、パスポートの保管、過剰な労働時間、強制的な超過労働、移動の制限はすべて、国際労働機関が定義する強制労働の明確な指標である。

イギリスのインダストリオール加盟組織ユナイト・ザ・ユニオンは、この有名ブランド向けに製品を製造するマレーシアの工場における移民労働者虐待の申し立てを受けて、ダイソンのサプライチェーンの改革を要求している。

ユナイト国際局長のサイモン・ダビンズは言う。

「ユナイトは国際労働運動とともにダイソンに対し、同社のサプライチェーンのいかなる部分でも人権・労働権侵害が起こらないようにすることを要求する。同社とそのサプライチェーン全体で独立労働組合の活動も認め、労働者の権利が保護されるとともに、他者を犠牲にして製造されている製品を買っていないと消費者が確信できるようにしなければならない」

ATAインダストリアルにおける虐待の長時間にわたる報告を無視することは、責任ある調達を行うというダイソンの公的な主張に反する。そして、監査所見をめぐって昨年11月にATAインダストリアルとの契約を終了した際、ダイソンは労働者に何の救済も与えなかった。

インダストリオール・マレーシア協議会書記で全国輸送機器・関連産業労組(NUTEAIW)書記長のN・ゴパール・クリシュナムは言う。

「あらゆる種類の虐待をなくすために、強制労働に関する国家アクション・プランを直ちに実施しなければならない。マレーシア政府に対し、この苦情を徹底的に調査し、法律に従って行動を起こすよう求める」

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は次のように述べている。

「ダイソンのこの事件は、満足に構成・実施されていない監査が潔白の証明に利用されていることを示している。ダイソンと同様に、サプライチェーンでは、現実を反映していない問題のある監査事例が数多くある。信頼できる監査は労働者の声を考慮している」

「ダイソンは、同社のサプライチェーンで国際基準に従って労働者の基本的権利を確保しなければならない。搾取を避ける最善の方法は、移民労働者を含む労働者が、賃金・労働条件を改善するために団結権・団体交渉権を行使できるようにすることだ」

ダイソンは1993年にイギリスで創設され、2019年にシンガポールに本社を移転し、2007年に英国工場を閉鎖してマレーシアに製造拠点を移した。ATAインダストリアルは、ダイソンの掃除機、照明器具、ヘアケア製品、ファンヒーター用の製品を主に生産している。

写真:マレーシア・ペタリンジャヤの女性移民労働者の資料写真。提供:国連ウィメン

 

カビール・スチール船舶解撤場で労働者が死亡

2022-02-12

【インダストリオール記事要約】

  • バングラデシュの船舶解撤場にて、夜間の作業を禁止する裁判所命令が出されているにもかかわらず操業が行われ、労働者が亡くなる事件が発生した。経営側はこれを事故としてやり過ごそうとしており、亡くなった労働者の遺族に補償金を支払おうとしていない。
  • インダストリオールはバングラデシュ政府に対し、船舶の安全な再生利用のための香港条約の批准を求めている。また、インダストリオール南アジア地域事務所・アプールバ所長は、従業員の安全を担保することは雇用者の責任であり、労働者への死亡補償金の支払いから逃れてはならない、と主張した。

 

2022年2月12日:1月31日、バングラデシュ・チッタゴンのシタクンダで、夜勤中の労働者が事故により死亡した。夜間の作業を禁止する裁判所命令が出されているにもかかわらず、である。
                                                      

この事故は、亡くなった若い切断工のモハンマド・アリフル・イスラム・スジャンが、夜間にジョイストガーダーを切り倒していたときに発生した。夜間の船舶解撤作業を禁止する2011年の裁判所命令にもかかわらず、船舶解撤場は非常に危険な状況で夜間も操業している。先週、同じ造船所の事故で別の労働者も負傷した。

インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織のバングラデシュ金属労働者連盟(BMF)とバングラデシュ金属・化学・衣料・縫製労連(BMCGTWF)は、この問題を絶えず提起している。昨年はカビール・スチールが運営する他の解撤場、マダンビビル・ハットとガマリタルで7件の事故が報告された。

経営側は、この死亡を事故として通そうとしている。チッタゴン工場・施設検査局の次席検査官アブドラ・アル・サキブ・ムバラットによれば、「アリフルは突然気分が悪くなり、嘔吐して倒れた」という。バングラデシュのインダストリオール加盟組織は、この状況は隠蔽であるとして抵抗しており、亡くなった労働者の遺族に十分な補償金を支払うよう要求している。

