ケニアの溶鉱炉事故で労働者が死亡し、組合が安全基準改善を要求
2022-03-31
【JCM記事要約】
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2022年3月31日:ティカのブルーナイル製鉄工場の平炉で1人の労働者が焼死した事故を受けて、ケニアの組合は鉄鋼製造業の労働安全衛生基準改善を要求している。亜鉛めっき鋼線などの鉄鋼製品を製造するブルーナイルは、ケニア有数の鉄鋼メーカーである。
ケニア機械労組(KEWU)によると、同労組の安全衛生職場委員カレブ・オティエノが3月25日の通常作業中、溶鉱炉に金属棒を押し込んだ際に片手が挟まって炉内に落ちたという。遺族には埋葬するための遺灰が渡されただけだった。
ケニアの労働安全衛生法は、職場の安全衛生に関する使用者と労働者の責任を概説している。例えば、使用者は工場の作業手順で安全衛生に対するリスクを抑えるようにする責任を負う。これは事故防止に貢献する。さらに、使用者は安全な労働環境を提供し、定期的なリスク評価を行わなければならない。同法は、使用者は労働安全衛生に関する情報と訓練ならびに個人用保護具を提供しなければならないとも定めている。
ローズ・オマモ・インダストリオール・サハラ以南アフリカ地域共同議長は言う。
「これは不運な恐ろしい事故だが、防止できる。鉄鋼メーカー各社は法律に定める安全衛生基準を守らなければならない。私たちは身内の死でショックを受けている遺族に同情し、哀悼の意を示す。労働組合として、労働における安全と使用者の怠慢に対する補償を要求し続ける」
「ケニア政府に対し、この事故を調査して労働安全衛生検査官を配置し、安全基準改善と労働者の生命保護を目的とする遵守状況視察を行うよう求める。国家・国際基準の実施は、工場での事故を根絶し、労働者にとって工場の安全性を高めるうえで重要だ」とインダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所所長のポール・フランス・ヌデソミンは言う。
インダストリオール・サハラ以南アフリカ地域は、オンライン安全衛生プラットフォームを設置し、どうすれば組合がディーセント・ワーク・アジェンダの一部として職場における安全衛生基準の改善を要求できるか議論している。このプラットフォームは、労働者が職場で労働安全衛生の課題に対処し、訓練や政策立案を行い、労働組合機構を復活させて強化し、労働安全衛生問題に関する社会的対話を改善するのに役立つ。
資料写真:エジプトの鉄鋼工場(2008年)
著作権:Marcel Crozet / ILO
トルコの組合、国際連帯を受けて自動車部品サプライヤーと労働協約を締結
2022-03-31
【JCM記事要約】
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2022年3月31日:インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織ペトロール・イスは、世界的な支援を受けて10年に及ぶ組織化キャンペーンを展開した結果、セーフ・デモ・プラスチックと労働協約を締結した。
セーフ・デモ・プラスチックは、フランス系自動車部品メーカー、セーフ・グループのトルコ子会社での組合つぶしに対する世界的な行動を受けて、2022年3月24日にペトロール・イスと労働協約を締結した。ペトロール・イスは2019年、長年にわたる組織化を経て労働者400人の過半数を勧誘し、トルコ・ブルサのセーフ・デモ・プラスチックで法的承認を勝ち取った。労働省は承認を認定したが、それに対して会社側は法廷で異議を唱え、組合員を解雇した。
インダストリオールは、デモ・プラスチック顧客をターゲットにサプライチェーン連帯行動を組織した。デモ・プラスチックはトヨタ紡織、オートリブ、フォルシアに供給しているが、これら各社はすべてインダストリオール加盟組織によって組織化されている。日系自動車内装メーカーのトヨタ紡織はJCM-JAWが、スウェーデン系自動車用安全部品メーカーのオートリブはIFメタルとユニオネンが、フランス系内装・排気システムメーカーのフォルシアはFCE-CFDTが組織化している。これらの組合はキャンペーンで有用な影響力を与えることができた。
同時に、ペトロール・イスは職場で強固な基盤を維持した。この事件を裁判で闘い抜こうという労働者の決意と組合の取り組みすべてが、会社に圧力をかけ続けた。
同労組は2021年11月に新たな承認申請を提出し、再び労働省に認定されたが、会社側は異議を申し立てた。インダストリオールは2021年12月、セーフ・グループ社長に手紙を書き、組合つぶしについて懸念を提起した。会社側はペトロール・イスをつぶそうと手段を尽くしたが、ついに同労組を承認して労働協約に署名した。
スレイマン・アクユズ・ペトロール・イス会長はインダストリオールに書簡を送り、グローバルな労働運動の支援に感謝して次のように述べた。
