労働者、半導体産業の課題への対策めぐり議論
2023-10-31
2023年10月31日:10月16日にグローバル半導体労働組合ネットワークの第2回バーチャル会合が開かれ、12カ国から25人の専門家と組合代表が参加、急速に変化する産業の課題に取り組んだ。
議論の焦点となったのは、市場規模が10年後に記録的な1兆9000億米ドルに達する見込みのある半導体産業における展開だった。COVIDパンデミック下の半導体不足はサプライチェーンの脆弱さを露呈した。
米中貿易戦争はハイエンドチップの売上高を抑え、不可欠なチップ製造用金属の輸出規制を招いており、サプライチェーンがさらに混乱する恐れがある。半導体産業は炭素削減を助長しているものの、生産段階でCO2その他の温室効果ガス排出に大きく貢献している。チップ生産は、大量の水とエネルギーの利用を必要とする。ハイエンド半導体への需要が増加の一途を辿る一方で、設計者が不足している。
インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のオーロラ・ロッシ政策顧問が、ヨーロッパの半導体産業、さまざまな部門におけるその重要な役割、半導体産業が直面する課題について発表した。欧州半導体法は、分裂したサプライチェーンと供給停止に取り組むことによって、ヨーロッパのマーケットシェアを9%から少なくとも20%に増やすために導入された。
グッドエレクトロニクス・ネットワークのイェルーン・メルクが、この産業は急成長しており、数社に資本が集中していると説明した。プレゼンテーションの中で、労働者不足、労働安全衛生、労働組合化に対する抵抗のような問題も取り上げられた。地政学的状況と、半導体サプライチェーンを確保するための業界の闘いも強調された。
参加者はフランスとスペインの例を挙げて、チップ産業の安全衛生システムを検討し、有毒な製品やリスクから労働者を保護することの重要性を力説した。北側諸国で基準を強化する必要がある。これはグローバルサウスの労働者を取り巻く状況の改善にも役立つだろう。
韓国の例に基づいて、半導体・電子産業における職業病の認識と対処(政府の承認、影響を受けた労働者のための補償制度など)の重要性が強調された。職場関連の健康問題を証明することの難しさや、認識向上と研究の必要性も、依然として問題となっている。
マレーシアにおける半導体会社の組織化に関連する課題と努力、近づきつつある労働法改革に関する議論、欧州半導体法と米国CHIPSおよび科学法が業界に及ぼす影響も、この会合の議題だった。
参加者は、組織化活動、安全衛生、電子産業労働者への支援をめぐって引き続き討議したいとの意思を示した。会合では、情報を共有し、半導体労働者のより明るい未来のために一丸となって取り組むことの重要性が強調された。
アレクサンダー・イワーノウ・インダストリオールICT電機・電子担当部長が述べた。
「このネットワークは進化している。半導体産業で新規雇用が創出されているため、企業の立地と組合の存在についての知識を高めることが不可欠だ。インダストリオールは今後も組織化にあたって加盟組織を支援していく。私たちは組合として、安全衛生を確保して人権・労働権を保護するために、労働者に豊富な経験と知識を提供することができる」
UAW、ビッグスリー全社と暫定合意
2023-10-31
2023年10月31日:インダストリオール加盟組織の全米自動車労組(UAW)は、9月15日に始まったストで記録的な契約について暫定合意に達し、フォード、ステランティスおよびゼネラル・モーターズ工場でストを中止した。
スタンドアップ・ストライキの40日目に、フォードと初の暫定合意に達した。3日後、UAWはステランティスと暫定合意に至り、今日、最後のビッグスリーであるGMと合意した。
ショーン・フェインUAW会長は言う。
「私たちは何カ月も前から、記録的利益は記録的契約を意味すると言ってきた。そして、スタンドアップ・ストライキが成果を上げ、ほんの数週間前には不可能と言われたことを達成した」
「特にステランティスでは、私たちは記録的契約を確保しただけでなく、アメリカの労働者階級に対する戦争で流れを変え始めた」
今回の合意によって、フォードの労働者は25%の一律賃上げに生活費上昇分を上乗せされ、最大規模の組立工場労働者は契約期間の終了まで時給40米ドル以上の賃上げになる。
フォードに続いてステランティスおよびGMとも合意し、大部分の労働者の賃金が今後4年半で25%上がる。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