労働組合は2月2日に人間の鎖を組織したが、地元の警察はそれを断ち切ろうとした。警察の介入後、組合指導者は人間の鎖を大規模な集会に変えた。BMFとBMCGTWFのオルグが亡くなった労働者の遺族と会見し、補償請求書の作成を手伝った。

遺族と会見する組合員

 

組合は補償の問題をめぐって工場・施設検査局と会談した。このやりとりを続けることにしている。伝えられるところでは、2018年のバングラデシュ労働法修正によって定められた慣行に従い、会社側は労働裁判所に20万バングラデシュ・タカ(2327ドル)を供託した。だが、まだ50万タカ(5816ドル)を犠牲者の遺族に支払う必要がある。

バングラデシュのインダストリオール加盟組織は、船舶解撤場の危険な労働条件の問題を絶えず提起しており、死亡者の遺族が十分な補償を受けるまで闘う。インダストリオールはバングラデシュ政府に対し、船舶の安全な再生利用のための香港条約の批准を求めている。

昨年は全国で43件の事故が発生し、合計50人の船舶解撤労働者が負傷、12人が死亡した。今年これまでに、2人の労働者が命を落とし、2人が負傷している。

AMナジム・ウディンBMF会長とモハンマド・ヌラル・アブサルBMCGTWF(チッタゴン委員会)書記長は声明を発表し、次のように述べた。

「BMFとBMCGTWFは、バングラデシュの船舶解撤部門における事故の頻発を常々懸念しており、所有者と政府による事故防止策を絶えず要求してきた。したがって、チッタゴン工場・施設検査局の次席検査官とカビール・スチールの所有者が、カビール・スチールでの事故について事実とまったく異なる説明をしたことは、労働組合にとって青天の霹靂であり、両社の意図と誠実さに関して重大な問題を引き起こす。所有者と政府当局者のそのような不当行為に対して、政府が適切な処置を取るよう要求する。また、影響を受けた労働者の遺族に十分な補償金を支払うことも要求する」

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール地域事務所所長は次のように述べた。

「自分の下で働いている労働者が職場で死なないようにすることは事業者の責任であり、労働者へのわずかな死亡補償金の支払いを逃れようとしてはならない」

写真:チッタゴン解撤場の資料画像。提供:Stéphane M. Grueso

 

インタビュー:ダニエラ・カバロ――問題解決重視のチームプレーヤー

2022-02-11

2022年2月11日:従業員数60万人超の世界最大の自動車メーカー、フォルクスワーゲンで欧州・世界グループ従業員代表委員会の議長を務めるダニエラ・カバロは、強大な権限を掌中に収めている。
                                                      

インタビュー
『グローバル・ワーカー』第2号(2021年11月)より

人物:ダニエラ・カバロ
文:アレクサンダー・イワーノウ

 

 

 

 

 

ダニエラ・カバロは、よりよい生活を求めてドイツに移住し、ウォルフスブルクのフォルクスワーゲンで働いたイタリア移民の娘であり、自身も27年以上前にフォルクスワーゲンで働き始めた。彼女は現在、ウォルフスブルク最大の工場の従業員代表委員会、ドイツの全国従業員代表委員会、フォルクスワーゲン欧州・世界グループ従業員代表委員会の議長である。ダニエラは、複雑なフォルクスワーゲン・グループでいくつかの役職に就いているだけでなく、同社の監視委員会にも加わっている。

同社におけるダニエラの幅広い経験は、現在の立場に大きく貢献している。長年の間に、彼女は多くの出来事を目にした。好ましいものばかりではなく、危機的な状況もあった。業務管理の見習いに始まり、子会社の「オート5000」の従業員代表委員会メンバーまで、さまざまな役割で働いてきた。この子会社は、低賃金と労働時間の柔軟性向上を受け入れつつ、ドイツで新規雇用とVWへの投資を確保するために設立されたプロジェクトである。そこで彼女は労働協約の交渉にも参加した。

何年もの間、ダニエラはさまざまな従業員グループを代表し、多くの経験を積んできた。その活動によって、労働者の間だけでなく、さまざまなレベルの経営側でも、巨大なネットワークを構築することができた。これは現在の立場で役立っている。

