バッテリーサプライチェーンで労働者の意見を主張
2022-06-30
【JCM記事要約】
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2022年6月30日:インダストリオールは6月28日のオンライン会合に業界専門家を集め、バッテリーサプライチェーン戦略を検討・集約した。
バッテリーサプライチェーンは電気自動車(EV)需要の増加を受けて急成長しており、それに伴って新規雇用が生まれている。ヨーロッパだけで、EV産業関連雇用は2030年までに50万人増の85万人に達すると推定される。自動車産業は組合組織率が比較的高いが、サプライチェーンでは組織率が低下しており、労働者の権利侵害や強制労働・児童労働が増加している。
すべての地域がバッテリーサプライチェーンのさまざまな部分を構成している。ラテンアメリカにはリチウム・トライアングルがあり、採掘はほとんどがアフリカで行われ、アジア太平洋ではバッテリーへの新規投資が進んでおり、北米とヨーロッパでは電気自動車への投資が活気づいている。
国際社会研究所のジョジョ・ネム・シンは、組合にとっての課題の中で、鉱業政策の重視が重要だと述べた。原材料へのアクセスはグローバルサウスの戦場である。
中国は世界最大のバッテリー生産国であり、組合はたとえ存在していても、部門交渉で何の役割も果たしていない。アレックス・イワーノウ・インダストリオール電子担当部長が、厳しい生活・労働条件と内部労働移動により、自動車製造業のフォックスコン化が進んでいる現状について語った。
「鉱山に始まり、化学産業の精製所を通過し、バッテリーの包装を経てエンドユーザーに至るバッテリーサプライチェーンで、影響力を強めたい。この拡大に対応するために組織化活動を加速させる必要がある」と松﨑寛インダストリオール書記次長は述べた。
「デュー・ディリジェンス・ツールを開発し、増大する女性労働者と、ジェンダーに基づく暴力などのジェンダー問題に焦点を絞る必要がある」
グローバル・バッテリー・アライアンスからインガ・ペーターゼンが参加した。これは世界的な半官半民プラットフォームで、バッテリー生産がグリーンエネルギーを支援するだけでなく、人権を保護して健康と環境的持続可能性を促進するようにするためにも結集している。この組織はバッテリーパスポート行動パートナーシップを支えており、これはうまくいけば、持続可能で透明なバッテリー市場の世界的な基準、データおよびベンチマークを確立する1つの方法になる可能性がある。
多国籍企業調査センターのアレハンドロ・ゴンザレスが、持続可能性、バッテリーのラベル付けと記載情報、収集・処理・再生利用に関する要件に基づくEUバッテリー規制案について話した。この規制案は、人権および労働者の権利、それに安全衛生を対象とするサプライチェーン・デュー・ディリジェンス義務を定めている。
ジェンダーの視点を統合する方法に関する能力強化は、バッテリーサプライチェーンにおけるジェンダー平等の促進と同様に重要である。それは男女の平等な権利、待遇および機会を意味する、とアルメル・セビー・インダストリオール女性担当部長は述べた。
「最大の課題の1つは、原則から行動への移行だ」とインダストリオールのグレン・ムプファン鉱業担当部長とゲオルク・ロイテルト自動車担当部長が述べた。
「真のデュー・ディリジェンスを実現するには、社会的対話で労働者の意見を表明し、結社の自由、団体交渉、安全衛生およびディーセント・ワークを保護する必要がある」
インダストリオールは今後、以下によってバッテリーサプライチェーンで組合の能力を構築していく。
- 労働者を組織化するための効果的なデュー・ディリジェンス・ツールの開発
- 多国籍企業その他のステークホルダーとのプラットフォームの構築
- 中国の企業・労働者とのコミュニケーションの開発
- 組合活動へのジェンダー統合の確保
- 持続可能な産業政策と公正な移行の重視