「インダストリオールは、UAWがこの勝利を収めたことを祝福する。今日は皆さんにとってのみならず、米国はじめ各国の産業労働者全員にとっても重要な日だ。皆さんの勇気と決意と粘り強さが報われた」
「自動車メーカー各社の記録的利益を反映する公正な生活水準と賃上げを求める皆さんの闘いの成功を、私たちは断固支持する」
暫定合意は組合員の承認を得たあと効力を生じる。
バングラデシュで最低賃金めぐる抗議が激化し、警察が労働者を射殺
2023-10-30
2023年10月30日:バングラデシュで数千人の衣料労働者が街頭に繰り出し、最低賃金の引き上げを要求する中、警察が抗議デモを鎮めるために暴力的な行動を取り、先ほど衣料工場労働者1人を射殺した。
10月22日の第4回賃金委員会で衣料工場主が1万400バングラデシュ・タカ(94米ドル)への最低賃金増額を提案してから、ダッカ全域で抗議行動が激化している。生活費の上昇を考えれば、工場主側の賃上げ案は日々のニーズを満たすには不十分である。
ガジプールのデザイン・エクスプレス衣料工場の労働者Rasel Howladerが、先ほど警察によって射殺された。デザイン・エクスプレスは組織化工場で、組合はインダストリオール加盟組織SGSFの傘下である。ここ数日間に、3人のオルグ(BGTLWFのMasud Rana、BMCGTWFのMossarrof Hossain、BIGUFのJewel Miya)が逮捕された。警察は器物損壊と暴行を理由に、その他何人かのオルグと労働者を告訴した。
バングラデシュで警察が労働者に暴行している今、ジュネーブではILO理事会が開催されている。ILO理事会では、ILOロードマップの実施に関してバングラデシュ政府が提出した最新の経過報告に検討を加える。政府が措置を講じたことを示す必要があるロードマップの優先分野の1つは、組合に対する差別と労働者に対する暴力である。
アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は言う。
「最低賃金の引き上げを正当に要求した活動家が、警察に暴行されるというのは恐ろしいことだ。ILOロードマップの実施に関する政府の報告は、特に組合に対する差別と労働者に対する暴力への対処に関して現実を反映していない。インダストリオールはバングラデシュ政府に対し、警察が抗議中の労働者に対して武力を行使しないようにすることを求める。インダストリオールは政府に、衣料労働者の最低賃金を2万3000バングラデシュ・タカに増額することも求める」
インダストリオール加盟組織を含むバングラデシュの衣料労組は、今年に入ってから、8000バングラデシュ・タカ(75米ドル)から2万3000バングラデシュ・タカ(215米ドル)への最低賃金増額を要求している。政府が最後に最低賃金を見直したのは2018年で、その際、新人衣料労働者の最低賃金が8000バングラデシュ・タカ(75米ドル)に設定された。
写真:10月22日、衣料労働者同盟傘下の65団体を超える衣料労働者連盟が、ナショナルプレスクラブから最低賃金委員会の事務所まで行進し、最低賃金を8000バングラデシュ・タカ(72米ドル)から1万400バングラデシュ・タカ(94米ドル)に増やすという衣料工場主の提案を拒絶した。
インダストリオール・バングラデシュ協議会は衣料労働者同盟に加盟しており、最低賃金を2万3000バングラデシュ・タカ(207米ドル)にすることを要求している。
Y-TEC、タイで労働者の権利を侵害
2023-10-25
2023年10月25日:タイの自動車部品会社Y-TECは、継続的に労働者の団結権を侵害し、現在、組合指導者を名誉毀損で訴えている。
Y-TECは8月、タイ産業労働組合総連合(CILT)のプラシット・プラソップスック会長を名誉毀損で訴えた。Y-TECはプラソップスックを、今年5月のインタビューで同社を中傷したとして告発している。
このインタビューでプラソップスックは、Y-TECにおける組合つぶしを批判している。現地組合(CILT加盟組織)が組織化活動を再開し、100人を超える組合員を勧誘したところ、同社は5人の組合活動家を解雇した。
アトレ・ホイエ・インダストリオール・グローバルユニオン書記長は、Y-TECと親会社の山下ゴムへの書簡で両社に対し、組合つぶしの中止と組合活動家5人の復職を強く促している。
「Y-TECは不当労働行為を繰り返している。組合に対する一連の差別行為は、山下ゴムの行動規範、すなわち人権、差別禁止および地域社会との良好な関係の原則に違反していた。Y-TECに対し、直ちに名誉毀損訴訟を取り下げるよう求める」とアトレ・ホイエは言う。