自分の強みの1つは多様な人々と協力する能力だ、とダニエラは考えている。

「私は良きチームプレーヤーで、いつも解決策を探している。人によって意見が異なることもある。それを受け入れ、たとえ論争になっても議論し、常に解決方法を探し求めることが重要だ」

ダニエラは、自分は時々せっかちになりすぎ、物事を急いで変化させようとするところがあると考えている。このような姿勢は、主張し続けて最終的に成果を達成するのに役立つので、ある意味では長所だが、まわりの人に強引すぎると思われるかもしれない。

従業員代表委員会の議長に選ばれたときは興奮したが、ダニエラは、それについて考える時間があまりなかった。

「突然、困難な状況に追い込まれた」

最初は、この状況に対して「静観しよう」的な態度があった。だがダニエラは、それは自分が女性であることとは関係がないと言う。

「すでに何年も、同僚の多くと協力していた。けれども、会合や討議、任務に際して、階層を上がっていくほど女性が減っていくことに気づいていた」

ドイツの従業員代表委員会は2002年以降、女性のクオータ制を導入し、その結果、出席する女性が増えている。

「女性出席者が増えると、議論の仕方や活動方法、解決策の探し方が変わり、これには改善効果がある」

これは今もダニエラの日常業務の重要部分だが、彼女の主な焦点は、現在および将来の雇用に影響を及ぼす、フォルクスワーゲンで起こっている変化である。

自動車産業は、電気自動車や新しいモビリティーコンセプトに向かう重大な包括的転換にさらされている。この転換は仕事の変化を意味し、デジタル化や技術的変化による失業の可能性をもたらすが、それだけでなく新しい分野の新規雇用の機会も提供する。VWの経営陣と一般従業員代表委員会は2016年、未来のための協定に調印した。この協定の締結は――社会的責任のある方法で管理されるが――劇的な失業と新システムの設定を意味し、資格取得と技能向上のための予算による新しい職務と雇用への移行をもたらした。

「私たちは、すでに未来のための協定の要素を発表していた。いくつか妥協しなければならなかったが、その代わり経営側から確かな雇用の保証を取り付けた」とダニエラは言う。

デジタル・トランスフォーメーション・ロードマップにより、間接的分野、つまり、製造業に直接関係のない雇用に焦点が当てられた。フォルクスワーゲンは採択されたロードマップで、主にIT分野でデジタル化関連の新規雇用の創出に投資すると誓約した。

技能向上の例の1つは、ファカルティー73プログラムである。このプログラムによって、フォルクスワーゲンはソフトウェア開発者を訓練し、無事修了したら常用雇用を提供する。これに関して注目に値する点は、組立ラインの労働者も、IT関連問題の才能を示せばプロジェクトに参加できることである。同様のコンセプトは今、スペインのセアトでも実施されている。

フォルクスワーゲンは、多国間協力とグローバル従業員代表機関に関してはパイオニアである。社会憲章、臨時雇用に関する憲章、訓練・教育に関する憲章などのグローバル憲章が実施され、世界中の他のVW工場の組合も、ドイツやVWの強力な共同決定権から利益を得られるようになった。

ドイツには、職場における共同決定文化システムの法的基礎がある。これは意思決定における労使協力、特に監査役会での労働者代表による協力を意味する。

VWの方針憲章は他社には見られないものであり、全世界で労働者の権利保護に重要な貢献をしている。この憲章は、労働者の権利が十分に尊重されていない国で、最低限の権利を実施するための基礎にもなり得る。

「さまざまな国の協議権と情報権は、交流の重要な主題だ。これらの交流は役に立つが、会社が要求を深刻に受け止めなければ、私が関連労働者を支援しなければならない。各種の憲章は、従業員・組合側だけでなく経営側でも、このプロセスに貢献し、共同決定プロセスの実施を支援することができる。

COVID-19パンデミックを受けて、どんな社会的保護策を導入できるかをめぐり、幅広い協議が行われるようになっている。ダニエラは、労働時間短縮に関して海外の同僚から苦情が寄せられたことを思い出す。独VWグループの幅広い影響力と、同社と従業員代表委員会との関連協定は、パンデミック下に限らず、たびたび雇用保護に役立ってきた。

「ドイツでは、フォルクスワーゲンのスタッフがポルシェに派遣されたり、アウディからVWザクセンにスタッフが派遣されたりしているが、メキシコのVWとアウディのように、他の国々の工場では交流がほとんどなかった。両工場は窮状に陥ってもあまり助け合わず、それぞれの工場が単独で問題に取り組んでいた」とダニエラは言う。