「同社の組織化活動に非常に長い時間がかかったことは十分承知しています。最終的に、国際的なインダストリオール・グローバルユニオン・ファミリーの支援・連帯により、大きな勝利を収めました。この点でインダストリオールの関与が大きな効果を上げました。グローバルな連帯に感謝します」
この労働協約はデモ・プラスチック労働者に非常に大きな利益をもたらす。組織化キャンペーン前、労働者は最低賃金に近い金額しか受け取っていなかった。新しい2カ年協約によって賃金と社会保険が大幅に上がる。超過労働や安全衛生などの職場問題に、同労組が参加して取り組んでいる。
元ブルサ支部長で現ペトロール・イス中央執行委員のエルハン・ヤキサンは、サプライチェーン戦略が鍵だったと述べた。
「同社の顧客を組織化している組合の関与によって、現地経営陣の態度と行動が明らかに変わった。国際連帯万歳」
インダストリオールでこの部門の担当部長を務めるトム・グリンターはこう述べた。
「この事件にはあまりにも長い時間がかかった。会社側が法律に従って同労組を承認することを頑なに拒否したため、組合にダメージを与えた。しかし、この事例から、グローバルな連帯は、特にサプライチェーンで戦略的に適用すれば、労働者のために勝利を収めるうえで決定的な効果のあることが分かる」
メイン画像:2019年のデモ・プラスチック労働者の画像。ペトロール・イス
OECD鉄鋼委員会で労働者代表団がウクライナの鉄鋼労働者と連帯
2022-03-31
【JCM記事要約】
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2022年3月31日:ウクライナ侵攻が暗い影を落とす中、3月29-31日に第91回OECD鉄鋼委員会が開催された。各国代表はウクライナ国民についての心痛を表明するとともに、ロシアに対する制裁が世界の鉄鋼部門に及ぼす悪影響を強調した。
この悲しい出来事に際して、TUACとインダストリオール・グローバル・ユニオン、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合が発言し、鉄鋼労働者ならびに広くウクライナ国民との全面的な連帯を共同で表明するとともに、可能な限り早い戦争の終結を要求した。
マティアス・ハートウィッチ・インダストリオール素材金属・機械エンジニアリング担当部長が委員会で挨拶し、次のように述べた。
「インダストリオールはロシア、ウクライナ両国に加盟組織がある。プーチン政権は2022年2月24日にこの戦争を開始した。それは彼らの責任だ。即時停戦とロシア軍の撤退を要求する。労働者とその家族に代償を払わせてはならない。ここで話をしている今も、ウクライナの男女や子どもたちが戦争を逃れようとしている。クルィヴィーイ・リーフだけで、2万6000人の鉄鋼労働者と鉱山労働者、その家族が、生き残って鉄鋼工場を守るために闘っている。」
「インダストリオールは、影響を受けた労働組合を直接支援するために、加盟組織に寄付を求めている。私たちの目標は、寄付と救援物資の形での具体的な連帯によって、影響を受けた人々と難民を支援し続けることだ。ウクライナの加盟組織と絶えず対話し、この暗い時期にヨーロッパで財政的・組織的支援を提供している。私たちはウクライナを支持する」
OECD鉄鋼委員会は、世界の鉄鋼市況と鉄鋼需要、鉄鋼貿易の展開に焦点を当てている。したがって、国際制裁とそれが国際鉄鋼部門に及ぼす影響をめぐって討議し、各国が貿易フローに対する制裁の影響、エネルギーコスト、原料へのアクセスについての懸念を表明した。
インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のジュディス・カートン=ダーリング書記次長が述べた。
「ウクライナ国民と連帯し、ロシア軍の即時撤退を要求する。ウクライナ、ロシア連邦、アメリカ、EUならびにOECDなどの国際組織の政策当局に対し、統一ウクライナに向けて安定した平和な結果を確保するために、対話と政治的解決の1つを目指すプロセスに集中すべく努力を倍加するよう促す」
「普通の労働者に影響を与えない制裁も要求する。ルーマニアの鋼管メーカーTMK-ARTROMで、所有者がオリガルヒであるために労働者の賃金が凍結されている事例が報告されている。ロシアの恐ろしい行動が普通の労働者に損害を与えないようにしなければならない」
さらにTUACは3月1日、ロシアの加盟組織FNPRがロシアのウクライナ侵攻を支持する声明を発表したことを受けて、直ちにFNPRの準会員資格を停止した。したがって今後、FNPRの代表はOECD鉄鋼委員会はじめ、どのOECD委員会にも招待されなくなる。
マーク・リーマンズTUAC会長代行が次のように結論づけた。
「TUACは、ロシア連邦によるウクライナ侵攻を主権国家とその国民および労働者に対する暴力的かつ野蛮な行為として非難し、OECD諸国政府に対し、ウクライナ国民とロシア国民の苦しみを終わらせるためにできる限り努力するよう求める。ロシア軍によるウクライナの労働者とその家族、生産設備ならびに都市に対する攻撃は受け入れ難いものであり、阻止しなければならない。この目的を達成するために、私たちは、ロシアの加盟プロセスを正式に打ち切るというOECD理事会の決定を全面的に支持する」