プラソップスックは会社側に、意見を述べ、演説を行い、文章を書き、印刷し、出版その他の手段で表明する自由を保障しているタイ王国憲法第34条を尊重するよう念を押した。
「山下ゴムとその子会社は組合指導者の告訴を取り下げなければならない。タイの労働者には、労使関係法の下で労働組合に加わる十分な権利がある。継続的な組合つぶしは、ILO第87号条約および第98号条約の批准の妥当性を示している」
CILT加盟組織のタイ電機・自動車・金属労連(TEAM)は、2016年にY-TEC労働者を組織化した。プラチンブリ自動車部品労組が結成されると、Y-TECは直ちに組合員を夜勤に異動させ、うち90人に辞職を強制した。
労働者が労使関係委員会(LRC)に苦情を申し立てたにもかかわらず、Y-TECはルアングサック・クライマラ組合会長をソーシャルメディア投稿での名誉毀損で訴え、解雇手当の増額によって何人かの組合員を買収した。LRCは組合に有利な判決を下したが、会社側は従うことを拒否した。
Y-TECは、車とオートバイのエンジンマウントやサスペンションブッシング、ホースチューブのような自動車部品を生産している。本社は日本にあり、アメリカ、メキシコ、インド、中国、タイに海外生産施設がある。
韓国の組合、国連で政府に異議申し立て
2023-10-24
2023年10月24日:インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の韓国金属労組を含む韓国の労働組合と市民社会組織は、先週ジュネーブの「壊れた椅子」でデモを行ったのち、国連人権委員会に文書を提出した。
韓国政府は、各国に市民的および政治的権利の尊重を義務づける多国間条約である「市民的および政治的権利に関する国際規約(ICCPR)」に基づいて異議を申し立てられている。組合は韓国の第5次定期報告に関する第139回人権委員会に文書を提出し、限定的な労働法、スト権に対する制限、多数の結社の自由の侵害は条約に基づく韓国の義務に反すると主張した。
2015年に実施された韓国の第4次レビューでは、結社の自由に「不合理な制約」が課せられていることを確認し、韓国政府に平和的集会の権利の確保を勧告した。しかし政府は、自国の法的枠組みをICCPR第21条および第22条ならびにILO第87号条約および第98号条約に正式に記される国際労働基準に従わせるために、ほとんど何もしていない。
理論的には、韓国の労働者には憲法に定める団結権、団体交渉権および集団行動権がある。だが実際には、労働組合・労使関係調整法(TULRAA)の条項は労働者の権利を厳しく制限している。同法は労働者が合法的なストライキ行動を取ることをほとんど不可能にしており、労働者は法律に違反すれば企業から損害賠償を、国家からストの警備費用を請求される可能性がある。
鉄鋼や造船といった部門では、労働者の70〜80%が下請契約で、同法による「使用者」の定義では下請労働者は元請使用者と交渉することができない。例えば、大宇造船(DSME)には1つの造船所に100社を超える下請会社が入っている。2022年にパンデミック下でDSMEが導入した30%の賃金カットを撤回させるために労働者がストに入ったとき、同社は交渉を拒否し、自社は紛争の当事者ではないと述べた。しかし、DSMEが賃金を設定していたため、下請会社は労働者の要求に取り組むことができなかった。
スト中の労働者は激しく攻撃され、51日に及ぶストが終わったあと、組合指導者は生産目標未達を理由に3230万ユーロの損害賠償訴訟を起こされた。
韓国では現在、およそ30人の労働組合員が組合活動を理由に収監されている。
組合代表団はITUCの法律専門家の支援を受け、人権委員会に文書(リンク)を提出した。組合側は、暴力的な弾圧と悪意のある訴訟を何件か証拠として挙げ、人権委員会に対し、韓国政府に反組合的活動の中止ならびに自国の法的枠組みと国際労働基準との調和を求めるよう依頼した。
クリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長は次のように述べた。
「韓国政府は労働者の団結権と平和的集会の権利、スト権を侵害している。労働組合員は組合活動を実施したために暴行され、告訴され、投獄されている。インダストリオールは、国連人権委員会が韓国に責任を負わせることを要求する行動において、同志と連帯している。韓国はICCPRの当事者であり、自らの義務を守らなければならない」