フォルクスワーゲン・グループと欧州・世界グループ従業員代表委員会の協定

ダニエラはインダストリオールの国際憲章参加が非常に重要だと考えており、フォルクスワーゲン唯一の未組織工場、米テネシー州チャタヌーガ工場の事例にも言及する。

インダストリオール加盟組織の全米自動車労組(UAW)は2014年と2019年、この工場を組織化しようとした。2回とも、同社はUAWの組合選挙勝利を阻止するために、ある会社に協力を求めて組合つぶしを手伝わせた。インダストリオールは、フォルクスワーゲンとのグローバル枠組み協定を停止することまでした。

チャタヌーガの選挙で、国家・連邦両レベルの政治家の影響力が役割を果たしたことは明らかである。ダニエラは、この話題の複雑さを認め、UAWと協議を続けている。彼女は同工場の組織化への支援を誓約しており、新大統領下の米国の現状が変化をもたらす可能性があると信じている。

「これは新たな状況であり、新たな協力の機会かもしれない。多くの異なる要因と側面がある。私の関与ですべてが変わると約束することはできない。できる限りのことをするとしか約束できない」とダニエラは言う。

憲章の策定が続いており、新しい主題が追加されている。VW従業員代表委員会は現在、デジタル責任に関する新しい憲章に取り組んでいる。この憲章は、デジタル化はどのように従業員に影響を与えるか、労働者にどんな結果をもたらすかに基づいて、一定の原則を定める。

「このようなことに私たちは取り組み続けている。それは企業文化の一部だ」とダニエラは言う。

企業投資戦略も議題に盛り込まれている。

「従業員代表がVWで、そしてドイツに限らず、調達や投資の決定に影響を与えることが重要だ。これができなければ、私たちは単なる世話人になってしまう」とダニエラは締めくくる。

写真:ケビン・ノブズ、カーステン・ハイドマン

 

 

 

 

 

「ミャンマー国民に権力が返還されるまで弛まず進む」(ミャンマーに関するウェビナー報告)

2022-02-04

【JCM記事要約】

  • ミャンマーにて軍事クーデターが発生してから1年が経過した2月1日、インダストリオールはウェビナーを開催し、インダストリオール・アトレ書記長や髙倉副会長、ミャンマー労働組合総連盟・マウン会長などが講演を行った。
  • アトレ書記長は冒頭挨拶にて、軍事政権は国際的な価値観と原則に基づくべきとミャンマーにおける現況を非難し、民主主義が取り戻されるまで闘いを続ける、と述べた。

 

2022年2月4日:ミャンマーの軍事クーデターから1年、インダストリオールは、ミャンマーの組合だけでなくグローバルな労働運動の指導者も集めてウェビナーを開催した。
                                                      

 

ミャンマーに民主主義を取り戻す闘い――クーデターから1年

ウェビナーの講演者は以下のとおり。

  • アトレ・ホイエ、インダストリオール・グローバルユニオン書記長
  • ケマル・ウズカン、インダストリオール書記次長
  • 髙倉明、インダストリオール副会長
  • 岩井伸哉、インダストリオール東南アジア地域事務所所長
  • シャラン・バロウ、ITUC書記長
  • マウン・マウン、ミャンマー労働組合総連盟会長
  • モー・サンダー・ミント、ミャンマー労働同盟
  • ルワン・ウェイ博士、包括的経済制裁提言チーム                              

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は開会の辞で次のように述べた。

「1年前、NDLが選挙で地滑り的勝利を収めたあと、新議会の宣誓式と新政権樹立の直前に、ミャンマー国軍がクーデターを起こした。

クーデター以降の1年は恐怖の1年だった。軍事政権が残虐行為を繰り広げる一方で、国際社会は民主主義の回復に貢献する能力も意思も示していない。1年で1,500人が殺害され、1万1,500人以上が逮捕され、160万人以上が国内難民になり、バングラデシュ、マレーシア、タイに24万1,000人の難民がいる。

軍事政権はミャンマー国内で市民を追い詰めて砲撃しているだけでなく、タイの難民キャンプにも攻撃を加えている。この状況は人道に反する罪以外の何物でもない。

それでも欧州連合は、武器以外すべて(EBA)制度の特恵貿易を撤回することができない。EBAは、労働権・人権などの国際的な価値観と原則に基づいて、発展途上国や後発開発途上国に貿易特権を与え、貧困を軽減して雇用を創出する制度である。

一体どこの星で、ミャンマーで起こっていることが国際的な価値観と原則に基づいていると言えるだろうか?