「TUACはさらに、ロシアの主要労働組合総連合FNPRがウクライナでのプーチンの作戦を公に支持したあと、FNPRとの協力を停止し、OECDにいっさい招待しなくなっている」
モレックス・マレーシアで組合員の不当な扱い
2022-03-30
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2022年3月30日:インダストリオール加盟組織EIEUNRは、マレーシアでアップルのサプライヤーの1社として活動している電子部品メーカー、モレックスで組合つぶしと闘っている。
モレックス・マレーシアの組合つぶしに対応して、インダストリオール加盟組織の電子産業従業員組合北部地域(EIEUNR)は、労使関係局(IRD)に苦情を申し立てた。第一審で労働者の不当扱い事件が処理されている。
IRDから同労組に、調査の一環として工場で労働者との面談を行うと通知があった。EIEUNRは、この面談は労働者に過度の負担をもたらすと考えている。というのも、職場で面談が行われるため、面談を受けた労働者を使用者が簡単に特定できるからである。
EIEUNRは、労働者が同労組に賛成票を投じることに決めれば給付を削減する、という取締役人事部長の脅迫の音声記録を持っている。同労組は同じような脅迫の録音をもう1つ入手しており、その中で取締役人事部長は管理・監督スタッフに、運転工たちを説得して同労組に反対票を投じさせるよう指示している。
この音声記録はIRDに提出済みである。同労組は、これらの記録はIRDが労働者の不当な扱いを認識し、使用者に外部干渉なしで組合承認のための無記名投票の実施を要求するに十分な証拠だと考えている。
巨大テクノロジー企業のアップルはモレックスの主要な顧客の1つであり、労働者に対するモレックスの行動は、以下のアップル行動規範に明白に違反している。「サプライヤーは、労働者が干渉、差別、報復またはハラスメントを受けずに、他者と連帯し、自ら選んだ組織を結成して加入し(または加入を控え)、団体交渉を行うことを進んで許可するものとする」
「モレックスにおける労働者の不当な扱いは、中核的ILO条約によって保障される労働者の基本的権利と労働組合権の明らかな侵害であり、マレーシアはこれらの権利を尊重すべきだ。アップルとモレックスの他の主要顧客に、サプライチェーンにおける深刻な労働者の権利侵害を知らせなければならない」と松﨑寛インダストリオール書記次長は言う。
労働者数百万人が全国ストに参加
2022-03-30
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2022年3月30日:3月28-29日にインドで2億人を超える労働者が、「国民を救え、国を救え」の旗の下に2日間の全国ストに加わった。中央労働組合と独立部門連合団体(インダストリオール加盟組織を含む)から成る中央労働組合合同フォーラムは、政府の反労働者・反農家・反国民的な政策に抗議してストを要求した。
労働組合は、インドの現在の反労働者的政策体制の下で深刻な攻撃にさらされている、労働者の権利を求めて運動している。この合同プラットフォームは、公共部門の民営化、公共部門の土地資産を収益化する国家政策、不安定雇用を促進する新しい労働法改革、労働者の憲法上の権利と民主的権利に対する攻撃に抗議するためにストを要求した。
「数千人の労働者がパンデミック下で雇用と生計を失っており、政府の政策は危険な労働条件による不安定雇用をさらに増やしている。この2日間のストは、インドの労働者が怒っており、現行政策に不満であることを示している」とインド全国鉄鋼・金属・金属鉱山・機械従業員連盟会長でインダストリオール執行委員のG・サンジーバ・レディーは言う。
国中の組合がストを支持して共同集会や正門前でのピケ、道路封鎖、鉄道封鎖、公開の会合を組織した。銀行業務と公共輸送機関は深刻な影響を受けた。さまざまな鉄鋼、石炭、石油および金属工場の労働者がストに入った。大勢の炭坑労働者がゼネストに参加し、政府の炭鉱民営化政策に対する不満を示した。
マハラシュトラ州の電力労働者など一部の組合は、州政府が国営電力会社の従業員による抗議行動への参加を禁止したため、参加できなかった。
「政府は労働組合の要求憲章に対応しなかった。この憲章には、労働法の変更の取り消し、最低賃金の増額、公共部門企業の民営化中止、常用労働の臨時雇用化中止が含まれている。政府が労働組合との会談を拒否しているため、労働者はストを行わざるを得ない」とインダストリオール執行委員のサンジャイ・バダブカールは言う。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
「インダストリオール・グローバルユニオンはインドの労働組合運動と連帯し、労働者の権利保護と民主主義的な制度・慣行の保護・強化のために闘っている。インド政府に対し、組合と真の社会的対話を行うよう求める」