労働者保護を強化したビジネスと人権に関する条約が必要
2023-10-23
2023年10月23日:ビジネスと人権に関する条約のための国連交渉が今週、スイス・ジュネーブで第9回セッションを再開する。インダストリオールはITUCおよび他のグローバル・ユニオンとともに、国際人権法において多国籍企業その他の企業の活動を規制するために、法的拘束力のある文書を強く要求している。
各国の企業人権法の進展と環境・社会・ガバナンス(ESG)原則は、企業に人権侵害に対する責任を負わせているが、国家・地域レベルで多種多様な規則があるため、多くの企業は人権責任を回避することができる。
グローバル・ユニオンは第4草案を見直した結果、以下のとおり要求する。
- このセッションの基礎として、幅広い支援を盛り込んでいた第3草案との整合性を高める。
- 特に防止、救済を受ける権利、法的責任、裁判管轄に関して企業の免責を効果的に抑制するために、より強力でより詳細な条項を定めてUNHRC独自のマンデートと調和させる。
- 気候危機に関連する文言(特に、環境害を防止・軽減・救済する企業の義務、クリーンで健康的で持続可能な環境に対する人権の確立)を復活させる。
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。
「グローバル・サプライチェーンにおける現在の搾取的なビジネスモデルの継続を許すことはできない。責任と説明責任、透明性を伴う規則が必要だ」
「人権のための拘束力のある国連条約をめぐる第9回交渉は、企業欲と不処罰に対する救済と責任に関する厳格なルールを導入する必要がある。これは直ちに実施しなければならず、グローバルな組合運動は市民社会の同盟者とともに、この重要な要求において団結する」
鉄鋼業の週4日制に向けて努力
2023-10-20
2023年10月20日:8.5%の賃上げと、賃金全額補償による週35時間から32時間への労働時間短縮が、インダストリオール加盟組織IGメタルの団体交渉パッケージに盛り込まれている。
IGメタルによると、この時短は週4日制への第一歩になるだろう。加えて、高齢労働者のパートタイム労働に関する労働協約、雇用契約の利用、8万人を超える労働者の雇用保障を拡張しなければならない。
これらの要求は、IGメタルによる議論と労働者1万1000人以上の調査の結果である。
調査によると、労働者の72%が、高インフレが続く中で賃上げは特に重要だと述べた。75%が、完全な補償付き時短の問題はかなり重要だと回答。65%が、この時短を仕事と雇用を確保するための重要な手段とみなしている。
賃金補償による週32時間への労働時間短縮の主要な理由として、不確実な時期にあって雇用保障が必要であること、鉄鋼部門の雇用水準が維持されること、人々が定年時により健康になること、ワーク・ライフ・バランスが改善されること、鉄鋼業は熟練労働者不足に悩まされているため、この時短は鉄鋼業の魅力を高める1つの方法であることが挙げられる。
週4日制は、鉄鋼業のホワイトカラー雇用では簡単に実現できるだろうが、交代勤務のブルーカラー労動者については容易ではない。このため、鉄鋼労働者は補償付き労働時間短縮の要求を選んでいる。週労働時間の短縮は、鉄鋼業の交代勤務スケジュールでも実施できる。すでに実施された自発的モデルが、これを証明している。
使用者は、完全な賃上げを伴う労働時間短縮は競争力を低下させる、時短にはコストがかかりすぎる、交代勤務モデルが混乱すると主張している。
クリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長は言う。
「賃金全額補償による労働時間の短縮は、それ自体が目標であるだけではなく、労働者が生み出した鉄鋼業の生産性向上によって生み出された富のより公正な分配を表す」
「あまりにも長い間、効率向上による利益の最大の分け前が上層部の手に渡り、この生産のまさに核心にいる人々が脇に追いやられてきた」
「そろそろ平等をもたらし、労働者に労働条件改善と生活の質の向上を提供することによって、労働者がこれらの前進から直接利益を得るようにすべきときだ」
「鉄鋼の未来は数字だけで測られるものではなく、日々それを形成している人々をどのように評価して支援するかも重要だ」
ドイツ北西部の鉄鋼業の団体交渉委員会は9月6日に要求を決定し、東部の鉄鋼業も翌日あとに続いた。11月中旬に最初の交渉が行われる。
スウェーデンの組合、テスラでスト警告
2023-10-18