私たちはインダストリオール・ヨーロッパ労働組合とともに、欧州連合のすべての加盟組織に対し、各国政府に圧力をかけて付与されたEBA特恵を撤回させるよう要請している。この状況を続けることはできない。

インダストリオールは9月の大会で、ミャンマーに対する包括的経済制裁を要求する非常に強力な決議を採択。多国籍企業と世界的ブランドに、ミャンマーにおける事業の中止、投資の引き揚げ、新規発注の停止、取引関係の中断を要求した。

社会の崩壊が原因で、すでに何百万もの労働者が失業しているが、軍事政権への資金の流れを押さえ込むには包括的制裁が必要だ。

私たちの要求を支持してくれる企業もあれば、まだ議論している企業や無視している企業もある。まだ議論している企業や無視している企業は、自社が雇用の維持によってミャンマー国民を助けていると思っているか、余分の利得を得るために皮肉にもミャンマー国民を搾取している。

1つはっきりさせておこう。国際社会が要求する基準を守ってミャンマーで事業を行うことは不可能だ。この国のどの事業でも、真のデューデリジェンスはあり得ない。したがって、いかなる企業も、自社の事業が人々に損害を与えていないとか、自社が基本的な労働組合権・人権を保障していると言うことはできない。

私たちはミャンマー国民に権力が返還されるまで弛まず進む。この記念日を利用して、改めて正義を要求しなければならない

 

メキシコのGM工場で独立組合が画期的勝利

2022-02-03

【JCM記事要約】

  • ゼネラル・モーターズのメキシコ工場にて組合代表選出のための選挙が行われ、同国にて民主的組合を先導するSINTTIAが圧倒的多数で勝利を収めた。昨年8月、旧組合が締結した労働協約を労働者が拒絶し、新組合の選挙を選出することとなっていた。
  • インダストリオール・アトレ書記長は、新しく選出されたSINTTIAの同工場組合代表を祝福し、同社へは公正で透明な団体交渉プロセスに入るよう要求した。

 

2022年2月3日:メキシコ・シラオのゼネラル・モーターズ工場で労働者6232人の90%が、新しい組合代表を選出するために投票。76%の圧倒的多数でSINTTIAが勝利を収めた。同労組は労働改革後、メキシコで民主的組合を先導している。
                                                      

昨年8月、労働者たちは、メキシコ労働組合連盟(CTM)傘下の旧ミゲル・トルヒーヨ・ロペス組合が締結した労働協約を拒絶、「同労組はGM側に立っており、労働者の利益よりも会社の利益を優先している」と非難した。この協約の拒絶を受けて、新組合を選ぶための選挙が行われた。

2月3日の開票後、Sindicato Independente Nacional de Trabajadoresy Trabajadoras de la Industria Automotriz(SINTTIA)が圧倒的多数を勝ち取り、労働者の76%が独立組合による代表を選んだ。

これはとてつもなく重要な勝利であり、2019年にメキシコ政府が実施した労働改革は、労働者に自由で公正な選挙で投票する本当の機会を提供しているため、実際に労働者にプラスの効果をもたらし得ることを証明している、とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

「私たちはSINTTIAを祝福する。今回の大勝利は、メキシコの自動車労働者が、妥協のない透明な真の独立労働組合による代表を望んでいることを示している。今後さらに選挙が行われ、この勝利は民主的機構を強化する」

「今度はゼネラル・モーターズに対し、SINTTIAと公正で透明な団体交渉プロセスに入るよう求める」

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               

 

 

インダストリオールとITUC(国際労働組合総連合)、エスワティニの民主改革に関する緊急の包括的対話を要求

2022-02-02

【JCM記事要約】

  • エスワティニにて、警察と軍が民主化運動家に過剰な軍事力を行使しており、これまで100人以上が殺害され、学生指導者を含む数百人が負傷や逮捕されている。
  • インダストリオールは、ITUCと共にアフリカ委員会(ACHPR)や南アフリカ政府に書簡を送り、労働者の権利保護のため現政権に対し行動を起こすよう促した。またインダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所とITUCアフリカが開催した会合に労働組合が参加し、組合が同国の民主化を求めキャンペーンを開始することで同意された。

