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第152号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2022年12月9日)

南アジアの船舶解撤労働者、再生利用ブームに備えて準備

2022-08-25

【JCM記事要約】

  • 8月24日-25日、ネパール・カトマンズにて開催された船舶・解撤地域会合にインダストリオール加盟組織等から20名が参加し、今後10年間に予想される船舶・解撤の需要増の影響をめぐり議論を行った。会合では、組合の積極的存在によって事故を減らす計画が立案された他、労働者が最良の補償を受けるための計画の立案に向け社会保障等の精査も実施した。
  • インダストリオールのウォルトン船舶解撤産業担当部長は、南アジアの船舶解撤場のグリーン化は、公正な移行の原則を実行に移す機会でもあるが、これを実現させるためには組合による実施プロセスへの関与が必要である、と主張した。

 

2022年8月25日:南アジアの船舶解撤労組は、予想される再生利用ブームを利用するために組織化活動を準備している。
                                                      

8月24-25日にネパールのカトマンズで開催された地域船舶解撤会合の参加者は、今後10年間に予想される船舶解撤需要の増加の影響をめぐり議論した。この会合は、船舶解撤場の組織化キャンペーンを促進するために、オランダの労働組合総連合FNVが支援するプロジェクトの一部だった。船舶解撤は世界で最も危険な仕事の1つと考えられており、このプロジェクトの狙いは組合の組織化によって状況を改善することである。

インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織5団体(インド・アランの解撤場とバウナガールの川下産業のASSRGWAとSEWA、パキスタン・ガダニの解撤場のNTUF、バングラデシュ・チッタゴンのBMCGTWFとBMF)から約20人が参加した。

船舶解撤産業は近い将来、劇的に変化するだろう。バングラデシュは来年、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(香港条約)を批准すると予想される。これは条約発効要件の充足に向けた大きな一歩になる。

各解撤場は、その後2年以内に、香港条約の基準を満たすために施設を改良し、大幅に刷新しなければならない。船舶解撤需要は、世界の商船隊の増加をはじめ、いくつかの要因が原因で、この期間に大きく成長すると予想される。これらの船舶は耐用年数が終わりに近づいているため、再生利用ニーズが高まる。新しい燃料と新技術への移行や、炭素排出量に関する法的要件を受けて、船舶の予想寿命が短くなっている。

需要の伸びと香港条約基準の遵守の必要性が相まって、需要を満たす能力が不足し、この産業は危機に陥ると予想される。これによって船舶解撤コストが増え、解撤場は施設改良のために多額の投資を行う必要が生じる。その結果、解撤場が手を抜いたり抜け穴を見つけたりしようとする可能性があり、安全・環境基準を守らせるために組合の警戒が欠かせない。

会合参加者は解撤場の安全記録を検討し、組合の積極的存在によって事故を減らす計画を立案した。また、不備を確認して労働者が最良の補償を受けられるようにする計画を立てるために、老齢保険、失業保険、疾病保険など、さまざまな国の社会保障制度も精査した。

組合は、組織率の向上と、団体交渉の利用による状況改善に焦点を当てることにしている。                                                                                       

ウォルトン・パントランド・インダストリオール船舶解撤産業担当部長はこう述べた。

「南アジアの船舶解撤場のグリーン化は、公正な移行原則を実行に移す機会、つまり、危険で汚い仕事を取り上げ、安全でグリーンな仕事に変えるために投資する機会だ。重要な下流のリサイクル産業を開発する機会もある。これを成功させるには、組合が実施プロセスに関与するしかない」

「南アジアの解撤場と下流リサイクル産業は、数千人の良質でグリーンな組織化された雇用を提供することができる」

 

 

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