2023年10月18日:スウェーデンで自動車メーカーのテスラが労働協約交渉に入ることを拒否しているため、IFメタルは同社の修理店に対してストライキ行動を警告している。
IFメタルは何年も前から、この多国籍自動車会社に労働協約交渉を行わせようとしてきた。それに対してテスラは、自社のビジネスモデルに労働協約の入る余地はないという態度に終始している。
「私たちの努力は実を結んでおらず、今やストライキ行動以外に選択肢がない」とマリー・ニルソンIFメタル会長は言う。
労働協約はスウェーデンの労使関係モデルの中核を成す。IFメタルによると、労働協約が適用される整備士はテスラの従業員よりも良い条件を享受している。テスラの整備士には、特に移行支援と加給年金がない。
テスラは反組合的な姿勢で悪名高く、現在、世界中の同社従業員12万人全員が労働協約の対象外で、組織化を試みるたびに使用者側の強い抵抗に遭っている。テスラの所有者イーロン・マスクは以前、組合を結成するなら報復すると言って労働者を公然と脅したことがある。
スウェーデンの組合IFメタルは世界で初めて、自社の労働者を尊重していないことを理由にテスラに対して訴訟を起こす可能性がある。合意に達しなければ、10月27日に全国7カ所でストが始まる。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
「イーロン・マスクのビジネスモデルは人権尊重を回避するものだ。彼は現在、最強の組合の1つと対立している。テスラのビジネスモデルを打破しなければならない。スウェーデンは手始めとして打ってつけの場所だ。」
現代・起亜労働者の16年に及ぶ揺るぎない連帯
2023-10-14
2023年10月14日:インドネシア・ブカシのグローバル現代・起亜労組ネットワーク会議は、全世界における現代・起亜労働者の16年に及ぶ揺るがぬ連帯を記念した。この会議は10月10-11日に開催された。
韓国金属労組(KMWU)国際局のチョン・ヘウォン事務局長が、現代・起亜労働者のグローバルな連帯の歴史を振り返り、2007年にトルコの金属労組(ビルレシク・メタル・イス)と初めて接触してから、現代・起亜労働者は献身的に支援し合い、数々の厳しい闘いを経験したと述べた。
2008年の現代自動車インド従業員組合(HMIEU)のハンガーストライキがきっかけで、KMWUと全米自動車労組(UAW)はグローバルな連帯行動を開始した。
韓国とアメリカの労働者はストを支持して資金を集め、世界規模の圧力が実を結んでハンガーストライキが解決に至った。
国際金属労連(IMF)とKMWUの支援を受けて、2009年に韓国で第1回グローバル現代・起亜労組ネットワーク会議が開かれ、KMWU、スロバキアOZ KOVO、チェコOS KOVO、インドHMIEU、米UAWおよびトルコのビルレシク・メタル・イスが参加した。
その後数年間にネットワークは、現代・起亜工場で職場のセクシャルハラスメントや搾取的な夜勤・深夜勤務・不安定雇用に直面した韓国の女性労働者の不当解雇と、現代チェコの支部組合指導者の弾圧について、この自動車会社2社を非難した。
2023年のハイブリッド・グローバル現代・起亜労組ネットワーク会議で、30人の参加者が、今後ネットワークおよび労働者の連帯を支えていくことに全会一致で合意。組合闘争の支援と交渉情報の共有においてKMWUが積極的な役割を果たしたことを評価した。
「私たちは現代・起亜労働者ファミリーの新参者として、昨年、このネットワークから多くのことを学んだ。インドネシアの労働運動は、退行的なオムニバス法との闘いに全エネルギーを集中させている。だが、私たちは各産業で労働者の力を強化するために、今後もより多くの労働者を組織化していく」とヌルヤシン・インドネシア金属労連(FSPMI)副会長が述べた。
「韓国の同志からの団体交渉情報は実に貴重であり、私は議論と通訳を通して優れた慣行について多くのことを学んだ。今後、派遣労働者や移民労働者など、より具体的な問題に焦点を絞れることを願っている」とマルティン・チェフ起亜OZ KOVO会長は述べた。
「このネットワークは、グローバルな労使関係制度を達成するために現代・起亜との社会的対話を求めて努力すべきだ。インダストリオールは引き続き、これら2社とのグローバル枠組み協定を強く要求すると同時に、各国で人権デュー・ディリジェンス法を活用する」とゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車・航空宇宙産業担当部長が述べた。
インダストリオール、UAWとピケラインに参加
2023-10-13