 

2022年2月2日:エスワティニで数人の学生指導者が逮捕され、伝えられるところでは、そのほかに警察署で拷問された者もいるという。組合によると、警察と軍が民主化運動家に対して過大な軍事力と実弾を使用する事件が何度か発生し、100人以上が射殺され、数百人が負傷したり独断的に逮捕されたりした。
                                                      

労働組合と市民社会組織が対話に向けたエスワティニ政府の政治的意志の欠如と行動の遅さを懸念する中で、インダストリオールとITUCは、人および人民の権利に関するアフリカ委員会(ACHPR)、南部アフリカ開発共同体(SADC)および南アフリカ政府に手紙を書き、ムスワティ3世王政権に対し、労働者の権利と人権の尊重・保護に向けて行動を起こすよう促した。

それぞれインダストリオール、ITUCに加盟しているスワジランド合同労組(ATUSWA)およびスワジランド電力供給・保守・関連労組(SESMAWU)とスワジランド労働組合会議(TUCOSWA)によると、治安部隊が表現・集会・結社の自由に対する人権および労働者の権利、それに生存権を絶えず侵害している。

これは劣悪な賃金、貧困の悪化、失業率の上昇、COVID-19パンデミック、HIV/エイズを特徴とする厳しい状況下で生きている労働者にとって、生活を耐え難いものにしている。

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長、シャロン・バロウITUC書記長、クワシ・アドゥ・アマンクワITUCアフリカ書記長は、書簡に次のように書いている。

「アフリカ人権憲章と民主主義、選挙および統治に関するアフリカ憲章はいずれも、結社・集会の自由の権利を保護し、複数政党制を強化している(国内法に基づく反対政党への法的地位の付与など)。したがって、労働組合やその他の市民を含めて、エスワティニで民主主義を追求するために人権を行使する人権擁護者は、政府や治安部隊による攻撃や報復から保護されなければならない」

2021年12月にインダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所とITUCアフリカがオンライン会合を開催、南部アフリカ労働組合調整協議会(SATUCC)や南アフリカ労働組合会議(COSATU)などの組織が出席し、組合がエスワティニの民主化を求める協調的な汎アフリカ/グローバル・キャンペーンを開始することで合意した。

汎アフリカ研究ネットワークのアフロバロメーターが実施した2021年の調査によると、ほとんどのエスワティニ国民は、ムスワティ3世下の現在の絶対君主制による統治ではなく、複数政党制民主主義を支持している。現政権下では、独断的な逮捕・拘留によって言論・結社の自由が制限されているため、人々は率直に意見を述べることを恐れている。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              

 

ミャンマーの恐怖の1年――労働組合、EU貿易特恵の即時撤回を要求

2022-02-02

【JCM記事要約】

  • ミャンマーにて軍事クーデターが発生してから1年が経過し、これまで軍事政権は1万1,500人以上の民間人や労働組合員を逮捕し、子供を含む1,500人以上の民間人を殺害している。
  • 虐殺を止めるためには軍事政権が利益を得ている経済関係を断つことが必要であると主張するインダストリオールは、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合と共に、EUに対し「EUの武器以外すべて(EBA)制度」に基づきミャンマーの貿易特恵の即時撤回を求めている。

 

2022年2月2日:インダストリオール・グローバルユニオンは、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合とともにEUに対し、ミャンマーの恐ろしい人権侵害に対応するため、EUの武器以外すべて(EBA)制度に基づく貿易特恵を即時撤回し、軍事政権の資金源を断つよう求めている。
                                                      

「私たちはミャンマー国民と連帯しており、同国の民主主義復活を求めて闘いを続ける」とケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。

「軍事政権が利益を得ている経済関係を断つことが重要であり、EBAを解除しなければならない」

クーデター以降、軍事政権は1万1500人以上の民間人や労働組合員、ジャーナリスト、文化人を逮捕し、64人の死刑を執行し、生後14カ月から17歳の子ども少なくとも100人を含む1500人以上の民間人を殺害した。

さらに、国際連合の推定によると、ミャンマーのチン、カチン、ラカインおよびシャン各州の紛争が原因で、160万人を超える国内避難民・難民が出ている。加えて、バングラデシュ、マレーシア、タイに24万1000人のビルマ難民がいる。

このような事情のもとで、欧州連合と国際社会は政治的にもっと断固たる姿勢を取り、この虐殺を止めるために経済措置を実施しなければならない。インダストリオール・グローバルユニオンと姉妹組織のインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、ミャンマーの民主的労働組合の要請により、EUに対し、EUのEBA制度に基づくミャンマーの貿易特恵の即時撤回を求めている。

EBAを含むEUの一般特恵関税制度(GSP)の目的は、EU貿易を利用して、労働権・人権を尊重しつつ発展途上国で雇用を創出することである。労働権・人権侵害の証拠があれば、制裁と貿易特恵の撤回が実施される可能性がある。

「ミャンマーの人々はもう1年に亘って軍事独裁政権下で生活しており、この状況の継続を許すことはとてもできない。ミャンマーで行われている残虐行為をやめさせるために、すべての政治指導者が行動を起こさなければならない。私たちはEU首脳に対し、EU貿易措置も含めた集団的な力を利用し、軍事政権を弱体化させて恐ろしい統治を終わらせるよう求める」とジュディス・カートン=ダーリング・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記次長は言う。

 

ミャンマーのクーデターから1年

2022-02-01

【JCM記事要約】

  • ミャンマー軍がクーデターを起こし民主政府が倒されてから、2022年2月1日で1年が経過した。ミャンマーでは今もなお民主化闘争が続いており、労働者の権利を保護するため、インダストリオールは労働組合と協力して闘っている。
  • インダストリオールはミャンマーの労働運動を支援しグローバル企業にミャンマーでの事業停止を要求するよう手紙を送付したところ、多くの企業が事業縮小や撤退を行った。また本日、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合との連名で欧州委員会へ手紙を送り、EUの武器以外すべての特恵貿易協定の終了を要求した。

 

2022年2月1日:2021年2月1日、軍事クーデターによってミャンマーの民主政府が倒された。クーデターから1年が経っても、民主化闘争が続いている。
                                                      

1年前の今日、軍主導の政党が民主的選挙で敗北を喫したあと、ミャンマー軍がクーデターを起こした。インダストリオール・グローバルユニオンは、その日のうちにクーデターを非難し、民主主義を取り戻せるまで労働者の権利を保護するために、直ちにミャンマーの加盟組合と協力し始めた。

クーデターに対する抵抗は強かった。数十万人の公務員が軍事政権下で働くことを拒否し、労働者はストを行い、市民的不服従運動が始まり、少数民族が結集し、亡命政府が発足した。

ミャンマーの組合とインダストリオールは実業界に対し、クーデター下で労働者の権利確保を求めた。しかし、これは不可能であることがすぐに明らかになった。現地の工場主はクーデターに乗じて組織労働者を解雇し、警察に組合員の詳細を伝えたのである。

組合指導者のカイン・ザー・アウンは言う。

「民主的労働組合は現在、工場レベルで活動することができない」

彼女は現状を「現代の奴隷制」と呼び、所属組合の会長が最近暗殺の脅迫を受けたと説明する。労働者は日雇い労働者として強制的に超過労働をさせられ、賃金を支払われていないことが多い。このような状況では効果的なデューデリジェンスを確保できない、と彼女は考えている。

この状況を受けて、ミャンマーの労働運動はインダストリオールの支援により、ミャンマーに対する包括的経済制裁と、グローバル企業による同国での事業中止を要求した。インダストリオールは各社に手紙を書き、この要求を表明した。結果として、多くの企業が事業を縮小し、トタル、シェブロン、ブリヂストン、C&Aなど数社がミャンマーから完全に撤退した。

民主的に選ばれた政府は亡命政権を作り、主にタイを拠点としている。国民統一政府(NUG)は、国民民主連盟のメンバー、選挙に勝った政党、それに民主的結果を尊重するその他の政党、少数民族を代表しているグループから成る。

NUGは武装組織を結成、軍事政権とゲリラ戦を展開した結果、国軍が民間人に報復し、都市が砲撃されている。約1500人が殺害され、反乱を起こした村に対する20回の空襲で推定3万2000人が避難し、77万6000人が国内難民となった。

画像:ITUC

ミャンマーのほとんどの労働組合は、NUGをミャンマーの合法的な暫定政権と認めている。ITUCとインダストリオールを含む国際労働運動は2021年4月から、全世界でNUGを承認するよう求めている。労働運動は、軍事政権を孤立させるとともに、国連行事(2021年6月のILO(国際労働機関)総会など)でNUGを承認させるための外交努力も先導している。この外交努力は実を結んでおり、フランス議会と欧州議会は2021年10月にNUGを承認した。