2023年10月13日:インダストリオール・グローバルユニオンは、全米自動車労組(UAW)と並んでピケラインに立ち、フォードとゼネラル・モーターズ、ステランティス(総称してビッグスリー)に対する進行中のストで連帯を示した。インダストリオール加盟組織は9月14日からストに入っている。
UAWとビッグスリーの間で交渉が続いている。ショーン・フェインUAW会長は、今日テキサスの大規模なゼネラル・モーターズ施設にストを拡大する用意があると述べたが、同社が電気自動車バッテリー製造工場をUAW協定に追加することに同意したため、拡大は回避された。
「私たちはテキサス州アーリントンにあるGM最大の収益の柱を閉鎖しようとしていた。会社の弱点も収益の柱も分かっているし、会社が本当にストライキをされたくない工場も分かっている」とショーン・フェイン。
9月中旬にストが始まってから、同労組は毎週金曜日にスト最新情報を発表し、ピケラインに労働者を追加している。自動車メーカー各社が交渉で十分に前進したため、この金曜日には初めてUAW組合員がストに追加投入されなかった。
ショーン・フェインは、GM、フォードおよびステランティス全社が、賃金、生活費調整、賃金全額支給の身分に達するまでの期間に関して前進したと語ったが、やるべきことがまだあると付け加えた。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は他の組合とともに、デトロイトのステランティスでピケラインの労働者に加わり、UAWの闘いが彼ら自身の権利だけでなくアメリカの労働者階級全体にとっても重要であることを強調した。アトレ・ホイエは、労働者が公正な利益分配を受け取るようにし、ビッグスリーが数十年にわたって押しつけてきた賃上げ格差に取り組む必要があると強調した。
「ビッグスリーは30年間賃上げを抑えており、労働者に頼って利益を得てきた。そろそろ借りを返し、労働者が利益の公平な取り分を受け取れるようにするときだ」とアトレ・ホイエは述べた。
アトレ・ホイエは、イェルク・ホフマン・インダストリオール会長、IGメタル職場委員委員会およびフォルクスワーゲン独カッセルからの支援メッセージを伝えた。これらのメッセージは労働組合間のグローバルな連帯を強調していた。
「企業に関係なく、ドイツ国内レベルであれ国際レベルであれ、私たちは労働組合として連帯しており、分裂させられるわけにはいかない! この連帯と協力を誇りに思う。私たちは労働組合員として、雇用や良い賃金、社会保障がいかに重要かを知っている。36%の賃上げを求め、今後4年間にわたる長期の購買力低下に反対し、社会的給付の改善を求める皆さんの争議行為は正当なものだ」
イェルク・ホフマンは、この産業で将来の雇用の基準を設定しようとするUAWの努力を称賛し、自動車部門における社会的責任のある転換を要求した。企業欲に対抗し、強力な労働組合代表を求めるUAWの闘いへの支持を表明し、彼らの闘いの世界的重要性を強調した。
「UAWは、バッテリー・電気自動車生産で将来の雇用の基準を設定するために闘っている」
「この主題に関してGMとの間で進展があったことについて、私たちはUAWを祝福する。私たち全員が、自動車産業の転換が公正かつ社会的責任のある方法で管理されるよう確保しなければならない」
「労働者と組合が発言権を持ち、新規雇用が良い賃金・給付の良質な雇用になるようにする必要がある。この闘いは米国ならびに世界中の労働者にとって重要だ。皆さんは、企業欲と恣意性に対抗し、権利のために立ち上がる労働者を団結させる強力な労働組合代表を支持して、明白なシグナルを送っている。私たちは皆さんの味方であり、皆さんの勇敢な闘いの成功を祈っている!」とイェルク・ホフマン・インダストリオール会長は述べた。
フォードが交渉でさらなる前進を拒否したことを受けて、UAWは10月11日に行動を大きく拡大し、莫大な利益を上げている象徴的なケンタッキーのフォード・トラック工場で組合員8700人をストに参加させた。
インドネシアの労働組合、オムニバス法に関する憲法裁判所の決定を非難
2023-10-10
2023年10月10日:本日、インドネシア憲法裁判所は、雇用創出法に代わるインドネシア政府規則(Perppu)の有効性に関するインドネシアの労働組合数組織からの異議申し立てを却下した。
憲法裁判所は10月2日、ジョコ・ウィドド大統領による同規則の発布は憲法に準拠しているとの判決を下した。同裁判所は、物議を醸しているこの規則の内容についてはまだ判決を下していない。