労働運動はNUGを承認しているが、その戦術や戦略、優先課題はさまざまである。NUGの国民防衛隊が武装闘争を繰り広げている一方で、労働運動は平和的な市民の不服従に焦点を当て、ストライキやミャンマーに対する包括的経済制裁を求める国際キャンペーンを優先させている。

NUGは制裁要求を公式的に支持しているわけではないが、グローバル企業に対し、軍事政権との協力や税金・料金の支払いを拒否するよう呼びかけている。労働運動はNUGの労働省と毎週会談し、労働者の権利を保護するための取り組みを調整している。

インダストリオールは、軍事政権を外交的・経済的に孤立させる戦略が、ミャンマーに平和的変革をもたらす最も効果的な方法だと考えている。制裁を求めるキャンペーンが強まり、ミャンマーでの活動を続ける企業に対する圧力が高まるだろう。

インダストリオールと姉妹組織インダストリオール・ヨーロッパ労働組合は今日、欧州委員会に手紙を書き、EUの武器以外すべての特恵貿易協定の終了を要求した。

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

「グローバルな労働運動と世界中の民主主義支持者は、ミャンマーにおける軍事独裁政権の常態化を決して受け入れない」

「クーデター直後には、多くの企業が、最も責任ある行動はミャンマー国民に持続可能な雇用を提供し続けることだと本気で信じていたかもしれない」

「しかし、独裁政権下ではデューデリジェンスを確保できないことが、ますます明確になっている。これらの企業は、直ちにミャンマーで事業をやめなければならない」

 

メキシコのゼネラル・モーターズ労働者、新しい組合代表を選出

2022-02-01

【JCM記事要約】

  • ゼネラル・モーターズのメキシコ工場の労働者が、本日から2日間にかけて新しい組合代表を選出する。同工場では、旧組合が締結した労働協約の投票に対して昨年8月に労働者が反対票を投じており、新組合を選出する運びとなっていた。
  • インダストリオールは、労働者自身が代表を選出して適切な協約締結へ向けた労働改革プロセスが行われることを歓迎し、引き続き結社の自由を求める闘いにおいて同工場労働者への支援を表明した。

 

2022年2月1日:今日と明日、ゼネラル・モーターズのメキシコ・シラオ工場の労働者約7000人が新しい組合代表を選ぶ。この代表は会社側と新しい労働協約について交渉する。
                                                      

2021年8月、メキシコの労働改革プロセスの一環として定められた投票で、労働者たちは、メキシコ労働組合連盟(CTM)傘下の旧ミゲル・トルヒーヨ・ロペス組合が締結した労働協約を拒絶、「同労組はGM側に立っており、労働者の利益よりも会社の利益を優先している」と非難した。

労働者が旧協約に反対票を投じた結果、今度は新組合を選ぶための選挙が行われる。

アメリカ労働総同盟産別会議(AFL-CIO)はGMとメキシコ労働当局に対し、アメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)とメキシコの労働改革の定めるところにより、投票中と投票後に公正かつ自由な選挙プロセスを確保するよう促した。

米州全域のインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の組合員で構成されるGM労働者の地域ネットワークが述べているとおり、すべての労働者に、民主的に選ばれた組合によって代表され、自由で公正な団体交渉プロセスを享受する権利がある。

投票プロセスの透明性を確保するために、メキシコ政府と米国政府は、国際労働機関(ILO)、メキシコの国家選挙機関(INE)および国家人権委員会のオブザーバーが立ち会うことに合意した。

連邦調停労働登録センターとの合意により、4組合が選挙に立候補する。

その1つは自動車労働者の全国組合(SINTTIA)で、GM労働者の地域ネットワークに支持されており、前協定に反対票を投じた活発な独立系GM従業員が結成した組織である。

その他3組合はCTM系列で、自動車輸送・建設・自動車・自動車部品・類似産業の労働者・従業員の全国組合、自動車・金属産業労働者の全国組合、産業・貿易・サービス全国組合の「Carrillo Puerto」である。

インダストリオールは、労働者が指導者を選び、雇用協定に加わる道を開いた労働改革プロセスを歓迎する。このプロセスを見守っており、他のGM関連加盟組織や労働者とともに、透明な投票を要求し、結社の自由を求める闘いにおいてシラオ工場労働者への支援を表明したい。