全インドネシア労働組合総連合(KSPI)のサイード・イクバル会長は、2021年にオムニバス法を違憲とし、2年以内に法律を見直すよう政府に指示した憲法裁判所の手のひらを返したような判決に疑問を呈した。
「裁判官は一貫していない。国は裁判所の裁判官のものではない。私たちはこの決定に抗議するため、全国的なストライキを組織する。憲法裁判所に正義がないのであれば、我々は街頭で正義を求めるだろう」とイクバルは付け加えた。
インドネシア福祉労働組合総連合(KSBSI)のエリー・ロシタ・シラバン会長は次のように述べた:
「憲法裁判所の決定は、労働者の権利に対する無慈悲な攻撃である。労働組合が適切な協議を受けなかったため、オムニバス法の策定には欠陥がある。私たちは正義が勝つのを見るまで闘いを止めず、近日中にオムニバス法の内容に関する訴訟を起こすつもりだ」
化学・エネルギー・鉱山労組(CEMWU SPSI)のR・アブドラ委員長は次のように述べた:
「憲法裁判所がCEMWU組合員121人による申請を却下したにが、CEMWUとGEKANAS連合は、雇用創出法の実体に関する司法審査を再び憲法裁判所に提出する予定である。オムニバス法に対する闘いは続く」
インドネシア大統領によるオムニバス法の導入は外国直接投資を誘致するものであるが、2020年以降、インドネシアの労働運動や市民社会組織から反発を招いている。
インダストリオール・インドネシア加盟組合は、KPSI、KSPSI、KSBSI、KPBIの4つの総連合とともに、この決定に抗議するために多くのデモや全国ストライキを行った。2020年10月に国会がオムニバス法を可決した後、彼らは憲法裁判所に司法審査を申し立てた。
組織化は成長しているバッテリー産業の鍵
2023-10-06
2023年10月6日:インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、10月5-6日にハンガリーのブダペストで初のバッテリーサプライチェーン合同会合を開催した。この合同グローバル会合は、参加者によって有意義な成功体験とみなされた。両組織は、今後さらなる国際協力を模索し、バッテリーサプライチェーンの労働者組織化にあたって加盟組織を支援するために将来の活動を立案していく。
バッテリーサプライチェーンは、気候変動への取り組み、電気自動車(EV)への需要の増加、それに伴う雇用と技能の大規模な移行に支えられて成長し、急速に拡大している。ヨーロッパだけで、今後数年間に80万人の新しいバッテリー関連雇用が創出されるだろう。
世界的には、2030年ごろにバッテリーバリューチェーンで合計1,000万人(過半数が新興国)の雇用創出が予想される。この部門の大部分の労働者(移民労働者を含む)は、新たに採用されて訓練を受けている。消滅しつつある既存の雇用から移ってきて、再訓練を受けて技能を向上させた労働者もいる。
あらゆる地域、あらゆる部門が、鉱業、精製から生産、組立に至るバッテリーサプライチェーンのさまざまな部分を構成している。主な原料(コバルト、リチウム、銅、ニッケル)をめぐる闘いは、人権侵害や受け入れがたい環境的結果(児童労働、先住民の居住環境の破壊、環境破壊、水不足など)を招いている。
自動車産業は組合組織率が比較的高いが、サプライチェーンでは組織率が低下しており、労働者の権利侵害が増加している。バッテリーサプライチェーンでは、多くの労働者が組織化されていなかったり、適正な雇用から不安定雇用に追い込まれたりしている。
インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、バッテリーサプライチェーン全体で労働者を代表している。これは包括的、部門横断的かつ持続可能なサプライチェーン戦略を立て、デュー・ディリジェンス・プロセスの効果、労働者の権利と人権の行使、適正な労働条件の促進を改善するチャンスをもたらす。
今後数年間に、インダストリオールとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は以下に焦点を当てる。
- 組合同盟:サプライチェーンの組合をまとめ、労働者を組織化して労働者の基本的権利とディーセント・ワークを促進する(例:ヨーロッパ、北米およびアジア太平洋のバッテリー-EV製造業、欧州バッテリー組織化プロジェクト、アルゼンチン-ボリビア-チリのリチウム・トライアングル、インドネシアのバッテリーサプライチェーン、サハラ以南アフリカの鉱業ネットワーク)
- 公正な移行:持続可能な産業政策と十分に資金を供給されたサプライチェーン戦略を開発し、労働者中心の雇用調整プログラムを提供し、影響を受ける雇用を組織化された適正な雇用と置き換え、南北・南南協力を強化する(例:欧州バッテリー同盟、製造労働者のための公正な移行に関するIA-IAE合同プログラム、公正な移行実践ガイドの実施に関するパイロットプロジェクト)
- 人権デュー・ディリジェンス:組合が利用しやすい法的メカニズムを用いて、バッテリーサプライチェーンの多国籍企業に責任を負わせることができるようにする(例:ILO中核的条約、ヨーロッパのデュー・ディリジェンス法、IRMA基準、GBAバッテリーパスポート)
- 強力な(部門別)団体交渉のための社会的対話:労働者の力の構築によって、急成長しているサプライチェーン全体で労働条件と賃金水準、安全衛生を改善する(例:労働組合の力の構築における協力深化に関するIAE-IAG声明の実施、欧州最低賃金指令)
- 効果的な労働者の情報・協議・参加:組合と企業、政府、主要利害関係者が、労働者の利益を考慮する国家政策の策定に関与できるようにする
- ジェンダー平等:ジェンダーに対応した戦略の立案によって、女性が給料の高い仕事の相応の割合を占めるようにし、同一価値労働同一賃金を実現し、バッテリー関連職場で暴力やハラスメントを撤廃する
- バッテリープラットフォーム:組合と主要利害関係者を結びつけ、情報交換、HRDD実施の支援、サプライチェーンにおける労働者の力の構築を行う(例:IRMA、ドライブサステナビリティー、グローバル・バッテリー・アライアンス、グッドエレクトロニクス・ネットワーク、SOMOなど)
「この産業は急速に成長しており、組合がどうやって遅れずについていき、労働者を組織化していくかについて戦略を練る必要がある。労働者を組織化して連帯を構築する実用的な方法を見つける必要がある。政策手段も必要であり、労働者が保護されるようにする必要がある」と松﨑寛インダストリオール書記次長は言う。
「組織化する必要があり、私たちが産業で力を持てるようにする必要がある。私たちは交渉のテーブルに着く必要があり、議論に参加する必要がある。政治家や多国籍企業が決定を下してしまってから、最後に組合が加わるわけにはいかない。最初からプロセスの一部になる必要がある」とジュディス・カートン=ダーリング・インダストリオール・ヨーロッパ共同書記長代理は述べた。
GMインディア労働者、雇用保護を求めて闘争
2023-10-05
2023年10月5日:統一労働者連盟を通じてインダストリオールに加盟しているインドのゼネラル・モーターズ従業員組合は10月2日に無期限デモを開始し、売却されるゼネラル・モーターズのタレガオン工場の労働者を現代自動車インドが受け入れることを要求した。
ゼネラル・モーターズ(GM)・インディアには、タレガオン工場で波瀾万丈の労使関係史がある。2020年12月、政府が閉鎖申請を却下したにもかかわらず、GMインディアは同工場で生産を停止した。2021年7月には、経営側が一方的に決定した最終的解決である自発的離職制度とわずかな報酬の受け入れを拒否したあと、1,000人を超えるGM労働者が不法にレイオフされた。
この関連で労使双方が何件かの訴訟を起こしている。昨年9月、ムンバイ最高裁判所は組合に有利な判決を下し、労働者の削減を不当労働行為とみなした以前の裁判所命令に異議を唱えるGMインディアの申し立てを棄却し、同社に対し不当解雇された労働者1,086人に給料の50%を支払うよう指示した。
しかし、マハラシュトラ州政府が韓国の自動車メーカー現代へのGMタレガオン工場資産の売却を承認したことで、風向きが変わった。両社は資産購入契約を交わしたが、買収を完了するには、さまざまな政府機関からの規制認可や、補償を受けたことを表明する労働者からの異議なし証明書など、一定の条件を満たさなければならない。
今のところ、現代インディアは現労働者の受け入れについて何も示していない。
ゼネラル・モーターズ従業員組合はムンバイ最高裁判所に新たな申し立てを提出し、ゼネラル・モーターズのタレガオン・プネー工場の現代への譲渡に異議を唱えている。裁判所は申し立てを認めており、判断待ちである。
先行きが見通せない中、組合は10月2日に無期限のリレーハンガーストライキを開始した。毎日20人の労働者が、GM工場がある産業開発地域の入口に座り込んでいる。
キショール・ソムワンシ統一労働者連盟会長は言う。
「労働者の雇用保護を保証しているGM経営陣との以前の協定を尊重しなければならない。州政府は関係者全員との合意を求める私たちの要請を繰り返し無視したので、私たちとしては抗議するしかない」